JP4703016B2 - インクジェットヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、記録紙にインク滴を所定パターンに付着させて画像等を形成するインクジェットヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、記録紙に画像を形成するための記録デバイスとしてインクジェットヘッドが用いられている。
【0003】
このようなインクジェットヘッドの記録方式には、インク滴を記録紙に向けて吐出させるのに発熱抵抗体の発する熱エネルギーを利用するものや圧電素子の変形を利用するもの,更には電磁波の照射に伴って発生する熱を利用するもの等があり、これらの中でも発熱抵抗体の熱エネルギーを利用するサーマルジェットタイプのものは、発熱抵抗体のパターニングが容易である上に、小さな面積の発熱抵抗体であっても比較的大きな熱エネルギーを発生させることができることから、高密度記録への対応に適したものとして注目されている。
【0004】
かかるサーマルジェットタイプのインクジェットヘッドとしては、例えば図4に示す如く、ベースプレート22の上面に、多数の発熱抵抗体23や多数の給電配線24,25等が所定パターンに被着されているヘッド基板21上に、前記発熱抵抗体23に1対1に対応する多数のインク吐出孔27を有するノズル部材26を、間に所定の間隔を空けて配置させるとともに、ヘッド基板21−ノズル部材26間の間隙にインク28を充填した構造のものが知られており、記録紙を前記ノズル部材26の外表面に沿って搬送しなから、ヘッド基板21の発熱抵抗体23を個々に選択的に発熱させ、この熱エネルギーによってインク28中に気泡Aを発生させるとともに、該気泡Aによる圧力でもってインク28の一部をノズル部材26のインク吐出孔27より外部に吐出させ、これを記録紙に付着させることによって所定の画像が記録される。
【0005】
尚、上述したインクジェットヘッドのノズル部材26には図示しないインクタンクからのインク28をヘッド基板21−ノズル部材26間の間隙に導入するためのインク供給穴29が設けられ、このインク供給穴29には、インク28を前述のインクタンクからインク供給穴29まで導くためのインク供給管30がノズル部材26の外表面側で接続されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のインクジェットヘッドにおいては、インクタンクからのインク28がノズル部材26のインク供給穴29を介してヘッド基板21−ノズル部材26間に導入されるようになっており、ノズル部材26の外表面には、インク28をインクタンクからインク供給穴29まで導くためのインク供給管30が上方に突出した形で取着されている。それ故、このような突出物が記録紙の走行を妨げることのないようにするためには、記録紙の走行位置をノズル部材26より出来るだけ遠ざけておく必要があり、その場合、インク吐出孔27から記録紙までの距離が長くなってしまうことから、ノズル部材26のインク吐出孔27より吐出されるインク滴を記録紙の所定位置に正確に着弾させることが困難になり、所望する印画を形成することが不可となる欠点を有していた。
【0007】
また上述した従来のインクジェットヘッドを用いて記録動作を行う際、例えば駆動周期0.4msec以下の高速記録に対応すべく発熱抵抗体23を短時間で繰り返し発熱させると、その直下に配されているベースプレート22の内部に多くの熱が蓄積され、ベースプレート22の温度が過度に高温となってしまうことがある。このような温度状態のまま記録動作を続けると、インク28の吐出量が変動し、画像の濃度むらが形成される欠点を有していた。
【0008】
本発明は上記欠点に鑑み案出されたもので、その目的は、インク滴を記録紙に対して正確に着弾させて、所望する画像を形成することが可能な高性能のインクジェットヘッドを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のインクジェットヘッドは、上面に主走査方向に配列した多数の発熱抵抗体を有するヘッド基板と、前記発熱抵抗体に対応した多数のインク吐出孔を有するノズル部材とを、間に所定の間隔を空けて配置させるとともに、前記ヘッド基板と前記ノズル部材との間の間隙にインクを充填してなり、該インクが前記多数の発熱抵抗体上を副走査方向に流動するようにインクを循環させながら記録動作を行うインクジェットヘッドであって、前記ヘッド基板に、ヘッド基板の下面側よりヘッド基板と前記ノズル部材との間にインクを導入するための複数個のインク供給穴を前記発熱抵抗体の配列と略平行に配列・形成し、前記複数個のインク供給穴の間に位置する前記ヘッド基板上にインクを弾く撥水コート層もしくは撥油コート層を、その一端側が前記発熱抵抗体側に延在するようにして被着・形成しており、前記撥水コート層もしくは前記撥油コート層の幅が前記発熱抵抗体側に向かって漸次狭くなしてあることを特徴とするものである。
