JP4618296B2 - 細胞電気生理センサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、細胞の活動によって発生する物理化学的変化を測定するために用いられる細胞内電位あるいは細胞外電位等の細胞電気生理現象を測定するための細胞電気生理センサおよびその製造方法に関する。
電気生理学におけるパッチクランプ法は、細胞膜のイオンチャンネル活動を測定する標準的な方法として知られており、イオンチャンネルは生理学や病体生理学では重要な役割を有し、重要な薬剤標的となっている。パッチクランプ法は急速にイオンチャンネル機能の研究で標準的なものになったが、しかし未だ高倍率拡大鏡、低振動環境、かつ経験を積んだ熟練作業者を必要とする実験室的な微細操作であり、高いスループットでの測定には適切でないとされていた。最近の研究では、微細構造チップのパッチクランプへの応用が取り上げられ、自動吸引システムで細胞の位置決めや密閉を可能にする微細チップに広く用いられたパッチピペットが取って代わってきている。
このため、微細加工技術を利用した平板型プローブの開発がなされており、これらは個々の細胞についてマイクロピペットの挿入を必要としない自動化システムに適している。
特表2003−527581号公報は媒体中の物体の電気的測定を行う装置について開示している。この装置では使用時に物体がオリフィスをシールし、これによって電気的に絶縁された第一および第二の空洞部が形成される。その後、第一および第二の空洞部にそれぞれ設置された電極間のインピーダンスの変化によって媒体中の物体の電気的測定を行う。
国際公開第02/055653号パンフレットは、基板の上に設けられた細胞保持手段を備えたウエルと、このウエルの電気信号を検出する測定用電極と、基準電極とを備えた細胞外電位測定用デバイスによって細胞外電位を測定する技術を開示している。
T.Sordel et al, Micro Total Analysis Systems2004,P521〜522(2004)は、SiO2のメンブレンの内部に設けた2.5μmの穴に、ヒト培養細胞株の一種であるHEK293細胞を保持させて高い密着性を確保して高精度に細胞外電位を測定する技術を開示している。
平板に作成された貫通孔はガラスピペットにおける先端穴と同様の役割を果たし、高精度な細胞の電気生理現象を記録できるとともに、平板の裏面側からの吸引によって細胞が自動的に引きつけられ、細胞を容易に保持できるという利点を有している。このとき、細胞が高い密着性を持って平板のデバイスの内部に保持されることは、低いバックグラウンドノイズで測定するためには重要な要素である。
しかしながら、上記の従来の技術においては、細胞の密着性に大きな影響を与える平板の形状や表面状態について最適な構造が示されていない。
細胞電気生理センサは、第1面とその反対側の第2面とを有する仕切り板を含むセンサチップと、仕切り板の第1面上に設けられた第1の領域と、仕切り板の第2面上に設けられた第2の領域とを備える。仕切り板には、第1面に開口する第1の開口部と第2面に開口する第2の開口部と壁面を有する貫通孔が形成されている。第1の領域は細胞浮遊液を収容でき、仕切り板の貫通孔の第1の開口部に接している。第2の領域は仕切り板の貫通孔の第2の開口部に接している。仕切り板の第1面での炭素の原子比が仕切り板の第1面の組成の15原子パーセント以下である。
この細胞電気生理センサは細胞が仕切り板の貫通孔の第1の開口部に強く密着し、効率的に細胞の細胞電位を測定できる。
図1は本発明の実施の形態による細胞電気生理センサ101の分解斜視図である。図2は細胞電気生理センサ101の上面図である。図3は図2に示す細胞電気生理センサ101の線3−3における断面図である。図4は図3に示す細胞電気生理センサ101の部分A1の拡大断面図である。図5は細胞電気生理センサ101の拡大断面図である。図6は図5に示す細胞電気生理センサ101の部分A2の拡大断面図である。細胞電気生理センサ101は、センサチップ9と、センサチップ9が埋め込まれたチッププレート3と、チッププレート3の上面3Aと下面3Bにそれぞれ当接するウエルプレート6と流路プレート7とを備える。図4に示すように、センサチップ9は二酸化珪素などの絶縁物よりなる絶縁膜1Aを表面に有するシリコン基板等の剛体からなる仕切り板1と、仕切り板1の周囲に当接した枠体2からなる。チッププレート3は上面3Aと下面3Bを貫通し連結する貫通孔5が形成されている。センサチップ9は貫通孔5内に接着剤16によって隙間無く埋め込まれている。
