JPH0425948Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はシートの定着装置に関し、特に温室の
屋根、壁面、妻面等に硬質の合成樹脂シートを展
張する際に使用するのに適するシートの定着装置
に関する。

〔従来の技術〕

一般に軟質な合成樹脂シート、例えば塩化ビニ
ール樹脂シートを展張した温室たるパイプハウス
は地中に多数のアーチ状パイプを起立させ、各パ
イプ間に開口部巾狭のシート支持フレームを架設
させ、この支持フレームに弾性な係止線条を介し
て合成樹脂シートを保持し、これによりパイプハ
ウスの屋根面、壁面、妻面にシートを展張させて
いる。

上記の塩化ビニール樹脂からなる軟質シートの
場合には伸縮性があるから支持フレームに係止線
条で保持した時十分なテンシヨンが得られ、パイ
プハウス全体に均一に展張される。

ところが、この軟質シートを展張した場合、シ
ート自体が耐久性に乏しく、長期間の使用中に劣
化し、亀裂が発生したり、破断してしまうという
問題がある。

更に温室は太陽光線を十分に透過させる必要が
あるが、上記軟質シートの場合には使用中に変色
し、太陽光線の透過率を低下させ、外面に汚れが
付着しやすいという材質の特性からくる不具合が
あり、毎年シートの張り代えを余儀無くしてい
る。この為シートの張り代え作業が面倒であり、
経済的にも不利であつた。

他方、耐久性があり、変色しにくく、太陽光線
の透過率も良好な例えば、ポリエステル樹脂シー
トのような硬質な合成樹脂シートも知られてお
り、この硬質シートを使用すれば、上記の不具合
を解消できることは知られており、その使用が長
年要望されてきた。

しかし、この硬質シートは伸縮性に乏しく、剛
性が強く、比較的厚みがあるから、従来のシート
の定着装置では定着できず、、無理に定着しよう
とすると皺が発生したり、亀裂が発生してしま
う。しかも、この皺や亀裂が残つたまゝ使用する
と、強風等でシート全体がばたつき、あるいはめ
くれて破断されてしまう。従つて実際には硬質な
シートを展張できないでいた。

ところが最近、本出願人は皺を発生せず、亀裂
の発生も防止できる硬質シートの定着に良好なシ
ートの定着装置を開発した（実願昭61−21933
号）。

このシートの定着装置は開口部巾狭の支持フレ
ームと、カバー本体及び一対の支持片を設けたシ
ート押え部材と、楔とからなり、支持フレーム内
に支持片を介してシートを挿入し、この状態で一
対の支持片間に楔を打ち込んで支持片を支持フレ
ームの内壁側に拡開させ、支持片と支持フレーム
とでシートを挾持するものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、上記のシートの定着装置は支持フレ
ームが温室のもや材、むね材に沿つて設けられて
いるものであるから相当長く、いきおいこの支持
フレームに保持するシート押え部材が長くなり、
この長いシート押え部材に沿つて楔を打ち込むに
は摩擦抵抗が大きく、軸心も一致しなくなる。

従つてシートの定着作業が困難で作業性が著し
く劣る。しかも、この定着装置は支持フレームと
シート押え部材と楔とからなる三つの部材を有
し、部品点数が多く、構造が複雑でコスト的にも
不利である。

従つて本考案の目的はシートの定着作業が著し
く向上し、部品点数が少なく、構造もコンパクト
な硬質シートの定着にも有効なシートの定着装置
を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案の構成は、
開口部巾狭の支持フレームと、この支持フレーム
内にシートを嵌入させるシート押え部材とからな
り、シート押え部材は板部とシート押え部とから
なり、当該シート押え部は板部の一端に設けられ
て下方に延びる弾性な脚部と、脚部の上部に連設
されて横方向に延びるシート押え片とで構成さ
れ、板部の端部と脚部とでシートを支持フレーム
両側の蟻溝内にそれぞれ板部と脚部との弾性力で
嵌入させ、且つシート押え片でシートの上面を支
持フレーム方向に押えさせることを特徴とするも
のである。

〔作 用〕

板部の一端が支持フレームの一方の溝内に挿入
され、シート押え部がフレームの開口部の口縁付
近と密接し、支持フレームとシート押え部材とで
シートを挾持する。板部は端部とシート押え部を
その復元力で支持フレーム側に押し付け、シート
押え部材はシートを挾持した状態で支持フレーム
内に強力に止められている。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を図面にもとづいて説明す
る。

