JPH04337012A - 金属粉末の製造装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、溶融金属を流体アトマ
イズ法によって粉末化する金属粉末の製造装置に関する
。

【０００２】

【従来の技術】溶融金属の落下流に流体の高速ジェット
を噴射して金属粉末を製造する流体アトマイズに用いる
装置は、図２に例示する装置が知られており、量産性に
優れる上高合金粉末の製造も可能なことから広く使用さ
れている。

【０００３】この装置を用いて金属粉末を製造するにあ
たり障害となる問題点としてアトマイズされた金属断片
が噴射スリットの上部に付着堆積するというブロッキン
グ現象がある。この現象の発生原因は種々検討されてい
るが、主な要因として次の現象が挙げられる。その一つ
は、図２で示す高速ジェットＪが溶融金属Ｍの落下流Ｍ
′と交差し衝突するアトマイズ点Ｐの近傍において、高
速ジェットＪの衝突した一部が上向きに吹き上がり、落
下流Ｍ′の断片が噴射ノズル３の噴射スリット４の上部
に付着堆積して、ブロッキングを形成するものでガスア
トマイズ法の場合に顕著に現われる。

【０００４】また別の一つは、アトマイズ現象によるも
ので、落下流Ｍ′はアトマイズ点Ｐで高速ジェットＪに
衝突して粉砕・冷却されるまでの流下途中で、高速ジェ
ットＪに巻き込まれる雰囲気流や負圧の影響を受けて、
落下流Ｍ′の一部が溶湯断片に一次アトマイズされる。 この一次アトマイズ断片が噴射スリット４の上部に付着
堆積し、ブロッキングを形成するもので液体アトマイズ
の場合に顕著に現われる。

【０００５】このブロッキング現象は、遂にはアトマイ
ズの続行を不可能にするもので、これに対する各種の対
策が提案されている。例えば、特公昭４３−６３８９号
に開示されたものは、噴射ノズルの内壁面に調整ガイド
を設け、この調整ガイドの下端部と高速流体（高速ジェ
ット）とが接触するように調整し、これにより高速ジェ
ットをノズルの全周に渡り均一化してブロッキング現象
を防止する装置である。また、特開昭５９−１２３７０
４号に開示されたものは、１つの焦点に向けて高圧液体
噴射流（高速ジェット）を噴射する複数個の噴射ノズル
を有するノズルヘッダーの内径側に設けられ、溶融金属
を外乱から保護する保護ガイドとこの保護ガイドの下方
に装着され、高圧液体噴射流（高速ジェット）の拡がり
を拘束する缶体からなり、保護ガイドと缶体の間に設け
た開口部から雰囲気ガスを吸引させてブロッキングを防
止する装置である。さらに特開昭６１−２６６５０５号
公報に開示されたものは、噴射ジェット（高速ジェット
）の焦点よりも上方に設けられた落下流のはね上げ防止
用の下部仕切板および筒体と、さらに下部仕切板の上方
に設けられた上部仕切板からなり、噴射ノズルに溶湯の
飛散片等が集中的に付着するのを防止するためのはね上
げ防止装置を配設した装置である。また、特開昭６４−
２０３号公報に開示されたものは、噴射ノズルの内壁面
に落下する溶融金属との接触角が９０°〜１８０°の濡
れ性を有する（溶融金属が付着し難い性質の）材質によ
り構成したインナーパイプを設け、溶融金属の付着を防
止する装置である。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記した従来の技術に
おけるブロッキング現象の防止策については、次の点に
おいて問題点がある。すなわち、ブロッキング現象は特
定要因により発生するという訳ではなく、種々の要因が
複雑に重なって発生するものであり、さらに突発的に発
生する場合も多いのである。

