JP2001073083A - 耐摩耗性に優れたアズロール電縫鋼管 - Google Patents
耐摩耗性に優れたアズロール電縫鋼管Info
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Abstract
などの温間温度域での空気輸送に対しても優れた耐摩耗
性を有する電縫鋼管を安直に製造する。 【解決手段】 鋼の化学成分組成を、C:0.35〜
0.55%、Si:0.05〜0.40%、Mn:1.
20超〜2.00%、P:0.03%以下、S:0.0
1%以下とし、さらにC+Mn/4.5≧0.65、M
n/C≧2.5となるようにした鋼を熱間圧延して製造
した鋼帯をもってアズロール電縫鋼管とする。
Description
フライアッシュなどの空気輸送に使用される耐摩耗性に
優れたアズロール電縫鋼管に関するものである。
のスラリーの空気輸送のためのラインパイプその他に広
く使用されているが、前記のような空気輸送において
は、硬い粒子が管の内面に衝突接触して摩耗が大きく、
管の取り替え作業を頻繁に行わねばならず、コストが大
となるほか、プラントの稼働率の低下という問題もあ
り、そのために優れた耐摩耗性を要求されるところであ
る。この結果、特に耐摩耗性が要求される用途向けの電
縫鋼管に施されてきた処理の一つとして、管の内面にポ
リウレタンライニングを行って耐摩耗性を改善すること
がある。しかし、ポリウレタンライニングは耐摩耗性に
は優れているものの高価な処理となるためにランニング
コストが高くなるほか管の溶接部の処理も面倒で広範な
使用が望めないという欠点を有していた。
例えば特開平5−98351号公報には、管全体を80
0〜1000℃に加熱して焼入れ処理を行ったのち20
0〜600℃の温度に焼戻し処理を施して硬度を高める
技術が開示されており、特開平6−17188号公報に
は、フェライト+ベイナイトの地組織中に硬い島状のマ
ルテンサイトを5%以上混在させて耐摩耗性を改善する
技術が開示されている。さらに特開平8−295989
にはC、Si、Mnの範囲を規定した鋼を加熱して管の
内面のみを水冷により冷却して、焼戻しを施すことなく
耐摩耗性に優れた電縫鋼管を製造する技術が開示されて
いる。
開示技術は以下のような問題を有している。特開平5−
98351号公報に記載の技術は、管全体をオーステナ
イト温度域にまで高めたのち焼入れて、その後焼戻すも
のであるが、鋼の炭素量が0.2〜0.6%と比較的高
く、このような炭素量の高い鋼管の全体を焼入れると、
焼割れが発生し易い。また、オーステナイトからマルテ
ンサイトへの変態に伴う膨脹によって管に歪みが発生
し、捩れ、ゆがみが生ずる。したがって、発生した捩
れ、ゆがみを除去するために管を矯正しなければなら
ず、製造コストの高騰を招く。
は、前記したとおりフェライト+ベイナイトの地組織中
に硬い島状のマルテンサイトを5%以上混在させて耐摩
耗性を改善しようとするものであるため、空気輸送にお
いて、硬い粒子が繰り返し衝突接触して進行する摩耗現
象においては、硬い粒子は柔らかい地組織を損傷させて
進行するものであるから、硬いマルテンサイトを分散混
在させても期待したほどの効果は得られないのである。
術は、加熱した管の内面のみを冷却して焼戻しを施さな
い場合には、マルテンサイト変態時の膨脹によって生ず
る残留応力が開放されておらず、そのままでは鋼管の保
管中、あるいは使用中に割れを発生し、鋼管の取り替え
