JPH04353458A

JPH04353458A - インクジェットヘッド

Info

Publication number: JPH04353458A
Application number: JP12943891A
Authority: JP
Inventors: Yoshinori Bessho; 別所　芳則
Original assignee: Brother Industries Ltd
Current assignee: Brother Industries Ltd
Priority date: 1991-05-31
Filing date: 1991-05-31
Publication date: 1992-12-08

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、電気エネルギ−によっ
てオリフィスを有するインク液室の体積を変化させその
体積変化に比例した量のインク液適をオリフィスより吐
出させ、記録紙に記録させるインクジェットヘッドに関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来、通電に伴う発熱を利用してインク
液室の体積変化を生じさせる方法には例えば特開昭６１
−２５２１７２号公報があった。図１２を用いて簡単に
説明すると、金属１をエッチングによって溝加工したと
ころ所に、金属１とは熱膨長係数の異なる金属２を蒸着
しバイメタル構造とする。さらにその上に絶縁体３、発
熱体４及び電極５を設け、インク液室の上蓋とする。発
熱体４に図４に示すパルス電流を加えると、通電状態で
は、抵抗体の発熱により上記金属厚膜はバイメタルとな
ってインク液室上蓋にたわみを与える。その結果インク
液室の体積は増加しインクを吸入する。通電を切ると、
金属厚膜は急速に元の状態に戻るため吸入したインクを
吐出する。この過程を繰り返すことにより、記録紙に印
字させるものであった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うなバイメタル方式では発熱体によって発生した熱エネ
ルギ−は２層の金属、特に金属１の層全面に散逸するた
め、所望の量だけたわませるには膨大な熱エネルギ−を
必要とし、甚だエネルギ−効率が悪かった。また蓋板製
造プロセスも金属１基板のパタンニング、エッチング、
及び金属２、絶縁体３、発熱体４、電極５、保護膜の蒸
着と多工程に及んだ。

【０００４】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、発熱体によって供給された熱エ
ネルギ−を無駄なく効率的に蓋板の湾曲振動に使用し、
また蓋板製造プロセスも少ない工程で済む製造方法が簡
単なインクジェットヘッドを提供するものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に本発明のインクジェットヘッドは、電気エネルギ−を
熱エネルギ−に変換するための複数の薄膜抵抗体と、該
熱エネルギ−の不均一伝搬に伴う熱弾性曲げ効果によっ
て部分的に湾曲する薄板状絶縁体よりなる蓋板と、複数
のインク流露パタン及び複数の液室パタンが形成された
ベ−ス基板とを備えている。

【０００６】

【作用】上記の構成を有する本発明のインクジェットヘ
ッドに於て、薄膜抵抗は電気エネルギ−を熱エネルギ−
に変換し、薄板状絶縁体よりなる蓋板に上面に熱エネル
ギ−を与える。上面に熱エネルギ−を与えれた蓋板内部
には微小時間の間温度勾配ができ、その結果、熱弾性曲
げ効果が発生し蓋板が上方に微小量湾曲する。熱エネル
ギ−が蓋板全面に拡散すると今度は半径方向に熱膨張す
るが、周辺が拘束されているのでさらに上方に湾曲する
。蓋板が上方に湾曲するとインク液室の体積が増加しイ
ンクを吸い込む。電気エネルギ−を切ると、蓋板内の熱
エネルギ−はインク液に吸収され蓋板は急速に元の状態
に戻るため、その結果、インク液室は吸ったインクを吐
出する。

【０００７】

【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。

【０００８】図１、図２及び図３に本発明の具体例を示
す。蓋板１０には、例えば５０ｍｍ×５０ｍｍ×５０μ
ｍの薄板絶縁体であるガラス板、例えばコ−ニング社製
マイクロシ−ト０２１１を用い、その上面には図２に示
すように信号を送るための配線パタン６０、熱を与える
ための薄膜抵抗体４０、及びグランドライン５０が蒸着
されている。薄膜抵抗体は、抵抗値が約２００Ωとなる
様に厚さ、幅、材料が選定されてあるが、例えば配線材
料と同じ材料、例えばアルミ材を用い線幅と膜厚を調節
して、約２００Ωとしてもよい。

【０００９】この蓋板１０は、図３に示す様に、インク
液流路２２及びインク液室パタン２４がエッチング加工
により設けられた例えばステンレスＳＵＳ３０４からな
るベ−ス基板２０とエポキシ等により密着固定され、図
１に示すようなインクジェットヘッドに組上げられる。この時、薄膜抵抗体４０はインク液室２４の真上にくる
ように配置され、インク液室２４はインク流入部とオリ
フィス３０へのインク流出部を除いて完全に密閉された
小室を形成している。