【0010】
また本発明のインクジェットヘッドは、前記撥水コート層もしくは前記撥油コート層に対するインクの接触角が10°〜100°であることを特徴とするものである。
【0011】
更に本発明のインクジェットヘッドは、前記撥水コート層がフッ素樹脂もしくはシリコーン樹脂から成ることを特徴とするものである。
【0012】
また更に本発明のインクジェットヘッドは、前記撥油コート層が、フッ素系樹脂,フルオロアルキルシラン系樹脂,ITOのいずれかより成ることを特徴とするものである。
【0014】
また更に本発明のインクジェットヘッドは、前記ヘッド基板が、上面を{100}面に設定した単結晶シリコンにより形成されていることを特徴とするものである。
【0015】
更にまた本発明のインクジェットヘッドは、前記インク供給孔が、前記ヘッド基板を形成する単結晶シリコンに対する異方性エッチングにて穿設されたものであることを特徴とするものである。
【0016】
また更に本発明のインクジェットヘッドは、前記インクの流速が50μm/sec〜2000μm/secであることを特徴とするものである。
【0017】
更にまた本発明のインクジェットヘッドは、前記撥水コート層もしくは前記撥油コート層が、前記ヘッド基板上面のパターンと対応するパターンで前記ノズル部材内面にも形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
本発明のインクジェットヘッドによれば、インクタンク等からのインクを、ヘッド基板に設けたインク供給穴を介してヘッド基板の下面側よりヘッド基板−ノズル部材間の間隙に導入するように構成したことから、ノズル部材の外表面にインク供給管等の突出物を取着させる必要がなく、これにより、記録紙の走行位置をノズル部材の外表面に近づけてインクジェットヘッドが組み込まれるプリンタの全体構造を小型化することができるとともに、記録紙をノズル部材の外表面に沿ってスムーズに搬送することができるようになる。従って、ノズル部材のインク吐出孔より吐出されるインク滴は記録紙の所定位置に正確に着弾されるようになり、所望する画像を形成することが可能となる。
【0019】
また本発明のインクジェットヘッドによれば、ヘッド基板−ノズル部材間のインクを副走査方向に流動させながら記録動作を行うようにしたことから、ヘッド基板中の熱は流動するインクによって吸収され、印画動作時、ヘッド基板が効率良く冷却されるようになる。従って、高速記録に対応すべく発熱抵抗体を短時間で繰り返し発熱させる場合であっても、ヘッド基板の温度を記録動作に適した温度に維持してインクの吐出量を略一定に保つことができ、記録紙に濃度むらの少ない良好な画像を形成することが可能となる。
【0020】
しかも本発明のインクジェットヘッドによれば、隣接するインク供給穴の間に位置するヘッド基板上にはインクを弾く撥水コート層もしくは撥油コート層が、一端側をインクの流動方向に延在させるようにして設けられているため、インク供給穴を介してヘッド基板−ノズル部材間に導入されたインクは撥水コート層もしくは撥油コート層の延在方向に向かって良好かつ安定的に流動させ、ヘッド基板全体を主走査方向にわたり均等に冷却することができる利点もある。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図、図2は図1のインクジェットヘッドに用いられるヘッド基板の平面図であり、同図に示すインクジェットヘッドは、大略的に、ヘッド基板1とノズル部材8とで構成され、この両者間に出来る間隙にインク10が充填される。
【0022】
前記ヘッド基板1は、ベースプレート2の上面に、複数の発熱抵抗体3、多数の個別給電配線4、共通給電配線5及び複数のドライバーIC7を取着させた構造を有している。
【0023】
前記ベースプレート2としては、例えばグレーズドアルミナ基板、即ち、アルミナセラミックスから成るセラミック基板2aの上面に断面円弧状のグレーズ層2bを主走査方向に帯状に被着させたものが用いられ、このようなベースプレート2のグレーズ層2bの上面には多数の発熱抵抗体3が、グレーズ層2bの上面からセラミック基板2aの上面にかけては給電配線4,5等が被着・形成されている。
【0024】
前記ベースプレート2は、発熱抵抗体3や給電配線4,5を支持するための支持母材として機能するものであり、これら発熱抵抗体3や給電配線4,5等のパターンが配されていない空白部には後述するインク供給穴1aが穿設される。
【0025】
