JPH04325664A - スポット溶接性に優れた亜鉛系表面処理鋼板の製造法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、自動車、家電、建築分
野等で多用される亜鉛系表面処理鋼板の製造法に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、合金化処理した亜鉛系表面処理鋼
板は、曲げ加工や絞り加工に多くのスポット溶接を施し
て各種の形状に成形される事から、良好な加工性やスポ
ット溶接性が要求されている。特にその溶接性は、非メ
ッキ鋼板に較べて、溶融点が低くしかも電気抵抗が小さ
いため、溶接時の発熱が十分でないため大きな電流の必
要から、溶接チップの銅電極の溶損が激しく連続溶接打
点性を著しく劣化する問題があった。また、溶接時の発
熱によりメッキの亜鉛金属と電極チップの銅とが素早く
反応して硬く脆いＺｎ−Ｃｕ合金層を形成して電極チッ
プが損耗し、電極チップの寿命を短命化する問題もあっ
た。このような難点を解決した亜鉛メッキ鋼板が、多く
の特許公報で紹介されている。例えば、特開昭５５−１
１０７８３号公報では「電気抵抗が大きく融点の高い特
性を持つＡｌ２Ｏ３、ＳｉＯ２、ＴｉＯ２の１種以上か
らなる酸化物皮膜を、亜鉛メッキ層または亜鉛合金メッ
キ層の上に生成せしめて、メッキ鋼板全体のスポット溶
接性を非メッキ鋼板に匹敵する程度まで向上させた表面
処理鋼板」、特開昭６０−６３３９４号公報は「亜鉛系
連続被覆層表面にＴｉ、Ａｌ等を含有する炭酸類、リン
酸類等を塗布して生成された不活性被膜で溶接性を改善
した亜鉛メッキ鋼板」、さらには特開平１〜９６３９３
号公報は「鋼板表面にＮｉまたはＣｏの単体もしくは合
金のメッキ層を施し、その上に亜鉛もしくは合金化亜鉛
のメッキを施したメッキ鋼板」がある。さらにまた、特
開昭５９−１０４４６３号公報では「溶融メッキ後、水
または各種金属塩化物の水溶液を塗布し、加熱して不活
性被膜を生成させる溶融亜鉛メッキ鋼板の製造法」も紹
介されている。このように溶接性を改善した多くの種類
の亜鉛メッキ鋼板が開発されている。中でも特開平１−
９６３９３号公報のように、ＮｉやＣｏのメッキ層を施
した亜鉛メッキ鋼板は、そのＮｉＯ、ＣｏＯが化成処理
性に対して何ら悪影響を及ぼさないことから一般に多く
使用されている。　しかしながら、本発明者らによると
、その製造法が該公報で説明されるように、Ｎｉ、Ｃｏ
を電気メッキした溶液中で浸漬処理または陽極酸化処理
して酸化物を形成する処理法で行われているため、Ｎｉ
、Ｃｏメッキ層の表面のみが酸化物層に転じ、溶接性が
それ程改善されない問題があった。また、このようにメ
ッキ層の一部がＮｉまたはＣｏ金属の形で残存した場合
、溶接時の高温度を受けて脆いＮｉ−ＺｎまたはＣｏ−
Ｚｎの合金層を形成してメッキ層が剥離され、しかもメ
ッキ層内で生成される局部電池によってＺｎの腐食を早
めメッキ鋼板の耐食性を著しく劣化せしめる問題もあっ
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
諸問題を解消し、しかも簡単な方法でＮｉおよびＣｏの
酸化物層のみを生成させてスポット溶接性を向上した亜
鉛系表面処理鋼板の製造法を提供する事を目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】その要旨とするところは
、亜鉛もしくは亜鉛系合金を被覆した亜鉛系メッキ鋼板
を合金化熱処理した亜鉛系表面処理鋼板を、Ｎｉイオン
またはＣｏイオンあるいはその両者を含有しさらに該イ
オンの有機錯化剤および酸化剤を含有して、ｐＨが１．
５〜４．０または１０．０〜１２．０の処理液中に浸漬
あるいはその溶液を噴霧して該メッキ鋼板表面にＮｉま
たはＣｏあるいはこれらを混合した酸化物皮膜を１〜１
００ｍｇ／ｍ２付着するスポット溶接性に優れた亜鉛系
表面処理鋼板の製造法である。

