JPH04338240A - 低温電離プラズマを利用したマイクロピペットポリッシングによるパッチクランプ法の高能率化 - Google Patents

低温電離プラズマを利用したマイクロピペットポリッシングによるパッチクランプ法の高能率化

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JPH04338240A
JPH04338240A JP3136958A JP13695891A JPH04338240A JP H04338240 A JPH04338240 A JP H04338240A JP 3136958 A JP3136958 A JP 3136958A JP 13695891 A JP13695891 A JP 13695891A JP H04338240 A JPH04338240 A JP H04338240A
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micropipette
polishing
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Kiminori Ito
公紀 伊藤
Ikuo Nishimoto
育夫 西本
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、生細胞のイオンチャン
ネルを電気的に解析するために欠かせない手法であるパ
ッチクランプ法において最も重要な過程とされる、マイ
クロピペットのポリッシング法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】[イオンチャンネル測定法の説明]  
生細胞の表面は、イオンを細胞内外に輸送する役割を持
つ多数のイオンチャンネルで覆われている。図1に概略
を示したように、生細胞(1)の表面に、内径を1μm
以下程度に小さくしたマイクロピペット(2)を接しさ
せ、マイクロピペットの先端開口部内に露出している細
胞のイオンチャンネルに基づく電流を記録する手法は、
「単イオンチャンネル記録法」と呼ばれる。また、マイ
クロピペットが接する細胞壁に穴を開けて細胞壁全体の
イオンチャンネルに基づく電流を捉えるのが、全細胞モ
ードイオンチャンネル記録法である。これらのイオンチ
ャンネル測定法は、1970年代の終わりから1980
年の初めにかけてほぼ完成に至った、電気生理学的手法
である。現在では、細胞生理の理解や細胞レベルでの病
気の診断に欠かせない技術になっていることは、良く知
られている。例えば最近では、アメリカにおいて、致死
的な遺伝病とイオンチャンネルの異常とが関連している
と証明されるなど、イオンチャンネル測定法の重要性は
、更に増してきている。 【0003】[パッチクランプ法の説明]  これらの
イオンチャンネル測定手法が可能になったのは、ガラス
製のマイクロピぺットを生細胞表面に密着させて数GΩ
の電気的抵抗(ギガシールと呼ばれる)を得るパッチク
ランプ法が確立されたからである。詳しい解説は、この
方法を開発したアメリカのSakmannとNeher
が編集した本、Single−Channel  Re
cording(Plenum  Press社、19
83年)中にあるが、ここでは簡単にパッチクランプ法
の原理を述べる。 【004】マイクロピペット中に電解質溶液を満たし、
電流測定用のアタッチメント(図1中のマイクロピペッ
トホールダー)に固定する。この後、3次元マニピュレ
ーターを用い、顕微鏡下で、マイクロピペットの先端を
、緩衝溶液中の細胞に接しさせる。マイクロピペット中
を流れる電流は1nA以下に減少するが、この状態はギ
ガシール状態ではない。このとき、マイクロピペットに
負圧を加えると、細胞の膜が若干、マイクロピペット中
に引き込まれる。その後電流が減少し、マイクロピペッ
ト中を流れる電流が0.1pA程度まで下がった状態が
ギガシール状態である。しかし、ギガシール状態は、必
ず得られるという訳ではなく、得られる確率は、細胞の
