JPH04246190A - 高耐食性表面処理鋼板 - Google Patents

高耐食性表面処理鋼板

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JPH04246190A
JPH04246190A JP2768891A JP2768891A JPH04246190A JP H04246190 A JPH04246190 A JP H04246190A JP 2768891 A JP2768891 A JP 2768891A JP 2768891 A JP2768891 A JP 2768891A JP H04246190 A JPH04246190 A JP H04246190A
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steel sheet
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Fumio Yamazaki
文男 山崎
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は優れた耐食性,加工性,
溶接性を有し、自動車用防錆鋼板として好適な高耐食性
表面処理鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷延鋼板の耐食性や塗装後耐食性
を向上させ、加工性を損なわずに量産できる表面処理鋼
板として電気亜鉛めっき鋼板が汎用されていることは周
知である。また、近年では寒冷地帯における冬期の道路
凍結防止用の散布岩塩に対する自動車の防錆対策として
亜鉛めっき鋼板の使用が試みられ、苛酷な腐食環境での
高度な耐食性が要求されている。亜鉛めっき鋼板の耐食
性の向上要求に対しては、亜鉛のめっき量(付着量)の
増加という手段があるが、これは溶接性や加工性の点で
問題が多い。そこで亜鉛自体の溶解を抑制し亜鉛めっき
の寿命を延ばす方法として、多くの合金めっきが提案さ
れている。中でもFe,Co,Niといった鉄族金属を
合金成分として含有するZn系合金めっきは、その良好
な裸耐食性や塗装後耐食性が認められ、実用化されてい
る。また、さらに耐食性を向上させる目的で、これら合
金めっきの上に有機皮膜を付与した種々の有機複合型の
めっき鋼板が開発されている。これらは、主として自動
車内面の自動車塗装が付き回りにくく、かつ水や塩分が
たまりやすい部位,すなわちヘム部や合わせ部など、孔
あき錆が問題となる部位に適用されている。一方、自動
車走行中の飛び石による損傷部を起点にしたいわゆる外
面錆の問題に対しても、めっき鋼板の適用による解決が
図られている。また、車体内外面の防錆性の向上のため
に、付着量が多い両面のZnめっきあるいは両面のZn
系合金めっき鋼板に加えて、特開昭60−50181号
公報に開示されているような、片面が有機複合型の合金
めっき,他面が合金めっきというタイプのものも開示さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記防
錆鋼板では、耐食性のみならず自動車用鋼板で要求され
る加工性や溶接性という観点からはまだ充分なものとは
言えない。特に、両面めっきの場合には加工性や溶接性
が一層深刻な問題になるばかりでなく、外面側のめっき
に対しては飛び石(チッピング)によるめっき層の剥離
という新たな問題を生じ、自動車用防錆鋼板として両面
めっき鋼板を適用するためには、多くの問題を解決する
必要があった。本発明者らはかかる事情に鑑み、自動車
用防錆鋼板として適用された場合、車体内外面の耐食性
に優れ、加工性,溶接性にも優れた表面処理鋼板を提供
することを目的に、鋭意検討した結果、本発明に到った
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、以下の
通りである。 (1)鋼板の片面に鋼板側から順に、水不溶性微粒子を