【０００５】以下、本発明について詳細に説明をする。 本発明において亜鉛系メッキ鋼板とは、溶融メッキ法あ
るいは電気メッキ法で製造された各種の亜鉛メッキ鋼板
で、例えば亜鉛メッキ鋼板、Ｆｅ−Ｚｎ合金メッキ鋼板
、Ｎｉ−Ｚｎ合金メッキ鋼板等、さらにはこれらのメッ
キ鋼板にＺｎ−Ｃｏ、Ｆｅ−Ｐ等各種の合金メッキを施
した多層メッキ鋼板等である。　本発明は、このような
亜鉛もしくは亜鉛系合金を被覆した亜鉛メッキ鋼板を通
常の条件で合金化熱処理した直後あるいは一旦常温まで
冷却した亜鉛系表面処理鋼板を、ＮｉまたはＣｏの酸化
物皮膜生成水溶液中に浸漬あるいはその水溶液を噴霧す
る。酸化物皮膜生成水溶液とは、ＮｉイオンまたはＣｏ
イオンあるいはその両者を含有する水溶液で、亜鉛系表
面処理鋼板のメッキ表面にＮｉＯまたはＣｏＯ皮膜を生
成させるものである。該水溶液は、主剤にＮｉイオンま
たはＣｏイオンの硫酸塩、塩酸塩、炭酸塩を、さらに有
機錯化剤と酸化剤を混合して配合されている。有機錯化
剤は、ＮｉイオンまたはＣｏイオンと結合してｐＨが１
．５〜４．０と１０．０〜１２．０の間で安定してイオ
ンとして存在すると共に、メッキ鋼板表面上で置換反応
によってＮｉまたはＣｏ金属を安定かつ均一に析出させ
るものであって、酢酸、クエン酸、リンゴ酸等のカルボ
ン酸およびエチレンジアミン四酢酸等のアミン化合物が
使用される。また酸化剤は、メッキ鋼板表面に析出した
ＮｉまたはＣｏ金属を瞬時に酸化させてＮｉＯまたはＣ
ｏＯに変換するために配合するものであり、硝酸塩やク
ロム酸塩等が使用される。さらに本発明では、生成され
る酸化物皮膜生成速度を早めその密着性を高めるために
、酸化物皮膜生成水溶液のｐＨを１．５〜４．０または
１０．０〜１２．０に抑制する必要がある。すなわち、
水溶液のｐＨが１．５未満（酸濃度が高い）また１２．
０を越える（アルカリ濃度が高い）場合メッキ鋼板表面
に析出したＮｉまたはＣｏ金属が酸化物と変化すること
なくその一部が金属として残存し、他方ではｐＨが４．
０を越えまた１０．０未満の場合酸化物皮膜生成速度が
遅くしかも剥離し易い粗密な酸化物皮膜を生成し易い。 本発明に好都合な酸化物皮膜は、発明者らの実験による
と、水溶液の温度およびメッキ鋼板の浸漬処理時間を制
御する必要があり、しかもこれらの制御条件は亜鉛系メ
ッキ形態によって変わる事も見出している。さらに、こ
のようにして製造された亜鉛系表面処理鋼板の酸化物皮
膜生成量についても、スポット溶接時の連続打点数から
１〜１００ｍｇ／ｍ２に規制する必要がある。すなわち
酸化物皮膜生成量が１ｍｇ／ｍ２未満ではスポット溶接
性の向上が認められず、１０〜８０ｍｇ／ｍ２の範囲で
最もスポット溶接性が改善され、１００ｍｇ／ｍ２を越
えると酸化物皮膜を生成させないメッキ鋼板と同程度と
なる。また発明者らの実験によると、酸化物皮膜生成量
が１００ｍｇ／ｍ２を越えると、亜鉛系メッキ鋼板の塗
装下地処理として実施されるリン酸塩処理において均一
なリン酸塩皮膜が生成され難くなる傾向がある。 従って、１００ｍｇ／ｍ２を越える過剰な酸化物皮膜の
付着は避けるべきである。