種類や状態、実験者の熟練度などに大きく依存する。 【005】パッチクランプ法で用いるマイクロピペット
の調製は、以下に挙げた3つの過程からなる。 【0006】1)ガラス細管をマイクロピペットに引く
(プリング過程と呼ばれる)。通常使用されるガラス管
は、直径1mmから2mm、長さは数cmである。材質
としては、ソーダ分の多い軟質ガラスや、ソーダ分の少
ない硬質ガラスが多く用いられるが、パイレックスや石
英の管も使用することができる。 【0007】2)マイクロピペットを単イオンチャンネ
ル測定に用いる時には、静電容量を下げるために、マイ
クロピペット先端付近をシリコーン樹脂などで覆い、熱
をかけて固化させる(コーティング過程と呼ばれる)。 但し、マイクロピペットの先端から10μmまでには、
コーティグ材を塗布してはならないとされる。 【0008】3)細胞表面とマイクロピペット先端の表
面との密着性を良くするためには、熱ポリッシング過程
、あるいは活性化過程と呼ばれる作業が必要とされる。 図2に概略を示したように、マイクロピペット(2)の
先端を、線径100μm程度のワイヤーヒーターを逆V
字型に曲げたもの(3)に近づけて熱する。このとき2
50倍から700倍の顕微鏡(4)を用いて、マイクロ
ピペット先端とヒーターの先端との距離を一定に保つ。 通電時間とヒーター温度は、各研究者で最適な条件を選
ばなければならないが、ヒーターは赤熱する程度、加熱
時間は数秒が良いとされている。例えば、熱ポリッシン
グの時間を過剰に長くしても、ギガシールを得ることが
できる確率は、かえって下がる。また、コーティング後
、1時間以内に熱ポリッシングを行なう必要がある。更
に、一旦ポリッシングを施したマイクロピペットでも、
一日程度の時間をおいて使用する時には、再びポリッシ
ングを施す必要がある。 【0009】[ポリッシング過程の重要性と現在の方法
の欠点]  これらのマイクロピペット調製過程のうち
、ポリッシング過程では、マイクロピペット先端を顕微
鏡で観察しながら、一本ずつ手作業で処理する必要があ
る。従って最も時間を要し、かつ熟練を要する過程であ
る。しかし、ポリッシングを施さないマイクロピペット
を用いたときにはギガシールは殆ど得られないといわれ
ており、パッチクランプ法においてポリッシングは必須
の過程である。このようなマイクロピペットを用いても
、ギガシールが得られる確率は、細胞の状態や実験者の
技術で大きく異なる。しかも、一回細胞表面に触れたマ
イクロピペットではギガシールが得られないために、マ
イクロピペットは使い捨てされる。 【0010】このような事情のため、研究者がパッチク
ランプ法を行なうとき、例えば、午前中一杯かかって1
0本から20本のマイクロピペットを準備し、午後には
調製したマイクロピペットを全て使用した時点で測定が
終わる、というのが通常である。一連の実験で意味のあ
るデータを蓄積するために、合計1000本に上る多量
のマイクロピペットが必要であるのは珍しくない。従っ
てマイクロピペットの調製に長大な時間が使われること
になる。しかし他に適当な方法がなかったために、この
10年間、上述した熱によるポリッシング法が採用され
てきた。 【0011】[ポリッシング過程の理解と改良の可能性
]  現在まで、ポリッシングの効果は、加熱によって
マイクロピペット先端が滑らかになること、そして汚れ
が取り除かれること、とされてきた。しかし確かな証明
がある訳ではなく、本質的な理解はされていない。その
ため、この過程の最適化もそれぞれの実験者の経験にま
かされていて標準的な仕様がないために、汎用の技術と
しての成熟度は低い。実際、生細胞でギガシールが得ら
れなかったとしても、その原因が細胞の表面にあるのか
、マイクロピペットの表面が十分に活性化されていなか
ったのか、実験者の技術が悪いのかを判断するのは困難
であることが多い。 【0012】 【発明が解決しようとする課題】このような現状の原因
の一つは、現在採用されているポリッシング過程の機能
が不十分であるためであると、本発明者は考えるもので
