JPH0424977B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

発明の利用分野： 本発明は、反すう動物用飼料添加組成物に係
り、さらに詳しくは、生物学的活性物質を反すう
動物に経口投与した場合、生物学的活性物質が、
その第１胃の内容物の作用により分解し、失活す
るのを防止し、第４胃以降の消化器管内で高効率
で消化吸収されるべく、生物学的活性物質を保護
物質で保護した反すう動物用飼料添加組成物に関
する。 従来技術： 反すう動物に、生物学的活性物質たとえばメチ
オニン、リシン等のアミノ酸類などを、直接経口
投与した場合、反すう動物の第１胃内に多数存在
する微生物により分解され、本来の活性が失わ
れ、有効に吸収されないことが知られており、生
物学的活性物質を、第１胃内の微生物から保護す
べく、保護物質で包囲し、第４胃以降の消化器管
内で、保護物質を分解し、生物学的活性物質を消
化吸収すべく工夫した反すう動物用飼料添加組成
物が種々提案されている。たとえば、特公昭48−
12785号公報には、生物学的活性物質をトリグリ
セライド、トリグリセライドを水素化した動物性
または植物性の脂肪、糖ワツクス等の保護物質で
包囲し、粒状化した組成物が、また、特公昭48−
1057号公報には、生物学的活性物質を、炭素原子
数が少なくとも14である直鎖または分枝状の置換
または非置換の飽和脂肪酸モノカルボン酸もしく
はその塩、あるいは、該飽和脂肪酸モノカルボン
酸もしくはその塩と、炭素原子数が少なくとも14
である直鎖または分枝状の置換または非置換の不
飽和脂肪酸モノカルボン酸もしくはその塩との混
合物で被覆した組成物が開示されている。しかし
ながら、これらの組成物は、保護物質が、飽和度
の高いものであるか、または、高融点のものであ
る場合には、物理的および化学的に極めて安定で
あり、生物学的活性物質を第１胃の内容物から保
護する性能は優れるものの、第４胃以降の十二指
腸、小腸等の消化器管内において、胆汁、すい液
等の消化酵素の力を借りても、保護分質が分解さ
れにくく、生物学的活性物質は、消化吸収されな
いまま排出される欠陥があり、また、保護物質が
低飽和度のものであるか、または低融点のもので
ある場合には、物理的に不安定であり、第１胃内
に滞留中に物理的作用により保護物質が摩耗崩壊
する欠点を有している。 特開昭56−154956号には、炭素原子数14〜22の
脂肪族モノカルボン酸またはリシノール酸、もし
くは硬化した植物性または動物性の脂肪と、炭素
原子数14〜22の脂肪族モノカルボン酸またはリシ
ノール酸のナトリウム、カリウム、またはカルシ
ウム塩等との混合物を保護物質とする組成物が提
案されている。該組成物は、第４胃以降の消化器
管内での酵素の作用を借りずに、第１胃の胃液
と、第４胃の胃液のPHの差を利用して保護物質の
崩壊および分解を期待するものであるが、該組成
物においても第１胃内での保護物質の摩耗崩壊が
大きく、生物学的活性物質の失活が起り、第４胃
以降での消化吸収が不充分となる。 発明の解決しようとする問題点： 本発明は、反すう動物の第１胃内において摩耗
崩壊されにくく、かつ、第４胃以降において容易
に崩壊し分解する保護物質で生物学的活性物質を
保護してなる、生物学的活性物質を反すう動物に
経口投与して第４胃以降の消化器管において有効
に消化吸収させるべくした反すう動物用飼料添加
組成物を提供することを、その目的とする。 問題点を解決する手段： 本発明は生物学的活性物質を、炭素原子数14〜
22の直鎖または分枝状の飽和または不飽和のモノ
カルボン酸、硬化した植物性脂肪および硬化した
