JPH04248983A - 発酵法による芳香族アミノ酸の製造法 - Google Patents

発酵法による芳香族アミノ酸の製造法

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JPH04248983A
JPH04248983A JP3100630A JP10063091A JPH04248983A JP H04248983 A JPH04248983 A JP H04248983A JP 3100630 A JP3100630 A JP 3100630A JP 10063091 A JP10063091 A JP 10063091A JP H04248983 A JPH04248983 A JP H04248983A
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Japan
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amino acid
phenylalanine
aromatic amino
escherichia coli
amino acids
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JP3100630A
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Takasane Kikuchi
慶実 菊池
Naohito Sotouchi
尚人 外内
Kumiko Fukase
深瀬 久美子
Hiroyuki Kojima
宏之 児島
Osamu Kurahashi
倉橋 修
Yutaka Matsui
裕 松井
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Ajinomoto Co Inc
Original Assignee
Ajinomoto Co Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】芳香族アミノ酸は甘味料アスパル
テームの原料(L−フェニルアラニン)、飼料添加物(
L−トリプトファン)、輸液等の医薬品(L−トリプト
ファン、L−フェニルアラニン及びL−チロシン)とし
て需要が急増している。本発明は、これら芳香族アミノ
酸の生産に関するものである。
【0002】
【従来の技術】微生物を用いて芳香族アミノ酸を製造す
る方法は多数知られている。たとえば、L−フェニルア
ラニンの製造法としては、組換え体エシェリヒア・コリ
を用いるものに、特開昭56−1890、特開昭58−
103398、特開昭61−92565、特開平1−1
04160、国際公開W087/00202がある。ま
たL−フェニルアラニンまたはL−チロシンの製造法と
しては、コリネバクテリウム属の変異株を用いるものに
、特開昭61−128897があり、組換え体コリネバ
クテリウムを用いるものに、特開昭60−34197、
特開昭60−24192、特開昭61−260892、
特開昭61−124375が知られている。L−トリプ
トファンの製造法としては、組換え体エシェリヒア・コ
リを用いるものに、特開昭57−71397、米国特許
4371614があり、バチルス・ズブチルスの変異株
を用いるものに特公昭53−39517、同62−34
399があり、組換え体バチルス・ズブチルスを用いる
ものに、特開昭61−104790、同62−3439
9があり、ブレビバクテリウム属の変異株を用いるもの
に、特開昭57−174096があり、更に組換え体ブ
レビバクテリウム属を用いるものに特開昭62−519
80が報告されている。
【0003】これらの方法に用いられる微生物の中で、
エシェリヒア・コリにおいて、芳香族アミノ酸の生合成
共通経路上における鍵酵素として、3−デオキシ−D−
アラビノヘプツロン酸−7−リン酸シンターゼ(以下「
DS」と略する)が知られ、3種類のアイソザイムが存
在する。これらは、aroF、aroG、aroHと呼
ばれる遺伝子にコードされ、それぞれL−チロシン、L
−フェニルアラニン、L−トリプトファンによるフィー
ドバック阻害を受ける。これらの遺伝子に関する塩基配
列及びアミノ酸配列は、既に報告されている[aroF
:Hudson,G.S.and  Davidson
,B.E.,J.Mol.Biol.,180,102
3(1984)/aroG:Davies,W.D.a
nd  Davidson,B.E.,Nucleic
  AcidsRes.,13,4045(1982)
/aroH:Ray,J.M.etal,J.Bact
eriol.,170,5500(1988)]。芳香
族アミノ酸を効率的に生産するためには、これらDSを
改良することが不可欠である。3種類のDS遺伝子のう
ち、aroHにコードされるDSについては、L−トリ
プトファンによるフィードバック阻害が解除された変異
型aroHが報告されている[Ray,J.M.et 
 al,J.Bacteriol.,170,5500
(1988)]。しかしながら、本来、aroH由来の