作業が頻発し、プラントの稼働率を低下させる。
ラリー状にした石炭、鉱石、土砂などの空気輸送に対す
る耐摩耗性に加え、フライアッシュの空気輸送などにお
けるような温間温度域での耐摩耗性にも優れた電縫鋼管
を安直に提供しようとするものである。
項1の発明は、「C:0.35〜0.55%、Si:
0.05〜0.40%、Mn:1.20超〜2.00
%、P:0.03%以下、S:0.01%以下、残部:
鉄および不可避不純物からなり、且つ前記成分における
CとMnはその量をC+Mn/4.5≧0.65%とす
るとともに比率をMn/C≧2.5としたことを特徴と
する耐摩耗性に優れたアズロール電縫鋼管」であり、請
求項2の発明は、「請求項1に記載のアズロール電縫鋼
管において、Cu:0.30%以下、Ni:0.30%
以下、Cr:0.30%以下、Mo:0.30%以下、
Nb:0.10%以下、V:0.10%以下、Ti:
0.10%以下、Ca:0.01%以下のうちの1種ま
たは2種以上の元素を含ませたことを特徴とする耐摩耗
性に優れたアズロール電縫鋼管」である。
前記の化学成分組成の鋼を転炉で溶製し、連続鋳造にて
スラブに鋳造する。次いで、前記スラブを1200〜1
350℃の比較的高温域の所定の温度に加熱したのち圧
延して、仕上げ温度を700〜850℃前後の所定の温
度になるようにコントロールして鋼板とし、さらに巻き
取り温度を550〜700℃の所定の温度に収めて熱間
圧延鋼帯としたうえその後、前記熱間圧延鋼帯をパイプ
状に成形したのち、高周波抵抗溶接や高周波誘導溶接に
より接合部を溶接してアズロールすなわち電縫部のみを
熱処理し、ビードの除去、定型などを行ってアズロール
電縫鋼管とするものである。このようにして得られる本
発明のアズロール電縫鋼管は、鋼管内面に特に何等の処
理を行わずとも優れた耐摩耗性を有しているので、硬化
処理を施す必要がなくそのまま使用に供される。
成分について、説明する。 (1)C(炭素):Cはベイナイト組織中の炭化物の量
を増して硬度を増加させ耐摩耗性を向上させるために重
要な元素であり、C含有量が0.35%未満では所望の
硬度が得られず、一方、C含有量が0.55%を超える
と延性が低下して熱間圧延時や鋼管成形時に割れや表面
疵が発生し易くなり、また、溶接性が低下して溶接後に
割れが発生し易くなる。 (2)Si(シリコン):Siは脱酸剤として重要な元
素であり、Si含有量が0.05%未満では十分な脱酸
効果は得られず、鋼に気泡が残存して圧延後の鋼帯表面
に疵を生成させる原因になる。一方0.40%以上添加
しても脱酸効果は飽和するのみならず、熱間圧延に際し
てスラブの加熱中、あるいは鋼帯の圧延途中や圧延後の
冷却中に脱炭を助長する効果が強く、鋼帯の表面硬度を
低下させ、耐摩耗性を低下させる原因になる。 (3)Mn(マンガン):Mnは、安価な元素であっ
て、鋼の焼入れ性を高める効果が大きく、鋼に添加する
ことによって組織を微細にし、鋼帯を強靱化させて耐摩
耗性を向上させる。しかし、Mnの含有量が1.20%
以下ではその効果は小さく、一方、2.00%を超える
と変形抵抗が増大してミルに掛かる負荷が過大になっ
て、通常の熱間圧延では鋼帯を製造することが困難にな
る。 (4)P(燐):P含有量が0.03%を超えると鋼の
靱性の低下が大きくなる。したがって、不純物としての
Pの含有量は、0.03%以下に限定される。 (5)S(硫黄):SはMnと結合してMnSを形成
