JPH0422192Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、半導体製造工場、製薬工場、微生物
を取扱う研究所など各種の産業用、研究用分野に
要求される部屋をクリーンルームとするために、
部屋の上部にクリーンエアを部屋内に吹き出すた
めの、いわゆるクリーンルーム用天井に関する。

（従来の技術） 従来の此種天井は、横断面が矩形である長手の
格子棧から成る格子状支持体から成り、その上面
に、各格子孔を閉塞して各エアフイルタを気密に
載置したものである。

第１図は、その天井の１部を示し、第２図は、
その使用時の作動を示す。図面でＡは縦横に交叉
する多数の格子棧ａ，ａ……から成る格子状支持
体、ｂはこれら格子棧ａ，ａ……により囲繞され
たエア吹出用の格子孔を示し、該格子状支持体Ａ
は、その外周の格子棧ａ，ａ……で部屋の壁ｃに
気密に固定され、或は懸吊支持杆により天井裏よ
り吊下げて横設されている。ｄは支持体Ａの上面
に、その各格子孔ｂを閉塞して気密に配設された
エアフイルタを示す。

（考案が解決しようとする問題点） 従来の上記クリーンルーム用天井は、その格子
棧ａが横断面が正四角形又は矩形の断面四角形の
ため、第２図示の如く、天井裏より上方によりエ
アを圧送し、各エアフイルタｄにより塵埃を過
しクリーンエアとしてその下面の各格子孔ｂを介
して部屋内に吹き出させてその吹き出したクリー
ンエアを部屋から天井裏にもどして再びこれをエ
アフイルタｄを介して部屋内へ循環供給して、部
屋内をクリーンな状態に維持することを一般とす
るが、この場合、各格子孔ｂを介して下方に吹き
出すクリーンエアは垂直層流を形成して円滑な流
れをつくるが、該四角形の各格子棧ａの下面に
は、クリーンエアの流れにくいデツドスペースを
生じ、又その下面下方の領域に、通常下面幅の２
〜３倍の距離の図示の如くエアの渦流域を生じ、
この格子棧の下面に当初付着している塵埃或は、
その下面に取付けられる照明器具、ガス検出器な
どの器具に付着している塵埃の除去能力が低く、
又塵埃を渦流により巻き上げてその外側の垂直層
流へ乗せにくゝ或は再度塵埃が付着するなどの現
象をもたらし、完全に塵埃を除去するまでに相当
の時間がかゝり、従つて所要の作業可能なクリー
ンルームを得るまでに時間がかゝり非能率である
不都合をもたらす。

（問題点を解決するための手段） 本考案は、かゝる従来のクリーンルーム用天井
の上記欠点を改善し、格子棧下のデツドスペース
や渦流生成域を減少せしめて、短時間で所要のク
リーンルームをもたらし得るクリーンルーム用天
井を提供するもので、部屋の上部空間に、互に交
叉する多数本の格子棧から成る格子状支持体を横
設し、その格子状支持体の上面に、該格子棧によ
り囲繞される多数の格子孔の夫々を閉塞してエア
フイルタを気密に載置して使用に供されるクリー
ンルーム用天井において、格子孔を囲繞する格子
棧をその側面が斜下向きの傾斜面を備え、また下
面が照明器具或いはガス検出器の取付面とした台
形に形成して成る。

（作用） 上記本考案のクリーンルーム用天井は、格子棧
はその横断面が格子孔に対面する側面が斜下向き
の傾斜面を備える台形となつているため、格子棧
の下面へのクリーンエアを流入し易くなり、デツ
ドスペースの減少をもたらし又その下面の幅の減
少に伴いその下方に生ずる渦流域の長さが減少
し、格子棧の下面に取付けた照明器具などに付着
の塵埃をその下面へのクリーンエアの流入増大に
よる除去力を増大すると共にその外側のクリーン
エアの垂直層流による搬送除去が迅速に行なわれ
る。