第１図〜第３図は本考案の一実施例に係るシー
トの定着装置を示す。

これは開口部巾狭の支持フレーム１と、シート
押え部材２とからなる。

支持フレーム１は、底部３とその両側に傾斜方
向に起立する一対の両側フレーム４，５と、両側
フレーム４，５の上部に設けたカール６，７と、
底部３と両側フレーム４，５間に設けた溝部たる
一対の蟻溝８，９とからなり、カール６，７間の
開口部は底部３の巾より巾狭となつている。

シート押え部材２は板部１０と、板部１０の左
側に設けた彎曲した肉厚部１１と、右側に設けた
シート押え部１２とからなり、シート押え部１２
は下方に向けて二重に折り曲げた脚部１３と横方
向に延び、やゝ彎曲したシート押え片１４とから
構成されている。

脚部１３の側部には支持フレーム１におけるカ
ール７の外面に対応するやゝ彎曲した面１５が形
成されている。

硬質のシート１６を支持フレーム１内に嵌入し
て挾持する場合には次のように行なう。

支持フレーム１上にシート１６を置き、シート
押え部材２の端部たる肉厚部１１を介してシート
１６の一部を支持フレーム１の左側の蟻溝８内に
差し込む。この時第２図の点線で示すように、シ
ート押え部材２は斜めになつており、肉厚部１１
がシート１６を蟻溝８内に仮り止めしている。

次に、矢印Ａに示すように、板部１０の他端部
たるシート押え部１２を上方から支持フレーム１
内に向けてたたき込むと、板部１０の弾力と脚部
１３の弾力に抗して脚部１３がシート１６を押し
ながら右側の蟻溝９内に嵌合する。

この際、板部１０は自らが保有しているばね性
により横方向にひろがろうとする復元力が加わ
り、この復元力で肉厚部１１と脚部１３は横方向
にそれぞれ押され、シート１６を両側フレーム
４，５の内周面と蟻溝８，９内に押し込んで支持
フレーム１と協働して挾持する。

しかも肉厚部１１と脚部１３は喰い込み勝手と
なるから上方に飛び出さない。

シート押え片１４はカール７と協働してシート
１６を挾持し、シート１６を均一に押さえるから
シート１６に皺や凹凸が発生しない。又、他のカ
ール６はその彎曲面でシート１６を均一に支える
から、この部分にも皺や凹凸が発生しない。

上記のシートの定着操作では、先ずシート１６
を押しながら板部１０の端部たる肉厚部１１を左
側の蟻溝８内に差し込み、次いでシート押え部１
２の部分を上方から手動又はハンマー等でたたき
込むだけでシート１６が支持フレーム１内に定着
されるから、作業性が著しく向上する。支持フレ
ーム１とシート押え部材２が長い場合にはシート
押え部材２に沿つて数度順次にたたき込めば良
い。

第４図は本考案のシートの定着装置を設けた温
室Ｂの斜視図を示す。

温室Ｂは多数のアーチ状パイプ１７を起立し、
このパイプ１７上に硬質シート１６を展張してい
る。

各パイプ１７の間には支持フレーム１が複数横
方向に架設され、この支持フレーム１にシート押
え部材２を介して定着するものである。

温室Ｂの下部には普通軟質シート１８が展張さ
れ、この軟質シート１８は巻き取り器１９を介し
て巻き取られた時換気用の開口部２０が形成され
る。

第５図は本考案の他の実施例に係り、これは第
１図の実施例と構造は実質的に同じであるが、シ
ート押え部１２の脚部１３を多少長めに成形し、
この脚部１３の下部と支持フレーム１の底部３の
上面とでシート１６の端部を挾持するものであ
る。

第６図は本考案の他の実施例に係り、これは肉
厚部１１の外面に滑り止め部１１ａを設け、同じ
く脚部１３の外面にも滑り止め部１３ａを設けた
ものである。この場合は滑り止め部１１ａ，１３
ａによつてフリクシヨンがシート１６との間に発
生し、滑り止め部１１ａ，１３ａが突起のような
場合にはこれらがシート１６に喰い込み、シート
１６に外力が作用しても抜けたり、づれるのをよ
り効果的に防止するものである。

第７図は本考案の他の実施例に係り、これは支
持フレーム１ａ，１ｂが平行に二つ設けられ、各
支持フレーム１ａ，１ｂは連結部２１で連結さ
れ、各支持フレーム１ａ，１ｂ内にそれぞれシー
ト１６，１８がシート押え部材２，２で定着する
ものである。

