JPH04362127A - 高Al含有フェライト系ステンレス鋼帯の製造方法 - Google Patents

高Al含有フェライト系ステンレス鋼帯の製造方法

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JPH04362127A
JPH04362127A JP16501891A JP16501891A JPH04362127A JP H04362127 A JPH04362127 A JP H04362127A JP 16501891 A JP16501891 A JP 16501891A JP 16501891 A JP16501891 A JP 16501891A JP H04362127 A JPH04362127 A JP H04362127A
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JP
Japan
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weight
stainless steel
ferritic stainless
temperature
steel
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JP16501891A
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English (en)
Inventor
Yoshihiro Uematsu
植松 美博
Katsuhisa Miyakusu
宮楠 克久
Naoto Hiramatsu
直人 平松
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ストーブのチムニー,
自動車の排ガス浄化装置,電熱線等の耐熱用途に使用さ
れる高Al含有フェライト系ステンレス鋼を歩留り良く
製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】高Al含有フェライト系ステンレス鋼は
、その優れた耐高温酸化特性を活かして、ストーブのチ
ムニーを始めとする各種耐熱用途に使用されている。 また、電気抵抗値が高いことを利用し、各種ヒータの電
熱線としても使用されている。
【0003】最近では、自動車排ガス浄化装置の触媒担
持体用材料として、高Al含有フェライト系ステンレス
鋼が使用されるようになってきている。従来の触媒コン
バータ用基材としてのセラミックスは、熱衝撃に弱く、
また熱容量が大きいため触媒反応温度まで昇温するのに
時間がかかる等の欠陥がある。これに対し、高Al含有
フェライト系ステンレス鋼等の金属を基材とするメタリ
ックコンバータでは、これらセラミックスに起因する欠
陥を改善することができる。
【0004】メタリックコンバータ用基材には、板厚5
0μm程度の箔材料が使用される。この箔材料は、過酷
な酸化雰囲気に晒されるため、非常に優れた耐高温酸化
特性が要求される。この点で、高Al含有フェライト系
ステンレス鋼は、メタリックコンバータ用基材に適した
材料である。この高Al含有フェライト系ステンレス鋼
の優れた耐高温酸化特性は、表層に形成されるAl2 
O3 層により確保される。しかし、薄肉の箔材料にな
るほど、単位面積当りに供給されるAlの量が少なくな
り、不完全なAl2 O3層が形成され、異常酸化が発
生し易くなる。この異常酸化を抑制するためには、従来
よりも更に多量のAlを含有するフェライト系ステンレ
ス鋼を使用することが必要になる。
【0005】従来は、3重量%程度のAlを含有するフ
ェライト系ステンレス鋼がメタリックコンバータ用基材
として使用されていた。しかし、排ガス規制の強化,エ
ンジンの高出力化等から、Al含有量が3重量%程度の
フェライト系ステンレス鋼では使用環境に耐えられない
ものになってきている。そのため、Al含有量をたとえ
ば5重量%程度に増量することにより、耐高温酸化特性
を改善する試みが行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この種のフ
ェライト系ステンレス鋼は、Al含有量が多くなるに従
って鋼片或いは熱延鋼帯の靭性が低下する。この靭性の
低下は、Al含有量を5重量%程度まで増量すると顕著
に現れ、所定形状の箔材料を製造することが困難となり
、歩留りも低下する。また、熱延コイルの巻換え作業の