含有する付着量10g/m2以上のZn系分散めっき層
,総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮
膜,膜厚0.3〜2μの有機皮膜が形成され、他面には
鋼板側から順に、付着量0.05g/m2以上のNiめ
っき層,水不溶性微粒子を含有する付着量10g/m2
以上のZn系分散めっき層が形成されたことを特徴とす
る高耐食性表面処理鋼板。 (2)鋼板の片面に鋼板側から順に、付着量0.01g
/m2以上のNiめっき層,水不溶性微粒子を含有する
付着量10g/m2以上のZn系分散めっき層,総Cr
付着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜,膜厚
0.3〜2μの有機皮膜が形成され、他面には鋼板側か
ら順に、付着量0.05g/m2以上のNiめっき層,
水不溶性微粒子を含有する付着量10g/m2以上のZ
n系分散めっき層が形成されたことを特徴とする高耐食
性表面処理鋼板。 (3)有機皮膜を有さない片面側のZn系分散めっき層
の上層に、付着量1g/m2以上のZnもしくはZn系
合金めっき層が形成された(1),(2)の高耐食性表
面処理鋼板。 (4)Zn系分散めっき層が平均粒径3μ以下のSiO
2,TiO2,Al2O3,ZrO2,BaCrO4,
PbCrO4からなる水不溶性微粒子のうち、1種もし
くは2種以上を0.1〜20重量%含有する(1),(
2)の高耐食性表面処理鋼板。 (5)クロメート皮膜が水可溶分5%以下の難溶性クロ
メート皮膜である (1),(2)の高耐食性表面処理
鋼板。 (6)有機皮膜がエポキシ樹脂を30重量%以上とシリ
カを5〜50重量%を含有する有機皮膜である(1),
(2)の高耐食性表面処理鋼板。
【0005】
【作用】本発明の高耐食性表面処理鋼板の構成を図1に
示す。鋼板1の片面側は、鋼板側から順に、水不溶性微
粒子を含有する付着量10g/m2以上のZn系分散め
っき層2,総Cr付着量10〜150mg/m2のクロ
メート皮膜3,膜厚0.3〜2μの有機皮膜4が形成さ
れた処理面であり、自動車の内面側を構成する処理面と
する。他面側は、付着量0.05g/m2以上のNiめ
っき層5,水不溶性微粒子を含有する付着量10g/m
2以上のZn系分散めっき層6が形成された処理面であ
り、自動車の外面側を構成する処理面とする。鋼板1と
Zn−Ni系合金めっき層2の間に付着量0.01g/
m2以上のNiめっき層5′を介在させてもよい。また
、Zn系分散めっき層6の上層に、さらに付着量1g/
m2以上のZnもしくはZn系合金めっき層7が形成さ
れてもよい。
【0006】まず、自動車の内面を構成する片面側につ
いて述べる。この片面側は、水不溶性微粒子を含有する
Zn系分散めっき層をベースとし、上層にクロメート皮
膜と薄い有機皮膜を有する薄膜型の有機複合めっき層で
構成される。Zn系分散めっき層とは、ZnもしくはZ
n系合金めっきをマトリックスとしてこの中に水不溶性
微粒子を分散共析させためっき層である。水不溶性微粒
子は、めっき層中にあって、水,酸素,塩素イオンなど
腐食因子の遮断作用,めっき金属の腐食生成物の保持作
用などを通じて、めっき層の耐食性を著しく向上させる
。このようなZn系分散めっき層を有機皮膜の下地に適
用すると、有機皮膜のバリヤー効果が相乗的に作用して
、ヘム部や合わせ部など腐食環境の激しい部位に適用し
ても優れた耐食性を発揮する。Zn系分散めっき層の付
着量は10g/m2以上とする。10g/m2未満では
耐食性不足の懸念がある。上限は特に制約されないが、
加工性,溶接性の観点からは50g/m2以下が好まし
い。Zn系分散めっき層のマトリックスめっきとしては
、Zn単独めっきもしくはZn系合金めっきが適用でき
、 Zn系合金めっきとしてはFe,Ni,Co,Cr
,Mn,Ti,Sn,Cu,Cd,Pbなどのうち、1
種もしくは2種以上とZnとの合金めっきを指す。この
中でも、Zn−Ni,Zn−Ni−Co,Zn−Ni−
