JP4039284B2 - 質量測定用圧電振動子の製造方法および質量測定用圧電振動子並びに質量測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、バイオセンサなどに用いる質量測定用圧電振動子の製造方法に係り、特に圧電振動片を備えた質量測定用圧電振動子の製造方法および質量測定用圧電振動子並びに質量測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
食品や生化学、環境などの分野で、特定物質の有無や濃度等を測定するため、微量天秤と称する水晶振動子マイクロバランス(QCM:Quartz Crystal Microbalance)が利用されている。このQCMは、特定物質の検出、質量の検出が可能な質量測定用圧電振動子を有する。この質量測定用圧電振動子は、特定の物質と結合する感応膜を備えた圧電振動片である水晶振動片からなっている。QCMによる特定物質の検出、濃度測定(QCM法)は、まず圧電振動片の励振電極を覆って、検出すべき特定物質の分子認識機能を有する感応膜を形成する。そして、振動子を溶液に浸漬したのち、溶液中で周波数が安定するまで暫く時間をおく。その後、溶液に吸着もしくは脱着、沈殿または分解の反応を起こさせる物質、または検出しようとする物質を加え、振動子上の感応膜に検出しようとする物質を反応させる。
【0003】
これにより、励振電極上の質量が増減して圧電振動子の共振周波数が低下または上昇する。従って、溶液(検体液)中における検出物質の有無を判断することができる。例えば、感応膜に物質が吸着する場合は、検体液中の検出物質の濃度が高いほど、共振周波数の低下速度は速くなる。そこで、圧電振動片の共振周波数の低下速度を把握することにより、検体液中の検出物質の濃度を測定することができる。また、共振周波数の低下量から、感応膜を介して励振電極に付着した検出物質の質量を求めることができる。
【0004】
すなわち、QCM法による励振電極への付着物の質量は、次のソルベリー式によって求めることができる。
【数1】
ここに、δFは圧電振動片の共振周波数の変化量、F0は圧電振動片の初期の共振周波数、Aは励振電極の面積、ρは圧電振動片の密度、μは圧電振動片のせん断応力、δmは電極に付着した物質の質量である。
【0005】
そして、圧電振動片に感応膜を形成する場合、感応膜の多くは、一般にラングミュア−ブロジェット法(LB法)と呼ばれる方法によって行なわれる(例えば、特許文献1、特許文献2)。このLB法による感応膜の形成は、水面に親水基と疎水基とを有する感応膜の単分子膜を形成し、この単分子膜を圧電振動片に移し取ることによって行なう。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−27312号公報
【特許文献2】
特開平9−141186号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記したように、質量測定用圧電振動子の感応膜は、多くの場合、LB法によって圧電振動片に形成する。このLB法によって圧電振動片に感応膜を形成した場合、感応膜は、圧電振動子の片側面全体に形成される。このため、質量測定用圧電振動子の高性能化、小型化に伴って、圧電振動片のスプリアスの発生原因となりやすい。これは次の理由による。
【0008】
数式1に示されるように、QCM法においては、圧電振動片の初期の共振周波数を高くするほど、特定物質の検出精度、質量の検出精度を高めることができる。そして、圧電振動片は、厚さを薄くするほど共振周波数を高くすることができる。ところが、圧電振動片を薄くすると、励振電極の厚さが圧電振動片の厚さに対して相対的に厚くなり、圧電振動子の振動エネルギーの閉じ込めが励振電極で行なわれるようになる。このため、励振電極の形状が振動エネルギーの閉じ込め効率に影響を与えるようになり、圧電振動片のスプリアスの発生に大きく関係してくる。
【0009】
