JPH0430297Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案はスライド式の扉装置に関する。

従来技術とその問題点 従来、扉装置としては、上下で対向するように
下向きの上ガイドレールを上向きの下ガイドレー
ルとを平行に配するとともに、この上下ガイドレ
ールに沿つて複数枚の扉をスライド開閉するよう
に配したものがある。この扉装置は開口部を広く
開放できるので、収納や間仕切のための扉装置と
して汎用されているが、複数枚の扉が相互にヒン
ジで連結されているので、任意の扉を単独で開閉
できず、使い勝手が悪かつた。

このため、例えば、実開昭60−121083号公報に
記載の間仕切壁のように、パネルが上下レールに
沿つて走行し、かつ、任意の位置で前記パネルを
開閉できるものが提案されている。

すなわち、パネルの一端側の上下面にランナお
よび回動ピボツトをそれぞれ設け、このランナお
よび回動ピボツトを上、下レール内にそれぞれ走
行自在に納める一方、前記ランナおよび回動ピボ
ツトを所望の位置で固定して回動軸とし、かつ、
ハンドルを操作してパネルの他端側の上下面から
ピンを出し入れすることにより、前記パネルを開
閉可能としたものが提案されている。

しかしながら、一般の施工現場においては天井
と床面との距離が一様でないので、前記間仕切壁
では、前記上レールが取り付けられる開口部上枠
の取付位置を調整することにより、前記距離のば
らつきを調整しなければならない。しかも、前記
上レールは、そのガイド溝の開口部が下向きとな
るように前記開口部上枠の下面に取り付けられ、
これに納めたランナを介してパネルが吊り下げら
れている。このため、寸法調整のために傾斜させ
たり、厚さ調整を施した見苦しい開口部上枠が室
内側に露出するので、見栄えが悪い。

さらに、前述の間仕切壁では、上、下レールの
ガイド溝の開口部が相互に対向しているため、扉
を一方向から組み付けることができない。特に、
実施例で開示されているランナの取付構造では、
上、下レールを組み立てながら、扉を組み付けね
ばならないので、任意の位置からパネルを取り付
けできず、施工現場における取り付けに手間がか
かるとともに、取り外しにも手間がかかるため、
メンテナンスが容易でないという問題点があつ
た。

問題点を解決するための手段 本考案にかかる扉装置は、前記問題点に鑑み、
天井から所定間隔離して床面に略平行となるよう
に配した開口部上枠の上面に、ガイド溝が上向き
となるように設けた上ガイドレールと、開口部下
枠の上面に、ガイド溝が上向きとなるように設け
た下ガイドレールと、裏面上方隅部に、前記上ガ
イドレールに移動自在に係合する上部ランナを設
けるとともに、この上部ランナの下方側に位置す
る裏面下方隅部に、前記下ガイドレールに移動自
在に係合する下部ランナを設けた複数枚の扉とか
らなり、前記上部ランナおよび下部ランナを介し
て前記上ガイドレールおよび下ガイドレールに回
動可能に支持された前記扉で前記開口部上枠の側
面を覆う扉装置において、 前記扉の残る裏面隅部に、前記上ガイドレール
または下ガイドレールの少なくともいずれか一方
に着脱自在に係止する係止具を設けるとともに、
前記上部ランナまたは下部ランナの少なくともい
ずれか一方に出し入れ自在の突出片を設け、この
突出片を嵌挿できる嵌合部を前記上ガイドレール
または下ガイドレールの少なくともいずれか一方
に設けた構成としたものである。

実施例 以下、本考案にかかる一実施例を第１図ないし
第１１図の添付図面に従つて説明する。

本実施例は、第１図に示す如く、平行に配した
開口部上枠、下枠５１，５２にそれぞれ設けた上
ガイドレール１および下ガイドレール６に、上部
ランナ２０、下部ランナ３０及び係止具４０を介
し、扉１０を移動自在に取り付けた扉装置であ
る。

