JPH04257399A - 板紙 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、故紙から再生された板
紙に関する。

【０００２】

【従来の技術】板紙は主として故紙を抄紙して数層重ね
て圧着乾燥して製造されている。ところで、紙や板紙は
、使用中に空気中の酸素の存在下で湿度、熱、光の影響
を受けて劣化する。したがって、新聞や雑誌、段ボール
などの故紙が長時間野積みになって再生される過程にお
いては，その品質劣化のばらつきが非常に大きなものに
なっている。故紙再生の際の上記の品質劣化のばらつき
を防ぐ方法としては、故紙の叩解、離解後にサイズ剤（
滲み止め）、定着剤（サイズ剤の定着）、充填剤（伸縮
防止、柔軟性）、紙力増強剤等の薬品を添加して強度な
どを補強する方法がとられている。

【０００３】これらの一般的な添加物としてはサイズ剤
がロジンサイズ、定着剤が硫酸バンド、充填剤が活性白
土、炭酸カルシウム、紙力増強剤がカチオン澱粉、メラ
ミン樹脂などである。これらの薬品を添加して抄紙され
たものは湿紙になり、ホットプレスロールでシート状に
なるが、現状では最大厚さが１ｍｍ程度が限界とされて
いる。このため紙の厚い板紙では、漉き網で絡みあわせ
たシートを幾層にも貼り合わせて製造されている。

【０００４】このように厚紙とするのには紙力増強剤が
多量に必要となり、紙力増強剤により故紙であってもコ
ストがアップする。故紙の再生抄紙については、故紙に
含まれる印刷インキなどの夾雑物を除去しないでフミン
酸塩を添加してそのままの再生抄紙する方法の開示があ
る（特開昭５８−３１１９７号公報）が、紙力増強剤に
関するものは見当たらない。

【０００５】最近、一部では発泡スチロール成形品にお
ける製品の保護機能、段ボールなどにおける保管機能、
使用後の無公害性、などの利点を備えた紙製の金型成形
品が開発実用化されている。そしてこの紙製の立体成形
品には、紙力を増強させるためにメラミン樹脂、フェノ
ール樹脂などの紙力増強剤の添加が不可欠なもので、こ
の薬品費用が大きなウェートを占めている。打ち抜き性
を保持させたハードボードなどでも多量の樹脂添加がお
こなわれるために添加する薬品費用が大きなウエートに
なりコスト高となっている。したがって、上記の樹脂類
に代わる安価なものがあればコスト低下ができるので好
ましい。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、故紙の再生
には、紙力増強剤の使用が必要不可欠で、これの使用が
コスト上昇の一因となっている。さらに、上記の紙力増
強剤は水溶性であるので紙に付着する歩留りが悪くコス
トが上昇する。そこで本発明は、上記の事情に鑑みてな
されたものでコストを低下させて安価な板紙とすること
を目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】紙力増強剤は、紙の繊維
同士を結合する作用をもち、接着剤のような高分子物が
使用されている。そこで本発明は、塗料廃棄物に注目し
て検討して完成したものである。すなわち、塗装工程の
スプレーブースなどから排出される塗料廃棄物は未硬化
の樹脂が含まれ、かつ疎水性であるので紙への付着歩留
りなどが好適に作用するためである。

【０００８】本発明の板紙は、故紙１００重量部と、一
部未硬化の樹脂を含む塗料廃棄物の微粉末を３５重量部
以下とを含む懸濁液から抄紙されホットプレスされてな
ることを特徴とする。故紙としては新聞紙、雑誌、上質
紙やコピー用紙などをシュレッダーで細切したシュレッ
ダー紙などの通常の故紙が使用できる。抄紙用のスラリ
ーは、この故紙を水中にて離解して分散させて約８重量
％程度の固形分を含むスラリー状にして使用する。

