JPH04330275A - アミノ酸生産能を有する微生物及び当該微生物を用いるアミノ酸の製造法 - Google Patents

アミノ酸生産能を有する微生物及び当該微生物を用いるアミノ酸の製造法

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JPH04330275A
JPH04330275A JP19374991A JP19374991A JPH04330275A JP H04330275 A JPH04330275 A JP H04330275A JP 19374991 A JP19374991 A JP 19374991A JP 19374991 A JP19374991 A JP 19374991A JP H04330275 A JPH04330275 A JP H04330275A
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ウラジミール・ゲオルギェウィッチ・デバボフ
Gaburirooba
ガブリローバ
Zakataeba
ザカタエバ
Saidouitsuchi Shiyakurofu Rusutemu
ルステム・サイドウィッチ・シャクロフ
Arekisandorofuna Batsuchiini Tachiana
タチアナ・アレキサンドロフナ・バッチーニ
Moiseeuitsuchi Kurugesu Efugenii
エフゲニー・モイセーウィッチ・クルゲス
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発酵工業に関し、更に詳
しくはアミノ酸生産株の育種方法、それによって育種さ
れた菌株及びそれら菌株を用いるアミノ酸の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】微生物が生産するアミノ酸は、農畜産で
の飼料及び食品産業での添加物、医療での栄養製剤、化
学合成及び薬品工業での試薬、等の用途に広く使用され
ている。既知の技術としては、種々の変異原を使用した
L−リジン(Lys),L−スレオニン(Thr),L
−イソロイシン(Ile),L−バリン(Val)等の
生産株の育種方法が知られている。これらの変異株は、
代謝制御における遺伝的な解除を既に受けており、この
ために、これらの変異株は対応するアミノ酸を培地中に
放出し、蓄積する。これらの変異株は、伝統的な方法、
すなわち栄養要求変異株或はアミノ酸アナログ非感受性
変異株として育種される。
【0003】アミノ酸を生産する栄養要求変異株は対応
アミノ酸生合成の側路をブロックするか或は阻害因子と
してのアミノ酸の生成をブロックする事で得られる。例
えばVal生産バントテン酸要求大腸菌(E.Coli
)変異株(Maas  W.K.,  Vogel  
H.J.,J.Bacteriol.,v.65,p.
388,1953)、  Lys生産ホモセリン要求コ
リネバグテリウム  グルタミカス(Coryne. 
 glutamicus)変異株(Nakayama 
 etal.,  J.Gen.Appl.Micro
biol.,  v.7,  p.41,  1961
)、およびVal生産Ile,Thr,または  ホモ
セリン要求アルスロバクター  パラフィネウス(Ar
thro.  paraffineus)及びコリネバ
クテリウム  ハイドロカーボクラスタス(Coryn
e.  hydrocarboclastus)変異株
(U.S.Pat.,  No.3,700556)が
知られている。
【0004】アミノ酸アナログ非感受性変異株のアミノ
酸の生産はアミノ酸生合成酵素活性のネガティブ・フィ
ードバック阻害、もしくは酵素蛋白生成の制御が解除さ
れているために起こる。Lys生産アミノエチルシステ
イン非感受性  ブレビバクテリウム属変異株(San
o  K.,Shiio  I.,J.Gen.App
l.Microbiol.,v.16  p373,1
970.  Shiio  etal.,J.Bioc
hem.,v.68,p701,1970)、  Th
r生産  アミノハイドロキシ吉草酸(AHV)非感受
性E.coli変異株(Shiio  I.,Naka
mori  S.,  Agr.Biol.Chem.