際に割れ等のトラブルが発生し易い。このトラブルは、
環境温度が低いためにコイルの温度も低くなる冬期に多
発する。
【0007】高Al含有フェライト系ステンレス鋼の製
造上の問題を掲げると、次のようなものがある。■  
鋼塊を室温まで冷却する段階で、鋼塊に割れが発生し易
く、また475℃脆化が生じる。■  分塊圧延後又は
連続鋳造後の鋼片の割れ感受性が高く、また疵取り又は
熱間圧延工程まで鋼片を室温に保持しておくときにも割
れが発生し易い。■  熱延鋼帯の靭性が低いため、巻
換え或いは連続焼鈍ラインへの通板等の際に割れが発生
し易い。
【0008】そこで、本出願人は、Al含有量及びTi
含有量との関係で熱間仕上げ温度を特定することにより
、割れ発生のない熱延方法を開発し、その一部を特願昭
62−211471号(特開昭64−56822号)と
して出願した。この方法によるとき、熱延時の加工硬化
及び475℃脆化が防止される。その結果、後続工程に
おける曲げ加工時に発生する表面応力が低下することに
より、割れ等の発生が抑制されるものと推察される。
【0009】また、特開平3−53025号公報では、
熱間圧延温度域でフェライト単相となるように成分調整
されたステンレス鋼を、希土類元素含有量との関係で特
定される圧下率で熱延すると共に、熱延後の鋼帯を急冷
することが提案されている。この方法においては、大圧
下率の熱延で高密度に集積された転位が熱延終了時まで
再配列し、微細なサブグレインが形成され、その後の急
冷によって常温まで維持され微細組織となることにより
、靭性の改善が行われるとされている。
【0010】しかし、これらの方法によるも、依然とし
て割れ等の欠陥が発生し易く、量産ラインで高Al含有
フェライト系ステンレス鋼を歩留り良く製造することは
困難であった。
【0011】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、分塊圧延から熱延工程に至る鋼材
の温度条件をコントロールすることにより、割れ発生や
通板不可能等の状態を招くことなく高い歩留りで耐高温
特性に優れた高Al含有フェライト系ステンレス鋼を製
造することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の高Al含有フェ
ライト系ステンレス鋼帯製造方法は、その目的を達成す
るため、C:0.03重量%以下,Si:0.5重量%
以下,Mn:0.5重量%以下,P:0.04重量%以
下,S:0.005重量%以下,Cr15〜26重量%
,Al:4〜7重量%及びN:0.03重量%以下を含
有する高Al含有フェライト系ステンレス鋼を溶解し、
鋳型から型抜きした鋼塊を500℃以上の温度に保持し
、前記鋼塊を分塊圧延し、復熱後の鋼片の表面温度が1
00〜400℃となるように分塊圧延後の鋼片を急水冷
した後、前記鋼片の表面温度を100℃以上に保持した
ままで表面疵を切削し、疵取り後も表面温度が100℃
以上となるように前記鋼片を温間に保持し、次いで前記
鋼片を加熱炉に装入して加熱した後で熱間圧延を行い、
得られた熱延コイルに焼鈍及び冷間圧延を施すことを特
徴とする。
【0013】この方法で製造される高Al含有フェライ
ト系ステンレス鋼は、希土類元素,Y及びアルカリ土類
金属の1種又は2種以上を合計で0.01〜0.2重量
%、Ti,V及びNbの1種又は2種以上を合計で0.
05〜1重量%,Moを0.1〜4重量%、或いはこれ
ら各グループの元素を組合せで含んでいても良い。
【0014】また、熱間圧延は、仕上げ板厚3mm以下
,熱延仕上げ温度840℃以上及び熱延コイルの巻取り
温度400℃以下の条件下で行われることが好ましい。 更に、熱延コイルに冷間圧延を施す場合には、製造され
た熱延コイルを60℃以上の温度に加熱し、コイル巻換
えライン及び連続焼鈍ラインを通板し、コイルを50℃
以上の温度に加熱した後で最初の冷間圧延を行うことが
好ましい。
【0015】
【作  用】高Al含有フェライト系ステンレス鋼の鋼
片,熱延鋼板等の靭性について調査したところ、以下の
知見を得た。■  鋼塊の割れは、500℃を下回らな
い温度に鋼塊を保持することにより回避できる。■  
鋼片の靭性は、100℃以上に鋼片を保持することによ
り良好に維持され、割れ等の欠陥が発生することが抑制
される。■  高Al含有フェライト系ステンレス鋼は
、475℃脆化を発生し易いため、この近辺の温度領域
で鋼片を保持することを避けることが必要である。■ 
