JP2515157Y2 - 胴縁取付金具 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は建築物、とくに鉄骨造住宅の壁体部分にお
いて下地として横方向に配設するランナー、あるいは縦
方向に配設するスタッド等の胴縁を取付けるのに使用す
る胴縁取付金具に関するものである。

（従来の技術） 断熱層を躯体外側に設ける場合、例えばコンクリート
造においては、躯体に埋め込み断熱材を貫通したボルト
に対してＣ形鋼やＬ形形鋼の胴縁を配し、その凹縁同士
の連結には溶接やボルト接合というのが一般的であっ
た。しかしながら鉄骨造においては、断熱層を外側に設
ける場合の理想的な胴縁取付方法が確立されていないも
のであった。

（考案が解決しようとする課題） ところで、前記コンクリート造における方法では施工
に多くの手間を要し、溶接の際の火花によって断熱材を
損傷したり、外装下地の防錆という観点からも好ましく
なかった。またとくに外断熱の場合は躯体と外壁外装材
が離れるため精度が重要になるにも拘らず、施工精度が
非常に出し難い等多くの難点があった。

この考案は前記事情に鑑み創案したもので、とくに鉄
骨造において前記難点のない胴縁取付方法に使用する胴
縁取付金具を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 前記目的を達成するために、この考案においてはアン
カーとアジャスターを形成し、アンカーは基板の表面に
ボルトを突設し、基板の裏面には躯体取付用プレートを
突設したものであって、アジャスターはアンカーボルト
により緊結されるよう形成したものである。

（実施例１） 以下、図示する実施例に基づいて説明する。

この実施例は外装材をサイディングとした場合に使用す
る胴縁取付金具に係るものである。１はこの考案の胴縁
取付金具において、本体軸組に固定されるアンカーを示
したものである。このアンカー１は縦長長方形状の基板
２の表面に長軸ボルト３を垂直に突設し、基板２の裏面
には台形状の躯体取付用プレート４を縦方向に垂直に突
設し、この躯体取付用プレート４にはボルト孔4aを穿設
してある。

５はアンカー１にねじ込み固定されるアジャスターを
示したものである。このアジャスター５は横長長方形形
状の基板６の中央にねじ山を切ったボルト孔７が穿設し
てあり、さらに表面における左、右側部のそれぞれにボ
ルト８を垂直に突設したものである。

次いで第１実施例の使用例を示す。第２図において９
は立設した本体軸組を示したもので、この軸組９は若干
の間隙9aを有して二本のＣ形鋼10,10を背中合せに対に
配設したもので、室外側に表われたフランジ10a,10aの
表面に跨がって気密テープ11を貼着してある。この気密
テープ11の表面には、縦方向側縁に沿って角型の切欠12
aを設けた気密合板12,12をその継目部分が間隙９部分に
くるよう貼設してある。

そしてランナー13の取付位置において、アンカー１は
その躯体取付用プレート４部分を気密合板12の継目部分
より気密テープ11を貫通して軸組９の間隙9a内に挿嵌さ
れ、予めＣ形鋼10,10のウエブ10b,10bに穿設したボルト
孔10cにボルト孔4aを挿通せしめてボルト14により緊結
し、アンカー１は軸組８に固定される。この場合アンカ
ー１の基板２は気密合板12,12の切欠12a,12aを押圧す
る。

固定されたアンカー１の長軸ボルト３により断熱材15
は貫通されて躯体に貼設し、さらにアジャスター５のボ
ルト孔７をアンカー１の長軸ボルト３に挿入し、アジャ
スター５を回転することにより出入りを調節して緊結
し、アジャスター５を固定する。

次いでアジャスター５の基板６をハット型状をしたラ
ンナー13の裏面凹溝13a内に当接するとともに、ボルト
8,8部分をランナー13のボルト孔16,16部分に挿入し、さ
らにアジャスター５を貫通したアンカー１の長軸ボルト
３の先端部をランナー13のボルト孔17に挿入し、ナット
で緊結固定する。

ランナー13にはボルト孔17を囲むようにしてスタッド
取付用のアジャスター18が外側方向に向け固着してあ
り、このアジャスター18は帯板を折曲して台形を二段連
設した平面形状に形成され、その傾斜した左、右側片の
中間部分が折曲して平面三角形状の凹部を有する段状に
形成してあり、この段状部分をスタッド係止部18a,18a
となし、左右側片の先端部分がそれぞれ開放されている
ため、若干の弾力性を有するものである。

そしてこのアジャスター18部分で縦方向のスタッド19
に嵌合する。スタッド19は断面略コ字状に形成してあ
り、その左右側片の先端部はそれぞれ内側方向に所要の
斜度を有して折返えされ係止片19a,19aを形成してあ
り、スタッド19の内部空間19bにアジャスターを嵌合す
ることにより、スタッド19の係止片19a,19aがアジャス
ター13の係止部18a,18a部分を係止しスタッド19はラン
ナー13と連結する。連結されたスタッド19の外側面に外
装材としてサイディング20を貼設するものである。

