JPH0414196Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

〔産業上の利用分野〕 本考案はガス透過率を制御しうる包装材料に関
する。 〔従来の技術〕 ガス透過率を制御する目的で使用されている包
装材料は、防虫剤や脱酸素剤、化学カイロなどの
封入紙、メスや注射器など用の滅菌紙、プラスタ
ーなどの基材として使用されている。 たとえば防虫剤の封入紙としては、(1)セロハ
ン、(2)紙にポリエチレンをラミネートしたもの、
(3)紙にポリエチレンおよびポリエステルをラミネ
ートし、孔をあけたもの、(4)ポリエチレンとポリ
エステルをラミネートしたフイルムに孔をあけ、
このラミネートフイルムをポリエチレン層を介し
て紙にラミネートしたもの、(5)ポリエチレンをラ
ミネートした紙とポリエチレンをラミネートした
ポリエステルフイルムとを継ぎ合わせた材料から
作製されている。 また、食品などの包装中に入れる脱酸素剤用の
封入紙、化学カイロの発熱剤組成物封入用の袋な
どのガス（酸素）の透過量を制御しなければなら
ない包装材料にも、前記(3)〜(4)の材料が使用され
ている。 〔考案が解決しようとする問題点〕 しかしながら、(1)の包装材料は実質的にガス不
透過性のものであり、使用時に鋏などで一部を切
り取らなければならず、また切り取り方によつて
防虫剤の昇華速度が大きく左右され、昇華速度の
制御が困難である。また(2)の材料では、ガス透過
速度が大きすぎるため、短期間に防虫剤が昇華拡
散してしまう。これらの欠点を改善したものが(3)
〜(5)の材料であり、(3)〜(4)のように穴の面積を調
節したり、(5)のようにガス透過性の部分の面積を
調節したりしてガスの透過率を制御している。し
かしながら、(3)〜(4)の材料は紙、ポリエチレンお
よびポリエステルと少なくとも３層にしなければ
ならず、しかも穴をあける必要があり、材料費が
かさみかつ製造工程も複雑となつている。また(5)
の材料においても同様の問題点があり、さらに継
ぎ合わせて作製されているため部分的に厚さが異
なり、ロール巻きが難しい。 〔問題点を解決するための手段〕 本考案者らは叙上の欠点を解消した包装材料を
うるべく種々研究を重ねた結果、疎水性材料と親
水性材料とからなるガス透過性の包装基材１と該
基材１の一部を覆うガス不透過性のフイルム層２
とからなり、該フイルム層が文字、記号、模様ま
たはそれらを組み合わせた形に形成されてなる包
装材料が、ガスの透過率を制御することができ、
かつ容易に作製することができることを見出し、
本考案を完成するに至つた。 〔作用および実施例〕 つぎに本考案の包装材料の実施態様を図面に基
づいて説明するが、本考案はかかる実施態様のみ
に限定されない。 第１図は本考案の包装材料の一実施例の概略断
面図であり、１は包装基材ある。２はガス不透過
性のフイルム層であり、文字、記号、模様または
それらを組み合わせた形（以下、パターンとい
う）で包装基材１に形成されている。 本考案の包装材料におけるガス透過率の制御
は、ガス不透過性フイルム層２で覆われている部
分の面積と覆われていない部分の面積とを調節す
ることにより行なわれ、本考案においてはその調
節をガス不透過性フイルム層２をパターン化する
ことによつて行なうことに特徴がある。ガス不透
過性フイルム層をパターン化することにより、ガ
ス透過率の制御が容易になるほか、外観もすぐれ
たものを作製することができる。 パターンの種類としては文字、記号、模様また
はそれらの組合せであればとくに制限されない。
たとえば第２図に示すごとく、縞模様であつても
よいし、第３図に示す如く水玉模様であつてもよ
い。さらに第４図に示すごとく文字３およびカギ
カツコ４を残してフイルム層２を形成してもよ
く、またその逆に文字や記号の形にフイルム層を
形成してもよい。とくにフイルム層２に顔料など
