JPH0437128Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ 〔産業上の利用分野〕 本考案は、コンクリート製のパネル本体の少な
くとも表側壁面（以下単に壁面と称する）に化粧
板を積層して成る化粧板積層コンクリートパネル
に関する。

（従来の技術） 近年、建築材として多用されているコンクリー
トパネルにおいては、表面の外観を良くるため
に、その壁面に例えば鋼板製の化粧板を接着剤で
接合したものがある。この場合、壁面に化粧板を
単に接着剤により接着しただけでは、その接着力
の経年劣化や外気温の変化に伴う化粧板の伸縮に
より、化粧板が壁面から剥がれ落ちる虞れがあ
る。そこで、この防止策として、化粧板の四辺部
を直角に折曲して箱形に形成し、その化粧板の四
辺の側片部をパネルの側端面に嵌め合せて、その
上から釘を打付けることによつて固定するように
していた。

（考案が解決しようとする問題点） ところで、化粧板は外気温の変化に伴つて伸縮
するが、上述した従来構造のものでは、化粧板の
側片部が釘により打付け固定されていたため、温
度変化時の化粧板の伸縮が妨げられて、釘の打付
部分に局部的に非常に大きな荷重が加わることと
なり、これが原因で、釘が緩んだり、化粧板の一
部に変形を生じさせて外観を悪くしてしまうこと
等があつた。

本考案はこのような問題点を解決しようとする
もので、その目的は、温度変化に伴うへしょうば
んの伸縮を比較的容易に許容できて、その伸縮に
伴う荷重を逃がすことができ、しかも化粧板の取
付力を長期間にわたつて良好に維持できる化粧板
積層コンクリートパネルを提供するにある。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） 本考案は、前記の問題点を解決するためにコン
クリート製のパネル本体の壁面に化粧板を積層し
て成るものにおいて、前記化粧板の周縁部に屈曲
形成され前記パネル本体の側端面とギヤツプを介
して対向する側片部と、この側片部に形成された
ルーズ孔と、前記パネル本体に固定する該パネル
本体の壁面と平行な方向への前記側片部のずれを
許容するように前記ルーズ孔に挿入係合された係
合部材とを具備して成る化粧板積層コンクリート
パネルを構成した。

（作用） パネル本体に固定された係合部材を、化粧板の
側片部のルーズ孔に挿入係合させることによつ
て、化粧板の剥離が防止される。この場合、係合
部材とルーズ孔との係合は、化粧板の側片部がパ
ネル本体の壁面と平行な方向へずれるのを許容す
るような余裕のある係合であるため、外気の温度
変化に伴い化粧板が伸縮した場合には、その伸縮
に応じて化粧板の側片部が係合部材に沿つて側方
向にずれ、これによつて化粧板の伸縮に伴う荷重
が逃がされる。

（実施例） 以下、本考案の第１実施例を第１図及び第２図
に基いて説明する。１は例えば軽量気泡コンクリ
ートにより矩形盤状に形成されたパネル本体で、
その長辺側の稜部に沿つて切欠部２が形成されて
いる。３は例えば鋼板により形成した化粧板で、
この化粧板３の周縁の四辺部を夫々直角に折曲し
て２つの長辺側の側片部４ａと２つの短片側の側
辺部４ｂを形成し、これにより化粧板３を偏平箱
形に形成している。この化粧板３は、長辺側の側
片部４ａをパネル本体１の切欠部２に嵌め合せる
ようにパネル本体１の側面に重ね合せ、両者を接
着剤５により接着している。この状態において、
第２図に示すように、側片部４ａがパネル本体１
の側端面（切欠部２）とギヤツプＧを介して対向
するように、前記長辺側の化粧板３の寸法設定が
なされている。そして、該側辺部４ａには、パネ
ル本体１の壁面に沿つて延びるスリツト状のルー
ズ孔６が複数個形成されている。一方、７は例え
ば矩形状金属片をＬ字形に折曲して形成された係
合部材で、この係合部材７の一端側の係合辺７ａ
を前記ルーズ孔６に外側から挿入係合すると共
に、該係合部材７の他端側に固定片７ｂを、パネ
ル本体１の側端面に形成された凹部８に嵌め合せ
て、その上から釘９を打付けることにより、係合
部材７をパネル本体１に固定している。これによ
つて、化粧板３を係合部材７で係合保持するもの
である。この場合、第１図に示すように、係合部
材７の係合片７ａの横幅寸法をルーズ孔６の横幅
寸法よりも小さく設定することによつて、パネル
本体１の壁面と平行な方向への側片部４ａ（ルー
ズ孔６の係合位置）のずれを許容する構成になつ
ている。以上のような構成の化粧板積層コンクリ
ートパネルを継合わせて建物の壁を形成した場合
には、第２図に示すように、隣接する化粧板３の
側片部４ａ間にシーリング材１０を充填する。

ところで、外温度の変化に伴つて化粧板３が伸
縮すると、それに伴つて化粧板３の側片部４ａが
パネル本体１の壁面と平行な方向へずれようとす
る。この場合、その側片部４ａと係合部材７との
係合は、その側片部４ａがパネル本体１の壁面と
平行な方向へずれるのを許容するような余裕のあ
る係合であるため、外気の温度変化に伴う化粧板
３の伸縮に応じて、その側片部４ａが係合部材７
の係合片７ａに沿つて側方にずれ、これによつて
化粧板３の伸縮に伴う荷重が逃がされる。従つ
て、化粧板３の伸縮時でも化粧板３の係合部分に
大きな荷重が加わることを確実に防止できて、そ
の伸縮荷重による化粧板３の局部的な変形等の問
題を解決できると共に、化粧板３の取付力を長期
間にわたつて良好に維持できる。

