JP3840102B2 - インクジェットヘッド - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙にインク滴を所定パターンに付着させて画像を記録するインクジェットヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、記録紙に画像を形成するための記録デバイスとしてインクジェットヘッドが用いられている。
【0003】
インクジェットヘッドの記録方式には、インク滴を記録紙に向けて吐出させるのに発熱抵抗体の発する熱エネルギーを利用するものや圧電素子の変形を利用するもの、更には電磁波の照射に伴って発生する熱を利用するもの等があり、これらの中でも発熱抵抗体の熱エネルギーを利用するサーマルジェットタイプのものは、発熱抵抗体のパターニングが容易である上に、小さな面積の発熱抵抗体であっても比較的大きな熱エネルギーを発生させることができることから、高密度記録への対応に適したものとして注目されている。
【0004】
かかるサーマルジェットタイプのインクジェットヘッドとしては、例えば図4に示す如く、単結晶シリコン等から成るベースプレート21の上面に複数個の発熱抵抗体22を直線状に被着・配列させ、これら発熱抵抗体22の各一端に共通電極(図示せず)を、各他端に個別電極(図示せず)をそれぞれ接続してなるヘッド基板20上に、前記発熱抵抗体22と1対1に対応する複数個のインク吐出孔27を有する天板26を、隣接する発熱抵抗体間22−22にエポキシ樹脂等から成る隔壁部材28を介在させて載置させるとともに、前記ヘッド基板21−天板26間で、隔壁部材28の存在しない領域にインク29を充填した構造のものが知られており、記録紙を天板26の外表面に沿って搬送しながら、複数個の発熱抵抗体22に外部からの画像データに基づいて共通電極及び個別電極を介して電源電力を供給することにより発熱抵抗体22を個々に選択的にジュール発熱させ、発熱抵抗体22上のインク29中で気泡Aを発生させるとともに、該発生した気泡Aによる圧力でもって発熱抵抗体22上のインク29をインク吐出孔27側へ押し上げ、インク29の一部をインク吐出孔27より記録紙に向かって吐出させることにより所定の画像が記録される。
【0005】
また上述したインクジェットヘッドの隔壁部材28は、ヘッド基板20−天板26間の間隔を一定に保つスペーサとして機能するとともに、インク29中で発生する気泡Aからの圧力が主走査方向(発熱抵抗体22の配列方向)に分散するのを防止するためのものであり、その下面をヘッド基板20の上面に、上面を天板26の内表面にそれぞれ接着させた状態でヘッド基板21−天板26間に介在される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来のインクジェットヘッドを用いて高速で記録動作を行った場合、発熱抵抗体22は短時間で多量の熱を発生することとなり、ベースプレート21の温度は、発熱抵抗体22の直下領域のみならず、隣接する発熱抵抗体間の領域においても高温となる。
【0007】
しかしながら、上述したインクジェットヘッドのヘッド基板20に対し、隣接する発熱抵抗体間の領域で接着されている隔壁部材28はエポキシ樹脂等の熱に弱い樹脂材料により形成されていることから、この隔壁部材28にベースプレート21中の熱が多量に伝達されると、隔壁部材28が局所的に高温となって軟化・変形することがあり、インクジェットヘッドの全体構造を保持することが困難になるという欠点を有していた。
【0008】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、高速で記録動作を行う場合であっても、隔壁部材の軟化・変形を有効に防止して、全体構造を良好に保持することが可能な高信頼性のインクジェットヘッドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットヘッドは、ベースプレート、該ベースプレートの上面に主走査方向に配列される複数の発熱抵抗体、該複数の発熱抵抗体の一端に対して電気的に接続される共通電極、該複数の発熱抵抗体の他端に対して電気的に接続される個別電極、および前記ベースプレートの上面で且つ隣接する発熱抵抗体間に、該発熱抵抗体の副走査方向の両端よりも外側まで延在し、前記共通電極および前記個別電極とは別体の熱伝導性材料からなるダミーパターンを含んでなるヘッド基板と、前記ヘッド基板上に載置される天板と、前記ヘッド基板と前記天板との間に介在し、インクを充填するための領域を構成する隔壁部材と、を備えることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明のインクジェットヘッドは、前記ダミーパターンが共通電極及び/又は個別電極と同質の金属により形成されていることを特徴とするものである。
