JPH04320066A - サージ防護デバイス - Google Patents

サージ防護デバイス

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JPH04320066A
JPH04320066A JP11218491A JP11218491A JPH04320066A JP H04320066 A JPH04320066 A JP H04320066A JP 11218491 A JP11218491 A JP 11218491A JP 11218491 A JP11218491 A JP 11218491A JP H04320066 A JPH04320066 A JP H04320066A
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豊 林
Masaaki Sato
正明 佐藤
Yoshiki Maeyashiki
前屋敷 芳樹
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OUME KOSUMOSU DENKI KK
SANKOOSHIYA KK
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Sankosha Co Ltd
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OUME KOSUMOSU DENKI KK
SANKOOSHIYA KK
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Sankosha Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、雷とかスイッチング・
サージ等、各種サージ要因に基づく異常高電圧ないし異
常大電流から電気回路系を保護するための二端子型サー
ジ防護デバイスにおける改良に関する。
【0002】
【従来の技術】サージ防護デバイスと呼び得るものは、
二端子型に限定してもこれまで種々考案されてきたが、
中でも好ましくは、サージの印加によって降伏したとき
、単にデバイス両端電圧を一定の降伏電圧値にクランプ
するだけではなく(すなわち、単なる定電圧ダイオード
ではなくて)、デバイスが降伏して素子電流が流れ始め
た後、それがブレーク・オーバ電流値以上にまで増加す
ると負性特性を示してブレーク・オーバし、素子両端電
圧を降伏電圧よりも低いクランプ電圧に遷移させること
で大電流の吸収を可能としたタイプである。こうしたタ
イプのサージ防護デバイスは、最初の降伏メカニズムに
雪崩降伏ないしはツェナ降伏を利用するものとパンチ・
スルー現象を利用するものとがあるが、特に後者のパン
チ・スルー型に関しては、本出願人においてもすでに、
特開昭62−65383号公報;特開昭62−1547
76号公報;特公平1−33951号公報(特開昭62
−65382号公報);にて各種の改良案共々、詳しく
開示している。本発明自体は、後述のように、少数キャ
リア注入に基づく正帰還現象を介し、ブレーク・オーバ
特性を示すものであれば、最初の降伏メカニズムが何で
あっても適用の対象とすることができるが、本項ではま
ず、従来例の説明として、上に掲げた公報群に開示の発
明に基づいて作製し得る比較的基本的な構成の二端子型
サージ防護デバイスを例に挙げ、その動作共々、図10
に即して説明する。図示されているサージ防護デバイス
10は、一般に半導体基板であって良い第一の半導体領
域1を有し、その導電型はp、nのいずれかに設定され
、それに応じて他の領域の導電型も決定されて行く。こ
こでは説明の便宜のため、第一半導体領域1の導電型は
n型とする。第一半導体領域1の表裏両主面の中、一方
の主面には、順次、二重拡散技術で形成された第二半導
体領域2と第三領域3とがあり、また、また、この同じ
主面には、これら第二半導体領域2や第三領域3に対し
、適宜横方向に離間した位置に第四半導体領域4も形成
されている。このような構造のサージ防護デバイス10
は、構造的にも第二、第三領域2,3に対し、第四領域
4が第一半導体領域1の一表面上にあって横方向に離間
して位置し、また、後述するように、動作上も、素子電
流が主としてこの方向に沿って流れるので、ラテラル型
ないし横型と呼ばれる(以下では横型と呼ぶ)。これに
対し、第一半導体領域1の一主面には第二半導体領域と
第三領域が形成され、対向する他の主面に第四半導体領
域が形成されたタイプのものもあって、これらは各領域
が第一半導体領域1の厚味方向に沿って上下の積層関係
となることから、ヴァーティカル型ないし縦型と呼ばれ
るが、本発明は特に、横型構造に関して限定的に考えら
れる改良に関するものなので、同じ従来例ではあっても
、こうした縦型構造には触れないものとする。
【0003】しかるに、第二半導体領域2の導電型は第
一半導体領域1のそれと逆である必要があり、したがっ
て図示のように、第一半導体領域1がn型である場合に
はこの第二半導体領域2の導電型はp型となる。ただし
、後述する初期降伏現象に特にパンチ・スルーを利用す
る場合には、第二半導体領域2は少し低濃度のp型、す
なわちp− 型に設定した方が良いこともある。また、
第三領域3は図示の場合、半導体領域とされているが、
原理的にはこれに限らず、後述のようにパンチ・スルー
を起こした際の主電流線路の一端部を形成するので、望
ましくは高導電率であることが良いものの、シリサイド
や金属によっても形成することができる。そうは言って
も一般的なのは、やはり半導体領域とすることで、その
場合には第三領域3の導電型は第二半導体領域2とは逆
導電型とされる。したがって図示の場合にはn型となっ
ており、これに高導電率であることを示す意味も含め、
高濃度であるn+ の表記を施している。同様のことは
第四領域4についても言え、ここで示しているように、
一方の極性のサージを吸収するだけで良いのならば、こ
れも必ずしも半導体領域でなくて良く、後述の動作から
理解されるように、第一半導体領域1に対し第一半導体
領域1にとっての少数キャリアを注入できれば良い。し
たがって、例えばシリサイド等も用いることもできるし
、第一半導体領域1がp型の場合には金属材料を選択す
ることもできる。半導体領域とする場合には当然、その
導電型は第一半導体領域1のそれとは逆のp型とされる
【0004】こうした断面構造を有するサージ防護デバ
イス10からは、デバイス端子として、第四半導体領域
4にのみオーミック接触する第一デバイス端子T1 (
図面上で左側の端子)と、第二半導体領域2と第三半導
体領域3とに共通にオーミック接触する第二デバイス端
子T2 が取出されるが、これら第一、第二デバイス端
子T1 ,T2 間にサージ電圧が印加され、それが第
一半導体領域1と第二半導体領域2との間のpn接合に
逆バイアスを印加する位相で、かつ、相当程度に大きい
ものであると、当該逆バイアスの印加により生じた第一
、第二領域間pn接合における空乏層は、第一半導体領
域1の側へのみならず、第三半導体領域3の側に向けて
も伸びて行き、やがてのことに当該空乏層の上方端部が
第三半導体領域3に達することにより、第一半導体領域
1と第三半導体領域3とがパンチ・スルーする。こうな
ると、第四半導体領域4から第一半導体領域1内に当該
第一半導体領域1にとっての少数キャリアが注入され、
これが第二半導体領域2で収集されて素子電流の流れ始
めとなる。こうしたパンチ・スルー動作の開始電圧が、
これらサージ防護デバイスの動作特性を示す図11中に
おいて降伏電圧VBRと示されたものである。一方、例
え第二半導体領域2と第三半導体領域3とが第二デバイ
ス端子T2 に共通に接続されることで互いに電気的に
短絡されていても、第二半導体領域2を介して流れ始め
て以降、増加して行く素子電流の電流値と、当該素子電
流の第二半導体領域2内における電流経路に沿った抵抗
値との積により求められる電圧値(電圧降下)が、第二
半導体領域2と第三半導体領域3とにより形成されてい
る整流性接合(図示の場合は第三半導体領域3も半導体
領域であるのでpn接合)の順方向電圧に等しくなると
、このpn接合がターン・オンし、第三半導体領域3か
ら第二半導体領域2に対し、第二半導体領域2にとって
の少数キャリアの注入が起こる。そして、この第二半導
体領域2への少数キャリアの注入は、図11中、電流軸
方向に急に立ち上がって行く特性曲線部分に示されるよ
うに、結果として第一、第二デバイス端子T1 ,T2
 間に流れる素子電流の更なる増大を招くことになり、
これがまた、第四半導体領域4から第一半導体領域1へ
の少数キャリアの注入を促進するという正帰還現象を招
く。そのため、図11の電圧対電流(V−I)特性図で
見ると、第一、第二デバイス端子T1 ,T2 間を通
じてブレーク・オーバ電流IBOとして示された値以上
の大きさの電流が流れた場合、正帰還現象がデバイス内
部で生じていることの表れとして、当該図11の特性図
上に良く示されているように、負性特性が生じ、第一、
第二デバイス端子T1 ,T2 間に表れるデバイス両
端電圧はブレーク・オーバを開始した時の電圧値である
ブレーク・オーバ電圧VBOよりも低く、さらには最初
にパンチ・スルーを開始した時の降伏電圧VBRよりも
低いクランプ電圧(ないしオン電圧)VP に移行する
ことができ、これにより、素子の発熱を抑えながら大き
なサージ電流の吸収が可能となる。こうしたサージ防護
デバイス10により第一、第二デバイス端子T1 ,T
2 を介して吸収可能な最大電流値は一般に“サージ耐
量”と呼ばれ、また、一旦ターン・オンしたデバイスが
そのオン状態を維持し得る最小の素子電流値が保持電流
IH と呼ばれる。このようなブレーク・オーバ・タイ
プのサージ防護デバイスに対し、先に少し述べたように
、例えば単なる定電圧ダイオード型のサージ防護デバイ
スであると、降伏しても素子両端電圧は低くならず、む
しろ吸収電流の増大と共に漸増傾向となるので、当該素
子両端電圧と素子電流との積により決定されるデバイス
消費電力、ひいてはデバイスの発熱量は相当に大きなも
のとなる。ブレーク・オーバ・タイプの優れている点は
この一事からしても証明される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、原理構造的
に上記図10に示される構造に準じて作製されたブレー
ク・オーバ・タイプのサージ防護デバイス10は、先の
公報群中にても述べられている通り、本来はブレーク・
オーバ電流や保持電流の制御性も良く、サージ耐量の確
保も比較的容易な筈である。事実、本出願人においてそ
のような素子の作成に成功もしたが、逆に、思った程の
制御性が得られない場合もあった。その原因を追及した
所、一つの大きな要因として、次のような構造的原因が
掴めた。通常のこの種の半導体素子の作成分野では、特
に端子電極T1 ,T2 を取出す場合、対応する領域
に対し、幾何的な対称性を保ってオーミック接触領域を
作ってしまいがちである。これに関し図示すると、図1
0の原理構造は、具体的には図12に示されるようにな
る。 対応する符号は対応する構成要素を示すが、問題となる
のは第二半導体領域2と第三半導体領域3とに共通にオ
ーミック接触を採るためのオーミック電極32の付し方
である。明らかなように、第二デバイス端子T2 を取
出すためのオーミック電極32は、第三半導体領域3の
表面に接触すると共に、当該第三半導体領域3の両側の
部分PO ,PO において第二半導体領域2の表面に
も接触している。そのため、第一、第二デバイス端子T
1,T2 間に図示極性(+,−)のサージが印加され
、それが所定の大きさ以上であって、第一半導体領域1
と第二半導体領域2との接合に直接に降伏が生ずるか、
第一半導体領域1と第三半導体領域3との間がパンチ・
スルーし、これに伴って直ちに第四半導体領域4から第
一半導体領域1に対して第一半導体領域1にとっての少
数キャリア(図示の導電型の場合には正孔)が注入され
た場合、図12中に模式的に矢印fH の群で示してい
るように、当該正孔流は、オーミック電極32にあって
第四半導体領域4に近い側にて第二半導体領域2にオー
ミック接触している部分に集中的に流れ込んでしまい、
反対側のオーミック接触部分PO にはほとんど流れ込
まない状況が生じ得る。これが故に、ブレーク・オーバ
電流IBOや保持電流IH の制御性が悪化し、かつま
た、サージ耐量の低下をも招くことがあったのである。
【0006】そこで本発明は、まず、こうした従来の横
型サージ防護デバイスにおける構造上の要因に起因する
欠陥を除去、解消し、ブレーク・オーバ電流や保持電流
の制御性ないしは安定性の向上を図り、できるだけ予定
通りのサージ耐量を確保し得る構造を提供せんとする。
【0007】さらに本発明は、以下のようにまた別な観
点から、この種の横型サージ防護デバイスにおける次の
ような問題点にも鑑みた。従来、図10や図12に示さ
れるような構造のサージ防護デバイス10においては、
デバイス端子T1 ,T2 間に印加されたサージの電
圧がブレーク・オーバ電圧VBOよりも絶対値で小さい
範囲内にあるのにもかかわらず、ときとしてターン・オ
ン(ブレーク・オーバ)してしまう誤動作を起こすこと
があった。そしてこの誤動作は、特に、持続時間が極め
て短く、電圧の波高値もそれ程に大きくはないため、本
来ならば特に吸収する必要もない「小さなサージ」が印
加されたときに生じた。そこで本出願人は、上記公報群
に開示されている発明を提案する以前にあって、この点
についてもその原因究明に努めた所、上記のような誤動
作を生んだサージは、確かに絶対値においては「小さな
サージ」ではあったが、立ち上がりが極めて急峻で、電
圧の時間微分値dV/dt(スルー・レイトと呼ぶ)が
かなり高かったことが分かった。その結果、そのように
急峻なサージが誤動作を招いた理由は次のように説明で
きた。上述したように、原理的には図10や図12に示
されるような構造のサージ防護デバイスには、第一半導
体領域1と第二半導体領域2とにより、サージが印加さ
れた時に逆バイアスされるpn接合が形成されているた
め、このような接合に接合容量Cj が見込まれる。そ
こで、第一、第二デバイス端子T1 ,T2 間にスル
ー・レイトがdV/dtのサージが印加されると、この
接合容量Cj を充電する過渡的な電流として、次式(
1) で表される変位電流it が流れる。
【数11】 しかるに接合容量Cj は、サージ耐量を十分大きく取
るために各領域を面積的に大きくすると、それに連れて
かなり大きくなる場合が多く、例えば100pF程度か
らそれ以上の値も普通に考えられる。その一方で、種々
のサージの性質や振舞いについては、すでに従来からも
詳しい考察、研究が多岐に亙って為されており、その結
果からすれば、例えば電話通信線路への雷サージ印加時
等にあっては、回路系への誘導ノイズ電圧値の波高値こ
そ、よしんば低くても、スルー・レイト(dV/dt)
としては100V/μs程度位までの値が十分に考えら
れる。そのため、これらの値を上記(1) 式に代入す
ると明らかな通り、接合容量を充電する過渡的な電流の
値it は10mA程度になり得る。スルー・レイトが
高くなればもっと大きくなり、いずれにしても、結構大
きな値の変位電流it が瞬時ではあるが流れ得るので
ある。
【0008】ところが、図10または図12に従って実
際に作製されるサージ防護デバイスでは、高速動作が要
求されることもあって、場合によっては第四半導体領域
4と第二半導体領域2との間の距離がかなり短く設計さ
れることがあり、そうしたデバイスにおけるブレーク・
オーバ電流IBOの値は余り大きく採れなくなる傾向に
あるし、また、これまでのデバイス構造ないし作製法で
は、他の構成のサージ防護デバイスに比せば良いとは言
え、絶対的な意味では製造パラメータによるばらつきも
決して小さくはなかったこと等から、場合によってはブ
レーク・オーバ電流IBOの値が、上記のようにして求
められるサージ印加時のそのときどきの変位電流値it
 と対して変わらない程度に、ないしはそれ以下にさえ
なることがあった。これが主たる原因となって、サージ
の尖頭電圧値は設計上のブレーク・オーバ電圧VBOに
至っていないのにもかかわらず、デバイスがブレーク・
オーバする現象を生じることがあったのである。図11
の特性図上で言えば、そのような誤動作が起きていると
きの実効的なブレーク・オーバ電圧VBOは、当該特性
図上に示されている値よりもかなり小さい方(左側)に
移行したに等価となる。
【0009】そこで、本出願人においては、上記した公
報群中にてすでにその対策の一つを提案しており、これ
に基づく構造の一つが、本書添付の図13に示されるよ
うなものである。すなわち、特徴的なのは、第四半導体
領域4に電気的に接続する第一デバイス端子T1 が、
同時にまた、第四半導体領域4の近傍において第一半導
体領域1の主面にもオーミック接触しているということ
で、こうなっていると、第一半導体領域1と第二半導体
領域2とを逆バイアスする極性のサージが印加され、し
たがって第一半導体領域1と第四半導体領域4との接合
が順バイアスされる関係となる時にも、当該接合がター
ン・オンする前に、第一デバイス端子T1が第一半導体