,v.33,p1152,1969)、  同ブレビバ
クテリウム  属変異株(Shiio  I.,Nak
amori  S.,Agr.Biol.Chem.,
v.34,p448,1970)、Ile生産AHV非
感受性ブレビバクテリウム属またはコリネバクテリウム
属変異株(U.S.Pat.,  No.3,  76
7529)、Val生産2−チアゾールアラニン非感受
性ブレビバクテリウム及びコリネバクテリウム属変異株
(U.S.Pat.,  No.3,893888)、
Ile生産イソロイシン  ハイドロキサメート非感受
性セラチア  マルセッセンス(Serratia  
marcescens)(Kisumi  et  a
l.,  J.Bacteriol.,  v.110
,p.761,  1972)が知られている。
【0005】アミノ酸の生産性が改善されたものとして
、アミノ酸アナログ非感受性変異と栄養要求性変異を組
み合わせたものが知られている(U.S.Pat., 
 No.3,  893888)が、これらは栄養要求
性であるため、その栄養物質含有培地でしか生育出来ず
、産業上更に改善が望まれる。
【0006】また、組換えDNA技術の応用として、遺
伝子供与生物のアミノ酸合成遺伝子含有染色体DNAフ
ラグメントを分離し、これをin  vitroで多コ
ピープラスミドDNAと組み合わせて得たハイブリッド
DNAを高アミノ酸生産性株に導入する方法(U.S.
Pat.,  No.4,  278765;  4,
  391907)を基本とするアミノ酸生産株の調製
法がある。 本法によると、染色体DNAフラグメントを分離し、変
異させて、アミノ酸生合成の調節を消去している。一般
論として、組換えDNAの受容株は、合目的に作られた
株、もしくは、DNA供与株そのものが用いられる。然
しながら、上述の種々の方法では、これまでのところ、
IleまたはVal生産E.coli優秀株を育種する
ことが出来なかったのである。それ故、アミノ酸生産株
の新育種方法の開発が依然として要求されているわけで
ある。
【0007】さて現在までのところ、我々が関心を持っ
て研究し、成果をあげたアミノアシルt−RNA合成酵
素遺伝子を変異せしめることを特徴とした対応するアミ
ノ酸の高生産性株は、知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】アミノアシルt−RN
A合成酵素、即ちアミノ酸の活性化酵素は、素材である
アミノ酸から蛋白質を合成する場合の必須因子であり、
活性化されたアミノ酸の合成、つまり、  アミノ酸の
対応t−RNAへの結合を触媒する。  多くの場合、
ひとつのアミノ酸に対し一種のアミノアシルt−RNA
合成酵素しか存在しないので完全失活は致命的であり、
条件づき変異しか起り得ないと思われる。
【0009】アミノアシルt−RNA合成酵素が変化し
た変異株について、以下の報告がある。 1.Roth  J.R.,  and  Ames 
 B.N.,  J.Mol.Biol.,  v.2
2,  p.325,  1966. 2.Neidhardt  F.C.,  Bacte
riol.  Rev.,  v.30,  p.70
1,  1966. 3.Folk  W.R.,  and  Berg 
 P.J.,  Bacteriol.,  v.10
2,  p.193,  1970. 4.Iaccarino  M.,  and  Be
rg  P.J.,  Bacteriol.,  v
.105,  p.527,  1971. 5.Johnson  E.M.  et  al.,
  J.Bacteriol.,v.129,  p.
66,  1979.
