JPH042262Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、装飾パネルユニツトに係り、特にタ
イル張りの下地となるパネル本体と、これに装着
するタイルとからなる装飾パネルユニツトに関す
るものである。

〔従来の技術〕

従来、建築物のタイル張り工事では、下地壁の
付設およびタイルの張り付け等、専門業者によら
なければならない複雑な施工工程を必要とし、そ
のため工期が長くなつたり、また工事費高騰の一
因となつている。また、タイルを下地壁に張り付
ける寸法を正確に割り出しつつ、モルタルで張り
付ける湿式工法などでは、熟練を必要とし、さら
に建物が古くなつたり、地震等の震動が加わると
タイルがはがれて、脱落して事故となるなどの欠
点があつた。

これに対し、タイル係合部としてのガイドレー
ルを有する金属製パネルを別に構成しておき、こ
れにタイルを装着して装飾壁を構成する工法も知
られている。しかし、従来のこの種装飾壁は、ガ
イドレールとその両端に谷を有する凹凸状の金属
製パネルを、平面を出しながら取付け、対象位置
に確実に固定するのが困難であつた。

さらにタイルを金属製パネルの所定位置に取付
けるためにガイドレールに沿つてスライドさせる
必要があり、作業性が悪いという欠点があつた。
また、従来のタイルの係止構造によるとタイルの
大きさが、金属製パネルに設けるガイドレールの
幅に限定され、ガイドレール幅より大版のタイル
を使用することができず、装飾壁として変化に乏
しいという欠点があつた。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案が解決しようとする課題は、従来の金属
製パネルにタイルを取付ける装飾壁は、金属製パ
ネルの取付けが困難であるとともに、タイルの装
着作業性が悪く、しかも変化に富む装飾壁面の構
成が困難であるという点である。

〔課題を解決するための手段〕

本考案に係る壁面装飾パネルユニツトは、パネ
ル本体と、このパネル本体に固定するタイルとか
らなり、パネル本体には所要の幅、厚さ、長さを
有する一枚の金属板をロールフオーミング等によ
り折り曲げて角山状のガイドレールと谷を交互、
且つ平行間隔に複数条形成し、ガイドレールは、
金属板を直角に折り曲げた立上げ部の上端を谷方
向に張り出してその先端を上に折り返してなるフ
ランジと、左右のフランジ間に位置するカマイド
レール頂面に形成した凹状のリブを有し、該リブ
を止め金具の貫通面とし、一方、タイル裏面に所
定の間隔を離して長手方向と直角の断面がほぼＬ
字状の係止突片を複数個設け、この係止突片とタ
イル裏面との間に形成される係止溝をガイドレー
ルのフランジに係合自在に設け、複数の係止突片
の間隔は、複数のフランジ間にその前面から傾斜
させて落とし込み可能に設け、パネル本体に装着
したタイル間に目地剤を充填してなる構成を特徴
とする。

前記複数の各係止突片は、その鉤状部を互いに
背面方向に設けると共に、係止突片により成形さ
れる係止溝の一方を深く、他方を浅く構成すると
よい。また、複数の各係止突片は、その鉤状部を
同じ方向に構成してもよい。

〔実施例〕

以下本考案の実施例を第１図〜第８図を参照し
て説明する。

１はタイル取付けの下地となるパネル本体であ
る。このパネル本体１は、所要の幅、厚さ、長さ
を有する１枚の金属板を基材として、ロールフオ
ーミングや押し出し成型等により成形し、さらに
このパネル本体１にはガイドレール２としての角
山と、谷３を交互に、且つ平行等間隔に複数条形
成する（第１１図）。前記角山の形状は、谷部底
面より直角に立ち上げたうえ、上端を平らな頂面
として構成するのが一般的であるが、タイルの取
付け形状またはパネルに複合する断熱防音材との
取り合わせ等によつて、鋭角または鈍角に立ち上
げることも任意である。

さらに説明すると、図に示すガイドレール２と
しての角山は、谷３の両端に直角の立上げ部５を
設け、立上げ部５の上端を谷側に水平に突出さ
せ、さらに180度折り返してフランジ２ａを形成
し、且つ左右のフランジ２ａの中間部に下方に凹
んだリブ２ｂを形成して構成される。前記のリブ
２ｂは、ガイドレール２の頂面の中央部に位置
し、ビスや釘等を貫通させる止め位置として用い
られると同時に、補強リブとしてパネル強度を向
上させる機能を有するものである。