上ガイドレール１は第２図に示すように断面略
Ｆ字形状の長尺な型材からなり、垂直部２，３か
らなるガイド溝４を有し、開口部上枠５１の上面
前方縁部に長手方向に沿つて固定されている。そ
して、この上ガイドレール１は、水平方向に延在
した水平部５の上面に断面略半円形の凹部５ａを
設け、この凹部５ａに後述する上部ランナ２０の
支持ローラ２２を走行自在に載置可能としてある
一方、前方側の垂直部２に嵌合部２ａを適宜間隔
で設け、この嵌合部２ａに後述する上部ランナ２
０の突出片２４を嵌挿可能としてある。

第３図、第４図、第５図は各々前記上ガイドレ
ール１に係合した上部ランナ２０の側面図、平面
図、正面図である。そして、前記上部ランナ２０
は、前記扉１０を回動自在に支持するヒンジ部２
１ａを備えた上部ランナ本体２１と、前記上ガイ
ドレール１の水平部５に設けた凹部５ａに載置し
て前記扉１０を走行自在に支持する支持ローラ２
２と、そのガイド溝４に嵌合して扉１０の水平方
向のガタツキ、脱落を防止するガイドローラ２
３，２３と、その垂直部２に設けた嵌合部２ａに
嵌挿する突出片２４とからなるものである。

なお、ヒンジ部２１ａは扉１０を前方に持ち出
して回動自在に支持するものであり、また、突出
片２４は、ストツパ用操作軸２５を回動してカム
部２６を回動することにより、水平方向に出し入
れ自在となつている。

第６図、第７図、第８図は各々下ガイドレール
６に係合した下部ランナ３０の側面図、平面図、
正面図であり、下ガイドレール６はガイド溝７を
有する断面略コ字形状の型材からなり、開口部下
枠５２の上面に長手方向に沿つて埋設されてい
る。そして、この下ガイドレール６は、前記上ガ
イドレール１の嵌合部２ａと対応する位置に、後
述する突出片３３が嵌挿可能な嵌合部８を有して
いる。

下部ランナ３０は、前記扉１０を回動自在に支
持するヒンジ部３１ａを備えた下部ランナ本体３
１と、前記下ガイドレール６のガイド溝７に嵌合
して扉１０の水平方向のガタツキ、脱落を防止す
るガイドローラ３２，３３と、その嵌合部８に嵌
挿する突出片３３とからなるものである。

なお、ヒンジ部３１ａは、前記上部ランナ２０
のヒンジ部２１ａと同様、扉１０を前面に持ち出
して回動自在に支持するものであり、また、突出
片３３はストツパ用押しボタン３４を操作するこ
とにより上下方向に出し入れ自在となつている。

第９図は上ガイドレール１に係止した係止具４
０の側面図であり、係止具４０は磁石からなる先
端部４０ａを有し、前記上ガイドレール１の垂直
部２に吸着可能なマグネツト式ラツチであり、カ
ムとバネとで先端部４０ａが伸縮するとともに、
下方に突出させたボールベアリング４１を水平部
５の凹部５ａに嵌合可能としてある。

したがつて、本実施例の使用方法としては、第
１０図に示すように、各扉が閉塞されている場
合、所望の扉１０の一端部１０ａを正面から押す
と、係止具４０の先端部４０ａが伸びて扉１０を
上ガイドレール１から離し、これを引き出すと、
扉１０は上部ランナ２０、下部ランナ３０のヒン
ジ部２１ａ，３１ａを介して回動し、扉１０が開
放される。

また、第１１図に示すように、扉１０を開口部
の一方側に集める場合には、開口枠５０の一方側
端部に位置する扉１０を開放した後、この扉１０
に隣接する他の扉１０を開放し、上、下部ランナ
２０，３０の突出片２４，３３を嵌合部２ａ、嵌
合部８からそれぞれ抜き出し、上、下ガイドレー
ル１，６に沿つて上部ランナ２０、下部ランナ３
０をスライドさせ、開口枠５０の一方側端部に移
動させる。以後、同様の操作を繰り返し、扉１０
を開口枠５０の一方側端部に寄せ集める。