 熱間圧延の仕上げ温度を高く設定し、且つ熱延後の鋼
材を400℃以下に急水冷することにより、熱延鋼帯の
靭性が改善される。また、熱延鋼帯の板厚を3mm以下
にすると、巻換え又は焼鈍ラインに通板する際の曲げ応
力を緩和することができるため、割れが抑制される。■
  熱延鋼板の靭性は、鋼板温度が60℃以上になると
向上する。また、焼鈍後の熱延鋼帯の靭性は、50℃以
上で向上する。
【0016】本発明は、これら知見を高Al含有フェラ
イトステンレス鋼帯の製造に適用したものであり、量産
ラインで従来製造することができなかった高Al含有フ
ェライト系ステンレス鋼帯を、割れの発生がなくしかも
高い歩留りで容易に製造することができるようになった
【0017】以下、本発明で使用するステンレス鋼の成
分及びその含有量を説明する。C:  耐酸化性に与え
る影響として、C含有量の増量によって異常酸化が発生
し易くなることが掲げられる。また、高Al含有フェラ
イト系ステンレス鋼では、C含有量が高くなるに従って
鋼片又は熱延鋼帯の靭性が劣化する。この点で、C含有
量の上限を0.03重量%に設定した。
【0018】Si:  Siは、フェライトマトリック
スを著しく硬質にする元素であり、靭性を劣化させる。 そこで、Si含有量は、0.5重量%以下とした。
【0019】Mn:  Mnは、熱間加工性を改善する
作用を呈するが、多量のMnを含有すると耐高温酸化特
性に悪影響が現れる。したがって、Mn含有量は少ない
ほうが良く、その上限を0.5重量%に設定した。
【0020】P:  耐高温酸化特性に悪影響を及ぼす
ため、P含有量は低いほうが好ましい。また、Pは熱延
板の靭性を低下させる原因ともなるので、P含有量を0
.04重量%以下とした。
【0021】S:  鋼中に残留するSは、希土類元素
,Y,Ca等と結合して非金属介在物となり、鋼の表面
性状を悪くする原因となる。また、耐高温酸化特性に有
効な希土類元素,Y,Ca等の有効量を低減させる。こ
の弊害は、S含有量が0.005重量%を超えるとき、
顕著に現れる。そのため、本発明においては、S含有量
の上限を0.005重量%、より好ましくは0.002
重量%とした。
【0022】Cr:  耐高温酸化特性を改善するため
に、Crは必要な基本元素である。このCr添加による
耐高温酸化特性向上の効果を得るためには、15重量%
以上のCrを含有させることが必要である。しかし、2
6重量%を超えるCrを含有させると、鋼片及び熱延鋼
帯の靭性が劣化し、製造性が悪くなる。そこで、本発明
においては、Cr含有量を15〜26重量%の範囲に設
定した。
【0023】N:  Nは、本発明で対象とする高Al
含有フェライト系ステンレス鋼の靭性を低下させ、また
鋼中のAlと結合してAlNを形成する。AlN化合物
は、異常酸化の起点となり、耐高温酸化特性を劣化させ
る。この点で、N含有量を0.03重量%以下にするこ
とが必要である。
【0024】Al:  Alは、Crと同様に本発明が
対象とするフェライト系ステンレス鋼の耐高温酸化特性
を維持する上で、重要な元素である。所定量のAlを含
有することにより、ステンレス鋼の表面にAl2 O3
 層が形成され、優れた耐高温酸化特性が付与される。 しかし、触媒担持体材料として使用される箔材料等では
異常酸化が発生し易いため、十分なAl2 O3 層を
発達させる必要がある。この点で、4重量%以上のAl
含有量を必要とする。他方、Al含有量が7重量%を超
えると、鋼片及び熱延鋼帯の靭性が劣化する。したがっ
て、本発明においては、4〜7重量%の範囲にAl含有
量を規定した。
【0025】希土類元素,Y,アルカリ土類元素:  
任意成分として添加されるこれら元素は、鋼表面に形成
されるAl2 O3 層の保護性及び密着性を著しく改
善し、箔材料に発生し易い異常酸化を抑制する。その結
果、高Al含有フェライト系ステンレス鋼の耐高温酸化
特性が向上する。このような効果は、希土類元素,Y,
アルカリ土類元素等の添加量が0.01重量%未満では
得られない。逆に、希土類元素,Y,アルカリ土類元素
等の含有量が0.2重量%を超えると、熱間加工性及び
靭性が劣化し、鋼帯に製造することが困難になる。また
、多量の非金属介在物が形成され、表面性状が悪化する
原因となる。そこで、希土類元素,Y,アルカリ土類元
素等の含有量を、1種又は2種以上の合計で0.01〜
0.2重量%の範囲に規定した。
【0026】Nb,Ti,V:  本発明が対象とする