領域1の主面に接触しているオーミック接触部分を介し
て第一半導体領域1中に当該第一半導体領域1にとって
の多数キャリアを流し込むことができ、これによって第
一半導体領域1と第二半導体領域2とで構成されるpn
接合の接合容量Cj を速やかに充電することができる
。 事実、この手法により、一応は「小さなサージ」に応答
しないサージ防護デバイスを得るのに成功したし、一方
では、こうした接合容量充電のための当初の第一半導体
領域1への多数キャリアの注入という現象も、すでに説
明したパンチ・スルー発生後ではその基本的な動作自体
に悪影響を及ぼさないで済んだ。と言うのも、第一半導
体領域1と第三半導体領域3とがパンチ・スルーした後
に、上記した多数キャリアによる電流が増し、第四半導
体領域4の主として厚味方向(深さ方向)の電圧降下が
当該第四半導体領域4と第一半導体領域1との間の接合
の順方向電圧に等しくなると、そのときから第一半導体
領域1にとっての少数キャリアが第四半導体領域4から
注入され始めるため、以降、すでに述べたメカニズムに
より、デバイスの降伏からブレーク・オーバに至ること
ができるからである。また、ブレーク・オーバした後は
、一対のデバイス端子T1,T2 間のデバイス電流の
主電流通路は、端子T1 と第一半導体領域1とのオー
ミック接触部分ではなく、第三半導体領域3と第四半導
体領域4を介する経路となり、これは第一半導体領域1
に対する端子T1のオーミック接触部分を有さない図1
0または図12に示されるデバイスにおける状態とほぼ
等価となる。
【0010】さらに、これまではパンチ・スルー型の従
来デバイスについて述べてきたが、断面構造上は図10
、ないし図12に示されている構造とほとんど変わらな
くても、本出願人の知見によれば、第二半導体領域2や
第三半導体領域3の厚さを厚くする等の外、各領域の幾
何的パラメータや不純物濃度パラメータ等を適当に選択
すると、降伏開始の当初のメカニズムには雪崩降伏やツ
ェナ降伏を利用し、ブレーク・オーバに関しては上記し
たパンチ・スルー型と同様のメカニズムとなるサージ防
護デバイスも作製できることが分かったが、そのような
サージ防護デバイスや、はたまた、他の公知のサージ防
護デバイスにおいても、それが少数キャリア注入に伴う
正帰還現象を介してブレーク・オーバするタイプのもの
である場合には、上記した「小さなサージ」に対する応
答の問題が同様に起こることがあり、したがって、それ
に対する上記の対策は、やはりそれらにも適用できるこ
とも分かった。もっとも、雪崩降伏やツェナ降伏は、一
般に「ポイント・フェノメノン(局所現象)」と呼ばれ
ることもある通り、降伏をし始める個所、ないしは降伏
後も電界の集中する個所が局所的になり易いがため、サ
ージ耐量を大きく取るのが難しく、上記したパンチ・ス
ルー型デバイスに比べると不利である外、設計自由度も
小さく、製造パラメータに対する許容度も乏しい等、や
や劣った側面を見せる。しかし、そうした優劣の比較を
せず、ここで問題にした「小さなサージ」に対しての応
答やその対策についてだけ考えるならば、そうした雪崩
降伏型やツェナ降伏型のサージ防護デバイスにおいても
、上記してきた議論はほぼそのまま適用することができ
る。
【0011】しかるに、上記のようにして第一半導体領
域に対してのオーミック接触を計ることにより、二端子
ブレーク・オーバ・タイプのサージ防護デバイスに認め
られることがあった「小さなサージ」に対する誤応答を
解消した所、今度はまた、別な問題が指摘されるに至っ
た。それは、このようにして作製されたサージ防護デバ
イスは「逆耐圧」を有さなくなるということである。こ
れは当然である。第一半導体領域1と第二半導体領域2
とが順方向にバイアスされる関係においては、第一半導
体領域1がオーミック接触部分を介して直接にデバイス
端子T1 に接触しているため、一対のデバイス端子T
1 ,T2 間には実質的に、単に順方向にダイオード
が接続される結果となるからである。もちろん、被保護
回路系に対してこの種のサージ防護デバイスを現実的に
組込んで行くことを考えると、実際上、逆耐圧はあった
方が良く、しかも、望ましくはサージ吸収に関する降伏
電圧VBRよりも高い値の逆耐圧であることが良い。
【0012】そこで本発明は、第二の目的として、この
点の解決をも計っており、第一デバイス端子T1 を第
四領域のみならず第一半導体領域に対してもオーミック
接触させるという手法を特に採らなくても、小さなサー
ジに対する誤応答を防げる他の手段を提供せんとするも
のである。換言すれば、本発明のこの第二の目的は、必
要に応じ、逆耐圧を持つことのできる二端子ブレーク・
オーバ・タイプのサージ防護デバイスも提供できること
,とも言えるが、ただし、本発明のこの目的における主
眼は、あくまで、上記のような第一、第四領域双方に対
するオーミック接触という手段にのみ限られることなく
、他の手法であっても同様に、小さくても急峻なサージ
に対する対策が立てられるようにするという点、すなわ
ち設計の自由度を増したり技術の豊富化を計るものであ
るから、要求される製品によって逆耐圧の問題が生じな
いようであれば、そのようなオーミック接触構造や、さ
らに他の手法との併存も差支えなく、逆に言って本発明
は、それら他の手法自体を積極的に排斥することをまで
、目的にしたものではない。
【0013】さらに、ある意味ではこの第二の目的を達
成した結果として得られた知見ともなるが、上記第一の
目的における構造的工夫の外に、ブレーク・オーバ電流
IBOや保持電流IH の制御性を向上させ得るような
構成の提供も第三の目的としている。特にこの第三の目
的は、すでに提供されている図10や図12に示された
従来のサージ防護デバイスの特徴とも関連している。例
えば先に述べたように、エネルギ的には小さくとも電圧
の時間微分値(dV/dt)の大きなサージに応答させ
ないようにするためには、方法論としては単純ではある
が、ブレーク・オーバ電流IBOそれ自体を大きくすれ
ば良い。 しかし、それにはまた、それ以前の基本的課題として、
設計値に極力近いブレーク・オーバ電流IBOや保持電
流IH が得られるという保証が必要である。しかるに
、既述した本出願人の手になるサージ防護デバイスは、
上掲の公報群中に詳記の通り、従前の他の公知構造デバ
イスに比すと遥かに設計自由度も大きく、設計精度も高
かったが、それでもなお、製造パラメータにこれらブレ
ーク・オーバ電流IBOや保持電流IH の値がかなり
依存することも多かった。にもかかわらず、当該各種パ
ラメータに関する設計指針が確立しておらず、現場での
カット・アンド・トライに頼る傾向を否めなかった。こ
れがもし改善されて、そうした製造パラメータに関する
設計基準を与えることができれば、必要に応じて必要な
値のブレーク・オーバ電流IBOや保持電流IH を得
る上でも、またデバイスごとのばらつきを抑え、安定な
デバイス特性を得る上でも極めて有利である。もちろん
、サージ耐量についても十分な値を得ることが望ましく
、換言すれば、デバイス中を流れる素子電流の均一化を
計ることが望ましい。したがって、上記の本発明第一の
目的や第二の目的に従って提供された小さなサージに対
する新たな対策手段がこの要件をも満たすことは、本発
明のまた別な目的ともなる。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題の解決
のため、すでに従来例に即して詳しく述べた二端子ブレ
ーク・オーバ型で、かつ横型構造を採るサージ防護デバ
イスにおける改良として、最も基本的には下記の構成要
件(a) 〜(e) 、すなわち、 (a) 第一半導体領域の一方の主面側に設けられ、第
一半導体領域の導電型とは逆導電型で第一半導体領域と
の間でpn接合を形成する第二の半導体領域と,(b)
 第一半導体領域とは対向する側から第二半導体領域に
接触し、第二半導体領域に対し第二半導体領域にとって
の少数キャリアを注入することができ、少なくともその
面内一方向(これは、本発明の他の態様における後の構
成要件中に言うx方向、y方向とは独立であって良い)
に沿う一断面においては一つ以上の数N個から成る第三
領域と, (c) 第一半導体領域の上記と同じ一方の主面側にあ
って互いに直交する主面面内x,y両方向の中、x方向
に沿って第二半導体領域に対し離間した位置に設けられ
、第一半導体領域に対して第一半導体領域にとっての少
数キャリアを注入し得る第四領域とを有し,(d) 第
四領域にオーミック接触すると共に第一のデバイス端子
に接続した第一のオーミック電極と、第二半導体領域と
第三領域とに共通にオーミック接触すると共に第二のデ
バイス端子に接続した第二のオーミック電極との間に、
pn接合を逆バイアスする極性で降伏電圧以上の電圧の
サージが印加されると降伏し、これら第一、第二デバイ
ス端子間にてサージ電流を吸収し始めると共に、降伏後
、第四領域から第一半導体領域への少数キャリアの注入
と、第三領域から第二半導体領域に対する少数キャリア
の注入との相乗効果により、吸収し始めたサージ電流の
大きさがブレーク・オーバ電流以上になると正帰還現象
を介してブレーク・オーバし、第一、第二デバイス端子
間を絶対値において相対的に低電圧のクランプ電圧に移
行させながらサージ電流を吸収し続ける二端子ブレーク
・オーバ型のサージ防護デバイスであって;(e) 第
二半導体領域と第三領域とに共通にオーミック接触する
第二のオーミック電極は、第三領域の周縁部において上
記x方向に見て上記第四領域を向いた縁部の中、少なく
とも該第四領域に最も近い縁部を越えて第二半導体領域
の表面に接触する部分を有さないこと;を特徴とするサ
ージ防護デバイスを提供する。
【0015】さらに、これら構成要件群(a) 〜(e
) に加え、さらに、 (f) ρB を第一、第三領域間の部分における第二
半導体領域のシート抵抗,Vf を第三領域を順バイア
スする電圧,CO をpn接合の単位面積当たりの接合
容量,dV/dtをそれ以上には応答させたくないサー
ジの立ち上がりの鋭さ,として、第三領域のx方向寸法
xE が、下式(2) :
【数12】 に基づいて規定されていること;を特徴とするサージ防
護デバイスも提案する。
【0016】その上で、本発明はまた別な態様として、
上記構成要件(a) 〜(f) に加え、(g) 第三
領域のx方向寸法xE は、ブレーク・オーバした状態
を維持し得る範囲で許容し得る最大保持電流値IHma
xに対し、SB を第二半導体領域の面積として、下式
(3) :
【数13】 なる関係も満たしていること;を特徴とするサージ防護
デバイスも提案する。
【0017】また、上記構成要件(f) による第三領
域のx方向寸法xE の上限決定に関しては、(h) 
第三領域のx方向寸法xE は、ブレーク・オーバした
状態を維持するに必要な最小の保持電流値IHminに
対し、SBを第二半導体領域の面積として、下式(4)
 :
【数14】 なる関係も満たしていること;を特徴とするサージ防護
デバイスも提案する。
【0018】その一方で、上記構成要件(f) に代え
、(i) 第四領域から注入された少数キャリアの中、
第二半導体領域に到達する量比βに応じ、上掲の式(2
) に代えて、第三領域x方向寸法xE が、下式(5
) :
【数15】 に基づいて規定されていること;を特徴とするサージ防
護デバイスも提案する。
【0019】第三領域の平面的な形状に関しても、第三
領域が短辺と長辺を有する矩形またはほぼ矩形の平面形
状を有している場合には、さらに、 (j) x方向寸法xE は短辺方向の寸法であって、
第二オーミック電極は、矩形の第三領域の一対の長辺の
中、少なくともx方向に見て第四領域に近い側の長辺を
越えて第二半導体領域の表面上に接触する部分を有さな
いこと;という構成要件(j) をも有するサージ防護
デバイスを提案し、また、第三領域が円形またはほぼ円
形の形状を有している場合には、当該構成要件(j) 
に代え、(k) x方向寸法xE は円形またはほぼ円
形の第三領域の直径またはほぼ直径の寸法であって、第
二オーミック電極は、x方向と直交し、円形またはほぼ
円形の第三領域の中心またはほぼ中心を通るy方向の直
線で二分した一対の半円またはほぼ半円の中、x方向に
見て第四領域に近い側の半円の周縁を越えて第二半導体
領域の表面に接触する部分を有さないこと;を特徴とす
るサージ防護デバイスを提案する。そして、第三領域が
正多角形またはほぼ正多角形の平面形状を有する場合に
は、上記構成要件(j) または(k) に代えて、 (l) x方向寸法xE は正多角形またはほぼ正多角
形の第三領域の中心またはほぼ中心を通る幅寸法であっ
て、第二オーミック電極は、x方向と直交し、正多角形
またはほぼ正多角形の第三領域の中心またはほぼ中心を
通るy方向の直線で二分した面積部分の中、x方向に見
て第四領域に近い側の面積部分の周縁を越えて第二半導
体領域の表面に接触する部分を有さず、かつ、x方向に
見て第四領域に遠い側の面積部分にあっても第四領域に
向いた縁部を越えて第二半導体領域の表面に接触する部
分を有さないこと;という構成要件(l) を有するサ
ージ防護デバイスを提案する。また、上記構成要件(j
),(k),(l) に代えて採用し得る構成要件(m
) として、(m) 第三領域はx方向に沿う一断面に
おいて少なくとも二つの離間した領域から構成され、そ
れら少なくとも二つの離間した領域は、x方向と直交す
る方向における端部相互で連結しており、第二オーミッ
ク電極は、それら少なくとも二つの離間した第三領域の
中、第四領域に近い方の周縁部にあって第四領域を向い
た縁部を越えて第二半導体領域の表面に接触する部分を
有さないこと;という構成要件(m) を持つサージ防
護デバイスも提案し、この構成要件(m) に代えて、 (n) 少なくとも二つの離間した第三領域の中、第四
領域に対して最も近い領域を除く他の領域(したがって
、二つの場合には単に遠い方の領域、三つの場合には、
最も遠い領域のみか、あるいは最も遠い領域と真ん中の
領域となる:以下、四つ以上の場合も同様)は、第二オ
ーミック電極の上記x方向に直交する方向の端部に対し
ての電流の回り各みや当該端部からの電流の流出を防ぐ
ための防護領域となっていること;という構成要件(n
) を有するサージ防護デバイスも提案する。
【0020】これに対し、全体の構造としても発展的な
サージ防護デバイスを得るため、本発明は他の態様とし
て、 (o) 第一半導体領域の一方の主面には、第四領域の
両側にx方向に沿いそれぞれ離間して、第二半導体領域
と第三領域の組が一つづつ、計一対設けられた部分が少
なくとも一個所以上あり、第二のデバイス端子は、第二
半導体領域と第三領域の各組において各第二半導体領域
と第三領域とに共通にオーミック接触する各第二オーミ
ック電極の全てに共通に接続していること;という構成
要件(o) を付加したサージ防護デバイスも提案する
【0021】同様に、この構成要件(o) に代えて、
(p) 第一半導体領域の一方の主面には、複数の第四
領域と、複数の第二半導体領域と第三領域の組とが、x
方向に沿い交互に設けられた部分が少なくとも一個所以
上あり、第二のデバイス端子は、第二半導体領域と第三
領域の各組において各第二半導体領域と第三領域とに共
通にオーミック接触する各第二オーミック電極の全てに
共通に接続し、第一のデバイス端子は、各第四領域にオ
ーミック接触する各第一オーミック電極の全てに共通に
接続していること;という構成要件(p) を付加した
サージ防護デバイスも提案する。
【0022】しかるに、上記した本発明の各態様による
二端子横型サージ防護デバイスは、原則として、第一、
第二デバイス端子間に定められた極性のサージが印加さ
れたときにのみ、これを吸収するべく作用する、言わば
片極性サージ吸収用のサージ防護デバイスとなる。そこ
で、逆に、単一ないし共通の第一半導体領域を用いると
の前提の下でも、第一、第二デバイス端子間に印加され
るサージの極性の如何にはかかわらず、いずれの極性の
サージをも吸収可能とするために、本発明ではまた、別
な態様として、上記構成要件(a) 〜(e) 中、構
成要件(c) を、 (c)’第一半導体領域の一方の主面側にあって互いに
直交する主面の面内x,y両方向の中、x方向に沿って
第二半導体領域に対し離間した位置に設けられ、第一半
導体領域の導電型とは逆導電型で第一半導体領域との間
で第二のpn接合を形成する第四の半導体領域と,とい
うように変更し、第四領域が半導体領域であることに限
定し、かつ、第一半導体領域との間に第二のpn接合が
形成されるという概念を導入した上で、 (q) 第一半導体領域とは対向する側から第四半導体
領域に接触し、第四半導体領域に対し第四半導体領域に
とっての少数キャリアを注入することができ、少なくと
も面内一方向に沿う一断面においては一つ以上の数M個
から成る第五領域とを有し,という構成要件(q) を
加え、 さらに第四半導体領域と第五領域とに関し、先
の構成要件(d) を変更して、 (d)’第四半導体領域と第五領域とに共通にオーミッ
ク接触すると共に第一のデバイス端子に接続した第一の
オーミック電極と、第二半導体領域と第三領域とに共通
にオーミック接触すると共に第二のデバイス端子に接続
した第二のオーミック電極との間に、第一または第二p
n接合を逆バイアスする極性で降伏電圧以上の電圧のサ