【0011】
更に本発明のインクジェットヘッドは、前記ダミーパターンがアルミニウムを主成分とする金属から成ることを特徴とするものである。
【0012】
また更に本発明のインクジェットヘッドは、前記ダミーパターンが、前記発熱抵抗体と電気的に絶縁されていることを特徴とするものである。
【0013】
更にまた本発明のインクジェットヘッドは、前記ダミーパターンが、隣接する発熱抵抗体間に、1個ずつ独立して設けられていることを特徴とするものである。
【0014】
また更に本発明のインクジェットヘッドは、前記ダミーパターンの上面の高さが、個別電極及び/又は共通電極の上面と同等の高さに位置設定されていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明のインクジェットヘッドによれば、ベースプレートの上面で、隣接する発熱抵抗体間に、発熱抵抗体よりも長さの長い金属製のダミーパターンを被着させたことから、インクジェットヘッドの記録動作を高速で行った場合にベースプレート中に蓄積される多量の熱が隣接する発熱抵抗体間の領域を介して隔壁部材に伝達しようとしても、これらの熱はダミーパターンの長手方向に素早く拡散され、十分に低い温度となってから隔壁部材に伝達されるようになる。このため、樹脂製の隔壁部材がヘッド基板からの熱によって局部的に軟化・変形することはなく、インクジェットヘッドの全体構造を良好に保持することが可能となる。
【0016】
また本発明のインクジェットヘッドによれば、上記ダミーパターンを共通電極及び/又は個別電極と同質の金属により形成するようにすれば、これらのパターンを薄膜プロセス等によって全て同時に形成することができるようになるため、インクジェットヘッドの生産性が高く維持されるようになる。
【0017】
更に本発明のインクジェットヘッドによれば、上記ダミーパターンを熱伝導性ならびに加工性に優れたアルミニウムを主成分とする金属で形成するようにすれば、先に述べた熱の拡散が極めて速やかになされ、隔壁部材の軟化・変形をより確実に防止することができる上に、隣接する発熱抵抗体間のスペースが極めて狭い場合であっても、ダミーパターンを精度良く微細加工して隣接する発熱抵抗体間の所定位置に正確に配設することができ、これによってもインクジェットヘッドの生産性が高く維持される。
【0018】
また更に本発明のインクジェットヘッドによれば、上記ダミーパターンを、発熱抵抗体と電気的に絶縁させた状態で、隣接する発熱抵抗体間に1個ずつ独立して設けておくことにより、発熱抵抗体の熱が個別電極や共通電極等を介してダミーパターンに多量に伝達しようとするのを有効に防止することができ、先に述べたダミーパターンによる放熱作用を更に高めることができる利点もある。
【0019】
更にまた本発明のインクジェットヘッドによれば、前記ダミーパターンの上面の高さを、個別電極及び/又は共通電極の上面と同等の高さ、即ち、発熱抵抗体の上面よりも上方に位置させておくことにより、その上に設けられる保護膜表面の高さも発熱抵抗体上に比しダミーパターン上で上方に位置することとなる。従って、隔壁部材をヘッド基板の上面に対して接着・固定する際、隔壁部材の下端をダミーパターン上の保護膜表面に対して良好に密着させることができ、ヘッド基板に対する隔壁部材の接着強度、並びに、接着作業の作業性を向上させることができる利点もある。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図、図2(a)は図1のインクジェットヘッドの縦断面図、図2(b)は図1のインクジェットヘッドの横断面図、図3は図1のインクジェットヘッドに使用されるヘッド基板を部分的に示す平面図であり、1はヘッド基板、8は隔壁部材、9は天板、11はインクである。
【0021】