仕切り板1にシリコン基板を用いるときには、絶縁層1Aがその表面に設けられているが、ガラス基板、石英基板などの絶縁材料を用いるときには絶縁層1Aは設ける必要はない。
ウエルプレート6は仕切り板1の貫通孔5に連通するウエル6Aが形成されている。流路プレート7の上面7Aには培養液などを流す流路14が形成されている。流路プレート7の上面7Aはチッププレート3の下面3Bと当接し、流路14は貫通孔5に連通している。この構成により、細胞電気生理センサ101では、仕切り板1により互いに隔てられた領域17Aと領域17Bとが形成される。すなわち、領域17Aは仕切り板1の上面111Aからウエル6Aにかけて形成され、仕切り板1とチッププレート3とウエル6Aは領域17Aを形成する部材である。領域17Bは仕切り板1の下面111Bから流路14にかけて形成され、仕切り板1とチッププレート3と流路プレート7は領域17Bを形成する部材である。領域17Aと領域17Bにはそれぞれ違った溶液を貯留することができる。領域17Aは貫通孔4の開口部4Aに接しており、領域17Bは開口部4Bに接している。
チッププレート3の上面3A上で貫通孔5の周囲にPt、Au、Ag、AgClなどの金属からなる電極15が形成されている。
仕切り板1には、領域17Aと領域17Bとを連通させ、領域17A、17Bにそれぞれ開口する開口部4A、4Bを有する貫通孔4が設けられている。図5および図6に示すように、領域17Aに細胞8を含む溶液である細胞浮遊液を貯留し、領域17Bから貫通孔4を通してその溶液を吸引することにより、細胞8は貫通孔4の開口部4Aに引き寄せられて開口部4Aで保持される。貫通孔4の大きさは細胞8より小さく設定されている。
細胞8は領域17Bから吸引することにより領域17Aで保持される。このとき、図6に示すように細胞8は貫通孔4の開口部4Aで変形し、細胞膜の一部が仕切り板1の上面111Aおよび貫通孔4の壁面4Cに接触する。細胞電気生理センサ101においては、仕切り板1の上面111Aおよび貫通孔4の壁面4Cは二酸化珪素などの絶縁物による絶縁膜1Aで被覆しておくことが好ましい。仕切り板1の細胞8と接触する細胞接触面すなわち上面111Aと壁面4Cでの炭素の原子比がその面の組成の15原子パーセント以下に設定されている。なお、実施の形態において、炭素の原子比はX−Ray Photoelectron Spectroscopy(XPS)法によって測定した。XPS法は光電子のエネルギーとその数を測定することによって,表面近傍に存在する元素の量やその元素の周囲の環境、すなわち、その元素の化学結合状態を特定する方法である。X線を仕切り板1の表面に照射し、このX線によって励起された原子の光電子を検出することによって、原子の種類・数・化学状態を同定することができる。実施の形態では、照射するX線のスポット径を約100μmとし、仕切り板1の表面に対して垂直にX線を照射し、その表面に対して45度の角度より光電子を検出した。これにより、表面から約20nmまでの深さの領域に存在する各原子を測定した。すなわち実施の形態において、表面における原子や分子の数とは、表面から20nmの深さの領域に存在する原子あるいは分子の数である。
なお、本実施の形態では、細胞電気生理現象として細胞電位を測定する。しかしそれに限定せず、イオンチャンネルの特性を測定するのに細胞膜を流れる膜電流、膜抵抗、膜容量など他の細胞電気生理現象も一般的に測定される。
細胞膜の外表面は様々な炭水化物、たんぱく質、多数の水酸基を有する脂質との複雑な混合物なので、センサを製造する際に様々なイオンや分子がセンサの表面に付着する。これら多数の有機物は細胞膜とセンサとの間の水酸結合をブロックする。したがって、仕切り板1の表面から有機物を低減しかつ表面にOH基を形成することにより細胞膜とセンサの表面との間の相互作用を改善し、細胞電位を高精度に速く測定できる。
仕切り板1の表面の親水性を制御することも培養液、細胞外液および細胞内液との親和力を高めるために効果的である。図7は仕切り板1の親水性を示す。仕切り板1の表面に再蒸留水の水滴51を滴下する。表面と水滴51の間の接触角D1は10°以下であることが好ましい。この条件は必要ではあるが十分ではない。
細胞電気生理センサ101では、細胞膜とセンサ101の表面との間の水酸結合を強くする目的で仕切り板1の表面での炭素の原子比を少なくしかつ活性水酸基を発生させ、領域17Aと領域17B間での電流の漏れが少なくなり、少ないバックグラウンドノイズで細胞電位を測定できる。仕切り板1は少なくとも細胞8に接触する細胞接触面すなわち上面111Aの親水性を高くすることによって、細胞8とともに蓄積される培養液あるいは細胞外液あるいは細胞内液は容易に貫通孔4に進入する。そしてその溶液は領域17Bから吸引した際にも領域17B側へ十分流れるので、細胞8は確実に貫通孔4の開口部4A付近で保持され、細胞電位を容易に測定できる。仕切り板1の下面111Bと貫通孔4の壁面4Cの親水性を表面111Aと同様に高めておくことがより好ましい。