動物性脂肪よりなる群から選ばれる１種または２
種以上を主成分とする保護物質で包囲してなる粒
状物を、さらに前記保護物質により被覆してなる
ことを特徴とする反すう動物用飼料添加組成物で
ある。 本発明において、生物学的活性物質は、家畜類
に経口投与することにより、体重増加、排卵量増
加、乳量増加、疾病の予防、治癒等の生物学的な
活性を示す物質であり、特に反すう動物用とし
て、その第１胃中において分解され失活し易い物
質が用いられる。具体的には、メチオニン、リシ
ン等のアミノ酸類、Ｎ−アシルアミノ酸、Ｎ−ヒ
ドロキシムチルメチオニン・カルシウム塩、リシ
ン塩酸塩等のアミノ酸誘導体類、２−ヒドロキシ
−４−メチルメルカプト酪酸およびその塩等のア
ミノ酸のビドロキシ同族化合物類、羽毛粉末、魚
粉、カゼイン、馬鈴しよ蛋白等の蛋白質類、ビタ
ミンＡ、ビタミンＡ−酢酸塩、ビタミンＡ−パル
ミチン酸塩、ビタミンD3、ビタミンＥ、ニコチ
ン酸、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウ
ム、β−カロチン等のビタミン類、ブドウ糖、グ
ルコース等の炭水化物類、抗生物質、駆虫薬等の
獣医薬類を挙げることができる。 本発明において、反すう動物用飼料添加組成物
は、前記した生物学的活性物質100重量部に対し、
50〜500重量部の保護物質を溶融被覆した粒状物
に、保護物質を粒状物の１〜100重量％、好まし
くは１〜20重量％被覆した、生物学的活性物質を
２重に被覆保護した添加組成物である。 作 用： 本発明において、反すう動物用飼料添加組成物
は、加熱溶融した保護物質に生物学的活性物質お
よび添加剤たとえば密度調整剤、第４胃以降での
保護物質の崩壊助剤等を添加混合して、溶融スラ
リーを作り、この溶融スラリーを噴射型、噴流層
型、板状滴下型、液中滴下型などの造粒機を用い
て造粒する溶融造粒法、粉体状の各原料を混合
し、スクリユー型押出し造粒、ロール型押出し造
粒、打錠等により粒状200μｍ以上の粒状物を作
製し、ついで、この粒状物に、液体状の保護物質
をスプレーコーテイングするか、または、該粒状
物を液体状の保護物質中に浸漬して、粒状物にさ
らに保護物質を被覆することにより製造する。 本発明の組成物において、前記した如く、生物
学的活性物質は、保護物質で２重に包囲される。
前記製造方法において、第１段階で製造される粒
状物も反すう動物用飼料添加組成物として使用し
得るが、この粒状物は、生物学的活性物質と保護
物質との混合法で製造しているため、粒状物の表
面には、保護物質で包囲されていない生物学的活
性物質および添加剤が点在し、これが第１胃内で
の粒状物の磨耗崩壊を促進する原因となる。 本発明においては、前記粒状物を保護物質でさ
らに被覆することにより、粒状物表面へ露出した
生物学的活性物質がなくなるため、第１胃内での
生成物の摩耗崩壊が抑制される。該保護物質は、
第１胃内の胃液に対しては安定であるが第４胃の
胃液には容易に分解されるので、生物学的活性物
質は第１胃をバイパスし、第４胃以降の消化器管
において高効率で消化吸収される。 本発明において、添加剤は、飼料添加物が第１
胃の胃液表面に浮遊したり、胃底部に沈降してし
まつて長期管滞留することを防止するために飼料
添加物の密度を0.8〜2.0ｇ／cm³、好ましくは1.0〜
1.4ｇ／cm³に調整するために添加される密度調整
剤、たとえばカオリン、ケイ酸カルシウム、けい
そう土、タルク、炭酸カルシウム、炭酸水素ナト
リウム等の無機充填物類、および保護物質の第４
胃内における崩壊を助けるキトサン、ポリビニル
アセタールジエチルアミノアステート等の崩壊助
