JPH0430380Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は内燃機関の点火装置、特に自己トリガ
式CDI点火装置に関するもので、スタータモータ
をオンにしたときのエンジンの極低回転時にコン
デンサへの充電量が不足するのを、そのときだけ
全波整流にして充電量を上げるようにするととも
に、そのためのトリガコイルを別途設けないよう
にして、発電機の構造ならびに回路の簡略化を図
つたものである。

（従来の技術） 内燃機関の点火装置のうち、自動二輪車のエン
ジン等に多く使用される、自己トリガ式CDI点火
方式の一般的なものを第２図について説明する
と、１は発電機のコンデンサ充電コイルで、クラ
ンクシヤクトとともにマグネツトが回転すること
により、交流電圧が誘起されるものである。この
コンデンサ充電コイル１の一端にはダイオード
２、コンデンサ３、ダイオード４，５が接続され
てコンデンサ３の充電回路が形成されるほか、コ
ンデンサ３に蓄積された電荷をイグニツシヨンコ
イルを通じて放電するためのサイリスタ６、サイ
リスタ６のゲート電圧を得るための抵抗器７、コ
ンデンサ３が放電する時に高電圧を誘起するイグ
ニツシヨンコイル８、スパークプラグ９、および
起電方向（極性）が逆になつたときの電流路とな
るダイオード１０と抵抗器１１が図のように接続
されている。

このような回路において、いまコンデンサ充電
コイル１の起電方向が、図における上端にプラ
ス、下端にマイナスであつたとすると、コンデン
サ充電コイル１からの電流は矢印で示すように、
ダイオード２、コンデンサ３、ダイオード４，５
の順に流れてコンデンサ充電コイル１に戻るよう
なコースを通り、コンデンサ３を充電することに
なる。次にコンデンサ充電コイル１に誘起される
電圧の極性が逆になると、サイリスタ６のゲート
に電圧が加わるのでサイリスタ６はオンとなり、
コンデンサ３に蓄積された電荷を一瞬にしてイグ
ニツシヨンコイル８の一次側に流すから、二次側
には高電圧が誘起されることになる。

（考案が解決しようとする課題） このように作動するとき、コンデンサ３の充電
は、コンデンサ充電コイル１の図における上端が
正電位になつたときにのみ行なわれる、いわゆる
半波充電であるため、スタータモータの回転数が
たとえば500r.p.m位の極低回転時では充分な充電
が行なわれず、したがつてイグニツシヨンコイル
の二次電圧も低いものとなり、始動性を向上させ
る観点に立てば、いま一つの感があつた。そこで
コンデンサ充電コイルに発生する電流を全波整流
してコンデンサに供給することが考えられるが、
電流不足でコンデンサへの充電が充分に行えない
のはエンジンを始動させるときの極低回転時のみ
であるので、エンジンが始動して回転数が上昇し
てからもそのようにしておく必要はない。

本考案はこの点に鑑みて成されたものであり、
エンジンを始動させるためにスタータモータが回
転する極低回転時のみに全波整流した電流でコン
デンサの充電を行なうようにし、エンジンが始動
して回転数が高くなつたら半波整流になるように
するとともに、そのための切換用トリガ信号を、
ヘツドランプ等に電源を供給するためのランプコ
イルから得るようにして、発電機の構造ならびに
回路の簡略化を図つた内燃機関の点火装置を提供
しようとするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は、上記課題を解決するための手段とし
て、充放電用コンデンサに充電するためのコンデ
ンサ充電コイルを有する発電機を用い、前記コン
デンサ充電コイルに誘起された電圧を、該コンデ
ンサ充電コイルの一端に接続されたダイオードを
介してコンデンサに加えることにより該コンデン
サの充電を行ない、該コンデンサに充電された電
荷をサイリスタによりイグニツシヨンコイルに流
してイグニツシヨン電流を得るに当たり、前記サ
イリスタのゲート制御を前記コンデンサ充電コイ
ルの起電タイミングに係らしめて行なう自己トリ
ガ式CDI点火装置において、スタータスイツチを
オンにしたとき閉路となるスイツチと前記ダイオ
ードとは順方向を逆にするダイオードとの直列回
路を設け、該直列回路を前記コンデンサ充電コイ
ルの他端とコンデンサとの間に接続してコンデン
サ充電コイルに誘起される電圧の起電方向が逆の
ときには両ダイオードにより全波整流回路が形成
されるようにし、スタータスイツチをオンにした
とき、これと同時に発電機のランプコイルを負荷
側から前記サイリスタのゲート側に切換えるスイ
ツチを設け、前記サイリスタのゲートを、該スイ
ツチを介して前記ランプコイルに接続したもので
ある。

（作 用） このような構成とすれば、エンジンを始動させ
るためにスタータスイツチをオンにしたときにコ
ンデンサには、コンデンサ充電コイルに誘起され
る電圧の起電方向がいずれの向きであつても電流
が流れて充電されるので、充分な充電量となり、
したがつてイグニツシヨンコイルの二次電圧も高
くなつて、良好な始動性が得られることになる。
エンジンが始動するとランプコイルはサイリスタ
のゲート側から本来の負荷側に切換えられること
になる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第１図について、第
３図と同一の部材には同一の符号を付して説明す
ると、本考案の回路では、図示しないスタータス
イツチをオンにしたとき閉路となるスイツチ１２
と、このスイツチ１２に直列接続されたダイオー
ド１３が設けられ、このダイオード１３がコンデ
ンサ充電コイル１の一端に接続されている。ダイ
オード１３の順方向は、サイリスタ６の順方向と
逆である。そしてサイルタ６のゲートは切換スイ
ツチ１４の可動接点１４ｃに接続されている。こ
の切換スイツチ１４の一方の固定接点１４ａは抵
抗器７に接続され、他方の固定接点１４ｂはパル
ス発生回路１５を介してスイツチ１６の一つの固
定接点１６ｂに接続されている。他方の固定接点
１６ａと接地（車体接地）間にはダイオード１７
と、バツテリ１８が直列に接続されている。