ある。そこで、本発明では、ポリッシング過程の物理的
および化学的理解を通じて、新しいポリッシング手法を
開発し、パッチクランプ法の高能率化を図った。 【0013】 【課題を解決する手段】まず、作業仮説として、「ポリ
ッシング過程で重要なのは、マイクロピペット先端付近
の内部表面および外部表面を、十分に親水性化すること
である」と考える。これは、パッチクランプ法における
ポリッシング過程の位置づけとして、新しい概念である
。マイクロピペット内部表面を親水性化する必要がある
と考えるのは、パッチクランプ法において、細胞壁がピ
ペット内部に若干吸い込まれた状態でギガシールが得ら
れるからである。現在のところ、この作業仮説が有効で
あるが、将来において作業仮説を「ポリッシング過程で
重要なのは、マイクロピペット先端付近の内部表面およ
び外部表面を、十分にシラノール基(Si−OH)で覆
うことである」、と変更する必要が生じる可能性も考え
られる。これらの作業仮説は、ほぼ同内容であると考え
て良いと思われるが、マイクロピペット表面と細胞表面
との化学反応を考慮するときには、シラノール基に注目
する必要がある。 【0014】ガラス表面の親水性を得る手段として、本
発明では低温電離プラズマによる処理を採用する。数T
orrの低圧ガス中で行なわれる放電によって、低温電
離プラズマ中では、化学的に活性な種が大量に発生する
。この化学的活性種にガラス表面を曝すことで洗浄を行
なうことができる。親水化のみを目的とするときは酸素
プラズマを用いることができ、ガラス表面のエッチング
が必要なときにはフッ素プラズマを併用すればよい。 このような方法によって内径1μm以下のマイクロピペ
ットの内部および外部が十分に親水化できるという報告
はないが、本発明の実施例に見るように、十分な効果を
持つことが判明した。実施例では、高周波プラズマを用
いたが、マイクロ波や低周波、あるいは直流を用いて、
ガラス表面を親水化できることは分かっている。従って
、本発明の作業仮説によれば、マイクロピペットのポリ
ッシングに対して、マイクロ波や低周波、あるいは直流
を、高周波と同様に用いることができる。 【0015】高温プラズマ中にも化学的に活性な種が多
いが、温度が高いために、マイクロピペットのガラスが
溶解してしまうと考えられる。ガラス表面の親水性を得
るための手段として濃硫酸中に浸漬することも考えられ
たが、実際に試みてみると、シリコーン樹脂のコーティ
ングが侵され、また、硫酸の除去洗浄が十分でないと細
胞に損傷を与えるなどの理由で、実用に耐えるポリッシ
ング処理はできなかった。 【0016】 【作用】マイクロピペットのポリッシング過程に低温電
離プラズマを採用することによって、次に挙げるような
効果が生じたために、パッチクランプ法の能率が著しく
高くなった。 【0017】1)一度に、多量のマイクロピペットを、
しかも、短時間の内に処理できるようになった。  【
0018】2)通常の熱ポリッシングによる場合よりも
、細胞とマイクロピペット間のギガシールが得られる確
率が大きくなった。これは、本発明における作業仮説に
よれば、マイクロピペット表面の親水性が、熱によるポ
リッシングによる場合よりも大きくなるからである。 【0019】3)コーティング後数日を経たマイクロピ
ペットにポリッシングを施しても、ギガシールに対する
ポリッシングの効果は、コーティング直後にポリッシン
グを施した場合と変わらない。熱ポリッシングの場合は
、シリコーン樹脂のコーティングを行なった後に、1時
間以内にポリッシングを行なうべきであるとされている
。これは、コーティング過程で生成する比較的低沸点の
シリコーンが、マイクロピペットの先端表面に薄膜とし
て付着しており、シリコーン樹脂が十分に固化してしま
うと、熱ポリッシングでは取り除くことができなくなる
からであると解釈できる。これに対して、本発明の低温
電離プラズマポリッシングでは、このような薄膜を取り
去ることができるので、ポリッシングの効果が大きいの
であると考えられる。 【0020】4)ポリッシング後、数日を経たマイクロ
