JPH04250091A - インクジェット記録シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はインクジェットプリンタ
の記録シートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、カラープリンタの需要が広がって
きている。とりわけノンインパクト記録方式の一種であ
るインクジェット記録は、簡便な装置で比較的高速のカ
ラー記録が可能であることから高い評価を得ている。し
かしインクジェット記録に於て多色かつ高速高精細の画
像を得るためには、依然として克服されなければならな
い点が多い。

【０００３】インクジェット用紙は、セルロース繊維そ
のものか、繊維間又は填料と繊維によって形成される空
隙にインクを吸収させるプレーンタイプと、支持体であ
る紙表面を填料とバインダーで被覆する塗工層中の細か
い空隙にインクを吸収させるコートタイプに大別される
。コートタイプはインクドットの広がりが小さく形状も
円に近く解像力に優れるものの、インク吸収容量が小さ
く、インク吸収速度も遅いので、インク量の多い多色記
録に不適であり、コスト的にも高いという欠点がある。

【０００４】そこで最近、プリンタの高速化にともなっ
て、消耗品の経済性の点や、紙らしい風合いや手触り等
に優れるプレーンタイプの紙のニーズが富みに高まって
きている。

【０００５】プレーンタイプのインクジェット記録用紙
を得る方法としては次のような方法が知られている。

【０００６】一つの方法は、例えば特開昭５３−４９１
１３号公報、特開昭５８−８６８５号公報などで開示さ
れているような合成樹脂粉末や合成珪酸塩などの微粉末
を内添した無サイズ原紙の表面に水溶性高分子を塗布す
る技術である。このタイプの記録シートはいわばインク
受容層だけからなるものであり、インク吸収性を改善し
、高速印字に対応するようにしたものの、このシート上
にインク量の多い多色記録をすると、インクは紙の横方
向に広がりインクドットが滲んで大きくなるので解像力
が悪くなる。又厚さ方向にも深く浸透するため、記録シ
ート上層部による光の散乱によって記録濃度の低下を招
くとともに、裏抜け即ち印字部の透き通し（ショウスル
ー）やインクの滲み通し（ストライクスルー）が生ずる
ことが大きな問題である。ただし透き通し（ショウスル
ー）とは、記録紙の記録面に印字を施した後、記録紙を
裏面から見た場合印字部の輪郭が明瞭に観察されること
をさす、また滲み通し（ストライクスルー）は同じく印
字を施した後、印字されたインクが記録紙の裏面にピン
ホール状に抜けている状態をさす。

【０００７】プレーンタイプのインクジェット用紙とし
て知られている別の技術は、サイズ剤を内添あるいは表
面塗布して水性インクの紙中へのインク吸収性をコント
ロールする方法である。サイズ剤を内添する方法は例え
ば特開昭５６−１０９７８３号公報に、サイズ剤を表面
塗布する方法は特公昭６０−２７５８８号あるいは特公
昭６１−５０７９５号公報に、それぞれ開示されている
。一般的に用いられる内添あるいは表面塗布されるサイ
ズ剤としては、強化ロジンサイズ剤、石油樹脂系サイズ
剤、エマルジョン型ロジンサイズ剤、アルケニルコハク
酸型合成サイズ剤、アルキルケテンダイマー（ＡＫＤ）
、アルケニル無水コハク酸（ＡＳＡ）等の反応性サイズ
剤、ワックスエマルジョンサイズ剤や自己定着型カチオ
ン性ポリマーサイズ剤等がある。

【０００８】これらサイズ剤を用いる方法では、インク
の裏抜けを十分抑える程度にサイズ剤を添加あるいは塗
布すれば記録層表面でのインク吸収がうまく行われずイ
ンクのにじみやフェザーリング等が生じる。またサイズ
剤の量が少なければ多色記録の様なインク量が多い記録
ではインク吸収性は良好になるが、当然のことながら裏
抜けが悪くなる。又、サイズ剤が経時的にマイグレーシ
ョンしてインク吸収性が変化するという問題もある。

【０００９】更に他の技術としては、特開昭６３−１１
８２８７号公報でインクジェット記録用２層紙が提案さ
れている。この開示技術の基本的な考え方は、第１層を
パルプ繊維を中心とした支持体シートとして第２層に記
録濃度向上のための填料とパルプ繊維からなる層を設け
た無コーティング紙としたことにあるが、既に述べてい
るようにインク量の多い水性インクのカラー記録におい
ては処理の施されていない第１層へのインクの浸透は激
しく、インクジェット記録の重要な課題である、インク
の裏抜けについてはこの方法では改善されていない。