前記ヘッド基板1は、矩形状をなすように形成されたベースプレート2の上面に、複数個の発熱抵抗体3を直線状に被着・配列させるとともに、これら発熱抵抗体3の間に金属から成るダミーパターン4を被着・形成し、前記発熱抵抗体3の各一端に共通電極5を、各他端に個別電極6をそれぞれ接続した上、これらを単一の保護膜7で被覆した構造を有している。
【0022】
前記ベースプレート2は、単結晶シリコン等の半導体材料、或いは、グレーズドアルミナセラミックス等の電気絶縁性材料によって形成されており、その上面で発熱抵抗体3やダミーパターン4,共通電極5,個別電極6,保護膜7等を支持するための支持母材として機能する。
【0023】
このようなベースプレート2は、例えば単結晶シリコンから成る場合、従来周知のチョコラルスキー法(引き上げ法)等を採用することによって単結晶シリコンのインゴット(塊)を形成し、これを所定厚みにスライスした上、外形加工することによって製作される。尚、この場合、ベースプレート2の表面には酸化シリコン(SiO2)等の電気絶縁性材料から成る絶縁膜(図示せず)が例えば1μm〜3μmの厚みに設けられ、このような絶縁膜によってベースプレート2を形成する単結晶シリコンと発熱抵抗体3等とを電気的に絶縁している。
【0024】
また前記ベースプレート2の上面に設けられている複数個の発熱抵抗体3は、例えば600dpi(dot per inch)の密度で主走査方向に直線状に配列されており、その各々がTaNやTaSiO,TaSiNO,TiSiO,TiSiCO,NbSiO等の電気抵抗材料により形成されているため、後述する共通電極5及び個別電極6を介して電源電力が供給されるとジュール発熱を起こし、インク11中で気泡Aを発生させるのに必要な所定の熱エネルギーを発生する。
【0025】
更に前記発熱抵抗体3の両端に接続される共通電極5及び個別電極6は、先に述べた発熱抵抗体3に電源電力を印加するための給電配線として機能するものであり、共通電極5はその一部が発熱抵抗体3の配列方向に帯状に配された上、発熱抵抗体3の一端側で全ての発熱抵抗体3に共通接続され、また個別電極6は発熱抵抗体3の他端側で各発熱抵抗体3に個別に接続され、発熱抵抗体3より離間する方向に導出された上、図示しないドライバーICやフレキシブル配線板等の外部電気回路と電気的に接続される。
【0026】
これらの電極5,6は、共通電極5が電源のプラス側の端子に、個別電極6が図示しないドライバーICのスイッチング素子等を介してグランド端子に電気的に接続されるようになっており、外部より供給される画像データに基づき上記スイッチング素子のオン・オフを制御することによって共通電極5と対応する個別電極6との間に電源電圧を選択的に印加する。
【0027】
尚、上述した発熱抵抗体3や共通電極5,個別電極6は、従来周知の薄膜手法、具体的には、TaN等の電気抵抗材料とアルミニウム等の金属とを従来周知のスパッタリングによってベースプレート2の上面に順次被着させ、これらをフォトリソグラフィー及びエッチング技術を採用し所定パターンに加工することによって形成される。
【0028】
そして前記ダミーパターン4は、ベースプレート2の上面で、隣接する発熱抵抗体3間に、発熱抵抗体3と電気的に絶縁された状態で、1個ずつ独立して設けられており、各々の副走査方向の両端を発熱抵抗体3の両端よりも外側まで延在させて発熱抵抗体3の長さ(副走査方向の寸法)よりも長い縦長形状に形成されている。
【0029】
これらのダミーパターン4は、共通電極5や個別電極6と同質の金属、具体的にはアルミニウム等の金属により、例えば、発熱抵抗体3の幅(主走査方向の寸法)の40%〜90%の幅寸法にて形成されており、かかるアルミニウム等は熱伝導性に優れた材料であることから、隣接する発熱抵抗体間のベースプレート2中に蓄積される熱を吸収して、これをダミーパターン4の長手方向に素早く拡散する作用を為す。
【0030】
特に、上記ダミーパターン4を熱伝導性ならびに加工性に優れたアルミニウムを主成分とする金属で形成するようにすれば、先に述べた熱の拡散が極めて速やかになされる上に、隣接する発熱抵抗体間のスペースが極めて狭い場合であっても、ダミーパターン4を精度良く微細加工して隣接する発熱抵抗体間に正確に配設することができ、インクジェットヘッドの生産性が高く維持されるようになる。従って、前記ダミーパターン4はアルミニウムを主成分とする金属で形成することが好ましい。