DS活性は、他のDS活性に比して非常に低いため、組
換えDNA技術による改良には適さず、aroF、ar
oGにコードされるDSの脱感作型の利用がより効率的
であると考えられる。L−チロシンによるaroFのフ
イードバック阻害解除変異の例としてはウェーバーとハ
ーマンによる報告[Weaver,L.M.and  
Herrmann,K.M.,J.Bacteriol
.,172,6581(1990)]があり、N末端よ
り148番目のL−プロリン残基がL−ロイシン残基に
置換している。変異部位が明示された脱感作型DS遺伝
子の芳香族アミノ酸に関する発酵生産への応用としては
、以下に示す2、3の例が知られるのみである。エドワ
ーズらが、aroFにコードされるDSの152番目の
L−グルタミン残基をL−イソロイシン残基に置換する
ことでL−チロシンによるフィードバック阻害を解除し
、L−フェニルアラニンの発酵生産に利用している[国
際公開W087/00202]。また、シネンキらはa
roGにコードされるDSの76番目のL−ロイシン残
基をL−バリン残基に置換することにより、L−フェニ
ルアラニンによるフィードバック阻害を解除したDS(
aroG)を取得してL−フェニルアラニンの発酵生産
に利用している[特開昭58−103398]。しかし
ながら、本報告では、L−フェニルアラニンによるフィ
ードバック阻害が解除されたDSの酵素活性のデータ及
びL−フェニルアラニンの生産量は記載されていない。 尚、L−トリプトファンの生産例について、これまでに
報告されていない。
【0004】
【本発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、D
Sの1ないし2アミノ酸残基を他のアミノ酸に置換する
ことにより得られる脱感作型DSをコードする遺伝子及
び芳香族アミノ酸固有系の脱感作型酵素をコードする遺
伝子を造成し、これら遺伝子を含む組換えDNAで形質
転換された微生物を培養することにより生産された芳香
族アミノ酸を取得することを特徴とする芳香族アミノ酸
の製造法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、まずエシ
ェリヒア・コリの天然型DS遺伝子をクローニングし、
これを変異させることにより脱感作型のDSをコードす
る新規遺伝子を取得し、これらと脱感作型のコリスミン
酸ムターゼープレフェン酸デヒドラターゼ(CM−PD
T)の遺伝子を組み合わせ利用して微生物を改良するこ
とにより、芳香族アミノ酸のひとつであるL−フェニル
アラニンの発酵生産を改善し、本発明を完成に到らしめ
た。以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】先ず、エシェリヒア・コリK−12のMC
1061株(ATCC53338)の染色体DNAより
PCR法を用いてaroF、aroG遺伝子をクローニ
ングし、ヒドロキシルアミンを用いて目的の遺伝子を変
異させた。この際使用する染色体DNAはエシェリヒア
・コリ由来であればどの菌株でもよい。aroF及びa
roGとは、L−チロシン、L−フェニルアラニンでそ
れぞれフィードバック阻害を受けるDSをコードする遺
伝子をいい、遺伝的多系性などによる変異型も含む。 尚、遺伝的多系性とは、遺伝子上の自然突然変異により
蛋白質のアミノ酸配列が一部変化している現象をいう。 遺伝子に変異を生じさせるには、リコンビナントPCR
法[PCR  Technology,Stockto
n  press(1989)]、部位特異的変異法[
Kramer,W.and  Frits,H.J.,
Methods  inEnzymology,154
,350(1987)]や当該遺伝子を保有する菌株を
紫外線照射する方法もしくは化学薬剤処理(N−メチル
−N’−ニトロソグアニジン、亜硝酸など)する方法、
更に目的遺伝子を化学合成する方法がある。次に、該変
異型遺伝子を組換えDNAとして適当な微生物に導入し
、発現させることにより、フィードバック阻害が実質的
に解除されたDSを保有する微生物を取得した。
【0007】以上の方法で取得される組換えDNAとは
、フィードバック阻害を解除したDSをコードする有用
遺伝子をパッセンジャーとして、プラスミドやファージ
DNAのベクターに組み込んだものをいう。その際、該
有用遺伝子の発現を効率的に実施するために、lac、
trp、PL等の微生物内で働くプロモーターを用いて
もよい。尚、ここでいう組換えDNAには、該有用遺伝
子をトランスポゾン[Berg,D.E.and  B
erg,C.M.,Bio/Technol.,1,4
17(1983)]、Muファージ[特開平2−109
985]または相同性組換え[Experiments
  in  Molecular  Genetics
,Cold  Spring  Habor  Lab
.(1972)]を用いた方法で染色体に組み込んだも
のも含まれる。
【0008】組換えDNAを有する微生物としては、該
DSといった目的の酵素をコードする遺伝子が発現する
もので、かつ芳香族アミノ酸を生産する微生物(L−フ
ェニルアラニンの場合は、L−フェニルアラニンアナロ