【００１０】いま、このインク液室２４、蓋板１０、及
び薄膜抵抗体４０よりなるインクジェットヘッドユニッ
ト（以下、ヘッドユニットと略す。）に図５に示すパル
ス波形（電圧１０Ｖ，周波数１０ＫＨＺ、デュ−ティ比
９：１）を加えると、１０μｓの間、蓋板上面では薄膜
抵抗の５μＪの発熱があるが、蓋板１０は熱伝導率の小
さい（０．０２ｃａｌ／ｓｅｃ・ｃｍ・℃）絶縁体でで
きているので微小時間の間には蓋板の厚さ方向に温度分
布ができ、その結果温度曲げモ−メントＭｔが発生する
。

【００１１】この温度曲げモ−メントによる薄板の振動
については、文献Ａ　ｐｕｌｓｅｄ　ｔｈｅｒｍｏｅｌ
ａｓｔｉｃ　ａｎａｌｙｓｉｓ　ｏｆ　ｐｈｏｔｏｔｈ
ｅｒｍａｌ　ｓｕｒｆａｃｅ　ｄｉｓｐｌａｃｅｍｅｎ
ｔｓ　ｉｎ　　ｌａｙｅｒｅｄ　ｍａｔｅｒｉａｌｓ　
（Ｊ．Ａｐｐｌ．Ｐｈｙｓ．５７（９）．１９８５．ｐ
ｐ４３９６〜４４０５）に詳述されている。上記文献で
は、層状物質の剥がれ状態をレ−ザ−パルスの熱とレ−
ザ−干渉計で表層の変位として検出しているが、熱供給
源として電気エネルギ−を使うか光エネルギ−を用いる
かの違いがあるだけで、その中で取り扱われている解析
手法、解析結果はほぼ本実施例の解析に当てはめること
ができる。詳細は、記述しないが要約すると周囲が固定
された厚さｌ，半径ａの薄板円板に上面に熱が与えられ
た時のたわみ量ω０は、次式によって関係づけられる。

【００１２】

【数式１】

【００１３】つまり、薄板円板の表面にエネルギ−密度
Ｐの熱エネルギ−を与えた時の円板の湾曲量は、熱伝導
率κ，薄板の厚さｌの３乗に逆比例し、薄板のポアソン
比ν，線膨張係数ａＴ，熱エネルギ−密度Ｐ，薄板の半
径ａの２乗及び温度勾配αに起因する曲げ効果の項Ｍ（
α）に比例するのである。

【００１４】この曲げ効果の項を見積るため、厚さ１０
ｍｍ×１０ｍｍ×１．２ｍｍのガラス板中央に抵抗体と
して、５ｍｍ×１ｍｍ×５０ｎｍの薄膜抵抗を設け、そ
の抵抗に通電することによりガラス板に約０．５Ｊの熱
量を与え、その時の時間変化を見た。たわみ量の検出に
は、光ヘテロダイン干渉計を用いた。インク液室が空の
時の湾曲量カ−ブを図５にインク液室にインクを入れた
時の湾曲量カーブを図６に示す。インク液室にインクが
入っている場合の方が、はいってない場合に比べて、湾
曲量が増大し、立ち上がり、立ち下がりの勾配も急峻に
なっている。この実験結果を強調して図示したのが、図
７である。これは、インク液室内に熱を奪うインク液が
ある方が、蓋板内に大きい温度勾配を発生させ、その結
果大きな温度曲げモ−メントが発生し、より多くのイン
ク液を吸い込む事を示している。この結果より、インク
液室にインクがある時のＭ（α）は入ってない場合のＭ
（α）より約１．７５倍大きくなることが見積られる。

【００１５】この実験結果と数式１より、本発明の場合
の湾曲量を数式１のパラメ−タの相対比によって見積る
と、ガラス薄板でできたヘッドユニットのたわみ量と上
記文献のＢｅＣｕからなる薄板のたわみ量との比は、熱
伝導率κの項により２００倍，厚さｌの３乗により１５
倍，線膨張係数ａＴの項により１／２倍，与えた熱エネ
ルギ−の項によって５×１０−３倍，円板半径の２乗の
項により、１／１６倍、Ｍ（α）の項により１．７５倍
、合計して約０．８倍になる。

【００１６】文献によるたわみ量は、約０．２５μｍで
あることから本発明のヘッドユニットのたわみ量は約０
．２μｍと見積もられる。したがってインク液室は、そ
の体積増加分の約５０００ｐｌのインクを吸い込むこと
になる。そして、１０μｓ後通電が切られると、熱の供
給が絶たれ、蓋板の熱は記録媒体であるインクに奪われ
急激に蓋板は収縮し、その結果インク液室はインクをオ
リフィス側とインク供給側に吐出することになる。その
オリフィス側からの吐出量は、オリフィスへの流路の抵
抗とインク供給流路の抵抗の比できまる。実際には流路
抵抗にばらつきがあるので、印加電圧で調節し、約５μ
Ｊ程度の熱量で１００ｐｌ程度の微小量のインク液滴を
効率よく吐出するよう制御するのである。