高Al含有フェライト系ステンレス鋼に適量のNb,T
i,Vを添加させると、これら添加元素は鋼中のC及び
/又はNと結合し、靭性を著しく改善する。また、触媒
担持体として使用される場合には冷熱サイクルを受け、
担持体に熱変形が生じ易い。この用途から、担持体材料
としては高温強度に優れていることが要求される。この
高温強度改善のためにも、Nb,Ti,Vの添加は非常
に有効である。このような効果を得るためには、Nb,
Ti,Vの含有量を、1種又は2種以上の合計で0.0
5重量%以上にすることが好ましい。しかし、過剰な添
加は鋼を硬質にするため、Nb,Ti,Vの含有量の上
限を1重量%とする。
【0027】Mo:  高Al含有フェライト系ステン
レス鋼にMoを含有させると、耐高温酸化特性が改善さ
れる。また、Moの添加は、高温強度の改善にも有効で
ある。しかし、過剰にMoを含有させると、鋼が硬質な
ものとなり、靭性が低下する。したがって、Moを含有
させる場合には、その含有量を0.1〜4重量%の範囲
に設定する。
【0028】以下、製造条件について、具体的に説明す
る。高Al含有フェライト系ステンレス鋼は、鋼塊及び
鋼片の低温割れ感受性が高く、475℃脆化を生じ易い
。そのため、鋼塊及び鋼片に割れ等の欠陥が発生し、熱
間鍛造後に表面割れ又は破断が生じる原因となる。たと
えば、20Cr−5Al−0.1Laを基本成分とする
鋼500Kgを真空溶解し、種々の温度に冷却した後で
1200℃に2時間加熱して熱間鍛造を行った。その結
果、400℃まで冷却した鋼塊では、局部割れが多発し
、後続工程に鋼片を送ることができなかった。他方、冷
却終点温度が500℃以上の鋼塊は、割れ等の欠陥を発
生させることなく、良好な熱間鍛造性を示した。このこ
とから、鋼塊の冷却において、500℃以下の温度に鋼
塊が降温することを防止するとき、熱間鍛造性が良好で
、割れ等の欠陥がない鋼片が得られる。
【0029】高Al含有フェライト系ステンレス鋼の鋼
片は、靭性が低く、常温まで冷却された場合に割れを発
生し易い。また、この種の鋼片は、運搬や保管中に割れ
を起こし、製造上で大きな障害になっている。割れ発生
の原因は明確ではないが、耐高温酸化特性を向上するた
めにCr含有量及びAl含有量を多くした結果、475
℃脆化が促進されると共に微小な介在物が析出し易くな
り、この介在物が起点となって低温割れ感受性が高くな
っているものと推察される。
【0030】そこで、高Al含有フェライト系ステンレ
ス鋼の切欠き破壊靭性に付いて、種々の検討を行った。 すなわち、表1に示す成分及び含有量の鋼100Kgを
真空溶解し、鋼塊を熱間鍛造して得た鋼片から試験片を
切り出した。この試験片に幅0.3mm,深さ5mmの
スリットを入れ、所定の温度に保持されている油層の中
で押し曲げ試験を行った。そして、試験片が破断すると
きの破壊応力σF を、次の計算式に従って測定した。 測定結果を、図1に示す。
【0031】
【数1】
【0032】
【表1】
【0033】図1から明らかなように、Alを5重量%
含有する試験片Iは、3重量%のAlを含有する試験片
IIに比較して破壊応力σF が低い。しかし、試験片
Iも、試験温度が100℃を超える雰囲気では押し曲げ
破壊応力σF が著しく大きく、靭性の向上が図られて
いることが判る。同様に、試験片IIでは、試験温度が
100℃を超えると押し曲げ破壊応力σF が著しく向
上している。このことから、運搬や保持時等の割れは、
鋼片を100℃以上の温度に保持することによって回避
できる。
【0034】元来、Al含有フェライト系ステンレス鋼
は、熱延鋼帯としても靭性が良好でない。そのため、熱
延コイルの巻換えや冷間圧延によって鋼帯に割れが発生
し易く、製造上でのトラブル発生の原因となっていた。 そこで、熱延鋼帯の靭性に及ぼす熱延条件の影響につい
て検討した。
【0035】20Cr−5Al−0.1Ti−0.1L
aを基本組成とする鋼を熱間鍛造した後、1200℃に
加熱し、熱間圧延を施した。熱間圧延の仕上げ温度が与
える影響を調べるため、種々の仕上げ温度で熱間圧延を
行い、475℃脆化を避けるために400℃以下の温度
で巻き取った。また、熱延仕上げ板厚を3mm以下にし
た。熱延コイルを巻き取る段階では、475℃脆化を避
けるため、急水冷を行った。得られた熱延鋼帯に付いて
曲げ試験及び硬さ測定を行った結果を、図2に示す。
【0036】図2から明らかなように、仕上げ温度を高