FeなどのZn−Ni系合金めっきが耐食性の点で最も
好ましい。またZn系分散めっき層に含有される水不溶
性微粒子とは、硫酸塩浴,塩化物浴などに代表される酸
性めっき浴中で不溶性もしくは難溶性の微粒子を指す。 例えば、SiO2,TiO2,Al2O3,ZrO2な
どの酸化物;SiC,TiCなどの炭化物;SiN,B
Nなどの窒化物;MoS2などの硫化物;SrCrO4
,BaCrO4,PbCrO4などのクロム酸化合物;
Al,Ni,Cr,ステンレスなどの金属粉末;フェノ
ール樹脂やエポキシ樹脂など有機物粒子などが挙げられ
、これらを単独もしくは複合で使用できる。 これらの
中でもSiO2,TiO2,Al2O3,ZrO2,B
aCrO4,PbCrO4は耐食性の観点から特に有効
であり、かつ共析させることも比較的容易である。これ
らの含有率は0.1〜20重量%が好ましい。0.1重
量%未満では耐食性が向上せず、20重量%を超えると
加工性が低下する。耐食性と加工性を考慮すると、マト
リックスめっきがZnめっきの場合には、水不溶性微粒
子の含有率は3〜20重量%がより好ましく、マトリッ
クスめっきがZn系合金めっきの場合には、水不溶性微
粒子と合金成分の合計が3〜20重量%であることがよ
り好ましい。これら微粒子の大きさとしては平均粒径3
μ以下であることが好ましく、3μを超えると加工性が
低下する懸念がある。耐食性,加工性,溶接性といった
総合的な品質を考慮すると、1μ以下のより微細な粒子
が好ましい。なお、平均粒径とは、全粒子のうち最も分
布量が大である粒径を意味する。Zn系分散めっき層の
形成方法は、公知のZn,もしくはZn系合金めっき浴
,例えばZnイオン,Niイオンを含有する硫酸酸性の
Zn−Ni合金めつき浴に上記の水不溶性微粒子を添加
して、電流密度10〜300A/dm2で鋼板を陰極と
して所定時間電解を施せばよい。
【0007】次にクロメート皮膜は、下層のZn系分散
めっき層と上層の有機皮膜を密着させると共に、耐食性
にも寄与する。クロメート皮膜の付着量は、総Cr量と
して10〜150mg/m2とする。10mg/m2未
満では有機皮膜の密着性が不十分であり、150mg/
m2を超えると加工性,溶接性低下の懸念がある。より
好ましい範囲は、総Cr量20〜100mg/m2であ
る。クロメート皮膜の形成方法としては、電解型,塗布
型,反応型が考えられ、 何れも適用可能であるが、反
対面側のめっき表面へのクロメート付着の防止という観
点からは、ロールコーターによる塗布型クロメートが最
も適する。電解型や反応型,あるいは浸漬やスプレーに
よる塗布型クロメートの場合には、反対面側へのクロメ
ート付着が避けられないため、反対側めっき表面のクロ
メート除去を行なうか、さらに上層めっきを行なう必要
がある。塗布型,反応型クロメート処理としては、Cr
6+,Cr3+を主成分として、他にSiO2やTiO
2などの無機コロイド類,りん酸やモリブデン酸などの
酸類やその塩類,ふっ化物,水溶性ないしはエマルジョ
ン型の有機樹脂を含有するものが適用できる。また、 
電解型クロメート処理としては、Cr6+,Cr3+を
主成分として、他に硫酸やハロゲンイオンを含有するも
のや、さらにSiO2やTiO2などの無機コロイド類
,CoやZnなどの金属イオンを含有するものが適用で
きる。通常は鋼板を陰極として電解するが、陽極電解や
交流電解を付加することもできる。これらの方法で形成
されるクロメート皮膜は、水可溶分が5%以下の難溶性
クロメート皮膜であることが好ましい。これは自動車製
造時に行なわれる化成処理や電着塗装の際に、これら処
理液中へのクロメート皮膜からのクロム溶出を避けるた
めである。クロメート皮膜から溶出するクロムは皮膜中
のCr6+に起因するので、難溶性クロメート皮膜を得
るにはCr3+主体のクロメート皮膜が形成されやすい
電解型や反応型が有利である。 しかし、塗布型におい
てもりん酸やコロイド類によってCr6+を固定するな
ど処理浴の工夫により難溶性クロメート皮膜を得ること
