JPH0436788B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、パネル類をスポツト溶接するスポ
ツト溶接装置、特に共通の溶接ガンでダイレクト
溶接とインダイレクト溶接とを兼用できるように
したスポツト溶接装置に関する。

自動車の車体等の金属パネル類を組立てる際
に、いわゆるスポツト溶接が多く利用されてい
る。その場合、例えばＣ型ガンやＸ型ガンなど公
知の溶接ガンの相対向した電極（チツプ）で、被
溶接箇所を直接に挾持し、加圧しつつチツプ間に
大電流を流して行うダイレクト溶接法は、確実な
溶着部が得やすい利点があるが、チツプが当接し
たワークの両面にスポツト痕が出る。したがつ
て、スポツト痕の露出を嫌うようなもの（例えば
外板部材）に対しては、別の方式のスポツト溶
接、すなわちチツプの一方は直接ワークの被溶接
箇所に当接させないようにしたインダイレクト溶
接が用いられる。

従来のインダイレクトスポツト溶接装置として
は、例えば第１〜２図に示すようなものがある。

これは、接合部の一面が車外に露出する自動車
をフードの組立てを行う例である。ワークＷは、
予め別工程でアウタパネル１とインナパネル２を
はぜ折り（ヘミング）して組み立てられている。
治具ベース３にゲージポスト４を介して、上記ワ
ークＷがそのインナパネル２を上側にして載置さ
れる。５はインナパネル２に接触させたインナパ
ツド電極、６は電極支持アーム、７はインダイレ
クト溶接専用のポータブルスポツト溶接ガン、８
は溶接トランス、９は吊索１０で吊つたキツクレ
ス二次ケーブル、１１ａ，１１ｂは補助ケーブル
である。一方の補助ケーブル１１ａはインナパツ
ド電極５に接続され、他方の補助ケーブル１１ｂ
は溶接ガン７を可動チツプ７ａ側に接続されてい
る。１２はアウタパネル１側を支えるゲージであ
る。

インダイレクトスポツトは溶接は、ワークＷの
へミング部Waを溶接ガン７の相対したチツプ７
ａ，７ｂで第２図のように挾持し、ゲージ１２を
介して加圧しつつ行われ、電流は矢符号で示す径
路を流れて、被溶接箇所にナゲツトＮが形成され
る。この場合、車外に露出するアウタパネル１面
にはスポツト痕を残さずに溶接することができ
て、製品の見栄えが損われないという利点があ
る。

しかしながら、このような従来のスポツト溶接
装置にあつては、１つの部品についてダイレクト
溶接とインダイレクト溶接の両方が必要である場
合、それぞれに専用の溶接治具を必要としてい
た。このためそのような部品にあつては、それぞ
れの溶接を行うための別々の治具を用いて、２つ
の工程にて溶接をする必要があつた。

この発明は、このような従来の問題点に着目し
てなされたもので、一方のチツプに臨むワーク面
に接続可能なインナ電極と、このインナ電極を必
要に応じてワーク面から退避させるインナ電極駆
動手段と、他方のチツプに当接するとともに絶縁
材を介してワークを支承できるようにした下部電
極とを備え、かつこの下部電極と前記インナ電極
とを電気的に接続したスポツト溶接装置とするこ
とにより、１種類の溶接ガンをダイレクト溶接と
インダイレクト溶接に兼用して、上記問題点を解
決することを目的としている。

以下、この発明を図面に基づいて説明する。

第３図ないし第４図は、この発明の一実施例を
示す図である。なお従来と同一部分には同一符号
を付してある。

まず構成を説明すると、第３図はインダイレク
ト溶接を行う場合の全体斜視図、第４図はその要
部拡大図である。図中２０はワークＷを挾持して
加圧できるように、相対向したチツプ２０ａ，２
０ｂを備えた公知の溶接ガンである。この溶接ガ
ンを両チツプ２０ａ，２０ｂは、それぞれ補助ケ
ーブル１１ａと１１ｂ、及びキツクレス二次ケー
ブル９を経て、溶接トランス８の出力端子８ａに
接続されている。なお、溶接トランス８と溶接ガ
ン２０との間には、加圧用のエア回路や、冷却水
用の水回路が介装されるが図示は省略してある。

２１はインナ電極で、溶接ガン２０の一方のチ
ツプ２０ａに臨むワーク面、すなわちスポツト痕
が出てもよいインナパネル２側に当接できるよう
にしてある。

２２は前記インナ電極２１を、必要に応じてイ
ンナパネル２面から退避されるインナ電極駆動手
段としてのエアシリンダである。そのシリンダ本
体２２ａをゲージポスト４に取り付け、ロツド２
２ｂの先端は前記インナ電極２１の一端にピン２
２ｃ止めしてある。第４図では、ロツド２２ｂを
後退させると、インナ電極２１は図外の支点（治
具ベース３又はゲージポスト４に支承されてい
る）中心として回動し、鎖線で示す状態に退避す
る構成としてあう。もつとも上記支点を設けず
に、ロツド２２ｂの前進で直線的に退避させる構
成であつてもよい。いづれにしても、インナ電極
２１は、図外の絶縁材によつて、インナパネル２
以外の部分であるピストンロツド２２ｂ、治具ベ
ース３、ゲージポスト４などから完全に絶縁して
おく。