を配合してフイルム層を着色するときは、印刷と
同様の効果がえられる。５はヒートシール部であ
る。 ガス不透過性パターン化フイルム層は、たとえ
ばビスコース液を塗布して形成される再生セルロ
ース層やポリビニルアルコール、カルボキシメチ
ルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ア
ルギン酸塩などの単独または混合溶液を塗布乾燥
して形成すればよい。塗布方法としては、たとえ
ばハケ塗りやスプレー塗布などのほかスクリーン
印刷法やグラビア印刷法などの一般的な印刷法が
採用される。 本考案における包装基材としては親水性材料と
疎水性材料とからなるものであればとくに制限さ
れず、たとえば混抄紙、抄き合せ紙などの紙、不
織布、織布などがあげられる。 親水性材料としては、たとえば広葉樹パルプ、
針葉樹パルプなどの天然パルプ、マニラ麻、コウ
ゾ、ミツマタなどの靱皮繊維、コツトンリンタ
ー、ビスコースレーヨン、キユプラ、ポリビニル
アルコール、ビニロンなどの天然、半合成または
合成繊維などの１種または２種以上が用いられう
る。 疎水性材料としては、たとえばポリエチレン繊
維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、
ポリ塩化ビニリデン繊維、低融点ポリアミド繊
維、エチレン−酢酸ビニル共重合体繊維などの低
融点の熱可塑性樹脂繊維またはそれらのコンジユ
ゲート繊維や、ポリエステル繊維、アクリル繊
維、ポリウレタン繊維、高融点ポリアミド繊維な
どの高融点の熱可塑性樹脂繊維などがあげられ
る。 従来のこの種の包装材料では前記(2)〜(5)に示す
ようにヒートシール性を付与するためにポリエチ
レンなどをわざわざラミネートしているが、本考
案において疎水性材料として低融点の熱可塑性樹
脂を使用するときは、ガス不透過性パターン化フ
イルム層を形成するだけでガス透過率の制御が自
由にできると共にヒートシール性をも付与するこ
とができる。 親水性材料と疎水性材料との配合割合は、用途
や目的とするガス透過率などによつて異なり、幅
広い範囲が採用される。 本考案の包装材料は、前記のごとくガス透過性
の包装基材を覆うガス不透過性パターン化フイル
ム層の面積を調節することによりガス透過率を制
御しうるものであり、従来のこの種の包装材料に
比して構造が簡単であり、しかも容易にかつ安価
に製造することができる。さらにビスコース加工
などによつて包装基材に機械的強度を付与するこ
とができ、また疎水性材料として低融点の熱可塑
性樹脂を用いるときはヒートシール性をも付与す
ることができる。 本考案の包装材料は、そのまま種々の包装材料
として用いてもよいし、それらを積層して用いて
もよいし、さらにガス透過性の合成樹脂フイルム
をラミネートした複合材料として用いてもよい。 本考案の包装材料はガスの透過率を制御する必
要のある技術分野で広く利用でき、たとえば防虫
剤の透過を制御する防虫剤用の封入紙、酸素の透
過を制御する脱酸素剤用の封入紙や化学カイロ用
の袋体、あるいはメスや注射器の水蒸気やエチレ
ンオキサイドガスによる滅菌処理用の滅菌紙、水
蒸気や空気の透過が必要となるプラスター用の基
材などのとくに好ましく用いられうる。 つぎに実施例をあげて本考案の包装材料を説明
するが、本考案はかかる実施例のみに限定される
ものではない。 実施例 １〜４ つぎに示す包装基材を作製した。 混抄紙：針葉樹パルプとSWP（三井石油化学工業
(株)製のポリエチレン製合成パルプの商品名）の
50：50（重量比）の混抄紙（坪量30ｇ／m²） 抄き合せ紙：針葉樹パルプとマニラ麻／ポリプロ
ピレン繊維（50／50、重量比）との抄き合せ紙
（坪量30ｇ／m²） 不織布：レーヨンとES（チツソポリプロ繊維(株)製
のポリプロピレンとポリエチレンとのコンジユ
ゲート繊維の商品名）の50：50（重量比）の不