ージが印加されると降伏し、第一、第二のデバイス端子
間にてサージ電流を吸収し始め、降伏後、第四半導体領
域から第一半導体領域への少数キャリアの注入と、第三
領域から第二半導体領域に対する少数キャリアの注入と
の相乗効果、または第二半導体領域から第一半導体領域
への少数キャリアの注入と、第五領域から第四半導体領
域に対する少数キャリアの注入との相乗効果により、吸
収し始めたサージ電流の大きさがブレーク・オーバ電流
以上になると正帰還現象を介してブレーク・オーバし、
一対のデバイス端子間を絶対値において相対的に低電圧
のクランプ電圧に移行させながらサージ電流を吸収し続
ける双極性サージ吸収用二端子ブレーク・オーバ型のサ
ージ防護サージ防護デバイスであって;という構成要件
(d)’とする。そして、本発明の片極性サージ防護デ
バイスにおいて重要な構成要件である構成要件(e) 
は、(e)’第二半導体領域と第三領域とに共通にオー
ミック接触する第二のオーミック電極は、第三領域の周
縁部においてx方向に見て第四半導体領域を向いた縁部
の中、少なくとも第四半導体領域に最も近い縁部を越え
て第二半導体領域の表面に接触する部分を有さず;第四
半導体領域と第五領域とに共通にオーミック接触する第
一のオーミック電極は、第五領域の周縁部においてx方
向に見てx方向に見て第二半導体領域を向いた縁部の中
、少なくとも第二半導体領域に最も近い縁部を越えて第
四半導体領域の表面に接触する部分を有さないこと;と
いう構成要件(e)’とする。
【0023】このような構成要件群による本発明は、双
極性のサージを吸収するためのサージ防護デバイスの基
本構成を表しているが、さらに構成要件(f)中に見ら
れた各パラメータに関し、ρB を第一、第三領域間の
部分における第二半導体領域のシート抵抗または第一、
第五領域間の部分における第四半導体領域のシート抵抗
,Vf を第三領域または第五領域を順バイアスする電
圧,CO を第一のpn接合または第二のpn接合の単
位面積当たりの接合容量,dV/dtをそれ以上には応
答させたくないサージの立ち上がりの鋭さ,として、先
の片極性サージ吸収用のサージ防護デバイスにおいて第
三領域に関するものとして示したx方向寸法xE が、
第五領域に関してのものでもあるとすると、先の構成要
件(g) 〜(n) は、第五領域についての構成要件
でもあるとして展開することにより、双極性サージ吸収
用のサージ防護デバイスとしての本発明の上記基本構成
に従うデバイスに関しても、このような限定事項を加え
ることが可能である。 なお、この場合、既掲のパラメータSB は、第二半導
体領域のみならず、第四半導体領域の面積をも表す。
【0024】さらに、この双極性サージ吸収用の本発明
サージ防護デバイスにおける限定としては、上記におい
ては第三領域の数と第五領域の数をそれぞれ弁別的にM
とNで表し、それらは互いに異なる数であって良い場合
を含んでいたが、逆にM=Nであっても良く、第二半導
体領域と第四半導体領域の各形状及び面積SB も共に
同じであって、第三領域と第五領域のx方向寸法xE 
同志及びy方向寸法yE 同志も共に同じ寸法であって
良い。
【0025】この双極性サージ吸収用の本発明サージ防
護デバイスに関しての構造的な改変としては、上記構成
要件群の上記定められた組合せに加え、(r) 第一半
導体領域の一方の主面には、第四半導体領域と第五領域
との組と、第二半導体領域と第三領域の組とが、それぞ
れ複数個、x方向に沿い交互に設けられた部分が少なく
とも一個所以上あり、各組の第四半導体領域中の第五領
域は離間した一対の領域から構成され、各組の第二半導
体領域中の第三領域も離間した一対の領域から構成され
ている共に、第二のデバイス端子は、第二半導体領域と
一対の第三領域から成る各組において第二半導体領域と
一対の第三領域とに共通にオーミック接触する第二オー
ミック電極の各々に対し、それらの全てに共通に接続し
、第一のデバイス端子は、各第四半導体領域と一対の第
五領域から成る各組において第四半導体領域と一対の第
五領域とに共通にオーミック接触する第一オーミック電
極の各々に対し、それらの全てに共通に接続しているこ
と;という構成要件(r) を有するサージ防護デバイ
スも提案する。
【0026】同様に、この構成要件(r) に加えて、
(s) 第四半導体領域と第五領域の組、及び第二半導
体領域と第三領域の組は、それぞれ二組づつ用いられ、
それらの一組づつが交互に第一半導体領域の一方の主面
上に並設されると共に、第一のデバイス端子は、各第四
半導体領域と一対の第五領域から成る各組において第四
半導体領域と一対の第五領域とに共通にオーミック接触
する第一オーミック電極の各々に対し、それらの全てに
共通に接続するのに代え、並設方向で中側に位置する組
の第四半導体領域と一対の第五領域とに共通にオーミッ
ク接触した第一オーミック電極にのみ接続し、第二のデ
バイス端子は、第二半導体領域と一対の第三領域から成
る各組において第二半導体領域と一対の第三領域とに共
通にオーミック接触する第二オーミック電極の各々に対
し、それらの全てに共通に接続するのに代え、並設方向
で中側に位置する組の第二半導体領域と一対の第三領域
とに共通にオーミック接触した第二オーミック電極にの
み接続する一方、新たに第三のデバイス端子を設け、各
第二半導体領域と一対の第三領域から成る各組、及び各
第四半導体領域と一対の第五領域から成る各組の中、並
設方向で外側に位置する組の第四半導体領域と一対の第
五領域とに共通にオーミック接触した第一オーミック電
極と、第二半導体領域と一対の第三領域とに共通にオー
ミック接触した第二オーミック電極とに対し、第三のデ
バイス端子を共通に接続したこと;という構成要件(s
) を加味したサージ防護デバイスも提案する。ただし
、この構成要件(s) 中においては第四半導体領域と
一対の第五領域とによる各組、及び第二半導体領域と一
対の第三領域とによる各組の中、並設方向で外側に位置
する組においても一対の第五領域及び一対の第三領域を
用いているのに代え、そうした並設方向で外側に位置す
る各組にあっては、第五、第三領域をそれぞれ一つづつ
用いるだけでも良い。
【0027】
【実施例】以下、添付図面に示す本発明各実施例につき
詳記するが、予め述べておくと、片極性サージ吸収用と
して構成された本発明サージ防護デバイスも、両極性な
いし双極性サージ吸収用として構成された本発明サージ
防護デバイスも、それぞれに適当な幾つかづつの実施例
を有するものの、すでに述べてきたように、両者の間に
は極めて密接な関連があるので、互いに参考にすること
ができる。まず、本発明のサージ防護デバイス20とし
て基本的な片極性サージ吸収用のデバイスにつき、その
原理構造に近い構造を持つ実施例を図1(A) ,(B
) に即して説明する。両図共、後述するように、第二
オーミック電極32を付す際の絶縁膜51に開ける開口
パタンが少し違うだけで、他は構成的に全く同一である
が、図1(B) には、後に本発明の最も基本的な作用
を説明するために正孔流fH が模式的に併示されてお
り、対して図1(A)には、第二、第三領域の各方向の
寸法を定義するための符号が付されていて、これも後に
、それら領域22,23間の寸法関係に関して本発明に
よる特定事項を説明するために用いられる。このサージ
防護デバイス20における第一導電型の第一半導体領域
21には、限定的ではないが、一般的な場合として、い
わゆる半導体ウエハから供給された半導体基板を用いて
いる。第一の半導体領域21に対しては、その表裏両主
面の中、一方の主面側(表面側とする)に第一半導体領
域の第一導電型とは逆の導電型の、すなわち第一半導体
領域21とpn接合を形成する第二の半導体領域22が
形成され、この第二半導体領域22に対してはまた、第
一半導体領域21とは対向する側から第三領域23が接
触している。なお、第三領域23は後述のように、少な
くともその面内一方向に沿う断面においては複数個の場
合もあるが、ここで最初に述べる本実施例の場合、第三
領域23は図示の断面において一つしかなく、長辺方向
と短辺方向を有する矩形の外形輪郭を持つ場合を想定し
ており、当該断面はその短辺方向に沿う一断面である。 ただし便宜上、Nを1以上の数とし、第三領域23は少
なくともその面内一方向に沿う断面においてN個設けら
れるものとして一般化する。第一半導体領域21の同じ
表面側には、第二半導体領域22に対し横方向に適宜離
間して第四領域24が形成されている。このような構造
のサージ防護デバイスは20は、既述のように、一般に
「横型」と呼ばれる。しかるに、本実施例に関する図面
中では、半導体基板ないし第一半導体領域21の導電型
はn型に想定されており、したがって第一半導体領域2
1と共にpn接合を形成する第二半導体領域22の導電
型はp型となっている。また、すでに述べた作用の項の
説明や後述の説明からも明らかなように、第三領域23
は第二半導体領域22に対し整流性の接合を形成し、第
二半導体領域22中に当該第二半導体領域22にとって
の少数キャリアを注入できる物質から構成されていれば
良く、かつまたオンとなるべき電圧値としての順バイア
ス電圧(順方向電圧)Vf が規定できるものであれば
良いし、同様に、第四領域24は第一半導体領域21に
対し当該第一半導体領域21中に少数キャリアを注入で
きる物質から構成されていれば良いので、接触する相手
方の導電型に応じてホール注入可能なシリサイドや電子
注入可能な金属等も選ぶことができるが、一般にはこれ
ら第三、第四領域も半導体とするのが製作上も設計上も
便利である。図示実施例の場合もそうした考えに従い、
第三領域23は第二半導体領域22に対して整流性の接
合を形成するn型領域として、また、第四領域24は第
一半導体領域21に対して整流性の接合を形成するp型
領域として、それぞれ不純物の二重拡散技術により形成
されている。ただし、第三半導体領域23はブレーク・
オーバ後の主電流(デバイス電流)線路の一端部を形成
するので、望ましくは高導電率であることが良く、この
実施例で言えば高不純物濃度n型、すなわちn+ 型領
域であることが良い(図中ではこうした濃度表記+,−
は省略する)。もちろん、第一半導体領域21に対して
、それぞれ所定の導電型、所定の厚味、所定の不純物濃
度に各領域22,23,24を形成する技術自体には、
例えば上記の通り、選択的に硼素(p型)や燐(n型)
を拡散する技術その他、当業者であれば数多ある公知既
存の技術の中から任意適当なるものを採用することがで
き、また、第一〜第四の全ての半導体領域21,22,
23,24の導電型を反転しても、以下で説明する動作
電流ないしデバイス電流の方向が逆になるだけで、本書
における他の説明はほぼそのままに援用することができ
る。
【0028】さて、本発明の横型サージ防護デバイス2
0は、本質的に二端子デバイスであるが、その中の一方
の端子である第一デバイス端子T1 は第一のオーミッ
ク電極31を介して第四半導体領域24に電気的に接続
しており、他方の端子である第二デバイス端子T2 は
、後に詳しく説明する第二のオーミック電極32を介し
て第二半導体領域22と第三半導体領域23とに共通に
電気的に接続している。第一オーミック電極31も第二
オーミック電極32も、この種の技術分野における通常
の手法により、第一半導体領域21の表面上に形成され
た絶縁膜51に所定の面積、パタンの開口を開けること
でそれぞれ対応する領域にオーミック接触が採られる。 ここで、第一オーミック電極31は、第四半導体領域2
4の表面にのみ、接触するようにされるが、第二オーミ
ック電極32は、第二半導体領域22と第三半導体領域
23に共通にオーミック接触するように形成される。こ
の際、本発明に従って、第二オーミック電極32は、図
示断面が第一半導体領域21の表面のx,y二次元面内
方向の中、x方向に沿う断面であるとするならば、当該
x方向に沿って見た場合、第三半導体領域23の周縁部
において第四半導体領域24に向かう縁部の中、最も近
い縁部を越えて第二半導体領域22に接触する部分は有
さないようになっている。図示の基本的な実施例の場合
には、第三半導体領域23は一つしか示していないので
、第四半導体領域24に向かう縁も一つしかなく、した
がって、当該縁部がそのまま、第四半導体領域24に最
も近い縁部となっている。そこで、この実施例では、第
三半導体領域23の表面に接触している部分での第二オ
ーミック電極32の周縁部において、第四半導体領域2
4を向いたこの第二オーミック電極32の縁部も、符号
Pi で示されているように、第三半導体領域23の表
面にのみ接触した所で留まっており、これと反対側のオ
ーミック接触縁部PO に見られるように、第三半導体
領域23と第二半導体領域22の表面に対して共通に、
それらの境界を横方向に越えてオーミック接触するよう
になってはいない。先に図12に即して説明した従来の
構造、つまり、第三領域3にオーミック接触する第二オ
ーミック電極32が当該第三領域3のx方向両側にて等
しく第二半導体領域2に接触する従来構造とはこの点で
大いに相違する。ただし、図1中の右手にて、第二オー
ミック電極32が第三半導体領域23と第二半導体領域
22との接触部分を横方向に越えて両者に共に接触する
部分の構造は、図1(A) に示されるように、第三半
導体領域23の表面上のオーミック電極部分がそのまま
面上を面一で伸びて第二半導体領域22の表面に至って
いる構造であっても良いし、図1(B) に示されるよ
うに、第三半導体領域23と第二半導体領域22との接
触部分に沿って表面上に形成された絶縁膜部分51’を
渡し越すようにして、当該第二オーミック電極32が両
領域22,23にオーミック接触する構造となっていて
も良い。以下の説明及び他の実施例では、図1(A) 
の構造で代表する。
【0029】これまでに述べてきた諸点は、後述する他
の実施例においても、特に適用が不能である旨明記しな
い限り、適用することができる。同様に、これも予め述
べておくと、以降のいずれの実施例においてもそうであ
るが、図中、他の実施例と同一の符号で指摘される各構
成要素は、当該他の実施例におけるそれら符号で指摘さ
れる構成要素と同一ないし同様で良いものであり、した
がって説明の省略される場合もある。そして、どれかの
実施例に関しそれら各構成要素について説明された内容
や改変例は、特に個々の実施例で適用不能である旨を明
記しない限り、同様に援用することができる。さて、図
1に示されたサージ保護デバイス20は、上記の通り、
第二オーミック電極32の形成パタンに関する本発明に
よっての限定事項を除けば、すでに図10から図12ま
でに即して説明した従来構造と差異はないので、サージ
防護デバイスとしての基本的な動作メカニズム自体は、
当該従来例に関して説明した通りとなる。サージの印加
に伴う初期降伏メカニズムとして、第一、第三半導体領
域21,23間のパンチ・スルー現象の外、第一半導体
領域21と第二半導体領域22間の雪崩降伏ないしツェ
ナ降伏を利用し得ることも同じである。ただ、ここでも
、当該従来例との対比を容易にするため、パンチ・スル
ー現象を利用する場合につき説明すると、まず、第一、
第二デバイス端子T1 ,T2 間にサージ電圧が印加
され、それが第一半導体領域21と第二半導体領域22
との間のpn接合に逆バイアスを印加する位相(したが
って図示の場合は第四半導体領域24に接続した第一デ
バイス端子T1 側が正となる位相)で、かつ、相当程
度に大きいものであると、当該逆バイアスの印加により
生じた第一、第二領域間のpn接合における空乏層は第
一半導体領域21の側へのみならず、第三半導体領域2
3の側に向けても伸びて行き、やがて当該空乏層の上方
端部が第三半導体領域23に達すると、第一半導体領域
21と第三半導体領域23とがパンチ・スルーする。こ
のようにパンチ・スルーを利用する場合には、第二半導
体領域22は少し低濃度のp型、すなわちp− 型(そ
れでも基板21よりは濃くて良い)に設定した方が良い
こともあるし、その厚味に関しても適当な薄さに設定す
る。
【0030】いずれにしろ、第一半導体領域21と第三
半導体領域23とがパンチ・スルーすると、第四半導体
領域24から第一半導体領域21に対し、当該第一半導
体領域21にとっての少数キャリアが注入されるように
なり、図1(B) 中にあって模式的に矢印fH で示
されているように、これが第二半導体領域22で収集さ
れ、第二オーミック電極32に抜けることによって、素
子電流の流れ始めとなる。こうしたパンチ・スルー動作
の開始電圧が、従来のサージ防護デバイス10の動作特
性を示す図11において電圧軸上、降伏電圧VBRと示
された点である。本発明のサージ防護デバイス20でも
、その動作特性の傾向は当該従来例の説明に用いた図1
1を使うことができる。一方、例え第二半導体領域22
と第三半導体領域23とが第二のデバイス端子T2 に
共通に接続されることでその表面においては互いに電気
的に短絡されていても、第二半導体領域22を介して流
れ始めて以降、増加して行く素子電流の電流値(正孔流
fH の大きさ)と、当該素子電流の第二半導体領域2
2内における矢印fH に沿った電流経路の抵抗値との
積により求められる電圧値(電圧降下)が、第二半導体
領域22と第三半導体領域23とにより形成されている