【０００７】例えば高速ジェットが予期し難い外乱（例
えば噴射スリットの異物の詰まり等）により乱れると、
溶湯の落下流は振れや縒れ、偏向流となり噴射ノズルの
付着が突発的に発生し、これがブロッキング現象にまで
発達することが多々ある。また、溶湯を供給する溶湯ノ
ズルに関わる外乱による溶湯の落下流の乱れや溶湯の過
剰供給においても同様にブロッキング現象が発生する。 このような場合、例示した従来の対策手段では対処が十
分にはできないのである。なぜなら、溶湯の落下流は、
噴射ノズルから噴射される高速ジェットの吸引作用によ
り供給量および流れの運動力学的状態が変化するため、
高速ジェットが乱れると噴射ノズルへの溶湯の付着が発
生し、さらに付着が進行すると溶湯の熱量は噴射ノズル
に伝導されるため、この熱量と流体の高圧力の作用によ
り高速ジェットが噴出する噴射スリットにひずみが生じ
、高速ジェットの乱れを促進することとなり、ブロッキ
ング現象に達する結果になるからである。

【０００８】このような現象を考慮し、種々検討した結
果、ブロッキング現象を防止するためには、噴射ノズル
に溶融金属が付着するのを阻止すると同時に熱伝導を抑
え、噴射スリットのひずみを防止することが必要である
ことがわかった。本願発明は上記の問題点を解消し、ブ
ロッキングの発生がなくて安定して金属粉末の製造がで
きる製造装置を提供することを目的とするものである。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記の諸問題
を解決するためのものであり、噴射ノズルの金属溶湯の
落下流を囲む内壁面の下部に設けられた高速ジェットを
噴射する噴射スリット上部に、溶融金属が付着するのを
防止し、たとえ溶湯が付着しても溶湯の熱が噴射ノズル
へ伝達されるのを抑える手段を構じて噴射スリット部の
ひずみを防止することにより、ブロッキング現象が発生
しないようにしたものである。具体的には本発明は、タ
ンディッシュの底部に装着され、該タンディッシュに貯
留された溶湯を落下させる溶湯ノズルと、高速ジェット
を噴出する噴射スリットを有し、該噴射スリットの上部
の内壁面に表面処理または被覆処理が施された保護板を
装着した噴射ノズルからなり、該噴射ノズルと前記保護
板との間に噴射スリットのひずみを防止する断熱層を設
けたことを特徴とする金属粉末の製造装置である。そし
て、前記の表面処理または被覆処理は、窒化処理、浸炭
、金属炭化物（ＴｉＣ，ＳｉＣなど）の被覆処理、酸化
被膜処理、浸硫窒化など公知の処理方法が適用できる。

【００１０】

【作用】本発明は噴射スリットを有する噴射ノズルの内
径側に保護板を設け、この保護板には表面処理または被
覆処理を施し、かつ保護板と噴射ノズルとの間に断熱層
を設けるものである。保護板の表面に表面処理または被
覆処理を施して、得られた処理層により溶融金属が付着
しないようにすると共に、保護板と噴射ノズルとの間に
断熱層を設けて噴射スリットの歪を防止することの両者
の相乗効果により、高速ジェットが安定して噴射され安
定したアトマイズ作業が行なえる。

【００１１】金属部材の表面に各種の表面処理や被覆処
理を施して溶融金属が付着しないようにする方法、すな
わち濡れ性を低下させる方法はよく知られているが、安
価にしかも確実に濡れ性を低下させるには窒化処理か酸
化被膜処理が最も有効であることがわかったので、本発
明の保護板には両者のいずれかの処理による処理層を設
けるのが望ましい。保護板に上記の処理を施すことによ
り、溶融金属の飛沫が付着しなくなり、またたとえ付着
してもすぐに脱落するので、その結果として噴射スリッ
トのひずみが防止できる。また、保護板と噴射ノズルの
間に設ける断熱層は、溶融金属の落下流の熱や、また仮
に溶融金属の飛沫が付着した場合でも、その熱の伝導が
抑止できる効果を有するので上述したように噴射スリッ
トのひずみが防止でき、安定したアトマイズ作業が行な
える。

