JPH0428562Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は動脈から発生する脈波を検出するため
の脈波検出装置に関するものである。

従来技術 生体表面の動脈上に押圧されてその動脈から発
生する脈波を検出する脈波センサを備え、その脈
波センサを動脈に対して位置決めするために脈波
センサが動脈と交差する方向において移動させら
れる形式の脈波検出装置が知られている。たとえ
ば、本出願人が先に出願した特願昭62−109594号
や実願昭62−178067号にその一例が記載されてい
る。これらの脈波検出装置においては、脈波セン
サの動脈と交差する方向において両側に位置する
部分に、ベローズやゴム袋によつて一対の圧力室
が設けられており、両圧力室の圧力を調整するこ
とにより脈波センサが動脈と交差する方向におい
て移動させられるようになつている。

考案が解決すべき問題点 しかしながら、斯かる脈波検出装置において
は、両圧力室の圧力が調整されて脈波センサが動
脈に対して位置決めされたとしても、電源が切れ
たり或いは圧力が漏れること等により両圧力室の
圧力差が変化した場合には、圧力変化に伴つて脈
波センサが移動してしまつて脈波センサの位置決
め位置を維持し得ない場合があるのである。

これに対し、たとえば上記特願昭62−109594号
の明細書に記載されているように、駆動モータに
より回転駆動される送りねじによつて脈波センサ
を動脈と交差する方向へ移動させるようにすれ
ば、脈波センサの動脈に対する位置決め位置を一
層確実に維持し得ると考えられる。しかし、この
場合において、前記駆動モータを脈波センサの生
体表面側と反対側に位置する部分に設けた場合に
は、脈波検出装置の高さ寸法が大幅に増大するこ
とが避け難い。

問題点を解決するための手段 本考案は以上の事情を背景にして為されたもの
であつて、その目的とするところは、脈波センサ
の位置決め位置を確実に維持し得るとともに高さ
寸法をそれ程必要としない脈波検出装置を提供す
ることにある。斯かる目的を達成するために、本
考案は、前記のような形式の脈波検出装置であつ
て、(a)前記生体表面に装着されるフレームと、(b)
そのフレーム設けられ、前記脈波センサを前記動
脈と交差する方向において所定の範囲で直線的に
案内するガイド手段と、(c)前記脈波センサの移動
方向と平行な軸心まわりの回転可能に前記フレー
ムに設けられてその脈波センサと螺合された送り
ねじと、(d)前記脈波センサから前記生体表面に略
沿つた方向に所定距離離隔した位置において前記
フレームに設けられた駆動モータと、(e)その駆動
モータと前記送りねじの一端との間に設けられ、
その駆動モータの回転駆動力をその送りねじへ伝
達する回転駆動力伝達装置とを含むことを特徴と
する。

作用および考案の効果 斯かる脈波検出装置によれば、脈波センサと螺
合する送りねじを、駆動モータにより回転駆動力
伝達装置を介して回転駆動することにより、脈波
センサがフレームに設けられたガイド手段により
案内されつつ動脈と交差する方向へ移動させられ
るように構成されているので、脈波センサを動脈
に対して位置決めした後においては、送りねじと
の螺合に基づいて脈波センサの送りねじに対する
送りねじ軸心方向の相対移動を好適に阻止し得
て、脈波センサの位置決め位置を一層確実に維持
し得る。

また、駆動モータは脈波センサから生体表面に
略沿つた方向に所定距離離隔した位置においてフ
レームに設けられているとともに、送りねじの一
端とその駆動モータとの間に回転駆動力伝達装置
が設けられており、脈波センサ、駆動モータ、お
よび回転駆動力伝達装置等を生体表面に近接した
状態で配設し得るので、駆動モータ等を設けたこ
とによつて脈波検出装置の高さ寸法が増大するの
を好適に防止し得る。

前記脈波検出装置は、好適には、前記脈波セン
サがその移動範囲の中央位置に位置することを検
出するための位置検出手段を更に備えて構成され
る。このようにすれば、位置検出手段により脈波
センサをその移動範囲の中央位置に予め位置決め
することにより、脈波センサの前記中央位置から
両方向への移動量を充分に確保し得て、脈波セン
サの動脈に対する位置決めを一層確実に為し得
る。