（実施例） 次に本考案の実施例を添附図面につき説明す
る。第３図及び第５図は本考案実施の１例のクリ
ーンルーム用天井Ｉとその作動状態を示す。該天
井Ｉを構成する格子状支持体Ｉは、多数の縦横に
走る格子棧１，１……から成り、これら格子棧
１，１……により囲繞される矩形状などの方形の
格子孔２，２……を有し、その上面に、その各格
子孔２を閉塞してエアフイルタ３をその下面四周
縁を格子孔２を囲繞する四周の格子棧１，１，
１，１の１側縁上面に気密に載置し、クリーンル
ーム用天井としての使用に用意される。尚、本考
案で用いるエアフイルタ３とはベニア合板、鋼板
等から成る長方形の枠内に例えばガラス繊維とセ
パレーターから成るフイルタ材が挿入されてお
り、また枠周縁の下面にガスケツトおよびシール
材から成る気密部材が取付けられている通常エア
フイルタと称するものであり、そして格子棧の縁
上面に載置した際、エアフイルタの枠周縁の下面
に取付けられている気密部材が格子棧の縁上面に
密接して両者間が気密状態に維持される。

４は、格子状支持体Ｉをその外枠棧を介して気
密に固定支持する部屋の壁、５は天井裏から延び
該支持体Ｉをその交叉部で懸吊支持する吊杆、６
は載置フイルタを固定する交叉部に吊杆５と一体
に設けた十字状の案内ストツパーを示す。本考案
によれば、この格子棧１は第４図に明示の如くそ
の横断面形状を該格子孔２に対面する側面が斜下
向きの傾斜面７を備える台形に形成し、該台形の
狭幅下面１a₁を照明器具或いはガス検出器の取付
面８に形成したものである。図示の実施例の場
合、格子棧１は、鋼材、アルミニウム材など任意
の材料から成形された中空の長手棧部材１ａから
成り、この各長手棧部材１ａは、同じ材料からつ
くられた十字状、Ｔ字状或はＬ字状の交叉状の継
手部材１ｂを介して連結して、格子棧に形成され
る。更に詳細にはその端部を、該継手部材１ｂの
中心部から十字状、Ｔ字状或はＬ字状に延びる嵌
合腕１b₁に嵌合して、前記の格子状支持体Ｉを構
成する。

尚、図示しないが、その相互嵌合部は、鋲止め
により締付固定される。かくして、本考案によれ
ば、この長手棧部材１ａは、第５図に示すよう
に、例えば横断面形状を両側面を傾斜面７，７と
した台形としたものを作成し、その傾斜面７，７
を斜下向きにし、幅の狭い側の面１a₁を下面とな
るように設置する。これに関連し、継手部材１ｂ
の嵌合腕１b₁も図示のようにその横断面を台形と
したものを作成し、これに前記台形の長手棧部材
１ａの１端を嵌合するようにする。その幅の広い
上面１a₂の寸法は、例えば80mmその狭幅の下面１
a₁は60mmとし、その上下面の垂直距離は40mmとす
る。長手棧部材１ａの長さは、その上面に載せる
エアフイルタの寸法、形成すべき格子孔の寸法に
より異なることは勿論で、従来600×1200mmのエ
アフイルタを載置するに適したものの他、例え
ば、特に、エアフイルタサイズを900×1500mmと
大型化のものを使用することも考えられ、この場
合は、これに応じた夫々長手のものに作成する。
而してこの場合は、１個当りの格子孔はそれだけ
大型となりエアフイルタからのクリーンエアの吹
出し面積を大きくすることができる。

尚、本考案で使用する格子状枠体Ｉの外周枠即
ち壁見切外周辺を構成するものは、格子孔２側の
内側面のみを斜下向き傾斜面７としたもので足り
る。

かくして、かゝる本考案のエアフイルタを載置
する上面に対し側面が斜下向きの傾斜面７を備
え、また下面１a₁が照明器具或いはガス検出器の
取付面８とした横断面が台形の長手棧部材１ａの
みで格子状支持体Ｉを構成することに限定される
ものでなく、従来の横断面が正四角形又は矩形の
断面四角形を有する長手棧部材１ａを組み合わせ
て構成することができ、これら断面が異なる本考
案の長手棧部材と従来の長手棧部材とを交叉連結
する継手部材１ｂは、第６図示の如く、例えば十
字状の４つの嵌合腕１b₁を、これらを嵌合するに
適した断面台形と断面矩形のものとで構成する。
かくして、本考案のクリーン用天井の多数の格子
孔２は、全て或は部分的に、その四周の格子棧１
の少なくとも１本はその側面が斜下向きの傾斜面
７を備え、その狭幅下面１a₁を照明器具或はガス
検出器を取付ける得る取付面８とした台形に構成
される。尚、これら多数の格子孔２のうちの１つ
又はいくつかを、従来と同様に断面四角形の長手
棧部材で四周を囲繞しても本考案の目的を奏する
ことに変りがない。