ができる。
【0008】次に有機皮膜は内面側の耐食性を向上させ
る上で、重要な役割を担う。有機皮膜の厚みは0.3〜
2μとする。0.3μ未満では充分な耐食性が得られず
、2μを超えると加工性,溶接性が低下する。より好ま
しい範囲は0.5〜1.7μである。有機皮膜の構成と
しては、エポキシ樹脂を30重量%以上とシリカを5〜
50重量%を含有するものが好適である。エポキシ樹脂
は、耐水性,耐アルカリ性が優れ、下地との密着性も良
好であり、数有る有機樹脂の中でも本発明用途に最も適
している。有機皮膜中のエポキシ樹脂が30重量%未満
では皮膜が脆く加工性が不十分であ。エポキシ樹脂とし
ては、 数平均分子量300〜100,000のビスフ
ェノール型エポキシ樹脂が最適である。数平均分子量が
300未満,もしくは100,000超では充分な架橋
反応がなされず、したがって、充分な耐食性が発揮され
ない。シリカは耐アルカリ性が極めて優れ、エポキシ樹
脂中に分散して含まれることにより、有機皮膜の耐食性
能を一段と高める。有機皮膜中のシリカが5重量%未満
では耐食性への効果が小さく、50重量%超では加工性
が低下する。より好ましい範囲は15〜30重量%であ
る。使用されるシリカとしては、平均一次粒径が1〜1
00mμのドライシリカが好適である。ドライシリカは
耐アルカリ性の他に耐水性にも優れ、またエポキシ塗料
との相溶性も良好である。1mμ未満, もしくは10
0mμ超では充分な耐食性が得られない。有機皮膜の構
成成分として、上記のエポキシ樹脂とシリカ以外に、低
温焼付けを可能とするためのポリイソシアネート化合物
やブロックポリイソシアネート化合物などの硬化剤,加
工性を向上させるためのポリエチレンワックスなどの潤
滑剤を含有してもよい。これら成分が有機溶剤に溶解な
いしは分散されて塗料組成物が得られる。有機溶剤とし
てはケトン系有機溶剤が好適であり、これを塗料中に4
0重量%以上含有せしめ、かつ塗料中の固形分を10〜
50重量%に調整することにより、容易に均一な薄膜を
形成させることができる。ケトン系有機溶剤としては、
メチルイソブチルケトン,アセトンシクロヘキサノン,
イソホロンなどが好適なものとして例示される。有機皮
膜の形成方法については特に限定されないが、均一塗布
の点からはロールコート法が最適であり、熱風炉や誘導
加熱炉で最終到達温度100〜200℃の条件で焼付け
処理を行なえばよい。
【0009】次に、自動車の外面を構成する片面側につ
いて述べる。この片面側は、Niめっき層とZn系分散
めっき層で構成される。Niめっき層は鋼板とZn系分
散めっき層との密着力を強固なものとし、自動車の外面
に適用した場合に問題となる耐チッピング性の向上をも
たらす。Zn系分散めっき層は金属の連続層で構成され
ているものではないため、めっき密着性はZnめっきよ
りも低い。車体外面においては、かかるZn系分散めっ
き層の上にカチオン電着塗装,中塗り塗装,上塗り塗装
からなる3コート塗装が合計100μ以上の厚みで塗装
されるため、塗膜焼付け時に生じる収縮応力がさらに加
わる。また、冬期の寒冷地帯では気温が氷点以下に低下
し、この影響で塗膜の収縮が進行するため、めっき層に
作用する応力がさらに大きくなり、めっき密着性は一段
と低くなる。このような条件下で、道路走行中の自動車
に路面から跳ね上げられた小石や散布岩塩が衝突すると
、その衝撃力でめっき層が剥離してしまうという重大な
欠点を内在する。Niめっき層はこの欠点を克服するた
めのものであり、鋼板面にまず0.05g/m2以上の
Niめっき層を施し、しかる後にZn系分散めっき層を
施すと、優れた耐チッピング性が得られる。また、Ni
めっき層は耐食性,特に塗装後耐食性の向上にも有効で
ある。これはZn系分散めっき層のめっき密着性向上に
よるものと推定される。0.05g/m2未満では、N
iめっき層が鋼板面を均一に被覆できないため、耐チッ
ピング性は不十分なものとなる。上限は耐チッピング性