【0010】アミノアシルt−RNA合成酵素変異にお
いて栄養要求性を示す場合があるが、これは、通常の栄
養要求変異株ではない。というのは、アミノ酸生合成能
が損なわれているのではなく、アミノ酸を蛋白合成へ利
用する能力が低下しているからである。一方、この種の
栄養要求性変異は、対応アミノ酸の生合成を増強する変
異、すなわち対応アミノ酸の細胞内濃度を増大させる更
なる変異により抑制されて、表現上は栄養非要求性とな
ることが報告されている(上記文献1,  4−5)。 然しながら、この栄養要求性を示すアミノアシルt−R
NA合成酵素変異に基づいて、育種されたアミノ酸生産
株、及びその育種方法については未だ知られていないの
である。当然アミノ酸の過剰生産をもたらすこれら変異
の役割についても解析されていない。本発明はアミノア
シルt−RNA合成酵素遺伝子に変異を施すことにより
、最終的には栄養要求性を付加することなく、アミノ酸
生産能の増強した菌株を育種すること、更に詳しくは、
Ile及びVal生産E.coli株の育種方法とそれ
により得られた変異株によるIle及びValの発酵生
産の方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、後に詳
述する様に、本発明に基づいて、培地への通常量以上の
対応アミノ酸の添加により生育が回復される栄養要求性
を発現するアミノアシルt−RNA合成酵素変異と、当
該アミノ酸の生合成阻害が解除された変異を結びつける
ことにより、当該アミノ酸生産能が増強された生産株を
育種する方法を開発することにより達成された。即ち、
生産しようとするアミノ酸に対応するアミノアシルt−
RNA合成酵素遺伝子の変異であって、生育のために該
アミノ酸の生合成経路が遮断された変異株の該アミノ酸
の要求量以上の該アミノ酸の培地への添加を必要とする
アミノ酸要求性変異と、該アミノ酸生合成の代謝制御変
異とからなるアミノ酸生産菌の育種方法であり、該アミ
ノ酸生合成の代謝調節変異株をアミノアシルt−RNA
合成酵素遺伝子の変異株より復帰変異法を用いて得られ
る育種方法に関する。更にはこれら方法により得られた
変異株によるアミノ酸の発酵生産に関わり、更に詳しく
は大腸菌によるIle及びValの製造方法に関する。
【0012】栄養要求性を示すアミノアシルt−RNA
合成酵素変異は、対応アミノ酸への該酵素の基質親和性
を数倍減少(すなわちKmを増加)させた(上記文献 
 3−4)。それ故、細胞内の活性化アミノ酸(対応ア
ミノアシルt−RNA)生成が減少する。この状況下で
は、もし当該アミノ酸の生合成に関与する構造遺伝子の
発現が、アテニュエーションによる制御機構をもってい
るものであれば、転写は著しく増大する。この制御機構
は、E.coliなど数種の細菌の多数のアミノ酸オペ
ロンに存在していることが知られている(Kolter
  R.,  Yanofsky  C.,  Ann
.Rev.Genet.,  v.16,p.113,
  1982;    Matsui  K.  et
  al.,  NucleicAcids  Res
.,  v.14,  p.10113,  1986
;  Shimotsu  H.  et  al.,
J.Bacteriol.,  v.166,p.46
1,  1986;  Kuroda  M.I.  
et  al.,J.Bacteriol.,  v.
167,  p.792,  1986)。
【0013】更に、アミノアシルt−RNA生成の減少
は、細胞内グアノシン−4−リン酸(ppGpp)濃度
を増大させ、これがアミノ酸オペロンの転写の始動を活
性化することが知られている(Stephens  J
.C.  et    al.,Proc.Nat.A
cad.Sci.USA,  v.72,  p.38
9,  1975;Cashel  M.,  and
  Rudd  K.E.  In:Esherich
ia  coli  and  Salmonella
  typhimurium:cellular  a
nd  molecular  biology(Vo
l.12,  Neidhardt  F.C.,  
ed.),  p.1410,ASM,  Washi
ngton,  1987).これらの事実を結合する
と、対応するアミノアシルt−RNA合成酵素変異によ
って当該アミノ酸の過剰生産の可能性が生まれる。そし
て、この可能性は、当該アミノ酸の生合成酵素活性阻害
などの調節を解除することで実現されると考えられる。
【0014】アミノ酸の過剰生産の目的の実現のために
必要なアミノ酸生合成酵素遺伝子の高度発現は対応アミ
ノ酸を培地に通常量添加してもアミノ酸の要求性が充分
には抑制されない、アミノアシルt−RNA合成酵素変
異によってのみ可能となる。これらの変異は、対応アミ
ノ酸非要求性の親株をN−メチル−N’−ニトロ−N−
ニトロソグアニジンで処理する様な伝統的変異誘導法に
より誘導され得るであろう。目的変異株のスクリーニン
グは、対応アミノ酸高濃度(3−10mg/ml)添加
培地で緩慢に生育し、無添加培地もしくは通常量の対応
アミノ酸添加培地には生育しない栄養要求株を選ぶこと
により行われる。このスクリーニング法でによってアミ
ノアシルt−RNA合成酵素活性低下変異株のみが得ら
れる、というのは、対応アミノ酸生合成経路をブロック
された変異株の生育は培地へのアミノ酸の低濃度(0.