織布（坪量40ｇ／m²） 織布：ポリエステルと綿の65：35（重量比）の織
布 これらの包装基材を常法で調製したビスコース
液（粘度5000cP）を幅８mmで２mmの間隔をあけ
てロールコータでコーテイングしたのち凝固浴中
で処理し、ついでセルロース再生浴中でセルロー
スを再生したのち脱硫し、水洗したのちグリセリ
ン浴中で柔軟処理し乾燥して本考案の包装材料を
えた。 えられた包装材料の透気度をJIS P8117に規定
された方法に従つて測定した。結果を第１表に示
す。

【表】 実施例 ５ 幅および間隔を第２表に示すようにな変えたほ
かは実施例１と同様にして縞状の再生セルロース
層を形成し、実施例１と同様にして透気度を測定
した。結果を第２表に示す。

【表】 実施例 ６ 実施例２の抄き合せ紙にアルギン酸ナトリウム
水溶液（濃度3.0％）を100cm²あたり50cm²となるよ
うに直径５mmの水玉模様にグラビアロールコータ
ーにより塗布、乾燥して本考案の包装材料を作製
し、実施例１と同様にして透気度を測定したとこ
ろ、93秒であつた。 実施例 ７ 第４図に示す文字および記号の部分を残してス
クリーン捺染機によりカルボキシメチルセルロー
ス水溶液を60mm×60mmの抄き合わせ紙に塗布乾燥
して本考案の包装材料を作製した（フイルム層の
面積35cm²）。このものの透気度を実施例１と同様
にして測定したところ1424秒であつた。 なお、市販の脱酸素剤用包装材料および化学カ
イロ用封入袋の透気度は、それぞれ約20〜4000秒
および約50〜1000秒であり、実施例１〜７で作製
した本考案の包装材料はいずれもそれらの用途に
好適に使用できる。 またとくに第２表から明らかなように、パター
ンを変更することにより自由に透気度を制御する
ことができる。 実施例 ８ 実施例５で作製した本考案の包装材料（透気度
4120秒）を６cm×６cm角に裁断したものを２枚重
ね、間に25ｇの防虫剤（パラジクロルベンゼン）
を入れ四辺を５mm幅でヒートシールした。ヒート
シール作業は容易でありかつヒートシール部の強
度も充分なものであつた。このものを室内に放置
して防虫剤の残存量を経時的に測定したところ、
２日後で24.88ｇ、10日後で23.06ｇ、２カ月後で
16.07ｇであつた。 なお、ガス不透過性フイルム層が形成されてい
ない包装基材のみで包装したばあい、防虫剤は10
日後には半減し、40日後には消滅した。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の包装材料の一実施例態様の概
略断面図、第２〜４図はそれぞれ本考案の包装材
料の別の実施態様の概略斜視図である。 図面の主要符号、１……包装基材、２……ガス
不透過性パターン化フイルム層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 疎水性材料と親水性材料とからなるガス透過
   性の包装基材と該基材の一部を覆うガス不透過
   性のフイルム層とからなり、該フイルム層が文
   字、記号、模様またはそれらを組み合わせた形
   に形成されてなるガス透過率を制御しうる包装
   材料。 ２ 包装基材が、紙、不織布または織布である実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の包装材料。 ３ ガス不透過性のフイルム層が、ビスコース、
   ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセル
   ロース、ヒドロキシエチルセルロース、または
   アルギン酸塩の単独または混合溶液を塗布乾燥
   して形成されてなる実用新案登録請求の範囲第
   １項記載の包装材料。 ４ 疎水性材料がヒートシール性を有する熱可塑
   性合成樹脂材料である実用新案登録請求の範囲
   第１項記載の包装材料。