JPH0432143B2 - - Google Patents
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- JPH0432143B2 JPH0432143B2 JP10114086A JP10114086A JPH0432143B2 JP H0432143 B2 JPH0432143 B2 JP H0432143B2 JP 10114086 A JP10114086 A JP 10114086A JP 10114086 A JP10114086 A JP 10114086A JP H0432143 B2 JPH0432143 B2 JP H0432143B2
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Description
〔産業上の利用分野〕
本発明は北海や北極海のような氷海域で使用さ
れる、海底石油掘削リグ係留用チエーン用鋼に関
するものである。 〔従来の技術〕 引張強度70kgf/mm2以上で靱性に優れたチエー
ンとして、本出願人の出願に係る特公昭60−
33178号や特公昭61−7468号がある。しかしなが
ら石油掘削活動が北海や北極海のような氷海域へ
と進展するに伴い、リグ係留用のチエーンとし
て、直径が70mm以上の太径で低温靱性に優れたも
のが要求されるようになつてきた。例えば引張強
度70kgf/mm2以上、降伏強度が46kgf/mm2以上、
伸び率が17%以上、絞り率が50%以上で母材部お
よび溶接接合部のシヤルピー吸収エネルギーは−
60℃で2.8kgfm以上が必要とされている。現在、
引張強度70Kgf/mm2以上の3種チエーン用材とし
ては、JISおよび日本海事協会規格(NK)やノ
ルウエー(NV)あるいはアメリカ船級協会
(AB)にそれぞれ、KSB70,NVK3鋼および3a
鋼として成分は定められており、3種チエーンは
これらの成分から成る丸鋼を800℃以上の高温に
加熱してリンク形状に加工後、一般に焼ならしや
焼入焼戻等の熱処理により製造されている。しか
しこれらの3種チエーンは、低温靱性が低く、せ
いぜい0℃までの海域で使用されているもので、
氷海域の環境温度である−60℃では到底使用出来
るものではなかつた。これに対して−60℃までの
低温靱性を考慮したチエーン用鋼とては、例えば
特公昭51−24967号に良好な溶接を有する低炭素
高強度製造用鋼の記載があり、この鋼の適用温度
は−60℃まで考慮したものとなつている。しかし
この鋼は焼入性向上元素として2〜5%もの多量
のCrを必要とする非常に高価な鋼材となつてお
り、しかも−60℃における溶接接合部の靱性につ
いては、全く記載されておらず不明である。また
この発明に記載されている鋼材の直径は10〜30mm
程度の細径材であるが、一般に径が太くなるに従
つて強度および靱性は著しく低下することが知ら
れている。 そこで本発明者らがこの発明と同じ成分を有す
る直径が78mmの丸鋼を用い、フラツシユバツト溶
接実験を行なつたところ、多量のCr酸化物が接
合面に散在し、溶接部の靱性は著しく低下するこ
とがわかつた。このようにして従来技術では特に
溶接部の靱性確保が困難であつた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明はこれまで製造出来なかつた、氷海域で
使用されるチエーン用鋼に関するものであり、焼
入焼戻処理によつて直径70mm以上の太径で引張強
度が70kgf/mm2以上、降伏強度が46kgf/mm2以上、
伸び率が17%以上、絞り率が50%以上でさらに母
材部および溶接接合部のシヤルピー吸収エネルギ
ーが−60℃で28kgfm以上が得られるチエーン用
鋼に関するものである。 一般にチエーンリンクはフラツシユバツト溶接
によつて接合されるが、溶接面には次に示すよう
な種々の欠陥が生成し、引張特性および靱性が劣
化する。 まずフラツシングによつて形成される溶融部
に、これと隣接する固相部からCや合金元素が移
動して濃化するが、この溶融部がアプセツト時に
