JPH0434820Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ 本考案は歯科用ハンドピース特に治療用器具の
取付け及び取外しが簡単に行える歯科用ハンドピ
ースに関するものである。

＜従来の技術＞ 歯科用ハンドピースは、一般に駆動源からの動
力を駆動側の部材である握りスリーブに伝え、更
にこの握りスリーブの先端に連結された前側スリ
ーブに伝達し、当該前側スリーブに取付けられた
歯科処置用工具を作動させる。このような歯科用
ハンドピースを構成するための握りスリーブと前
側スリーブの結合構造としては、従来では例えば
握りスリーブと前スリーブとをねじ結合したり、
或いはこれとは異なり、単にスプリングの付勢力
によつてボールを前スリーブの取付筒の凹陥部に
嵌合又は離脱するようにしたものがある。

＜考案が解決しようとする問題点＞ しかしながら、このような従来の歯科用ハンド
ピースにおいて、前者は治療時において各種工具
を付した状態での前側スリーブを取り換えるには
あまりにも不便である。この不便を解消したもの
が前記後者の公知例であるが、これもハンドピー
ス使用時に生じる振動などによる結果、スプリン
グに抗する方向での力が作用してボールが取付筒
の凹部との間の圧力ばめから離脱するといつたお
それがある。

本考案は、このような従来の問題点に着目して
なされたもので、その目的は工具付きの前スリー
ブを握りスリーブからワンタツチで交換でき、し
かも歯科用ハンドピースの振動によつてもスリー
ブ間の結合を確実にした歯科用ハンドピースを提
供することにある。

＜問題点を解決するための手段＞ 本考案は前記目的を達成するため、歯科用ハン
ドピースに駆動シヤフトと、当該駆動シヤフトの
先端に対応する部分に設けられたホルダ部とを有
する握りスリーブと、振動シヤフト支持体により
回転可能に支持した従動シヤフトを有し前記握り
シヤフトに連結される前側スリーブと、これら握
りスリーブ及び前側スリーブを結合するロツク機
構とを備え、当該ロツク機構を握りスリーブの側
壁に開設され且つこの側壁の内外側を連通させる
収容孔と、この収容孔内に設置されるボールと、
ホルダ部の外側にねじ結合されると共に内側面に
前記ボールに摺接するテーパ面が形成された締付
部材とから成り、前記ねじ結合部の締め付けまた
は緩めによる前記テーパ面におけるボールの押圧
または解放によつて、工具を付した前側スリーブ
のロツク又は引き抜きを行なうようにしたことを
要旨とする。

＜作用＞ 握りスリーブに形成された収容孔にはボールが
設置されている。そして、握りスリーブの先端に
設けられたホルダ部に前側スリーブの基端部を差
込み締付部材をねじ込むと、当該締付部材のテー
パ部がボールに摺接してこれを握りスリーブの外
側から内側へ向け、即ち、半径方向内方へ押し込
む。これによつてボールはホルダ部内に挿入され
た前側スリーブの軸部に突当り、当該軸部に固く
結合するから前側スリーブは握りスリーブに強固
に保持される。また、前側スリーブの握りスリー
ブからの離脱はボールが押圧している従動シヤフ
ト支持体を解放するだけ締付部材のテーパ面を摺
接すれば可能となる。

＜実施例＞ 図は本考案による歯科用ハンドピースの一実施
例を示す図である。この実施例に係る歯科用ハン
ドピースは、駆動側部材である握りスリーブ１
と、従動側部材である前側スリーブ２と、前側ス
リーブの先端に取付けられた歯科処置用工具３０
（以下、単に工具という）とから成る。

握りスリーブ１は筒状構造に成形されたスリー
ブ本体３と、このスリーブ本体３の内部にてベア
リング４によつて回転可能に支持されると共に基
端が駆動源に連結された駆動シヤフト５と、駆動
シヤフト５の先端に連結された減速機６と、減速
機６の出力側に連結された動力伝達シヤフト７
と、スリーブ本体３の先端部分に設けられたホル
ダ部８とから成る。減速機６は駆動シヤフト５の
先端部分に設けられた外歯部材９と、この外歯部
材９に対応する位置のスリーブ本体３の内側に設
けられた内歯部材１０と、これら外歯部材９及び
内歯部材１０の間に装填され且つ両者に噛合う転
動歯車１１とを有する遊星歯車機構から成る。そ
して動力伝達シヤフト７の後端部からはピン１２
が突出して転動歯車１１に係合している。この動
力伝達シヤフト７はベアリング１３によつてスリ
ーブ本体３に回転可能に支持され、その先端には
噛合歯車１４が取付けられている。

ホルダ部８は前側スリーブ２を受入れるために
筒状構造に成形され、当該ホルダ部８の所定部位
において外側から筒内腔１５にかけて連通する収
容孔１６が形成されている。またホルダ部８の外
周面所定の部位にはねじ部１７が設けられる一
方、これとは一定の距離だけ離れた部位には円周
方向に延びる切欠溝１８が形成されている。そし
て収容孔１６内には球状のボール１９が装填され
る。