の観点からは特に制約されないが、5g/m2を超える
と耐食性低下の懸念を生じるので好ましくない。塗装後
耐食性をも考慮すると、1〜2g/m2がより好ましい
。Niめっき層中にはSを0.01〜10重量%含有さ
せてもよく、かくすることによってNiめっき層の均一
被覆性が向上し、より少ないNiめっき量で上層のZn
系分散めっき層の耐チッピング性を向上せしめることが
できる。この場合、0.01重量%未満では効果的では
なく、10重量%を超えると耐食性への悪影響が懸念さ
れるので好ましくない。Niめっき層の形成方法は特に
限定されないが、鋼板表面を微量の付着量で均一に被覆
する目的からは、硫酸酸性液を用いて電流密度10〜1
00A/dm2で行なうことが最良である。また、Sを
含有させるためには硫酸酸性液を用いてNiめっきを施
した後、水洗を行なわずにZn系分散めっきを行なえば
よく、Sの含有率はNiめっき時の電流密度で制御でき
る。
【0010】外面側に相当するZn系分散めっき層の詳
細については反対面側と同様であるが、外面側の特殊性
を考慮すると、以下のような最表面の仕上げ処理を行な
うことが好ましい。すなわち、外面側のZn系分散めっ
き層表面は、反対面側のクロメート処理や有機皮膜の焼
付けによってクロメート汚れや表面酸化を生じる恐れが
ある。これらは自動車用鋼板の要求特性であるりん酸塩
処理性や電着塗装性を阻害する懸念があるため、ブラッ
シング処理や電解剥離,電解還元などの電解処理を有機
皮膜の焼付け後に最終仕上げとして行なうとよい。ブラ
ッシング処理については、ナイロン系ブラシロールやス
コッチブライトロールなどをモーター負荷電流1〜50
Aでめっき面に押しつける方法が簡便で確実である。ブ
ラッシの中にはアルミナや炭化珪素などの砥粒を含ませ
るとさらに効果的である。電解処理については、りん酸
塩を0.05〜2モル/l含有するpH4〜9の電解液
中でめっき面を陽極として電解剥離するか陰極として電
解還元すればよい。ブラッシング処理や電解処理は外面
側のZn系分散めっき最表面の状態に応じて適宜組合せ
ればよい。例えば、電解型クロメートの場合にはクロメ
ート汚れが激しいので電解剥離とブラッシング処理を併
用してクロメートを完全に除去する必要がある。また、
クロメート汚れは無いものの有機皮膜の焼付け時間が長
く酸化が進行している場合には電解還元により酸化膜を
除去する必要がある。無論、ロールコート法による塗布
型クロメートにより外面側のクロメート汚れを完全に回
避し、有機皮膜の焼付けを30秒以下の短時間で行なう
ことにより表面酸化も抑制すれば上記のような最終仕上
げを行なう必要はない。また、クロメート汚れや表面酸
化の問題を完全に解消するために、有機皮膜の焼付け後
さらに外面側のZn系分散めっき層の上にZnめっきも
しくはZn系合金めっきを1g/m2以上施すこともで
きる。1g/m2未満ではりん酸塩処理性が不十分であ
る。上限は特に制約されないが、3g/m2を超えると
外面側の塗装後耐食性がこの上層めっきに支配されるよ
うになるため好ましくない。この場合、Zn系合金めっ
きとしてはりん酸塩処理性が良好なZn−Ni,Zn−
Feが最適である。
【0011】本発明においては、自動車の外面側を構成
する片面に耐チッピング性の向上を目的としたNiめっ
き層を必須とするが、自動車の内面側を構成する他面に
も鋼板とZn系分散めっき層の間にNiめっき層を介在
させてもよい。すなわち、自動車用鋼板に対する加工性
や強度などの要求品質の高度化により、鋼中への添加成
分や製造条件の制御により超深絞り鋼板や高強度鋼板が
開発されている。これらはZn系分散めっき層のめっき
密着性に無関係ではなく、概してめっき密着性を阻害す
る。したがって、これらの鋼板を下地とする場合には、
Zn系分散めっき層のめっき密着性の改善が必要である
。この改善策として、外面側と同じく、Niめっき層を
鋼板とZn系分散めっき層の間に形成させることが有効
である。この場合、Niめっき層の付着量範囲は、0.
