JPH0428235Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、低速領域時に充分な始動トルクを得
るため制御進み角の切替を行う無整流子電動機の
速度制御装置に関するもので、その目的とすると
ころは良好な始動時特性を得る調整機能を有しか
つ全速度範囲にわたり安定した運転特性が得られ
る簡便な回路構成からなる装置を提供せんとする
ことにある。

従来無整流子電動機応用、特に合繊繊維機械の
延燃機や仮燃機の運転においてはその糸切れを防
止するため速度設定信号発生部分に加減速調整器
を備え、電動機速度を緩やかにかつ円滑に移行さ
せるよう用いられるものとなつている。これを交
流電源が供給される周波数変換器駆動による一般
的な例を示す第１図により説明する。

すなわち、第１図に示される要部構成におい
て、三相電源１が与えられるサイリスタ電力変換
部２と同期電動機３が接続される主回路構成をな
し、同期電動機３には回転子位置に応じた位置信
号を発生する分配器４と速度帰還パルス信号を送
出する速度検出器５とが設けられてなる。

また速度調節器６に速度設定信号N^*および速
度帰還信号N_Mが与えられ、速度調節器出力の速
度指令発生から電流調節器７を介してゲート信号
発生器８が分配器４出力に応じて作用する論理回
路９による選択信号に基づき、サイリスタ電力変
換部２の主制御サイリスタへの制御信号を得るも
のとなる。ここに、周波数電圧変換器１０は速度
検出器５出力の速度帰還パルスを電圧レベルに変
換する信号変換器であり、電流検出器１１は電流
調節器７へ電流帰還信号を送出するものである。
さらにはかくのごとき速度調節器６は一般に比例
積分演算機能を有する比較器として効用されるも
のとなる。なお、かかる無整流子電動機回路およ
びその速度制御回路の部分は公知であつてその詳
細説明を省略するが、速度調節器６の信号出力に
より速度帰還信号N_Mが速度設定信号N^*に見合う
よう同期電動機３はサイリスタ電力変換部２によ
り駆動されるものとなる。

さらにまた低高速切替回路には定速領域で充分
なトルクを得るため論理回路９内部の設定切替の
選択を行うものであり、かかる低高速切替回路１
２および論理回路９からなる構成部分より通常低
速領域でサイリスタ電力変換部２の制御進み角β₀
を（β₀＝0°）となし高速領域では負荷転流可能に
して（β₀＝60°）とするように設定するものとな
ることが知られている。なお低速領域は一般に電
動機速度の（１／10）以下に選定される。

つぎに、第１図に示す設定回路部分において速
度設定器１３より速度設定信号No^*が与えられ、
さらには加減速調整器１４より加減速度特性をも
つ修正された速度設定信号N^*が発生されるもの
となる。かような加減速調整器１４が設けられる
設定回路部分は慣用技術であつて、速度設定信号
No^*のレベルを得る加減速調整器１４よりそのレ
ベルに所望の時限特性を有して推移する速度設定
信号N^*が速度調節器６に供給され、この速度調
節器６出力によつてサイリスタ電力変換部２は修
正された速度設定信号N^*に追従するよう同期電
動機３を駆動することができる。したがつて、か
くのごとき第１図装置の運転特性は第２図のよう
に示される。すなわち、運転特性Ncは加減速調
整器１４より信号発生される速度設定信号N^*に
対応して電動機速度が一定の傾きを有して立ち上
がるソフトスタートが行われるものとなる。

かくのごとく、第１図装置はソフトスタート特
性を有するものであつて、前述した糸巻き機械等
の運転においても加速時には糸切れなどの不具合
が生じないものとなる。しかしながらかかる運転
によれば、特に始動直後に前記糸切れをしばしば
生じる。これは第２図に示す特性図をみても理解
できるように始動時の立上り特性がわん曲されて
いないことに起因する。そして、これを解消する
便法として速度調節器部分にて比例要素を消減す
るか積分要素を増大させるごとき調整を行うもの
とすればよいが、反面定常運転における電動機速
度の制御性が失われるものとなつて速度ハンチン
グ現象から安定運転ができないものになつてしま
う。