実施例 以下、本考案の一実施例を示す図面に基づいて
詳細に説明する。

第１図乃至第４図は、本考案の一実施例である
脈波検出装置の要部を示す図であつて、１０は容
器状を成すハウジングであり、その開口端が人体
の体表面１２に対向する状態でバンド１４により
手首１６に着脱可能に取り付けられるようになつ
ている。このハウジング１０は、本実施例のフレ
ームに相当するものであつて、第４図の斜視図に
明瞭に示すように、長手方向の側面の基本形状が
三日月状に形成されているとともに、底壁の幅方
向中間部が長手方向に沿つて所定形状にて突き出
させられた形状とされている。ハウジング１０内
の長手方向中間部には、幅方向において相対向す
る側壁１８，２０間において、板状を成す一対の
取付部２２，２４が互いに所定間隔隔てて平行な
状態で一体的に設けられている。取付部２２およ
びそれと対向する側壁２６の間には、ハウジング
１０の底壁側に位置し且つハウジング１０の幅方
向中央に位置する部分において、橈骨動脈２８と
略直交する方向において送りねじ３０がその両端
部にて軸心まわりの回転可能に支持されており、
この送りねじ３０に脈波センサ３２が取り付けら
れている。上記橈骨動脈２８が本実施例の動脈に
相当する。

脈波センサ３２は、第１図乃至第３図に示すよ
うに、容器状を成し、底部外表面の中央部に突出
部３４が突設され且つその突出部３４において送
りねじ３０に螺合された可動部材３６と、その可
動部材３６の内部にダイヤフラム３８を介して相
対移動可能に且つ可動部材３６の開口端から体表
面１２に向かつて突出し可能に設けられた押圧部
材４０とを備えて構成されており、可動部材３６
とダイヤフラム３８とによつて圧力室４２が形成
されている。この圧力室４２内には、図示しない
流体供給源から圧力エア等の圧力流体が供給され
るようになつており、これにより、押圧部材４０
は圧力室４２の圧力に応じた押圧力で前記体表面
１２に押圧される。押圧部材４０の押圧面４４に
は、感圧ダイオード等の圧力検出素子（図示せ
ず）が設けられており、橈骨動脈２８から発生し
て体表面１２に伝達される脈波の圧力振動を検出
して脈波を表す脈波信号を図示しない制御装置へ
出力するようになつている。

上記可動部材３６は、外周形状が四角形状を成
しており、送りねじ３０の軸心と直角な方向と対
向する両側面には、第２図および第３図に示すよ
うに、案内溝４６，４６が設けられている。一
方、ハウジング１０の前記側壁１８，２０の内表
面であつて可動部材３６の案内溝４６，４６と対
応する位置には、第１図乃至第３図に示すよう
に、前記側壁２６と取付部２２との間においてガ
イドレール４８，４８が設けられており、可動部
材３６はその案内溝４６，４６においてガイドレ
ール４８，４８により橈骨動脈２８と略直交する
方向において所定範囲で直線的に案内されるよう
になつている。したがつて、本実施例において
は、ガイドレール４８，４８がガイド手段に相当
する。

一方、前記脈波センサ３２から体表面１２に略
沿つた方向に所定距離離隔した位置には、第１図
および第２図に示すように、駆動モータ５０が前
記取付部２４の体表面１２と近接した位置に固定
されている。両取付部２２，２４の間には複数の
ギヤが組み合わされて成る減速ギヤ装置５４が設
けられており、この減速ギヤ装置５４によつて駆
動モータ５０の出力軸５２と送りねじ３０の第１
図および第２図中右側の端部とが作動的に連結さ
れている。これにより、駆動モータ５０の回転駆
動力が減速ギヤ装置５４を介して送りねじ３０へ
伝達されるようになつている。この減速ギヤ装置
５４が本実施例の回転駆動力伝達手段に相当す
る。