以上述べた第１実施例では、化粧板３の４つの
側片部４ａ，４ｂのうち、長片側の２つの側片部
４ａのみ係合部材７を介して係合保持させる構成
であつたが、例えば第３図及び第４図に示す本考
案の第２実施例のように、短辺側の側片部４ｂも
係合部材１１を介して係合させる構成としても良
い。この場合においても、係合形式は第１実施例
とほぼ同一で、側片部４ｂにルーズ孔１２を形成
すると共に、このルーズ孔１２に係合部材１１の
係合片１１ａを外側から挿入係合した状態で、該
係合部材１１を釘９によつてパネル本体１の側端
面に打付け固定するものである。但し、この場合
の係合部材１１の形状は、第１実施例のようなＬ
字形ではなく、係合片１１ａ側を「コ」字形に屈
曲した形状になつている。

一方、第５図及び第６図は本考案の第３実施例
を示したもので、この第３実施例においては、ガ
スケツト１３の固定手段として、係合部材１４と
それを固定する釘９を利用するようにしたところ
に特徴を有する。具体的には、パネル本体１の側
端面（切欠部２）に沿つてガスケツト１３を宛が
い、そのガスケツト１３の取付フランジ部１３ａ
に係合部材１４を宛がつた状態でその上から釘９
をパネル本体１の側端面に打付けることによつ
て、係合部材１４とガスケツト１３とを同時に固
定するものである。この場合、ガスケツト１３の
固定作業の手間が省けて、工数削減・組立能率向
上に寄与できる。尚、この第３実施例における係
合部材１４は、第１実施例と同じくＬ字形のもに
したが、第２実施例のような形状の係合部材１４
を使用してもよいし、場合によつては両方の形状
の係合部材１４を組合せてもよい。

また、第７図及び第８図は本考案の第４実施例
を示したもので、この第４実施例においては、係
合部材１５の固定を釘９ではなくボルト部材１６
によつて行うようにしたところに特徴を有する。
具体的には、パネル本体１にその壁面に沿つて延
びる貫通孔１７を形成し、その貫通孔１７のボル
ト部材１６を挿通して、そのボルト部材１６の両
端のねじ部１６ａをパネル本体１の長辺側端面の
切欠部２に突出させている。そして、このボルト
部材１６の両端のねじ部１６ａに、夫々係合部材
１５を挿通してナツト１８により締付け固定する
ものであり、この場合においても、係合部材１５
の係合片１５ａを化粧板３の側片部４ａのルーズ
孔６に挿入係合している。斯かる第４実施例にお
いては、パネル本体１に貫通したボルト部材１６
の両端に係合部材１５を締付け固定するものであ
るから、係合部材１５を釘止めするものに比し、
係合部材１５（化粧板３）の取付強度を大幅に高
め得る。

尚、上記実施例では、化粧板３を鋼板で形成し
たが、例えばアルミニウム板等の他の金属板、更
にはプラスチイツク板等で形成するようにしても
良い。

その他、本考案は、軽量気泡コンクリートパネ
ルに限らず、例えばプレキヤストコンクリートパ
ネル等の他のコンクリート製パネルにも適用して
実施できる等、本考案の要旨を逸脱しない範囲内
で種々の変形が可能である。

［考案の効果］ 本考案は以上の説明から明らかなように、化粧
板を係合保持するための係合部材と化粧板の側片
部のルーズ孔との係合は、化粧板の側辺部がパネ
ル本体の壁面と平行な方向でずれるのを許容する
ような余裕のある係合であるため、外気の温度変
化に伴い化粧板が伸縮した場合には、その伸縮に
応じて化粧板の側片部が係合部材に沿つて側方に
ずれることによつて、化粧板の伸縮に伴う荷重を
逃がすことができて、その伸縮荷重による化粧板
の局部的な変形等の問題を解決できると共に、化
粧板の取付力を長期間にわたつて良好に維持でき
るという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の第１実施例を示し
たもので、第１図は化粧板積層コンクリートパネ
ルの部分斜視図、第２図は同じく要部の拡大断面
図、第３図及び第４図は本考案の第２実施例を示
したもので、第３図は化粧板積層コンクリートパ
ネルの部分斜視図、第４図は要部の拡大断面図、
第５図及び第６図は本考案の第３実施例を示した
もので、第５図は第１図相当図、第６図は第２図
相当図、第７図及び第８図は本考案の第４実施例
を示したもので、第７図は第２図相当図、第８図
はパネル本体を壁面に沿つて破断して示す断面図
である。 図面中、１はパネル本体、３は化粧板、４ａ及
び４ｂは側片部、６はルーズ孔、７は係合部材、
９は釘、１１は係合部材、１２はルーズ孔、１３
はガスケツト、１４及び１５は係合部材、１６は
ボルト部材である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ コンクリート製のパネル本体の表面に化粧板
   を積層して成るものにおいて、前記化粧板の周
   縁部に屈曲形成され前記パネル本体の側端面と
   ギヤツプを介して対向する側片部と、この側片
   部に形成されたルーズ孔と、前記パネル本体に
   固定され該パネル本体の壁面と平行な方向への
   前記側片部のずれを許容するように前記ルーズ
   孔に挿入係合された係合部材とを具備して成る
   化粧板積層コンクリートパネル。 ２ 係合部材は、パネル本体に対しその表面に沿
   う方向に貫通されたボルト部材に取付けられて
   いることを特徴とする実用新案登録請求の範囲
   第１項に記載の化粧板積層コンクリートパネ
   ル。 ３ パネル本体は、軽量気泡コンクリートにより
   形成されていることを特徴とする実用新案登録
   請求の範囲第１項又は第２項に記載の化粧板積
   層コンクリートパネル。