グ耐性等の付与によりL−フェニルアラニン生産性を獲
得したもの)であれば、エシェリヒア属、ブレビバクテ
リウム属、コリネバクテリウム属、バチルス属、セラチ
ア属、シュードモナス属等に属する微生物の種、菌株を
問わずどのようなものでもよい。
【0009】また該DS遺伝子の効率的活用のため、他
の有用遺伝子(例えばL−フェニルアラニンの場合は脱
感作型CM−PDHの遺伝子が挙げられる)と組み合わ
せて利用するとよい。その際、該有用遺伝子は、該DS
遺伝子と同じく宿主の染色体上に存在しても、プラスミ
ド上に存在してもよい。
【0010】以上の方法で取得した脱感作型DS遺伝子
を含む組換えDNAで形質転換された微生物を培養し、
培養液に目的の芳香族アミノ酸を生成蓄積せしめ、これ
を採取した。
【0011】使用する芳香族アミノ酸生産用の培地は、
炭素源、窒素源、無機イオン及び必要に応じその他の有
機成分を含有する通常の培地である。炭素源としては、
グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース
やでんぷんの加水分解物などの糖類、グリセロールやソ
ルビトールなどのアルコール類、フマール酸、クエン酸
、コハク酸等の有機酸類を用いることができる。窒素源
としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン
酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解
物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を
用いることができる。有機微量栄養源としては、ビタミ
ンB1、L−チロシンなどの要求物質または酵母エキス
等を適量含有させることが望ましい。これらの他に、必
要に応して、リン酸カリウム、硫酸マグネシウム、鉄イ
オン、マンガンイオン等が少量添加される。培養は好気
的条件下で16〜72時間実施するのがよく、培養温度
は30℃〜45℃に、培養中pHは5〜7に制御する。 尚、pH調整には無機あるいは有機の酸性あるいはアル
カリ性物質、更にアンモニアガス等を使用することがで
きる。発酵液からの芳香族アミノ酸の採取は通常イオン
交換樹脂法、沈澱法その他の公知の方法を組み合わせる
ことにより実施できる。
【0012】以上に述べた方法により、フィードバック
阻害が解除されたDS及び固有系が脱感作された酵素を
有する形質転換株を培養すると、芳香族アミノ酸の生産
性について大幅な向上がみられた。このことは本発明の
有用性を実証したものである。
【0013】
【発明の効果】本発明による微生物を用いれば、芳香族
アミノ酸共通の生合成系の最初の鍵酵素であるDSのa
roF,aroGが脱感作されているため、共通系での
代謝が改善される。これに脱感作型CM−PDTを組み
合わせた微生物は各々の酵素を別々に脱感作した場合に
比べ、相乗的にL−フェニルアラニンの生産量が増加す
る。
【0014】次に芳香族アミノ酸のひとつであるL−フ
ェニルアラニンについての実施例を示す。
【0015】
【実施例】
【0016】
【実施例1】
【0017】(1)エシェリヒア・コリのaroF由来
変異型DS遺伝子の取得
【0018】エシェリヒア・コリK−12のMC106
1株から、通常の方法に従って染色体DNAを抽出した
。一方、公知の文献[J.Mol.Biol.,180
,1023(1984)]に記載されているaroF遺
伝子の塩基配列に基づいて配列番号1及び2に示すよう
な合成DNAプライマー2本を通常の方法で合成した。 これらはそれぞれaroF遺伝子の上流及び下流に相同
な配列を有する。この染色体DNAとDNAプライマー
を用いてエルリッチらの方法[PCR  Techno
logy,Stockton  press(1989
)]に従ってPCR反応を行ない、1.5kbpのDN
A断片を得た。以下、図1の左側に示すように、この断
片を制限酵素EcoRVとEco47IIIで切断した
後、pHSG398(宝酒造社製)のSmaI切断物を
T4DNAリガーゼを用いて連結した。この反応混合物
でエシェリヒア・コリK−12のJM109株(宝酒造
(株)より購入)を形質転換し、生育したクロラムフェ
ニコール耐性株の中でaroF遺伝子が挿入されたプラ
スミドを保有する菌株からプラスミドを抽出し、プラス
ミドpHSG−aroFを取得した。更にpHSG−a
roFを制限酵素EcoRIとHindIIIで切断す
ることにより得たaroF遺伝子含有DNA断片を、T
4DNAリガーゼでプラスミドpTS1(特願平2−1
92162)のEcoRI、HindIII切断フラグ
メントと連結した。この反応混合物でエシェリヒア・コ
リK−12のDS欠損(aroF、aroG、aroH
)株AB3257を形質転換した。生育したアンピシリ
ン耐性株の中でL−チロシン、L−フェニルアラニン、
L−トリプトファンの要求性が消失した株からプラスミ
ドを抽出し、プラスミドpTS−aroFを取得した。
【0019】次に、プラスミドpTS−aroFをヒド
ロキシルアミンを用いた方法[J.Mol.Biol.