くすることによって、曲げ性の上昇と共に鋼帯の軟質化
が行われていることが判る。特に、熱延仕上げ温度を8
40℃以上にすると、ほぼ180度の曲げが可能となり
、曲げ性が非常に良くなっている。曲げ性向上の理由は
明らかでないが、熱延仕上げ温度が低いと歪みの蓄積が
大きくなり、熱間圧延により加工硬化するものと考えら
れる。そして、熱延後の急水冷によって歪みが凍結され
、後続工程で受ける曲げ等に対して表面曲げ応力を増大
させ、割れ発生の原因になっているものと推察される。 この点から、熱延鋼帯の板厚は、薄い方が曲げ応力を緩
和することができるため、できるだけ薄くすることが好
ましい。種々の実験及び検討の結果、熱延仕上げ温度を
840℃以上にできれば、板厚が3mm以下であると曲
げ加工に対して非常に有利な材料となり、割れを低減で
きることが判った。
【0037】次いで、熱延仕上げ温度が840℃であっ
た熱延鋼帯について、試験温度が衝撃靭性に及ぼす影響
を調べた。衝撃靭性は、圧延方向と衝撃方向が一致する
ように設定したシャルピー衝撃試験で測定した。測定結
果を、図3に示す。
【0038】図3から、試験温度が60℃以上になると
、衝撃値が上昇していることが判る。高Al含有フェラ
イト系ステンレス鋼は、一般的に熱延鋼帯の衝撃値が低
いため、熱延コイルの巻換え時や連続焼鈍ラインに通板
させるときに破断が発生し易く、製造上での大きな問題
になっている。この点、通板前に熱延コイルを予め60
℃以上に加熱しておくことにより、靭性が良好であるこ
とから破断を防止することが可能である。
【0039】また、高Al含有フェライト系ステンレス
鋼の熱延鋼帯は、低温割れ感受性が高いため、冷間圧延
によって破断を生じ易いことが製造上の問題となってい
る。そこで、図3の実験で使用した熱延鋼帯を焼鈍した
後、衝撃靭性を調べた。その結果を、図4に示す。この
結果から、温度を50℃以上とすることにより、鋼帯の
靭性が改善され、冷間圧延時に破断することなく通板で
きることが判る。
【0040】
【実施例】以下、実施例により、本発明を具体的に説明
する。実施例1:C:0.008重量%,Si:0.2
3重量%,Mn:0.21重量%,P:0.022重量
%,S:0.002重量%,Cr:20.43重量%,
Al:5.14重量%,N:0.009重量%及びLa
:0.09重量%の組成をもつ鋼を、45トン電気炉で
溶解した。溶解した鋼を鋼塊に鋳造した後、鋳型から型
抜きした鋼塊を冷却されないように保温ボックスの中で
保持した。保温ボックス内における鋼塊の保持は、分塊
圧延用の加熱炉に鋼塊が装入されるまで継続した。これ
により、590℃以上の温度で鋼塊を分塊圧延用の加熱
炉に装入することができた。
【0041】分塊圧延を終了した鋼片のうち、4本は、
熱間圧延までは保温ボックスの中で100℃以上の温度
に保持した。残りの1本は60℃に保持し、更に1本は
室温に保持した。室温に保持した鋼片は、割れが発生し
、熱間圧延を行うことができなかった。その他の鋼片に
付いては、外観上で割れを検出することはできなかった
。なお、熱間圧延の条件は、仕上げ板厚を2.5mm,
仕上げ温度を840℃以上,巻取り温度を400℃以下
とした。この熱間圧延の結果、保持温度を60℃とした
鋼片は、圧延時の局部割れを発生し、後続工程に通板す
ることができなかった。
【0042】これに対し、保持温度を100℃以上とし
た鋼片については、特に割れ及び熱間圧延上での問題は
なく、良好な熱延コイルが得られた。この熱延コイルを
70℃に加温した後、巻換えを行い、再び70℃に加温
して、焼鈍ラインに通板した。また、焼鈍後は、コイル
を60℃に加温し、冷間圧延を行った。その結果、割れ
及びその他の通板上での問題がなく、非常に良好な冷延
鋼帯が得られた。
【0043】このように、本発明に従った条件下で高A
l含有フェライト系ステンレス鋼帯を製造するとき、割
れが発生せず、良好な通板性が確保される。また、本実
施例では、分塊圧延によって鋼片を製造しているが、連
続鋳造法で鋼片を製造し、同様な条件の後続工程を経る
ことによっても、製造性良く割れのない鋼帯を製造する
ことができた。
【0044】実施例2:表2に示した組成をもつフェラ
イト系ステンレス鋼を45トン電気炉で溶製し、表3に
示した条件下で鋼帯に熱間圧延した。表3には、熱間圧
延によって発生する割れ等の欠陥を測定した結果を熱延
鋼帯の状況として、また熱延鋼帯の加工性及び靭性と共
に併せ示している。なお、熱延鋼帯の靭性は、試験温度