押し出されるため、接合部にはこれらの元素が少
なくなり焼入性が低下する。また鋼材成分に相応
して生成したAl,Si,MnおよびCr等の各種酸化
物が完全に排出されず、一部溶接面に残留するた
め引張特性および靱性が劣化する。またアツプセ
ツト時の圧着力により接合面に平行なメタルフロ
ーが生成し、これも長手方向の靱性劣化の原因と
なる。このように溶接部の機械的性質は種々の原
因により、劣化が避けられない。 本発明は鋼材の成分を適切に組合わせることに
より、従来の溶接技術によつても強度および靱性
に優れたチエーン用鋼を、低コストで提供するこ
とを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 すなわち本発明は、 (1) C:0.15〜0.35%,Si:0.15〜0.50%,Mn:
1.00〜2.00%,Cr:0.50%以下,Mo:0.10〜
0.60%、酸可溶性Al:0.010〜0.100%を含有し、
残部はFeおよび不可避的な不純物から成る、
引張強度70kgf/mm2以上、−60℃におけるシヤ
ルピー衝撃値2.8kgfm以上の低温靱性に優れた
太径、高強度チエーン用鋼であり、又、 (2) C:0.15〜0.35%,Si:0.15〜0.50%,Mn:
1.00〜2.00%,Cr:0.50%以下,Mo:0.10〜
0.60%、酸可溶性Al:0.010〜0.100%を含有し、
更にVまたはNbまたはTiを0.01〜0.10%を含
有し、残部はFeおよび不可避的な不純物から
成る、引張強度70kgf/mm2以上、−60℃におけ
るシヤルピー衝撃値2.8kgfm以上の低温靱性に
優れた太径、高強度チエーン用鋼である。 〔作用〕 次に本発明の条件を定めた理由について述べ
る。 (1) Cは低コストで鋼の焼入性を高める最良の元
素であるが、含有量が0.15%未満では、所定の
強度が得られず、一方0.35%超えると焼入時に
割れが発生したりフラツシユバツト溶接接合部
の靱性劣化を招くため上限を0.35%とした。 (2) Siは強化元素として使用すると同時に、脱酸
元素として使用するもので0.15%未満では、両
効果が期待出来ない。また強化および脱酸作用
は0.05%で十分であり、0.05%を超えるとシリ
ケート系介在物の増加により靱性および延性の
低化を招くため上限を0.50%とした。 (3) Mnは靱性劣の少ない焼入性向上元素として
使用するものであるが、1%未満では十分な焼
入効果が得られず強度の確保が困難であり、ま
た2.0%を超えると焼割れが発生するようにな
るため上限を2.0%とした。 (4) Crは溶鋼中のCの活量を低下させフラツシ
ユバツト溶接時の脱炭を少なくするのに有効な
元素であるが、一方酸化物を形成しやすく、こ
れが接合面に残留して靱性を低下させる主要な
原因となるため上限は0.05%とした。またCrを
使用しなくてもC,Mn等の組み合わせによ
り、所要の溶接部材質が得られるため下限は0
%とした。 (5) Moはフラツシユバツト溶接時に減少する割
合が極めて少ない元素の一つで、溶接部の焼入
性を確保するために使用する。さらにチエーン
の焼戻処時において軟化抵抗が大となるため、
高温焼戻が可能となり靱延性を向上させる。氷
海域におけるチエーンの到達温度は−60℃であ
り、当該温度で所定の衝撃値を得るためには
0.10%以上必要であり、また0.06%を超えると
前記効果が飽和し、コスト増を招くためMoの
必要量は0.10〜0.60%とした。 (6) 酸可溶性Alはチエーンの焼入時においてオ
ーステナイト結晶粒の粗大化を防止し、熱処理
後の組織を微細化するため靱性を向上させる作
用を有する。この効果を得るためには0.010%
以上の含量が必要でありまた0.100%を超える
とアルミナ系の介在物が増加し、靱性の劣化を
招くため上限を0.100%とした。 (7) Nb,VおよびTiは熱処理理後の結晶粒の微
細化に寄与すると同時に、炭窒化物を析出する
ため母材部および溶接部の強度および靱性の両
特性を改善する。このためチエーンの強度およ
び靱性を、さらに高めたい場合に使用するもで
ある。このためには、それぞれ0.010%以上必