整流性接合(図示の場合は第三領域23も半導体領域で
あるのでpn接合)の順方向電圧に等しくなると、以降
、この第三半導体領域23から第二半導体領域22に対
して第二半導体領域22にとっての少数キャリアの注入
が起こる。そして、この第二半導体領域22への少数キ
ャリアの注入は、図11中で電流軸方向に急に立ち上が
って行く特性曲線部分にて示されるように、結果として
第一、第二デバイス端子T1 ,T2 間に流れる素子
電流の更なる増大を招き、これがまた、第四半導体領域
24から第一半導体領域21への少数キャリアの注入を
促進するという正帰還現象を招く。そのため、当該図1
1に示されている電圧対電流(V−I)特性図で見ると
、第一、第二デバイス端子T1 ,T2 間を通じ、ブ
レーク・オーバ電流IBOとして示された値以上の大き
さの電流が流れた場合、正帰還現象がデバイス内部で生
じていることの表れとして、当該特性図上に良く示され
ているように負性特性が生じ、第一、第二デバイス端子
T1 ,T2 間に表れるデバイス両端電圧は、ブレー
ク・オーバを開始した時の電圧値であるブレーク・オー
バ電圧VBOよりも低く、さらには最初にパンチ・スル
ーを開始した時の降伏電圧VBRよりも低いクランプ電
圧VP に移行することができ、これにより、素子の発
熱を抑えて大きなサージ電流の吸収が可能となる。
【0031】すでに述べたように、こうしたサージ防護
デバイス20により第一、第二デバイス端子T1 ,T
2 を介して吸収可能な最大電流値が一般に「サージ耐
量」と呼ばれ、また、一旦ターン・オンしたデバイスが
そのオン状態を維持し得る最小の素子電流値が保持電流
IH と呼ばれる。一方、クランプ電圧VP は、原理
的には保持電流IH とその電流パスに沿った各部の直
列抵抗との積に、第二半導体領域22と第三半導体領域
23によるpn接合の順方向電圧一つ分を加えた値にほ
ぼ等しい。 したがって、このクランプ電圧VP はまた、第一半導
体領域21の抵抗率や不純物濃度のみならず、第一半導
体領域21と第三領域23との間の離間距離で規定され
る第二半導体領域22の実効厚味の如何、及び(あるい
は)不純物濃度の如何によってパンチ・スルー電圧が制
御できることで、かなり広い設計幅内で任意に設定する
ことができる。逆に、第二半導体領域の厚味を厚目にし
たり、その不純物濃度を高目にする等を始め、各領域の
幾何的寸法や不純物濃度等、設計パラメータを適当に選
定すれば、動作特性図上、降伏電圧VBRで立ち上がり
始めるときの初期降伏現象には第一、第二半導体領域2
1,22間の雪崩降伏やツェナ降伏をも利用することが
でき、その後のメカニズムは上記したと同様とすること
もできる。その場合にも、本発明のサージ保護デバイス
20は、まずもってサージが印加されていないときには
高い降伏電圧を維持して素子内に流れる電流を最少限度
に抑え、本デバイスにより無駄に電力が消費されるのを
妨げる一方で、一旦、降伏電圧VBR以上のサージが印
加されると、間もなく極めて低いクランプ電圧VP を
呈し、もって大電流のサージを吸収して後続の回路系を
確実に保護し得るようになる。
【0032】しかるに、上記のメカニズムからして、サ
ージの印加後、最初に第四半導体領域24から第一半導
体領域22にとっての少数キャリア(この場合は正孔)
が注入され、この正孔流fH が第二半導体領域22か
ら第二オーミック電極32に至るに際し、その経路が確
定できないと、結局は第二半導体領域22と第三半導体
領域23とにより形成されているpn接合の順方向電圧
に等しくなるまでに流れる当該正孔流fH の大きさが
確定できなくなって、ブレーク・オーバ電流VBOが確
定できないことになり、ひいては保持電流IH の制御
性や安定性の悪化にも継がる。事実、図12に示した従
来例におけるような正孔流fH が生ずると、既述した
通り、このような問題が発生した。ところが、本発明に
従って構成されたこの実施例の場合には、図1(B) 
に示されているように、第二オーミック電極32は、第
二半導体領域22の表面に接触するにしても、第四半導
体領域24に近い側での接触部分は有さないので、当該
正孔流fH は、必ず第三半導体領域23の下面を通っ
てから、部分PO にて第二オーミック電極32に流れ
込むようになり、その経路を確定することができる。こ
れはすなわち、ブレーク・オーバ電流VBOや保持電流
IH の制御性、安定性を高め得ることを意味し、実際
、本発明者の実験により、このことが確実に確かめられ
ている。サージ耐量についても、概ね、素子面積に比例
して増大する結果が得られた。
【0033】なお、後の説明にも関連するが、第三半導
体領域23の平面形状は、上記で仮定した矩形の外、原
理的には様々な形状が考えられ、不定形であっても良い
。しかし、一般にこの種の技術分野において作成される
種々の半導体デバイスに関しても、単に製造上の問題だ
けではなく、各パラメータを簡単にすることでデバイス
特性を向上させようとすることから考えると、必要な各
領域の平面形状は、矩形の外には円形、正多角形等に留
められるのが普通である。これらの場合には、本発明の
趣旨に従う場合、第四半導体領域と第三領域、第二半導
体領域との間の平面配置関係として、図2に模式的に示
されるような関係を採れば良い。
【0034】すなわち、図2(A) に示すように、第
四半導体領域24に対し、x方向に離間した位置に設け
られる第二半導体領域に接して形成される第三半導体領
域23の形状が円形ないしほぼ円形の場合には、当該円
形の中心Oを通り、x方向に直交したy方向の直線で二
分される一対の半円の中、図2(A) 中に斜線を付し
て示す半円部分、すなわち、第四半導体領域24に近い
側の半円部分には、その縁部を第四半導体領域24の側
に向かって越えて第二半導体領域22に接触する第二オ
ーミック電極32を設けないようにする。すなわち、図
1中に示した第二オーミック電極32の第四半導体領域
24側を向いた第三半導体領域23への接触縁部Pi 
が、当該第三半導体領域の表面上に留まるようにする。 これと反対側の半円部分では、図1中に部分PO で示
されているように、第二半導体領域22と第三半導体領
域23の両表面に各接触するように、第二オーミック電
極32を形成すれば良い。
【0035】図2(B) に示されるように、第三半導
体領域23が正多角形、例えば正六角形であって、その
中心Oを通り、x方向に直交するy方向の直線が当該正
多角形の対向する一対の頂点部分を通るか、あるいはこ
れを90°回転させた関係において、一対の対向辺部の
中央を通るならば、当該直線にて分断される二つの面積
部分の中、図2(B) 中に斜線を付して示すように、
第四半導体領域24に近い側の面積部分の縁を越えて第
二半導体領域22の表面上に伸び、当該第二半導体領域
の表面に接触する第二オーミック電極部分は形成しない
ようにし、これと反対側にてのみ、第二、第三半導体領
域22,23に対し、第二オーミック電極32がそれら
表面に共通にオーミック接触するように計る。
【0036】また、図2(C) に示されるように、第
三半導体領域23が三角形であって、その中心を遠り、
x方向と直交する直線で二分した所、第四半導体領域に
近い側の斜線の付されている面積部分のみならず、反対
側の面積部分でも、符号E’で示されるように、第四半
導体領域24を向いた縁部E’,E’が生ずるようであ
れば、やはり、ここを越えては第二オーミック電極32
の第二半導体領域22に対するオーミック接触部分を形
成しないようにする。そして、この三角形を例としての
説明は、正多角形に再度、一般化することができ、上記
のような条件から外れて、正多角形が図示の回転角位置
から90°ではない任意の角度、回転した位置を占める
ときの配慮として、有効に適用することができる。不定
形状に一般化することさえでき、要は、任意形状の第三
半導体領域において、第四半導体領域の方を向いた縁部
を越えては、第二オーミック電極32を第二、第三半導
体領域の双方の表面に共通に接触させないようにすれば
良い。
【0037】図2に関してのこれらの配慮は、他の実施
例、特に後述の双極性サージ吸収用の本発明サージ防護
デバイスの実施例に関しても同様に適用できる。また、
第三半導体領域23を複数個の領域から形成する場合、
個々の領域の並設方向は、上記x方向に沿うばかりでは
なく、y方向に沿って複数個を設けることも考えられる
。もちろんその場合、各第三半導体領域23は互いに電
気的接続を採る。
【0038】上記のように、本発明に従うと、ブレーク
・オーバ電流VBOや保持電流IH の制御性ないし安
定性が向上するが、すでに述べた「小さなサージ」に対
する対策も立てられるものとなる。つまり、図1に示さ
れているサージ防護デバイス20の構造では、第二デバ
イス端子T2 側が負、第一デバイス端子T1 側が正
となる極性ないし位相のサージが印加されると、その時
に逆バイアスされるpn接合が第一半導体領域21と第
二半導体領域22とにより形成されている。このような
接合には接合容量Cj が見込まれるので、第一、第二
デバイス端子T1 ,T2 間に印加されるそのときど
きのサージの電圧の時間微分値(dV/dt)に応じ、
この接合容量Cj を充電する過渡的な電流として、既
掲の(1) 式で表される変位電流it が流れる。し
たがって、これも既述のように、当該接合容量Cj の
値が大きいと、例えば電話通信線路への雷サージ印加時
等にあって回路系への誘導ノイズ電圧値の波高値こそ、
よしんば低く、本来なら吸収する必要もない程の「小さ
なサージ」であっても、そのスルー・レイト(dV/d
t)がかなり高かったがため、結構大きな値の変位電流
it が瞬時ではあるが流れ、当該サージの尖頭電圧値
は設計上のブレーク・オーバ電圧VBOに至っていない
のにもかかわらず、デバイスがブレーク・オーバするこ
とがある。換言すれば、印加されるサージの速さないし
鋭さに応じ、サージ防護デバイス20としてのブレーク
・オーバ電圧VBOが変動してしまうことになる。そこ
で、本発明のサージ防護デバイス20においては、上記
のように、動作の初期の中に流れる、図1(B) に示
した正孔流fH の経路の制御ないし安定化が可能なこ
とから、次のような工夫により、そのように小さなサー
ジには応答することなく、デバイスとしてのブレーク・
オーバ電圧VBOを設計された一義的な値に安定化させ
ることができる。
【0039】ここで再び、簡単のため、第三半導体領域
23は矩形形状をしているものとする。そして、図1(
B) に示されるように、そのx方向(この場合、短辺
方向)の寸法はxE であり、第二半導体領域22の短
辺方向寸法であるx方向寸法はxBであるとし、さらに
、次のような記号を定義する。 yE :第三半導体領域23のy方向寸法,yB :第
二半導体領域22のy方向寸法,ρB :第一半導体領
域と第三半導体領域との間の部分における第二半導体領
域のシート抵抗, Iff:第三半導体領域23を順バイアスするに必要な
電流値. しかるに、第三半導体領域23を順バイアスするに必要
な電流Iffの電流密度Jは、次式(6) で示される
【数16】 しかるに、この式(6) の右辺分母は、結局の所、第
二半導体領域22の全面積SB(=xB・yB)であ。 一方、第三半導体領域23がオンとなるべきときの順方
向電圧Vf は、一般には0.5V程度であるが、同じ
電流値ではあっても、当該電流(例えば図1(B) 中
の正孔流fH)が第三半導体領域23の下面に沿って長
い経路に沿って走った結果、この順方向電圧Vf に相
当する電圧降下が最も生じ易い点というのは、図1に示
される本発明のデバイスの場合、既述のように第二オー
ミック電極32がそのx方向で第四半導体領域24に対
して離れた部分PO においてのみ、第二半導体領域2
2に接触している結果、各第三半導体領域23の底面に
おいて横方向(x方向)で第四半導体領域24に最も近
い個所となる。したがって、このように第三半導体領域
23のx方向寸法xE のほぼ全長に沿って流れる素子
電流(正孔流fH)による電圧降下を考えれば良いから
、当該第三半導体領域23の順バイアス電圧Vf は、
上記の電流密度Jを用い、次式(7) で示すことがで
きる。
【数17】 そこで、これを計算し、電流密度Jにつき解くと、次式
(8) が得られる。
【数18】 そのため、上記 (6)式とこの (8)式を電流密度
Jに関し等しいと置くと、第三半導体領域23を順方向
にバイアスするに必要な全電流Iffについて解くこと
ができ、次式(9) のようになる。
【数19】 その一方、第一半導体領域21と第二半導体領域22と
で形成される接合容量Cj は、単位面積当たりの接合
容量をCO とすると、次式(10),
【数20】 で表せるから、立ち上がりの速さないし鋭さがdV/d
tのサージが第一、第二デバイス端子T1 ,T2 間
に印加されたとき、これに伴う既述 (1)式の変位電
流itは、次式(11)のように書き直すことができる
【数21】 したがって、こうした変位電流it により、第三半導
体領域23が順バイアスされないためには、次式(12
),
【数22】 が満たされれば良いので、先の (9)式,(11)式
とこの(12)式とから、第三半導体領域23の各x方
向寸法xEに関して解くと、先に挙げた重要な (2)
式を得ることができる。
【0040】つまり、被保護回路のインピーダンスの関
係等もあって、それ以上に鋭い(速い)立ち上がりのサ
ージは考えられないか、または対象とする必要がないが
、ここまでの鋭さないし速さのサージに対しては誤応答
を生じさせたくないとする当該鋭さないし速さdV/d
tを決定すれば、後のパラメータは全て既知であるので
、それらと共に当該決定したdV/dt値を上記 (2
)式に代入することにより、各第三半導体領域23を形
成する際のx方向寸法xE の上限を決定することがで
きる。しかも、第三半導体領域23のy方向の寸法yE
 や第二半導体領域22の面積SB等は無関係となって
いる。したがって、それら各領域の実際の作成に関し、
製造寸法パラメータに起因する誤差要因はその分、確実
に減らすことができる。
【0041】これは、先に図2に即して説明したように
、第三半導体領域が種々の平面形状をしている場合にも
適用可能である。ただし、第三半導体領域23が円形か
それに近い形状の場合、あるいは正多角形ないしはそれ
に近い形状の場合、さらには不定任意形状の場合には、
図2に即して説明した約束を守って第二オーミック電極
32を形成した上で、上記のx方向寸法xE に関して
は、第四半導体領域24から発した少数キャリア流が当
該第三半導体領域の下面を通って第二オーミック電極3
2に流れ込むに際しての最長距離方向に沿う第三半導体
領域寸法に関する限定と考えれば良い。換言すれば、そ
のような最長距離方向をx方向と定義することで、上記
の式(2) は有効に用いることができる。それより短
い距離では電圧降下分も小さくなるからである。
【0042】このようにして、本発明の目的の一つとし
て、図13に示された従来例のように、第四半導体領域
24の側から別途に第一半導体領域21にオーミック接
触した電極を介し、第一半導体領域21にとっての多数
キャリアを流し込むことにより、第一、第二半導体領域
21,22間の接合容量Cj を充電してしまおうとす
る手法に依らなくとも、高いdV/dt値のサージに対
する対策を立てることができる。また、このような第四
半導体領域24と第一半導体領域21とに共通にオーミ
ック接触するオーミック接触構造を必須としないのであ
るから、図1に示されるように、第一のデバイス端子T
1 に接続する第一のオーミック電極31は、第四半導
体領域24に対してのみ、導通を採るように構成するこ
とができ、サージ防護デバイス20としての逆方向耐圧
も確保することができる。なお、降伏メカニズムが特に
パンチ・スルーであるような場合、変位電流itによっ
て第一、第三領域21,23間にパンチ・スルーが生じ
た直後は、それらの間にある第二半導体領域22のシー
ト抵抗も相当高くなる。しかし、この領域中を電流が流
れ出すと空乏層も縮小し、少なくとも第三半導体領域2
3をなめるような直下部分では、そのシート抵抗はその
ときの電流値に見合っての第二半導体領域24に本来見
込まれるシート抵抗値ないしはそれに近くなる。そのた
め、上記したシート抵抗ρB とは、そのような場合の
第二半導体領域のシート抵抗として設定すれば良い。逆
に、雪崩降伏による場合には、第三半導体領域近くの第
二半導体領域までには空乏層が伸びてきていないので、
そこの抵抗はそのときの電流値に応じた第二半導体領域
のシート抵抗ρB に基づき、異常に高くなることはな
い。
【0043】また、上記 (2)式に従う場合にも、第
三半導体領域23のx方向寸法xE や直径xE (円
形ないしほぼ円形の場合)には、図1(A) 中に示す
ように、当該第三半導体領域の厚味寸法hE を補正要
因として加味することも考えられるが、一般に第三半導
体領域の厚味hE は第三半導体領域23の短辺幅xE
 や直径xE を相当短くしてもそれに比してさえ極め
て薄く、代表的にはせいぜい3〜4μm程度であるし、
また、特に雪崩降伏型に認められるように、寸法的に多
少厚くなったとしても(それでも数μmオーダには留ま
ることが多い)、第二半導体領域22に対して第三半導