005−0.05mg/ml)添加で回復され得るから
である。
【0015】この変異株を更に変異処理し、対応アミノ
酸無添加もしくは低濃度添加培地に生育する復帰変異株
を選ぶことにより、細胞内関連アミノ酸生成濃度が増大
した変異株を得ることが出来る。ここで言う復帰変異株
とは、当初起こった変異が原形に復するような変異が起
こったものではなく、他の遺伝子などDNA上の別の場
所に生じた変異が、当初の変異による傷害を修復したと
いう場合の復帰変異株をいい、擬復帰変異株とも言われ
るものである。この方法によって、アミノ酸の大量生産
に係わる多種類の遺伝子レベルでの変異を誘導すること
ができ、変異株の選択を繰り返すことによりアミノ酸高
生産株が得られるのである。復帰変異株が、なおアミノ
アシルt−RNA合成酵素活性の低下の状態にあること
は、アテニュエーションの除去などそのアミノ酸の高生
産性に役だっているわけである。以上の様にして、有用
なアミノ酸生産株を育種することができる。  更に言
えば、アナログ非感受性変異などの既知の変異と、上述
のアミノアシルt−RNA合成酵素活性低下変異と、も
しくは更に(擬)復帰変異をも加えた上で、これらの変
異を形質転換法、形質導入法、接合法、あるいは、プロ
トプラスト融合法等で組み合わせてアミノ酸生産性を向
上せしめることが可能である。変異を集合する手段とし
て、組換えDNA技法を適用することも可能である。本
発明によって、エシェリヒア(Eshe−richia
)属細菌人工変異株を使用する既知の方法よりも高収率
でVal及びIleを生産する変異株が育種されたので
ある。
【0016】以上、本発明について説明したが、実施例
において更に詳細に説明する。
【0017】
【実施例】
【0018】
【実施例1】 1、高濃度Ile要求性変異株の採取
【0019】E.coli  K12  W3350株
をN−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン
で処理し、Ile  10mg/ml存在下、37℃、
24時間振とう培養した。細胞を洗い、グルコース0.
2%含有最少培地に懸濁し、37℃でインキュベートし
た。吸光度  590nm(A590)の濁度で測定し
て2倍に生育した時点で、ペニシリン  G  を20
00  units/mlになるように添加し、37゜
C、3時間インキュベート後、細胞を洗い、グルコース
  0.2%及び  Ile  10mg/ml含有最
少寒天培地にスプレッドした。その後常法により、Il
e高濃度含有培地生育可能Ile要求変異株を採取した
。この様にして、それぞれ独立にIleS2,  Il
eS17,  及び、  IleS32の3株を分離し
た。表1に、種々のIle濃度の最少培地にて18時間
培養したIle要求変異株の生育度(590  nm 
 における吸光度、  A590)を示す。
【0020】
【表1】
【0021】一般的な、アミノ酸生合成経路がブロック
されたタイプのIle要求変異株VL330(ilvA
、  スレオニン  デアミナーゼ遺伝子)は、Ile
0.05mg/ml含有培地で、最大生育に達している
。変異株IleS2,IleS17,  IleS32
は、生育に、遥かに高濃度のIleを要求している。更
に、変異株IleS17は、Ile  5mg/ml含
有培地においても、なお、不充分な生育を示している。
【0022】遺伝解析の結果、IleSシリーズのIl
e要求性変異は、E.coli染色体上、スレオニンオ
ペロンとロイシンオペロンの間で、イソロイシルt−R
NA合成酵素遺伝子のある場所にマッピングされた。さ
らに常法により測定したIleS2及びIleS17の
イソロイシルt−RNA合成酵素活性は、各々、親株E
.coli  W3350株の活性の43%及び37%
と低い値を示した。
【0023】2、高Val要求性変異株の採取
【002
4】W3350株から誘導したE.coli  VL1
502(ValR,  pyrB::Tn5)、をN−
メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン処理し
、Val  10mg/ml存在下、37℃、30時間