要であり、また0.0100%を超えるとコスト高と
なり、さらに介在物が増加し靱性を低下させる
ため上限を0.100%とした。なおNb,Vおよび
Tiは、そのそれぞれの成分値の範囲内で複合
添加ても同じく強靱化作用が得られるので、複
合添加は何らさしつかえない。 〔実施例〕 次に実施例により本発明を説明する。第1図に
チエーンお製造工程を示す。チエーン用素材とし
ては一般に丸棒が使用され、これを鋸によつて所
定の長さに切断し、熱間にて曲げ加工後フラツシ
ユバツト溶接により接合される。その後焼ならし
または焼入焼戻等の熱処理によつて強度および靱
性が付与される。第1表に転炉で出鋼し試験に用
いた本発明鋼および比較材とてのJIS3種チエーン
用KSBC70鋼の化学成分と、あわせて従来技術の
一例として特公昭51−24967号で開示されている
鋼の化学組成(化学組成は実施例から引用した)
を記載した。
れる、海底石油掘削リグ係留用チエーン用鋼に関
するものである。 〔従来の技術〕 引張強度70kgf/mm2以上で靱性に優れたチエー
ンとして、本出願人の出願に係る特公昭60−
33178号や特公昭61−7468号がある。しかしなが
ら石油掘削活動が北海や北極海のような氷海域へ
と進展するに伴い、リグ係留用のチエーンとし
て、直径が70mm以上の太径で低温靱性に優れたも
のが要求されるようになつてきた。例えば引張強
度70kgf/mm2以上、降伏強度が46kgf/mm2以上、
伸び率が17%以上、絞り率が50%以上で母材部お
よび溶接接合部のシヤルピー吸収エネルギーは−
60℃で2.8kgfm以上が必要とされている。現在、
引張強度70Kgf/mm2以上の3種チエーン用材とし
ては、JISおよび日本海事協会規格(NK)やノ
ルウエー(NV)あるいはアメリカ船級協会
(AB)にそれぞれ、KSB70,NVK3鋼および3a
鋼として成分は定められており、3種チエーンは
これらの成分から成る丸鋼を800℃以上の高温に
加熱してリンク形状に加工後、一般に焼ならしや
焼入焼戻等の熱処理により製造されている。しか
しこれらの3種チエーンは、低温靱性が低く、せ
いぜい0℃までの海域で使用されているもので、
氷海域の環境温度である−60℃では到底使用出来
るものではなかつた。これに対して−60℃までの
低温靱性を考慮したチエーン用鋼とては、例えば
特公昭51−24967号に良好な溶接を有する低炭素
高強度製造用鋼の記載があり、この鋼の適用温度
は−60℃まで考慮したものとなつている。しかし
この鋼は焼入性向上元素として2〜5%もの多量
のCrを必要とする非常に高価な鋼材となつてお
り、しかも−60℃における溶接接合部の靱性につ
いては、全く記載されておらず不明である。また
この発明に記載されている鋼材の直径は10〜30mm
程度の細径材であるが、一般に径が太くなるに従
つて強度および靱性は著しく低下することが知ら
れている。 そこで本発明者らがこの発明と同じ成分を有す
る直径が78mmの丸鋼を用い、フラツシユバツト溶
接実験を行なつたところ、多量のCr酸化物が接
合面に散在し、溶接部の靱性は著しく低下するこ
とがわかつた。このようにして従来技術では特に
溶接部の靱性確保が困難であつた。 〔発明が解決しようとする問題点〕 本発明はこれまで製造出来なかつた、氷海域で
使用されるチエーン用鋼に関するものであり、焼
入焼戻処理によつて直径70mm以上の太径で引張強
度が70kgf/mm2以上、降伏強度が46kgf/mm2以上、
伸び率が17%以上、絞り率が50%以上でさらに母
材部および溶接接合部のシヤルピー吸収エネルギ
ーが−60℃で28kgfm以上が得られるチエーン用
鋼に関するものである。 一般にチエーンリンクはフラツシユバツト溶接
によつて接合されるが、溶接面には次に示すよう
な種々の欠陥が生成し、引張特性および靱性が劣
化する。 まずフラツシングによつて形成される溶融部
に、これと隣接する固相部からCや合金元素が移
動して濃化するが、この溶融部がアプセツト時に
押し出されるため、接合部にはこれらの元素が少
なくなり焼入性が低下する。また鋼材成分に相応