【００１０】特開昭６４−７８８７７号公報、特開平２
−２４３３８１号公報、特開平２−２４３３８２号公報
によって、インク吸収層とインク浸透防止層という目的
の異なる繊維性基材層を２層以上抄き合わせることによ
って裏抜けと印字特性を向上させる方法を開示している
。この方法は一般的な上質紙の製造方法としてはきわめ
て稀な手段であって、低坪量の情報用紙を製造する上で
は技術的困難性もあり、生産性を考慮した場合不利なも
のとなる。以上のように、印字特性及びインク吸収性を
満足させながら、ショウスルーやストライクスルーなど
の裏抜けが問題なく、かつインク吸収性の経時的変化が
ない記録シートを得ることは従来技術の範囲では困難で
あった。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、プレーンタ
イプあるいはプレーンタイプとみなされるインクジェッ
ト記録用紙であって、均質な画質で記録濃度が高く、多
色記録に適する十分なインク吸収性があり、かつ裏抜け
がきわめて少なく、インク吸収性の経時変化がほとんど
なく、更に生産性に優れたインクジェット記録用紙を提
供せんとするものである。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、インク滴
が繊維性基材の表面である記録面に到達した時、インク
の横への広がりや厚さ方向への深い浸透を抑えることが
できれば、インクが記録層の表面近くに留まるから印字
濃度が高くなるとともにインクの滲み通し（ストライク
スルー）が生ぜず、結果としてインクの透き通し（ショ
ウスルー）も抑えられたプレーンタイプあるいはプレー
ンタイプとみなされるインクジェット記録シートが得ら
れると考えた。

【００１３】このような条件を満足させる手段として、
まずサイズ剤を用いてインクの吸収性や裏抜け性をコン
トロールすることを検討した。インクジェット記録用紙
では、染料の発色がよく、記録画像の色調の変化が少な
いという点からサイズ剤としてはアルキルケテンダイマ
ー（ＡＫＤ）、アルケニル無水コハク酸（ＡＳＡ）サイ
ズ剤、ノニオン性ないしはカチオン性のワックスエマル
ジョンサイズ剤等の中性サイズ剤が適していることが知
られている。そこでこれら中性サイズ剤について検討し
たところ、これら中性サイズ剤を中性原紙に内添あるい
は記録面に適当量塗布すれば、確かにインクの横方向や
深さ方向の過度な広がりや浸透が抑えられ、大部分のイ
ンクが記録面に留まる結果、印字濃度が高く裏抜けが少
なく生産性にも優れたプレーンタイプのインクジェット
記録シートとすることができた。しかし一方でＡＫＤは
抄紙時におけるサイズ効果の立ち上がりが悪く、サイズ
のコントロールが難しく、またサイズ剤のマイグレーシ
ョンによるサイズ効果の経時変化がみられるなどの欠点
が見いだされた。ＡＳＡはサイズの立ち上がりは良好で
あるがやはりマイグレーションしやすいという問題が見
いだされた。ワックスエマルジョンサイズ剤もＡＫＤと
同じくマイグレーションの影響が見られるといった問題
点があり、これは内添しても表面塗布しても同様であっ
た。インクジェット記録シートは、インクを紙に付着さ
せることによって情報をその他を伝達するため、ある程
度保存されたものであってもその記録層表面のインクの
吸収性の状態を常に一定に保つ必要があるから、このよ
うなサイズ剤のマイグレーションがあるとインク吸収性
の経時的変化がないインクジェット記録シートを得るこ
とはできない。

【００１４】また本発明者らは、先に特願昭６２−２３
６６９２号公報において、光学的な裏抜けは、記録シー
トがある一定の厚みでＪＩＳ　Ｐ８１３８　で測定した
不透明度が７５％以上であることが望ましく、７５％以
上であるとインクがある程度記録層に深く浸透してもイ
ンクが裏面から視認できる透き通しが（ショースルー）
が少なくなることを見いだしたが、多色記録のようなイ
ンク量の多い記録法においては裏抜けを十分小さくする
ほどサイズ剤を使用すると、インク吸収性が不十分にな
るという問題点も生ずることが見いだされた。

【００１５】そこで本発明者等は、前述の問題点を解決
すべく更に鋭意検討を重ねた結果、繊維性基材中にカチ
オン性ポリマーサイズ剤（ａ）を含有させ、その記録面
となる反対面（繊維性基材の裏面）に、少なくとも顔料
、バインダーと２種以上のサイズ剤からなる塗布層を設
け、該サイズ剤の一方のサイズ剤（ｂ１）がアルキルケ
テンダイマー（ＡＫＤ）、アルケニル無水コハク酸（Ａ
ＳＡ）、ワックスエマルジョンサイズ剤のいづれか一つ
以上からなり、他方のサイズ剤（ｂ２）としてカチオン
性ポリマーサイズ剤を使用して作成したシートをインク
ジェット記録シートとすることによって前述の目的を達
成し本発明を完成した。