通気培養した。ついで既述のペニシリン濃縮を2回施し
た後、Val要求変異株を採取した。調べたコロニーの
約20%が、Val要求性であった。この様にして、そ
れぞれ独立の9株のValSシリーズ変異株を分離した
。表2に、種々のVal濃度の最少培地にて20時間培
養した3株のValSシリーズ変異株の生育度(590
  nm  での吸光度、  A590)を示す。
【0025】
【表2】
【0026】ValSシリーズVal要求性変異は、す
べて、pyrB::Tn5をマーカーとするP1ファー
ジ形質導入で、高頻度(82−96%)に形質導入され
た。本結果は、ValS変異がマップされている同じ遺
伝子位置に,Val要求性変異が存在することを示して
いる。数種のValS変異株につき、常法によりバリル
t−RNA合成酵素活性を測定したところ、その数値は
減少しており、ValS52株のバリルt−RNA合成
酵素活性は親株の16%にしか過ぎなかった。この様に
して、上述の方法を用いることにより、アミノアシルt
−RNA合成酵素活性が低下した変異株を容易に得るこ
とができる。
【0027】3、IleS17変異株中のグアノシン−
4−リン酸(ppGpp)濃度の測定
【0028】対応アミノ酸飢餓培養の期間、IleS変
異株、及び、ValS変異株では、対応アミノアシルt
−RNA合成酵素活性が弱いために、イソロイシルt−
RNA濃度、或は、バリルt−RNA濃度が減少するも
のと考えられる。その結果、ppGpp生成が増加して
いるに違いない。それ故、Ile含有最少培地で生育し
た親株W3350と変異株IleS17の細胞内ppG
pp濃度を常法により測定した。
【0029】
【表3】
【0030】表3の結果の中で、変異株IleS17の
ppGpp濃度は、同一条件で生育した親株W3350
のppGpp濃度の4倍である。更に、ppGpp濃度
は、生育培地のIle濃度に依存している、すなわち、
Ile濃度が高くなるにつれて、IleS17細胞中の
ppGpp濃度は低くなった。
【0031】4、IleSシリーズ変異株のスレオニン
  デアミナーゼ活性の測定
【0032】E.coli株のIle及びVal生産は
、ilv−オペロンの発現量に依存するに違いない。 ilvGMEDAオペロンの作用発現に対するIleS
変異の効果を測定するために、Ile低濃度(0.01
または0.05mg/ml)添加、及び、高濃度(5.
2mg/ml)添加培地で生育させたIleSシリーズ
変異株について、スレオニン  デアミナーゼ(ilv
A)活性を、常法を用いて測定した(表4)。
【0033】
【表4】
【0034】表4に示した結果の中で、スレオニン  
デアミナーゼ活性は、いずれのIle添加濃度において
も、IleSシリーズ変異株の方が、親株W3350よ
り高かった。また、Ile  5.20mg/ml添加
培地で、変異株IleS17が最大のスレオニン  デ
アミナーゼ活性(親株W3350の14培)を示してい
る。
【0035】
【実施例2】 1、IleSシリーズ変異株よりのIle生産性復帰変
異株の採取
【0036】IleS2、  IleS17  and
  IleS32をN−メチル−N’−ニトロ−N−ニ
トロソグアニジン処理し、グルコース  0.2%添加
  またはグルコース  0.2%  と  Thr 
 3mg/ml添加最小培地プレートにスプレッドし、
48〜72時間培養した。出現した復帰変異株について
、培地へのIle分泌能、及びIle要求(ilvA)
変異株を用いるハロー生成能(表5)を調べた。
【0037】
【表5】
【0038】この様にして、IleSシリーズ変異株を
用いることによりIle生産性変異株が、容易に得られ
る。
【0039】Ile生産性復帰変異株について、スレオ
ニン  デアミナーゼ活性、及び最終生産物Ileによ
る当該活性阻害を測定した。殆どのIle生産性復帰変
異株のスレオニンデアミナーゼは、1mM  Ileに
よって阻害されなかった。更に、Ile生産復帰変異株
Rev7434(IleS2からの誘導株)のスレオニ
ンデアミナーゼは、最終生産物に対し全く非感受性であ
った。Rev7434株についての遺伝解析、及びDN
Aシーケンス分析の結果、その最終生産物による阻害の