し、熱間延性を低下して鋼帯圧延中に割れや疵を発生さ
せる。また、鋼の清浄性を低下させて靱性を低下させ
る。したがって、不純物としてのSの含有量は、0.0
1%以下に限定すべきである。 (6)C+Mn/4.5:CおよびMnは前記の限定範
囲内に限定されるとしても、C+Mn/4.5により計
算される値が0.65%未満であるときは、鋼帯の硬度
および靱性が不足して良好な耐摩耗性を有する鋼管を得
ることができない。したがって、C+Mn/4.5によ
り計算される値は0.65%以上であることが必要であ
る。 (7)Mn/C:さらに、CおよびMnは、Mn/Cで
計算される値が2.5未満であるときも鋼帯の硬度およ
び靱性が不足して良好な耐摩耗性を有する鋼管を得るこ
とができない。特にMnはCの拡散速度を遅らせる効果
が大きく、100〜300℃の温間温度域における硬さ
低下に伴う耐摩耗性の低下を小さく抑える効果がある。
したがって、Mn/Cで計算される値は2.5以上であ
ることが必要である。 (8)Cu(銅)、Ni(ニッケル)、Cr(クロ
ム)、Mo(モリブデン):Cu、Ni、Cr、Mo
は、いずれも焼入れ性を向上する元素であって、鋼帯の
組織を微細にして強靱化し耐摩耗性を向上させる。した
がって、その1種または2種以上を0.30%以下添加
してもよい。これらの元素の少なくとも1種が0.30
%を超えると鋼の熱間加工性が低下して、鋼帯に割れや
表面疵を発生する。したがって、Cu、Ni、Cr、M
oの各元素の含有量は0.30%以下であることが望ま
しい。 (9)Nb(ニオブ)、V(バナジウム)、Ti(チタ
ン):Nb、V、Tiは、いずれも微細な炭化物、窒化
物を析出し、鋼を強靱化して耐摩耗性を向上させる。し
たがって、必要に応じて少なくとも1種を0.10%以
下添加してもよい。これらの元素の少なくとも1種が
0.10%を超えると、逆に地鉄中のCが欠乏して硬度
が低下することになるので、Nb、V、Tiの各元素の
含有量は、0.10%以下であることが望ましい。 (10)Ca(カルシウム)Caは非金属介在物である
MnSと結合してその形態を制御する。すなわち、Mn
Sは通常は紐状に長く伸びるが、Caを添加することに
よってMnSは丸みを帯びた紡錘状となって鋼帯の靱性
を向上させる。このようなCaの効果は0.01%まで
の添加で飽和し、これを超える添加は鋼の清浄性を低下
させることになる。したがって、Caの含有量は、0.
01%以下であることが望ましい。
例と対比して示す。表1において、本発明の化学成分組
成、C+Mn/4.5の値、Mn/Cの値を有する鋼N
o.1〜8と化学成分組成、C+Mn/4.5の値、M
n/Cの値のうちの少なくとも1つが本発明の範囲外で
ある比較例の鋼No.9〜14をそれぞれ転炉溶製して
調整し、スラブに連続鋳造した。スラブを1250℃に
加熱してオーステナイト化したのち、熱間圧延して仕上
げ温度を800℃として熱間圧延を終了し、その後鋼板
の温度を水冷により調整して巻き取り温度を600℃と
して熱間圧延鋼帯を製造した。その後熱間圧延鋼帯をア
ンコイラーにより巻き戻したのちコイル成形してパイプ
状に成形し、高周波抵抗溶接によって開口部を溶接し
た。溶接後シーム部を多段シーム熱処理設備によって、
溶接部組織を母材部組織と同様に均一化し、管体熱処理
は一切行なわないままのアズロール電縫鋼管を製造し
た。製造した電縫鋼管は外径244.5mm、肉厚7.