【００１６】本発明の繊維性基材は主として木材パルプ
、綿パルプ及び故紙からの再生パルプ等のパルプで構成
され、必要に応じてガラス繊維などの無機繊維、合成繊
維、合成パルプ等を併用してもよい。

【００１７】この繊維性基材には、カチオン性ポリマー
サイズ剤（ａ）の他に、必要に応じて填料あるいは歩留
まり向上剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、分散剤、インク
染料に対する耐水化剤、その他様々な添加剤を加えるこ
ともある。

【００１８】本発明の繊維性基材に内添するサイズ剤は
、カチオン性ポリマーサイズ剤（ａ）である。通常パル
プを主とする繊維性基材に内添するサイズ剤としては、
カチオン性ポリマーサイズ剤の他に、強化ロジンサイズ
剤、石油樹脂系サイズ剤、エマルジョン型ロジンサイズ
剤、アルケニルコハク酸型合成サイズ剤、ワックスエマ
ルジョンサイズ剤、アルキルケテンダイマー（ＡＫＤ）
、アルケニル無水コハク酸（ＡＳＡ）等の反応性サイズ
剤等が知られているが、カチオン性ポリマーサイズ剤以
外のこれら公知のサイズ剤では、インクの吸収性のコン
トーロル、インクの定着性、インク吸収性の経時安定性
などが不十分であった。本発明のサイズ剤（ａ）の添加
量は、対パルプ０．１〜１重量％の範囲が好ましく、多
すぎるとインク吸収性が悪くなり、少なすぎると裏塗り
の際にその塗料が浸透し過ぎてしまったりして、記録層
シートのインク吸収性や耐裏抜け性をコントロールする
のが困難になる。カチオン性ポリマーサイズ剤（ａ）と
しては、以下のようなものを挙げることができる。

【００１９】

【化１】

【００２０】

【化２】

【００２１】

【化３】

【００２２】

【化４】

【００２３】Ｒ、Ｒ’及びＲ’’は相異なる置換基を有
することもあるアルキル基である。

【００２４】繊維性基材に内添可能な填料は、炭酸カル
シウム、クレイ、カオリン、酸性白土、タルク、合成シ
リカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、ケイ
酸カルシウム、合成ケイ酸塩、酸化チタン、珪藻土、硫
酸バリウム、サチンホワイト、炭酸マグネシウム、有機
樹脂顔料等があるが、インク吸収能力が大きく光の散乱
反射が小さくなるように考慮すべきである。繊維性基材
の記録濃度を向上する意味では、必ずしも填料を使用す
る必要はないが、インク吸収性を更に高め、インクドッ
トの形状や広がりを制御して、高濃度高解像度の鮮明な
画像を得るには中程度以下に粉砕された重質炭酸カルシ
ウムなどの填料を使用した方が好ましい。　　また、繊
維性基材には、填料以外に記録シートの印字品質向上、
操業性向上、歩留まり向上、印字画像の耐水性等様々な
特性を付与することを目的として各種の添加剤がパルプ
に加えられる。添加剤としては澱粉、カチオン変性澱粉
、ポリビニールアルコール、ヒドロキシエチルセルロー
スやカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体
、ポリアクリルアミド類、ポリアミドエピクロルヒドリ
ン樹脂、ポリビニールピリジン、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリビニールピロリドン、カゼイン、ゼラチン、ア
ルギン酸ソーダ、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、ポリ
アクリル酸ソーダ、澱粉−アクリロニトリルグラフトポ
リマー加水分解物、スルホン化キチン、カルボキシル化
キチン及びキトサンとそれらの誘導体、更にポリエチレ
ンイミン、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロライ
ド、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモ
ニウム縮合物、ポリビニールピリジウムハライド、（メ
タ）アクリル酸アルキル４級アンモニウム塩、（メタ）
アクリルアミドアルキル４級アンモニウム塩、等を挙げ
ることができる。これら添加剤は、例えばカチオン性ポ
リマーはインク染料と反応して画像耐水化剤として、ポ
リアクリルアミド類、カチオン化澱粉は歩留まり向上剤
として、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂は湿潤紙力
増強剤あるいはインクの吸収ジワ防止等の、効果が期待
されて使用される。

【００２５】インクジェット多色記録方法においては多
量のインクを記録シートに吸収させることによって吸収
ジワ（コックリング）の問題が発生するが、その防止方
法としては前述のような添加剤を加える他に、例えば抄
紙時にヤンキードライヤーを用いて緊張乾燥を施してあ
らかじめ湿潤伸びを抑えるように抄紙された繊維性基材
を用いれば吸収ジワを十分に抑えることが可能である。 このことから本発明の繊維性基材は浸水３００秒後の湿
潤伸び（Ｊ．ＴＡＰＰＩ　２７−７８　紙及び板紙の浸
水度試験法による）が３．０％以下であることが望まし
く、より好ましくは２．０％以下である。

