JPH0410765Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はシートの定着装置に関し、特に温室の
屋根、壁面、妻面等に硬質の合成樹脂シートを展
張する際に使用するのに適するシートの定着装置
に関する。

〔従来の技術〕

一般に軟質な合成樹脂シート、例えば塩化ビニ
ール樹脂シートを展張した温室たるパイプハウス
は例えば実用新案登録第1057415号公報に示すよ
うに、地中に多数のアーチ状パイプを起立させ、
各パイプ間に開口部巾狭のシート支持フレームを
架設させ、この支持フレームに弾性な係止線条を
介して合成樹脂シートを保持し、これによりパイ
プハウスの屋根面、壁面、妻面にシートを展張さ
せている。

上記の塩化ビニール樹脂からなる軟質シートの
場合には伸縮性があるから支持フレームに係止線
条で保持した時十分なテンシヨンが得られ、パイ
プハウス全体に均一に展張される。

ところが、この軟質シートを展張した場合、シ
ート自体が耐久性に乏しく、長期間の使用中に劣
化し、亀裂が発生したり、破断してしまうという
問題がある。

更に温室は太陽光線を十分に透過させる必要が
あるが、上記軟質シートの場合には使用中に変色
し、太陽光線の透過率を低下させ外面に汚れが付
着しやすいという材質の特性からくる不具合があ
り、毎年シートの張り代えを余儀無くしている。
この為シートの張り代え作業が面倒であり、経済
的にも不利であつた。

他方、耐久性があり、変色しにくく、太陽光線
の透過率も良好な、例えば、ポリエステル樹脂シ
ートのような硬質な合成樹脂シートも知られてお
り、この硬質シートを使用すれば上記の不具合を
解消できることは知られており、その使用が長年
要望されてきた。

しかし、この硬質シートは伸縮性に乏しく、剛
性が強く、比較的厚みがあるから、従来のシート
の定着装置では定着できず、無理に定着しようと
すると皺が発生したり、亀裂が発生してしまう。
しかも、この皺や亀裂が残つたまゝ使用すると、
強風等でシート全体がばたつき、あるいは、めく
れて破断されてしまう。従つて、実際には硬質な
シートを展張できないでいた。

ところが、最近本出願人は皺を発生せず、亀裂
の発生も防止できる硬質シートの定着に良好なシ
ートの定着装置を開発した（実願昭61−165969
号）。

このシートの定着装置は、第１２図に示すよう
に、開口部巾狭の支持フレーム１と、この支持フ
レーム１内にシート３を嵌入させるシート押え部
材２とからなり、シート押え部材２は弾性に富ん
だ板部４と、当該板部４の左端部に設けた嵌入部
５と、板部４の右端部に設けた挟持片６，７とか
ら構成され、嵌入部５を介して支持フレーム１の
左側蟻溝９にシート３の一部を嵌合し、支持フレ
ーム１の右側カール部８と支持片６，７とでシー
ト３の他の一部を挟持するものである。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のシートの定着装置は嵌入部５を介してシ
ート３を蟻溝９内に嵌合して仮り止めしておき、
次いで二つの挟持片６，７を矢印Ａ方向にたたき
込めば簡単に硬質シートでも定着できる反面、シ
ート３に強風等で矢印Ｂ方向の力が加わわるとこ
のシート３の押し上げ力が挟持片７に作用し、又
は挟持片７自体に上方への外力が作用した時シー
ト押え部材２が点線で示すように上方に飛び抜け
てしまうという不具合がある。

従つて本考案の目的は上記従来のシートの定着
装置を改良し、シート押え部材が強風等の外力が
作用しても飛び抜けるのを防止でき、しかも、こ
の飛び抜け防止の操作を容易にできるシートの定
着装置を提供することである。