尚、前記ベースプレート2としてグレーズドアルミナ基板を用いる場合、ベースプレート2は、まずアルミナ、シリカ、マグネシア等のセラミックス原料を用いて形成したセラミックグリーンシートを所定形状に打ち抜いた上、これを高温で焼成することによってセラミック基板2aを得、しかる後、前記セラミック基板2aの上面に所定のガラスペーストを従来周知のスクリーン印刷等によって部分的に塗布し、これを高温で焼き付けてグレーズ層2bを形成することによって製作される。
【0026】
また前記ベースプレート2の上面、具体的にはグレーズ層2bの上面には、例えば2400個の発熱抵抗体3が主走査方向に直線状に被着・配列され、これら発熱抵抗体3の一端には共通給電配線5が共通接続され、他端には個別給電配線4の一端側が個別に接続される。
【0027】
前記発熱抵抗体3は、例えば600dpi(dot per inch)の密度で配列されており、その各々がTaNやTaSiO,TaSiNO,TiSiO,TiSiCO,NbSiO等の電気抵抗材料から成っているため、個別給電配線4及び共通給電配線5等を介して電源電力が印加されるとジュール発熱を起こし、インク10中に気泡Aを発生させるのに必要な所定の熱エネルギーを発生する作用を為す。
【0028】
また前記発熱抵抗体3に接続されている個別給電配線4及び共通給電配線5は、アルミニウムや銅等の金属材料により形成されており、これら給電配線4,5は後述するドライバーIC7の駆動に基づいて外部からの電源電力を発熱抵抗体3に印加する作用を為す。
【0029】
尚、前記発熱抵抗体3、個別給電配線4及び共通給電配線5は、従来周知の薄膜形成技術、具体的にはスパッタリング法、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術等を採用し、前述の電気抵抗材料や金属材料をベースプレート2の上面に所定厚み、所定パターンに被着させることにより形成される。
【0030】
また前述した多数の個別給電配線4は更に、主走査方向に連続するN個(Nは2以上の自然数)の個別給電配線4を一単位とした複数のグループに区分されるとともに、各グループ毎に発熱抵抗体3より離間する方向に導出されている。
【0031】
これらの各グループを構成する個別給電配線3の個数Nは例えば「64」に設定され、これらの各グループに属するN個の個別給電配線4は、その配列ピッチが他端側に比し一端側(発熱抵抗体3側)で大となるように、他端側から一端側に向けて放射状に配置される。
【0032】
また前記個別給電配線4の導出部には、該配線4を外部電気回路に接続するための端子として機能する接続パッドが設けらており、これらの接続パッドは発熱抵抗体3の配列よりも高い密度でグループ毎にまとまって主走査方向に配列される。
【0033】
尚、本実施形態においては外部電気回路としてフリップチップ型のドライバーIC7が使用され、前記接続パッドはドライバーIC7の端子に半田等のロウ材を介して電気的に接続される。このドライバーIC7は、個別給電配線4のグループと1対1に対応するようにしてベースプレート2の上面にフェースダウンボンディングにて搭載され、外部からの画像データに基づいて発熱抵抗体3のジュール発熱を制御する。
【0034】
このように、各グループに属するN個の個別給電配線4を前述した如く他端側から一端側に向けて放射状に配置させたことにより、ベースプレート2の上面には、隣接するグループ間、及び主走査方向の両端に位置するグループの外側に、発熱抵抗体3や給電配線4,5等が配されていない空白部が複数箇所設けられ、これらの空白部にはインク供給穴1aが穿設される。
【0035】
前記インク供給穴1aは、図示しないインクタンクからのインク10をベースプレート2の下面側よりヘッド基板1−ノズル部材8間の間隙に導入するためのものであり、本実施形態においては各々が略円形状をなすように形成され、該インク供給穴1aの開口部には、図示しないインクタンクよりヘッド基板1−ノズル部材8間にインク10を導くためのインク供給管13がヘッド基板1の下面側で接続されている。
【0036】
これらのインク供給穴1aは、その開口面積が全て等しく揃えられ、発熱抵抗体3の配列領域にわたって等間隔で主走査方向に配列されており、従来周知のレーザー加工等を採用し、ベースプレート2の空白部に略円形状のインク供給穴1aを穿設することによって形成される。
【0037】
そして、上述した複数個のインク供給穴1aの間に位置するヘッド基板1上には、フッ素樹脂やシリコーン樹脂から成る撥水コート層11が、その一端側を発熱抵抗体3側に延在させた形で被着・形成されており、該撥水コート層11の幅は発熱抵抗体3側に向かって漸次狭くなしてある。
【0038】