ピペットを使用してもギガシールが得られる。熱ポリッ
シングでは、ポリッシング後のマイクロピペットを一日
程度保存すると、ポリッシングの効果は失われる。これ
に対して、低温電離プラズマポリッシングでは、ガラス
表面が強く親水性になるためにポリッシングの効果が持
続するのであると考えられる。 【0021】 【実施例】[実施例1]  ナリシゲ社製プラーを用い
て、ガラス細管からマイクロピペットを作成した。次に
、マイクロピペット先端付近にシリコーン樹脂(商品名
シルガード)のコーティングを行なった。 【0022】以上の過程を経たマイクロピペット(2)
を、図3に概略を示したように、ガラス製シャーレ(5
)中に5本から10本並べ、13.6MHzの高周波を
用いる半導体プロセス用プラズマエッチング装置のチャ
ンバー(6)中に置き、酸素プラズマによる親水化を行
なった。但し、本実施例で用いた装置では、円筒形の金
網でできた内管の外側にプラズマが発生するので、シャ
ーレ(5)はプラズマ自身には曝されていないが、プラ
ズマによって発生した活性種は、チャンバー(6)内に
満たされる配置になっている。また図3では、シャーレ
内のマイクロピペットがはっきり分かるように、シャー
レを誇張して大きく描いてある。実際に用いたシャーレ
の直径は約12cmであり、プラズマエッチング装置の
内管の内径は約30cmである。プラズマの条件は次の
通りである。すなわち、酸素圧力1.4Torr、酸素
流量3.4sccm、マイクロ波入力150W、プラズ
マ処理時間3分である。この条件は、通常シリコンウェ
ハーの洗浄に用いられる条件と類似の条件であるが、こ
の条件に限るものではない。試料のセットおよび圧力調
整の時間を含めても、10分以内で全ての処理を終える
ことができた。 【0023】このように調製したマイクロピペットを用
いて、パッチクランプ法でギガシールを得る確率を求め
た。使用した生細胞は、人白血球であるJurkat細
胞である。3次元マニピュレーターに固定した電流測定
用アタッチメントに、生理食塩水を満たしたマイクロピ
ペットを挿入し、生理食塩水を入れたプラスチックディ
ッシュ中に蒔いた細胞にマイクロピペット先端を接しさ
せた。この状態で負圧をかけたときにベースライン電流
が0.1pA以下になり、単イオンチャンネルに基づく
矩形波電流が観測されたときに、ギガシールを得たと判
断した。試験期間は計20日間であり、マイクロピペッ
トを合計210本使用したが、その内、165本でギガ
シールが得られた。ギガシールが得られる確率は、78
%と計算される。日によって確率は異なったが、一日に
使用したマイクロピペット10本中9本以上でギガシー
ルが得られたことは、計15日あった。 【0024】ギガシールが得られる確率は、試験者の熟
練度に大きく左右される。今回の試験者の場合、Jur
kat細胞に対して、現在までに計10000本以上の
マイクロピペット使用経験を持っており、約50%のギ
ガシール成功率を得ることができる。この成功率は、J
urkat細胞に対しては比較的高い数字である。この
確率と比較して、本発明になる低温プラズマポリッシン
グ法で得られた、ギガシール成功率78%は極めて高い
ものである。 【0025】ギガシールの成功率は細胞の状態にも依存
するので、ポリッシング法の優劣を比較するには、同時
期に従来のポリッシング法で対照試験を行なう必要があ
る。対照試料として、ナリシゲ社製の熱ポリッシング装
置により、通常の熱ポリッシングを行なったマイクロピ
ペットをほぼ同数ずつ使用してギガシールを得る試験を
同じ期間中に行なった。ギガシールが得られる確率は約
45%であった。これは、本試験における試験者の通常
の成績に近い。 【0026】本実施例で示されたように、酸素の低温電
離プラズマを用いるとギガシールが得られる確率が増す
。これは、本発明における作業仮説によれば、マイクロ
ピペットの表面の親水性が増大したからである。酸素プ
ラズマ中でのガラス表面の親水性化の機構は、次のよう
に考えられる。すなわち、酸素プラズマ中のオゾンや一