一方、LB法によって感応膜を形成した場合、感応膜は励振電極の範囲を超えて圧電振動片の全面に形成される。従って、質量測定用圧電振動子の感応膜をLB法によって形成した場合、振動エネルギーが感応膜を介して励振電極の周囲に漏れるため、励振電極による振動エネルギーの閉じ込め効果を低減し、圧電振動片のCI値が大きくなるとともに、スプリアスが発生しやすくなる。しかも、LB法によって感応膜を形成した場合、圧電振動片に付着させる感応膜にポーラスな部分が生じたりして、感応膜の厚さや質量を精度よく制御することが困難である。このため、感応膜を設けたときの圧電振動片の特性を想定して励振電極を形成したとしても、実際に感応膜を設けると設計通りの特性とすることができず、スプリアスが発生する場合があり、質量測定用圧電振動子の不良率が高くなってコスト上昇の要因となる。特に、QCMの質量測定用圧電振動子は、検体液中に浸漬して使用することが多く、実効的なCI値が大きくなって共振(発振)しにくいため、圧電振動片のCI値を従来以上に小さな値にする必要がある。
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、質量測定用圧電振動子のスプリアスの発生を防止することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る質量測定用圧電振動子の製造方法は、励振電極を設けた圧電振動片の表面を覆って感応膜を形成する工程と、前記励振電極の外形に沿って前記感応膜に切断溝を形成して励振電極被覆部を他から区画して前記励振電極によって閉じ込められている振動エネルギーが前記励振電極の周囲に漏れるのを防止する工程と、を有することを特徴とする。
【0011】
上記のごとくなっている本発明は、圧電振動片の表面全体に形成された感応膜を、必要十分な幅を持つ切断溝によって励振電極被覆部と他の部分とに区画することにより、励振電極によって閉じ込められている振動エネルギーが、感応膜の影響で励振電極の周囲へ漏れるのを防止することができる。従って、圧電振動片のCI値が大きくなるのを防ぐことができ、不要なスプリアスの発生を防止することができる。また、CI値が大きくなるのを防ぐことができるため、共振特性が向上して液体中における圧電振動片の共振(発振)を容易にできる。
【0012】
そして、本発明は、感応膜の励振電極被覆部を他から区画したのち、励振電極被覆部の一部を励振電極とともに除去することができる。上記のように切断溝によって励振電極被覆部を他から区画しても、発振回路において振動子のスプリアスが影響して主振動で安定発振できない場合、さらに励振電極被覆部と励振電極とを、励振電極の周縁に沿って除去するなどして主振動とスプリアスとの周波数間隔を調整し、スプリアスの発生を回避する。また、励振電極被覆部と励振電極とを除去する場合、圧電振動片を形成している圧電結晶のX軸方向の端部を除去することが望ましい。励振電極によって閉じ込められた振動エネルギーの分布は、X軸方向において正弦波状をなす。主振動の周波数はX方向の寸法に影響を受けないが、この厚みすべりのスプリアスの周波数はX方向の寸法に影響され、X方向の寸法が小さくなると高周波側にシフトする。従って、感応膜の励振電極被覆部とともに励振電極のX方向の寸法を小さくすることにより、主振動がスプリアスにジャンプするのを抑制することができ、スプリアスの発生を防止することができる。また、振動エネルギーは、励振電極のX方向端部において変化が小さく、励振電極のX方向端部を除去することにより、精度のよい調整を行なうことができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明に係る質量測定用圧電振動子の製造方法および質量測定用圧電振動子並びに質量測定装置の好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る質量測定用圧電振動子の説明図であって、(1)は平面図、(2)は(1)のA−A線に沿った断面図である。図1において、質量測定用圧電振動子10は、水晶からなる圧電振動片12が矩形状のATカット圧電板の中央部を薄肉化したいわゆる逆メサ型となっていて、共振周波数が例えば150MHz程度にしてある。圧電振動片12は、図1(1)の左右方向が圧電結晶の結晶軸のX方向、これに直交した図1(1)の上下方向が結晶軸のZ方向となっている。そして、圧電振動片12は、薄肉部14の両側面に励振電極16(16a、16b)が設けてある。また、圧電振動片12は、周縁厚肉部18の両面に接続電極20(20a、20b)を有する。これらの接続電極20は、対応する励振電極16と一体に形成してある。このような質量測定用圧電振動子10は、共振周波数の範囲が60MHzから800MHzのものを得ることができる。
