JPH0422202Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は天井吊形等、室内の高所に設置して
冷・暖房を行わせる空気調和機の空気吹出部構造
に関する。

（従来の技術） 空気吹出部に風向きを調節する風向調節羽根を
有する天井吊形の空気調和機は、実開昭56−
82445号公報等によつて公知であり、吹出グリル
の風案内板片の上半部を水平向き、下半部を斜め
下向きにさせると共に、吹出グリルの内方には、
調和空気を冷房時は水平方向の気流に、暖房時は
斜め下方向の気流に整流する風向調節羽根を設け
た構造を有している。

この種の空気調和機は天井に取付けた場合、暖
房時は暖気をなるべく床の方向に送るように、風
向調節羽根８を第３図イに略示するように水平に
対して大きい急角度にすることが望ましく、一
方、冷房時は冷気の到達距離を稼ぐために、前記
羽根８を第３図ロの如く水平にするのが望まし
い。

なお、何れの場合も吹出風速がある程度大きく
なるのが望ましいことは言うまでもない。

（考案が解決しようとする問題点） ところで上述する構造の空気調和機において、
暖房時に風向調節羽根８の水平方向に対する角度
を大きくすると吹出風向きは下方に大きく変るこ
とはもとより吹出部で風が絞られるために吹出風
速も大となり、気流分布の点で向上が期される
が、冷房時に在室者に直接冷風を当てる局所冷房
を行わせたいために暖房時と同じように風向調節
羽根８の水平方向に対する角度を大きくした場
合、吹出部の霜付き現象を起こすことになるの
で、従来のこの種空気調和機では風向調節羽根８
の曲げ角度に限界があり、風向調節巾が大きくと
れなかつた。

この場合、吹出部に霜付きが発生するのは、室
内の温度の高い空気が対流によつて冷却された吹
出グリルの風案内板片と接触し露点以下まで冷却
されることが原因として挙げられる。

このような従来の問題点を改良するべく本考案
と成されたものであつて、風向調節羽根に対し、
斜め下吹出しに調節した場合でも、一部の風を吹
出グリルの上段側から前方の水平に吹出させ得る
風案内片を設けてなることによつて、吹出グリル
部分において温度が高い空気との接触を断たせ、
もつて霜付きの防止を果して斜め下向きの冷風吹
出しを可能ならしめることを考案の目的とする。

（問題点を解決するための手段） そこで本考案は実施例を示す図面により明らか
な如く、吹出グリル２を有するケーシング１に、
冷房時は冷却器、暖房時は加熱器として夫々作用
させる室内側コイル５を内蔵すると共に、前記室
内側コイル５通過後の空気を水平方向又は斜め下
方向の気流に整流する風向調節羽根８を吹出グリ
ル内方の空気通路中に配設してなる空気調和機に
おいて、前記吹出グリル２の内方に位置する前記
風向調節羽根８に対しその上面側前部に、該羽根
８が斜め下方向に指向したとき水平方向に指向し
得る如く、風案内片９を斜め交叉させて一体的に
設けてなる構成を有せしめたものである。

（作用） 本考案は前記風案内片９が斜め下向きに吹出さ
せようとする空気の一部を水平方向に転じて吹出
グリル２の上段側から前方に吹出させることが可
能となり、従つて斜め下吹出しの冷房運転の際
に、室内を上昇する高温空気と冷風との接触領域
を吹出部から遠く前方に隔てさせることが可能と
なり、霜付きを防止して風向調節羽根８の下向き
角度を従来よりも大きくとることにより、局所冷
房に利用することができる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を添付図面にもとづいて
詳述する。

第１図において１はケーシングで横長で高さが
低い形状をなし、前面には吹出グリル２が設けら
れると共に、下面後部には空気吸込口３が設けら
れている。

このケーシング１内には空気吸込口３側から吹
出グリル２側に向つて押込方式のフアン４と室内
側コイル５とが順に配置されて収容されており、
前記フアン４を運転させることにより、空気吸込
口３から吸込まれた室内空気は室内側コイル５を
通過した後、吹出グリル２から前方に吹出され
る。