して生成したAl,Si,MnおよびCr等の各種酸化
物が完全に排出されず、一部溶接面に残留するた
め引張特性および靱性が劣化する。またアツプセ
ツト時の圧着力により接合面に平行なメタルフロ
ーが生成し、これも長手方向の靱性劣化の原因と
なる。このように溶接部の機械的性質は種々の原
因により、劣化が避けられない。 本発明は鋼材の成分を適切に組合わせることに
より、従来の溶接技術によつても強度および靱性
に優れたチエーン用鋼を、低コストで提供するこ
とを目的とする。 〔問題点を解決するための手段〕 すなわち本発明は、 (1) C:0.15〜0.35%,Si:0.15〜0.50%,Mn:
1.00〜2.00%,Cr:0.50%以下,Mo:0.10〜
0.60%、酸可溶性Al:0.010〜0.100%を含有し、
残部はFeおよび不可避的な不純物から成る、
引張強度70kgf/mm2以上、−60℃におけるシヤ
ルピー衝撃値2.8kgfm以上の低温靱性に優れた
太径、高強度チエーン用鋼であり、又、 (2) C:0.15〜0.35%,Si:0.15〜0.50%,Mn:
1.00〜2.00%,Cr:0.50%以下,Mo:0.10〜
0.60%、酸可溶性Al:0.010〜0.100%を含有し、
更にVまたはNbまたはTiを0.01〜0.10%を含
有し、残部はFeおよび不可避的な不純物から
成る、引張強度70kgf/mm2以上、−60℃におけ
るシヤルピー衝撃値2.8kgfm以上の低温靱性に
優れた太径、高強度チエーン用鋼である。 〔作用〕 次に本発明の条件を定めた理由について述べ
る。 (1) Cは低コストで鋼の焼入性を高める最良の元
素であるが、含有量が0.15%未満では、所定の
強度が得られず、一方0.35%超えると焼入時に
割れが発生したりフラツシユバツト溶接接合部
の靱性劣化を招くため上限を0.35%とした。 (2) Siは強化元素として使用すると同時に、脱酸
元素として使用するもので0.15%未満では、両
効果が期待出来ない。また強化および脱酸作用
は0.05%で十分であり、0.05%を超えるとシリ
ケート系介在物の増加により靱性および延性の
低化を招くため上限を0.50%とした。 (3) Mnは靱性劣の少ない焼入性向上元素として
使用するものであるが、1%未満では十分な焼
入効果が得られず強度の確保が困難であり、ま
た2.0%を超えると焼割れが発生するようにな
るため上限を2.0%とした。 (4) Crは溶鋼中のCの活量を低下させフラツシ
ユバツト溶接時の脱炭を少なくするのに有効な
元素であるが、一方酸化物を形成しやすく、こ
れが接合面に残留して靱性を低下させる主要な
原因となるため上限は0.05%とした。またCrを
使用しなくてもC,Mn等の組み合わせによ
り、所要の溶接部材質が得られるため下限は0
%とした。 (5) Moはフラツシユバツト溶接時に減少する割
合が極めて少ない元素の一つで、溶接部の焼入
性を確保するために使用する。さらにチエーン
の焼戻処時において軟化抵抗が大となるため、
高温焼戻が可能となり靱延性を向上させる。氷
海域におけるチエーンの到達温度は−60℃であ
り、当該温度で所定の衝撃値を得るためには
0.10%以上必要であり、また0.06%を超えると
前記効果が飽和し、コスト増を招くためMoの
必要量は0.10〜0.60%とした。 (6) 酸可溶性Alはチエーンの焼入時においてオ
ーステナイト結晶粒の粗大化を防止し、熱処理
後の組織を微細化するため靱性を向上させる作
用を有する。この効果を得るためには0.010%
以上の含量が必要でありまた0.100%を超える
とアルミナ系の介在物が増加し、靱性の劣化を
招くため上限を0.100%とした。 (7) Nb,VおよびTiは熱処理理後の結晶粒の微
細化に寄与すると同時に、炭窒化物を析出する
ため母材部および溶接部の強度および靱性の両
特性を改善する。このためチエーンの強度およ
び靱性を、さらに高めたい場合に使用するもで
ある。このためには、それぞれ0.010%以上必
要であり、また0.0100%を超えるとコスト高と
なり、さらに介在物が増加し靱性を低下させる