〔問題点を解決するための手段〕

上記の目的を達成するため、本考案は、中央の
連結片を介して一体に連結された二つの開口部巾
狭の支持フレームと、支持フレームの一方又は両
方にシートを嵌入させるシート押え部材と、シー
ト押え部材を押える止め具とからなり、 支持フレームは底辺と、底辺の両側に設けた傾
斜する側辺と、底辺と側辺との間に設けた蟻溝と
を有し、 シート押え部材は支持フレームの蟻溝に一端を
嵌合するばね性を有する板部と、支持フレームの
側辺内周と連結片の上面に密接する挟持片と、板
部と挟持片との間に設けた溝部とからなり、 止め具は上辺と、上辺の両サイドから下方に延
びる弾性な脚部とからなるキヤツプで構成し、止
め具を下方にたたき込んだ時脚部がシート押え部
材の溝部に嵌合し、上辺と脚部とがシート押え部
材の挟持片を連結片と支持フレームの側辺とに押
圧することを特徴とするものである。

〔作用〕

支持フレームの一方の蟻溝内にシート押え部材
の板部における端部を嵌入させ、次いで、挟持部
を上方から板部のばね力に抗してたたくと挟持部
の一部が支持フレーム内に嵌入し、シートが支持
フレームとシート押え部材とで挟持される。この
状態からキヤツプを上方から押し込み、脚部を溝
部に差し込むと、この弾性な脚部と支持フレーム
とで、シート押え部材の挟持部と、シートとを挟
んで押さえ、挟持部が上方に飛び出すのが防止さ
れる。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を説明する。

第１図〜第４図は、本考案の一実施例を示す。
支持フレーム１０は、同一形状の第１の開口部巾
狭の支持フレーム１０ａと第２の支持フレーム１
０ｂを連結片１１で一体に結合して平行に設置さ
れ、各支持フレーム１０ａ，１０ｂ内に同一形状
のシート押え部材１２，１２がシート３，３を挟
持しながら嵌合している。

各支持フレーム１０ａ，１０ｂは、水平な底辺
１３と、底辺１３の両側に設けた内方に傾斜する
側辺１４，１５と、底辺１３と側辺１４，１５と
の間に長手方向に沿う蟻溝１６，１６と、側辺１
４の頂部に設けた弯曲部１７とを有している。

シート押え部材１２はばね性を有し、弾性に富
んだ材料で成形された板部１８と、板部１８の一
端に設けた弯曲した嵌入部１９と、板部１８の他
端に屈曲して設けた挟持片２０，２１と、板部１
８と挟持片２０との間に形成した溝部２２とを有
している。

シート押え部材１２は板体を屈曲して一体に成
形し、板部１８は斜めに傾斜し、多少弯曲させて
いるのが好ましい。溝部２２と挟持片２０を成形
するため、板体を下方に折り曲げているが、この
折り曲げ成形により板部１８のばね力が増大して
いる。

シート押え部材１２てシート３を定着する場合
には、次のように行なう。支持フレーム１０ａ，
１０ｂ上にシート３を置き、この状態で先ず嵌入
部１９をシート３を押し込みながら蟻溝１６に嵌
合して仮り止めし、次に他方の挟持片２０，２１
を上方から下方に向けてたたくと一方の挟持片２
０が支持フレーム１０ａ，１０ｂの側辺１５内周
に嵌合し、他方の挟持片２１が連結片１１の上面
に密接し、シート３は支持フレーム１０ａ，１０
ｂとシート押え部材１２とで挟持される。

この際、シーシ押え部材１２の横巾は支持フレ
ーム１０ａ，１０ｂの開口部巾より大きく、しか
も板部１８はばね特性を有しているから、板部１
８のばね力でシート３を支持フレーム１０ａ，１
０ｂの内周に押し付け、板部１８も自らのばね力
で抜けなくなる。

シート３はシート押え部材１２によつて均一に
支持フレーム１０ａ，１０ｂに押し付けられるか
ら皺や凹凸が発生せず、軟質シートのみならず、
硬質シートでも定着できる。

又、一方の支持フレーム１０ａには軟質シート
を定着し、他方の支持フレーム１０ｂ内に軟質シ
ートを定着してもよい。実施例では各シート３の
端部を支持フレーム１０ａ，１０ｂに定着してい
るが、一枚のシートの中間を二つの支持フレーム
１０ａ，１０ｂ内に定着させることもできる。