前記撥水コート層11は、発熱抵抗体3や個別給電配線4等を被覆する窒化珪素製の保護膜12上に例えば0.5μm〜2.0μmの厚みをもって所定パターン(図2中の斜線で示される領域)に被着・形成されており、その表面で水分を弾くようになっていることから、インク10として水性染料インク等を用いることによってインク10を良好に弾き、インク10が撥水コート層11に沿って流動するようにインク10の流れを整える。
【0039】
尚、前記撥水コート層11の材質としてはインク10の接触角が10°〜100°のもの、より好ましくは50°〜80°のものを使用し、例えばフッ素系樹脂を用いる場合、撥水コート層11に対するインク10の接触角は70°となる。
【0040】
前記撥水コート層11は、上述した樹脂の前駆体ワニスを従来周知のスプレー法やディッピング法等によってヘッド基板上面に被着させるとともに、これを加熱・重合させた後、この樹脂を従来周知のフォトリソグラフィー技術及びエッチング技術により所定パターンに加工することで形成される。
【0041】
また一方、前記ノズル部材8は、上述したヘッド基板1の上面との間に例えば10μm〜100μmの間隙を設けるようにして、ヘッド基板1と略平行に配設される。
【0042】
前記ノズル部材8は、前記発熱抵抗体3と1対1に対応する複数個のインク吐出孔9を有しており、各インク吐出孔9を対応する発熱抵抗体3の真上に位置させてある。
【0043】
前記ノズル部材8のインク吐出孔9は、インクジェットヘッドの記録動作時、インク滴を記録紙に向けて吐出するためのものであり、発熱抵抗体3と略等しい密度、例えば600dpiのドット密度で主走査方向に直線状に配列される。
【0044】
尚、前記ノズル部材8は、感光性のエポキシ樹脂やポリイミド樹脂,モリブデン等を所定形状に加工したり、或いは、上記の材料を組み合わせることによって形成され、例えばモリブデンから成る場合、モリブデンのインゴット(塊)を従来周知の金属加工法によって所定厚みの板体と成し、得られた板体に従来周知のレーザー加工によって直径10μm〜100μmのインク吐出孔9を複数個、穿設することにより製作され、得られたノズル部材8を図示しないスペーサを介してヘッド基板1上に載置させることによりノズル部材8がヘッド基板1上の所定位置に固定される。
【0045】
また、ヘッド基板1−ノズル部材8間の間隙に充填されるインク10としては、撥水コート層11に接触した際に良好に弾かれる水溶性のインク、例えば水性染料インクが好適に使用され、その粘度は例えば0.3mPa・s〜3.0mPa・s(25℃)に調整される。
【0046】
前記インク10は、図示しないインクタンクからインク供給管13及びインク供給穴1aを介してヘッド基板1−ノズル部材8間に供給され、ヘッド基板1の副走査方向の端部で発熱抵抗体3の配列領域にわたり開口する排出孔(図示せず)を介してヘッド基板1−ノズル部材8間より外部に排出されるようになっており、記録動作時、インク10が多数の発熱抵抗体3上を副走査方向(発熱抵抗体3の配列と直交する方向)に流動するように、図示しないポンプ等によって前述したインクタンクとの間を循環する。
【0047】
このようなインク10の流速は、例えば50μm/sec〜2000μm/secの流速で略一定に保たれており、前述した発熱抵抗体3の熱エネルギーによってインク10中に気泡Aが発生すると、該気泡Aによる圧力でもってインク10の一部がインク滴となり、インク吐出孔9より外部に吐出される。
【0048】
またこの場合、ヘッド基板1−ノズル部材8間にインク10を供給すべくヘッド基板1の空白部に設けられているインク供給穴1aは、前述した如く、その開口面積が全て等しく揃えられ、しかも発熱抵抗体3の配列領域にわたり等間隔で主走査方向に配列されているため、発熱抵抗体3上を流れるインク10の流量は主走査方向にわたり略一定に制御されることとなる。
【0049】
かくして上述した本実施形態のインクジェットヘッドは、ヘッド基板1−ノズル部材8間のインク10を副走査方向に流動させながら、記録紙をノズル部材8の外表面に沿って搬送しながら、複数個の発熱抵抗体3をドライバーIC7の駆動に伴って個々に選択的に発熱させ、この熱エネルギーによって発熱抵抗体3上のインク10中に気泡Aを発生させるとともに、該発生した気泡Aによる圧力でもってインク10の一部をノズル部材8のインク吐出孔9より外部に吐出させ、これを記録紙に付着させることによって記録紙に所定の画像が記録される。
【0050】