本考案は上述したような点に鑑みて、低高速切
替回路部分より制御進み角の切替指令を発生する
点に着眼して速度調節器部分の比例要素を低速領
域と高速領域で切替え、特に低速領域における良
好な始動特性を得たのちも制御性が安定された運
転を実現できる装置を提供するものである。

第３図は第１図装置に類した本考案による一実
施例の要部構成を示すもので、６′は速度調節器、
１５は比例分調節器である。図中第１図と同符号
のものは同じ機能を有する部分を示す。ここに、
速度調節器６′はその比例要素および積分要素演
算内容を生成する抵抗器とコンデンサの構成部分
が予め定常運転状態にて適当な安定系をもつよう
選定されたものであり、この抵抗器構成部分の短
絡状態より始動特性をわん曲せしめる効果を奏す
るものとするため外部引出し用として端子TB₁，
TB₂に導出されてなるものである。さらに比例分
調節器１５は継電器を採用した例であつて、励磁
コイル部分に低高速切替回路１２出力が供給され
て励磁開放接点部分と前記速度調節器６′の端子
TB₁，TB₂がが接続されてなる。そして、かくの
ごとき比例分調節器１５および速度調節器６′は、
低高速切替回路１２出力がないときつまり定速領
域状態時に比例分調節器１５が励磁されず速度調
節器６′の抵抗器部分の一部が比例分調節器１５
により短絡された状態にある。したがつて、速度
調節器６′の比例要素および積分要素のうち抵抗
器構成部分が充分小さいものに選定可能になりこ
れを積分器として作用させるものに近づけること
ができる。また高速領域では比例分調節器１５が
低高速切替回路１２の信号発生より励磁され、速
度調節器６′はその抵抗器構成部分の短絡状態が
解除されるものとなる。

かようにして、本実施例は運転特性が第４図に
示されるごとき性能をもつことができる。すなわ
ち、運転特性Nc′は、時点T₁における電動機速度
N₁がその速度推移を始動後時点T₁まで２乗特性
を有するごとくわん曲されて表わされるものとな
り、さらには時点T₁以後第２図と同様に第３図
に示される加減速調整器１４出力に応じて速度変
化するものである。ここで、時点T₁は前述の比
例分調節器１５および速度調節器６′における切
替時点に相当する。したがつて加減速調整器１４
による緩やかな加速特性をもち、かつ始動特性が
より緩やかにされた格別な特性を得ることができ
る。

以上説明したように本考案によれば、制御進み
角の切替指令に対応して好適に緩められた始動特
性が得られる簡便な装置を提供できる。

【図面の簡単な説明】

第１図と第２図は従来例の要部構成を示す図と
その運転特性図、第３図と第４図は本考案による
一実施例の要部構成を示す図とその運転特性図で
ある。 ２……サイリスタ電力変換部、３……同期電動
機、４……分配器、５……速度検出器、６，６′
……速度調節器、９……論理回路、１２……低高
速切替回路、１４……加減速調整器、１５……比
例分調節器、Nc，Nc′……運転特性。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 速度設定信号と速度帰還信号とを比較演算しか
   つ一定速度運転を可能にする比例積分演算機能を
   有する速度調節器と、該速度調節器出力と電動機
   の電流帰還信号を比較演算する電流調節器と、電
   動機の出力軸に取り付けられ回転子位置を検出す
   るパルス信号を発生する分配器と、該パルス信号
   のパルス幅を検出することにより電動機の低速領
   域か高速領域かを判別する信号を発生する低高速
   切替回路と、該低高速切替回路出力と前記分配器
   出力とを組合せるとともに、低速領域では充分の
   始動トルクを得るように電動機回転子位置に対す
   る制御進み角を設定し、かつ高速領域では負荷転
   流が可能となるように制御進み角を設定する論理
   回路と、該論理回路出力と前記電流調節器出力に
   応じてサイリスタ電力変換器を制御するゲート信
   号を発生するゲート信号発生器とを有する無整流
   子電動機の速度制御装置において、前記速度調節
   器の比例要素を低速領域運転時にのみ低減せしめ
   る調節回路部分を備えるようにしたことを特徴と
   する無整流子電動機の速度制御装置。