01g/m2以上が適当であり、0.01g/m2未満
では効果がない。  上限はめっき密着性の観点からは
特に制約されないが、 5g/m2を超えると耐食性低
下の懸念があるので好ましくない。耐食性をも考慮する
と、より好ましい範囲は1〜2g/m2である。また、
外面側と同様Niめっき層中にSを0.01〜10重量
%含有させるとさらに効果的である。なお、内面側と外
面側のZn系分散めっき層の組成と付着量は必ずしも同
一である必要はなく、目的に応じてめっき組成や付着量
を内外面で変えてもよいが、製造上は同一とした方が有
利である。上記のような構成とすることにより、車体内
外面に同時に適用できる表面処理鋼板が得られる。以下
実施例にて本発明をさらに詳細に説明する。
【0012】
【実施例】冷延鋼板を、アルカリ脱脂し、5%硫酸水溶
液で酸洗した後、片面もしくは両面にNiめっき,両面
にZn系分散めっきを施し、 次いで片面のみにクロメ
ート,及び有機皮膜を施し、さらに有機皮膜を施さない
外面側の一部については、最表面の仕上げ処理もしくは
上層めっきを施し、表1に示す両面の表面処理鋼板を得
た。これらについて、以下の性能評価を行ない、 その
結果を表2にまとめた。表1における注釈は以下の通り
である。 1)内面側クロメート皮膜 ・塗布型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他にコ
ロイドSiO2とりん酸を含む処理液を用いて、ロール
コート方式で塗布し、板温80℃で焼き付けた。水可溶
分はCr6+,Cr3+及びりん酸の比率で制御した。 外面側のめっき表面はクロメート汚染無し。 ・電解型:Cr6+,Cr3+を主成分として、他に硫
酸を含む処理液を用いて、電流密度10A/dm2で陰
極電解し、水洗乾燥した。外面側のめっき表面はクロメ
ート汚染有り。 ・水可溶分:50℃の蒸留水に30分浸漬し、前後のク
ロム量の差と初期クロム量との比率を算出した。 2)内面側有機皮膜 ・種類A:樹脂は数平均分子量2900のビスフェノー
ル型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径8mμのドラ
イシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソシア
ネートのアセト酢酸エチルブロック体,及び潤滑剤とし
てポリエチレンワックスを含有するもの。 ・種類B:樹脂は数平均分子量900のビスフェノール
型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径40mμのドラ
イシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソシア
ネート,及び潤滑剤としてポリエチレンワックスを含有
するもの。 ・種類C:樹脂は数平均分子量15000のビスフェノ
ール型エポキシ樹脂,シリカは平均1次粒径20mμの
ドライシリカ,他に硬化剤としてヘキサメチレンジイソ
シアネートを含有するもの。 3)外面側最表面の処理 ・処理A:pH7,液温40℃のりん酸ナトリウム1モ
ル/l水溶液中で通電量5C/dm2の電解剥離処理・
処理B:スコッチブライトでめっき面を研削処理・処理
C:上記の電解剥離処理+研削処理
【0013】表2に
おける評価方法は以下の通りである。 (1)内面側ヘム部耐食性 試料2枚を用いて有機皮膜を塗布した面を内面側として
ヘムモデルを作成し、浸漬型りん酸塩処理,及びカチオ
ン電着塗装を行なって、下記のサイクル腐食試験に供し
た。 5000サイクル後にヘムモデルを解体し、ヘム部の板
厚減少量を調査し、評価した。 ◎:0.1mm以下 ○:0.2mm以下 △:0.3mm以下 ×:0.3mm超 (2)内面側加工性 エリクセン9mm押出し後テーピング試験を行ない、評