【００１７】また、この蓋板製造工程は、インク流路，
インク液室のパタンニング及びエッチング加工、薄膜抵
抗体、配線パタンのアルミ蒸着（厚さ約５０ｎｍ）、保
護膜としてのガラス蒸着を含み、わずか４工程で済み、
製造が極めて容易であるという利点も持ち合わせている
。

【００１８】以上、本発明の一実施例を説明したが、本
発明はその他の態様にも適用できる。

【００１９】例えば、本実施例では、蓋板をベ−ス基板
上面に設置したがその変形として、インク液室をベ−ス
基板下面まで貫通させ蓋板をその下面に設置して同様の
作用をさせてもよいのである。但し、この場合はインク
流路、インク液室、オリフィスを形成するための新たな
上板７０（図８）が必要となる。この上板は、上述の薄
板絶縁体である必要はない。

【００２０】また、オリフィスを複数列にするため図９
に示す様に、ベ−ス基板の両面にオリフィス、インク流
路パタン、インク液室パタンを設け、その両面に蓋板を
貼合わせ複数列のオリフィスを有するインクジェットヘ
ッドに変形してもよい。

【００２１】また、上記文献に述べられているように、
薄板上面の局所部分に熱を与えた場合、温度勾配がｘｙ
平面内にも発生し、更に大きい曲げモ−メントが発生し
、効率よくインクを吸引するので、図１０に示すように
上述の薄膜抵抗をヘッドユニット蓋板の中央に局所的に
設け、更にエネルギ−効率をあげてもよいのである。また、本実施例では、製造工程を簡単にするため一枚の
薄板ガラス板に複数の薄膜抵抗を設けインクジェットヘ
ッド全体の蓋板としたが、液室の数だけ薄板ガラス板を
用意し、図１１に示すように各々に薄膜抵抗をもうけ、
ヘッドユニットの蓋板としてもよいのである。この場合
も、インク流路、オリフィスを形成するための図示しな
い上板が必要となる。

【００２２】最後に、薄膜抵抗体の形状は直線、曲線、
矩形など様々な変形が考えられるが、本発明の主旨を逸
脱しない範囲において、当業者は自由に最適形状が選べ
るものとする。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明のインクジェトヘッドでは、熱伝導率の小さい薄板
絶縁体をインク液室の蓋板に使用しているので、熱の散
逸が極めて少なく、またその結果熱が局所的に滞ること
による熱弾性曲げ効果がきわめて大きくなるので、エネ
ルギ−効率が大きくなるとともに、低電圧、低電流駆動
が可能になるという利点がある。

【００２４】また構造が簡単であるので、製造が極めて
容易であるという利点もある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明を適用したインクジェットヘッドの構成
図である。

【図２】本発明を適用したインクジェットヘッドの蓋板
を示す図である。

【図３】本発明を適用したインクジェットヘッドのイン
ク流路およびインク液室を持つベ−ス基板を示す図であ
る。

【図４】本発明を適用したインクジェットヘッドの薄膜
抵抗に与える電圧波形を示す図である。

【図５】インク液室が空の時の、ガラス厚板のたわみを
示す図である。

【図６】インク液室にインクが入っている時の、ガラス
厚板のたわみを示す図である。

【図７】ガラス厚板のたわみを強調した模式図である。

【図８】蓋板をベース基板下面に設置した変形例を示す
図である。

【図９】蓋板をベース基板両面に設置し、複数のオリフ
ィスを有するインクジェットヘッドとした変形例を示す
図である。

【図１０】薄膜抵抗体を局所的に配置した本発明の変形
例である。

【図１１】蓋板を別々にした場合の蓋板の形状および薄
膜抵抗パタンを示す図である。

【図１２】従来のバイモルフ型のインクジェットヘッド
の構成図である。

【符号の説明】

１０　　蓋板２０　　ベ−ス基板２２　　インク流路２４　　インク液室３０　　オリフィス４０　　薄膜抵抗体５０　　グランドライン６０　　配線パタン７０　　上板

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】　　電気エネルギ−の断続によりインク液
室の蓋板に湾曲振動を発生させ流路先端に設けられたオ
リフィスより微小液滴を吐出させ、該液滴を記録紙に記
録するインクジェットヘッドにおいて、電気エネルギ−
を熱エネルギ−に変換するための複数の薄膜抵抗と、該
熱エネルギ−の不均一伝搬に伴う熱弾性曲げ効果によっ
て部分的に湾曲する薄板状絶縁体よりなる蓋板と、複数
の流路パタンおよび複数のインク液室パタンが形成され
たベ−ス基板と、から構成される事を特徴とするインク
ジェットヘッド。