シート１６，１８は両者共に軟質でも、硬質で
もよく、あるいは一方のシート１６を硬質シート
として使用し、他方のシート１６を軟質シートと
して使用してもよい。

第７図の実施例ではシートの長さが制限されて
いる場合、これを温室に連続して展張する場合
や、屋根面には硬質シート１６を展張し、壁面に
軟質シート１８を展張するような場合の使用に適
する。

但し両方のシート１６，１８が硬質でもよく、
同じく両方のシート１６，１８が軟質でもよい。
いずれにしてもシートは硬質でも軟質でも使用で
きる。

第８図は本考案の他の実施例に係り、これは支
持フレーム１ａ，１ｂを二つ利用し、一方の支持
フレーム１ａ内には第１図の実施例で示すシート
押え部材２を介して硬質シート１６を定着させ、
他方の支持フレーム１ｂ内には軟質シート１８を
弾性な係止線条２７を介して定着させるものであ
る。

次に第９図〜第１１図は本考案の他の実施例に
係り、これはシート押え部材の脚部を変形したも
のである。

これは開口部巾狭の支持フレーム１と、シート
押え部材２とからなる。

支持フレーム１は底部３とその両側に傾斜方向
に起立する一対の両側フレーム４，５と、両側フ
レーム４，５の上部に設けたカール６，７と、底
部３と両側フレーム４，５間に設けた溝部たる一
対の蟻溝８，９とからなり、カール６，７間の開
口部は底部３の巾より巾狭となつている。

シート押え部材２は板部１０と、板部１０の左
側に設けた彎曲した肉厚部１１′と、右側に設け
たシート押え部１２′とからなり、シート押え部
１２′は下方に延びる屈曲した脚部１３′と横方向
に延び、やゝ彎曲したシート押え片１４とから構
成されている。

脚部１３′とシート押え片１４との間には支持
フレーム１におけるカール７の外面に対応する
やゝ彎曲した面１５′が形成され、脚部１３′は両
側フレーム５の内周面と蟻溝９の内周面との沿う
形状に屈曲している。

硬質のシート１６を支持フレーム１内に嵌入し
て挾持する場合には次のように行なう。

支持フレーム１上にシート１６を置き、シート
押え部材２′の端部たる肉厚部１１′を介してシー
ト１６の一部を支持フレーム１の左側の蟻溝８内
に差し込む。この時第１０図の点線で示すよう
に、シート押え部材２′は斜めになつており、肉
厚部１１がシート１６を蟻溝８内に仮り止めして
いる。

次に、矢印Ａに示すように、板部１０の他端部
たるシート押え部１２′を上方から支持フレーム
１内に向けてたたき込むと、板部１０の弾力と脚
部１３′の弾力に抗して脚部１３′がシート１６を
押しながら右側の蟻溝９内に嵌合する。

この際、板部１０は横方向にひろがろうとする
復元力が加わり、この復元力で肉厚部１１′と脚
部１３′は横方向にそれぞれ押され、シート１６
を両側フレーム４，５の内周面と蟻溝８，９内に
押し込んで支持フレーム１と協働して挾持する。

しかも肉厚部１１′と脚部１３′は喰い込み勝手
となるから上方に飛び出さない。

シート押え片１４はカール７と協働してシート
１６を挾持し、シート１６を均一に押えるからシ
ート１６に皺や凹凸が発生しない。又、他のカー
ル６はその彎曲面でシート１６を均一に支えるか
ら、この部分にも皺や凹凸が発生しない。

上記のシートの定着操作では、先ずシート１６
を押しながら板部１０の端部たる肉厚部１１′を
左側の蟻溝８内に差し込み、次いでシート押え部
１２′の部分を上下から手動又はハンマー等でた
たき込むだけでシート１６が支持フレーム１内に
定着されるから、作業性が著しく向上する。支持
フレーム１とシート押え部材２が長い場合にはシ
ート押え部材２′に沿つて数度順次にたたき込め
ば良い。

第１２図は本考案の他の実施例を示す。

これは支持フレーム１として第７図と同じく二
つの支持フレーム１ａ，１ｂを二組平行に設けた
ものであり、蟻溝フレーム１ａ，１ｂは中央の連
結部２１で連結されている。各蟻溝フレーム１
ａ，１ｂは第１図、第７図の支持フレーム１と実
質的に同一の構造を有するので、同一の符号を付
すことにより詳細は省略する。但し、支持フレー
ム１は第１図の場合と同じく単一のものを使用し
てもよい。

シート押え部材２″は第９図の実施例のものと
実質的に同じであるが、本実施例の場合には肉厚
部１１′より上方に彎曲したシート押え片２２を
設け、このシート押え片２２はカール６に対して
シート１６を均一に押え付け、シート１６のたる
みや皺が発生しにくいようにしている。