スイツチ１６の可動接点１６ｃと接地間には、
コンデンサ充電コイル１とは別個に設けられた起
電コイルの一つであるランプコイル１９が接続さ
れている。このランプコイル１９には、前述のバ
ツテリ１８のほか、図示しないヘツドランプ等が
負荷として接続され、その点灯電流ならびにバツ
テリ１８の充電電流を供給するようになつてい
る。なお、二つのスイツチ１４，１６ともに図示
しないスタータスイツチと連動し、スタータスイ
ツチがオンのときにスイツチ１４の可動接点１４
ｃは固定接点１４ｂ側に接触し、スイツチ１６の
可動接点１６ｃは固定接点１６ｂ側に接触するよ
うになつている。

このように構成されたこの点火装置は、前述の
ように、図示しないスタータスイツチをオンにし
たときスイツチ１２は閉じ、スイツチ１４，１６
は上記のようにきりかわる。これにより、スター
タモータが作動するエンジン極低回転時には、コ
ンデンサ充電コイル１に誘起される電圧の起電方
向がどの向きであつても、コンデンサ３には図に
，で示すような電流が交互に流れてこれを充
電することになる。したがつてコンデンサ３には
充分な充電が行なわれることになる。そしてこの
とき、ランプコイル１９からパルス発生回路１５
を介してゲート電圧が与えられるサイリスタ６に
より、コンデンサ３の放電制御が行なわれること
になる。

エンジンが始動し、スタータスイツチがオフに
なると、スイツチ１２は開き、スイツチ１４の可
動接点１４ｃは固定接点１４ａ側に切換わり、ス
イツチ１６の可動接点１６ｃは固定接点１６ａ側
に切換わる。これにより平常状態に戻り、コンデ
ンサ３は半波電流で充電されることになる。半波
電流による充電であつても、エンジンの回転数が
高いので充分な電気量の充電が行なわれることに
なり、エネルギ不足となることはない。

第３図は本考案に係る発火特性と第２図に示し
た従来の点火装置の発火特性とを比較したもので
ある。図示するように本考案のものは、従来の
ものより高い電圧で発火することになる。な
お、この図において実線はコンデンサ電圧を示
し、点線は整流波形を示している。本考案の点火
装置は、このように従来のものより高い電圧で発
火するので、スタータモータの回転数が500r.p.m
程度の極低回転時であつても、充分にエンジンを
始動させることができることになる。前述のよう
に、エンジン始動後は、スイツチ１２は開路とな
り、スイツチ１４，１６の可動接点１４ｃ，１６
ｃは固定接点１４ａ，１６ａ側に接することにな
る。

（考案の効果） 本考案は以上説明したように構成した内燃機関
の点火装置であるから、エンジンを始動するとき
の極低回転時でも、始動に充分なイグニツシヨン
二次電圧を得ることができるので、始動性が向上
することになる。そしてエンジン始動時と始動後
の切換回路も含めてスイツチとダイオードとを設
けるのみで実現できるので、コスト的にも有利と
なる上に、既存の内燃機関等にも簡単に適用でき
ることになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の回路図、第２図は
従来の点火装置の回路図、第３図は第１図のもの
と第２図のものの作動特性を示すグラフである。 １……コンデンサ充電コイル、３……コンデン
サ、６……サイリスタ、８……イグニツシヨンコ
イル、９……スパークプラグ、１２，１４，１６
……スイツチ、１３……ダイオード、１９……ラ
ンプコイル。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 充放電用コンデンサに充電するためのコンデン
   サ充電コイルを有する発電機を用い、前記コンデ
   ンサ充電コイルに誘起された電圧を、該コンデン
   サ充電コイルの一端に接続されたダイオードを介
   してコンデンサに加えることにより該コンデンサ
   の充電を行ない、該コンデンサに充電された電荷
   をサイリスタによりイグニツシヨンコイルに流し
   てイグニツシヨン電流を得るに当たり、前記サイ
   リスタのゲート制御を前記コンデンサ充電コイル
   の起電タイミングに係らしめて行なう自己トリガ
   式CDI点火装置において、スタータスイツチをオ
   ンにしたとき閉路となるスイツチと前記ダイオー
   ドとは順方向を逆にするダイオードとの直列回路
   を設け、該直列回路を前記コンデンサ充電コイル
   の他端とコンデンサとの間に接続してコンデンサ
   充電コイルに誘起される電圧の起電方向が逆のと
   きには両ダイオードにより全波整流回路が形成さ
   れるようにし、スタータスイツチをオンにしたと
   き、これと同時に発電機のランプコイルを負荷側
   から前記サイリスタのゲート側に切換えるスイツ
   チを設け、前記サイリスタのゲートを、該スイツ
   チを介して前記ランプコイルに接続したことを特
   徴とする内燃機関の点火装置。