JPH0820847A - 高Al含有フェライト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

高Al含有フェライト系ステンレス鋼の製造方法

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JPH0820847A
JPH0820847A JP17766994A JP17766994A JPH0820847A JP H0820847 A JPH0820847 A JP H0820847A JP 17766994 A JP17766994 A JP 17766994A JP 17766994 A JP17766994 A JP 17766994A JP H0820847 A JPH0820847 A JP H0820847A
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Yoshihiro Uematsu
美博 植松
Naoto Hiramatsu
直人 平松
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
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Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 歩留まり低下をもたらす割れの発生を抑え、
高Al含有フェライト系ステンレス鋼を分塊圧延する。 【構成】 Cr:15〜26%,Al:4〜7%を含む
高Al含有フェライト系ステンレス鋼を、鋳造開始時の
溶鋼温度を1565〜1585℃の範囲に維持してイン
ゴットに鋳造し、鋳造後に鋳型から抜き出したインゴッ
トの表面温度が550℃以下の温度になる前に均熱炉に
装入し、次いで分塊圧延する。 【効果】 鋳造時の割れや肌荒れ,分塊圧延時の割れ等
の欠陥発生を防止し、健全な表面をもつ熱延用鋼片が高
い歩留まりで得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ストーブのチムニー,
自動車の排ガス浄化装置,電熱線等の耐熱用途に供され
る高Al含有フェライト系ステンレス鋼を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】高Al含有フェライト系ステンレス鋼
は、優れた耐高温酸化特性を活かして、ストーブのチム
ニーを始めとする各種耐熱用途に使用されている。ま
た、電気抵抗値が高いことを利用し、各種ヒータの電熱
線としても使用されている。最近では、自動車排ガス浄
化装置の触媒担持体用材料として、高Al含有フェライ
ト系ステンレス鋼が使用されるようになってきている。
従来の触媒コンバータ用基材としてのセラミックスは、
熱衝撃に弱く、また熱容量が大きいため触媒反応温度ま
で昇温するのに時間がかかる等の欠陥がある。これに対
し、高Al含有フェライト系ステンレス鋼等の金属を基
材とするメタリックコンバータでは、これらセラミック
スに起因する欠陥を改善することができる。
【0003】メタリックコンバータ用基材には、板厚5
0μm程度の箔材料が使用される。この箔材料は、過酷
な酸化雰囲気に晒されるため、非常に優れた耐高温酸化
特性が要求される。この点で、高Al含有フェライト系
ステンレス鋼は、メタリックコンバータ用基材に適した
材料である。高Al含有フェライト系ステンレス鋼の優
れた耐高温酸化特性は、表層に形成されるAl23
により確保される。しかし、薄肉の箔材料になるほど、
単位面積当りに供給されるAlの量が少なくなり、不完
全なAl23 層が形成され、異常酸化が発生し易くな
る。異常酸化を抑制するためには、従来よりも更に多量
のAlを含有するフェライト系ステンレス鋼を使用する
ことが必要になる。従来は、3重量%程度のAlを含有
するフェライト系ステンレス鋼がメタリックコンバータ
用基材として使用されていた。しかし、排ガス規制の強