キヤツプ２８は弾性に富む材料で成形され、こ
れは上辺２３と、上辺２３の両サイドから垂直又
は内方に傾斜しながら下方に延びる弾性な脚部２
４，２４とから構成されている。

脚部２４，２４はその弾性に抗して下方にたた
き込まれるとシート押え部材１２の溝部２２，２
２にそれぞれ嵌合し、この時脚部２４，２４は自
らの復元力でシート押え部材１２の挟持片２０，
２０をそれぞれ支持フレーム１０ａ，１０ｂの側
辺１５，１５側に押圧する。

この為、風圧、その他の外力でシート３と挟持
片２０，２１に上方への押し上げ力が作用しても
挟持片２０，２１はキヤツプ２８で定着されて上
方に飛び出すのが防止される。

キヤツプ２８は上辺２３の中央に上方又は下方
に向けて折り曲げたばね逃げ部２６を形成するこ
とによりばね力を増大させ、脚部２４，２４を外
方に拡径して溝部２２，２２に嵌入する際のばね
力の逃げを計つている。更に、脚部２４，２４の
下部には外方又は内方に折り曲げた弯曲部２５，
２５を設け、この弯曲部２５，２５の外周が溝部
２２の内周に密に当接するようになつている。

第１図のシートの定着装置を利用して温室にシ
ートを展張した例が第２図に示されている。

温室Ａは多数のアーチ状パイプ２９を地中に起
立し、各アーチ状パイプ２９は棟木と横架材を兼
ねて支持フレーム１０が屋根側と壁面側に架設さ
れている。屋根側の開口部巾狭の各支持フレーム
１０ａ，１０ｂには例えば硬質シート３，３の中
間又は端部がシート押え部材１２でそれぞれ定着
され、シート押え部材１２はキヤツプ２８で保持
されている。側面側の各支持フレーム１０ａ，１
０ｂにおいて、上方に位置する支持フレーム１０
ａにはシート３の端部が同じように定着されてい
るが、他方の支持フレーム１０ｂにはシートは取
り付けられていない。但し、この支持フレーム１
０ｂにもシート定着することは可能である。側面
側下部にはロツド３０に巻かれた例えば軟質シー
ト３１が設けられ、ロツド３０の回転により換気
用空間３２の開度を調節している。この軟質シー
ト３１の基端は、前記一方の支持フレーム１０ｂ
に定着してもよい。

側面側支持フレーム１０ｂには、線材の取り付
け具３３が取り付けられ、この取り付け具３３に
ワイヤ、ひも等の線材３４を結合し、この線材３
４はシート３のたるみ、凹凸等を押えるものであ
る。

第５図は、本考案のキヤツプの他の実施例を示
し、これは上辺２３ａをストレート、又は弯曲し
てばね逃げ部２６を設けない例である。但し、多
少弯曲していればばねの逃げ部としても使用でき
る。

第６図は、本考案の他の実施例に係り、これは
第２図の壁面側におけるシートの定着と同じく、
一方の支持フレーム１０ａ、又は１０ｂのみにシ
ート３を定着する例を示す。この場合、キヤツプ
は第１図のキヤツプ２８を使用してもよいが、図
示のように、一方の脚部２４ａの下部に支持フレ
ーム１０ｂの内周に沿う支持片２５ａを設けたも
のである。他の構成、作用、効果は第１図の実施
例と同じである。

第７図は、本考案のキヤツプの他の実施例に係
り、これはキヤツプの脚部を多少変形した例であ
る。即ち、弾性な脚部２４，２４の下部に内方に
向けて弯曲部２５ｂ，２５ｂを形成し、この一方
の弯曲部２５ｂを溝部２２内に嵌合し、他方の弯
曲部２５ｂを支持フレーム１０ｂの側辺１５の内
周に当接するものである。