,175,331(1984)]によって変異処理を行
なった後、AB3257株(エシェリヒア・コリ  ジ
ェネティック  ストック  センターより入手)に形
質転換し、アンピシリン耐性株を取得後、1mMのL−
チロシン添加の最少培地に生育した株を2株選択し、こ
れらの菌株よりフィードバック阻害が解除されたaro
F遺伝子を含有するプラスミドpTS−aroF15及
びpTS−aroF33を得た。フィードバック阻害が
解除されていないaroFを含むプラスミドを保有する
AB3257株は、最少培地に1mMのL−チロシンを
加えると、該DS活性がフィードバック阻害を受け、L
−フェニルアラニンやL−トリプトファンといった芳香
族アミノ酸を合成できず、生育することができなくなる
【0020】(2)エシェリヒア・コリのaroG由来
変異型DS遺伝子の取得
【0021】aroF遺伝子の場合と同様にして、変異
型aroG遺伝子を取得した。公知の文献[Nucle
ic  Acids  Res.,10,4045(1
982)]に記載されているaroG遺伝子の塩基配列
に基づいて配列番号3及び4に示すような合成DNAプ
ライマー2本を合成した。該プライマーとMC1061
株の染色体DNAを用いて、PCR反応を行ない、2.
1kbpのDNA断片を得た。以下、図1の右側に示す
ように、この断片を制限酵素SalIとEco47II
Iで切断した後、pHSG398(宝酒造社製)のSa
lIとSmaI切断物をT4DNAリガーゼを用いて連
結した。この反応混合物でJM109株を形質転換し、
生育したクロラムフェニコール耐性株の中でaroG遺
伝子が挿入されたプラスミドを保有する菌株からプラス
ミドを抽出し、プラスミドpHSG−aroGを取得し
た。 さらにpHSG−aroGを制限酵素EcoRIとHi
ndIIIで切断することにより得られたaroGを含
有するDNA断片を、T4DNAリガーゼで、pTS1
のEcoRI、HindIII切断フラグメントと連結
した。この反応混合物でAB3257株(aroF、a
roG、aroH)を形質転換し、生育したアンピシリ
ン耐性株の中でL−チロシン、L−フェニルアラニン、
L−トリプトファンの要求性が消失している株からプラ
スミドを抽出し、プラスミドpTS−aroGを取得し
た。
【0022】次に、このプラスミドをaroFの場合と
同様にヒドロキシルアミンによる変異処理を行なった後
、AB3257株に形質転換し、アンピシリン耐性株を
取得した。これらの菌株から10mMのL−フェニルア
ラニン添加の最少培地に生育した菌株を6株選択し、こ
れらの菌株よりフィードバック阻害が解除されたaro
G遺伝子を含有するプラスミドpTS−aroG4、p
TS−aroG8、pTS−aroG15、pTS−a
roG17、pTS−aroG29、pTS−aroG
40を得た。フィードバック阻害が解除されていないa
roGを含むプラスミドを保有するAB3257株は、
最少培地に10mMのL−フェニルアラニンを添加する
と、該DS活性がフィードバック阻害を受け、L−トリ
プトファンやL−チロシンといった芳香族アミノ酸を合
成できず、生育することができなくなる。
【0023】(3)DS酵素活性の測定
【0024】上
述の変異型aroF(2種類)及び変異型aroG(6
種類)を含有するプラスミドを、DS活性を有しないエ
シェリヒア・コリAB3257株に導入して形質転換株
を取得し、それぞれをAJ12598(AB3257/
pTS−aroF15)、AJ12599(AB325
7/pTS−aroF33)、AJ12562(AB3