【００２６】一方、記録面の反対面に設ける裏塗工層は
主として裏抜けを改善する。その材料構成は、顔料、バ
インダー、サイズ剤（ｂ１）及び（ｂ２）からなり、更
に他に様々な目的で各種の添加剤を本発明の目的の範囲
内で加えることが出来る。

【００２７】本発明では裏塗工の塗料に含有するサイズ
剤として、２種類以上をすなわちサイズ剤（ｂ１）とサ
イズ剤（ｂ２）を混合して塗布することにより裏面への
インクの裏抜け性とインク吸収性をコントロールするこ
とを提案している。サイズ剤（ｂ１）としては、ＡＫＤ
、ＡＳＡ、ワックスエマルジョンサイズ剤などの中性サ
イズ剤が好ましい。これらのサイズ剤（ｂ１）の特徴は
、耐水性に優れているためインク浸透防止には極めて効
果がありインクの滲み通しを十分に抑えることが出来る
。しかし、これらのサイズ剤（ｂ１）グループだけを単
独もしくは数種類併用して塗布すれば、成紙の段階では
裏抜けは十分抑えられているが、先に述べたように加熱
又は経時により繊維基材層にマイグレーションするため
に繊維基材層でのインク吸収性を経時的に阻害すること
になる。

【００２８】他方のサイズ剤（ｂ２）は、カチオン性ポ
リマーサイズ剤である。このサイズ剤（ｂ２）は、繊維
性基材に内添するカチオン性ポリマーサイズ剤（ａ）と
同じ範疇のものであり、実際の使用に当たっては、繊維
性基材に使用するものと同じ化合物でも異なる化合物で
もどちらでもよい。

【００２９】このグループのサイズ剤（ｂ２）は、添加
量を増やしていけばインクの裏抜けを全体的に抑えるこ
とができるが、単独で用いた場合は、裏抜けの一つの現
象であるショウスルーはある程度抑えられるがインクの
ピンホール的な抜け（ストライクスルー）を抑えること
ができない。

【００３０】本発明の特徴の一つは、サイズ剤（ｂ１）
とサイズ剤（ｂ２）を同時に使用することことであり、
それにより双方のサイズ剤をそれぞれ単独で使用したと
きに生ずる欠点をうまく相殺して有利な点を利用するこ
とができることを見いだしたことにある。サイズ剤（ｂ
１）、（ｂ２）のサイズ剤成分としての裏塗工層塗料中
での割合は、塗布量にもよるが塗料全体の５〜４０固形
分重量％が適当であり、１０〜３０重量％が好ましい範
囲である。またサイズ剤（ｂ１）と（ｂ２）の混合比率
は１／１０〜１０／１０の範囲にあるのが好ましい、よ
り好ましくは２／１０／〜７／１０である。

【００３１】本発明の裏塗工層の顔料としては、炭酸カ
ルシウム、クレイ、カオリン、酸性白土、タルク、合成
シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化亜鉛、ケ
イ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、酸化チタン、珪藻土、
硫酸バリウム、サチンホワイト、炭酸マグネシウム、有
機樹脂顔料等などがある。これらの顔料は、インクの裏
抜けに対する隠蔽性を一層向上させる、また記録シート
としてのプリンタにおける通紙特性等も考慮した場合、
酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、酸化
チタン処理シリカ等を単独もしくは混合して用いるのが
最も好ましい。又、バインダーとしては、澱粉やポリビ
ニールアルコールなどの水溶性樹脂、ＳＢＲラテックス
、エチレン酢ビラテックス、アクリルラテックス等の成
膜性の高い樹脂エマルジョンなどがある。その他塗料に
加えられる添加剤としては、分散剤、粘度調節剤、滑剤
、レベリング剤、消泡剤などがある。

