JPH0424096Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、自動車の排気管にフイルタを設けた
排気ガス清浄装置に関し、特に排気ガス再循環管
路を利用することにより、排気ガスがフイルタの
正逆両方向に選択的に流れるようにしたものであ
る。

従来の技術 自動車エンジンは排気ガス中に、NO_X、COそ
の他の未燃焼成分などを生じるので、エンジンの
吸気系に排気ガスを再循環させたり、排気管にフ
イルタを設けて排気ガスを清浄している。

排気管にフイルタを設けた場合、フイルタに未
燃焼成分が付着し、付着量が増すとフイルタ機能
を損なう。このためフイルタの端面部分にヒータ
を設け、付着した未燃焼成分を燃焼させて排出す
るようにしたものである（特開昭58−140412、実
開昭58−116713）。

考案が解決しようとする問題点 従来のように排気管にフイルタを設けた場合、
フイルタを流れる排気ガスの流れは一方方向だけ
であるので、未燃焼成分はフイルタの上流側端面
にほとんど付着する。このように付着した未燃焼
成分は、ヒータにより燃焼させられるが、この燃
焼時に、フイルタは高温になつて熱応力が作用
し、フイルタに亀裂、溶損等が生じるという問題
があつた。

そこで本考案は、フイルタに付着する未燃焼成
分をヒータで燃焼しても、その燃焼熱の半分程が
フイルタに影響しないようにして、フイルタが損
傷しにくい排気ガス清浄装置を提供することを目
的とする。

問題点を解決するための手段 本考案は、エンジンに連結した排気管に排気ガ
スの再循環管路を設けて、吸気管に排気ガスを再
循環するようになつている。排気管における再循
環管路との接続部より下流から前記再循環管路の
途中に至る分岐管を設け、この分岐管の途中にフ
イルタを設ける。なお、このフイルタにおける再
循環管路側の端面にヒータを接近させて配設する
ことにより、このヒータの加熱作用でフイルタの
端面に付着した未燃焼成分の燃焼を助長させるよ
うにしている。

一方、前記再循環管路と排気管との接続部には
それぞれの管路を選択的に開閉する切換弁を設け
るとともに、前記再循環管路における分岐管との
接続部より下流位置に開閉弁を設ける。そして、
エンジンに設けたトルクセンサ、回転数センサあ
るいは排圧センサなどから出力されたエンジン回
転数あるいは負荷などに関連する信号に基づいて
排気ガスの再循環が必要であるか否かを判断し、
再循環が必要であると判断した時は前記再循環管
路の上流路を閉じるように切換弁を切換保持させ
ると同時に前記開閉弁を開弁保持させる一方、排
気ガスの再循環が必要でないと判断した時は前記
再循環管路の上流端を開くように切換弁を切換保
持させるとともに前記開閉弁を閉弁保持させる制
御装置を設けることにより、エンジンの運転状態
に応じて切換弁及び開閉弁を自動的に切換作動さ
せるようにしている。

作 用 上記手段において、低負荷時には、制御装置に
より切換弁は再循環管路を閉鎖して排気管を開口
する（第１図の状態）。または開閉弁は開放され
る。よつてエンジンから排気管に入つた排気ガス
は、一部が分岐管に流れ、残りは排気管下流に流
出する。分岐管に入つた排気ガスはフイルタを介
して再循環管路に流れ、さらに吸気管に流入す
る。この場合、排気ガス中の未燃焼成分を、フイ
ルタにおける排気管側の端面に付着する。

高負荷時には、制御装置により切換弁は排気管
を閉鎖して再循環管路を開口する（第２図の状
態）。また開閉弁は閉鎖される。よつてエンジン
から排気管上流部に入つた排気ガスは再循環管路
に入り、フイルタ、分岐管を通つて排気管の下流
部に流れる。この場合、フイルタを通る排気ガス
中の未燃焼成分は、フイルタにおける再循環管路
側の端面に付着する。なお、開閉弁は閉鎖されて
いるので排気ガスは吸気管に流れない。