完全な解除の変異は、スレオニン  デアミナーゼをコ
ードしているilvA遺伝子内で起こっていることがわ
かった(ilvA  mutation)。
【0040】2、ValR,  ilvA7434,及
びileS17変異をもつIle生産株の育種
【004
1】Rev7434株は他のE.coli  K12株
と同じく、ilvGMEDA  オペロンの発現を減少
させる作用を示す変異をilvG遺伝子に受けている。 この損傷を除くために、Rev7434株からVal耐
性変異株を、グルコース  0.2%  及び  Va
l  1mg/ml添加寒天培地にスプレッドすること
により採取した。この様にして、ilvGMEDA  
オペロンに存在するVal耐性関与遺伝子においてあら
たに変異が起こったValR株VL1886を得た。V
L1886株で増殖させたファージP1を用いて、VL
334株(thrCilvA)へ形質導入した。グルコ
ース  0.2%  及び  Thr  0.05mg
/ml添加最少培地でIle+  形質導入株を採取し
た。その90%以上が、Val耐性株で、Ileによる
スレオニン  デアミナーゼ阻害に対し非感受性であっ
た。この様にして、VL1887(thrC  ilv
A7434  valR)を得た。次いでIleS17
で増殖させたファージP1をVL1887株への形質導
入に使用した。グルコース添加最少培地にて、Thr+
形質導入株を採取した。その50%が緩慢な生育を示し
、Ile添加により生育が促進された。これらの株は、
いずれも、IleS変異を受けとった形質導入株であっ
た。この様にして、valR,ilvA7434,及び
IleS17変異を同時にもっている変異株VL189
2株を得た。この株は、Ile非感受性スレオニン  
デアミナーゼを有し、活性もRev7434の場合より
6−10倍高い値を示した。ハロー形成法により、VL
1892株のIle生産性が明かになった。
【0042】3、低コピープラスミドを用いることによ
るilv−オペロンを有するIle生産株の育種
【00
43】AB1206株は低コピープラスミドF’14を
宿し、F’14上にはilv−オペロンの染色体フラグ
メントが存在し、同時に対応する染色体上の遺伝子を欠
損している。VL1886で増殖させたファージP1を
、AB1206株の形質導入に使用した。グルコース 
 0.2%  及び  Val  1mg/ml添加最
少培地で形質導入株を採取した。この様にしてvalR
変異、及びilv7434変異(常法によるスレオニン
  デアミナーゼ活性測定で立証された)をもっている
F’14プラスミドを有する株KX139を得た。この
プラスミドは、接合によって、多種類のE.coli株
中に、具体的には、IleS17に、移行され得る。然
しながら、recA+株中では、高頻度の染色体への挿
入が原因で、このF’14プラスミドは不安定である。 それ故、recA変異を、NK6659(Hfr  K
L16  srl::Tn10  recA)株から通
常の接合法を用いて導入した。組換え株は、テトラサイ
クリン  0.01mg/ml添加  L−broth
寒天培地上で採取し、当該株中、UV感受性IleS株
を選択した。 この様にして、遺伝子型がileS17  recAを
有する変異株KX140を採取した。接合により、KX
140細胞中に、プラスミドF’14(valRilv
A7434)を挿入してKX141株を育種した。ハロ
ー形成法により、当該株のIle生産性が示された。
【0044】4、Ile新生産菌株を用いたIle生産
【0045】E.coli  VL1892株  及び
  KX141株を、M9寒天培地で培養したのち、5
0mlのL−ブロス(ペプトン  10g/l,酵母エ
キス  5g/l,グルコース  1g/l及び塩化ナ
トリウム  5g/l,  pH7.2)含有エーレン
マイヤーフラスコに、白金耳にて接種した。フラスコを
、回転シェーカーに架けて、200  r.p.m.、
37℃,18時間培養し、シード培養液を得た。グルコ
ース  30g/l,  硫酸アンモニウム  5g/
l,K2HPO42g/l,MgSO4・7H2O  
0.4g/l,FeSO4・7H2O  0.02g/