室内側コイル５はドレン受６上に搭載されて、
前傾姿勢をとり斜設させていて、流通空気との接
触面積が大きくなるようにさせており、一方、ド
レン受け６は吹出グリル２側の前縁壁を他部より
も高くさせて室内側コイル５を通過した空気を絞
らせて吹出グリル２から吹出させるようになつて
いる。

前記吹出グリル２には風案内板片７が上下方向
に複数段設けられていて、上段側の一部７ａを水
平向きに、その他７ｂを斜め下向きにさせて固定
している。

さらに、ケーシング１内には、室内側コイル５
の前方で、かつ、吹出グリル２の内方に風向調節
羽根８を配設しているが、この羽根８は例えば左
右方向が長く、奥行方向が短い板の左右両端中央
部を回動可能に軸支させて、板面が水平状態から
斜め前下りの斜行状態の間、任意の角度をとつて
固定し得るように配設される。

前記風向調節羽根８は吹出グリル２の内方で上
下方向の略々中間位置に１基設ける図示例のほか
に、上下に複数基配設して羽根傾き角度を連動的
に調節し得る構造のものとなしても勿論差支えな
い。

ところで上記風向調節羽根８において、水平向
きの前記風案内板片７の内方に位置するものに
は、第１図及び第２図に図示する如く、風案内片
９を一体に付設して有するが、この風案内片９は
前記羽根８の上面側前部に斜め交叉させて突設せ
しめており、この交叉角度は前記羽根８を斜め下
方向に指向させたときに水平方向に指向し得る如
く所定の値に設定している。

上述する吹出部構造を有する空気調和機は、暖
房と冷房とを問わず、風向調節羽根８を斜め下吹
出しの方向に傾けると、室内側コイル５を通過し
た調和空気は前記羽根８によつて斜め下向きに方
向が調節され、しかも吹出グリル２の直前で絞ら
れる結果、到達距離が長くて急角度の下向きに方
向転換した風が下半部の風案内板片７から吹出さ
れるようになる。

なお、室内側コイル５を通過した調和空気の一
部量、すなわち風向調節羽根８の上方側に存する
狭い通路を流通する少量の空気は、風案内片９に
よつて水平方向に導かれ、さらに水平向きの上半
部風案内板片７により水平方向に風向きが揃えら
れて吹出グリル２から前方に吹出すようになり、
特に冷房運転の場合、温度の高い上昇気流が天井
に達したところで吹出グリル２から水平に吹出さ
れる冷気と接することになるが、この接点は吹出
グリル２から前方に可成り遠く離れた位置になる
のは当然であつて、かくして暖気が低温の吹出グ
リル２各部に接触しなくなるために霜付きの現象
が発生しなくなると共に、前記羽根８の曲げ角度
を大きくとつて床面への局部的な冷風吹出しを何
等問題なく行わせることが可能である。

（考案の効果） 本考案は室内側コイル５を通過した空気の一部
量を水平方向に導かせる風案内片９を設けたか
ら、冷房時の下方吹出しを行わせた際に、霜付き
の原因である吹出グリル２低温部と暖気との接触
が生じないように水平吹出し冷気により暖気を吹
出グリル２に近付かせなくすることが可能とな
り、その結果、霜付きを未然に防止し得る。

また、吹出し空気の曲げ角度を大きくとつて床
面に向けて暖気送風が可能であるので暖房時の室
内気流分布を向上させることもできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の１例に係る略示側面図、第２
図は第１図における要部の斜視図、第３図イ，ロ
は従来の天井吊形空気調和機における暖房時と冷
房時の風向調節羽根による気流分布の差違を示す
説明図である。 １……ケーシング、２……吹出グリル、５……
室内側コイル、８……風向調節羽根、９……風案
内片。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吹出グリル２を有するケーシング１に、冷房時
   は冷却器、暖房時は加熱器として夫々作用させる
   室内側コイル５を内蔵すると共に、前記室内側コ
   イル５通過後の空気を水平方向又は斜め下方向に
   気流に整流する風向調節羽根８を吹出グリル２内
   方の空気通路中に配設してなる空気調和機におい
   て、前記吹出グリル２の内方に位置する前記風向
   調節羽根８に対しその上面側前部に、該羽根８が
   斜め下方向に指向したとき水平方向に指向し得る
   如く、風案内片９を斜め交叉させて一体的に設け
   てなることを特徴とする空気調和機。