本実施例によれば、開口枠５０の中間部には支
持柱がなく、開口枠５０の開口部を広く開放でき
るので、使い勝手が良いという利点がある。

次に、扉１０を開口枠５０に連接するには、最
後列の扉１０を上、下ガイドレール１，６に沿つ
てスライドさせて所定の位置に位置決めし、上部
ランナ２０および下部ランナ３０の突出片２４，
３３を、上部ガイドレール１の嵌合部２ａおよび
下部ガイドレール６の嵌合部８にそれぞれ嵌合し
て固定した後、ヒンジ部２１ａおよび３１ａにて
扉１０を回動し、係止具４０の先端部４０ａを上
部ガイドレール１の垂直部２に当接、吸着させる
とともに、そのボールベアリング４１を水平部５
の凹部５ａに嵌合し、以後、同様の操作を繰り返
すことにより、残る扉１０を順次閉じて連接し、
開口枠５０の開口部を覆う。

本実施例によれば、任意の扉１０を単独に開閉
できるので、例えば、壁面内に設けた収納庫の前
面に本願考案を適用すれば、収納庫の間取りや収
納物の配置を自由に行うことができ、使い勝手が
良いという利点がある。

考案の効果 以上の説明から明らかなように、本考案によれ
ば、天井と床面との間における距離のばらつきを
開口部上枠の取り付けで寸法調整することによ
り、前記開口部上枠が見苦しくなつても、扉が開
口部上枠の側面を覆つて隠すため、前記開口部上
枠の側面が室内側に露出せず、外観良好である。

しかも、上、下ガイドレールは、ガイド溝の開
口部が上向きとなるように開口部上枠、下枠の上
面にそれぞれ設けられ、一方向から扉を組み付け
できるだけでなく、任意の位置から扉を取り付
け、取り外しできるので、施工現場における取り
付けが容易なるとともに、メンテナンスが容易に
なる。

さらに、少なくとも一つのランナの突出片をガ
イドレールの嵌合部に嵌挿することにより、各扉
を位置決めして開閉できるので、ランナが故障し
にくくなるとともに、任意の扉を単独でガタツキ
なく開閉できることになる。この結果、例えば、
壁面内に設けた収納庫の前面に本考案を適用すれ
ば、収納庫の間取りや収納物の配置を自由に行な
うことができ、便利で使い勝手が良いという効果
がある。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第１１図は本考案にかかる一実施
例を示し、第１図は扉の背面斜視図、第２図は上
ガイドレールの拡大断面図、第３図、第４図およ
び第５図は上部ランナを取り付けた状態を示す側
面図、平面図および正面図、第６図、第７図およ
び第８図は下部ランナを取り付けた状態を示す側
面図、平面図および正面図、第９図は係止具を取
り付けた状態を示す側面図、第１０図および第１
１図は使用状態を示す斜視図である。 １……上ガイドレール、４……ガイド溝、６…
…下ガイドレール、７……ガイド溝、１０……
扉、２０……上部ランナ、３０……下部ランナ、
４０……係止具、２４，３３……突出片、２ａ，
８……嵌合部、５１……開口部上枠、５２……開
口部下枠。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 天井から所定間隔離して床面に略平行となるよ
   うに配した開口部上枠の上面に、ガイド溝が上向
   きとなるように設けた上ガイドレールと、 開口部下枠の上面に、ガイド溝が上向きとなる
   ように設けた下ガイドレールと、 裏面上方隅部に、前記上ガイドレールに移動自
   在に係合する上部ランナを設けるとともに、この
   上部ランナの下方側に位置する裏面下方隅部に、
   前記下ガイドレールに移動自在に係合する下部ラ
   ンナを設けた複数枚の扉とからなり、 前記上部ランナおよび下部ランナを介して前記
   上ガイドレールおよび下ガイドレールに回動可能
   に支持された前記扉で前記開口部上枠の側面を覆
   う扉装置において、 前記扉の残る裏面隅部に、前記上ガイドレール
   または下ガイドレールの少なくともいずれか一方
   に着脱自在に係止する係止具を設けるとともに、
   前記上部ランナまたは下部ランナの少なくともい
   ずれか一方に出し入れ自在の突出片を設け、この
   突出片を嵌挿できる嵌合部を前記上ガイドレール
   または下ガイドレールの少なくともいずれか一方
   に設けたことを特徴とする扉装置。