体領域23が拡散によって形成された領域であるような
場合には、第三半導体領域23の断面両側における横方
向の拡散抵抗は第三半導体領域下の第二半導体領域抵抗
に比し極めて低いので、このような第三半導体領域の厚
味hE はその影響を無視することができる。ただし、
無視することが最も簡単ではあるが、無視せねばならな
いことはなく、上記 (2)式に基づいている限り、第
三領域に関する寸法xE にそのような適当量の補正を
施すことは当然に許容することができる。しかし、本書
では以降、便宜のため、当該第三半導体領域23の厚味
hE は無視する。
【0044】しかるに、本発明では、さらに保持電流I
H についても配慮している。要求される保持電流IH
 の値は、被保護回路のインピーダンスと、当該回路で
定常的に使用される電流値とに鑑み、サージ消失後、速
やかに高絶縁オフ状態に戻る値として決定されるが、一
般に通信回線の保護等においては、この保持電流IH 
は最低でも100mA程度以上は要求されることが多い
。その一方、高ければ高い程良いというものでもなく、
もちろんのこと、サージ防護デバイス自体が自己破壊す
る程の電流値となって良い訳がない。しかし、これを逆
に言うなら、自己破壊しない範囲であれば、保持電流値
は相当高い値に設定した方が良いこともある。本出願人
は先に挙げた公報類にてすでに開示の発明に基づき、ま
た、本願開示の所に基づき、極めて多くの種類のパンチ
・スルー型サージ防護デバイスを製造し、あるいは試作
してきたが、自己破壊を起こす電流密度の値はかなり高
く採ることができ、1.5A/mm2 程度は確保し得
た。このような前提の下に保持電流IH というものに
つき考えるに、ここでもまず便宜のため、第三半導体領
域23が矩形の平面形状を持っている場合で代表して説
明すると、これは、当該第三半導体領域23が少数キャ
リア注入を止めるときに相当する先の電流値Iffと、
第四半導体領域24からの少数キャリア注入が止まると
きの電流値IC との和、すなわち、IH =Iff+
IC と考えることができる。ここで、電流値Iffに
ついては、先に (9)式にて求めた通りなので、例え
上記の電流値IC が零の場合でも所望の保持電流IH
 を得るためには、結局、当該(9)式中のIffを保
持電流IH で置き換え、これを第三半導体領域23の
x方向寸法xE について解くことにより、次式(13
)を得ることができる。
【数23】 したがって、この(13)式により求めた第三半導体領
域23のx方向の寸法xEが、上記した当該x方向寸法
に関する上限式(2) をも満たすようにしながら保持
電流IH を設計することができるが、逆に考えると、
必要な最小保持電流IHminの値(例えば上記のよう
に100mA)のときに必要となるx方向寸法xE が
、上記 (2)式にて規定されるx方向寸法xE の上
限よりさらに短くなる場合には、当該(13)式を上限
式に置き換えることで既述の (4)式に変形し、これ
ら (2)式と(13)式のどちらか小さい方の値を上
限として、その寸法未満で各第三半導体領域23のx方
向寸法xE を設計することになる。しかし、実際には
、上記 (2)式の方が大きな値となる傾向にあるので
、応答させたくないとするサージのdV/dt値を決定
し、これに基づいて上記 (2)式の上限を求めても、
なお、必要な最小保持電流IHminは十分に確保され
ることが多い。
【0045】逆に、上記(13)式を変形することで、
各第三半導体領域23の下限値について考慮した方が遥
かに有利である。言い換えれば、サージ防護デバイスが
自己破壊しないという条件を満たす上で、どこまで、各
第三半導体領域23のx方向寸法xE を狭められるか
、ということを考えた方が実用的である。そこで、上記
(13)式を、許容し得る最大保持電流IHmaxに関
しての各第三半導体領域23のx方向寸法xE の下限
式に変形すると、既述の (3)式となる。このように
して、本発明では、第三半導体領域23のx方向寸法x
E に関し、その上限として上記 (2)式を、また下
限として上記 (3)式を提示するが、ここで具体的な
例を挙げてみる。試作例は極めて多数に昇ったが、その
中から第二半導体領域22が500μm角、すなわち上
記x方向寸法xB もy方向寸法yB も共に等しく5
00μmであり、第一半導体領域21とによって見込ま
れる接合容量Cj が23pF、第二半導体領域22の
第三半導体領域下面におけるシート抵抗が動作電圧ほぼ
150Vで14200Ω/□であった素子を代表的に取
り上げてみる。この素子において、dV/dt値が10
0V/μs以上のサージには応答させないようにしたい
場合、上記(11),(12)式に各値を代入、演算す
ると、そのときの電流値Iffはほぼ0.55mA以上
あれば良いと計算される。そこで、当該Iff値や既掲
の他の値を上記 (2)式に代入し、計算すると、第三
半導体領域23の短辺幅xE はほぼ88μm以下なら
ば良いことになる。また、この寸法範囲にあれば、(1
3)式を保持電流IH について解き、計算すると明ら
かなように、短辺幅xE が上限寸法88μmにあると
きにも、当該保持電流IH の値は、先に必要な最低保
持電流IHminの値として仮定した例えば100mA
を十分に越えた値となる。
【0046】逆に、既述した自己破壊の問題を考え、最
大保持電流値IHmaxを500mAに設定した場合、
短くできる方の下限につき、(3)式に基づいて計算す
ると、各第三半導体領域23のx方向寸法xE は、ほ
ぼ6μmと求められる。したがって、このようなデバイ
ス・パラメータ例の場合には、各第三半導体領域23の
x方向寸法xE を、最低6μmから最大88μmの寸
法範囲内で、必要な保持電流値IHの値を満たすように
設計できることが分かる。また、本発明デバイスの動作
原理からして明らかなように、降伏メカニズムが何であ
っても、上記のようにして保持電流を制御できれば、こ
れに連れてブレーク・オーバ電流をも制御できる。
【0047】このようなことは、第三半導体領域23が
円形その他の場合にも適用できる。先と同様、図2に即
して説明した約束を守って第二オーミック電極32を形
成した上で、上記のx方向寸法xE に関しては、第四
半導体領域24から発した少数キャリア流が当該第三半
導体領域の下面を通って第二オーミック電極32に流れ
込むに際しての最長距離方向に沿う第三半導体領域寸法
に関する限定と考えれば良い。
【0048】いずれにしても上記のような条件により、
本発明によればこの種のブレーク・オーバ型で横型の二
端子サージ防護デバイス20に関し、極めて重要な設計
指針が与えられることが証明されるが、次に、サージ耐
量について考えてみる。既述の動作メカニズムにより、
この種のサージ防護デバイスでは、それがオンした後の
主電流通路(デバイス電流通路)は、第三半導体領域2
3と第四半導体領域24とを主として通るものとなる。 したがって、第三半導体領域23の面積が大きい程、サ
ージ耐量は増すことが容易に予想される。そこで、第二
半導体領域の面積SB に対する第三半導体領域23の
全面積(すなわちxE・yE)の比を変化させ、サージ
耐量の変化を見た。その結果は図3(A) に示されて
いるが、試作範囲は、サージ耐量が飽和傾向を示し始め
る点に近い所として第二半導体領域面積SB に対する
第三半導体領域面積(xE・yE)の比が67%から、
小さな方では20%までで終えており、面積比60%以
上では実際のサージ耐量はほぼ80A/mm2 以上が
得られている。面積比が20%の場合にも、サージ耐量
は面積比60%素子の半分程度になっているが、基本的
に必要なブレーク・オーバ特性は示すことが確認された
ので、図1に示されているような、片極性サージ吸収用
の本発明サージ防護デバイス20の場合には、当該図3
(A) からして、第二半導体領域22に対する第三半
導体領域23の面積比が20%から80%の範囲内にあ
れば良好なサージ耐量特性が得られることになる。した
がって、この範囲内で上記した第三領域のx方向寸法x
Eを設計することが実際には最も望ましい。
【0049】なお、第四半導体領域24から注入された
少数キャリアの中、第二半導体領域22に対してはβだ
けしか到達しないことが分かっている場合には、上記 
(2)式は既述した (5)式に変形して使用すること
もでき、当該βは実測ないしは演算により求めることが
できる。なお、上記x方向を第三半導体領域23の長辺
方向とした場合にも、上記 (2)式を始め、上記各式
は有効に利用できる。ただ、短辺方向とした方が、第三
半導体領域の下面をなめる電流経路がより短くなるので
、電圧の時間微分値dV/dtの高い「小さなサージ」
に対する耐性はより高まるということである。
【0050】以上、図1にその基本構造例を示す片極性
サージ吸収用の実施例に基づき説明してきたが、これに
関するさらに他の実施例の提示は後に回し、次に、本発
明のサージ防護デバイスは20を双極性サージ吸収用し
て構築した場合の基本的な構造例につき、図4に即して
説明する。図4に示される本発明サージ防護デバイス2
0でも、構造上、図1に示された実施例と相違する所は
少なく、相違点と言えば、第四半導体領域24が幾何的
にも物理的にも、そして冶金学的にも、第二半導体領域
22と同様の半導体領域とされ、かつ、この第四半導体
領域24内には、これも上記の意味で第三半導体領域2
3と同様の第五半導体領域25が付加されている点、ま
た、第二デバイス端子T2 が第二、第三半導体領域2
2,23に共通にオーミック接触した第二オーミック電
極32に導通しているのと同様、第一デバイス端子T1
 も第四半導体領域24のみならず、第五半導体領域2
5にも第一オーミック電極31を介して接続している点
位である。換言すれば、この双極性サージ吸収用の実施
例でも、すでに述べてきた片極性サージ吸収用として構
成された本発明サージ防護デバイスの持つ構成要件は全
て有しているので、それらについては同一の符号を付す
と共に、特に適用できない旨を述べない限り、それら各
構成要件に関してのこれまでの説明は全て援用すること
ができる。
【0051】しかるに、こうした図4に示されるサージ
防護デバイス20では、第四半導体領域24がこれまで
述べてきた片極性サージ吸収用の本発明サージ防護デバ
イスにおける図1中の第四半導体領域24と全く同様の
機能を呈するように構成されているのみならず、印加さ
れるサージの極性が反転した場合には、上述した第二半
導体領域22と等価な半導体領域として機能し、全く同
様に、第五半導体領域25は、これまでの説明における
とは逆の極性のサージが印加された場合、第三半導体領
域23に代わって当該第三半導体領域23が果たしてい
たと同等の働きをなす。もちろん、この新たに追加され
た第五半導体領域25と第四半導体領域24とにオーミ
ック接触する第一オーミック電極31も、図示の断面に
おいて、第五半導体領域25から見て第二半導体領域2
2に向き、かつ第二半導体領域22に最も近い縁部(た
だし、この実施例でも、第五半導体領域は一つしかない
から、第二半導体領域に向いた縁部がそのまま、第二半
導体領域に最も近い縁部になる)を越えて、当該第五半
導体領域25と第四半導体領域24とに共通に接触する
部分は持たず、符号Pi で示されているように、こち
らの側に向いた当該オーミック電極31のオーミック接
触部分は第五半導体領域25の表面に留まっており、反
対側の縁部が第四半導体領域24と第五半導体領域25
とに共通に接触する部分を有している。また、第五半導
体領域25のx方向寸法xE や第四半導体領域24の
x方向寸法xB 等、各寸法パラメータや、不純物濃度
関係、第一半導体領域21のシート抵抗値等、他の物理
的パラメータも、先の片極性サージ吸収用として構成さ
れた本発明実施例に関しての種々限定事項を満足してい
る。
【0052】こうしたことから、図1に示した片極性サ
ージ吸収用のデバイス20について述べてきたように、
このデバイスでも、第一デバイス端子T1側が正、第二
デバイス端子T2 側が負となる極性でのサージ印加時
には、当該図1に示されたデバイスと全く同様の動作を
なす。パンチ・スルーや雪崩降伏、ツェナ降伏等を起こ
すpn接合は第一半導体領域21と第二半導体領域22
とで構成されるpn接合であるし、新たに設けられた第
五半導体領域25は第四半導体領域24との間で逆バイ
アスとなって有意の働きをしない。これに対し、第二デ
バイス端子T2 側が正、第一デバイス端子T1 側が
負となる極性のサージが印加されると、パンチ・スルー
や雪崩降伏、ツェナ降伏等を起こすpn接合は、この図
4に示されるサージ防護デバイス20では、第一半導体
領域21と第四半導体領域22との間の第二のpn接合
となり、第二半導体領域22との間で逆バイアスとなる
第三半導体領域23の方が有意の機能をしない状態(図
1に示す構造のデバイスでサージ吸収対象極性とは逆極
性印加時に相当)となる。念のため、降伏現象にはこれ
までの実施例と同様にパンチ・スルーを利用するものと
し、これまでとは逆極性のサージ印加時について述べて
みると、第一半導体領域21と第四半導体領域24との
間の第二のpn接合が逆バイアスされ、これにより生じ
た空乏層が第一半導体領域21の側へのみならず、第五
半導体領域25の側に向けても伸び、やがてのことに当
該空乏層の下方端部が第五半導体領域25に達すると第
一半導体領域21と第五半導体領域25間がパンチ・ス
ルーする。こうなると、第二半導体領域22の方から第
一半導体領域21内に当該第一半導体領域21にとって
の少数キャリアが注入され、これが第四半導体領域24
で収集されて素子電流の流れ始めとなる。一方で、例え
第四半導体領域24と第五半導体領域25とが第一デバ
イス端子T1 に共通に接続されることでその表面にお
いては互いに電気的に短絡されていても、第四半導体領
域24を介して流れ始めて以降、増加して行く素子電流
の電流値と、当該素子電流の第四半導体領域24内にお
ける電流経路に沿った抵抗値との積により求められる電
圧値(電圧降下)が、第四半導体領域24と第五半導体
領域25とにより形成される整流性接合(図示の場合は
第五領域25も半導体領域であるのでpn接合)の順方
向電圧に等しくなると、以降、第五半導体領域25から
第四半導体領域24に対して第四半導体領域24にとっ
ての少数キャリアの注入が起こる。そして、この第四半
導体領域24への少数キャリアの注入は、結果として第
一、第二デバイス端子T1 ,T2 間に流れる素子電
流の更なる増大を招くことになり、これがまた、第二半
導体領域22から第一半導体領域21への少数キャリア
の注入を促進するという正帰還現象を招く。そのため、
先に掲げた図11に示されている電圧対電流(V−I)
特性図に対し、原点対称な関係で第三象限に描かれるが
、やがてのことに既述した正帰還現象がデバイス内部で
生じていることの表れとして、第一、第二デバイス端子
T1 ,T2 間に表れるデバイス両端電圧は、ブレー
ク・オーバを開始した時の電圧値であるブレーク・オー
バ電圧−VBOよりも絶対値において低く、さらには最
初にパンチ・スルーを開始した時の降伏電圧−VBRよ
りも絶対値において低いクランプ電圧−VP に移行す
ることができ、これにより、素子の発熱を抑えながら大
きなサージ電流の吸収が可能となる。
【0053】しかるに、このように第一デバイス端子T
1 側が負となる極性のサージにおいても、上記メカニ
ズムの中、第五半導体領域25と第四半導体領域24と
で構成される第二pn接合に順方向電圧が与えられるま
での過程において、第一のオーミック電極31は、第五
半導体領域25から見て第二半導体領域22に近い側に
は第四半導体領域24の表面にオーミック接触する部分
を持たないために、先に図1(B) にて示した正孔流
fH と同様、その矢印の方向こそ、この場合は逆にな
るが、やはり第五半導体領域25の下面を均一になめな
がら第四半導体領域表面の部分PO で示される個所に
て第一オーミック電極31に流れ込んで行くことができ
、当該正孔流fH の経路を確定することができる。そ
のため、これに伴う既述した種々の効果、例えばブレー
ク・オーバ電流VBO、保持電流IH の制御性、安定
性の向上効果やサージ耐量の向上効果を同様に享受する
ことができる。また、当該印加されたサージの電圧がブ
レーク・オーバ電圧−VBOより絶対値において小さい
範囲内にあるにも拘らず、その電圧の時間微分値dV/
dtがかなり大きかったがためにターン・オン(ブレー
ク・オーバ)してしまう誤動作が生ずるおそれは、既述
の第二半導体領域22に関する寸法パラメータを第四半
導体領域24のそれらとし、第三半導体領域23に対す
る各パラメータを新たに追加した第五半導体領域25の
それらとすることにより、第五半導体領域の形状に応じ
て上記各式を満たすことで同様に低減することができる
。こうしたことから、保持電流、ブレーク・オーバ電流
やサージ耐量についての他の考察も然りであって、図1
に示した本発明デバイスにおける第二半導体領域22、
第三半導体領域23、第四半導体領域24に関する各説
明を、それぞれ、図4に示される本発明デバイスの第四
半導体領域24、第五半導体領域25、第二半導体領域
22に対するものと読み換えれば、当該説明はほとんど
そのまま、適用することができる。
【0054】ただし、少し異なるのは、この図4の本発