同じく、第８図〜第１０図は、本考案のキヤツ
プの他の実施例とその取り付け状態を示す。

キヤツプ３５は半円状又は逆Ｕ字状に折り曲げ
た上辺部３６と、この上辺部３６から一体に下方
に向けて設けた弾性な脚部３７，３７と、脚部３
７，３７の下部に設けた弯曲部３８，３８とから
なり、上辺部３６が弯曲していることによりばね
力を増大し且つばねの逃げ部を構成している。キ
ヤツプ３５には孔３９が設けられ、この孔３９を
介して第２図に示す線材３４を結合するようにし
ている。但し、この孔３９は無くてもよい。他の
作用、効果は第１図の実施例と同じである。

更に第１１図は、シート押え部材の他の実施例
を示す。これは嵌入部１９の外周にはリブ、歯、
凹凸等からなる滑り止め部１９ａを形成し、シー
ト押え部材１２とシートの保持の安定化を計つた
ものである。

〔考案の効果〕

本考案によれば次の効果がある。

１ 開口狭の支持フレーム内にシート押え部材を
嵌合すると、シートが支持フレーム内に嵌入さ
れ、シート押え部材の板部は弾性に富み、この
板部の一端は支持フレームの蟻溝に長手方向に
沿つて均一に嵌合し、板部の他端側における挟
持片は支持フレームと協働してシートを挟持す
るからシートが硬質であつても、軟質であつて
も簡単に定着される。

２ シート押え部材の上部挟持片はキヤツプで押
えられているから、シートを介して上方への押
し上げ力が作用したり、その他の外力で押し上
げられても上方に飛び出さない。

３ キヤツプはシート押え部材の溝部にたたき込
むだけで取り付けられ、しかも自らの弾性でシ
ート押え部材を自動的に支持フレームと協働し
て挟持するから、その取り付け作業が簡単でス
ピーデイである。又、取りはずす際にも強制的
に引張り出せばよく、シートの張り代え作業時
には作業性が良い。

４ キヤツプは単一部品から構成され、シンプル
であるから加工性が良く、経済性にもすぐれて
いる。

【図面の簡単な説明】

第１図乃至第５図は本考案の一実施例に係るシ
ートの定着装置とその使用状態を示す図であり、
第１２図は従来のシートの定着装置の断面図であ
り、第６図乃至第１１図は本考案の他の実施例に
係るシートの定着装置とその部品を示す図であ
る。 ３……シート、１０ａ，１０ｂ……支持フレー
ム、１２……シート押え部材、１８……板部、２
０，２１……挟持片、２２……溝部、２４，２４
ａ，３７……脚部、２８，２８ａ，３５……止め
具、１１……連結片、２３，２３ａ……上辺、２
５……弯曲部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中央の連結片を介して一体に連結された二つ
   の開口部巾狭の支持フレームと、支持フレーム
   の一方又は両方にシートを嵌入させるシート押
   え部材と、シート押え部材を押える止め具とか
   らなり、 支持フレームは底辺と、底辺の両側に設けた
   傾斜する側辺と、底辺と側辺との間に設けた蟻
   溝とを有し、 シート押え部材は支持フレームの蟻溝に一端
   を嵌合するばね性を有する板部と、支持フレー
   ムの側辺内周と連結片の上面に密接する挟持片
   と、板部と挟持片との間に設けた溝部とからな
   り、 止め具は上辺と、上辺の両サイドから下方に
   延びる弾性な脚部とからなるキヤツプで構成
   し、止め具を下方にたたき込んだ時脚部がシー
   ト押え部材の溝部に嵌合し、上辺と脚部とがシ
   ート押え部材の挟持片を連結片と支持フレーム
   の側辺とに押圧することを特徴とするシートの
   定着装置。 (2) 止め具の脚部には下部弯曲部が設けられてい
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のシート
   の定着装置。 (3) 止め具の上辺中央には上方に膨出するばね逃
   げ部が設けられている実用新案登録請求の範囲
   第１項記載のシートの定着装置。