本考案のクリーンルーム用天井Ｉは、その上面
にエアフイルタを夫々格子孔２を閉塞するべく載
置した状態において、作動せしめると、第４図に
明示の如く、エアフイルタ２で塵埃を過されて
得られるクリーンエアは、その格子孔２を介して
部屋内へ垂直層流として吹き出されるが、その格
子孔２周囲では、本考案の格子棧１はその下面１
a₁の幅が狭いので、この格子棧１の斜下向き傾斜
面７に沿つてその下面１a₁、即ち照明器具、ガス
検出器の取付面８に流れて、それだけその下方に
はデツドスペースが小さくなり、クリーンエアが
流れ込み易いと共に、その下面に生ずる渦流域の
長さや幅も小さくなり、それだけ、格子棧１の下
面に付着の塵埃或はその下面に予め取り付けられ
た照明器具等の器具に付着している塵埃はそのク
リーンエアにより除去されると共に渦流が小さい
ので、その外側の垂直層流（風速例えば0.30m／
ｓ）に容易に乗りはこび去られる。かくして、従
来の格子棧のように、垂直両側面と水平下面をも
つ断面四角形の格子棧のみから成る格子状支持体
天井に比し、塵埃の除去を迅速になし得られ、所
定のクリーンエアのみの部屋を得るまでの時間が
短縮される。

尚、本考案の実施例の下面の幅60mmとした場合
は、その下面に取り付ける照明器具は、その格子
棧１の長手方向に並べて直列２灯式とし、充分な
照明を得るようにすることができ、又クリーンエ
アの渦流生成、塵埃の滞留を可及的に防止するた
め、テイアドロツプ型の完全密閉のものとするこ
とが好ましい。

（考案の効果） このように本考案によるときは、エアフイルタ
を支持する面に対し斜下向きに傾斜する側面を備
え、その狭幅下面に照明器具或いはガス検出器を
取付け得る横断面形状が台形の格子棧により格子
状支持体天井を構成したので、従来の断面が四角
形の格子棧から成る格子状支持体天井に比し、格
子棧下面のデツドスペース、エア渦巻領域の生成
を減少でき、塵埃を垂直層流に乗せて除去し得る
ことを迅速容易になし得られることができ、ま
た、格子棧はその側面が斜下向きの台形であつ
て、その狭幅の下面に照明器具或いはガス検出器
の取付面が形成されているから、該取付面に照明
器具或いはガス検出器を取付けることができ、ま
た、該取付面に照明器具などを取付けても取付面
と該器具との間にデツドスペースが生じないから
該器具などに付着している塵埃をクリーンエアに
より容易に除去できると共に、エア乱流が生じな
い等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のクリーンエア用天井の上面図、
第２図は第１図の−線截断面図、第３図は本
考案実施の１例のクリーンエア用天井の上面図、
第４図は第３図の−線截断面図、第５図は、
その１部の分解斜面図、第６図は変形例の構成部
材の斜面図を示す。 Ｉ……クリーンルーム用天井、格子状支持体、
１……格子棧、１ａ……長手棧部材、１a₁……狭
幅下面、１a₂……広幅上面、１ｂ……継手部材、
１b₁……嵌合腕、２……格子孔、３……エアフイ
ルタ、７……傾斜面、８……取付面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 部屋の上部空間に、互に交叉する多数本の格
   子棧から成る格子状支持体を横設し、その格子
   状支持体の上面に、該格子棧により囲繞される
   多数の格子孔の夫々を閉塞してエアフイルタを
   気密に載置して使用に供されるクリーンルーム
   用天井において、格子孔を囲繞する格子棧をそ
   の側面が斜下向きの傾斜面を備え、また下面が
   照明器具或いはガス検出器の取付面とした台形
   に形成して成るクリーンルーム用天井。 ２ 横断面が台形である長手棧部材の多数本を横
   断面が台形である嵌合腕をもつ継手部材と共
   に、前記格子状支持枠体の全部又は１部の格子
   棧を形成するようにした実用新案登録請求の範
   囲１に記載のクリーンルーム用天井。