以上のような本実施形態のインクジェットヘッドにおいては、インクタンクからのインク10を、ヘッド基板1に設けたインク供給穴1aを介してヘッド基板1の下面側よりヘッド基板1−ノズル部材8間の間隙に導入するようになしたことから、ノズル部材8の外表面にインク供給管等の突出物を取着させる必要がなく、これにより、記録紙の走行位置をノズル部材8の外表面に近づけてインクジェットヘッドが組み込まれるプリンタの全体構造を小型化することができるとともに、記録紙をノズル部材8の外表面に沿ってスムーズに搬送することができるようになる。従って、ノズル部材8のインク吐出孔9より吐出されるインク滴は記録紙の所定位置に正確に着弾されるようになり、所望する画像を形成することが可能となる。
【0051】
また上述した本実施形態のインクジェットヘッドによれば、ヘッド基板1−ノズル部材8間のインク10を副走査方向に流動させながら記録動作が行われることから、ヘッド基板1中の熱は流動するインク10によって吸収され、印画動作時、ヘッド基板1が効率良く冷却されるようになっている。従って、高速記録に対応すべく発熱抵抗体3を短時間で繰り返し発熱させる場合であっても、ベースプレート2の温度を記録動作に適した温度に維持してインク10の吐出量を略一定に保つことができ、記録紙に鮮明な画像を形成することが可能となる。
【0052】
更に上述した本実施形態のインクジェットヘッドによれば、隣接するインク供給穴1aの間に位置するヘッド基板1上にはインク10を弾く撥水コート層11が、その一端側をインク10の流動方向(副走査方向)に延在させるようにして設けられているため、インク供給穴1aを介してヘッド基板1−ノズル部材8間に導入されたインク10は撥水コート層11の延在方向に向かって良好かつ安定的に流動させ、ヘッド基板全体を主走査方向にわたり均等に冷却することができる利点もある。
【0053】
しかもこの場合、前記撥水コート層11の幅は発熱抵抗体3側に向かって漸次狭くなしてあるため、インク10を発熱抵抗体3の配列領域にわたってより均等に供給することができる利点もある。
【0054】
尚、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0055】
例えば上述の実施形態においてはインク10として水性染料インクを用い、ヘッド基板1上には水性染料インクを弾く撥水コート層11を形成するようにしたが、インク10として顔料タイプの油性インクを用いる場合にはヘッド基板1上に油性インクを弾くフッ素系樹脂,フルオロアルキルシラン系樹脂,ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等から成る撥油コート層を形成すれば良く、この場合も上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
また上述の実施形態においてはヘッド基板1のベースプレート2としてグレーズドアルミナ基板を用いるようにしたが、これに代えて、ベースプレートを単結晶シリコンや金属等によって形成するようにしても構わない。その場合、ベースプレート2’の表面を、図3に示す如く、酸化シリコン等から成る厚み1μm〜3μm程度の絶縁膜2b’で被覆しておく必要があり、このような絶縁膜2b’によって発熱抵抗体3や給電配線4,5が単結晶シリコン等から確実に絶縁される。また、ベースプレート2’をシリコン基板2a’を用いて形成する場合は、その上面を単結晶シリコンの{100}面と合致させておくようにすれば、ヘッド基板1にインク供給孔1aを穿設する際、従来周知の異方性エッチングを採用することによってインク供給孔1aをベースプレート2’の厚み方向に精度良く、しかも容易に形成することができる利点がある。
【0057】
更に上述の実施形態においてはヘッド基板1に設けたインク供給穴1aを円形状になしたが、これに代えて楕円形状や多角形状になしても構わない。
【0058】
また更に上述の実施形態においてはドライバーIC7の端子を半田等のロウ材を介して個別給電配線の接続パッドに接続させるようにしたが、これに代えて、ドライバーIC7の端子をボンディングワイヤ等の他の接続部材を介して接続パッドと接続するようにしても良い。
【0059】
更にまた上述の実施形態においてはヘッド基板1の保護膜12を窒化珪素により形成するようにしたが、これに代えて保護膜12を窒化珪素以外のセラミック材料で形成しても良い。
【0060】
また更に上述の実施形態においてヘッド基板1と対向するノズル部材8の内表面に、撥水コート層11(もしくは撥油コート層)と同じパターン形状の撥水コート層(もしくは撥油コート層)を形成するようにしても良い。
【0061】
【発明の効果】
本発明のインクジェットヘッドによれば、インクタンク等からのインクを、ヘッド基板に設けたインク供給穴を介してヘッド基板の下面側よりヘッド基板−ノズル部材間の間隙に導入するように構成したことから、ノズル部材の外表面にインク供給管等の突出物を取着させる必要がなく、これにより、記録紙の走行位置をノズル部材の外表面に近づけてインクジェットヘッドが組み込まれるプリンタの全体構造を小型化することができるとともに、記録紙をノズル部材の外表面に沿ってスムーズに搬送することができるようになる。従って、ノズル部材のインク吐出孔より吐出されるインク滴は記録紙の所定位置に正確に着弾されるようになり、所望する画像を形成することが可能となる。