257/pTS−aroG4)、AJ12600(AB
3257/pTS−aroG8)、AJ12563(A
B3257/pTS−aroG15)、AJ12601
(AB3257/pTS−aroG17)、AJ126
02(AB3257/pTS−aroG29)及びAJ
12603(AB3257/pTS−aroG40)と
命名した。これらの内、代表株としてAJ12563、
AJ12603をそれぞれ、エシェリヒア・コリ  F
ERM  P−11968、  FERM  P−11
974として微工研に寄託した。尚、比較のため、天然
型の遺伝子を含有するプラスミドも同株に導入した。こ
れらの菌株を既知のL−フェニルアラニン生産培地[S
ugimoto,S.et  al.,J.Biote
chnol.,5,237(1989)]を用いて24
時間培養した。この培養菌体より超音波破砕によって粗
酵素液を調製し、通常の方法[Gollub,E.et
  al.,Methods  Enzymol.,1
7,349]に従って、aroFの場合はL−チロシン
存在下で、aroGの場合はL−フェニルアラニン存在
下でDSの酵素活性を測定した。その結果、図3と図4
に示すように、天然型のもの(エシェリヒア・コリAB
3257/pTS−aroF)ではL−チロシンの存在
下で酵素活性が強く阻害されているのに対し、それぞれ
の変異型のものではL−チロシンによるフィードバック
阻害が解除されていた。同様に、もう一方の天然型のも
の(エシェリヒア・コリAB3257/pTS−aro
G)では、L−フェニルアラニンの存在下で酵素活性が
強く阻害されるのに対し、それぞれの変異型のものでは
L−フェニルアラニンによるフィードバック阻害が解除
されていた。さらに変異型のうちAJ12562株のD
Sは、L−フェニルアラニンによるフィードバック阻害
が解除されているだけではなく、L−フェニルアラニン
の濃度に従って、酵素活性が上昇した。
【0025】(4)脱感作型DSの変異点の決定
【00
26】脱感作型DSの遺伝子であるaroF15、ar
oF33、aroG4、aroG8、aroG15、a
roG17、aroG29、aroG40の塩基配列を
通常の方法[Molecular  Cloning(
Second  Edition),Cold  Sp
ring  Harbor  Press(1989)
]に従って決定した。具体的なアミノ酸配列上の置換部
位及びその対応塩基配列上の変異点を表1に示す。これ
らの配列はすべて、これまでに報告のないものであった
【0027】
【表1】
【0028】
【実施例2】
【0029】エシェリヒア・コリの脱感作型CM−PD
T遺伝子の構築
【0030】まず、エシェリヒア・コリK−12のRR
1株(BRL社より購入)から、常法に従い染色体DN
Aを抽出した。一方、公知文献[Hudson,G.S
.and  Davidson,J.,J.Mol.B
iol.,180.1023(1984)]に記載され
るpheA遺伝子の塩基配列に基づいて、配列番号5、
6、7および8に示すような合成プライマーを常法によ
り合成した。配列番号5及び6は各々pheAの上流及
び下流と相同な塩基配列を示す。配列番号7及び8は互
いに相補的であり、T(チミン塩基)がC(シトシン塩
基)に置換した1塩基異なる以外、330番目のL−セ
リン残基の配列と相同性を有する。
【0031】次に、図2に示すように、染色休DNAと
配列番号5及び8、または配列番号6及び7の合成DN
Aを用いて、PCR反応を行い、それぞれ1.3kbp
と0.5kbpのDNA断片を取得した。これらのDN