化,エンジンの高出力化等から、Al含有量が3重量%
程度のフェライト系ステンレス鋼では使用環境に耐えら
れないものになってきている。そのため、Al含有量を
たとえば5重量%程度に増量することにより、耐高温酸
化特性を改善する試みが行われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この種のフェライト系
ステンレス鋼は、Al含有量が多くなるに従って鋼片或
いは熱延鋼帯の靭性が低下する。この靭性の低下は、A
l含有量を5重量%程度まで増量すると顕著に現れ、所
定形状の箔材料を製造することが困難となり、歩留りも
低下する。また、熱延コイルの巻換え作業の際に割れ等
のトラブルが発生し易い。高Al含有フェライト系ステ
ンレス鋼の製造上の問題を掲げると、次のようなものが
ある。 鋼塊を室温まで冷却する段階で、鋼塊に割れが発生
し易く、また475℃脆化が生じる。 分塊圧延後又は連続鋳造後の鋼片の割れ感受性が高
く、また疵取り又は熱間圧延工程まで鋼片を室温に保持
しておくときにも割れが発生し易い。 熱延鋼帯の靭性が低いため、巻換え或いは連続焼鈍
ラインへの通板等の際に割れが発生し易い。
【0005】耐高温酸化性を改善するためにYや希土類
金属を添加することがあるが、このような高Al含有鋼
になると割れ感受性が著しく高くなる。特に鋳造の際に
インゴット表面に割れが発生しやすく、分塊圧延の際に
も鋼片表面に深い割れが多発する。鋳片の疵取りによっ
て割れを除去できるが、研削量が多くなることから歩留
まり低下の原因となる。非常に深い割れは、研削によっ
て除去できず、製造工程を中止せざるをえない事態も生
じる。そこで、本出願人は、Al含有量及びTi含有量
との関係で熱間仕上げ温度を特定することにより、割れ
発生のない熱延方法を開発し、その一部を特願昭62−
211471号(特開昭64−56822号)として出
願した。この方法によるとき、熱延時の加工硬化及び4
75℃脆化が防止される。その結果、後続工程における
曲げ加工時に発生する表面応力が低下することにより、
割れ等の発生が抑制されるものと推察される。
【0006】また、特開平3−53025号公報では、
熱間圧延温度域でフェライト単相となるように成分調整
されたステンレス鋼を、希土類元素含有量との関係で特
定される圧下率で熱延すると共に、熱延後の鋼帯を急冷
することが提案されている。この方法においては、大圧
下率の熱延で高密度に集積された転位が熱延終了時まで
再配列し、微細なサブグレインが形成され、その後の急
冷によって常温まで維持され微細組織となることによ
り、靭性の改善が行われるとされている。
【0007】これらの方法によるも、依然として割れ等
の欠陥が発生し易く、量産ラインで高Al含有フェライ
ト系ステンレス鋼を歩留り良く製造することは困難であ
った。熱延段階の割れは、分塊圧延から熱延工程に至る
鋼材の温度条件をコントロールすることにより抑制でき
る。この点、本発明者等は、各段階における鋼材の温度
条件を規定して熱延コイルを製造する方法を特願平3−
165018号で提案した。しかし、インゴット鋳造及
び分塊圧延工程で発生する割れに対しては、依然として
効果的な対策が提案されていない。本発明は、このよう
な問題を解消すべく案出されたものであり、インゴット
鋳造及び分塊圧延工程における鋼材の温度条件をコント
ロールすることにより、割れ発生や通板不可能等の状態
を招くことなく高い歩留りで耐高温特性に優れた高Al
含有フェライト系ステンレス鋼の熱延用鋼片を得ること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の製造方法は、そ
の目的を達成するため、C:0.03重量%以下,S
i:0.5重量%以下,Mn:0.5重量%以下,P:
0.04重量%以下,S:0.005重量%以下,C
r:15〜26重量%,Al:4〜7重量%及びN:
0.03重量%以下を含み、更に希土類金属,アルカリ
土類金属及びYの1種又は2種以上を合計で0.01〜