【０００９】塗料廃棄物は、一般に樹脂、顔料などの固
形成分と溶剤、水などの蒸発成分とからなり、それぞれ
の成分およびその混合割合は使用される塗料によって異
なるが、たとえば、自動車車体の塗装にあっては、通常
メラミン、アルキド、エポキシおよびアクリル系樹脂と
酸化チタン、カーボンブラック、ベンガラおよび炭酸カ
ルシウムなどの無機系の顔料あるいはフタロシアニン、
アゾ系などの有機顔料、さらにトルエン、キシレン、ア
ルコール、ケトンおよびセロソルブなどの溶剤を含んで
いる。廃棄物は上記の成分から溶剤類が除去されて固化
され微粒子化され、約１５０μｍ以下の粒子とされる。

【００１０】この際得られる塗料廃棄物の微粉末は、微
粉化処理が密封系でおこなわれるので残存する未硬化の
樹脂を含んでいる。未硬化の熱硬化性樹脂を含むかどう
かは、たとえば、微粉末を６０℃に加熱してプレスした
ときに溶着してフイルム状となるか否かで区別できる。 微粉末に未硬化の樹脂を含まない場合はプレスしてもフ
イルム状にならず粉末のままである。この未硬化の熱硬
化性樹脂が微粉末中に存在すれば、抄紙の際に紙力増強
剤として働くことができる。

【００１１】この塗料廃棄物の微粉末の量は、故紙１０
０重量部に対して３５重量部以下の量である。添加量が
３５重量部より多くなると板紙の強度が低下するので好
ましくない。さらにこのスラリー中には通常の添加物の
サイズ剤、定着剤、充填剤などを配合することもできる
。

【００１２】このスラリーから通常の方法で抄紙された
後、ホットプレスする。通常１５０℃の温度でおこない
、塗料廃棄物に含まれる未硬化の樹脂が硬化し抄紙体の
紙力増強剤として働く。その結果、この塗料廃棄物は安
価な増強剤となり板紙のコストを低下させることができ
る。また塗料廃棄物は非水溶性の粒状物であるため抄紙
の際紙繊維にからみやすくそのため歩留りが高く、板紙
の強度向上に有効に使用することができる。

【００１３】

【作用】この板紙は、紙力増強剤として塗料廃棄物の微
粉末が配合され含まれている未硬化の樹脂が抄紙後のホ
ットプレスにより硬化されて存在している。このため従
来の樹脂の紙力増強剤の使用量を低減することができ安
価とすることができる。また塗料廃棄物が疎水性である
ので紙へ付着する歩留りが高まり、さらに安価となる

【
００１４】

【実施例】以下、実施例により具体的に説明する。 （実施例１）上質紙、コピーペーパー等の用紙をシュレ
ッダー機で処理したシュレッダー紙を水中に投入して攪
拌して充分離解させ、固形分濃度８．７１重量％のスラ
リー液を得た。このスラリー液に表１に示す性状の塗料
廃棄物微粉末をスラリー中の固形分の全体量を１００重
量％にした場合、表２に示すような混合割合で投入して
スラリー量を調整した。このスラリー略５００ｇから２
００メッシュの金網で抄紙し、その後抄紙体を１１５℃
で乾燥し、金型温度１５０℃、プレス圧１８０ｋｇ／ｃ
ｍ２　保圧時間３分の条件でホットプレスして略一定の
厚みの板紙成形品を得た。

【００１５】室内で１日放置した後、この板紙成形品の
厚さと比引張り強さを測定した。結果を図１に示す。な
お、比引張強さは（オートグラフ測定値ｋｇ／ｃｍ２　
）／（坪量ｇ／ｃｍ２　）で表す。測定法はＪＩＳ−Ｐ
８１１３に基づいておこなった。図１に示すようにこの
板紙成形品の厚さは約２．６７ｍｍでほぼ一定であった
。比引張強さは、塗料廃棄物微粉末の混合割合が３５％
までは、添加しない場合