ため上限を0.100%とした。なおNb,Vおよび
Tiは、そのそれぞれの成分値の範囲内で複合
添加ても同じく強靱化作用が得られるので、複
合添加は何らさしつかえない。 〔実施例〕 次に実施例により本発明を説明する。第1図に
チエーンお製造工程を示す。チエーン用素材とし
ては一般に丸棒が使用され、これを鋸によつて所
定の長さに切断し、熱間にて曲げ加工後フラツシ
ユバツト溶接により接合される。その後焼ならし
または焼入焼戻等の熱処理によつて強度および靱
性が付与される。第1表に転炉で出鋼し試験に用
いた本発明鋼および比較材とてのJIS3種チエーン
用KSBC70鋼の化学成分と、あわせて従来技術の
一例として特公昭51−24967号で開示されている
鋼の化学組成(化学組成は実施例から引用した)
を記載した。
【表】
本発明鋼は氷海域用チエーンへの適用を目的と
したものであるが、これを3種チエーン用鋼と比
較するとCr,Moの両元素(本発明鋼1,3,
4)あるいはMoが増加している(本発明鋼2)。
しかし同じ氷海域用チエーンへの適用を目的とし
た特公昭51−24967鋼に比較して本発明鋼は、Cr
を著しく低くし、若干のMoを使用している点に
特徴がある。 次に本発明鋼1〜4および3種チエーン用鋼を
用いて、熱間圧延によつて直径が78mmの棒鋼に圧
延した。これを1メートルずつの長さに切断して
加熱炉中で950℃で45分間加熱した後、直ちに円
環状に曲げ加工を行ない両端部をフラツシユバツ
ト溶接により接合し、チエーンリンクを製造し
た。このリンクを連結して製造したチエーン150
メートルを第2表に示す温度条件で縦型の連続熱
処理炉により950℃に加熱後、焼入処理を行ない、
550℃および650℃で焼戻処理を行なつた。これに
対して特公昭51−24967鋼は、発明の詳細な説明
によると、熱処理は焼入まま(水冷、油冷)およ
び焼ならし(空冷)処理が行なわれている。
したものであるが、これを3種チエーン用鋼と比
較するとCr,Moの両元素(本発明鋼1,3,
4)あるいはMoが増加している(本発明鋼2)。
しかし同じ氷海域用チエーンへの適用を目的とし
た特公昭51−24967鋼に比較して本発明鋼は、Cr
を著しく低くし、若干のMoを使用している点に
特徴がある。 次に本発明鋼1〜4および3種チエーン用鋼を
用いて、熱間圧延によつて直径が78mmの棒鋼に圧
延した。これを1メートルずつの長さに切断して
加熱炉中で950℃で45分間加熱した後、直ちに円
環状に曲げ加工を行ない両端部をフラツシユバツ
ト溶接により接合し、チエーンリンクを製造し
た。このリンクを連結して製造したチエーン150
メートルを第2表に示す温度条件で縦型の連続熱
処理炉により950℃に加熱後、焼入処理を行ない、
550℃および650℃で焼戻処理を行なつた。これに
対して特公昭51−24967鋼は、発明の詳細な説明
によると、熱処理は焼入まま(水冷、油冷)およ
び焼ならし(空冷)処理が行なわれている。
以上のように本発明は、これまで製造出来なか
つた直径が70mm以上の太径で高強度高靱性が要求
される、氷海域チエーン用鋼を低コストで提供す
るものであり、その効果は極めて大きい。なお、
本発明は、太径用として開発されたが、種々の直
径のチエーン用としても適用できる。
つた直径が70mm以上の太径で高強度高靱性が要求
される、氷海域チエーン用鋼を低コストで提供す
るものであり、その効果は極めて大きい。なお、
本発明は、太径用として開発されたが、種々の直
径のチエーン用としても適用できる。
第1図はチエーンの製造工程を示し、第2図は
機械試験片の採取位置を示す。
機械試験片の採取位置を示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C:0.15〜0.35重量% Si:0.15〜0.50重量% Mn:1.00〜2.00重量% Cr:0.50重量%以下 Mo:0.10〜0.60重量% 酸可溶性Al:0.010〜0.100重量% を含有し、残部はFeおよび不可避的な不純物か
ら成る、引張強度70kgf/mm2以上、−60℃におけ
るシヤルピー衝撃値2.8kgfm以上の低温靱性に優