価した。 ◎:剥離無し ○:極軽度の剥離 △:軽度の剥離 ×:剥離大 (3)内面側クロム溶出性 浸漬型りん酸塩処理工程で溶出した総Cr量で評価した
。 ◎:5mg/m2以下 ○:10mg/m2以下 △:20mg/m2以下 ×:20mg/m2超 (4)外面側耐チッピング性 浸漬型りん酸塩処理,カチオン電着塗装,及び中塗り,
上塗りを行なって、合計膜厚100μとし、試験片温度
−30℃でJIS7号砕石250gを150km/hr
の速度で衝突させ、テーピング試験後めっき剥離面積を
評価した。 ◎:3%以下 ○:5%以下 △:10%以下 ×:10%超 (5)外面側塗装後耐食性 浸漬型りん酸塩処理,カチオン電着塗装,及び中塗り,
上塗りを行なって、合計膜厚100μとし、地鉄に達す
るクロスカット疵を入れ、下記のサイクル腐食試験に供
した。 100サイクル後、クロスカット部のふくれ巾で評価し
た。 ◎:3mm以下 ○:5mm以下 △:8mm以下 ×:8mm超 (6)溶接性 先端径6mmφのCF型電極を用いて、加圧力200k
g,電流10kA,通電時間10サイクルで連続スポッ
ト溶接を行ない、連続打点数で評価した。 ◎:3000点以上 ○:2000点以上 △:1000点以上 ×  1000点未満
【0014】表1,表2の比較例について説明すると、
比較例1と2はZn系分散めっき層の付着量が少ないた
め、内外面とも耐食性が不良である。比較例3はZn系
分散めっき層中の水不溶性微粒子の含有率が少なすぎる
ため、内外面の耐食性が不足し、比較例4は逆に水不溶
性微粒子の含有率が多すぎるため、内面側加工性が不足
している。比較例5はクロメート皮膜量が少なすぎるた
め、有機皮膜の密着性が不足し、結果的に内面側の耐食
性と加工性が不良であり、比較例6はクロメート皮膜量
が多すぎるため、内面側加工性と溶接性が不良である。 比較例7はクロメート皮膜の水可溶分が多すぎるため、
クロム溶出性が不良である。比較例8は有機皮膜厚が少
なすぎるため、内面側の耐食性と加工性が不良であり、
比較例9は有機皮膜厚が多すぎるため、内面側加工性と
溶接性が不良である。 比較例10は有機皮膜中の樹脂
分が少なくシリカが多すぎるため内面側加工性が不良で
あり、 比較例11は有機皮膜中のシリカが少ないため
内面側耐食性が不足している。また比較例2〜6は外面
側のNiめっき層の付着量が少ないため、比較例7〜1
1は外面側のNiめっき層がないため、何れも外面側の
耐チッピング性が不良である。 比較例12と13はそ
れぞれ鋼板が超深絞り鋼板と高強度鋼板であり、内面側
にNiめっき層がないため、めっき密着性が不足し、結
果的に内面側加工性が不良である。比較例14と15は
それぞれ両面のZnめっきとZn−Ni合金めっきであ
り、内面側耐食性その他が不良である。これらに比較す
ると、本発明例は内面側,外面側の性能において何れも
良好な結果を示した。具体的に説明すると、本発明例1
〜6と27及び28はZn系分散めっき層のマトリック
スめっきがZn,その他はZn−NiなどのZn系合金
めっきである。このうち、本発明例27〜30と31〜
34はそれぞれ超深絞り鋼板と高強度鋼板を素地鋼板と
するものであるが、内面側にNiめっき層を有するため
、めっき密着性が良好であり、結果的に内面側加工性が
優れる。内外面のNiめっき層にSを含有するものは、
Niめっき量が少なくても加工性ないしは耐チッピング
性がさらに優れる。本発明例4〜9と17〜20及び3
1〜34はクロメート皮膜が電解型であるため、 外面
側Zn系分散めっき層最表面がクロメートで汚染される
が、最表面の仕上げ処理(本発明例5,7,19,21
,32)もしくは上層めっき(本発明例4,9,33,
34)を行なったものは、無処理のもの(本発明例6,
8,18,20,31)に比べて塗装後耐食性がさらに
