JPH04269311A - 内燃機関用中空弁及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関用の吸排気弁
として用いられる中空弁に係り、特に、傘部からステム
にかけて設けられた中空孔内に、冷却媒体としての焼結
体を封入してなる中空弁、及びその製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】最近の自動車用エンジンは、過給機を搭
載したり多弁機構を採用するなど、高回転、高出力化の
傾向にある。

【０００３】エンジンの許容回転数を高めるうえで最も
障害となるのは、動弁系の重量による慣性質量の増加で
あり、動弁系の構成部品の総重量が大となると、その慣
性のために、高速回転になるほど、弁体のカムに対する
追従性能が低下し、弁体がおどり等を発生して出力低下
を招く。

【０００４】中空弁は、弁体を軽量化させ、動弁系の慣
性質量を軽減させる上において非常に有利であるため、
常時高速回転で使用されるレーシングカーのエンジンや
、一部の乗用車の高出力型エンジンに採用されている。

【０００５】中空弁は、通常の中実弁に比べて強度剛性
が劣るため、特に、傘部の温度が高温となる排気弁は、
傘部の熱負荷を軽減して高温強度を高める必要がある。 このような冷却性を高めた中空弁には、傘部からステム
にかけてあけられた中空孔内に、冷却媒体としての金属
ナトリウムを封入して、傘部からステムへの熱伝達効率
を高め、熱負荷を軽減するようにしたもの（例えば特開
昭６０−１４５４１０号公報、実開昭６３−１５１９１
１号公報参照）や中空孔内に熱伝導性に優れる金属棒状
の冷却媒体を封入したもの（例えば実開昭５６−１４２
２０４号公報参照）などがある。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】上記前者のような金属
ナトリウムを封入してなる中空弁では、金属ナトリウム
が、水や酸素等と反応し易く、この反応により、中空孔
の内部に酸化ナトリウムや水酸化ナトリウム、水素化ナ
トリウム等が生成されると、中空孔の内圧を高めたり、
熱伝達効率を低下させたりする。そのため、中空孔内に
残留している水分等を除去するとともに、中空孔への金
属ナトリウムの注入作業を、不活性ガスの雰囲気中で行
なう必要がある。

【０００７】しかも金属ナトリウムは、上記性質に加え
て、強アルカリ性を有しているため、その注入にあたっ
ては、安全性の面において十分注意を払う必要があり、
その製造には、多くの面倒な工程を要し、かつ安全管理
を厳重に行なう必要がある。

【０００８】また、エンジンに組付けられた後に、スク
ラップ処理や廃棄処分する際等において、万一ステムが
切損して、金属ナトリウムが流出すると非常に危険であ
る。一方、上記後者のように、中空孔内に熱伝導率の大
きい金属棒状の冷却媒体を封入したものにおいては、冷
却媒体が中実材よりなっているため、弁体の軽量化はあ
まり期待できない。

【０００９】また、一般に、熱伝導率の大きい材料は熱
膨張率も大きいことから、冷却媒体を中実材とすると、
弁の作動温度により冷却媒体が熱せられた際、その径方
向の熱膨張を吸収することができないため、傘部やステ
ムに内方より応力が加わる。

【００１０】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたもので、その目的とするところは、中空孔内に金
属ナトリウムや金属棒状の冷却媒体に代わる冷却媒体を
封入することにより、製造が容易で安全性も高く、かつ
軽量化が図れて、熱膨張も吸収しうるようにした、内燃
機関用中空弁及びその製造方法を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的は、少なくとも
ステム内に穿設した中空孔内に、熱伝導率の高い低比重
粉末材料よりなる焼結体を封入することにより達成する
ことができる。また、その製造方法は、少なくともステ
ム内に穿設した中空孔内に、熱伝導率の高い低比重粉末
材料を、前記中空孔と連通する開口部より挿入し、それ
を押し固めて圧粉体としたのち、ステムと圧粉体とを加
熱することにより圧粉体を焼結し、ついで前記開口部を
閉塞することを特徴としている。

【００１２】

【作用】傘部の熱は、中空孔に封入した熱伝導率の高い
低比重粉末材料よりなる焼結体を媒体としてステム側に
速やかに伝達されて放熱されるので、中空孔内に金属ナ
トリウムや金属棒状の冷却媒体を封入する必要がなく、
従って、安全性や軽量化の面で問題となることはない（
請求項１）。