70℃で、圧延方向に衝撃方向を一致させたシャルピー
衝撃試験により測定した。
【0045】表3から明らかなように、本発明に従った
条件下で製造した鋼片は、良好な製造性を示し、割れ,
破断等を発生させずに通板することができた。また、熱
延鋼帯の衝撃靭性も、優れた値を示した。
【0046】
【表2】
【0047】
【表3】
【0048】また、熱間圧延が可能であった鋼について
、表4に示す条件下で巻換え作業及び焼鈍を施した後、
冷間圧延した。本発明に従って熱間圧延された鋼帯は、
巻換え,焼鈍及び冷間圧延の何れにおいても問題なく通
板することができた。これに対し、比較例では、割れ,
表面疵等の発生によって、鋼帯を後続工程に通板するこ
とができなかった。
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明によると
き、従来では製造しにくかった高Al含有フェライト系
ステンレス鋼を、鋼片,熱延鋼帯等の割れを発生させず
に、良好な通板特性で鋼帯に製造することが可能となる
。そして、歩留り及び作業性が改善され、各種耐熱用途
に適した材料が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】  鋼片の破壊応力に及ぼす鋼片保持温度の影
響を示したグラフ
【図2】  20Cr−5Al−0.1Ti−0.1L
aの基本組成をもつ熱延鋼帯の曲げ性及び表面硬さに及
ぼす熱延仕上げ温度の影響を表したグラフ
【図3】  
熱延後の鋼帯のシャルピー衝撃値に及ぼす試験温度の影
響を表したグラフ
【図4】  熱延鋼板を焼鈍した後のシャルピー衝撃値
に及ぼす試験温度の影響を表したグラフ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  C:0.03重量%以下,Si:0.
    5重量%以下,Mn:0.5重量%以下,P:0.04
    重量%以下,S:0.005重量%以下,Cr15〜2
    6重量%,Al:4〜7重量%及びN:0.03重量%
    以下を含有する高Al含有フェライト系ステンレス鋼を
    溶解し、鋳型から型抜きした鋼塊を500℃以上の温度
    に保持し、前記鋼塊を分塊圧延し、復熱後の鋼片の表面
    温度が100〜400℃となるように分塊圧延後の鋼片
    を急水冷した後、前記鋼片の表面温度を100℃以上に
    保持したままで表面疵を切削し、疵取り後も表面温度が
    100℃以上となるように前記鋼片を温間に保持し、次
    いで前記鋼片を加熱炉に装入して加熱した後で熱間圧延
    を行い、得られた熱延コイルに焼鈍及び冷間圧延を施す
    ことを特徴とする高Al含有フェライト系ステンレス鋼
    帯の製造方法。
  2. 【請求項2】  請求項1記載の高Al含有フェライト
    系ステンレス鋼が希土類元素,Y及びアルカリ土類金属
    の1種又は2種以上を合計で0.01〜0.2重量%含
    むことを特徴とする高Al含有フェライト系ステンレス
    鋼帯の製造方法。
  3. 【請求項3】  請求項1記載の高Al含有フェライト
    系ステンレス鋼がTi,V及びNbの1種又は2種以上
    を合計で0.05〜1重量%含むことを特徴とする高A
    l含有フェライト系ステンレス鋼帯の製造方法。
  4. 【請求項4】  請求項1記載の高Al含有フェライト
    系ステンレス鋼がMoを0.1〜4重量%含むことを特
    徴とする高Al含有フェライト系ステンレス鋼帯の製造
    方法。
  5. 【請求項5】  請求項1記載の熱間圧延は、仕上げ板
    厚3mm以下,熱延仕上げ温度840℃以上及び熱延コ
    イルの巻取り温度400℃以下の条件下で行われること
    を特徴とする高Al含有フェライト系ステンレス鋼帯の
    製造方法。
  6. 【請求項6】  請求項1又は5の何れかによって製造
    された熱延コイルを60℃以上の温度に加熱し、コイル
    巻換えライン及び連続焼鈍ラインを通板し、コイルを5
    0℃以上の温度に加熱した後で最初の冷間圧延を行うこ
    とを特徴とする高Al含有フェライト系ステンレス鋼帯
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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