【００３２】本発明者等は、記録シートが多色記録にお
ける十分なインク吸収速度とインク吸収容量を有してい
るかどうかを見きわめる方法を検討した結果、Ｊ．ＴＡ
ＰＰＩ５１−８７による液体転移装置ブリストー法によ
り記録紙と液体（インク）の短時間接触すなわち液体の
０．０５秒時におけるシートへの転移量が、実際のイン
ク吸収速度と吸収量のよい指標となることを見いだした
。この測定において液体としては、 Ｃ．Ｉ．フードブラック２　　　　４部◎ジエチレング
ライコール　　　　１５部◎ポリエチレングライコール
　　１５部◎ジエチレングライコール　　　　１５部◎
水　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
６６部◎からなるインクジェット用ブラックインクを用
いた。この組成のインクは、標準的で経時変化がなく実
験の再現性がよい。短時間接触時の転移量を測定するこ
とにより、記録シートのインク吸収速度と吸収容量等の
インク吸収能力を判定することができる。ブリストー転
移量が１０ｍｌ／ｍ２　以下であればやはりインク吸収
性、吸収速度に劣り、例えばプリンタの種類等により、
インク量が多く記録層でインクが収容しきれないプリン
タなどの場合、インクの流れだしが起こることがあるの
で好ましくない。また７０ｍｌ／ｍ２　以上であればイ
ンクが記録層深く浸透して裏抜けが目だって来るととも
に、表面層付近に残留するインクが減少する結果、記録
濃度が低下して画像の鮮明度が低下するのでやはり好ま
しくない。 裏塗工層の塗料は、塗布に際し繊維層基材に深く浸透し
過ぎてインクジェット記録時に記録層側からのインクの
吸収を阻害しないように塗料の粘度を、５〜２０００Ｃ
．Ｐ．Ｓ．程度とすることが好ましい。また結果として
繊維基材層表面のブリストー転移量が１０ー７０ｍｌ／
ｍ２の範囲にあるように、本発明の材料その他を用いて
配合や塗布量を考慮すべきである。塗布量はインクの裏
抜けや隠蔽性を向上するため、少なくとも２〜２０ｇ／
ｍ２　程度塗布することが望ましく、より好ましくは３
〜１５ｇ／ｍ２　塗布することがよい。

【００３３】本発明のインクジェット記録シートとして
、更に一層鮮明な高濃度記録画像を得るために、本発明
の繊維基材層の裏塗工を行った反対面すなわち記録層表
面に微細な填料とバインダーその他からなる塗料を、１
〜９ｇ／ｍ２　塗布又は含浸した微塗工層を設けること
ができる。このような填料としては多孔性の填料例えば
合成シリカ、珪酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アル
ミニウム、珪酸塩などが好ましく、それらの平均粒子径
としては２０〜０．１μｍのものが好ましい。

【００３４】本発明の裏塗工層塗料あるいは上述の記録
層塗料をを塗布する方法は、特に限定する必要はなく、
従来から用いられているサイズプレス、ロールコーター
、エアーナイフコーター、ブレードコーター、バーコー
ター、カーテンコーター、スプレー法等が挙げられる。

【００３５】

【作用】本発明は、カチオン性ポリマーサイズ剤（ａ）
を含有する繊維性基材の裏面に少なくとも顔料、バイン
ダーと２種以上のサイズ剤（ｂ１）及び（ｂ２））から
なる塗布層を設けてなるもので、該サイズ剤のサイズ剤
（ｂ１）がＡＫＤ、ＡＳＡ、ワックスエマルジョンサイ
ズ剤のいづれか一つ以上からなり、他方のサイズ剤（ｂ
２）がカチオン性ポリマーサイズ剤であることを特徴と
することにより、多色のインクジェット記録特性に優れ
、インクの裏抜けを十分に押え、かつインク吸収性に経
時変化のない優れた生産性のよい記録シートが得られた
。その理由は十分明かではないがおおよそつぎのような
ことであろう。

【００３６】本発明では繊維性基材に内添されたサイズ
剤によってインク吸収性をコントロールし、インクの裏
抜けを顔料及び２種類以上のサイズ剤を混合含有する裏
塗工層によって抑えている。インクジェットの多色記録
では２色あるいは３色の重ね合わせがあるために、打ち
込まれるインク量が多量になるから、微量のサイズ剤添
加量で、これらのインク吸収性をコントロールしなけれ
ばならない。それゆえ、インク吸収性のばらつきがあっ
たり経時変化があっては、インクジェット記録として多
色で常に均一な画質を得ることは困難である。本発明で
は、裏塗工層として光学的な裏抜けは主として顔料によ
って押え、インクの耐ストライクスルー性のあるサイズ
剤（ｂ１）とインク吸収性はコントロールできるがイン
クのピンホール的な抜けが生じ易いサイズ剤（ｂ２）を
併用することにより、従来技術では得られなかった総合
的な耐裏抜け性を確保することができた。発明の詳細な
説明でものべたようにサイズ剤（ｂ１）を単独で使用す
れば、たとえ繊維基材にサイズ剤が内添されていても、
裏塗工層から基材へのマイグレーションが生じるが、ま
たサイズ剤（ｂ２）だけでは裏抜けを十分に抑えられな
い。両グループのサイズ剤をある一定の割合で混合して
用いることにより、裏塗工時に浸透性の強いサイズ剤（
ｂ２）が繊維性基材の表面に先行し定着することにより
、サイズ剤（ｂ１）の繊維基材層への塗工乾燥時および
経時のマイグレーションが抑えられていると思われる。