明デバイス20のように、双極性のサージを吸収する構
成とすると、図1の片極性サージ吸収用デバイスではデ
バイスがオンとなった後の主電流通路の一端側を形成す
る第四半導体領域24の面積が極めて広く採れたのに対
し、この中に新たに逆極性サージ時に有効に機能する第
五半導体領域25を設けねばならないことから、当該第
四半導体領域24の面積が小さくなることである。した
がって、図1の片極性サージ吸収用のサージ防護デバイ
ス20におけると同一極性のサージ吸収時について考え
ると、サージ耐量は一応、低下することが予想される。 そこで、本発明者はこの点についても検討を施したが、
実際には片極性サージ吸収用のサージ防護デバイスに比
し、極端な低下を起こさない設計範囲があることが分か
った。図3(B) はこれを証明するもので、図4に示
されているように、x方向寸法がxB で、これに直交
するy方向寸法がyB の第四半導体領域24中にあっ
て、x方向寸法xE 、y方向寸法yE の矩形第五半
導体領域25の占める割り合いが減り、つまりは残存す
る第四半導体領域24の有効面積が増す程、双極性サー
ジ吸収用のデバイスであっても片極性サージ吸収用デバ
イスのサージ耐量の80%に向けて飽和し、十分なサー
ジ耐量が得られた。逆に、第四半導体領域24中におい
て第五半導体領域25の占める面積が67%程度まで増
えても、片極性サージ吸収用デバイスの場合の30%以
上のサージ耐量は確保できた。もちろん、必要なサージ
耐量に応じ、第四、第五半導体領域相互の面積比は決定
できるが、その範囲は、種々多くの試作例で0.1〜0
.9の間まで、許容することができた。このことはまた
、逆極性についても言えるから、双極性サージ吸収用と
した本発明サージ防護デバイス20では、第二半導体領
域22中に占める第三半導体領域の面積比も上記の値範
囲内となる。
【0055】以上、片極性サージ吸収用、双極性サージ
吸収用のそれぞれに対して本発明の有用性を説明したが
、以下、本発明のサージ防護デバイスに採用し得る他の
構造的改変例等につき説明する。ただし、先の約束の通
り、各実施例において採用した構成要素は、他の実施例
において特に適用できないことを明言しない限り適用す
ることができるし、もちろん、各実施例において上記図
1、図4の各実施例に関し説明した各寸法条件は全て満
たしているものである。特に、双極性サージ吸収用とし
ての本発明デバイスの改変例はまた、第二半導体領域中
の第三半導体領域または第四半導体領域中の第五半導体
領域を除き、かつ、それらがあるがために必要となった
追加の構成要件等は除けば、容易に片極性サージ吸収用
としての本発明デバイスの他の改変実施例となり得る。 まず、図4に併示されている改変構成例につき、一つづ
つ説明するが、これまでは最初の降伏メカニズムに第一
半導体領域21と第三領域(第三半導体領域)23間、
または第一半導体領域21と第五領域(第五半導体領域
)25間のパンチ・スルーを予定してきた。しかし、こ
れも既述のように、本発明のサージ防護デバイスでは、
初期降伏メカニズムには雪崩降伏やツェナ降伏等、いわ
ゆる「ポイント・フェノメノン(局所現象)」と呼ばれ
る他の降伏現象を利用することもできる。ところが、一
方ではこうした場合、第一半導体領域21と第二半導体
領域22や第一半導体領域21と第四半導体領域24と
で形成される各pn接合において、印加されたサージの
極性に応じ逆バイアスとなる側のpn接合で当該降伏を
し始める個所や、ないしは降伏後においても電界の集中
する個所が通常、局所的になり易い。そこで、意図的に
このような降伏原理を採用する場合には、電流の局所集
中現象を低減するために、図4中、仮想線で示されるよ
うに、第二、第四半導体領域22,24と第一半導体領
域21との接触面積領域に複数個所、適当なるパタンで
第一半導体領域と同一導電型の高濃度不純物領域(した
がってこの場合はn+ 領域)41,・・・・・を点々
と形成すれば良い。こうすると、雪崩降伏が各高濃度不
純物領域41,・・・・・の一つ一つにおいてはそれら
の角部ないし端部から生じ始めたにしても、全体として
は降伏を開始する部分を当該高濃度不純物領域41,・
・・・・の数に応じて増やすことができ、それらから一
斉に降伏に伴っての素子電流を流し始めることができる
ので、総体的に見るとデバイス電流の均一化、ひいては
サージ耐量等、電気的特性の安定化を得ることができる
【0056】逆に、本質的には最初の降伏メカニズムに
パンチ・スルーを利用しようとした場合にも、第一半導
体領域21と第二、第四半導体領域22,24とで構成
される第一、第二pn接合部分の中、印加されるサージ
の極性に応じてどちらか一方のpn接合のいわゆる角部
となる部分で比較的早い時期に不測の雪崩降伏が生ずる
と、やはり動作上、大いに不都合である。したがって、
これを防ぐか抑制するには、当該図4中に符号33,3
4でそれぞれを示したように、第二半導体領域22と第
三半導体領域23とに共通にオーミック接触するオーミ
ック電極32には第一半導体領域21の主面に表れてい
る第二半導体領域22とのpn接合の境界部分を越えて
当該第二半導体領域22から第一半導体領域21の上に
まで張り出した部分34を、また、第四半導体領域24
と第五半導体領域25とに共通にオーミック接触するオ
ーミック電極31には第一半導体領域21の主面に表れ
ている第四半導体領域24とのpn接合の境界部分を越
えて当該第四半導体領域24から第一半導体領域21の
上にまで張り出した部分33を設けると良い。これらの
張出し部分33,34と第一半導体領域21の主面との
間にはそれぞれ絶縁膜51が介在するが、このような張
り出し部分33,34はいわゆるフィールド・プレート
33,34となり、特に、第一半導体領域21と第二、
第四半導体領域22,24とで形成される上記各pn接
合のそれぞれの各角部における電界の集中を緩和する作
用を有する。したがってこれは、初期降伏現象にパンチ
・スルーを利用する場合に当該角部における不測の雪崩
降伏等を避ける意味から有効ではあるが、雪崩降伏原理
等を利用する場合にも電流の集中を低減する上では有効
である。特に、既述したように複数の高濃度不純物領域
41,・・・・・(図4中、仮想線)を設ける等、複数
個所にての雪崩降伏を意図した場合には、まさしく、他
の降伏予定個所と一緒にではなく、pn接合角部にての
み、早目に降伏が生じてしまうのを予防することができ
る。
【0057】同様の目的のためには、上記のようなフィ
ールド・プレート33,34に代えて、あるいはこれに
加えて、図4中、仮想線の領域61,62で示されてい
るように、第二半導体領域22と第四半導体領域24の
周囲にそれらと同一導電型であるがそれらには触れない
状態でガード・リング61,62を設けるのもまた良い
配慮である。これはもちろん、電界を緩和する働きを有
し、各pn接合角部近傍における局所的な降伏を抑制す
る効果を持つ。
【0058】第五半導体領域の平面形状については、こ
れも片極性サージ吸収用として構成された実施例に関し
、すでに図2に即して種々の形態例につき説明したが、
これはもちろん、双極性サージ吸収用の本発明サージ防
護デバイスにおいても、第三半導体領域23または第五
半導体領域のどちらか、あるいは双方に関し、適用する
ことができる。普通は、特性の対称性が要求されるから
、第三、第五半導体領域23,25も、それらの離間距
離の中央を通る分割線に関し線対称の平面形状となって
いるのが良い。しかるに、これらの平面形状に関しては
また、さらに、図5に示すような説明を付加することで
、本発明の要旨構成中に認められる表現の意味を理解す
ることができる。図5に示されるのは、双極性サージ吸
収用として構成された本発明サージ防護デバイスの一実
施例であるが、まず、面内一方向に沿う断面である当該
図5中の下半分に着目してみると、第二半導体領域22
の中には互いに離間した二つの第三半導体領域23,2
3があり、同様に、第四半導体領域24の中には、この
断面においては二つの第五半導体領域25,25がある
。したがって、第二半導体領域24の中の第三半導体領
域23,23の各々に関してそれぞれ、第四半導体領域
24を向いた縁部23E1,23E2というものを定義
することができる。ところが、そうした縁部23E1,
23E2にあっても、第四半導体領域24に最も近い縁
部ということになれば、それは図中、右手に位置する縁
部23E1のみとなる。そこで、本発明の要旨構成に従
い、第三領域の周縁部においてx方向(図示断面方向)
に見て第四領域を向いた縁部の中、少なくとも第四領域
に最も近い縁部を越えては第二半導体領域の表面に接触
する部分を有さない,という構成要件に従い、この実施
例でも、第二オーミック電極32は、当該縁部23E1
を越えては第二半導体領域22の表面に接触する部分を
有していない。全く同様にして、図示断面において第四
半導体領域24中の二つの第五半導体領域25,25に
関しても、第二半導体領域22を向いた縁部25E1,
25E2の中、第二半導体領域22に最も近い縁部は縁
部25E1のみとなり、第一オーミック電極31は、こ
の縁部25E1を越えて第四半導体領域24の表面に接
触する部分を有していない。
【0059】さらに、本発明要旨構成中に認められるよ
うに、面内一方向(x方向)において少なくとも二つの
第三領域または第五領域,という表現は、図5中、上半
分に示しているような第三半導体領域23、第五半導体
領域25の平面形状を許容することを意味している。す
なわち、第三半導体領域23、第五半導体領域25は共
に、平面形状としてこの場合、枠形状をしている。換言
すれば、x方向に直交するy方向においては、x方向に
沿う断面では二領域である各領域の端部相互が接続部分
23C,23C;25C,25Cで接続されているので
ある。このようになっていても、既述のメカニズムから
して本発明の目的が全うされることは明らかであるが、
さらに進んで、このような構造によると、図5中、見易
いように仮想線で示した第二、第一オーミック電極32
,31は、実際上、平面形状では枠形状となっている第
三、第五半導体領域23,25のそれぞれの枠の中の開
口を介してのみ、第二半導体領域22、第四半導体領域
24に接しているので、y方向の端部を介しての電流の
回り込み、ないしは各領域の導電型の反転に応じた当該
それら端部からの電流の流出を防ぐことができる。端部
を介しての電流の回り込み(ないしその逆)があると設
計性が悪化し、かつまたサージ耐量も低下すことがある
。こうしたことからすると、図5中の下半分に示される
断面構造において、第四半導体領域24から遠い側の第
三半導体領域23は、図中に括弧で符号26として示す
ように、これまで説明してきた第三半導体領域23の機
能を持たず(すなわち、本発明の各態様に従っての寸法
上の制限等がなく)、上記に関しての単なる電流防護領
域26であっても良く、第二半導体領域22から遠い側
の第五半導体領域25に関しても、同様にこれが単なる
電流防護領域26として構成されていても良い。
【0060】なお、第二オーミック電極32の平面形状
と、第一オーミック電極31の平面形状は、図中ではあ
えて変えて示してある。第二オーミック電極32は、そ
のy方向両端部分が上記した第三半導体領域23のy方
向端部接続部分23Cの上に載っているのに対し、第一
オーミック電極31の両端部分は第半導体領域25のy
方向端部接続部分25Cから離れている。これはどちら
でも良いことを説明の便宜上、一遍に示したもので、実
際にはどちらかを選び、第一、第二オーミック電極31
,32共、同じ形状とするのが良い。また、第三半導体
領域23、第五半導体領域25に関する平面形状は、図
5に示されている四角の枠形状の外にもドーナッツ形状
とか、他の任意の枠形状に変換できる。図2に関する説
明との奏合からこのことは明らかである。さらに、例え
ば図5の上半分に示される平面形状において、内部の開
口の数が第二、第四半導体領域の並設方向(x方向)に
見て二つに増えれば、図5の下半分に示されるx方向に
沿った断面では、第三半導体領域23や第五半導体領域
25の数は三つとなり、以下同様に、枠内開口の数の増
加と共に、断面構造においてはそれより一つ多い数の第
三ないし第五半導体領域数となる。そして、そのような
場合にも、第三領域23において第四半導体領域24に
最も近い縁部とか、第五領域25において第二半導体領
域22に最も近い縁部というものは一つしかない。ただ
し、本発明要旨構成上の定義からして逆に、第二、第一
オーミック電極32,31のそれぞれに関し、上記少な
くとも最も近い縁部以外の縁部(例えば図5中では縁部
23E2や25E2)であるならば、これを越えて第二
半導体領域22や第四半導体領域24に接触する部分を
有しているかいないかは、その時々の設計に任して差支
えない。そして、この図5に即して述べた種々の説明は
、図3(A) までに即して述べたように、本発明に従
い片極性サージ吸収用として構成されたサージ防護デバ
イスにおいてもその第三半導体領域23と第二オーミッ
ク電極32に関する説明としてそのままに適用すること
ができる。
【0061】次に、集積化につき考える。以上の各実施
例では、本発明のサージ防護デバイス20は、言わば単
位の構造しか有していない。しかし、当然のことながら
、第一半導体領域21を全てに共通の第一半導体領域と
して、図1や図4に示された本発明サージ防護デバイス
構造を複数個、並設、集積化することが可能である。 片極性サージ吸収用を例に採って図示すると、例えば図
6のような構造があり、複数の第四半導体領域24・・
・・・・・・の各第一オーミック電極31に接続した各
第一デバイス端子T1 を全て並列接続し、各第四半導
体領域に一組づつ対応する第二、第三半導体領域22,
23の各々に共通にオーミック接触する第二オーミック
電極32をそれらの第二デバイス端子T2 を介して全
て並列接続すれば、大電流吸収可能なサージ防護デバイ
スが構築できるし、結果として共通の一枚の基板上に個
々に独立に動作し得る複数個のサージ防護デバイスを構
築することもできる。その場合、必要に応じ、隣接する
デバイス構造間には仮想線70で示される素子間分離領
域(機械的に溝掘りされること等も含む)を形成すれば
良い。
【0062】一方、このように単純に、図1ないし図4
に示されている構造を、第一半導体領域21の一主面に
沿って適宜離間させるだけに代えて、少し工夫すると、
次のような構造を得ることもできる。図7に示されるの
は、片極性サージ吸収用として構築された本発明サージ
防護デバイスの改変例であって、第一半導体領域21の
一主面に形成されている第四半導体領域24の両側に、
それぞれ適宜離間して一対の第二半導体領域22−1,
22−2が設けられ、この中に、それぞれ第三半導体領
域23−1,23−2が形成されるようにし、それら一
対の第二半導体領域22−1,22−2と各対応する第
三半導体領域23−1,23−2とに共通にオーミック
接触する第二オーミック電極をそれぞれのために一つづ
つ(32−1,32−2)設け、それら各々に第二デバ
イス端子T2−1 ,T2−2 を設ければ、当該二つ
ある第二オーミック電極T2−1 ,T2−2の各々と
、第四半導体領域24にオーミック接触する第一オーミ
ック電極31ないし第一デバイス端子T1 との間で、
すでに説明したメカニズムにより、定められた極性のサ
ージに関してはその吸収を行なうことができる。したが
って、このような構造をさらに複数個、第一半導体領域
24の一主面上に横方向に適宜離間させながら、また、
必要に応じ既述の素子間分離領域等を形成しながら設け
ることもできる。もちろん、各第二オーミック電極32
−1,32−2は、それぞれ第四半導体領域24を向い
た方向においては、第三半導体領域23−1,23−2
の表面上にてオーミック接触する縁部Pi ,Piに留
まり、第二、第三半導体領域22,23間の境界を越え
てまで、第二半導体領域22−1,22−2の表面に接
触する部分は有していない。また、第四半導体領域中に
仮想線24−1,24−2で示されているように、第四
半導体領域24も一対あって、それらが共通に第一オー
ミック電極31に接続されていても良い。この場合には
、片方の第四半導体領域24−1が、図中でその左方に
ある第二半導体領域22−1と第三半導体領域23−1
とに対して組をなし、他方の第四半導体領域24−2が
、図中でその右方にある第二半導体領域22−2と第三
半導体領域23−2とに対して組をなす。そして、それ
ら一対の第四半導体領域24−1,24−2の間におい
ては、第一オーミック電極31が直接に第一半導体領域
21の主面にオーミック接触していても良く、そうであ
れば、先に図13に示した従来例の説明の項で述べたよ
うに、既存の手法の一つとして、「小さなサージ」に応
答させないための手段が併用されることになる。もちろ
ん、本発明でも既述の通り、この「小さなサージ」に対
する誤応答の問題は解決されるから、上記のように第一
半導体領域21に対するオーミック接触の必要がなけれ
ば、一対の第四半導体領域24−1,24−2の間は、
第一半導体領域21の主面上に形成された絶縁膜の上を
第一オーミック電極31が渡し越すようになっていて良
い。
【0063】図8は、第一半導体領域21の主面に、第