0.2重量%含む高Al含有フェライト系ステンレス鋼
を、鋳造開始時の溶鋼温度を1565〜1585℃の範
囲に維持してインゴットに鋳造し、鋳造後に鋳型から抜
き出したインゴットの表面温度が550℃以下の温度に
なる前に均熱炉に装入し、次いで分塊圧延することを特
徴とする。高Al含有フェライト系ステンレス鋼として
は、更にTi,Nb及びVの1種又は2種以上を合計で
0.03〜1重量%及び/又はMo:0.1〜4重量%
含む鋼材を使用してもよい。
【0009】
【作用】本発明者等は、高Al含有フェライト系ステン
レス鋼の鋳片及び熱延鋼板の靭性について、鋳造及び分
塊圧延が及ぼす影響を調査した。その結果、次の知見を
得た。 ・ インゴットの性状は、鋳造開始時の溶鋼温度に大き
く影響され、低過ぎる温度では肌荒れが生じ、高すぎる
温度では湯差しに起因した拘束割れが発生する。この
点、鋳造開始時の温度を1565〜1585℃の範囲に
維持してインゴット鋳造すると、型抜き時に顕著な割れ
の発生していないインゴットが得られる。 ・ 型抜き後の冷却過程で生じるインゴットの割れは、
インゴット表面が550℃以下にならないように温度管
理することにより防止できる。表面温度が550℃以上
に保たれたインゴットは、脆化することなく、運搬中、
更には熱延中の割れが防止される。
【0010】本発明は、このような知見をベースにして
成分・組成が特定された高Al含有フェライト系ステン
レス鋼の製造プロセスを確立したものである。以下、本
発明に従ったステンレス鋼に含まれる合金元素及びその
含有量等について説明する。 C:0.03重量%以下 耐酸化性に与える影響として、C含有量の増量によって
異常酸化が発生し易くなることが掲げられる。また、高
Al含有フェライト系ステンレス鋼では、C含有量が高
くなるに従って鋼片又は熱延鋼帯の靭性が劣化する。こ
の点で、C含有量の上限を0.03重量%に設定した。 Si:0.5重量%以下 Siは、フェライトマトリックスを著しく硬質にする元
素であり、靭性を劣化させる。そこで、Si含有量は、
0.5重量%以下とした。
【0011】Mn:0.5重量%以下 Mnは、熱間加工性を改善する作用を呈するが、多量の
Mnを含有すると耐高温酸化特性に悪影響が現れる。し
たがって、Mn含有量は少ない方が良く、その上限を
0.5重量%に設定した。 P:0.04重量%以下 耐高温酸化特性に悪影響を及ぼすため、P含有量は低い
ほうが好ましい。また、Pは熱延板の靭性を低下させる
原因ともなるので、P含有量を0.04重量%以下とし
た。
【0012】S:0.005重量%以下 鋼中に残留するSは、希土類元素,Y,Ca等と結合し
て非金属介在物となり、鋼の表面性状を悪くする。ま
た、耐高温酸化特性に有効な希土類元素,Y,Ca等の
有効量を低減させる。この弊害は、S含有量が0.00
5重量%を超えるとき、顕著に現れる。そのため、本発
明においては、S含有量の上限を0.005重量%、よ
り好ましくは0.002重量%とした。 Cr:15〜26重量% 耐高温酸化特性を改善するために必要な基本元素であ
る。Cr添加による耐高温酸化特性向上の効果を得るた
めには、15重量%以上のCrを含有させることが必要
である。しかし、26重量%を超えるCrを含有させる
と、鋼片及び熱延鋼帯の靭性が劣化し、製造性が悪くな
る。
【0013】Al:4〜7重量% Crと同様に本発明が対象とするフェライト系ステンレ
ス鋼の耐高温酸化特性を維持する上で、重要な元素であ
る。所定量のAlを含有することにより、ステンレス鋼
の表面にAl23 層が形成され、優れた耐高温酸化特
性が付与される。触媒担持体材料として使用される箔材
料等では異常酸化が発生し易いため、十分なAl23
層を発達させる必要がある。この点で、4重量%以上の
Al含有量を必要とする。他方、Al含有量が7重量%
を超えると、鋼片及び熱延鋼帯の靭性が劣化する。 N:0.03重量%以下 Nは、本発明で対象とする高Al含有フェライト系ステ
ンレス鋼の靭性を低下させ、また鋼中のAlと結合して