【0031】
また上記ダミーパターン4は、共通電極5や個別電極6と同質の金属(アルミニウム)によって形成されているため、従来周知の薄膜手法を採用することによって先に述べた共通電極5や個別電極6等と同時にパターニングすることができ、これによってもインクジェットヘッドの生産性を高く維持することができる。
【0032】
尚、この場合、前記ダミーパターン4の上面の高さは、個別電極6や共通電極5の上面と同等の高さに位置しているため、その上に設けられる保護層7の上面は、発熱抵抗体3上の領域よりもダミーパターン4上の領域で上方に位置設定されることとなる。
【0033】
更にまた前記発熱抵抗体3やダミーパターン4,電極5,6等を被覆する保護膜7は、インク11中に含まれているアルカリイオンや水分等が発熱抵抗体3や共通電極5,個別電極6等に接触してこれらを腐食したり、或いは、インク11中に含まれている染料の固まり等が発熱抵抗体3の表面に付着するのを有効に防止するためのものであり、Si3N4(窒化珪素)やSiO2(酸化珪素),SiON等の無機質材料によって例えば0.2μm〜2.0μmの厚みに形成される。
【0034】
尚、前記保護膜7は、従来周知のスパッタリングや真空蒸着法等を採用し、発熱抵抗体3やダミーパターン4,電極5,6等が被着されているベースプレート2の上面に前述の無機質材料を所定厚みに被着させることにより形成される。
【0035】
そして、上述したヘッド基板1上には、所定の形状をなすように外形加工された樹脂製の隔壁部材8と、複数個のインク吐出孔10を有する天板9とが順次、載置され、ヘッド基板1−天板9間には、隔壁部材8の存在しない領域にインク11が充填される。
【0036】
前記隔壁部材8は、隣接する発熱抵抗体間に両者を隔てるように配置される複数個の隔壁部と、発熱抵抗体3の配列領域よりも個別電極5側に発熱抵抗体3の配列に沿って帯状に配置される帯状部とで構成されており、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂等の比較的硬質の樹脂により例えば5μm〜50μmの厚みに形成され、その下面をヘッド基板1の上面(保護膜7の上面)に、上面を天板9の内表面にそれぞれ接着させた状態でヘッド基板1−天板9間に介在されている。
【0037】
この隔壁部材8は、隣接する発熱抵抗体間を隔てるように所定の厚みをもって形成されているため、ヘッド基板1−天板9間の間隔を一定に保つスペーサとして機能するとともに、インク11中で発生する気泡Aからの圧力が主走査方向(発熱抵抗体3の配列方向)に分散するのを有効に防止する作用を為し、これによって気泡生成時に発生する圧力の多くをインク滴iの吐出に寄与させるようにしている。
【0038】
またこの場合、隔壁部材8の隔壁部が接着されるヘッド基板1の上面、即ち、隣接する発熱抵抗体間の領域には、前述した如く、発熱抵抗体3の長さよりも長いダミーパターン4が設けられていることから、インクジェットヘッドの記録動作を高速で行った場合にベースプレート2中に蓄積される多量の熱が隣接する発熱抵抗体間の領域を介して隔壁部材8に伝達しようとしても、これらの熱はダミーパターン4の長手方向に素早く拡散され、十分に低い温度となってから隔壁部材8に伝達されることとなる。このため、樹脂製の隔壁部材8がヘッド基板1からの熱によって局部的に軟化・変形するといった不都合を生じることはなく、インクジェットヘッドの全体構造を良好に保持することが可能である。
【0039】
このような隔壁部材8は、例えば、従来周知の射出成形法にて形成した上、これを接着剤を介してヘッド基板1上に載置させることによってヘッド基板1に対して接着・固定したり、或いは、液状に成したエポキシ樹脂の前駆体を従来周知のスピンコート法等によってヘッド基板1の上面全体に塗布し、これを加熱・重合した後、従来周知のフォトリソグラフィーやエッチング等を採用し、所定パターンに加工することによって形成される。
【0040】
この場合、隔壁部材8が取着されるヘッド基板1の上面(保護膜7の上面)は、前述した如く、発熱抵抗体3上の領域よりもダミーパターン4上の領域で上方に位置させてあることから、隔壁部材8をヘッド基板1に対して接着・固定する際、隔壁部材8の下端をダミーパターン4上の保護膜表面に対して良好に密着させることができ、ヘッド基板1に対する隔壁部材8の接着強度、並びに、接着作業の作業性を向上させることができる利点もある。