各支持フレーム１ａ，１ｂには硬質のシート１
６を二重に定着しても良いが、第７図のように、
硬質シート１６と軟質シート１８を併用して温室
Ｂに展張する場合には、一方の支持フレーム１ａ
内に硬質シート１６を嵌合させ、他方の支持フレ
ーム１ｂ内に軟質シート１８を嵌合させる。軟質
シート１８は本考案に係るシート押え部材２で定
着しても良く、又は従来のように弾性な係止線条
により保持しても良い。

第１３図は本考案の他の実施例に係り、これは
第１２図の実施例を変形したものであり、シート
押え部１２″をやゝ二又状に成形し、脚部１３″は
両側フレーム５の内周面に沿つて延長させたもの
である。

第１４図は本考案の他の実施例に係り、これは
第１図のシート押え部材を変形したものであり、
肉厚部に代えて板部１０の一端にカール部２３を
設けたものである。

第１５は同じく本考案の他の実施例に係り、こ
れは板部１０の端部にカール部２３を設け、シー
ト押え部において、脚部２５の下部にカール部を
設け、シート押え片２６を半円状に折り曲げ、こ
のシート押え片２６と板部１０により強力な弾力
性を付与したものである。

第１２図乃至第１５図のシートの定着装置の作
用、効果は第１図の実施例と同じである。

尚、開口部巾狭の支持フレームは図示のものに
限らず、例えば、公知のＧ型チヤンネル、その他
同様のものも含むものである。

〔考案の効果〕

本考案によれば、次の効果が得られる。

板部の端部と脚部とでシートを支持フレーム
両側の蟻溝に嵌入させたとき、板部と脚部とは
その弾性力で互いに横方向に押されるから板部
と脚部とは支持フレームに対して喰い込み勝手
となり、シートが外力で両側から引張られて押
し上げられても板部と脚部とは板部がつつ張る
ことにより支持フレームから抜けず、よつてシ
ートを確実に定着させる。

シート押え片はシートを均一に押えられ、こ
れによりシートに皺や凹凸が発生しない。

シートを定着させる際に、板部の端部を支持
フレームの一方の蟻溝内に差し込み、その後脚
部とシート押え片とからなるシート押え部を上
方からたたくと脚部が蟻溝内にワンタツチで嵌
合するから定着行程が二つであり、その作業が
著しく向上する。この際、板部の端部の差し込
みには大きな操作力を必要とせずに簡単に挿入
でき、脚部を嵌合するときのみ押圧力を必要と
するだけであるから操作性が良い。

板部の端部を支持フレームの一方の蟻溝に差
し込んだ時には大きな操作力を要することなく
シートを仮り止めできる。この為、シートが位
置ずれすることなく脚部を他方の蟻溝内に嵌合
できる。

支持フレームとシート押え部材との二つの部
材から構成されているのみであるから部品点数
が少なく、コンパクトであり、コストダウンを
図れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るシートの定着
装置の分解斜視図、第２図はシート押え部材の嵌
合行程とシートの定着状態を示す縦断正面図、第
３図はシートの定着状態の一部縦断斜視図、第４
図は第１のシートの定着装置を利用してシートを
温室に展張した状態を示す斜視図、第５図乃至第
１５図は他の実施例に係るシートの定着装置を示
す。 １……支持フレーム、２，２′，２″……シート
押え部材、８，９……蟻溝、１０……板部、１
２，１２′……シート押え部、１３，１３′……脚
部、１４……シート押え片、１６……シート。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 開口部巾狭の支持フレームと、この支持フレ
   ーム内にシートを嵌入させるシート押え部材と
   からなり、シート押え部材は板部とシート押え
   部とからなり、当該シート押え部は板部の一端
   に設けられて下方に延びる弾性な脚部と、脚部
   の上部に連設されて横方向に延びるシート押え
   片とで構成され、板部の脚部と脚部とでシート
   を支持フレーム両側の蟻溝内にそれぞれ板部と
   脚部との弾性力で嵌入させ、且つシート押え片
   でシートの上面を支持フレーム方向に押えさせ
   ることを特徴とするシートの定着装置。 (2) 板部の端部に肉厚部が設けられている実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のシートの定着装
   置。 (3) 板部の端部にカール部が設けられている実用
   新案登録請求の範囲第１項記載のシートの定着
   装置。 (4) 脚部を二重に折り曲げて成形している実用新
   案登録請求の範囲第１項記載のシートの定着装
   置。