【0016】
質量測定用圧電振動子10は、圧電振動片12の励振電極16aを設けた側の表面に、特定の物質を選択的に結合させる分子認識機能を有する感応膜22を備えている。感応膜22は、例えばLB法によって形成され、励振電極16aを覆って圧電振動片12の片側全面に形成される。また、感応膜22は、励振電極16aの外形に沿って切断溝24が形成され、この切断溝24によって励振電極被覆部22aが他の部分と区画されている。すなわち、感応膜22の励振電極被覆部22aは、励振電極16aの上においては、励振電極16aと同じ大きさ、同じ形状となっている。さらに、感応膜22は、接続電極20aを設けた側の周縁厚肉部18の部分が除去されおり、接続電極20aが露出している。
【0017】
このようになっている質量測定用圧電振動子10は、圧電振動片12の表面に形成した感応膜22が、励振電極16aを覆った励振電極被覆部22aと他の部分と区画されているため、励振電極16aによって閉じ込められている振動エネルギーが、感応膜22の影響で励振電極16の形成領域の外側に漏れることがない。従って、質量測定用圧電振動子10は、圧電振動片12のスプリアス、すなわち質量測定用圧電振動子10のスプリアスの発生を防ぐことができる。また、質量測定用圧電振動子10は、感応膜22を設けることによる圧電振動片12のCI値が大きくなるのを防ぐことができ、液体中において容易に共振(発振)させることができる。なお、励振電極被覆部22aは、図1(1)の仮想線26に示したように、感応膜22の他の部分から分離させてもよい。
【0018】
図2は、実施の形態に係る質量測定装置を模式的に示した断面図である。なお、図2においては、感応膜22は、励振電極被覆部22aのみを示し、他は省略してある。図2において、質量測定装置30は、ケース32を有する。ケース32は、箱状のケース本体34とカバー36とからなっている。カバー36は、平板から形成してあって、接着剤38によってケース本体34の開口部に水密に固着してあり、後述する検体液がケース内に浸入しないようにしてある。また、カバー36には、窓40が形成してある。この窓40は、質量測定用圧電振動子10の励振電極16aに設けた励振電極被覆部22aを露出させ、検体液に接触させる。
【0019】
質量測定用圧電振動子10は、圧電振動片12の周縁厚肉部18がカバー36の内側面における窓40の周囲に導電性接着剤42によって固着してある。また、カバー36の内側面には、導電性材料により形成したパターン部44が設けてあるとともに、接着剤46によってIC48が固着してある。このIC48は、圧電振動片12を共振させる図示しない発振回路を備えている。そして、圧電振動片12の一方の接続電極20aは、パターン部44に導電性接着剤42を介して電気的に接続してある。このパターン部44は、金などからなる複数のワイヤ50によってIC48に電気的に接続してある。また、IC48には、圧電振動片12の他方の接続電極20bがワイヤ50によって電気的に接続してある。さらに、ケース本体34は、側面に貫通孔52を有し、この貫通孔52にケーブル54が接続してある。ケーブル54は、電源線や信号出力線などを有しており、これらの線の先端がIC48に接続してある。
【0020】
このようになっている質量測定装置30は、図3に示したように、ケーブル54の信号出力線が周波数カウンタ56に接続される。この周波数カウンタ56は、出力側がコンピュータ58に接続してあり、計数した圧電振動片12の共振(発振)周波数をコンピュータ58に入力する。そして、質量測定装置30は、検体液容器60に貯留してある検体液62に浸漬される。検体液62中の検出対象である特定物質は、圧電振動片12に設けた感応膜22に結合して付着する。このため、励振電極16aの実質的な質量が増加し、質量測定用圧電振動子10の共振周波数が低下する。コンピュータ58は、周波数カウンタ56の出力する検体液中における圧電振動片12の発振周波数を初期の共振周波数と比較し、予め与えられたアルゴリズムに従って、励振電極16a上に存在する感応膜22に付着した物質の質量を演算して求める。