【0041】
また一方、前記天板9は、ヘッド基板1の上面と隔壁部材8の壁面とで囲まれた領域に設けられるインク流路を塞ぐためのものであり、該天板9のインク吐出孔10は、ヘッド基板1上の発熱抵抗体3と1対1に対応するようにして設けられ、対応する発熱抵抗体3の真上に位置設定される。
【0042】
前記インク吐出孔10は、インクジェットヘッドの記録動作時、インク滴iを記録紙に向けて吐出するためのものであり、各々のインク吐出孔10の直径は10μm〜100μm程度の大きさに設定され、発熱抵抗体3と同じ密度で主走査方向に直線状に配列される。
【0043】
尚、前記天板9は、モリブデン等から成る金属製の板体、アルミナセラミックス等から成るセラミック製の板体、エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等の樹脂製の板体、或いは、上記の材料を組み合わせることによって形成され、例えばモリブデンから成る場合、モリブデンのインゴット(塊)を従来周知の金属加工法により板状に成形するとともに該板体の所定箇所に従来周知のエッチング技術等により孔あけを行ってインク吐出孔10を穿設することにより製作され、得られた天板9を隔壁部材8等を介してヘッド基板1上に載置・接着させることにより天板9がヘッド基板1上の所定位置に固定される。
【0044】
そして前記ヘッド基板1の上面、天板9の内表面及び隔壁部材8の壁面で囲まれる領域に充填されるインク11としては、例えば水性染料インク等が好適に使用され、その粘度は、例えば0.3mPa・s〜3.0mPa・s(25℃)に調整される。
【0045】
このようなインク11は、図示しないインクタンクからヘッド基板1−天板9間の間隙に供給されるようになっており、前述した発熱抵抗体3からの熱エネルギーによってインク11中に気泡Aが発生すると、該気泡発生時の圧力によってインク11の一部がインク吐出孔10よりインク滴iとなって外部に吐出される。
【0046】
かくして上述したインクジェットヘッドは、記録紙を天板9の外表面に沿ってインク吐出孔10の配列方向と直交する方向に搬送しながら、複数個の発熱抵抗体3を外部からの画像データに基づいて個々に選択的に発熱させ、この熱エネルギーによって保護膜7上のインク11中で気泡Aを発生させるとともに、該発生した気泡Aによる圧力でもってインク11をインク吐出孔10側に押し上げ、インク滴iをインク吐出孔10より記録紙に向けて吐出させることによって記録紙にインクが付着され、所定の画像が記録される。
【0047】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0048】
例えば上述の実施形態においては、隔壁部材8と天板9とを別々に形成した上、これらをヘッド基板1上に順次、載置させることによってインクジェットヘッドを組み立てるようにしたが、これに代えて、隔壁部材と天板とを同一の樹脂材料等で一体的に形成するようにしても構わない。
【0049】
また上述の実施形態においては、天板9のインク吐出孔10を対応する発熱抵抗体3の真上に位置させるようにしたが、これに代えて、インク吐出孔を発熱抵抗体の真上よりずらして配置させるようにしても良い。
【0050】
更に上述の実施形態においては、ダミーパターン4を発熱抵抗体3の幅の40%〜90%の幅寸法にて形成する場合について示したが、これに代えて、ダミーパターン4と発熱抵抗体3とを実質的に同一幅に形成するようにしても構わない。
【0051】
【発明の効果】
本発明のインクジェットヘッドによれば、ベースプレートの上面で、隣接する発熱抵抗体間に、発熱抵抗体よりも長さの長い金属製のダミーパターンを被着させたことから、インクジェットヘッドの記録動作を高速で行った場合にベースプレート中に蓄積される多量の熱が隣接する発熱抵抗体間の領域を介して隔壁部材に伝達しようとしても、これらの熱はダミーパターンの長手方向に素早く拡散され、十分に低い温度となってから隔壁部材に伝達されるようになる。このため、樹脂製の隔壁部材がヘッド基板からの熱によって局部的に軟化・変形することはなく、インクジェットヘッドの全体構造を良好に保持することが可能となる。
【0052】