このホルダ部８の外周には締付部材２０が螺合
される。この締付部材２０はホルダ部８の外側に
正しく嵌るよう筒状構造を有し、その内側にはね
じ部１７に螺合するめねじ部２１が形成されてい
る一方、このめねじ部２１に隣接した部位には先
端側から基端側にかけて次第に拡開するテーパ部
２２が形成されている。更に締付部材２０の切欠
き溝１８に対応する部位には締付部材２０を外れ
ないようにするねじ２３が挿通されるねじ孔２４
が形成されている。また切欠溝１８の幅寸法はね
じ２３の直径よりの幾分か大きく設定してあり、
締付部材２０をホルダ部８にねじ込んで行つたと
きに十分にロツクできるようにしている。そし
て、前記収容孔１６内に装填されたボール１９と
締付部材２０とでロツク機構を構成している。

他方、前側スリーブ２は先端部に工具３０を取
付けた本体２５と、本体２５内に設置され従動シ
ヤフト３１を回転可能に支持する従動シヤフト支
持体２６と、従動シヤフト３１の先端に取付けら
れ工具に作動係合する出力ギア部材２７と、従動
シヤフト３１の基端に設けられ噛合歯車１４に噛
合つて動力の伝達を受ける入力ギア部材２８とか
ら成り、従動シヤフト支持体２６の、前記収容孔
１６に対応する部位にはボール１９を受入れる凹
部２９が形成されている。

かかる構成を有する歯科用ハンドピースにおい
て前側スリーブ２を握りスリーブ１に結合させる
には、先ず締付部材２０を予め締めた状態にし、
テーパ部２２とボール１９との結合を解除してお
く。そして前側スリーブの従動シヤフト３１後端
をホルダ部８の筒内腔１５内に挿入すると、従動
シヤフト支持体２６はボール１９を半径方向外方
へ押しのけながら筒内腔１５内を進入し、入力ギ
ア部材２８が噛合歯車１４に噛み合う。

次いでボール１９と凹部２９を合わせておいて
締付部材２０をねじ込むと、この締付部材２０の
テーパ部２２がボール１９の頭部に斜め上方から
当接する。その後、なおも締付部材２０をねじ込
むとテーパ部２２が係止部材１９を半径方向内方
へ押し込み、これによつてボール１９が従動シヤ
フト支持体２６を押圧し、前側スリーブ２をホル
ダ部８内で固くロツクして握りスリーブ１への取
付けを完了する。

この状態で駆動源を動作させると、動力が駆動
シヤフト５に入力され、一定の割合で減速された
後、動力伝達シヤフト７及び従動シヤフト３１を
介して工具３０に伝達され歯科治療が行われる。

前側スリーブ２を外すときは締付部材２０をね
じ戻せばテーパ部２２がボール１９から外れ、こ
の係止部材１９が自由に解放するので前側スリー
ブ２をホルダ部８から引き抜けばよい。

＜考案の効果＞ 以上述べたように、本考案は前側スリーブと握り
スリーブとを、単にねじ結合により結合及び離脱
するようにしたものでもなく、また締付部材のテ
ーパ面と収容孔におけるボールによつてのみ両ス
リーブを結合・離脱するように構成したものでは
ない。

すなわち、上記テーパ面におけるボールの摺接
を、締付部材のねじ結合を前側又は基部側にわず
か移動するだけで握りスリーブから前側スリーブ
をワンタツチで着脱可能にしたものである。ま
た、テーパ面におけるボールの押圧は、従来のよ
うにスプリングではなく、ねじ結合によつて固定
しているので両スリーブのロツクを確実にするこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案による歯科用ハンドピースの一実施
例を一部断面で示す正面図である。 １……握りスリーブ、２……前側スリーブ、３
……スリーブ本体、５……駆動シヤフト、６……
減速機、７……動力伝達シヤフト、８……ホルダ
部、１５……筒内腔、１６……収容孔、１７……
ねじ部、１８……切欠溝、１９……ボール、２０
……締付部材、２１……ねめじ部、２２……テー
パ部、２６……従動シヤフト支持体、３０……歯
科処置用工具、３１……従動シヤフト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 先端部分にホルダ部を有し、内部に駆動シヤフ
   トを備えた握りスリーブと、 先端に歯科処置用工具が取付けられ且つ基端側
   には前記ホルダ部に挿入されて駆動シヤフトに作
   動連結される従動シヤフト支持体に回転可能に支
   持すると共に、握りスリーブに結合される前側ス
   リーブと、 前記結合された握りスリーブと前側スリーブと
   を固定するロツク機構とを備え、 ロツク機構は、握りスリーブのホルダ部側壁に
   開設され且つこの側壁の内外を連通させる収容孔
   と、この収容孔内に設置されるボールと、ホルダ
   部の外側にねじ結合されると共に、ねじ結合部を
   回動させて前進又は後退させることで前記ボール
   を前記従動シヤフト支持体に押圧又は解放するよ
   うに先端側から基端側のかけて次第に拡開するテ
   ーパ面が形成された締付部材とから成ることを特
   徴とする歯科用ハンドピース。