【００１３】低比重粉末材料を焼結するまでの工程を、
全て弁自体の中空孔を利用して行なっているので、製造
工程が簡略化する（請求項２）。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を、図面に基づいて説
明する。図１は、本発明の第１実施例の中空弁（１）を
示し、耐熱鋼により成形された、下方に向かって拡径す
る傘部（２）と、その上端に連設されたステム（３）と
、その上端に接合された、ステム（３）の一部をなすチ
タン合金等の端末部材（４）とからなっている。

【００１５】傘部（２）から、端末部材（４）のコッタ
（図示略）係止用の環状凹溝（５）の手前までに至る中
心軸線上には、傘部（２）側をラッパ状に拡開させた中
空孔（６）が穿設されている。

【００１６】（７）は、傘部（２）の開口部（２ａ）を
閉塞する閉塞板で、摩擦圧接又は溶接等の手段により固
着されている。中空孔（６）内には、冷却媒体である焼
結体（８）が、中空孔（６）の高さのほぼ１／３の空隙
（６ａ）を残して、すなわち、この中空弁（１）をエン
ジンに組付けた際、バルブガイド（９）と摺接する部分
におけるステム（３）内に、焼結体（８）の一部が位置
するようにして、封入されている。

【００１７】焼結体（８）の材料としては、エンジンの
ファイアリング運転時における弁の作動温度以上の融点
を有するとともに、比較的低比重で、しかも熱せられ易
く冷め易い熱伝導性に優れる物質、例えば、Ｃｕ、Ａｌ
、Ｍｇ、Ｚｎ、Ｔｉ等の微小金属粉、又はＡｌ−Ｃｕ−
Ｍｇ−Ｍｎ系、Ａｌ−Ｃｕ−Ｎｉ−Ｍｇ系、Ｍｇ−Ａｌ
−Ｚｎ−Ｍｎ系、Ｍｇ−Ｚｎ−Ｚｒ系、Ａｌ−Ｓｉ−Ｆ
ｅ系等の合金粉末が好ましい。

【００１８】なお、焼結体（８）が酸化し易い物質の場
合には、空隙（６ａ）内を真空とするか、又は窒素ガス
等の不活性ガスを封入するのがよい。

【００１９】次に、上記第１実施例の中空弁（１）の製
造要領について説明する。まず図２に示すように、端末
部材（４）を接合する前の第１次中間品（１’）の中空
孔（６）内に、上述した材料よりなる金属粉又は合金粉
末を所要量入れたのち、プレス機（図示略）等に取付け
た押し棒（１０）を中空孔（６）の上方より挿入して押
し固め、圧粉体（８’）を形成する。

【００２０】ついで、図３に示すように、下端部に中空
孔が穿設された端末部材（４）を、必要に応じて空隙（
６ａ）内に不活性ガスを封入した状態で、ステム（３）
の端面に接合して第２次中間品（１”）を成形する。

【００２１】最後に、図４に示すように、上記図３に示
す第２次中間品（１”）を、焼結炉（１１）内に入れる
か、又はコイル状としたシーズヒータ（１２）等を、傘
部（２）からステム（３）の部分に密接状に嵌挿するな
どして、圧粉体（８’）を構成している金属粒子の表面
が溶融して互いに結合しうる温度まで加熱すれば、圧粉
体（８’）は焼結体（８）となり、図１に示すような中
空弁（１）が得られる。

【００２２】この要領のように、金属粉を焼結体（８）
とするまでの工程を、中空弁（１）自体の中空孔（６）
を利用して行なうと、別工程により予め成形した焼結体
（８）を中空孔（６）内に封入する場合に比べて、次の
ような利点がある。

【００２３】すなわち、上記した要領によると、金属粉
を圧粉体（８’）とするための専用の押型が必要ないこ
と、圧粉体（８’）を押型より脱型したり、焼結体（８
）を中空孔（６）に封入したりする工程が省略できるこ
と、焼結体（８）の寸法精度を考慮する必要がなく、か
つ中空孔（６）の形状が変っても即対応できることなど
、数多くの利点を有する。

【００２４】図５は、本発明の第２実施例を示すもので
、この実施例に示す中空弁（１）は、傘部（２）から端
末部材（４）の接合部に至るステム（３）の中心軸線上
に、ストレート状の中空孔（１３）を形成し、この中空
孔（１３）の全体に、第１実施例におけると同様の焼結
体（８）を充填したものである。