【００３７】以上のべた理由などから、印字濃度が高く
、インク吸収性に優れ、インク吸収性に経時変化がなく
、インクの裏抜けも十分に抑えることができ、また通常
の塗工設備で裏面に微塗工するだけであるから生産性が
よく、かつ見かけ上プレーンタイプとみなされる本発明
のインクジェット記録シートが得ることができる。

【００３８】

【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。尚、以下の実施例において部及び％は断わらない
限り固形分重量部及び固形分重量％を示す。

【００３９】［実施例１］◎繊維性基材の原料パルプと
してフリーネス（Ｃ．Ｓ．Ｆ　）４００ｍｌのＬＢＫＰ
１００部を使用し、これに填料としてカルサイト系重質
炭酸カルシウム（不定形、５０％平均粒径４．６μｍ、
ＢＥＴ比表面積３．４ｍ２　／ｇ）１０部、サイズ剤（
ａ）のポリスチレンアクリル酸エステル４級アンモニウ
ム塩サイズ剤（Ｊ）０．５部、湿潤紙力増強剤ポリアミ
ドエピクロルヒドリン樹脂０．３部、歩留まり向上剤（
ポリアクリルアミドカチオン変性物、濃度０．５％で５
９０Ｃ．Ｐ．Ｓ．）０．（東西精器（株）　を用いて手
抄き、脱水、脱水後得られたシートを乾燥による収縮を
抑えるように引っ張りながら緊張乾燥して坪量７０ｇ／
ｍ２　の繊維性基材シートを得た。なおこの繊維性基材
シートの浸水３００秒後の湿潤伸びをＪ．ＴＡＰＰＩ　
２７−７８　紙及び板紙の浸水度試験法により測定した
ところ１．７％であった。

【００４０】次に、裏塗工層の塗料として、分散剤を含
んだ酸化チタン（アナターゼ型、比重３．９、５０％平
均粒子径０．３μｍ）３０部、カオリン５０部、カルサ
イト系軽質炭酸カルシウム２０部に分散剤を加えて撹拌
混合して填料スラリーを調製した後、ＳＢＲラテックス
１５部、酸化澱粉１５部、サイズ剤（ｂ１）としてアル
キルケテンダイマー（カチオン性、ＰＨ３．０、粘度３
０Ｃ．Ｐ．Ｓ．）サイズ剤（Ｋ）８部、サイズ剤（ｂ２
）としてポリスチレンアクリル酸エステル４級アンモニ
ウム塩サイズ剤（Ｊ）２０部をそれぞれ添加し、水を加
えて２５％固形分濃度の塗料を調製した。この塗料をメ
イヤーバーにより前述の繊維基材層の裏面に固形分８ｇ
／ｍ２　を塗布して乾燥して裏塗工シートを得た、更に
該シートにカレンダー処理を施し実施例１のインクジェ
ット記録シートを得た。

【００４１】［実施例２〜３］◎実施例１のサイズ剤（
ｂ１）として、カチオン化澱粉にアルケニル無水コハク
酸系サイズ剤（Ｌ）（カチオン性、粘度２００Ｃ．Ｐ．
Ｓ．）を２：１の割合で加えて強撹拌乳化させて固形分
１０％液を用意し、サイズ剤（Ｌ）として５部用いた、
また同じくサイズ剤（ｂ１）としてノニオン界面活性剤
でエマルジョン化したワックスエマルジョンサイズ剤（
Ｍ）（ＰＨ８．５〜９．５、粘度１００〜３００Ｃ．Ｐ
．Ｓ．）５重量部をそれぞれ用いた以外は、実施例１と
同様にして実施例２及び３のインクジェット記録シート
を得た。

【００４２】［比較例１〜２］◎実施例１の裏塗工塗料
のサイズ剤として、アルキルケテンダイマー（カチオン
性、ＰＨ３．０、粘度３０Ｃ．Ｐ．Ｓ．）サイズ剤（Ｋ
）２８部を単独で、またポリスチレンアクリル酸エステ
ル４級アンモニウム塩サイズ剤（Ｊ）２８部を単独で加
えた以外は、実施例１と同様にしてそれぞれ比較例１、
２のインクジェット記録シートを得た。

【００４３】［比較例３〜６］◎実施例１の繊維性基材
のサイズ剤（ａ）のポリスチレンアクリル酸エステル４
級アンモニウム塩サイズ剤（Ｊ）０．５部に代えて、ア
ルキルケテンダイマーサイズ剤（Ｋ）（カチオン性、Ｐ
Ｈ３．０、粘度３０Ｃ．Ｐ．Ｓ．）０．５部を添加した
以外は、実施例１と同様にして比較例３のインクジェッ
ト記録シートを得た。