AlNを形成する。AlN化合物は、異常酸化の起点と
なり、耐高温酸化特性を劣化させる。この点で、N含有
量を0.03重量%以下にすることが必要である。
【0014】REM,アルカリ土類金属及びY:合計で
0.01〜0.2重量% 鋼表面に形成されるAl23 層の保護性及び密着性を
著しく改善し、箔材料に発生し易い異常酸化を抑制す
る。その結果、高Al含有フェライト系ステンレス鋼の
耐高温酸化特性が向上する。このような効果は、希土類
元素,Y,アルカリ土類元素等の添加量が0.01重量
%未満では得られない。逆に、希土類元素,Y,アルカ
リ土類元素等の含有量が0.2重量%を超えると、熱間
加工性及び靭性が劣化し、鋼帯に製造することが困難に
なる。また、多量の非金属介在物が形成され、表面性状
が悪化する原因となる。
【0015】Ti,Nb及びV:合計で0.03〜1重
量% 任意成分として添加されるこれら元素は、本発明が対象
とする高Al含有フェライト系ステンレス鋼に適量添加
されると、鋼中のC及び/又はNと結合し、靭性を著し
く改善する。また、触媒担持体として使用される場合に
は冷熱サイクルを受け、担持体に熱変形が生じ易い。こ
の用途から、担持体材料としては高温強度に優れている
ことが要求される。高温強度改善のためにも、Nb,T
i,Vの添加は非常に有効である。このような効果を得
るためには、Nb,Ti,Vの含有量を、1種又は2種
以上の合計で0.03重量%以上にすることが好まし
い。しかし、過剰な添加は鋼を硬質にするため、Nb,
Ti,Vの含有量の上限を1重量%とする。
【0016】Mo:0.1〜4重量% 高Al含有フェライト系ステンレス鋼にMoを含有させ
ると、耐高温酸化特性が改善される。また、Moの添加
は、高温強度の改善にも有効である。しかし、過剰にM
oを含有させると、鋼が硬質なものとなり、靭性が低下
する。したがって、Moを含有させる場合には、その含
有量を0.1〜4重量%の範囲に設定する。
【0017】鋳造開始時の温度:1565〜1585℃ 本発明が対象とする高Al含有フェライト系ステンレス
鋼は、耐高温酸化性を改善するために多量のCr及びA
lを含有させ、更にY又はREMを添加していることか
ら割れ感受性が高くなっている。そのため、鋳造時に受
ける応力集中等に起因して、インゴットに割れが発生し
やすくなる。たとえば、鋳造時の溶鋼温度が高いと、鋳
型表面の傷や凹部に湯差しが生じ、この部分が滑らずに
拘束されて割れる熱間拘束割れが発生する。逆に低過ぎ
る溶鋼温度では、鋳造時にノズルの閉塞が生じやすく、
鋳造速度が遅くなることから肌荒れが生じる。肌荒れ
は、後続する分塊圧延や熱間圧延において応力を集中さ
せ、割れを発生させる原因となる。このような割れ又は
割れ発生原因は、鋳造開始時に溶鋼を1565〜158
5℃の温度範囲に維持することにより回避できる。
【0018】分塊圧延に至るまでのインゴットの表面温
度:550℃以下 高Al含有フェライト系ステンレス鋼は、分塊圧延時に
生じやすい表面割れが製造上での大きな障害となる。表
面割れの発生原因は詳細に解明されていないものの、耐
高温酸化性を改善するために多量のCr及びAlを含有
させ、更にY又はREMを添加したフェライト系ステン
レス鋼では割れ感受性が高くなっていることにある。そ
のため、インゴットを冷却している過程で介在物又はイ
ンゴットの欠陥を起点として割れが誘発され、この割れ
が分塊圧延時に顕著な割れに至るものと推察される。
【0019】この推察を前提とし、高Al含有フェライ
ト系ステンレス鋼の中間温度領域における脆性を調査・
研究した。その結果、高Al含有フェライト系ステンレ
ス鋼では、475℃付近の温度領域においても脆化が問
題となることを見出した。475℃脆化は、フェライト
単相鋼で問題となるもので、475℃付近を徐冷された
とき室温で脆化する現象である。しかし、多量のCr及
びAlを含むフェライト系ステンレス鋼では、室温での
脆化だけではなく、475℃付近においても脆化するも
のと考えられる。本発明にあっては、この中間温度領域