【0062】
また本発明のインクジェットヘッドによれば、ヘッド基板−ノズル部材間のインクを副走査方向に流動させながら記録動作を行うようにしたことから、ヘッド基板中の熱は流動するインクによって吸収され、印画動作時、ヘッド基板が効率良く冷却される。従って、高速記録に対応すべく発熱抵抗体を短時間で繰り返し発熱させる場合であっても、ヘッド基板の温度を記録動作に適した温度に維持してインクの吐出量を略一定に保つことができ、記録紙に濃度むらの少ない良好な画像を形成することが可能となる。
【0063】
しかも本発明のインクジェットヘッドによれば、隣接するインク供給穴の間に位置するヘッド基板上にはインクを弾く撥水コート層もしくは撥油コート層が、一端側をインクの流動方向に延在させるようにして設けられているため、インク供給穴を介してヘッド基板−ノズル部材間に導入されたインクは撥水コート層もしくは撥油コート層の延在方向に向かって良好かつ安定的に流動させ、ヘッド基板全体を主走査方向にわたり均等に冷却することができる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図2】図1のインクジェットヘッドに用いられるヘッド基板の平面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係るインクジェットヘッドの断面図である。
【図4】従来のインクジェットヘッドの断面図である。
【符号の説明】
1・・・ヘッド基板、1a・・・インク供給穴、2・・・ベースプレート、3・・・発熱抵抗体、8・・・ノズル部材、9・・・インク吐出孔、10・・・インク、11・・・撥水コート層

Claims (8)

  1. 上面に主走査方向に配列した多数の発熱抵抗体を有するヘッド基板と、前記発熱抵抗体に対応した多数のインク吐出孔を有するノズル部材とを、間に所定の間隔を空けて配置させるとともに、前記ヘッド基板と前記ノズル部材との間の間隙にインクを充填してなり、該インクが前記多数の発熱抵抗体上を副走査方向に流動するようにインクを循環させながら記録動作を行うインクジェットヘッドであって、
    前記ヘッド基板に、ヘッド基板の下面側よりヘッド基板と前記ノズル部材との間にインクを導入するための複数個のインク供給穴を前記発熱抵抗体の配列と略平行に配列・形成し、前記複数個のインク供給穴の間に位置する前記ヘッド基板上にインクを弾く撥水コート層もしくは撥油コート層を、その一端側が前記発熱抵抗体側に延在するようにして被着・形成しており、
    前記撥水コート層もしくは前記撥油コート層の幅が前記発熱抵抗体側に向かって漸次狭くなしてあることを特徴とするインクジェットヘッド。
  2. 前記撥水コート層もしくは前記撥油コート層に対するインクの接触角が10°〜100°であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記撥水コート層がフッ素樹脂もしくはシリコーン樹脂から成ることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記撥油コート層が、フッ素系樹脂,フルオロアルキルシラン系樹脂,ITOのいずれかより成ることを特徴とする請求項2に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記ヘッド基板が、上面を{100}面に設定した単結晶シリコンにより形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記インク供給孔が、前記ヘッド基板を形成する単結晶シリコンに対する異方性エッチングにて穿設されたものであることを特徴とする請求項に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記インクの流速が50μm/sec〜2000μm/secであることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記撥水コート層もしくは前記撥油コート層が、前記ヘッド基板上面のパターンと対応するパターンで前記ノズル部材内面にも形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれかに記載のインクジェットヘッド。
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