8mmである。
採取して試験に供した。硬さ試験は供試鋼管を切断し、
切断面でビッカース硬さHvを測定した。靱性は2mm
Vノッチを有する10×5mmの試験片を作成し、室温
にてシャルピー試験に供し、吸収エネルギーを求めた。
摩耗試験は供試鋼管を縦割りし半円形のサンプルを作成
し、この内面にケイ砂を所定時間噴射、衝突させて摩耗
量(肉厚の減少)を測定し、予備試験として実施した一
般40キロ級構造用炭素鋼管の摩耗量と比較することで
耐摩耗性を評価した。温間温度域での摩耗量を調査する
ために、ケイ砂噴射時は半円形のサンプルを200℃に
加熱して試験を行なった。また製造から1週間後に鋼管
の溶接部を超音波探傷により検査して、割れの有無をチ
ェックした。
No.1〜8は、いずれも所望の硬度と靱性を有し、且
つ一般40キロ級構造用炭素鋼管に比較して2.3〜3
倍の耐摩耗性を有しており、また、保管中や溶接時の割
れの発生は認められなかった。
値が本発明の範囲を外れて低く、硬度は十分であるが、
靱性が10Jを下回って低くなり、耐摩耗性も一般40
キロ級構造用炭素鋼管の1.4倍に留まり、十分な耐摩
耗性を有するに至っていない。比較例No.10は、C
が本発明の範囲より高く、また、Mn/Cの値が本発明
の範囲を外れて低い。このため硬度は高いが、靱性が低
くなって耐摩耗性が低いものであった。また、Cが高い
ために溶接時に割れを発生した。比較例No.11は、
C+Mn/4.5の値が本発明の範囲を外れて低く、し
たがって、硬度が十分高くないために耐摩耗性の低いも
のであった。比較例No.12は、CおよびC+Mn/
4.5の値が本発明の範囲を外れて低く、このため、硬
度が十分高くないために耐摩耗性の低いものであった。
比較例No.13およびNo.14は、MnおよびMn
/Cの値が本発明の範囲を外れて低く、したがって、靱
性が低くなって、耐摩耗性を十分高めることができなか
った。
100〜300℃の温間温度域での耐摩耗性に優れた電
縫鋼管を特殊な管内面の硬化処理を行なうことなく安直
に製造でき、石炭、鉱石、土砂などのスラリーの空気輸
送のほか、フライアッシュの空気輸送などにも適したア
ズロール電縫鋼管を提供することができたものであり、
しかも、アズロール製品として生産性の向上、焼き割れ
の懸念がないうえ肉厚に制約されないなどの特性と相俟
ち産業の発展に寄与するところ大なものである。
Claims (2)
- 【請求項1】C:0.35〜0.55%、Si:0.0
5〜0.40%、Mn:1.20超〜2.00%、P:
0.03%以下、S:0.01%以下、残部:鉄および
不可避不純物からなり、且つ前記成分におけるCとMn
はその量をC+Mn/4.5≧0.65%とするととも
に比率をMn/C≧2.5としたことを特徴とする耐摩
耗性に優れたアズロール電縫鋼管。 - 【請求項2】請求項1に記載のアズロール電縫鋼管にお
いて、Cu:0.30%以下、Ni:0.30%以下、
Cr:0.30%以下、Mo:0.30%以下、Nb:
0.10%以下、V:0.10%以下、Ti:0.10
%以下、Ca:0.01%以下のうちの1種または2種
以上の元素を含ませたことを特徴とする耐摩耗性に優れ
たアズロール電縫鋼管。
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JP24494999A JP4331832B2 (ja) | 1999-08-31 | 1999-08-31 | 耐摩耗性に優れたアズロール電縫鋼管 |
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JP2014506295A (ja) * | 2010-12-23 | 2014-03-13 | ポスコ | 耐摩耗性、耐食性及び低温靭性に優れたオイルサンドスラリーパイプ用鋼板及びその製造方法 |
CN103725990A (zh) * | 2014-01-21 | 2014-04-16 | 湖南红宇耐磨新材料股份有限公司 | 一种耐磨铸钢 |
CN103741069A (zh) * | 2014-01-21 | 2014-04-23 | 湖南红宇耐磨新材料股份有限公司 | 一种耐磨铸钢 |
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-
1999
- 1999-08-31 JP JP24494999A patent/JP4331832B2/ja not_active Expired - Fee Related
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