【0021】
液中測定の具体的方法は、次のようにして行なう。まず、検体液容器60に特定物質を含まない液体(溶媒や溶液)を貯留し、その液体に質量測定装置30を浸漬する。そして、液体中において質量測定用圧電振動子10の共振が安定するのを待つ。共振が安定したら、この共振周波数をコンピュータ58に基準周波数として記憶させる。その後、測定対象物質(特定物質)を含む試料(液体)を検体液容器60中の液体に所定量添加して拡散させ、添加した試料中の測定対象物質を質量測定用圧電振動子10の感応膜22に付着(結合)させる。
【0022】
なお、次のように測定してもよい。まず、検体液容器60を2つ用意しておき、一方には特定対象物を含まない液体(例えば、水またはアルコール)のみを入れ、他方には水またはアルコールに測定対象物を溶解または分散させた試料を入れる。そして、一方の容器において質量測定用圧電振動子10の液中における基準周波数を求める。その後、質量測定装置30を他方の容器の試料中に浸漬して測定対象物の測定を行なう。このようにすることにより、測定対象物の濃度などをより正確、簡易に求めることができる。
【0023】
また、感応膜22に予め測定対象物質を付着または反応させた質量測定装置30を水またはアルコールなどの液体に浸漬する。その後、測定対象物質を脱着または分解させる薬品を液体に添加し、測定対象物質を感応膜22から除去する。これにより、感応膜22と結合していた物質の量などを測定することができる。なお、質量測定用圧電振動子10が気中測定用である場合、両側の励振電極に感応膜を設けることが望ましい。これにより、質量測定用圧電振動子10への付着量を多くすることができ、より正確な測定を行なうことができる。
【0024】
図4は、本発明の実施の形態に係る質量測定用圧電振動子10の製造方法の概略工程を示すフローチャートである。まず、図4のステップ70に示したように、ATカット圧電板を逆メサ型圧電振動片12に加工する。次に、圧電振動片12の両面に、電界メッキやスパッタリングなどによって電極膜を堆積する(ステップ72)。この電極膜は、例えばクロム(Cr)下地に金(Au)薄膜を設けた2層構造として形成することができる。
【0025】
その後、電極膜の表面にフォトレジストからなるマスクを形成し、電極膜をウエットエッチングやドライエッチングし、励振電極16と接続電極20とを形成する(ステップ74)。なお、励振電極16を形成したのち、圧電振動片12の特性を測定したときに、スプリアスが生じているような場合、ステップ76に示したように、例えば励振電極16の周縁部やX方向端部をレーザビームによってトリミングする。これにより、圧電振動片12の主振動とスプリアスとの周波数間隔が調整され、スプリアスの発生を回避することができる。
【0026】
次に、圧電振動片12の片側面全にLB法によって感応膜22を形成する(ステップ78)。さらに、励振電極16aの外形に沿って感応膜22に切断溝24を形成し、励振電極被覆部22aを他の部分から区画して質量測定用圧電振動子10にする(ステップ80)。この励振電極被覆部22aを形成する切断溝24は、レーザビームや電子線の照射、マスクを介した紫外線の照射による感応膜22の分解、あるいはウエットエッチング、ドライエッチングなどによって形成することができる。この励振電極被覆部22aを区画する際に、接続電極20aに対応した部分の感応膜22も除去し、接続電極20aを露出させる。
【0027】