前記パネル本体１に装着するタイルは方形であ
り、このタイルを大小任意の組合わせで使用でき
るが、いずれのタイルの裏面にもガイドレール２
に係合できる係合溝を有している。さらに説明す
ると、第２図のタイル７の裏面で、且つ第１図示
のガイドレール３の頂面フランジ幅に対応させた
位置に所定の間隔をおいて、鉤状部に互いに背面
方向に向けてほぼＬ字形に曲げた長尺の係止突片
８ａ，８ｂを設け、この係止突片８ａ，８ｂとタ
イル７の裏面との間に開口部が両外側を向いた係
止溝９ａ，９ｂを形成している。

前記のタイル７において、その長さ、幅方向の
寸法は任意であるが、左右の係止突片８ａ，８ｂ
の間隔は、係止溝９ａ，９ｂをガイドレール２の
頂面フランジ２ａに係止させたときの納まり、寸
法に合わせて一定の寸法間隔に設けることが必要
である。

第３図に示すタイル１３の裏面には、所定の間
隔をあけてほぼＬ字状に曲げた長尺の係止突片１
４を、その鉤状部を同じ方向に向けて設けてあ
る。このタイル１３においても、その長さ、幅方
向の寸法は任意であるが、第２図の場合と同様、
左右の係止突片１４の間隔は、係止溝１５をガイ
ドレール２の頂面フランジ２ａに係止させたとき
の納まり寸法に合わせて一定の寸法間隔に設ける
ことが必要である。

パネル本体１にタイル７，１３を装着する実施
例を第４図、第５図を参照して説明する。

パネル本体１を柱や胴縁、下地壁等の取付部に
当てがつて仮配置したうえ、このパネル本体１を
取付けるべき水平壁又は垂直壁に合わせて釘やボ
ルト、ビス等の止め金具１８を凹状リブ２ｂの位
置に打ちつけ、ガイドレール２を取付部にしつか
りと固定する。この場合、装飾目的面の大きさや
形状に応じて、パネル本体１を必要枚数継ぎ足し
ながら配置固定するが、山形に盛り上がつたガイ
ドレール頂面の位置を止め金具１８で止めるた
め、パネルの一番高い部位が押えられることにな
り、谷部を含めパネル全体が均等に押えられる。
これによりパネル本体１の水平や垂直がとり易
く、しかも、パネル本体１による壁面に凹凸のな
い下地造りが可能である。

パネル本体１は、長手方向には長尺に加工する
ことができる。また、短尺のパネル本体１を何枚
も継ぎ合わせて使用する場合であつても、規格を
統一したパネルを用いることにより、それぞれの
パネルのガイドレール２の通り心を整えることが
容易なので、どんなに大きい壁面でも、その集合
体が一枚のパネルと同様に構成される。パネル本
体１を垂直壁面に施工する場合、下方から順に上
方に張り上げる状態に施工すると、各パネル間の
取り合い部（接続部）は、上から重ねられるので
水切りがよい。また、たてジヨイントはパネル本
体１の下地に水切り板を入れ、水を外側に導き排
水するので、壁面からの雨仕舞いは完璧となる。

このようにして下地造りの終了したパネル本体
１にタイル７，１３を取付けるには、各タイル裏
面の係止突片８ａ，８ｂ，１４をガイドレール２
のフランジ２ａに係合させるものである。まず、
第２図のタイル７にあつては、左右の係止溝９
ａ，９ｂの深さがやや異なつており、パネル本体
１の前面にタイル７を少し傾斜して位置させたう
え、深い係止溝９ａの奥まで一方のフランジ２ａ
を挿入させる。次に他方の係止溝９ｂをパネル本
体１の谷部３に落とし、その後、タイル７を少し
移動させることにより、左右の係止溝９ａ，９ｂ
を左右のフランジ２ａ，２ｂに同じ深さに係合さ
せ、いわゆるはめ殺し状に保持させることができ
る。また、タイル７とタイル７の間は目地剤２０
で押しつけることで一層安定し、緊定のための止
め金具や接着剤を用いなくてもタイル７のパネル
本体１への固定装着が可能である。