【００１２】

【実施例】次に実施例と図面に基づいて本発明をさらに
詳細に説明する。 （実施例１）図１に示した実施例は、タンディッシュ１
の底部の中心位置に設けられた溶湯ノズル２から供給さ
れる溶湯の落下流Ｍ′を囲む噴射ノズル３に設けられた
高圧水ジェットＪを噴射する噴射スリット４の上部に、
ＪＩＳ　ＳＫＤ６１で製作した保護板５を設けたもので
ある。保護板５の表面はガス窒化してある。この保護板
５と噴射ノズル３の内壁面７との間に空間部を設け、こ
の空間部にセラミックファイバーを充填して断熱層６を
形成した。タンディッシュ１に溶融金属Ｍである　ＪＩ
Ｓ　ＳＫＨ５１の溶湯を溶解炉から注湯し、溶湯ノズル
２からφ５ｍｍの溶湯の落下流Ｍ′として自由落下させ
、内径　５０ｍｍの環状の噴射ノズル３に設けられた噴
射スリット４から噴射交角θが３０°の逆円錐型の高速
ジェットＪ（本実施例では水を用いた）を噴射させてア
トマイズを行なった。溶融金属Ｍが溶湯ノズル２から流
出した直後、溶湯の落下流Ｍ′が外乱により乱れ、溶湯
断片が保護板５に付着したが、高圧水ジェットＪが乱れ
ることなくアトマイズの良好な状態が維持され、約３０
分間支障なく作業が続行できた。この付着片は、粉末を
回収後に数片発見されたが、保護板５が窒化してあるこ
とにより断片は大きく成長せず、アトマイズ作業に支障
を生じない小片の段階で落下していることがわかった。 さらに、前記断片が成長しないのは、付着により噴射ノ
ズルのひずみにより生ずる噴射ジェットＪの乱れが、断
熱作用により抑えられる効果によるものであると考えら
れる。

【００１３】（実施例２）図１に示した噴射ノズル３を
逆円錐状ペンシル型とし、高速ジェットとしてガスを噴
射する高圧ガスアトマイズ法をフリーフォール型として
アトマイズ実験を行なった。実施例１と同様の形状で、
ＪＩＳ　ＳＫＤ６１で製作し、表面を酸化させた保護板
５を用い、さらに噴射ノズル３の内壁面７との間隙には
、セラミックファイバーを充填して断熱した。純鉄の溶
湯の落下流Ｍ′に対し５０ｋｇ／ｃｍ２のＮ２ガスによ
りガスアトマイズを行なったところ、高圧ガスジェット
に反射した溶湯の微小断片が付着したが、ガスジェット
が乱れることもなく、また付着も成長するまでに容易に
落下し、高い粉末回収率が得られた。

【００１４】

【発明の効果】本発明によれば、高速ジェットを噴射す
る噴射ノズルの金属溶湯流を囲む内壁面に設けられた噴
射スリットの上部に表面処理または被覆処理が施された
保護板を取り付け、さらにこの保護板と噴射ノズルの内
壁面との間隙に断熱層を形成することによって、ブロッ
キングの発生要因となる飛散した溶融金属断片の付着を
阻止し、かつこの付着により２次的に発生する高速噴射
ジェットの乱れを抑制することにより、従来のアトマイ
ズ法において障害となっていたブロッキング現象の発生
をなくすことができる。したがって、アトマイズ作業を
円滑に能率良く行なうことができ、その効果は非常に大
きい。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る金属粉末の製造装置の一実施例を
示す断面図である。

【図２】従来の金属粉末の製造装置の一例を示す断面図
である。

【符号の説明】

１　　タンディッシュ ２　　溶湯ノズル ３　　噴射ノズル ４　　噴射スリット ５　　保護板 ６　　断熱層 ７　　内壁面 Ｊ　　高速ジェット Ｍ　　溶融金属 Ｍ′　　落下流 Ｐ　　アトマイズ点 θ　　噴霧交角

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　タンディッシュの底部に装着され、該
   タンディッシュに貯留された溶湯を落下させる溶湯ノズ
   ルと、高速ジェットを噴出する噴射スリットを有し、該
   噴射スリットの上部の内壁面に表面処理または被覆処理
   が施された保護板を装着した噴射ノズルからなり、該噴
   射ノズルと前記保護板との間に噴射スリットのひずみを
   防止する断熱層を設けたことを特徴とする金属粉末の製
   造装置。
2. 【請求項２】　　表面処理または被覆処理が、窒化処理
   または酸化被膜処理であることを特徴とする請求項１に
   記載の金属粉末の製造装置。