貫通孔4の壁面4Cでの親水性が高いほど上記効果がより大きく得られる。
ここで、細胞電気生理センサ101の仕切り板1の細胞接触面すなわち上面111Aから有機物を取り除き、炭素の原子比を表面の組成の15原子パーセント以下にする方法、および、上面111A、下面111Bおよび貫通孔4の壁面4Cの親水性を高める方法について詳細に説明する。
まず、細胞電気生理センサ101の製造方法について説明する。
図8〜図15は細胞電気生理センサ101の製造方法を示す断面図である。
まず、図8に示すように、ベースシリコン10と、ベースシリコン10上の二酸化珪素膜11と、二酸化珪素膜11上の薄板シリコン12よりなる積層基板61を準備する。
その後、図9に示すように、フォトリソプロセスにより、薄板シリコン12および二酸化珪素膜11の内部に貫通孔4を形成する。
次に、図10に示すように、薄板シリコン12の表面12Aおよび貫通孔4の内壁4Cの表面に二酸化珪素膜18を形成する。二酸化珪素膜18の膜厚は0.3μm以上、より好ましくは0.5μ以上である。二酸化珪素膜18は、酸素雰囲気にて1100℃以上で積層基板61を加熱する熱酸化法、真空中において微粒子の膜を形成するスパッタリング法、または化学気相成長(CVD)法のいずれか一つを用いて形成することが望ましい。特に、熱酸化法では、貫通孔4の内壁4C、薄板シリコン12の表面12Aに二酸化珪素膜18を均一に形成することができる。スパッタリング法およびCVD法では、貫通孔4の内壁4Cでの二酸化珪素膜18の膜厚が薄板シリコン12の表面12のそれに比べて薄くなる場合がある。しかし、二酸化珪素膜18の表面は熱酸化法で形成されたものより平滑になり、親水性がより大きい。
次に、図11に示すように、ベースシリコン10側からフォトリソプロセスにより、ベースシリコン10の表面10Aから二酸化珪素膜11に達するキャビティ13が形成される。これにより、貫通孔4を有する仕切り板1と枠体2からなるセンサチップ9が得られる。すなわち二酸化珪素膜11と薄板シリコン12は仕切り板1として機能し、キャビティ13が形成されたベースシリコン10は枠体2として機能する。
以上の工程によって得られたセンサチップ9の仕切り板1の上面111Aすなわち細胞接触面と下面111B、貫通孔4の壁面4Cには、通常、有機物を含み空気中に浮遊する粒子が吸着して、仕切り板1の上面111Aや下面111Bを疎水性にする。
次に、図8〜図11に示す工程で得られたセンサチップ9に以下の処理を施して、仕切り板1の細胞接触面すなわち上面111A、下面111B、壁面4Cからこのような有機物を取り除く。仕切り板の表面の炭素の原子比を仕切り板の表面の組成の15原子パーセント以下に削減する。金属とイオンが表面の親水性を大きくするので留まる。親水性を維持するために水接触角D1(図7参照)を10°以下にすべきである。
80〜125℃に熱して温度が管理された濃硫酸(concentrate sulfuric acid)に酸化剤(oxidant)を添加して酸化性溶液である硫酸溶液を作製する。この酸化剤としては、過硫酸アンモニウム(ammonium persulfate)(NH4228、硝酸(nitric acid)HNO3、もしくはオゾン(ozone)O3を用いることが好ましい。なお、過硫酸アンモニウムは固体、硝酸は液体、オゾンは気体で供給されるので、それぞれに適した装置を用いて濃硫酸に添加する。
過硫酸アンモニウムを濃硫酸中に入れると以下の反応が起こり、H228が生成される。
2SO4+(NH4228→(NH4)SO4+H228
酸化性溶液にセンサチップ9を入れると、仕切り板1の上面111A、下面111B、壁面4Cを含むセンサチップ9の表面に付着している有機物と以下の反応が起きる。
228+(CHO)X→XCO2+XH2O+H2SO4
ここで(CHO)Xは長さXのCH基を表す。この反応によってセンサチップ9の表面の有機物が分解する。
酸化剤として過硫酸アンモニウムを用いると、上記の反応で、最終的に生成される副産物として硫酸H2SO4が生成される。上記の反応において、濃硝酸と酸化剤である過硫酸アンモニウムとの反応、さらにCH基とH228との反応が連続して起こることによって最終的に硫酸が生成されるので、硫酸が分解されて消費される量が反応生成物より相対的に少なくなり、硫酸溶液の劣化を少なくすることができ、安定的にセンサチップ9を製造できる。