なお、タイル１３の場合は、タイル裏面の２つ
の係止溝１５，１５が同一方向を向いているの
で、該タイル１３を斜めに傾けてパネル本体１の
谷３に落とした後、タイル１３を水平位置の姿勢
のなおしながら一方にずらすことにより、左右の
係止溝１５，１５を左右の各フランジ２ａ，２ａ
に係止できる。なお、目地剤２０をタイル１３，
１３間に充填することは、前記タイル７の場合と
同じである。

なお、一旦取付けられたタイル７，１３は係止
突片８ａ，８ｂ，１４がフランジ２ａから外れな
い限り、決してパネル本体１から脱落することは
ないが、さらに一層安定させるためには、タイル
裏面と、ガイドレール２の頂面とを補助的に接着
剤で点付けして固定することも可能である。一
方、壁面の補修などで装飾用のタイルを取外す場
合は、当該タイル７，１３の上辺の目地剤２０を
除去した後、タイルを嵌合時と逆に、つまり、係
止溝９ａ，９ｂ，１５がフランジ２ａから外れる
方向にスライドさせ、係止突辺８ａ，８ｂ，１４
をフランジ２ａから外して取り出すことができ
る。また再び装着する場合は、これと反対の順で
簡単に施工できるので便利である。

第４図と第５図は、第２図と第３図に示すタイ
ル７，１３を垂直配置したパネル本体１に装着し
た状態の断面図である。各図から分かるように、
本考案においては、タイル７，１３自体の大きさ
に関係なく係止突片８ａ，８ｂ，１４をガイドレ
ール２，２の幅に合わせて設けている（これがタ
イルの両端面に係止溝を設ける従来のタイルと大
きく異なる点である。）ので、タイル自体はガイ
ドレール２，２の幅に関係なく大版のものを用い
ることができる。勿論、大版と小版のタイルの合
わせにより種々の模様の装飾壁面を構成すること
もできる。

さらに説明すると、第４図の場合、タイル裏面
の左右一対の係止突片８ａ，８ｂは中間に位置す
る一つのガイドレール２を飛びこして設けてあ
り、中間のガイドレール２の両隣に位置するガイ
ドレール２のフランジ２ａに係合させている。第
５図において、タイル１３は、その裏面の左右一
対の係止突片１４，１４の間隔に関係なく、それ
より大幅に設けてある。すなわち、左右一対の係
止溝１４は、相隣合う２つのガイドレール２，２
の各フランジ２ａに係止させているのに対し、タ
イル１３は前記相隣合う２つのガイドレール２，
２をまたいでさらに隣のガイドレール２にまで伸
びる大きさに設けられている。

このように、本考案においては、係止突片１
４，１５をガイドレール２，２の間隔に合わせて
設けておけば（なお、係止突片８ａ，８ｂ，１４
は隣合うガイドレール２に限らず、一つおき、あ
るいは二つおきのガイドレール２に係合させても
よい）タイル自体の大きさは全く任意であり、装
飾壁面を構成するに際しても、大小のタイルを組
合せて変化に富む装飾壁面を構成できることはい
うまでもない。タイル間の目地には目地剤２０を
充填することにより、タイルのずれ動きを防止
し、且つ防水性を保たせている。

第７図、第８図はパネル本体１の他の実施例で
ある。第７図のパネル本体１において、ガイドレ
ール１６のフランジ１６ａ，１６ｂのうち、一方
のフランジ１６ｂを谷３側に傾斜させている。こ
のように構成すると、タイル７の一方の係止溝９
ｂをフランジ１６ｂに嵌合した場合、このフラン
ジ１６ｂが係止溝９ｂをパネル本体１の谷３側に
押し下げるように作用し、他方の係止溝９ａは他
方のフランジ１６ａを押し上げる状態となる。よ
つてタイルの固定にガタつきがなく、一層強固に
パネル本体１にタイル７，１４を固定できるとい
う効果がある。

第８図のパネル本体１において、ガイドレール
２のフランジ１７ａ，１７ｂのうち、一方のフラ
ンジ１７ａの裏面を凸状にふくらませて、タイル
７の係止溝９ｂの溝幅より若干大きい突出部イを
設けている。この突出部イは、タイル裏面の係止
溝９ｂをフランジ１７ａに嵌合する場合、この突
出部イで一方の係止溝９ｂを押圧することによ
り、フランジ１７ａと係止溝９ｂとの摩擦接合力
を増し、タイル７をしつかりと固定するという効
果をもつ。