A断片をアガロースゲル電気泳動し、DNA回収キツト
(Gene  Clean、フナコシ社製)を用いて回
収し、更にこれらの断片と配列番号5と6の合成DNA
を用いてPCR反応を行い、1.8kbpのDNA断片
を得た。この断片を制限酵素BamHIとPstIで切
断した後、1.7kbpのDNA断片をアガロースゲル
電気泳動により回収し、更にこの断片とプラスミドpH
SG398(宝酒造社製)のBamHI、PstI切断
物をT4DNAリガーゼを用いて連結した。この反応混
合物でエシェリヒア・コリK−12のKA197(ph
eA)株(エシェリヒア・コリ  ジェネテイック  
ストック  センターより入手)を形質転換した。得ら
れたクロラムフェニコール耐性株の中でL−フェニルア
ラニンの要求性が消失している菌株からプラスミドを抽
出し、pPHABと命名した。塩基配列の決定により、
該プラスミド中に、N−末端より330番目のL−セリ
ン残基がL−プロリン残基に置換した脱感作型CM−P
DT酵素をコードする遺伝子が保有されることを確認し
た。
【0032】
【実施例3】
【0033】(1)エシェリヒア・コリK−12のty
rA遺伝子欠損性W3110株の造成
【0034】先ず、エシェリヒア・コリK−12のW3
110株(国立遺伝研究所より入手)をストレプトマイ
シンを含む平板培地に塗布することにより、ストレプト
マイシン耐性株を取得した。次に、この株とエシェリヒ
ア・コリK−12のME8424株(HfrPO45、
thi、relA1、tyrA::Tn10、ung−
1、nadB)(国立遺伝研究所より入手)の培養液を
混合し、37℃で15分間放置して接合伝達を行わせた
後、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、L−チロ
シンを含む平板培地に塗布し、生じたコロニー即ちエシ
ェリヒア・コリK−12のW3110(tyrA)株を
取得した。
【0035】(2)脱感作型DS及び脱感作型CM−P
DTを保有するエシェリヒア・コリK−12のW311
0(tyrA)の造成
【0036】得られた脱感作型DS遺伝子を含有するp
TS−aroG4を制限酵素EcoRIとHindII
IでaroG4部分を切り出し、この断片をpBR32
2のEcoRI、HindIII切断部位に挿入してプ
ラスミドpBR−aroG4(アンピシリン耐性マーカ
ー)を取得した。また、脱感作型CM−PDH遺伝子を
含有するpPHABを制限酵素BamHIとHindI
IIでCM−PDT遺伝子含有フラグメントを切り出し
、この断片をpACYC184のBamHI、Hind
III切断部位に挿入してプラスミドpACMAB(選
択マーカーはクロラムフェニコール耐性)を造成した。 該プラスミドをエシェリヒア・コリK−12株由来のW
3110(tyrA)株に導入し、形質転換株W311
0(tyrA)/pACMABを取得した。更に2種類
のプラスミドpACMAB及びpBR−aroG4をW
3110(tyrA)に導入して形質転換株W3110
(tyrA)/pBR−aroG4、pACMABを取
得した。該形質転換株をAJ12604株と命名し、微
工研に寄託(FERM  P−11975)した。
【0037】(3)L−フェニルアラニン生産性
【00
38】前項で記載した形質転換株AJ12604をL−
フェニルアラニン生産用培地(グルコース20g、リン
酸水素2ナトリウム29.4g、リン酸2水素カリウム
6g、塩化ナトリウム1g、塩化アンモニウム2g、ク
エン酸ナトリウム10g、グルタミン酸ナトリウム0.