l,MnSO4・5H2O  0.02g/l,酵母エ
キス  0.2g/l,及びThr  1g/l含有メ
イン培地を調製した。300mlの培地を、500ml
容ジャーファーメンターに注入し、121℃,15分殺
菌した。30mlの上記のシード培養液を接種し、90
0r.p.m.回転、1:1/min通気して  培養
した。培養pHを約7.2に、pHモニター指示により
、自動的に、  10%−Thr,  60%−グルコ
ース,及び25%−NH4OH(10:7:1)混合液
をフィードすることにより、制御した。 46時間培養後のVL1892株培養液、及び、KX1
41培養液中のIle蓄積濃度は、それぞれ、8−13
g/l,および、11−17.8g/lであった。  
KX141株はブタペスト条約で認められているソ連の
All−Union  Collection  of
  Industrial  Microorgani
sms  in  VNIIGENENTIKAにVK
PM  B−4781として寄託されている。
【0046】
【実施例3】 1、Val生産IleS32  ValR復帰変異株の
採取
【0047】Val生産株採取のため、IleS及び 
 ValR(ilvG)の変異を受けた菌株の育種を試
みた。  先ずValR(ilvG)変異により、E.
coliK12株が本来欠損している、Val生合成路
のキイ酵素のひとつであるVal非感受性アセトヒドロ
キシ酸合成酵素IIを回復させた。ファージP1媒介の
形質導入によって、C600  ValR(Val  
1mg/mlに耐性)株からValR変異形質を、また
、IleS32株からileS32変異を、VL334
(thrC  ilvA)株の染色体中に導入した。グ
ルコース  0.2%及びVal  2mg/ml含有
M9寒天培地で、valR形質導入株を採取し、またI
le  2mg/ml含有M9寒天培地で、Thr+,
IleS形質導入株を採取した。
【0048】この様にして、IleS32  ValR
株を育種した。次いで、当該株のIle非要求性復帰変
異株を、Ile無含有M9培地にプレートすることによ
り選択した。本プレートに生育したコロニーについて、
Ile  0.05mg/ml含有M9最少寒天培地で
のIle及びVal要求性のE.coliを用いてハロ
ー形成能を調べた。この様にして、Valを分泌するR
ev835,  Rev839  and  Rev8
74を採取した。ファージP1による形質導入によって
、これら復帰変異株が、他のE.coli株に移行させ
得るileS変異を保持していることが判った。
【0049】2、栄養要求復帰変異株を用いるVal生
【0050】採取した変異株のVal生産能を試験管培
養で調べた。発酵培地組成は、グルコース  50g/
l,硫酸アンモニウム  10g/l,K2HPO4 
 1g/l,MgSO4・7H2O  0.4g/l,
FeSO4・7H2O  0.02g/l,MnSO4
・5H2O  0.02g/l,及びCaCo3(別殺
菌)  20g/l,pH7.2であった。20ml容
試験管に、3mlの培地を注入し、被検株菌体を一白金
耳接種し、37℃、46時間培養した。  表6に、発
酵ブロス上澄液中の、Val含量を示す。
【0051】
【表6】
【0052】3、Val高生産有用株の育種
【0053
】Val生産株を改良するために、またVal生産に対
しileS変異が果たす役割を明らかにするために、R
ev874株をもとに、IleS+株及びIleS−株
を採取した。DNA供与株NK6066(thr::T
n9)細胞に増殖させたファージP1を用い、Rev8
74株の染色体中に  thr::Tn9を形質導入し
た。クロラムフェニコール  10μg/ml含有L−
ブロス寒天培地にて、形質導入株を採取した。 それらの中から、Ile無添加最少培地で迅速に生育す
る(IleS+)Thr要求株VL1966を得た。当
該株の細胞を、IleS17株で増殖させたファージP
1を用いて形質導入した。形質導入株は、グルコース 
 0.2%及びIle  2mg/ml含有M9最少培
地にて選択した。Thr+形質導入株中から、VL19
68(IleS+)、及び、VL1970(IleS1