本考案に係る壁面装飾パネルユニツトにおい
て、ガイドレール２をどの方向に向けてタイル
７，１３を取付けても、タイル７，１３はパネル
本体１から離脱するおそれがなく、様々なデザイ
ンの装飾壁面を構成することができる。パネル本
体１には、事前にタイル７，１３を装着して壁面
に取付けることもでき、工程の省力化にも役立
つ。本考案のパネルユニツトは、垂直壁面や間仕
切り壁、あるいは天井面、床面などの水平壁面に
利用できる。このパネルユニツトによるタイル壁
施工は、下地となるパネルの取付けさえできれ
ば、新設工事のみでなく、改修工事や仮設工事に
も簡単・確実に使用できる。

〔考案の効果〕

本考案に係る壁面装飾パネルユニツトによると
次の諸効果がある。まず、タイル取付用のパネル
本体は、一枚の金属板による折り曲げ成形のた
め、防水性が完全である。また、ガイドレールは
角山状とし、ガイドレール頂面に凹状のリブを設
けてあるので、このリブによりガイドレールが補
強される。しかも、リブを止め金具の貫通面とし
ているので、全体として凹凸状のパネル本体の凸
の部分が押さえられ、その力が凹み部にまでおよ
び、谷部などが浮き上がることがない。よつてパ
ネル全体の平面を出し易いという効果がある。さ
らに、止め金具の頭部がガイドレール頂面から突
出せず、この頭部にタイル裏面がぶつかることも
なくて、施工上好都合である。さらに、タイルの
裏面に係止突片を設けているので、係止突片をガ
イドレールの幅寸法に対応させて設けておけば、
タイル自体の寸法は、ガイドレール幅に制限され
ず、大版とすることも自在であり、大小種々のタ
イルを組み合わせて変化に富む装飾壁面を構成す
ることが容易である。さらに、タイル裏面の係止
突片はパネル本体の前面からガイドレールのフラ
ンジに着脱自在に係合できる寸法関係に構成して
あるので、タイルのパネル本体の着脱が容易で、
施工作業を迅速に行えると共に、出隅、入隅部に
おけるタイルの取付け作業を無理なく行うことが
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図はパネル
本体の斜視図、第２図、第３図はタイルの２つの
実施例を示す側面図、第４図、第５図はそれぞれ
第２図と第３図示のタイルをパネル本体に取付け
た状態の断面図、第６図は正面図、第７図、第８
図はパネル本体の他の実施例の側面図である。 １……パネル本体、２……ガイドレール、２ａ
……フランジ、２ｂ……凹状のリブ、３……谷、
５……立上げ部、７，１３……タイル、８ａ，８
ｂ，１４……係止突片、９ａ，９ｂ，１５……係
止溝、１８……止め金具、２０……目地剤。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) パネル本体と、このパネル本体に固定するタ
   イルとからなり、パネル本体には、所要の幅、
   厚さ、長さを有する一枚の金属板をロールフオ
   ーミング等により折り曲げ成形して角山状のガ
   イドレールと谷を交互、且つ平行間隔に複数条
   形成し、ガイドレールは、金属板を直角に折り
   曲げた立上げ部の上端を谷方向に張り出しその
   先端を折り返してなるフランジと、左右のフラ
   ンジ間に位置するガイドレール頂面に形成した
   凹状のリブを有し、該凹状のリブを止め金具の
   貫通面とし、一方タイル裏面に所定の間隔を離
   して長手方向と直角の断面がほぼＬ字状の係止
   突片を複数個設け、この係止突片とタイル裏面
   との間に形成される係止溝をガイドレールのフ
   ランジに係合自在に設け、複数の係止突片の間
   隔は、複数のフランジ間に、その前面から傾斜
   させて落とし込み可能な寸法に設け、パネル本
   体に装着したタイル間に目地材を充填してなる
   構成を特徴とする壁面装飾パネルユニツト。 (2) 複数の各係止突片の鉤状部を互いに背面方向
   に設けると共に、係止突片により形成される係
   止溝の一方を深く、他方を浅く構成したことを
   特徴とする登録請求の範囲第１項記載の壁面装
   飾パネルユニツト。 (3) 複数の各係止突片の鉤状部を同じ方向に設け
   た構成を特徴とする登録請求の範囲第１項記載
   の壁面装飾パネルユニツト。