四半導体領域24と第五半導体領域25との組と、第二
半導体領域22と第三半導体領域23の組とを、それぞ
れ複数個、x方向に沿い交互に設けたもので、それら各
組の第四半導体領域24中の第五半導体領域25は離間
した一対の領域から構成され、また、各組の第二半導体
領域22中の第三半導体領域23も離間した一対の領域
から構成されている。その上で、第二のデバイス端子T
2 は、第二半導体領域22と一対の第三半導体領域2
3,23から成る各組においてそれら第二半導体領域2
2と該一対の第三半導体領域23,23とに共通にオー
ミック接触する第二オーミック電極32の各々に対し、
それらの全てに共通に接続し、また、第一のデバイス端
子T1 は、各第四半導体領域24と一対の第五半導体
領域25,25から成る各組においてそれら第四半導体
領域24と該一対の第五半導体領域25,25とに共通
にオーミック接触する第一のオーミック電極31の各々
に対し、それらの全てに共通に接続している。こうなっ
ていると、双極性のサージを吸収でき、かつ、並列効果
により、大電流のサージを吸収することができる。すな
わち、隣接し合う第二半導体領域22と第四半導体領域
24を考えた場合、それら各領域22,24の中の一対
の第三半導体領域23,23と第五半導体領域25,2
5の中で、隣接し合うもの同志が、図4に基本構成を示
した双極性サージ吸収用の本発明デバイスにおける構成
とほぼ同様の構成を提供する。他方の第三半導体領域2
3や第五半導体領域25は、逆隣りに隣接する第四半導
体領域24や第二半導体領域22と組をなして図4に示
される構成と同様の構成を構築する。したがって、第一
、第二のオーミック電極31,32を全体として見ると
、図示断面をx方向に沿った断面とするならば、当該x
方向の等しく両側において、符号Pi ,Pi にて示
されているように、第二半導体領域22と第三半導体領
域23の境界を越えて第二半導体領域22の表面に接触
したり、また、第四半導体領域24と第五半導体領域2
5の境界を越えて第四半導体領域24の表面に接触する
ようなことはなく、一対の第三半導体領域23,23の
間及び一対の第五半導体領域25,25の間にてのみ、
第二半導体領域22及び第四半導体領域24の表面にオ
ーミック接触している。これはあたかも、図4に示され
ている基本構成を左右逆にして二つ用い、かつ、これに
より向かい合いになった第二半導体領域22または第四
半導体領域24を近付け、共通の領域として横方向に連
結した場合に相当する。換言すれば、この図8に示され
る構造では中央に示されているオーミック接触部分PO
 が、図4に示されていた単位のサージ防護デバイス構
造においての当該部分PO に相当する。したがって、
先の(1) 〜(13)式を利用して、「小さなサージ
」に対する誤応答の問題やブレーク・オーバ電流VBO
、保持電流、サージ耐量等についての望ましい結果を得
るために本発明に従う場合には、寸法パラメータについ
ては、図8に併示されているように、第三半導体領域2
3または第五半導体領域25の一つ分に関してのみ、x
方向寸法xE を考え、同様に、第二半導体領域22や
第四半導体領域24のx方向寸法についても、図示され
ている半分の寸法を先のx方向寸法xB とすることに
なる。
【0064】同様に、第二半導体領域22中に一対の第
三半導体領域23,23を設けた組と第四半導体領域2
4中に一対の第五半導体領域25,25を設けた組を複
数組づつ第一半導体領域21の一主面上に適宜間隔を置
いて交互に配するにしても、図9に示されているように
、例えばこれらを二組づつ用い、二つの第四半導体領域
24と各一対の第五半導体領域25,25にオーミック
接触する計二つの第一のデバイス端子T1 ,T1 の
中、それら各組の上記並設方向で中側に位置する組の第
四半導体領域24と一対の第五半導体領域25,25と
にオーミック接触した第一デバイス端子T1 を独立の
端子TA として取出し、また、二つの第二半導体領域
24と各一対の第三半導体領域23,23に接触する計
二つの第二デバイス端子T2 ,T2 の中、これも同
様に各組の上記並設方向で中側に位置する組の第二半導
体領域22と一対の第三半導体領域23,23にオーミ
ック接触する第二デバイス端子T2 を独立の端子TB
 として取出す一方で、当該並設方向でそれぞれ外側に
位置することになった残りの第一デバイス端子T1 と
第二デバイス端子T2 とを共通接続し、新たに第三の
端子TC として取出せば、この種の分野で良く見られ
るように、デルタ結線回路として、代表的には一通信回
線分を任せ得る三端子型のサージ防護装置を構築するこ
とができる。すなわち、一通信回線を構成する一対の線
路の各々と接地の間に印加される、いわゆるコモン・モ
ード・サージと、一対の線路間に印加される、いわゆる
ノーマル・モード・サージの双方に対し、等しく防御を
計り得る装置を得ることができる。これがもし、双極性
サージ吸収可能ではあるが基本的な二端子型のサージ防
護デバイスによってのみ、同様の目的を果たそうとした
ならば、そのような素子が三つ、必要になる。ただし、
このようなデルタ結線回路として使用される場合には、
第四半導体領域24と一対の第五半導体領域25,25
とによる各組、及び上記第二半導体領域22と上記一対
の第三半導体領域23,23とによる各組の中、並設方
向で外側に位置する組においては、一対の第五半導体領
域25,25及び一対の第三半導体領域23,23を用
いるのに代え、それぞれ一つづつの第五半導体領域25
と第三半導体領域23を用いることができる。省略可能
な第三半導体領域及び第五半導体領域には、同図中、仮
想線の符号23’または25’を付した。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、片極性サージ吸収用と
しても双極性サージ吸収用としても、共に適当なるサー
ジ防護デバイスを提供することができ、特に、降伏メカ
ニズムが開始してからブレーク・オーバに至るまでの素
子電流の電流経路を制御ないし確定できる結果、ブレー
ク・オーバ電流や保持電流の制御性、安定性に関して良
好な結果が得られ、サージ耐量も向上する。また、本発
明の一つの態様によれば、電圧の尖頭値は小さくてもそ
の電圧の時間微分値が大きかったがために従来構造では
ブレーク・オーバしてしまっていたような誤応答を効果
的に防ぐことができる。これに関し、従来構造において
そうした「小さなサージ」に対する対策として示された
中に認められるような、降伏動作側とは対向する領域側
にあって第一半導体領域に対してオーミック接触するよ
うな電極構造も、本発明では必須とはしないから、吸収
対象のサージとは逆極性の電圧に関してデバイスとして
の逆耐圧を確保することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に従って構成された片極性サージ吸収用
としてのサージ防護デバイスの原理構造ないしは基本的
実施例の概略構成図である。
【図2】第三半導体領域が種々の平面形状を採る場合の
オーミック電極の付し方の説明図である。
【図3】片極性サージ吸収用として構成された本発明の
サージ防護デバイスでの第二半導体領域中に占める第三
半導体領域の面積比とサージ耐量との関係の傾向と、双
極性サージ吸収用として構成された本発明のサージ防護
デバイスでの第四半導体領域の有効残存面積比とサージ
耐量との関係、及び片極性サージ吸収用のサージ防護デ
バイスに対するサージ耐量の関係の傾向を示す説明図で
ある。
【図4】本発明に従って構成された双極性サージ吸収用
としてのサージ防護デバイスの原理構造ないしは基本的
実施例の概略構成図である。
【図5】第三半導体領域や第五半導体領域が平面的に見
ると枠形状を採る場合の説明図である。
【図6】片極性サージ吸収用として構成された本発明の
基本的な実施例構成に基づき、大電流吸収に適した構造
に改変した実施例の概略構成図である。
【図7】片極性サージ吸収用として構成された本発明の
基本的な実施例構成に基づき改変されたさらに他の実施
例の概略構成図である。
【図8】双極性サージ吸収用として構成された本発明の
基本的実施例に基づき並列構成の一例として改変された
実施例の概略構成図である。
【図9】いわゆるデルタ結線回路としてのサージ防護に
適した構成を持つ本発明実施例の概略構成図である。
【図10】片極性サージ吸収用として構成された従来の
サージ防護デバイスの原理的な構成図である。
【図11】従来のサージ防護デバイスのサージ吸収に関
する特性図である。
【図12】従来のサージ防護デバイスにおいて発生して
いた問題点を説明するための説明図である。
【図13】従来において小さなサージに対する誤応答を
防ぐために施された工夫を有するサージ防護デバイスの
概略構成図である。
【符号の説明】
20  本発明サージ防護デバイス 21  第一半導体領域 22  第二半導体領域 23  第三半導体領域 24  第四半導体領域 25  第五半導体領域 31  第一オーミック電極 32  第二オーミック電極 33  フィールド・プレート 34  フィールド・プレート 51  絶縁膜 61  ガード・リング 62  ガード・リング T1   第一デバイス端子 T2   第二デバイス端子 Pi   第三半導体領域または第五半導体領域の表面
上に留まったオーミック接触の縁部分 fH   正孔流

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  第一半導体領域の一方の主面側に設け
    られ、該第一半導体領域の導電型とは逆導電型で該第一
    半導体領域との間でpn接合を形成する第二の半導体領
    域と,上記第一半導体領域とは対向する側から上記第二
    半導体領域に接触し、該第二半導体領域に対し該第二半
    導体領域にとっての少数キャリアを注入することができ
    、少なくともその面内一方向に沿う一断面においては一
    つ以上の数N個から成る第三領域と,上記第一半導体領
    域の上記一方の主面側にあって互いに直交する該主面の
    面内x,y両方向の中、該x方向に沿って上記第二半導
    体領域に対し離間した位置に設けられ、該第一半導体領
    域に対して該第一半導体領域にとっての少数キャリアを
    注入し得る第四領域とを有し,該第四領域にオーミック
    接触すると共に第一のデバイス端子に接続した第一のオ
    ーミック電極と、上記第二半導体領域と上記第三領域と
    に共通にオーミック接触すると共に第二のデバイス端子
    に接続した第二のオーミック電極との間に、上記pn接
    合を逆バイアスする極性で降伏電圧以上の電圧のサージ
    が印加されると降伏し、該第一、第二デバイス端子間に
    てサージ電流を吸収し始めると共に、該降伏後、上記第
    四領域から上記第一半導体領域への上記少数キャリアの
    注入と、上記第三領域から上記第二半導体領域に対する
    上記少数キャリアの注入との相乗効果により、上記吸収
    し始めたサージ電流の大きさがブレーク・オーバ電流以
    上になると正帰還現象を介してブレーク・オーバし、上
    記第一、第二デバイス端子間を絶対値において相対的に
    低電圧のクランプ電圧に移行させながらサージ電流を吸
    収し続ける二端子ブレーク・オーバ型のサージ防護デバ
    イスであって;上記第二半導体領域と上記第三領域とに
    共通にオーミック接触する上記第二のオーミック電極は
    、該第三領域の周縁部において上記x方向に見て上記第
    四領域を向いた縁部の中、少なくとも該第四領域に最も
    近い縁部を越えて該第二半導体領域の表面に接触する部
    分を有さないこと;を特徴とするサージ防護デバイス。
  2. 【請求項2】  請求項1に記載のデバイスであって;
    ρB を上記第一、第三領域間の部分における第二半導
    体領域のシート抵抗,Vf を上記第三領域を順バイア
    スする電圧,CO を上記pn接合の単位面積当たりの
    接合容量,dV/dtをそれ以上には応答させたくない
    サージの立ち上がりの鋭さ,として、上記第三領域の上
    記x方向寸法xE が、 【数1】 に基づいて規定されていること;を特徴とするデバイス
  3. 【請求項3】  請求項2に記載のデバイスであって;
    上記第三領域の上記x方向寸法xE は、上記ブレーク
    ・オーバした状態を維持し得る範囲で許容し得る最大保
    持電流値IHmaxに対し、SB を上記第二半導体領
    域の面積として、 【数2】 なる関係も満たしていること;を特徴とするデバイス。
  4. 【請求項4】  請求項2または3に記載のデバイスで
    あって;上記第三領域の上記x方向寸法xE は、上記
    ブレーク・オーバした状態を維持するに必要な最小の保
    持電流値IHminに対し、SB を上記第二半導体領
    域の面積として、 【数3】 なる関係も満たしていること;を特徴とするデバイス。
  5. 【請求項5】  請求項2,3または4に記載のデバイ
    スであって;上記第四領域から注入された少数キャリア
    の中、上記第二半導体領域に到達する量比βに応じ、上
    記式(1) 【数4】 に代えて、上記第三領域x方向寸法xE が、【数5】 に基づいて規定されていること;を特徴とするデバイス
  6. 【請求項6】  請求項2,3,4または5に記載のデ
    バイスであって;上記第三領域は短辺と長辺を有する矩
    形またはほぼ矩形の平面形状を有し;上記x方向寸法x
    E は上記短辺方向の寸法であって;上記第二オーミッ
    ク電極は、該矩形の第三領域の一対の上記長辺の中、少
    なくとも上記x方向に見て上記第四領域に近い方の長辺
    を越えて上記第二半導体領域の表面上に接触する部分を
    有さないこと;を特徴とするデバイス。
  7. 【請求項7】  請求項2,3,4または5に記載のデ
    バイスであって;上記第三領域は円形またはほぼ円形の
    形状を有し;上記x方向寸法xE は該円形またはほぼ
    円形の第三領域の直径またはほぼ直径の寸法であって;
    上記第二オーミック電極は、該x方向と直交し、該円形
    またはほぼ円形の第三領域の中心またはほぼ中心を通る
    上記y方向の直線で二分した一対の半円またはほぼ半円
    の中、上記x方向に見て上記第四領域に近い側の半円の
    周縁を越えて上記第二半導体領域の表面に接触する部分
    を有さないこと;を特徴とするデバイス。
  8. 【請求項8】  請求項2,3,4または5に記載のデ
    バイスであって;上記第三領域は正多角形またはほぼ正
    多角形であり;上記x方向寸法xE は該正多角形また
    はほぼ正多角形の第三領域の中心またはほぼ中心を通る
    幅寸法であって;上記第二オーミック電極は、該x方向
    と直交し、該正多角形またはほぼ正多角形の第三領域の
    上記中心またはほぼ中心を通る上記y方向の直線で二分
    した面積部分の中、上記x方向に見て上記第四領域に近
    い側の面積部分の周縁を越えて上記第二半導体領域の表
    面に接触する部分を有さず、かつ、該x方向に見て上記
    第四領域に遠い側の面積部分にあっても上記第四領域に
    向いた縁部を越えて該第二半導体領域の表面に接触する
    部分を有さないこと;を特徴とするデバイス。
  9. 【請求項9】  請求項2,3,4または5に記載のデ
    バイスであって;上記第三領域は上記x方向に沿う一断
    面において少なくとも二つの離間した領域から構成され
    ;該少なくとも二つの離間した領域は、該x方向と直交
    する方向におけるそれらの端部相互で接続しており;上
    記第二オーミック電極は、上記少なくとも二つの離間し
    た第三領域の中、上記第四領域に近い方の第三領域の周
    縁部において該第四領域を向いた縁部を越えて該第二半
    導体領域の表面に接触する部分を有さないこと;を特徴
    とするデバイス。
  10. 【請求項10】  請求項9に記載のデバイスであって
    ;上記第三領域が、上記x方向に沿う一断面において少
    なくとも二つの離間した領域から構成されているのに代
    え、該少なくとも二つの離間した領域の中、上記第四領
    域に対して最も近い側を除く他の領域は、上記第二オー
    ミック電極の上記x方向に直交する方向の端部に対して
    の電流の回り込みや該端部からの電流の流出を防ぐため
    の防護領域となっていること;を特徴とするデバイス。
  11. 【請求項11】  請求項1,2,3,4,5,6,7
    ,8,9または10に記載のデバイスであって;上記第
    一半導体領域の上記一方の主面には、上記第四領域の両
    側に上記x方向に沿いそれぞれ離間して、上記第二半導
    体領域と上記第三領域の組が一つづつ、計一対設けられ
    た部分が少なくとも一個所以上あり;上記第二のデバイ
    ス端子は、上記第二半導体領域と上記第三領域の各組に
    おいて各第二半導体領域と第三領域とに共通にオーミッ
    ク接触する各第二オーミック電極の全てに共通に接続し