重項酸素、そして酸素ラジカルのような活性酸素種が、
ガラス表面に付着する有機物を分解除去した後に、元々
あったシラノール基が露出する。また、Si未結合手が
露出するときは、酸素ラジカルや酸素分子が結合して表
面は酸素原子で覆われた形になり、これが空気中の水分
と反応してシラノール基が生成する。このような機構が
確かかどうかは確認されていないが、ガラス表面の物理
化学については、はっきりしない問題も多いが、ガラス
表面のシラノール基が、750゜C以上の加熱によって
、シロキサン基(Si−O−Si)に変化することは知
られている。従って、熱ポリッシングの際にガラス表面
が750゜C以上あるいはこれに近い温度に曝されると
すれば、シロキサン基が生成すると考えられる。シロキ
サン基で覆われた表面の親水性は、シラノール基で覆わ
れた表面よりも親水性が低いといわれているので、熱ポ
リッシングでは十分な親水性が得られていないという我
々の考えと一致している。 【0027】このように、本発明における作業仮説は有
効に働くことが確かめられた。従って、ポリッシングの
物理的・化学的な意味の説明として通常用いられている
ような、”熱による、マイクロピペット先端表面の平滑
化”が重要ではないことが明らかになったことになる。 【0028】[実施例2]  本実施例では、低温電離
プラズマによるポリッシングの効果がどの程度持続する
かを調べる試験を行なった。実施例1と同様なポリッシ
ングを行なったマイクロピペットを、プラスチックディ
ッシュ中に置き、1週間保存した。このマイクロピペッ
トを用いて、ギガシールが得られるかどうかの試験を行
なったところ、20本中12本でギガシールが得られた
。 熱ポリッシングを施したマイクロピペットを用いた場合
には、20本の試験で、ギガシールは1本も得られなか
った。低温電離プラズマによるポリッシングを施した後
、真空デシケーター中に1週間保存したマイクロピペッ
トでは、20本中14本でギガシールが得られた。熱ポ
リッシングを施したマイクロピペットを真空デシケータ
ー中に1週間保存した場合には、20本中4本でギガシ
ールが得られた。このように、低温電離プラズマによる
ポリッシングでは、ポリッシングの効果が持続する時間
が長い。 【0029】[実施例3]  本実施例では、コーティ
ング過程後に長時間放置したマイクロピペットに対して
、ポリッシングの効果がどの程度あるかを調べる試験を
行なった。シリコーン樹脂のコーティングを施したマイ
クロピペットをプラスチックディッシュ中に1週間保存
した後、実施例1と同様に、低温電離プラズマによるポ
リッシングを施した。20本のマイクロピペットを使用
して、内、16本でギガシールが得られた。これは、コ
ーティング直後に低温プラズマポリッシングを施した場
合とほぼ同じと考えられる。熱ポリッシングを施したマ
イクロピペットでは、ギガシールが得られたのは、20
本中4本であった。これは、コーティング直後にポリッ
シングを施す場合と比較して、明らかに低い確率であり
、通常いわれている通りである。 【0030】[実施例4]  本実施例では、酸素プラ
ズマ中にマイクロピペットを置く時間と高周波入力を変
えて、ギガシールの得られる確率が変わるかどうかを調
べた。実施例1と同じ酸素圧力、酸素流量、マイクロ波
入力を用い、酸素プラズマ中に置く時間を20分とした
。 マイクロピペット20本中18本でギガシールが得られ
た。プラズマ処理時間が3分の場合よりも大きいが、こ
れは細胞の状態などの変化を考慮すると有意の差ではな
い可能性もある。熱ポリッシングを長時間施すと、ギガ
シールが得られる確率が減ることが分かっており、これ
は熱によってマイクロピペット先端の開口径が小さくな
るためであると解釈されている。酸素プラズマによるポ
リッシングでは、親水化にあずかると考えられる活性酸
素がガラス表面を侵すことは殆どない。このために、プ
ラズマ処理の時間が長くても問題はないのであると考え
られる。 【0031】[実施例5]  本実施例では、酸素プラ