7)の二株を得た。この二株とRev874のVal生
産性を、前述の培養法を用いて調べた。生産性は、培養
液の吸光度に対するVal蓄積濃度の比率で計算した。 結果を、表7に示した。
【0054】
【表7】
【0055】表7から、ileS変異が、E.coli
  Val生産株のVal生産性を著しく増大すること
が判る。また、培地へのIle添加で、僅かにしか生育
が回復されないileS17変異が、Val生産性をよ
り大幅に高めることが判る。Val生産改良株VL19
70が、Val生産に効果があるilvオペロンと、イ
ソロイシルt−RNA合成酵素活性が低下したileS
17変異とを、組み合わせることにより育種出来たので
ある。
【0056】4、E.coli新株VL1970を用い
るVal生産
【0057】E.coli  VL1970株を、シー
ド培地を注入したエーレンマイヤーフラスコにて37℃
,18時間,300r.p.m.で、回転培養した。シ
ード培地として、グルコース  1%含有M9最少培地
を用いた。メイン培地として、グルコース  30g/
l,硫酸アンモニウム  5g/l,K2HPO4  
2g/l,MgSO4・7H2O  0.4g/l,F
eSO4・7H2O  0.02g/l,MnSO4・
5H2O  0.02g/l,塩化ナトリウム  0.
6g/l,及び酵母エキス  0.25g/l,pH7
.2、組成の培地を調製した。300mlのメイン培地
を500ml容ジャー・ファーメンターに注入し、12
1℃,15分殺菌した。30mlの上記組成のシード培
養液を接種し、37℃,900r.p.m.回転、1:
1/min通気して、培養した。培養pHを、約7.2
に、pH−モニター指示により、自動的に、50%  
glucose及び25%−NH4OH(6:1)混合
液をフィードすることにより制御した。46時間培養し
たブロス中のVal濃度は、8.2−10.6g/lで
あり、組換えDNA法で育種したE.coliの場合の
7倍であった。  VL1970株はブタペスト条約で
認められているソ連のAll−Union  Coll
ection  of  Industrial  M
icroorganisms  in  VNIIGE
NETIKAにVKPM  B−4411として寄託さ
れている。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】生産しようとするアミノ酸に対応するアミ
    ノアシルt−RNA合成酵素遺伝子の変異であって、生
    育のために該アミノ酸の生合成経路が遮断された変異株
    の該アミノ酸の要求量以上の該アミノ酸の培地への添加
    を必要とするアミノ酸要求性変異と、該アミノ酸生合成
    の代謝制御変異とから成る、アミノ酸生産菌の育種方法
  2. 【請求項2】代謝制御変異株が、アミノアシルt−RN
    A合成酵素遺伝子の変異株より復帰変異法を用いて得ら
    れるものである請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の方法により得られたイソロ
    イシン生産株。
  4. 【請求項4】請求項1記載の方法により得られたバリン
    生産株。
  5. 【請求項5】変異株が大腸菌である請求項3又は4記載
    の変異株。
  6. 【請求項6】請求項3記載の変異株を栄養液体培地で培
    養し、培地中からL−イソロイシンを回収することを特
    徴とするL−イソロイシンの製造方法。
  7. 【請求項7】請求項4記載の変異株を栄養液体培地で培
    養し、培地中からL−バリンを回収することを特徴とす
    るL−バリンの製造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO1996006926A1 (fr) * 1994-08-30 1996-03-07 Ajinomoto Co., Inc. Procede pour produire de la l-valine et de la l-leucine
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