【００２５】この第２実施例の中空弁（１）においても
、上述した第１実施例と同じ要領により製造することが
できる。

【００２６】以上説明した第１、第２実施例の中空弁（
１）においては、いずれも傘部（２）が燃焼ガス等によ
り高温に加熱された際、その熱は、各中空孔（６）（１
３）に封入した焼結体（８）を媒体として、ステム（３
）側に速やかに伝達され、バルブガイド（９）を通して
シリンダヘッド（図示略）等に放熱されるので、傘部（
２）の熱負荷は著しく軽減される。

【００２７】しかも、焼結体（８）に低比重材料を用い
、かつ端末部材（４）をチタン合金としてあるため、弁
体の重量増加は少なくて済む。また、焼結体（８）は、
無数の金属粒子同士の結合による多孔質構造となってい
るため、焼結体（８）が弁の作動温度により加熱されて
熱膨張しても、金属粒子間の間隙でそれが吸収されるの
で、ステム（３）や傘部（２）に内方より応力が作用す
ることはない。

【００２８】本発明は、上記実施例に限定されるもので
はなく、種々の態様をとり得る。例えば、第１実施例の
中空弁において、焼結体（８）を中空孔（６）全体に充
填してもよい。この場合、端末部材（４）を先に接合し
たのち、傘部（２）の開口部（２ａ）側より金属粉を入
れて圧粉体とし、ついで閉塞部材（７）により開口部（
２ａ）を閉塞し、最後に、焼結炉等により圧粉体を焼結
すればよい。

【００２９】第２実施例の中空弁において、中空孔（１
３）に対する焼結体（８）の封入量を、中空孔（１３）
のほぼ１／２〜２／３程度までとし、残りを空隙として
もよい。このようにすれば、中空弁（１）の一層の軽量
化を図ることができる。

【００３０】第１、第２実施例の中空弁では、端末部材
（４）をチタン合金としてあるが、傘部（２）側と同材
料の通常の耐熱鋼としてもよい。中空孔（６）（１３）
の内面にニッケルメッキ等を施して、熱伝導効率を高め
るようにしてもよい。

【００３１】例えば排気弁として用いる中空弁において
、金属粉の材料として弁の作動温度付近に融点を有する
ものを選択すれば、圧粉体とした状態のままエンジンに
組付け、エンジンの作動温度で焼結体とすることも可能
である。

【００３２】中空孔（６）（１３）の形状は、上記実施
例に限定されないことは勿論である。

【００３３】

【発明の効果】本発明によれば、次のような効果を奏す
ることができる。 （ａ）　金属ナトリウムを封入した中空弁に比べて、製
造が容易で、かつ安全性やコストの面で有利である。 （ｂ）　金属棒状の冷却媒体を封入した中空弁よりも軽
量化となるうえに、熱膨張を吸収しうるので、ステムに
応力が加わるのを防止することができる。 （ｃ）　低比重粉末材料を圧粉体とし、それを焼結する
までの工程を、全て製造しようとする中空弁の中空孔を
利用し、焼結と同時に完成品が得られるので、製造工程
が簡略化して生産性を高めることができる。 （ｄ）　傘部の熱は、焼結体を介してステム側に効果的
に伝達されるため、傘部の熱負荷が軽減され、耐久性、
信頼性に優れる中空弁を提供しうる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の中空弁の第１実施例を示す中央縦断正
面図である。

【図２】第１実施例の中空弁の製造要領を示し、金属粉
を中空孔に入れ、押し固めて圧粉体とした状態の説明図
である。

【図３】同じく端末部材を接合した状態の説明図である
。

【図４】同じく圧粉体を焼結する要領を示す説明図であ
る。

【図５】本発明の第２実施例を示す中央縦断正面図であ
る。

【符号の説明】

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　少なくともステム内に穿設した中空孔
   内に、熱伝導率の高い低比重粉末材料よりなる焼結体を
   封入したことを特徴とする内燃機関用中空弁。
2. 【請求項２】　　少なくともステム内に穿設した中空孔
   内に、熱伝導率の高い低比重粉末材料を、前記中空孔と
   連通する開口部より挿入し、それを押し固めて圧粉体と
   したのち、ステムと圧粉体とを加熱することにより圧粉
   体を焼結し、ついで前記開口部を閉塞することを特徴と
   する内燃機関用中空弁の製造方法。