JPH0433258B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、プラスチツク成形体の表面に、任意
の文字、図柄等を簡単にエンボスする方法に関す
るものである。

さらに詳しくいえば、本発明は、プラスチツク
成形体と電極との間に通電し、その接触面におけ
る電気抵抗で発生する熱を利用して、プラスチツ
ク成形体表面にエンボス加工する方法に関するも
のである。

従来の方法 これまで、プラスチツク成形体の表面にエンボ
ス加工を施す方法としては、あらかじめ内面に所
望の文字又は図柄を刻成した成形用型を用いて成
形時にエンボスされた状態の製品を得る方法、熱
可塑性樹脂成形体の所要部分を加熱軟化させ、彫
型を押圧する方法、あらかじめ加熱した彫型をプ
ラスチツク成形体表面に押圧する方法などが知ら
れている。

しかしながら、成形時にエンボス加工された製
品とする方法は、同じ文字又は図柄を大量に生産
する場合には適しているが、あらかじめ大量生産
した成形体の表面に、少数ずつ多種類のエンボス
加工を行う場合には不適当であるし、またプラス
チツク成形体の一部を加熱軟化させたり、あらか
じめ彫型を加熱するには、特別に加熱手段を準備
しなければならない上に、工程が増加するという
欠点がある。

発明が解決しようとする問題点 本発明の目的は、特別な加熱装置を用いること
なく、あらかじめ形成されたプラスチツク成形体
の表面に、所望の文字や図柄を簡単かつ迅速にエ
ンボス加工する方法を提供することである。

問題点を解決するための手段 本発明者らは、プラスチツク成形体の表面に、
特別な加熱装置を用いることなく、簡単かつ迅速
にエンボス加工を施す方法を開発するために、鋭
意研究を重ねた結果、電極面に所望の文字、図柄
等を刻成し、これをプラスチツク成形体の導電性
表面に圧接し、両者の間に通電させ、プラスチツ
ク成形体表面を加熱軟化させながらエンボスする
ことにより、その目的を達成しうることを見出
し、この知見に基づいて本発明をなすに至つた。

すなわち、本発明方法に従えば、導電性プラス
チツク成形体の導電性表面に、所要の文字、図柄
等を刻成した電極面を圧接し、通電することによ
り、簡単にプラスチツク成形体表面にエンボス加
工を施すことができる。

本発明方法によりエンボス加工しうるプラスチ
ツク成形体は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のい
ずれから成つていてもよい。この熱可塑性樹脂の
例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンのよ
うなポリオレフイン類、ポリ塩化ビニル、ポリス
チレン、アクリル樹脂、フツ素樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリエステル、ポリアミド、ABS樹脂、
ポリフエニレンエーテル、ポリアセタールなどを
挙げることができる。また熱硬化性樹脂として
は、フエノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、
エポキシ樹脂などを挙げることができる。

これらのプラスチツクは、任意の成形方法、例
えば押出成形、射出成形、流し込成形、プレス成
形などにより、任意の形状に成形され、本発明方
法によりエンボス加工することができる。

本発明方法によりエンボス加工するには、プラ
スチツク成形体の加工する面を導電性にすること
が必要である。これは、プラスチツク成形体の少
なくとも加工面に導電性フイラー例えば金属繊
維、金属粉末、炭素粉末、グラフアイト粉末、フ
エライト粉末などを配合することによつて行うこ
とができる。この導電性フイラーは、プラスチツ
ク成形体全体にわたつて配合してもよいし、また
加工面のみに配合してもよい。これらの導電性フ
イラーの配合量は全重量当り２〜80重量％の範囲
が好ましい。そして、この導電性表面の体積固有
抵抗は1000Ω・cm以下にするのがよい。これより
も大きい抵抗をもつと通電しても回路が形成され
ないので、表面において発熱を生じない。

次に本発明方法で用いる電極の材料としては、
例えば、鉄、ニツケル、クロム、銅、アルミニウ
ムのような金属や、炭素、グラフアイトのような
炭素材料や、フエライトのような導電性セラミツ
クなどが好適である。これらの電極材料の表面に
は、プラスチツク表面に施すための所要の文字、
図柄等を刻成する必要があるが、この刻成は、凹
凸を形成させる任意の手段で行うことができ、例
えば彫刻による凹刻、凸刻、あるいは部分的な小
片の接着などを用いることができる。

次に添附図面に従つて、本発明の実施態様を説
明する。

図面は、本発明方法の１例を説明するための断
面図であり、固定台４の上に載置された導電性プ
ラスチツク成形体１の表面に接して、表面に文
字、図柄等を刻成した電極２が配置されている。
このような状態において、導電性プラスチツク成
形体１と電極２との間に導線３，３′を介して通
電しながら、電極２を成形体表面に押圧すると、
電気抵抗による発熱で軟化した成形体表面に、電
極面の文字、図柄がエンボス加工される。

このようにして、非常に簡単な操作により、短
時間でプラスチツク成形体の表面に、任意の文
字、図柄等を施すことができる。

この際の通電条件としては、電圧50〜120V、
電流500〜1200Aで、50〜10Hzのパルス電荷を用
いるのが好ましい。処理に要する時間は通常1/10
００〜1/10秒の範囲である。

発明の効果 本発明方法によれば、特別な加熱装置を必要と
せずに、単に表面に文字、図柄等を刻成した電極
とプラスチツク成形体の導電性表面との間に通電
するだけで、迅速にエンボス加工を施すことがで
きるので、同型の成形体にそれぞれ異なつたエン
ボス加工を行う場合などに便利である。

実施例 次に実施例により本発明をさらに詳細に説明す
る。

実施例 市販の高密度ポリエチレン（密度0.964、
MI0.35）65重量％とカーボンブラツク35重量％
から成る導電性プラスチツク板（100×100×３
mm）の表面に、正三角形の図柄を表面に有する鉄
電極を圧接し、両者の間に60V、800Aの条件で
１／１００秒通電した。

電極を取り除いたところ、プラスチツク板表面
に正三角形の図柄がエンボス加工されていた。

【図面の簡単な説明】

図面は、本発明方法の１例を説明するための断
面図である。 図中符号１は導電性プラスチツク成形体、２は
電極、３，３′は導線である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ プラスチツク成形体の導電性表面に、所要の
   文字、図柄等を刻成した電極面を圧接し、通電す
   ることを特徴とするプラスチツク成形体のエンボ
   ス加工法。