【００４４】また、実施例１の繊維性基材のサイズ剤（
ａ）のポリスチレンアクリル酸エステル４級アンモニウ
ム塩サイズ剤（Ｊ）０．５部に代えて、同サイズ剤を０
．１部、０．５部、２．５部と添加して３種類の繊維基
材シートを得た。これらのシートは裏塗工はせずに、実
施例１と同様のカレンダー処理を施し、それぞれ比較例
４〜６のインクジェット記録シートを得た。

【００４５】［実施例４］◎実施例１と同様に作成した
繊維性基材シートの記録面となる反対面（裏面）に裏塗
工層塗料として、カオリン５０部、酸化チタン−シリカ
複合化合物（吸油量２２０ｍｇ／１００ｇ、ＢＥＴ比表
面積２９１ｍ２　／ｇ、平均粒径４．７μｍ、ＴｉＯ２
／ＳｉＯ２　比＝１６／１００）５０部に分散剤と水を
加えて撹拌混合して填料スラリーを調製した後、ポリビ
ニルアルコール１５部、酸化澱粉１５部、サイズ剤（ｂ
１）としてアルキルケテンダイマー（カチオン性、ＰＨ
３．０、粘度３０Ｃ．Ｐ．Ｓ．）（Ｋ）１０部、サイズ
剤（ｂ２）としてポリスチレンアクリル酸エステル４級
アンモニウム塩サイズ剤（Ｊ）１４．３部をそれぞれ添
加し、水を加えて２５％固形分濃度の塗料を調製した。 この塗料をメイヤーバーにより繊維基材層の裏面に固形
分５ｇ／ｍ２　を塗布して乾燥して裏塗工シートを得た
、更に該シートにカレンダー処理を施し、実施例４のイ
ンクジェット記録シートを得た。

【００４６】［実施例５］◎記録層の印字特性を改善す
る目的で次のような記録シートを得た。湿式沈降法によ
る微粉末状シリカ（５０％平均粒子径２．７μｍ，ＢＥ
Ｔ比表面積２７０ｍ２　／ｇ）１００部を水に分散し分
散液とし、更にポリビニルアルコール（鹸化度約９９％
、平均重合度１７００）２０部、ポリジメチルジアリル
４級アンモニウム塩（平均分子量１２００００）５部、
水をそれぞれ加えて固形分濃度１６％の塗料を作成した
。 この塗料をメイヤーバーを用いて実施例１で得た記録シ
ートの記録面（表面）に、８ｇ／ｍ２　塗布、乾燥して
両面塗工シートを得た。このシートに実施例１と同様の
カレンダー処理を施し、実施例５のインクジェット記録
シートとした。

【００４７】このようにして得た実施例及び比較例のイ
ンクジェット用記録シートの特性を下記の方法で試験し
評価した。評価結果を表−１に示した。

【００４８】（１）　記録濃度◎キャノンカラープリン
タＢＪＣ４３０を使用して４色（ブラック、シアン、マ
ゼンタ、イエロー）のベタ記録（大きさ１．５　ｃｍ×
２　ｃｍ）を行ない、記録部分をマクベス濃度計（Ｋｏ
ｌｌｍｏｒｇｅｎ　Ｃｏｒｐｏｒａｔｉｏｎ製、Ｍｃｂ
ｅｔｈ　ＲＤ９１５）にて記録濃度を測定した。表には
４色の測定値の合計を示し、３．３以上を良とした。

【００４９】（２）　裏抜け◎同上のプリンタの３色（
シアン、マゼンタ、イエロー）の重ねベタ記録を行いそ
の記録部分の裏側について、裏抜けの状態をストライク
スルーとショウスルーに分けて目視により評価を行なっ
た。

【００５０】評価Ａ−インクの浸み通しは全くなく、透
き通しもほとんど無い。

【００５１】評価Ｂ−インクの浸み通しは全くなく、透
き通しがややみられる。

【００５２】評価Ｃ−インクの浸み通しはほとんど無い
が、透き通しが激しい。または、インクの浸み通しが激
しいが、透き通しがほとんど無い。

【００５３】評価Ｄ−インクの浸み通しがみられ、透き
通しも激しい。

【００５４】（３）　ブリストー転移量（インク吸収性
）◎Ｊ．ＴＡＰＰＩ　５１−８７　紙及び板紙の液体吸
収性試験方法（ブリストー法）により、各記録シートの
記録面の吸収時間０．０５秒時の液体の転移量を、前述
のインクを用いて測定する。