酸化性溶液に浸したセンサチップ9を再蒸留水でリンスして酸化性溶液を流し、その後、再蒸留水中でセンサチップを保管する。
酸化性溶液に浸した後でセンサチップ9を水酸化アンモニウム水溶液の中に入れてもよい。水酸化アンモニウム水溶液により仕切り板1の表面の二酸化珪素膜11、18の表面がエッチングされる。エッチングにより仕切り板1の表面から有機物がさらに除去される。またこのエッチングにより仕切り板1の表面がより平滑になり親水性がさらに向上する。この処理では、仕切り板1の表面が二酸化珪素もしくはこれを含む材料で形成されていることが好ましい。二酸化珪素は水酸化アンモニウム水溶液によるエッチングレートは小さくて過度にエッチングされない。仕切り板1の表面にシリコンが露出している場合には、水酸化アンモニウム水溶液によりエッチングしすぎないように注意が必要である。仕切り板1をエッチングしすぎると表面の平滑性が失われ、親水性が低下する。なお、水酸化アンモニウム水溶液の代わりに、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムのいずれか一つを含むアルカリ性水溶液を用いてもよい。
上記の処理により、表面より有機物が除去され、センサチップ9は再蒸留水でリンスした後、再蒸留中で保管される。
センサチップ9を酸化性溶液に浸す前に、クロロフォルムとメタノールの混合物の中にセンサチップ9を浸してもよい。これにより、センサチップ9の表面から有機溶媒に溶解する化合物を効果的に除去でき、この後の処理をより効果的にすることができる。また、センサチップ9をクロロフォルムとメタノールの混合物に浸したあとで、再蒸留水でリンスすることが好ましい。再蒸留水でリンスした後でセンサチップ9を酸化性溶液に浸す。
図12と図13に、有機物を除去し表面の親水性を向上させる上記の処理の効果を示す。試料S1〜S3はセンサチップ9であり、同じ方法で作製した。試料S1は酸化性溶液で処理されていない。試料S2は酸化性溶液で処理され、再蒸留水でリンスされている。試料S3は酸化性溶液で処理されて再蒸留水でリンスされ、水酸化アンモニウム水溶液でエッチングされている。図12は試料S1〜S3の表面上の分子の量を示すXPSスペクトルを示す。
図13は表面上に見出された多いほうから3つの分子、すなわち炭素、酸素、シリコンの量の比と、各試料の表面の水接触角D1(図7参照)を示す表である。水接触角D1は試料の表面の親水性を表す。
試料S1では表面の組成の18原子パーセントが炭素であり、接触角D1は49.5°である。試料S1では、仕切り板1の細胞接触面すなわち上面111Aに細胞8は十分保持されない場合がある。
試料S2では表面の組成の14原子パーセントが炭素であって、その水接触角D1は7.8°であり、試料S1より親水性が非常に高いことを示している。このように、親水性が高いと水が表面によって引っ張られる力(表面張力)が大きくなり、これによって貫通孔4の内部への溶液が容易に導入される。これにより、より高い確率で細胞8を貫通孔4の開口部4Aへ引き込むことができる。貫通孔4の壁面4Cにおける水接触角は測定することが困難であるが、酸化性溶液が貫通孔4の内部に侵入するという現象で表面と同様に親水性が向上しているといえる。試料S3では表面組成の9原子パーセントだけが炭素であって、その水接触角D1は3.1°であり、試料S1、S2よりさらに親水性が大きいことを示してる。
図14に示すように、再蒸留水中に保管されたセンサチップ9を取り出し、センサチップ9の表面を部分的に乾燥させて、チッププレート3の貫通孔5の内部に挿入する。
次に、図15に示すように、チッププレート3の貫通孔5とセンサチップ9に隙間が生じないように、センサチップ9の乾燥した一部と貫通孔5に接着剤16を塗布する。接着剤16は紫外線硬化型が作業性の観点から望ましい。紫外線硬化型接着剤は熱硬化型のように熱を加える必要が無く、極めて迅速に硬化反応が終了する。その結果、仕切り板1の特に貫通孔4の付近の部分を長時間空気に露出させることがなく、仕切り板1の親水性を失う可能性が少ない。
接着剤16が硬化した後は速やかに、センサチップ9がセットされたチッププレート3を水あるいは水蒸気で満たされた容器の内部に封止して、チッププレート3を水または水蒸気で満たされた環境で保管する。
以上の工程により、仕切り板1の細胞接触面すなわち上面111A、下面111B、貫通孔4の内壁4Cは水で満たされた状態で、使用まで保存することができる。したがって、非常に小さい漏れ電流で細胞8が強く密着し、効率的に細胞電位を測定できる。