フイルタに付着した未燃焼成分を燃焼させると
きは、高負荷時のように切換弁と開閉弁とが切変
つているときに行なわれる（第３図の状態）。ヒ
ータに通電して高温状態にすると、ヒータがある
方のフイルタ端面の未燃焼成分が加熱されて燃焼
されている。この燃焼ガスはフイルタを通過して
排気管下流側に流れるので、フイルタの他方の面
の未燃焼成分も加熱されることになり燃焼され
る。この場合、フイルタの他方の面の未燃焼成分
の燃焼ガスは、フイルタの通らないのでその分だ
けフイルタは加熱されないことになる。このよう
にフイルタに付着した未燃焼成分が燃焼されてな
くなると、フイルタは再生される。

実施例 本考案を第１図により説明する。エンジン１に
取付けられた排気マニホルド２は、排気ブレーキ
３を介して排気管４に連通される。排気管４の上
流位置に再循環管路５が連通され、再循環管路５
に開閉弁６が設けられる。開閉弁６は後記するよ
うに、エンジンの運転状態に応じて開閉制御さ
れ、図示を省略した吸気管に排気ガスの一部が供
給されるようになつている。

排気管４における再循環管路５との接続部より
下流に一端を接続した分岐管７の他端を、開閉弁
６より上流の再循環管路５に接続し、この分岐管
７の途中にフイルタ８を設ける。従つて、分岐管
７を通る排気ガスに含まれている未燃焼成分は、
フイルタ８に付着して排気ガスから分離（除去）
される。フイルタ８における再循環管路側にヒー
タ９が設けられ、ヒータ９は図示を省略した電源
により加熱されるようになつている。

再循環管路５と排気願４との接続部に切換弁１
０が設けられ、この切換弁１０は、排気管４を
開、再循環管路５を閉にする状態と、排気管４を
閉、再循環管路５を開にする状態とに選択的に切
換えられるようになつている。なお、切換弁１０
が排気管４を閉鎖する状態では、少しすき間が生
じるようにしてエンジンに悪影響が生じないよう
になつている。

切換弁１０と前記開閉弁６とは、電気的制御装
置１１により切換制御される。制御装置１１は、
エンジンの回転数センサ１２とトルクセンサ１３
からの信号により低負荷状態と高負荷状態とを検
出して、低負荷時に切換弁１０と開閉弁６とを第
１図の状態に切換えて排気ガスを吸気管に再循環
させるようになつている。なお高負荷時には、制
御装置１１により第２図の状態に切換弁１０と開
閉弁６とが切換えられる。

このように構成された排気ガス清浄装置におい
て、制御装置１１からの信号に基づいて開閉弁６
及び切換弁１０が第１図に示すように切換保持さ
れている時は、エンジン１から出た排気ガスが同
図に矢印で示すように排気管４を通つて切換弁１
０より下流に至り、この排気管４を流れる排気ガ
スの一部が分岐管７に流入する。分岐管７に流入
した排気ガスは、この分岐管７に設けられている
フイルタ８による濾過作用を受けた後に再循環管
路５に流入し、この再循環管路５から開閉弁６を
経て図示しない吸気管に流入する。従つて、この
状態では分岐管７を通る排気ガスに含まれていた
未燃焼成分が主としてフイルタ８における排気管
側の端面に付着する。なお、分岐管７に流入しな
かつた残りの排気ガスは従来同様の排気処理作用
を受けて大気中に放出される。