良好である。
【0015】
【表1−1】
【0016】
【表1−2】
【0017】
【表1−3】
【0018】
【表1−4】
【0019】
【表1−5】
【0020】
【表1−6】
【0021】
【表2−1】
【0022】
【表2−2】
【0023】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明は、水不溶性微
粒子を含有するZn系分散めっきをベースとし、片側に
クロメート皮膜,有機皮膜を有する両面タイプの高耐食
性表面処理鋼板であり、耐食性が極めて優れ、耐チッピ
ング性,加工性,溶接性にも優れた性能を発揮する。特
に、自動車ボディーの内外面の要求特性を同時に満足し
うるものであることから、自動車材料として好適である
【0024】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高耐食性表面処理鋼板の構成を示す。 1  鋼板 2  付着量10g/m2以上のZn系分散めっき層3
  総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート
皮膜 4  膜厚0.3〜2μの有機皮膜 5  付着量0.05g/m2以上のNiめっき層5′
付着量0.01g/m2以上のNiめっき層6  付着
量10g/m2以上のZn系分散めっき層7  付着量
1g/m2以上のZnめっきもしくはZn系合金めっき
層である。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  鋼板の片面に鋼板側から順に、水不溶
    性微粒子を含有する付着量10g/m2以上のZn系分
    散めっき層,総Cr付着量10〜150mg/m2のク
    ロメート皮膜,膜厚0.3〜2μの有機皮膜が形成され
    、他面には鋼板側から順に、付着量0.05g/m2以
    上のNiめっき層,水不溶性微粒子を含有する付着量1
    0g/m2以上のZn系分散めっき層が形成されたこと
    を特徴とする高耐食性表面処理鋼板。
  2. 【請求項2】  鋼板の片面に鋼板側から順に付着量0
    .01g/m2以上のNiめっき層,水不溶性微粒子を
    含有する付着量10g/m2以上のZn系分散めっき層
    ,総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮
    膜,膜厚0.3〜2μの有機皮膜が形成され、他面には
    鋼板側から順に付着量0.05g/m2以上のNiめっ
    き層,水不溶性微粒子を含有する付着量10g/m2以
    上のZn系分散めっき層が形成されたことを特徴とする
    高耐食性表面処理鋼板。
  3. 【請求項3】  有機皮膜を有さない片面側のZn系分
    散めっき層の上層に、付着量1g/m2以上のZnもし
    くはZn系合金めっき層が形成された請求項1及び2記
    載の高耐食性表面処理鋼板。
  4. 【請求項4】  Zn系分散めっき層が平均粒径3μ以
    下の SiO2, TiO2,Al2O3,ZrO2,
    BaCrO4,PbCrO4からなる水不溶性微粒子の
    うち、1種もしくは2種以上を0.1〜20重量%含有
    する請求項1、及び2記載の高耐食性表面処理鋼板。
  5. 【請求項5】  クロメート皮膜が水可溶分5%以下の
    難溶性クロメート皮膜である請求項1,及び2記載の高
    耐食性表面処理鋼板。
  6. 【請求項6】  有機皮膜がエポキシ樹脂を30重量%
    以上とシリカを5〜50重量%を含有する有機皮膜であ
    る請求項1、及び2記載の高耐食性表面処理鋼板。
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