剤、その他、呈味料等である。 実施例及び比較例： 以下に、本発明を実施例および比較例により、
さらに詳細に説明する。ただし、本発明の範囲
は、下記実施例により何等限定されるものではな
い。 なお、実施例中の数値を表す部は、特にことわ
らない限り重量部であり、また重量％である。 実施例 １ 54゜硬化油（日本油脂製）51部を加熱融解し、
混合機中にて撹拌しながらメチオニン35部、キト
サン部、CaCO₃3部、および第１リン酸カルシウ
ム７部を添加して混合懸濁させ溶融液を得た。こ
の液をノズルから冷却したスチールベルト上に滴
下し径が3.5mmの半球状の粒子を得た。この粒子
を溶解した極度硬化油（日本油脂製）を表面に浮
べた温水層に滴下した後冷水層に通して冷却し極
度硬化油をコーテイングした飼料添加組成物を得
た。この時のコーテイング量は全体の4.8％であ
つた。 飼料添加組成物２ｇを第１胃の胃液に対応する
緩衝液200mlに投入し振動装置で絶えず運重させ
ながら39℃で24時間浸漬した。引きつづぎ粒子を
第４胃の胃液に対応する緩衝液200mlに投入し４
時間浸漬した。 第１胃に対応する緩衝液としてMCDougallの
人口だ液を使用した。この緩衝液は炭素水素ナト
リウム9.8ｇ、塩化カリウム0.57ｇ、塩化カルシ
ウム0.04ｇ、リン酸２ナトリウム・12水塩9.30
ｇ、塩化ナトルム0.47ｇ、硫酸マグネシウム・７
水塩0.12ｇを水１に溶かした液でそのPHは8.2
であつた。 第４胃に対応する緩衝液としてClark−Lubsの
PH２の緩衝液を用いた。この緩衝液は0.2N塩化
ナトリウム50ml及び0.2N塩酸10.6mlを水139.4ml
に溶かした液である。 以上の浸漬試験により得られたメチオニンの溶
出率は第１胃対応液2.1、％第４胃対応液56.9％
であつた。 実施例 ２〜７ 実施例１と同様の方法により第１表に示す飼料
添加組成物を製造し第１胃、第４胃対応液による
浸漬試験を行ない生物学的活性物質の溶出率を求
めた。 比較例 １〜７ 実施例１〜７で得た飼料添加組成物のコーテイ
ングを施こす前の粒子２ｇを実施例１と同様に第
１胃、第４胃対応液による浸漬試験を行ない生物
学的活性物質の溶出率を求めた。

【表】 発明の効果： 本発明の反すう動物用飼料添加組成物は、前記
実施例および比較例（第１表参照）から明らかな
如く、従来の如く、生物学的活性物質と保護物質
とを混合造粒したものに比較して、第１胃の胃液
に対応するMcDougallの人口唾液に対する生物
学的活性物質の溶出率が極めて低く抑えられ、か
つ、第４胃の溶液に対するClark−LubsのPH２の
緩衝液に対する生物学的活性物質の溶出率は極め
て高い値を示す。すなわち、反すう動物に経口投
与した場合に生物学的活性物質が、第１胃内で分
解、失活されることなく第４胃以降の消化器管で
有効に消化吸収されることを示す。 本発明は、生物学的活性物質を反すう動物に経
口投与するに際し、第１胃内での生物学的活性物
質の分解を抑制し、第４胃以降の消化器管内で高
効率で消化吸収され得る反すう動物用飼料添加組
成物を提供するものであり、その産業的、特に畜
産上の意義は極めて大きい。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 生物学的活性物質を、炭素原子数14〜22の直
   鎖または分枝状の飽和または不飽和のモノカルボ
   ン酸、硬化した植物性脂肪および硬化した動物性
   脂肪よりなる群から選ばれる１種または２種以上
   を主成分とする保護物質で包囲してなる粒状物
   を、さらに、前記保護物質の異種同種により被覆
   してなることを特徴とする反すう動物用飼料添加
   組成物。