一方、エンジン１の運転状態の変化にともなつ
て開閉弁６及び切換弁１０が第２図に示すように
切換制御されると、エンジン１から出た排気ガス
が切換弁１０の案内作用を受けて再循環管路５に
流入し、この再循環管路５から分岐管７を通つて
切換弁１０より下流の排気管４に戻され、この排
気管４から図示しない排気処理装置を経て大気中
に放出される。従つて、排気ガス中に含まれてい
た未燃焼成分が分岐管７を通過する過程において
フイルタ８に付着除去されるために、大気中に放
出される排気ガスに多量の未燃焼成分が含まれる
ようなことがない。なお、このような未燃焼成分
の除去作用が進行するにつれてフイルタ８が次第
に目詰りを起こしてエンジンの排圧が上昇するこ
とが考えられるが、切換弁１０を第２図に示すよ
うに切換作動させている時であつても排気管４側
に僅かな隙間を確保しているために、排圧が異常
に上昇してエンジン１に悪影響を及ぼすことはな
い。

さらに、フイルタ８の再生時にも開閉弁６及び
切換弁１０を第２図に示す場合と同様に切換保持
させるが、この場合は第３図に示すようにヒータ
９を作動させる。すると、ヒータ９の加熱作用を
受けてフイルタ８の端面に付着している未燃焼成
分が燃焼し、この燃焼熱でフイルタ８の内部及び
下流側の端面に付着している未燃焼成分も燃焼す
るが、フイルタ８の下流側の端面に付着している
未燃焼成分の燃焼にともなう高温のガスはフイル
タ８を通過することなく分岐管７から排気管４に
直接に流出する。従つて、再生にともなつてフイ
ルタ８に加えられる熱エネルギは排気ガスの再循
環が必要でない領域でフイルタ８に付着した未燃
焼成分の燃焼による熱のみであり、排気ガスの再
循環時に付着した未燃焼成分の燃焼熱はフイルタ
８に対して実質的に加熱作用を行わない。

よつて、排気ガス中の未燃焼成分の除去能力を
低下させることなく再生にともなつてフイルタ８
に加えられる熱応力を大幅に減少することがで
き、フイルタ８の亀裂あるいは溶損などを予防す
ることができる。

上記ではエンジンの運転状態を電気的に検出し
たが、排気管に排圧センサを設けて運転状態を検
出し、切換弁と開閉弁とを制御するようにしても
よい。また排気ガス再循環とその停止とは、制御
装置の設定条件を変えることにより、適宜の運転
状態で切換えられる。

考案の効果 以上の通り本考案は、排気ガス再循環管路を利
用することにより、排気管に設けたフイルタを排
気ガスが正、逆両方向に流れるようになつてい
る。そしてフイルタの両端面に付着した未燃焼成
分を、フイルタの片側端面に設けたヒータで加熱
燃焼させることができるが、この場合、一方の端
面の未燃焼成分の燃焼ガスのみがフイルタを通過
するようになつているので、フイルタにかかる熱
応力を低減できて、亀裂、溶損等を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の排気ガス清浄装置の系統図、
第２図は同装置の高負荷時の説明図、第３図は同
装置のフイルタ再生時の説明図である。 ４……排気管、５……再循環管路、６……開閉
弁、７……分岐管、８……フイルタ、９……ヒー
タ、１０……切換弁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) エンジンに連通した排気管から再循環管路を
   介して吸気管に排気ガスを再循環するようにし
   た排気ガス清浄装置において、排気管における
   再循環管路との接続部より下流から再循環管路
   の途中に至る分岐管と、この分岐管の途中に設
   けたフイルタと、前記排気管と再循環管路との
   接続部に設けられてそれぞれの管路を選択的に
   開閉する切換弁と、前記再循環管路における分
   岐管との接続部より下流位置に設けた開閉弁
   と、エンジンの運転状態に基づいて排気ガスの
   再循環が必要であると判断した時は前記再循環
   管路の上流端を閉じるように切換弁を切換保持
   させて前記開閉弁を開弁保持させる一方、排気
   ガスの再循環が必要でないと判断した時は前記
   再循環管路の上流端を開くように切換弁を切換
   保持させるとともに前記開閉弁を閉弁保持させ
   る制御装置とを備えてなる排気ガス清浄装置。 (2) フイルタの再循環管路側にヒータを設けた実
   用新案登録請求の範囲第１項に記載の排気ガス
   清浄装置。