【０００６】尚、本発明においては、ＮｉＯ、ＣｏＯ以
外に同様の方法で生成させたＺｎＯ、Ｃｒ２Ｏ３、Ｍｎ
Ｏ、ＭｇＯ、ＣａＯ、ＣｕＯ、ＳｎＯ２、Ｆｅ２Ｏ３、
Ａｌ２Ｏ３、ＰｂＯ、Ｓｂ２Ｏ３の酸化膜についても検
討した。その結果、合金化溶融亜鉛メッキ鋼板ままに比
べて若干溶接性を向上させる酸化膜はＺｎＯ、Ｃｒ２Ｏ
３、ＭｎＯ、ＭｇＯであったが他の酸化膜は溶接性を現
状のままかまたはかえって劣化させる問題があった。ま
た複合酸化膜についても検討したがＮｉＯまたはＣｏＯ
酸化膜と同時にＺｎＯ、Ｃｒ２Ｏ３、ＭｎＯ、ＭｇＯを
少量混合させることによって安定した溶接性（連続溶接
打点数のバラツキが小さい）が得られ、また化成処理性
や塗料密着性も良好な方向に働く事も判かった。上記の
ような本発明法によって製造された亜鉛もしくは亜鉛系
合金を被用した亜鉛系表面処理鋼板は、スポット溶接性
に優れ加工性も耐食性も具備している。次に、本発明の
実施例について述べる。

【０００７】

【実施例】表は、板厚；０．８ｍｍの鋼板にゼンジミア
ー方式で亜鉛または亜鉛−ニッケル合金の溶融メッキを
施した（目付量；６０ｇ／ｍ２）亜鉛系メッキ鋼板を温
度５１０℃で合金化処理した直後の亜鉛系表面処理鋼板
に、各種の酸化物皮膜生成水溶液を噴霧した時の処理条
件と連続スポット溶接性評価の結果を示す。

【０００８】

【表１Ａ】 ┘

【０００９】

【表１Ｂ】 ┘

【００１０】

【表１Ｃ】 注１；酸化皮膜量の測定法（表示は金属換算付着量）塩
酸１Ｎ溶液で剥離後原子吸光分析法またはメッキ鋼板ま
まで蛍光Ｘ線法で分析した。 注２；スポット溶接条件は下記の通り ■加圧力；２５０ｋｇ ■初期加圧時間；６０Ｈｚ ■通電時間；１２Ｈｚ ■保持時間；１０Ｈｚ ■溶接電流；１１ＫＡ ■チップ先端径；５．０ｍｍφ（ドーム型）■電極寿命
判定；５０点毎に溶接電流の８５％で溶接しその時のナ
ゲット径が３．６ｍｍを確保出来るまでの打点数。 ■電極材質；Ｃｕ−Ｃｒ合金 ■スポット溶接材；松下電器産業製ＹＲ−５００ＳＢ２
その結果ＮｉＯまたはＣｏＯ皮膜を生成させることによ
りスポット溶接時において連続打点数を増加させ、それ
だけチップを取替えることなく長時間溶接が出来、チッ
プの耐久性を向上させることができる。

【００１１】

【発明の効果】以上、述べたように、本発明法は、既存
の設備を利用し噴霧する溶液の中に低濃度の金属イオン
を添加するだけでＮｉＯまたはＣｏＯの酸化膜を生成さ
せることが出来、他の電解法や浸漬法に比べて何らの設
備対応が必要でなく非常に経済的である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　亜鉛もしくは亜鉛系合金を被覆した亜
   鉛系メッキ鋼板を加熱して合金化熱処理した亜鉛系表面
   処理鋼板を、ＮｉイオンまたはＣｏイオンあるいはその
   両者を含有しさらに該イオンの有機錯化剤および酸化剤
   を含有して、ｐＨが１．５〜４．０または１０．０〜１
   ２．０の処理液中に浸漬あるいはその溶液を噴霧して該
   メッキ鋼板表面にＮｉまたはＣｏあるいはこれらを混合
   した酸化物皮膜を１〜１００ｍｇ／ｍ２付着する事を特
   徴とするスポット溶接性に優れた亜鉛系表面処理鋼板の
   製造法。