における脆化を避けるため、分塊圧延に至るまで550
℃以上の温度にインゴットの表面を維持する。これによ
って割れのないインゴットが分塊圧延に供され、分塊圧
延によって顕著な割れに至ることがなくなる。
【0020】
【実施例】
実施例1:成分・組成を表1に示した20Cr−5Al
−0.1Ti−0.1REMを基本成分とする溶鋼を1
0トン電気炉で溶製し、所定溶鋼温度でインゴットに鋳
造した。型抜き後、インゴットを所定温度まで放置・冷
却し、均熱炉を経て分塊圧延した。表2は、このときの
溶鋼温度及びインゴットの冷却温度を示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】インゴットは、鋳造終了後に数時間にわた
って静止した後、型抜きされた。サンプルA〜Cは、型
抜き時点ですでに表面に横方向の割れを生じていた。こ
の割れは、鋳造時の温度が高いことから、熱間拘束割れ
が原因であるものと考えられる。逆に鋳造温度が低いサ
ンプルDでは、鋳造時の注入流が細くなり、鋳造に7分
程度を必要とした。なお、A〜Cの鋳造時間は、4分程
度であった。得られたサンプルDの表面を型抜き後に観
察したところ、著しい肌荒れを生じていた。このことか
ら、鋳造開始時に溶鋼温度が適性範囲にないとき、分塊
圧延で良好なインゴットが得られないことがサンプルA
〜Dから確認される。他方、溶鋼温度が本発明で規定し
た1565〜1585℃の範囲にある溶鋼から得られた
サンプルE〜Hのインゴットは、型抜き後も顕著な割れ
や肌荒れが観察されなかった。サンプルE〜Hの各イン
ゴットを所定温度まで放冷した後、分塊圧延した。この
とき、各インゴットに対する冷却条件を、表2に示すよ
うに400〜575℃の範囲で選定した。
【0024】冷却後のインゴットを分塊圧延用均熱炉に
装入し、1100℃で4時間均熱処理した後、分塊圧延
した。その結果、550℃より低い温度に冷却されたサ
ンプルE〜Gでは、分塊圧延によってインゴット表面に
割れが発生し、研削によっても除去できない部分があっ
た。これは、鋳造材の延性が著しく低下し、伸び及び絞
りがほとんどない状態になることに原因がある。その結
果、鋳造で生じた欠陥や介在物を起点として、熱歪み又
は輸送中にインゴットに加わる応力等によって、分塊圧
延において顕著な割れに至る割れが発生するものと推察
される。これに対し、冷却温度が575℃であったサン
プルHのインゴットでは、分塊圧延においても表面割れ
が発生せず、高い歩留まりで表面疵取りを行うことがで
きた。以上の結果から、鋳造開始時の溶鋼温度を156
5〜1585℃の範囲に維持してインゴットに鋳造し、
インゴットが550℃に冷却されるまでに均熱炉を経て
分塊圧延すると、表面割れのない健全な分塊鋼片が得ら
れることが判った。
【0025】実施例2:表3に示す成分・組成をもつフ
ェライト系ステンレス鋼100kgを真空溶解し、イン
ゴットから直径10mmの引張り試験用試験片を作成し
た。
【0026】
【表3】
【0027】試験片を800℃に再加熱した後、200
〜575℃の範囲にある所定の試験温度まで12℃/時
の速度で冷却し、試験温度に15分間保持した。この試
験片に引張り試験を行った。なお、歪み速度は、3mm
/分に設定した。試験結果を、それぞれの試験温度にお
ける絞り及び伸びとして図1に示す。図1から明らかな
ように、450〜550℃の間にある試験温度では、絞
り及び伸びをほとんど示されていない。試験温度が55
0℃以上になると、絞り及び伸びが著しく改善され、絞
りが70%,伸びが35%を示すようになる。また、低
温側の試験温度でも、400℃以下になると絞り及び伸
びが徐々に改善される傾向が示されている。この絞り及
び伸びに与える試験温度の影響から、実施例1で説明し
た分塊圧延までにインゴットの表面温度を550℃以上
に維持することに重要な意義があることが判る。
【0028】実施例3:表4に示す成分・組成のステン
レス鋼を10トン電気炉で溶製し、表5に示す鋳造温度
でインゴット鋳造した。