また本発明のインクジェットヘッドによれば、上記ダミーパターンを共通電極及び/又は個別電極と同質の金属により形成するようにすれば、これらのパターンを薄膜プロセス等によって全て同時に形成することができるようになるため、インクジェットヘッドの生産性が高く維持されるようになる。
【0053】
更に本発明のインクジェットヘッドによれば、上記ダミーパターンを熱伝導性ならびに加工性に優れたアルミニウムを主成分とする金属で形成するようにすれば、先に述べた熱の拡散が極めて速やかになされ、隔壁部材の軟化・変形をより確実に防止することができる上に、隣接する発熱抵抗体間のスペースが極めて狭い場合であっても、ダミーパターンを精度良く微細加工して隣接する発熱抵抗体間の所定位置に正確に配設することができ、これによってもインクジェットヘッドの生産性が高く維持される。
【0054】
また更に本発明のインクジェットヘッドによれば、上記ダミーパターンを、発熱抵抗体と電気的に絶縁させた状態で、隣接する発熱抵抗体間に1個ずつ独立して設けておくことにより、発熱抵抗体の熱が個別電極や共通電極等を介してダミーパターンに多量に伝達しようとするのを有効に防止することができ、先に述べたダミーパターンによる放熱作用を更に高めることができる利点もある。
【0055】
更にまた本発明のインクジェットヘッドによれば、前記ダミーパターンの上面の高さを、個別電極及び/又は共通電極の上面と同等の高さ、即ち、発熱抵抗体の上面よりも上方に位置させておくことにより、その上に設けられる保護膜表面の高さも発熱抵抗体上に比しダミーパターン上で上方に位置することとなる。従って、隔壁部材をヘッド基板の上面に対して接着・固定する際、隔壁部材の下端をダミーパターン上の保護膜表面に対して良好に密着させることができ、ヘッド基板に対する隔壁部材の接着強度、並びに、接着作業の作業性を向上させることができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの斜視図である。
【図2】(a)は図1のインクジェットヘッドの縦断面図、(b)は図1のインクジェットヘッドの横断面図である。
【図3】図1のインクジェットヘッドに使用されるヘッド基板を部分的に示す平面図である。
【図4】従来のインクジェットヘッドの横断面図である。
【符号の説明】
1・・・ヘッド基板、2・・・ベースプレート、3・・・発熱抵抗体、4・・・ダミーパターン、5・・・共通電極、6・・・個別電極、7・・・保護膜、8・・・隔壁部材、9・・・天板、10・・・インク吐出孔、11・・・インク、A・・・気泡、i・・・インク滴
Claims (6)
- ベースプレート、該ベースプレートの上面に主走査方向に配列される複数の発熱抵抗体、該複数の発熱抵抗体の一端に対して電気的に接続される共通電極、該複数の発熱抵抗体の他端に対して電気的に接続される個別電極、および前記ベースプレートの上面で且つ隣接する発熱抵抗体間に、該発熱抵抗体の副走査方向の両端よりも外側まで延在し、前記共通電極および前記個別電極とは別体の熱伝導性材料からなるダミーパターンを含んでなるヘッド基板と、
前記ヘッド基板上に載置される天板と、
前記ヘッド基板と前記天板との間に介在し、インクを充填するための領域を構成する隔壁部材と、を備えることを特徴とするインクジェットヘッド。 - 前記ダミーパターンが共通電極及び/又は個別電極と同質の金属により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
- 前記ダミーパターンがアルミニウムを主成分とする金属から成ることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットヘッド。
- 前記ダミーパターンが、前記発熱抵抗体と電気的に絶縁されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記ダミーパターンが、隣接する発熱抵抗体間に、1個ずつ独立して設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
- 前記ダミーパターンの上面の高さが、個別電極及び/又は共通電極の上面と同等の高さに位置設定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
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