その後、質量測定用圧電振動子10の特性を測定する(ステップ82)。特性を測定した結果、所望の特性が得られていれば、質量測定用圧電振動子10の完成となる。しかし、特性を測定した結果、スプリアスの発生がある場合、レーザビームによって励振電極被覆部22aと励振電極16との一部を除去する。すなわち、図5に示したように、圧電振動片12のX方向における励振電極被覆部22aと励振電極16aとの端部(斜線部)90を除去する。これにより、励振電極16aの辺比を変化させ、屈曲、輪郭すべり等のスプリアス周波数を調整し、スプリアスの発生を回避して質量測定用圧電振動子10を完成させる。なお、励振電極16aのX軸方向の端部を切除してスプリアスの調整を行なうのは、次の理由による。
【0028】
ATカット圧電振動片の励振電極部における振動エネルギーの分布は、図6のようになっている。すなわち、主振動の振動エネルギーのX軸方向に沿った分布は、励振電極16の中央部においてピークを有する分布をなす。これに対して、Z軸に沿った分布は、両端部を除いてほぼ一様な大きさを有する。また、厚みすべりの主振動は、励振電極16のX軸方向の全体にわたってほぼ一様に振動しており、周波数がX軸方向の寸法の影響をほとんど受けない。一方、厚みすべりのスプリアス振動は、周波数が励振電極(振動領域)のX軸方向の寸法の影響を受け、X軸方向の寸法が小さくなると高周波側にシフトする。従って、感応膜22の励振電極被覆部22aとともに励振電極16のX軸方向の端部を切除することにより、主振動とスプリアスとの周波数差を大きくすることができる。その結果、主振動がスプリアスにジャンプするのを防止することができる。従って、励振電極16のX方向の端部を切除することにより、スプリアスの微妙な調整が可能であり、精度のよい調整を行なうことができる。
【0029】
このように、実施の形態においては、圧電振動片12の表面に設けた感応膜22を、切断溝24によって励振電極被覆部22aと他の部分とに区画したことにより、質量測定用圧電振動子10のスプリアスの発生を防ぐことができ、液体中において容易に共振させることができる。
【0030】
なお、実施形態に係る質量測定装置30は、例えば液体中に存在するたんぱく質や汚染物質の検出などのバイオセンサや環境測定装置、さらには粘度計、イオンセンサ、またはにおいセンサなどに使用することが可能である。粘度計として使用する場合には、圧電振動片12を被測定流体に接触させる。この場合、被測定流体の粘度の増加とともに、圧電振動片のインピーダンスが増加して共振周波数が変化する。従って、被測定流体の粘度を検知することができる。一方、イオンセンサとして使用する場合には、感応膜としてイオン吸着物質を塗布すればよい。また、においセンサとして使用する場合には、感応膜としてにおい成分の吸着物質を塗布すればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態に係る質量測定用圧電振動子の説明図である。
【図2】 実施の形態に係る質量測定装置を模式的に示した断面図である。
【図3】 実施形態の質量測定装置の使用状態を示す図である。
【図4】 実施の形態に係る質量測定用圧電振動子の製造方法のフローチャートである。
【図5】 実施の形態に係るスプリアスの調整方法を説明する図である。
【図6】 圧電振動片の励振電極部における振動エネルギーを示す図である。
【符号の説明】
10………質量測定用圧電振動子、12………圧電振動片、16a、16b………励振電極、22………感応膜、22a………励振電極被覆部、30………質量測定装置、48………回路(IC)。
Claims (3)
- 励振電極を設けた圧電振動片の表面を覆って感応膜を形成する工程と、前記励振電極の外形に沿って前記感応膜に切断溝を形成して励振電極被覆部を他から区画して前記励振電極によって閉じ込められている振動エネルギーが前記励振電極の周囲に漏れるのを防止する工程と、を有することを特徴とする質量測定用圧電振動子の製造方法。
- 請求項1に記載の質量測定用圧電振動子の製造方法において、前記励振電極被覆部を区画したのち、励振電極被覆部の一部を励振電極とともに除去することを特徴とする質量測定用圧電振動子の製造方法。
- 請求項2に記載の質量測定用圧電振動子の製造方法において、前記励振電極被覆部の除去は、前記圧電振動片の結晶軸のX軸方向端部であることを特徴とする質量測定用圧電振動子の製造方法。
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