本実施例においては、更に、可動部材３６の底
部外表面の送りねじ３０の両側に位置する部分
に、第２図および第３図に示すように、長手板状
を成す一対の反射板５６，５８が送りねじ３０と
平行な状態で固着されているとともに、ハウジン
グ１０の底壁内表面の反射板５６，５８と対応す
る位置であつて且つガイドレール４８，４８の長
手方向中央に相当する位置には、一対のフオトイ
ンタラプタ６０，６２（第２図においては６２は
図示せず）が取り付けられている。フオトインタ
ラプタ６０，６２は、反射板５６，５８へ光を照
射し且つそれら反射板５６，５８から反射された
反射光を受光するとともに、予め定められた一定
限度以上の強度の反射光が受光された場合には、
その反射光が受光されたことを表す電気信号を前
記制御装置へそれぞれ出力する。一方の反射板５
６には、長手方向の中央を境として反射領域６４
および非反射領域６６が設けられているととも
に、他方の反射板５８には、両端部に幅狭の非反
射領域６８，７０が設けられ且つそれら非反射領
域６８，７０の間に反射領域７２が設けられてお
り、フオトインタラプタ６０，６２はそれら反射
領域６４，７２から反射された反射光を受光して
前記電気信号を出力する。これにより、たとえ
ば、反射板５６の反射領域６４を親指側とし且つ
非反射領域６６を小指側として予め決定すること
により、反射板５６およびフオトインタラプタ６
０によつて脈波センサ３２がガイドレール４８，
４８による移動範囲の中央位置から親指側にずれ
ているか或いは小指側にずれているかを判断する
ことができる一方、反射板５６およびフオトイン
タラプタ６０と反射板５８およびフオトインタラ
プタ６２とによつて脈波センサ３２の両方向の移
動端位置を規制することができる。

以上のように構成された脈波検出装置を用いて
脈波を検出するに際しては、まず、たとえばその
脈波検出装置が接続された前記制御装置の電源を
投入することにより、脈波センサ３２が前記移動
範囲の中央位置に予め位置決めされる。すなわ
ち、フオトインタラプタ６０から前記制御装置に
前記電気信号が供給された場合には、脈波センサ
３２はたとえば親指側に位置していると判断され
て、駆動モータ５０により送りねじ３０を回転駆
動して脈波センサ３２を小指側へ移動させ、前記
電気信号が供給されなくなつた時点で駆動モータ
５０を停止させることにより、脈波センサ３２が
前記中央位置に位置決めされるのである。したが
つて、本実施例においては、上記反射板５６およ
びフオトインタラプタ６０が位置検出手段に相当
する。

次に、脈波センサ３２がその移動範囲の中央位
置に位置決めされた状態で、押圧部材４０の押圧
面４４が橈骨動脈２８上に位置するようにハウジ
ング１０をバンド１４により前記体表面１２に装
着する。そして、前記制御装置に設けられた起動
スイツチを操作することにより、前記圧力室４２
へ圧力流体が供給されて脈波センサ３２が体表面
１２に押圧され且つ前記脈波信号の振幅が最大と
なるように圧力室４２内の圧力が制御されるとと
もに、必要に応じて駆動モータ５０により送りね
じ３０が駆動されて脈波センサ３２が橈骨動脈２
８の直上部に位置決めされて、脈波が検出される
こととなる。なお、このような脈波検出中におい
ては、好適には、一定時間毎あるいは一定数の脈
波を検出する毎に、脈波センサ３２が橈骨動脈２
８の直上部に正確に位置しているか否かが判断さ
れて、その判断が否定された場合には上述の場合
と同様にして脈波センサ３２の橈骨動脈２８に対
する位置が自動的に調整される。これにより、た
とえ、脈波検出中に被検者の体動等に起因して脈
波センサ３２がハウジング１０と共に動脈２８に
対してずれたとしても、正確な脈波を検出するこ
とができる。

このように本実施例の脈波検出装置によれば、
脈波センサ３２がその突出部３４において送りね
じ３０に螺合されているとともに、この送りねじ
３０が駆動モータ５０により減速ギヤ装置５４を
介して回転駆動されるように構成されており、脈
波センサ３２がその移動範囲の中央位置に位置決
めされた後、あるいは脈波センサ３２が橈骨動脈
２８の直上部に位置決めされた後は、送りねじ３
０と前記突出部３４との螺合に基づいて脈波セン
サ３２の送りねじ３０に対する送りねじ３０軸心
方向の相対移動が好適に阻止されるので、脈波セ
ンサ３２の橈骨動脈に対する位置決め位置が確実
に維持されるとともに、ハウジング１０を体表面
１２に装着する際などにおいて脈波センサ３２が
前記移動範囲の中央位置からずれることが確実に
防止されることとなる。

また、本実施例によれば、駆動モータ５０は脈
波センサ３２から体表面１２に略沿つた方向に所
定距離離隔した位置においてハウジング１０内に
設けられているととも、送りねじ３０の一端部と
その駆動モータ５０との間に減速ギヤ装置５４が
設けられており、脈波センサ３２、駆動モータ５
０、および減速ギヤ装置５４等が生体表面に近接
した状態で配設されているので、駆動モータ５０
等を設けたことによつて脈波検出装置の高さ寸法
（本実施例においてはハウジング１０の高さ寸法）
が増大することが好適に防止される。