ズマによるガラス表面親水化とフッ素プラズマによるプ
ラズマエッチングを組み合わせて、ガラス自身のエッチ
ングがギガシールの成功率に及ぼす効果を調べた。実施
例1で用いたプラズマエッチング装置を用い、CF4ガ
スを導入して、マイクロピペット表面のエッチングを行
なった後、酸素プラズマによる親水化処理を行なった。 20本のマイクロピペットを使用して、内、14本でギ
ガシールを得た。実験結果のばらつきを考慮すると、ガ
ラスのエッチングを行なわない場合とほぼ同じ結果であ
ると考えられる。しかし、マイクロピペット先端に針状
の突起が生じているような場合には、ガラスのエッチン
グを行なって、突起を取り除くことが効果的である可能
性もある。 【0032】[実施例6]  本実施例では、マイクロ
ピペットの低温電離プラズマポリッシングが、人工膜に
埋め込まれたイオンチャンネルの測定にも適用できるこ
とを示す。生細胞から単離したイオンチャンネルと、脂
質であるレシチンとを水相に分散させ、超音波をかける
ことによって、イオンチャンネルを取り込んだリポソー
ムを形成した。さらに、これを凍結乾燥後、pHバッフ
ァーを徐々に加え、直径の多きなリポソームを形成した
。 このリポソームを用いて、実施例1と同様な方法で、ギ
ガシールが得られる確率を求めたところ、生細胞を用い
た場合と同様な結果を得た。 【0033】 【発明の効果】以上説明したように本発明では、パッチ
クランプ法に用いるマイクロピペットのポリッシングを
低温電離プラズマを用いて行うので、マイクロピペット
のポリッシングを短時間に、しかも大量に行うことがで
きる。その上、生細胞や人工膜に対してギガシールが得
られる確率が大幅に増すので、パッチクランプ法の能率
が格段に上がった。
【図面の簡単な説明】
【図1】マイクロピペットを用いて生細胞のイオンチャ
ンネルに基づく電流の測定を行う様子を表わす図である
【図2】顕微鏡を用いながら、マイクロピペットの先端
に熱ポリッシングを施す様子を表わす図である。
【図3】高周波プラズマ装置を用いてマイクロピペット
のポリッシングを行う様子の概観を表わす断面図である
【符号の説明】
1  生細胞 2  マイクロピペット 3  ヒーター 4  顕微鏡 5  ガラス製シャーレ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】    生細胞や人工膜に適用されるイオ
    ンチャンネル測定技術の基礎となっているパッチクラン
    プ法で使用されるマイクロピペットの表面を、低温電離
    プラズマ中に生ずる化学的活性種に曝すことによって、
    該マイクロピペット表面と細胞表面との高度な親和性お
    よび、該マイクロピペットと人工膜表面との高度な親和
    性を達成するとともに、マイクロピペットの調製を著し
    く容易にすることを特徴とする、マイクロピペット表面
    のポリッシング法。
JP3136958A 1991-05-14 1991-05-14 低温電離プラズマを利用したマイクロピペットポリッシングによるパッチクランプ法の高能率化 Pending JPH04338240A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10008373C2 (de) * 2000-02-23 2002-11-28 Helmut Adelsberger Verfahren und Vorrichtung zur Bestimmung der Ionenkanalaktivität
US6699697B2 (en) 2000-02-11 2004-03-02 Yale University Planar patch clamp electrodes
US10006902B2 (en) 1998-06-12 2018-06-26 Sophion Bioscience A/S High throughput screen

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