【００５５】（４）　にじみ◎上記プリンタを用いて３
原色（シアン、マゼンタ、イエローの各インク）の重ね
色でつくる赤、緑、紫をそれぞれ交互にベタ記録（大き
さ１．５　ｃｍ×２　ｃｍ）を連続して記録し、隣接す
るインクが相互もしくは片方に流れだしを生じた度合を
評価した。

【００５６】評価Ａ−インクのにじみや流れだしは全く
無い。

【００５７】評価Ｂ−インクのにじみや流れだしは少な
い。

【００５８】評価Ｃ−インクのにじみや流れだしがおお
いにみられる。

【００５９】（５）　経時変化◎更に実施例１〜５、比
較例１〜６について、インク吸収性とにじみの経時変化
を調べた。これらの経時変化は、得られた記録シートを
通常の室内温湿度条件で２週間放置した後に、先のブリ
ストー転移量およびにじみの測定法にしたがって測定し
た。

【００６０】

【表１】

【００６１】表−１の実施例１〜３、比較例１〜６の結
果から、繊維性基材の内添サイズ剤としてカチオン性ポ
リマーサイズ剤を用い、かつ裏塗工にサイズ剤（ｂ１）
と（ｂ２）を一定の割合で併用することにより耐裏抜け
性に優れ、かつインク吸収性に経時変化のないインクジ
ェット記録シートが得られることを示している。また、
表には示していないが、各実施例についてはコックリン
グ（インク吸収ジワ）は少なくいづれも良好な結果であ
った。

【００６２】また、同じく表−１の実施例１、４と比較
例１を比較した場合、比較例１のブリストー転移量の経
時変化が大きいことが示されており、裏塗工塗料におけ
るサイズ剤（ｂ１）の相対的な量を増やしていくことに
よりインク吸収性が悪化することが示された。また実施
例５では、実施例１に対し微粉末塗料を微塗工すれば印
字濃度が飛躍的に改良されることが示されている。

【００６３】

【発明の効果】以上の説明から明らかなように、カチオ
ン性ポリマーサイズ剤（ａ）を含有する繊維性基材の裏
面に少なくとも顔料、バインダーと２種以上のサイズ剤
からなる塗布層を設けてなるもので、該サイズ剤の一方
のサイズ剤（ｂ１）がアルキルケテンダイマー、アルケ
ニル無水コハク酸、ワックスエマルジョンサイズ剤のい
づれか一つ以上からなり、他方のサイズ剤（ｂ２）がカ
チオン性ポリマーサイズ剤であるものを用いることによ
り、インクジェット記録用紙として、均質な画質で記録
濃度が高く、多色記録に適する十分なインク吸収性があ
り、裏抜けがきわめて少なく、インク吸収性において経
時変化がほとんどなく、かつ生産性に優れたプレーンタ
イプあるいはプレーンタイプとみなされるインクジェッ
ト記録用紙が得ることができた。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】カチオン性ポリマーサイズ剤（ａ）を含有
   する繊維性基材の記録面の反対面（裏面）に少なくとも
   顔料、バインダー及び２種以上のサイズ剤からなる裏塗
   工層を設けて、該サイズ剤の一方のサイズ剤（ｂ１）が
   アルキルケテンダイマー、アルケニル無水コハク酸、ワ
   ックスエマルジョンサイズ剤のいづれか一つ以上からな
   り、他方のサイズ剤（ｂ２）がカチオン性ポリマーサイ
   ズ剤であることを特徴とするインクジェット記録シート
   。
2. 【請求項２】請求項１記載の記録シートの記録面の、Ｊ
   ．ＴＡＰＰＩ　５１−８７　紙及び板紙の液体吸収性試
   験方法（ブリストー法）による０．０５秒時のブリスト
   ー転移量が、１０ー７０ｍｌ／ｍ２　であることを特徴
   とする請求項１記載のインクジェット記録シート。
3. 【請求項３】請求項１記載の繊維性基材の記録面面（表
   面）に少なくとも水性高分子あるいは水性高分子と平均
   粒子径が２０〜０．１μｍの範囲にある填料を含む塗料
   を、１〜９ｇ／ｍ２　塗布又は含浸した微塗工層を設け
   たことを特徴とする請求項１あるいは２記載のインクジ
   ェット記録シート。
4. 【請求項４】請求項１記載の繊維性基材の、Ｊ．ＴＡＰ
   ＰＩ　２７−７８　紙及び板紙の浸水度試験法による浸
   水３００秒後の湿潤伸びが、２．０％以下であることを
   特徴とする請求項１〜３記載のインクジェット記録シー
   ト。
5. 【請求項５】水溶性有機溶剤を１０〜５０％含有するイ
   ンクジェットインクを用いて、請求項１〜４記載のイン
   クジェット記録シートに記録することを特徴とするイン
   クジェット記録方法。