れた太径、高強度チエーン用鋼。 2 C:0.15〜0.35重量% Si:0.15〜0.50重量% Mn:1.00〜2.00重量% Cr:0.50重量%以下 Mo:0.10〜0.60重量% 酸可溶性Al:0.010〜0.100重量% を含有し、更にVまたはNbまたはTiを0.01〜
0.10%含有し、残部はFeおよび不可避的な不純物
から成る、引張強度70kgf/mm2以上、−60℃にお
けるシヤルピー衝撃値2.8kgfm以上の低温靱性に
優れた太径、高強度チエーン用鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10114086A JPS62260043A (ja) | 1986-05-02 | 1986-05-02 | 低温靭性に優れた太径、高強度チエ−ン用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10114086A JPS62260043A (ja) | 1986-05-02 | 1986-05-02 | 低温靭性に優れた太径、高強度チエ−ン用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS62260043A JPS62260043A (ja) | 1987-11-12 |
JPH0432143B2 true JPH0432143B2 (ja) | 1992-05-28 |
Family
ID=14292774
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10114086A Granted JPS62260043A (ja) | 1986-05-02 | 1986-05-02 | 低温靭性に優れた太径、高強度チエ−ン用鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS62260043A (ja) |
Families Citing this family (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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CN100420765C (zh) * | 2006-03-07 | 2008-09-24 | 河北工业大学 | 矿用圆环链用钢 |
DE102011054840A1 (de) * | 2011-10-26 | 2013-05-02 | Rud Ketten Rieger & Dietz Gmbh U. Co. Kg | Härtbarer Stahl für Hebe-, Anschlag-, Spann- und/oder Zurrmittel der Güteklasse 8 und darüber, Bauelement der Hebe-, Anschlag-, Spann- und/oder Zurrtechnik sowie Verfahren zur Herstellung eines solchen Bauelements |
JP7062973B2 (ja) * | 2018-01-26 | 2022-05-09 | 日本製鉄株式会社 | 係留チェーン用鋼および係留チェーン |
JP7248897B2 (ja) * | 2019-06-21 | 2023-03-30 | 日本製鉄株式会社 | 係留チェーンおよび船舶 |
CN114369759A (zh) * | 2021-12-20 | 2022-04-19 | 江苏亚星锚链股份有限公司 | 一种耐低温锚链 |
-
1986
- 1986-05-02 JP JP10114086A patent/JPS62260043A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS62260043A (ja) | 1987-11-12 |
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