実施の形態による細胞電気生理センサ101では、仕切り板1の貫通孔4の開口部4Aに細胞8を密着させて保持でき、よって、漏れ電流が非常に少ない状態で細胞8の細胞電位を測定できる。これにより、細胞電気生理センサ101は細胞8への薬理効果を判定して薬剤のスクリーニングを行うことができるスクリーニング装置に用いることができる。
本発明による細胞電気生理センサは、細胞が強く密着し、効率的に細胞の細胞電位を測定する装置に有用である。
本発明の実施の形態による細胞電気生理センサの分解斜視図 実施の形態による細胞電気生理センサの上面図 図2に示す細胞電気生理センサの線3−3における断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの拡大断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの拡大断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの拡大断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの仕切り板の親水性を示す図 実施の形態による細胞電気生理センサの製造方法を説明する断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの製造方法を説明する断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの製造方法を説明する断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの製造方法を説明する断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの評価結果を示す図 実施の形態による細胞電気生理センサの評価結果の表を示す図 実施の形態による細胞電気生理センサの製造方法を説明する断面図 実施の形態による細胞電気生理センサの製造方法を説明する断面図
符号の説明
1 仕切り板
4 貫通孔
4C 壁面
9 センサチップ
17A 領域
17B 領域
18 二酸化珪素膜

Claims (10)

  1. 第1面と前記第1面の反対側の第2面とを有し、前記第1面に開口する第1の開口部と前記第2面に開口する第2の開口部と壁面を有する貫通孔が形成された仕切り板を含むセンサチップと、
    細胞浮遊液を収容でき、前記仕切り板の前記第1面上に設けられて前記貫通孔の前記第1の開口部に接している第1の領域と、
    前記仕切り板の前記第2面上に設けられて前記貫通孔の前記第2の開口部に接している第2の領域と、
    を備え、前記仕切り板の前記第1面での炭素の含有量が原子比で前記仕切り板の前記第1面の組成の15原子パーセント以下である細胞電気生理センサ。
  2. 前記仕切り板の前記貫通孔の前記壁面での炭素が、前記仕切り板の前記貫通孔の前記壁面の組成の15原子パーセント以下である、請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  3. 前記仕切り板の前記第2面での炭素の含有量が原子比で、前記仕切り板の前記第2面の組成の15原子パーセント以下である、請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  4. 前記仕切り板の前記第1面において水との接触角が10°以下である、請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  5. 前記仕切り板の前記貫通孔の前記壁面において水との接触角が10°以下である、請求項4に記載の細胞電気生理センサ。
  6. 前記仕切り板の前記第2面において水との接触角が10°以下である、請求項4に記載の細胞電気生理センサ。
  7. 前記仕切り板は前記第1面に設けられた二酸化珪素膜を含む、請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  8. 前記仕切り板は前記第2面に設けられた二酸化珪素膜を含む、請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  9. 前記仕切り板は前記貫通孔の前記壁面に設けられた二酸化珪素膜を含む、請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
  10. 前記センサチップは、前記仕切り板の前記第1面と前記第2面と前記貫通孔の内部が水で満たされた状態で保管される、請求項1に記載の細胞電気生理センサ。
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