【0029】
【表4】
【0030】
【表5】
【0031】鋳造開始時の溶鋼温度が1558℃と低い
試験番号9では肌荒れが著しく、逆に溶鋼温度が160
2℃と高い試験番号10では熱間拘束割れと推察される
横方向の表面割れがインゴットに発生していた。そのた
め、何れのインゴットも分塊圧延に供することはできな
かった。本発明で規定した1565〜585℃の温度範
囲に鋳造開始時の溶鋼温度を維持した試験番号1〜8及
び11〜14では、型抜き後にインゴットの表面を観察
したところ、顕著な割れ及び肌荒れが検出されず、何れ
も健全な表面をもつインゴットであった。これらインゴ
ットをそれぞれ冷却した後、均熱炉に装入した。表5に
示した冷却温度は、このときに均熱炉に装入する前のイ
ンゴットの温度である。
【0032】550℃以上の温度で均熱炉に装入した試
験番号1〜8のインゴットは、分塊圧延においても割れ
を発生することがなかった。他方、冷却温度が550℃
以下になった試験番号11〜14のインゴットを分塊圧
延すると、表面割れが発生した。その結果、疵取り研削
量を多くする必要が生じ、歩留まりが低下した。また、
一部には深い表面割れが発生したものもあり、このよう
な分塊鋼片は熱延に供することができなかった。
【0033】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、鋳造開始時の溶鋼温度及び分塊圧延にいたるスラブ
の表面温度を制御することにより、高Al含有フェライ
ト系ステンレス鋼の鋳造時や分塊圧延時に発生しがちな
割れや肌荒れを防止し、健全な表面をもつ熱延用鋼片を
得ている。その結果、脆化の問題から従来製造が困難で
あった高Al含有フェライト系ステンレス鋼の製造歩留
まりを著しく高めることができ、耐熱用,耐高温酸化用
等に適した鋼材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例2で使用した鋼片の絞り及び
伸びを試験温度との関係で表したグラフ

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.03重量%以下,Si:0.5
    重量%以下,Mn:0.5重量%以下,P:0.04重
    量%以下,S:0.005重量%以下,Cr:15〜2
    6重量%,Al:4〜7重量%及びN:0.03重量%
    以下を含み、更に希土類金属,アルカリ土類金属及びY
    の1種又は2種以上を合計で0.01〜0.2重量%含
    む高Al含有フェライト系ステンレス鋼を、鋳造開始時
    の溶鋼温度を1565〜1585℃の範囲に維持してイ
    ンゴットに鋳造し、鋳造後に鋳型から抜き出したインゴ
    ットの表面温度が550℃以下の温度になる前に均熱炉
    に装入し、次いで分塊圧延することを特徴とする高Al
    含有フェライト系ステンレス鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の高Al含有フェライト系
    ステンレス鋼として更にTi,Nb及びVの1種又は2
    種以上を合計で0.03〜1重量%含む鋼材を使用する
    高Al含有フェライト系ステンレス鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の高Al含有フェライト系
    ステンレス鋼として更にMo:0.1〜4重量%含む鋼
    材を使用する高Al含有フェライト系ステンレス鋼の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の高Al含有フェライト系
    ステンレス鋼として更にTi,Nb及びVの1種又は2
    種以上を合計で0.03〜1重量%とMo:0.1〜4
    重量%とを含む鋼材を使用する高Al含有フェライト系
    ステンレス鋼の製造方法。
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