4g、硫酸マグネシウム7水和物3g、塩化カルシウム
0.23g、サイアミン塩酸塩2mgを水1Lに含む)
を用いて、37℃で24時間培養した。その結果を表2
に示す。尚、定量は高速液体クロマトグラフィーで実施
した。
【0039】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】pTS−aroF、pTS−aroGの構築

図2】pPHABの構築
【図3】天然型及び変異型aroFのDS活性における
、L−チロシンによる阻害度を示すものである。
【図4】天然型及び変異型aroGのDS活性における
、L−フェニルアラニンによる阻害度を示すものである
【配列表】配列番号:1 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..20 特徴を決定した方法:S 他の情報:PCR法に使用するprimer配列 GCTAACCAGT  AAAGCCAACA   
                     20配列
番号:2 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..20 特徴を決定した方法:S 他の情報:PCR法に使用するprimer配列 CCCACTTCAG  CAACCAGTTC   
                     20配列
番号:3 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..20 特徴を決定した方法:S 他の情報:PCR法に使用するprimer配列 GTATTTACCC  CGTTATTGTC   
                     20配列
番号:4 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..20 特徴を決定した方法:S 他の情報:PCR法に使用するprimer配列 ACTCCGCCGG  AAGTGACTAA   
                     20配列
番号:5 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..20 特徴を決定した方法:S 他の情報:PCR法に使用するprimer配列 TCAACAAGCT  GGAACGGACG   
                     20配列
番号:6 配列の長さ:20 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..20 特徴を決定した方法:S 他の情報:PCR法に使用するprimer配列 CGCCGATTTA  CCGCCTTGAG   
                     20配列
番号:7 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..21 特徴を決定した方法:S 他の情報:PCR法に使用するprimer配列 CCGTCTGGAA  CCACGCCCGA  T
                    21配列番
号:8 配列の長さ:21 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:他の核酸  合成DNA 配列の特徴 存在位置:1..21 特徴を決定した方法:S 他の情報:PCR法に使用するprimer配列

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  エシェリヒア・コリの3−デオキシ−
    D−アラビノヘプツロン酸−7−リン酸シンターゼ(以
    下「DS」と略す)の1又は2アミノ酸置換により実質
    的にフィードバック阻害が解除された酵素をコードする
    遺伝子及び芳香族アミノ酸生合成系固有の1もしくは2
    以上の酵素のフィードバック阻害が解除された酵素をコ
    ードする遺伝子とを含有するプラスミドで形質転換され
    た微生物。
  2. 【請求項2】  DSがaroFにコードされるもので
    ある請求項1記載の微生物。
  3. 【請求項3】  N末端より147番目のL−アスパラ
    ギン酸または181番目のL−セリンが他のアミノ酸残
    基に置換されたDSをコードする請求項1又は2記載の
    微生物。
  4. 【請求項4】  置換される他のアミノ酸残基が、14
    7番目のL−アスパラギン酸の場合はL−アスパラギン
    に、181番目のL−セリンの場合はL−フェニルアラ
    ニンである請求項3記載の微生物。
  5. 【請求項5】  DSがaroGにコードされる請求項
    1記載の微生物。
  6. 【請求項6】  N末端より146番目のL−アスパラ
    ギン酸、147番目のL−メチオニン、150番目のL
    −プロリンもしくは202番目のL−アラニンの1アミ
    ノ酸残基、または157番目のL−メチオニン及び21
    9番目のL−アラニンの2アミノ酸残基が他のアミノ酸
    に置換されたDSをコードする請求項1又は5記載の微
    生物。
  7. 【請求項7】  置換される他のアミノ酸残基が146
    番目のL−アスパラギン酸の場合はL−アルパラギンに
    、147番目のL−メチオニンの場合はL−イソロイシ
    ンに、150番目のL−プロリンの場合はL−ロイシン
    に、202番目のL−アラニンの場合はL−スレオニン
    に、更に157番目がL−メチオニンで219番目がL
    −アラニンの場合はそれぞれL−イソロイシン、L−ス
    レオニンに置換されたDSをコードする請求項6記載の
    遺伝子。
  8. 【請求項8】  固有系酵素がコリスミン酸ムターゼー
    プレフェン酸デヒドラダーゼ(以下CM−PDTと略す
    )である微生物。
  9. 【請求項9】  請求項1乃至8記載の微生物がエシェ
    リヒア・コリであるもの。
  10. 【請求項10】  請求項1乃至9記載の微生物を培養
    することにより培地中に生産された芳香族アミノ酸を取
    得することを特徴とする芳香族アミノ酸の製造法。
  11. 【請求項11】  芳香族アミノ酸がL−フェニルアラ
    ニンである請求項10記載の製造法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007515168A (ja) * 2003-12-15 2007-06-14 シージェイ コープ. トリプトファン生合成に関連する変異遺伝子を含有する大腸菌変異体および同変異体を使用するトリプトファンの製造方法
JP2022521384A (ja) * 2019-06-17 2022-04-07 シージェイ チェイルジェダン コーポレーション L-チロシンを生産する微生物及びこれを用いたl-チロシンの生産方法

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