また、本実施例によれば、フオトインタラプタ
６０と反射板５６とによつて脈波センサ３２をそ
の移動範囲の中央位置に予め位置決めし得て、脈
波センサ３２の前記中央位置から両方向への移動
量を充分に確保することができるので、脈波セン
サ３２の橈骨動脈２８に対する位置決めを一層確
実に為し得る利点がある。

なお、前記実施例において、駆動モータ５０は
その出力軸５２が送りねじ３０と平行に位置する
ように設けられているとともに、駆動モータ５０
の回転駆動力は複数のギヤを有する減速ギヤ装置
５４を経て送りねじ３０に伝達されるように構成
されているが、前記出力軸５２が送りねじ３０の
軸心と所定角度傾斜する状態で駆動モータ５０全
体を体表面１２に一層好適に沿つた状態で設ける
とともに駆動モータ５０の回転駆動力をフレキシ
ブルジヨイントを有する回転駆動力伝達装置を介
して送りねじに伝達してもよいし、あるいは、駆
動モータの出力軸が送りねじと直角な方向に位置
するように駆動モータを生体表面に沿つて設ける
とともにその駆動モータの回転駆動力をウオーム
およびピニオンギヤ等から成る回転駆動力伝達装
置を介して送りねじに伝達するように構成するこ
とも可能である。

また、前記実施例では、ハウジング１０の側壁
１８，２０にガイド手段としてのガイドレール４
８，４８が設けられており且つ可動部材３６にそ
れらガイドレール４８，４８と嵌合する案内溝４
６，４６が設けられているが、必ずしもそのよう
に構成する必要はなく、たとえば、ハウジング１
０の側壁にガイド手段としての案内溝を設け且つ
可動部材３６にその案内溝と摺動可能に嵌合する
嵌合部を設けてもよいし、あるいは、そのような
ガイドレールおよび案内溝を設けることなく、前
記側壁１８，２０をガイド手段として直接使用す
るようにしてもよい。

また、前記実施例において、フレームは容器状
のハウジング１０にて構成されているが、必ずし
も容器状でなくてもよく、必要に応じて貫通穴が
形成されていてもよい。

また、前記実施例において、フオトインタラプ
タ６０，６２および反射板５６，５８が設けられ
ていない場合においても本考案の効果が得られる
ことは勿論である。

また、前記実施例では、生体表面の橈骨動脈上
に装着される脈波検出装置について説明したが、
橈骨動脈以外の他の動脈、たとえば足背動脈上に
装着される脈波検出装置であつてもよい。

その他、本考案はその趣旨を逸脱しない範囲に
おいて種々変更が加えられ得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例である脈波検出装置
の要部を示す断面図であつて、手首への装着状態
を示す図である。第２図は第１図の脈波検出装置
の平面図であつて、一部を切り欠いて示す図であ
る。第３図は第１図の−視断面の要部を示す
図である。第４図は第１図の脈波検出装置の斜視
図であつて、縮小して示す図である。 １０……ハウジング、１２……体表面、２８…
…橈骨動脈、３０……送りねじ、３２……脈波セ
ンサ、４８……ガイドレール、５０……駆動モー
タ、５４……減速ギヤ装置、５６……反射板、６
０……フオトインタラプタ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 生体表面の動脈上に押圧されて該動脈から発
   生する脈波を検出する脈波センサを備え、該脈
   波センサを該動脈に対して位置決めするために
   該脈波センサが該動脈と交差する方向において
   移動させられる形式の脈波検出装置であつて、 前記生体表面に装着されるフレームと、 該フレームに設けられ、前記脈波センサを前
   記動脈と交差する方向において所定の範囲で直
   線的に案内するガイド手段と、 前記脈波センサの移動方向と平行な軸心まわ
   りの回転可能に前記フレームに設けられて該脈
   波センサと螺合された送りねじと、 前記脈波センサから前記生体表面に略沿つた
   方向に所定距離離隔した位置において前記フレ
   ームに設けられた駆動モータと、 該駆動モータと前記送りねじの一端との間に
   設けられ、該駆動モータの回転駆動力を該送り
   ねじへ伝達する回転駆動力伝達装置と を含むことを特徴とする脈波検出装置。 (2) 前記脈波検出装置は、前記脈波センサがその
   移動範囲の中央位置に位置することを検出する
   ための位置検出手段を更に備えたものである実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載の脈波検出
   装置。