【００１６】

【表１】 に比べて紙力（引張強さ）が向上している。したがって
、この塗料廃棄物微粉末は、紙力増強剤の代替品として
有用であることを示している。

【００１７】

【表２】　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　単位
：重量部 （実施例２）上質紙、コピーペーパー、再生用紙などを
シュレッダーで細切にしたシュレッダー用紙を水中に投
じ、攪拌装置で叩解・離解させ固形分濃度８．４３重量
％のスラリー液を得た。このスラリー液の固形部１００
重量部に対して表１に示す性状の塗料廃棄物微粉末を表
３に示す混合割合で投入して抄紙用のスラリーを作製し
た。このスラリー約５００ｇを２００メッシュの金網で
抄紙し、その抄紙体を１１５℃で乾燥し、金型温度１５
０℃、プレス圧１８０ｋｇ／ｃｍ２　保圧時間３分の条
件でホットプレスして成形品を得た。室内で１週間放置
後この成形品の厚さと引っ張り強さを測定した。結果を
図２に示す。又、故紙１００部に対する紙中の塗料廃棄
物量及び付着量を表４に示す。

【００１８】表３に示すように塗料廃棄物微粉末の添加
量に応じて紙への付着量が増える。これは塗料廃棄物微
粉が非水溶性の粒状物であるので紙の繊維間に付着しや
すくなり、付着割合（付着した塗料廃棄物量（ｇ）／添
加した塗料廃棄物量（ｇ）×１００）が高まり歩留りが
向上する。したがって、塗料廃棄物の紙への配合割合を
適宜選択することにより付着量を調整して紙力を向上さ
せることができる。

【００１９】

【表３】 （比較例）付着の歩留りを比較するため従来のユリヤメ
ラミン系接着剤のエイボンドーＭＬー３５５５（群栄化
学（株）製）を実施例２と同様に添加して配合して、紙
の重量増加量／接着剤添加量×１００で付着割合を算出
した。結果を表４に示す。表４に示すごとく、接着剤の
添加量を増大させても水溶性のため付着量が増大せず、
付着割合はばらついている。このため付着の歩留りが悪
い。 （実施例３）固形分濃度略５％の段ボール故紙スラリー
を作製した。このスラリーに表１に示す塗料廃物の微粉
末をスラリー中の固形分１００重量％に対し重量３０％
混入させたもの、および未混入のものをそれぞれ充分攪
拌混合した後、１５０メッシュの金網で抄紙をおこない
ＪＩＳＰ８２０９に準して脱水プレスをおこなった。そ
の後、円筒ドライヤーの１２０℃で乾燥し手抄紙を得た
。

【００２０】

【表４】 　　両者の手抄紙をメラミン樹脂含浸液（スミレーズレ
ジン６１３、住友化学社製）の固形分濃度１４重量％の
水溶液に浸し、ドライヤーで予備乾燥後、１１０℃

【０
０２１】

【表５】 のアイロンで３分間乾燥させた。この乾燥紙の上下両面
に１００％段ボール故紙を原料とした手抄紙を当ててホ
ットプレス処理をした。ホットプレスの条件は、サンプ
ル寸法２００×２００ｍｍ、金型温度１７０℃、プレス
圧力５０ｋｇ／ｃｍ２　、保持時間４０分である。得ら
れた貼り合わせ板の比圧縮強さを測定して比較した。

【００２２】なお、比圧縮強さは（圧縮強度測定値）（
ｋｇ）／（坪量）（ｇ）×１００で表す。測定装置はリ
ングラッシュテスターを用いた。表５に示すように比圧
縮強さ、紙力指数は塗料廃棄物を混合しない場合より向
上しており樹脂の定着剤の役目を果たしている。

【００２３】

【発明の効果】この板紙は、添加剤として塗料廃棄物が
特定量配合されている。この塗料廃棄物微粉には未硬化
の樹脂が含まれているため、樹脂の添加剤と同様の働き
をし、板紙の強度を高めることができ、安価な添加剤と
して有効に使用することができる。

【００２４】また塗料廃棄物は疎水性であるのでスラリ
ー中で紙組織中への付着性が高く歩留りがよい。

【図面の簡単な説明】

【図１】　　実施例１の微粉混合割合と引張り強さおよ
び厚さとの関係を示す線グラフ。

【図２】　　実施例２の微粉混合割合と引張り強さおよ
び厚さとの関係を示す線グラフ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】　　故紙１００重量部と、一部未硬化の樹
   脂を含む塗料廃棄物の微粉末を３５重量部以下とを含む
   懸濁液から抄紙されホットプレスされてなることを特徴
   とする板紙。