２３はゲージポスト４に絶縁材２４を介して取
り付けた下部電極である。その下面側は溶接ガン
のチツプ２２ｂに直接当接させるとともに、上面
側には別の絶縁材２５を介してゲージ１２（アウ
タパネル１の外表面を受ける形状に形成し、被溶
接箇所の位置に当接配置してある）を取り付け、
絶縁状態でワークＷを支承できるようにしてあ
る。

２６は上記インナ電極２１と下部電極２３とを
電気的に接続するための適宣の長さのケーブル
で、一端をインナ電極２１に固定し、他端を下部
電極２３に固定している。

なお、エアシリンダ２２駆動用のエア回路は図
示を省略してある。

次に作用を説明する。

インダイレクト溶接をする場合は、ゲージポス
ト４上にはぜ折りしたワークＷをセツトした後、
エアシリンダ２２にエアを送り、予め後退させて
あつたロツド２２ｂを前進させて、インナ電極２
１を第４図の鎖線状態から実線状態に回動し、イ
ンナパネル２に当接させる。

このようにしてから、溶接ガン２０を手動ある
いはロボツトによる自動操作で操作し、ワークＷ
のはぜ折りした被溶接箇所をチツプ２０ａ，２０
ｂで加圧する。すると図外の溶接タイマが起動し
て、溶接電流がトランス８→キツクレス二次ケー
ブル９→補助ケーブル１１ｂ→溶接ガンのチツプ
２０ｂ→下部電極２３→ケーブル２６→インナ電
極２１→インナパネル２→アウタパネル１のはぜ
折り部→可動チツプ２０ａ→補助ケーブル１１ａ
→キツクレス二次ケーブル９→トランス８という
一連のループをなす経路を流れる。この電流によ
り被溶接箇所のアウタパネルのはぜ折り面とイン
ナパネルとの間にナゲツトＮが形成されて溶接が
完了する。したがつて、このスポツト溶接装置に
よれば、従来のものと異なり、凡用のＣ型やＸ型
溶接ガン２０でもインダイレクト溶接が可能であ
る。

第５〜６図には他の実施例を示す。

この場合のワークW′は例えば第５図のような
パネルで、アウタパネル１とインナパネル２の周
縁をはぜ折りして接合するとともに、中央部には
開口３０が形成してある。周縁のは折り部分のス
ポツト溶接は、上記第１実施例と全く同様にして
行えばよく、説明は省略する。

この実施例では、中央の開口３０の縁部３０ａ
はダイレクトスポツト溶接する点が上記第１実施
例の場合の異なる。このダイレクト溶接をするに
際しては、先ず、第１実施例で示したインナ電極
２１を、エアシリンダ２２の駆動により、既に述
べた退避状態にする。次に溶接ガン２０を移動
し、その相対したチツプ２０ａ，２０ｂで開口の
縁部３０ａを第６図のように上下から挾持して加
圧する。すると溶接電流が、トランス８→キツク
レス二次ケーブル９→補助ケーブル１１ｂ→溶接
ガン２０のチツプ２０ｂ→アウタパネル１→イン
ナパネル２→可動チツプ２０ａ→補助セーブル１
１ａ→キツクレス２次ケーブル９→トランス８と
いう一連のレープを構成した径路を流れて、開口
縁３０ａのアウタパネル１とインナパネル２との
間にナゲツトが形成され、ダイレクトスポツト溶
接が行われる。

すなわち、このダイレクト溶接に用いる溶接ガ
ンと前記インダイレクト溶接に用いる溶接ガン
は、同一のものを兼用するこのが可能であり、従
来の各専用ガンを用いるスポツト溶接装置に比
し、設備が簡単で作業も迅速となる。

以上説明してきたように、この発明によれば、
その構成を、溶接ガンの相対したチツプで挾持し
たワークを加圧しつつスポツト溶接するようにし
たものにおいて、一方のチツプに臨むワーク面に
接続可能なインナ電極と、このインナ電極を必要
に応じてワーク面から退避されるインナ電極駆動
手段と、他方のチツプに当接するとともに絶縁材
を介してワークを支承でしるようにした下部電極
とを備え、かつこの下部電極と前記インナ電極と
を電気的に接続したものとしたため、同一の溶接
ガンでインナダイレクト溶接法とダダイレクト溶
接法の２種の異なつたスポツト溶接が一連の工程
においてできるという効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のインダイレクト専用のスポツト
溶接装置の斜視図、第２図は第１図の−断面
矢視図、第３図はこの発明に係る一実施例を示す
斜視図、第４図は第３図に示すもののインダイレ
クトスポツト溶接時の状態を説明する要部拡大斜
視図、第５図は第３図に示す溶接装置でダイレク
トスポツト溶接するワークの斜視図、第６図は第
３図に示すもののダイレクト溶接時の状態を説明
するもので、第５図の−断面における要部拡
大斜視図である。 ２０……溶接ガン、Ｗ，W′……ワーク、２０
ａ……一方のチツプ、２０ｂ……他方のチツプ、
２１……インナ電極、２２……インナ電極駆動手
段、２３……下部電極、２４，２５……絶縁材。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 溶接ガンの相対したチツプで挾持したワーク
   を加圧しつつスポツト溶接するようにしたスポツ
   ト溶接装置において、一方のチツプに臨むワーク
   面に接続可能なインナ電極と、このインナ電極を
   必要に応じてワーク面から退避させるインナ電極
   駆動手段と、他方のチツプに当接するとともに絶
   縁材を介してワークを支承できるようにした下部
   電極とを備え、かつこの下部電極と前記インナ電
   極とを電気的に接続してなるスポツト溶接装置。