（実施例２） この実施例は外装材をコンクリートパネルとした場合
に使用する胴縁取付金具に係るものである。アンカー１
は第１実施例と全く同一のものであり、縦長長方形状の
平板２の表面に長軸ボルト３を垂直に突設し、基板２の
裏面には台形状のフランジ４を垂直に突設し、躯体取付
用プレート４にはボルト孔4aを穿設してなるものであ
る。

21はアジャスターを示したものである。このアジャス
ター21は帯板を折曲して形成したもので、第１実施例の
アジャスター18と同様に台形を二段連設した平面形状に
形成され、その左、右側片の中間部分が折曲して平面三
角形状の凹部を有する段状に形成してあり、この段状部
分をスタッド係止部21a,21aとなし、先端部分が開放さ
れているため、若干の弾力性を有するものである。そし
て基部21bにはボルト孔が穿設してあり、その内面にナ
ット21cを固着してなるものである。

次いで第２実施例の使用例を示す。アンカー１の固定
は第１実施例と全く同様に、気密テープ11を貼着した軸
組９におけるＣ形鋼10,10間の間隙9a内に躯体取付用プ
レート４をボルト14で固定し、基板２は気密合板12,12
の切欠12a,12aを押圧する。そして断熱材15を貼設して
長軸ボルト３部分はこの断熱材15を貫通して突出せしめ
る。

次いでアジャスター21のボルト孔に長軸ボルト３を挿
入し、アジャスター21を回転させて出入りを調節しなが
らナット21c部分で緊結、固定する。

そしてこのアジャスター21部分で縦方向のスタッド19
に嵌合する。スタッド19は第１実施例のものと同一で断
面コ字状の左、右側片の先端部分を折返し、係止片19a,
19aを形成したもので、スタッド19の内部空間19bにアジ
ャスター21を嵌合することにより、スタッド19の係止片
19a,19aがアジャスター21に係止部21a,21aを係止しスタ
ッド19は固定される。

さらにスタッド19の基部19cに沿って目地テープ22が
貼着され、この目地テープ22の表面に取付けた外内壁取
付金具23を介してコンクリートパネル24を取付ける。

（考案の効果） この考案は以上の構成からなるので、以下種々の優れ
た効果を有する。

（１）この考案の胴縁取付金具を使用することにより、
胴縁の取付けは緊結、嵌合だけの作業で完了することが
できるので躯体外側に断熱層を設けた壁体工事を何た熟
練を必要とせず、誰にでも簡単かつ何時間に行うことが
できる。

（２）溶接を行わずに作業を行うことができるので火花
による断熱材の損失の危険性がない。

（３）アンカーはボルト断面部分の熱伝導のみなので、
アンカーによるヒートブリッジは極めて少ない。

（４）アンカーはボルト形状なので、断熱材の取付は押
すだけなので非常に簡単である。

（５）アンカーの躯体取付用プレートは台形状に形成さ
れているため、アンカーを軸組に取付けた際に、軸組に
貼着した気密テープに最少限の取付穴しかあかない。し
かも斜側縁部分で押込まれるため、アンカーを取付けて
も気密が低下しない。

（６）アジャスターの左右側片が段状に形成されている
ために、外装材を貼着するために使用されるスタッドの
鉤状の係止部分と嵌合するだけで確実に連結され、強固
に外装材を貼着することができる。またアジャスター自
体が台形を二段連設した態様からなっているので、強固
なものとなっており、外部からの衝撃などで変形し難く
形成されている。

【図面の簡単な説明】

第１図は胴縁取付金具の斜視図、第２図は第１実施例の
使用状態を示す分解斜視図、第３図はその横断面図、第
４図は第２実施の使用状態を示す分解斜視図、第５図は
その横断面図である。 １…アンカー、２…基板、３…長軸ボルト、４…躯体取
付用プレート、５…アジャスター、６…基板、７…ボル
ト孔、８…ボルト孔、９…軸組、10…Ｃ形鋼、11…気密
テープ、12…気密テープ、13…ランナー、14…ボルト、
15…断熱材、16…ボルト孔、17…ナット、18…アジャス
ター、19…スタッド、20…サイディング、21…アジャス
ター、22…目地テープ、23…内壁取付金具、24…コンク
リートパネル。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｅ０４Ｂ 2/56 ６１１ Ｅ０４Ｂ 2/56 ６１１Ｍ ６２２ ６２２Ｃ ６２２Ｋ ６４１ ６４１Ｚ ６４５ ６４５Ｂ ６５１ ６５１Ｍ ６５１Ｖ ６５１Ｃ ６５２ ６５２Ｔ

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基板の表面にボルトを突設しかつ裏面に台
   形状に形成した躯体取付用プレートを突設したアンカー
   と、このアンカーの前記ボルトにより緊結されるよう形
   成したアジャスターとからなり、アジャスターは帯板を
   折曲して基板とその左右に左右側片を形成したものであ
   って、この左右側片をそれぞれ段状に形成し、段状部分
   をスタッド係止部となし、基板にはボルト孔を形成しナ
   ットを固着してなる胴縁取付金具。
2. 【請求項２】アジャスターは台形を二段連設した平面形
   からなり、先端部を開放してなる請求項１記載の胴縁取
   付金具。