    ていること;を特徴とするデバイス。
  12. 【請求項12】  請求項1,2,3,4,5,6,7
    ,8,9または10に記載のデバイスであって;上記第
    一半導体領域の上記一方の主面には、複数の上記第四領
    域と、複数の上記第二半導体領域と上記第三領域の組と
    が、上記x方向に沿い交互に設けられた部分が少なくと
    も一個所以上あり;上記第二のデバイス端子は、上記第
    二半導体領域と上記第三領域の各組において各第二半導
    体領域と第三領域とに共通にオーミック接触する各第二
    オーミック電極の全てに共通に接続し;上記第一のデバ
    イス端子は、上記各第四領域にオーミック接触する各第
    一オーミック電極の全てに共通に接続していること;を
    特徴とするデバイス。
  13. 【請求項13】  第一半導体領域の一方の主面側に設
    けられ、該第一半導体領域の導電型とは逆導電型で該第
    一半導体領域との間で第一のpn接合を形成する第二の
    半導体領域と,上記第一半導体領域とは対向する側から
    上記第二半導体領域に接触し、該第二半導体領域に対し
    該第二半導体領域にとっての少数キャリアを注入するこ
    とができ、少なくともその面内一方向に沿う一断面にお
    いては一つ以上の数N個から成る第三領域と,上記第一
    半導体領域の上記一方の主面側にあって互いに直交する
    該主面の面内x,y両方向の中、該x方向に沿って上記
    第二半導体領域に対し離間した位置に設けられ、該第一
    半導体領域の導電型とは逆導電型で該第一半導体領域と
    の間で第二のpn接合を形成する第四の半導体領域と,
    上記第一半導体領域とは対向する側から上記第四半導体
    領域に接触し、該第四半導体領域に対し該第四半導体領
    域にとっての少数キャリアを注入することができ、少な
    くとも上記面内一方向に沿う上記一断面においては一つ
    以上の数M個から成る第五領域とを有し,上記第四半導
    体領域と上記第五領域とに共通にオーミック接触すると
    共に第一のデバイス端子に接続した第一のオーミック電
    極と、上記第二半導体領域と上記第三領域とに共通にオ
    ーミック接触すると共に第二のデバイス端子に接続した
    第二のオーミック電極との間に、上記第一または上記第
    二pn接合を逆バイアスする極性で降伏電圧以上の電圧
    のサージが印加されると降伏し、上記第一、第二のデバ
    イス端子間にてサージ電流を吸収し始め、該降伏後、上
    記第四半導体領域から上記第一半導体領域への上記少数
    キャリアの注入と、上記第三領域から上記第二半導体領
    域に対する上記少数キャリアの注入との相乗効果、また
    は上記第二半導体領域から上記第一半導体領域への上記
    少数キャリアの注入と、上記第五領域から上記第四半導
    体領域に対する上記少数キャリアの注入との相乗効果に
    より、上記吸収し始めたサージ電流の大きさがブレーク
    ・オーバ電流以上になると正帰還現象を介してブレーク
    ・オーバし、上記一対のデバイス端子間を絶対値におい
    て相対的に低電圧のクランプ電圧に移行させながらサー
    ジ電流を吸収し続ける双極性サージ吸収用二端子ブレー
    ク・オーバ型のサージ防護デバイスであって;上記第二
    半導体領域と上記第三領域とに共通にオーミック接触す
    る上記第二のオーミック電極は、該第三領域の周縁部に
    おいて上記x方向に見て上記第四半導体領域を向いた縁
    部の中、少なくとも該第四半導体領域に最も近い縁部を
    越えて該第二半導体領域の表面に接触する部分を有さず
    ;上記第四半導体領域と上記第五領域とに共通にオーミ
    ック接触する上記第一のオーミック電極は、該第五領域
    の周縁部において上記x方向に見て上記第二半導体領域
    を向いた縁部の中、少なくとも該第二半導体領域に最も
    近い縁部を越えて該第四半導体領域の表面に接触する部
    分を有さないこと;を特徴とするサージ防護デバイス。
  14. 【請求項14】  請求項13に記載のデバイスであっ
    て;ρB を上記第一、第三領域間の部分における第二
    半導体領域のシート抵抗または上記第一、第五領域間の
    部分における第四半導体領域のシート抵抗,Vf を上
    記第三領域を順バイアスする電圧または第五領域を順バ
    イアスする電圧,CO を上記第一のpn接合の単位面
    積当たりの接合容量または上記第二のpn接合の単位面
    積当たりの接合容量,dV/dtをそれ以上には応答さ
    せたくないサージの立ち上がりの鋭さ,として、上記第
    三領域または上記第五領域の上記x方向寸法xE が、
    【数6】 に基づいて規定されていること;を特徴とするデバイス
  15. 【請求項15】  請求項14に記載のデバイスであっ
    て;上記第三領域または第五領域の上記x方向寸法xE
     は、上記ブレーク・オーバした状態を維持し得る範囲
    で許容し得る最大保持電流値IHmaxに対し、SB 
    を上記第二半導体領域の面積または上記第四半導体領域
    の面積として、 【数7】 なる関係も満たしていること;を特徴とするデバイス。
  16. 【請求項16】  請求項14または15に記載のデバ
    イスであって;上記第三領域または第五領域の上記x方
    向寸法xE は、上記ブレーク・オーバした状態を維持
    するに必要な最小の保持電流値IHminに対し、SB
     を上記第二半導体領域の面積または上記第四半導体領
    域の面積として、 【数8】 なる関係も満たしていること;を特徴とするデバイス。
  17. 【請求項17】  請求項14,15または16に記載
    のデバイスであって;上記第四半導体領域から注入され
    た少数キャリアの中、第二半導体領域に到達する量比β
    または上記第二半導体領域から注入された少数キャリア
    の中、第四半導体領域に到達する量比βに応じ、上記式
    (6) 【数9】 に代えて、上記第三領域または第五領域の上記x方向寸
    法xE が、 【数10】 に基づいて規定されていること;を特徴とするデバイス
  18. 【請求項18】  請求項14,15,16または17
    に記載のデバイスであって;上記数Nと数Mは共に等し
    く、上記第二半導体領域と上記第四半導体領域の各形状
    及び上記面積SB も共に同じであって、上記第三領域
    と上記第五領域の上記x方向寸法xE 同志及び上記y
    方向寸法yE 同志も共に同じ寸法であること;を特徴
    とするデバイス。
  19. 【請求項19】  請求項14,15,16,17また
    は18に記載のデバイスであって;上記第三領域または
    上記第五領域は短辺と長辺を有する矩形またはほぼ矩形
    の平面形状を有し;上記x方向寸法xE は上記短辺方
    向の寸法であって;上記第二オーミック電極は、該矩形
    の第三領域の一対の上記長辺の中、少なくとも上記x方
    向に見て上記第四半導体領域に近い側の長辺を越えて上
    記第二半導体領域の表面上に接触する部分を有さず;上
    記第一オーミック電極は、該矩形の第五領域の一対の上
    記長辺の中、少なくとも上記x方向に見て上記第二半導
    体領域に近い側の長辺を越えて上記第四半導体領域の表
    面上に接触する部分を有さないこと;を特徴とするデバ
    イス。
  20. 【請求項20】  請求項14,15,16,17また
    は18に記載のデバイスであって;上記第三領域または
    上記第五領域は円形またはほぼ円形の形状を有し;上記
    x方向寸法xE は該円形またはほぼ円形の第三領域ま
    たは第五領域の直径またはほぼ直径の寸法であって;上
    記第二オーミック電極は、該x方向と直交し、該円形ま
    たはほぼ円形の第三領域の中心またはほぼ中心を通る上
    記y方向の直線で二分した一対の半円またはほぼ半円の
    中、上記x方向に見て上記第四半導体領域に近い側の半
    円の周縁を越えて上記第二半導体領域の表面に接触する
    部分を有さず;上記第一オーミック電極は、該x方向と
    直交し、該円形またはほぼ円形の第五領域の中心または
    ほぼ中心を通る上記y方向の直線で二分した一対の半円
    またはほぼ半円の中、上記x方向に見て上記第二半導体
    領域に近い側の半円の周縁を越えて上記第四半導体領域
    の表面に接触する部分を有さないこと;を特徴とするデ
    バイス。
  21. 【請求項21】  請求項14,15,16,17また
    は18に記載のデバイスであって;上記第三領域または
    上記第五領域は正多角形またはほぼ正多角形であり;上
    記x方向寸法xE は該正多角形またはほぼ正多角形の
    第三領域または第五領域の中心またはほぼ中心を通る幅
    寸法であって;上記第二オーミック電極は、該x方向と
    直交し、該正多角形またはほぼ正多角形の第三領域の上
    記中心またはほぼ中心を通る上記y方向の直線で二分し
    た面積部分の中、上記x方向に見て上記第四半導体領域
    に近い側の面積部分の周縁を越えて上記第二半導体領域
    の表面に接触する部分を有さず、かつ、該x方向に見て
    該第四半導体領域に遠い側の面積部分にあっても該第四
    半導体領域に向いた縁部を越えて該第二半導体領域の表
    面に接触する部分を有さず;上記第一オーミック電極は
    、該x方向と直交し、該正多角形またはほぼ正多角形の
    第五領域の上記中心またはほぼ中心を通る上記y方向の
    直線で二分した面積部分の中、上記x方向に見て上記第
    二半導体領域に近い側の面積部分の周縁を越えて上記第
    四半導体領域の表面に接触する部分を有さず、かつ、該
    x方向に見て該第二半導体領域に遠い側の面積部分にあ
    っても該第二半導体領域に向いた縁部を越えて該第四半
    導体領域の表面に接触する部分を有さないこと;を特徴
    とするデバイス。
  22. 【請求項22】  請求項14,15,16,17また
    は18に記載のデバイスであって;上記第三領域は上記
    x方向に沿う一断面において少なくとも二つの離間した
    領域から構成され、該少なくとも二つの離間した領域は
    、該x方向と直交する方向におけるそれらの端部相互で
    接続しており;上記第二オーミック電極は、上記少なく
    とも二つの離間した第三領域の中、上記第四半導体領域
    に近い方の第三領域の周縁部において該第四半導体領域
    を向いた縁部を越えて該第二半導体領域の表面に接触す
    る部分を有さないと共に;上記第五領域は上記x方向に
    沿う一断面において少なくとも二つの離間した領域から
    構成され、該少なくとも二つの離間した領域は、該x方
    向と直交する方向におけるそれらの端部相互で接続して
    おり;上記第一オーミック電極は、上記少なくとも二つ
    の離間した第五領域の中、上記第二半導体領域に近い方
    の第五領域の周縁部において該第二半導体領域を向いた
    縁部を越えて該第四半導体領域の表面に接触する部分を
    有さないこと;を特徴とするデバイス。
  23. 【請求項23】  請求項22に記載のデバイスであっ
    て;上記第三領域が、上記x方向に沿う一断面において
    少なくとも二つの離間した領域から構成されているのに
    代え、該少なくとも二つの離間した領域の中、上記第四
    半導体領域に対して最も近い側を除く他の領域は、上記
    第二オーミック電極の上記x方向に直交する方向の端部
    に対しての電流の回り込みや該端部からの電流の流出を
    防ぐための防護領域となっていると共に;上記第三領域
    も、上記x方向に沿う一断面において少なくとも二つの
    離間した領域から構成されているのに代え、該少なくと
    も二つの離間した領域の中、上記第四半導体領域に対し
    て最も近い側を除く他の領域は、上記第一オーミック電
    極の上記x方向に直交する方向の端部に対しての電流の
    回り込みや該端部からの電流の流出を防ぐための防護領
    域となっていること;を特徴とするデバイス。
  24. 【請求項24】  請求項13,14,15,16,1
    7,18,19,20,21,22または23に記載の
    デバイスであって;上記第一半導体領域の上記一方の主
    面には、上記第四半導体領域と上記第五領域との組と、
    上記第二半導体領域と上記第三領域の組とが、それぞれ
    複数個、上記x方向に沿い交互に設けられた部分が少な
    くとも一個所以上あり;該各組の第四半導体領域中の第
    五領域は、少なくとも上記面内一方向に沿う一断面にお
    いては離間した二つの領域から構成され;該各組の第二
    半導体領域中の第三領域も、少なくとも上記面内一方向
    に沿う一断面においては離間した二つの領域から構成さ
    れている共に;上記第二のデバイス端子は、上記第二半
    導体領域と上記一対の第三領域から成る各組において該
    第二半導体領域と該一対の第三領域とに共通にオーミッ
    ク接触する第二オーミック電極の各々に対し、それらの
    全てに共通に接続し;上記第一のデバイス端子は、上記
    各第四半導体領域と上記一対の第五領域から成る各組に
    おいて該第四半導体領域と該一対の第五領域とに共通に
    オーミック接触する第一オーミック電極の各々に対し、
    それらの全てに共通に接続していること;を特徴とする
    デバイス。
  25. 【請求項25】  請求項24に記載のデバイスであっ
    て;上記第四半導体領域と第五領域の組、及び上記第二
    半導体領域と第三領域の組は、それぞれ二組づつ用いら
    れ、それらの一組づつが交互に上記第一半導体領域の上
    記一方の主面上に並設されると共に;上記第一のデバイ
    ス端子は、上記各第四半導体領域と上記一対の第五領域
    から成る各組において該第四半導体領域と該一対の第五
    領域とに共通にオーミック接触する第一オーミック電極
    の各々に対し、上記それらの全てに共通に接続するのに
    代え、上記並設方向で中側に位置する組の該第四半導体
    領域と該一対の第五領域とに共通にオーミック接触した
    第一オーミック電極にのみ接続し;上記第二のデバイス
    端子は、上記第二半導体領域と上記一対の第三領域から
    成る各組において該第二半導体領域と該一対の第三領域
    とに共通にオーミック接触する第二オーミック電極の各
    々に対し、上記それらの全てに共通に接続するのに代え
    、上記並設方向で中側に位置する組の該第二半導体領域
    と該一対の第三領域とに共通にオーミック接触した第二
    オーミック電極にのみ接続する一方;新たに第三のデバ
    イス端子を設け、上記各第二半導体領域と上記一対の第
    三領域から成る各組、及び上記各第四半導体領域と上記
    一対の第五領域から成る各組の中、上記並設方向で外側
    に位置する組の上記第四半導体領域と一対の第五領域と
    に共通にオーミック接触した第一オーミック電極と、上
    記第二半導体領域と一対の第三領域とに共通にオーミッ
    ク接触した第二オーミック電極とに対し、該第三のデバ
    イス端子を共通に接続したこと;を特徴とするデバイス
  26. 【請求項26】  請求項25に記載のデバイスであっ
    て;上記第四半導体領域と上記一対の第五領域とによる
    各組、及び上記第二半導体領域と上記一対の第三領域と
    による各組の中、上記並設方向で外側に位置する組にお
    いては、該一対の第五領域及び該一対の第三領域を用い
    るのに代え、それぞれ一つづつの第五領域及び第三領域
    を用いること;を特徴とするデバイス。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5486709A (en) * 1992-03-27 1996-01-23 Agency Of Industrial Science & Technology Surge protection device
JP2005109163A (ja) * 2003-09-30 2005-04-21 Nec Electronics Corp 半導体素子

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US5486709A (en) * 1992-03-27 1996-01-23 Agency Of Industrial Science & Technology Surge protection device
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