JPH04218636A - 着色酸化皮膜形成用アルミニウム合金展伸材及びその製造方法 - Google Patents

着色酸化皮膜形成用アルミニウム合金展伸材及びその製造方法

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JPH04218636A
JPH04218636A JP7715991A JP7715991A JPH04218636A JP H04218636 A JPH04218636 A JP H04218636A JP 7715991 A JP7715991 A JP 7715991A JP 7715991 A JP7715991 A JP 7715991A JP H04218636 A JPH04218636 A JP H04218636A
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Katsushi Ogawa
小川 克司
Fumio Otake
富美雄 大竹
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西沢 昭人
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、陽極酸化処理によって
淡灰色の着色酸化皮膜が表面に形成されるアルミニウム
合金展伸材及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】アルミニウム合金展伸材を建材,器物,
装飾品等として使用するとき、装飾性の付与及び耐食性
の向上を図るため、陽極酸化処理により酸化皮膜を表面
に形成している。アルミニウム合金展伸材の表面に形成
される酸化皮膜は、合金の種類に応じて種々の色調を呈
する。そこで、使用目的やユーザの要望に応えるべく、
合金種類の使い分けが行われている。 【0003】ところが、従来の陽極酸化処理により形成
された着色酸化皮膜は、往々にして不均一な色調になり
易い。また、着色が不安定で、ロットごとに色調変化が
生じる欠点もあった。 【0004】たとえば、Fe及びSiを発色の主成分と
するA1100系アルミニウム合金展伸材では、通常の
陽極酸化処理によって灰色を基調とする酸化皮膜が形成
される。しかし、この系のアルミニウム合金を鋳造する
際、Al3Fe,Al6 Fe,β−AlFeSi,α
−AlFeSi,α−Al(FeM)Si等の金属間化
合物としてFe及びSiが晶出する。なお。Mは、アル
ミニウム合金に不純物として含まれる遷移元素を示す。 これらの晶出物は、合金組成,鋳造条件,その後に引き
続き行われる均質化熱処理,展伸加工条件等によって種
類や存在比率を変化させる。また、場合によっては陽極
酸化処理によって酸化されたり、或いは酸化されずに酸
化皮膜中に残存する。 【0005】これら種々の晶出物の混在は、陽極酸化処
理によって形成された酸化皮膜の斑色や色調不安定の原
因となる。たとえば、酸化皮膜の色調が微妙に変化し、
安定した着色酸化皮膜が得られない。 【0006】着色不安定の原因である晶出物を抑制する
ため、たとえば特開昭60−82642号公報では、ア
ルミニウム合金鋳塊に高温で長時間の加熱処理を施し、
Al−Fe系の金属間化合物を安定なAl3 Feに変
態させることが紹介されている。また、Feを多量に含
有するアルミニウム合金鋳塊に低温の均熱処理を施すこ
とによって、Al6 Fe→Al3 Feの金属間化合
物の変態を防止し、Al6 Feを主体とする金属間化
合物のみを析出させ、濃灰色の陽極酸化皮膜が形成され
たアルミニウム材料を得る方法等が提案されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかし、アルミニウム
合金鋳塊に高温長時間の均熱処理を施す方法は、工業的
にみて生産コストの高いものである。また、この均熱処
理によって生産性が著しく低下する。しかも、陽極酸化
処理で得られる酸化皮膜は、純粋な灰色から程遠い黄色
味を帯びた色調を呈する。更には、僅かな条件変化でも
ロットごとに色調変化が発生するため、鋳塊に対する加
熱条件を厳密に制御することが必要とされる。その結果
、得られた製品の色合せに問題を生じていた。 【0008】他方、低温での均熱処理は、Al−Fe系
金属間化合物の変態を抑制できるものの、鋳造組織の均
質化を十分に行うことができない。そのため、微細で均
一な結晶組織をもった材料が得られず、陽極酸化処理後
の酸化皮膜に帯状の縞模様が発生し易くなる。この点で
、特に均一な色調が要求される用途には、低温均熱処理
による方法を適用することができない。 【0009】本発明は、このような問題を解消すべく案
出されたものであり、加工条件や熱処理条件等による影
響を受けることがない安定な金属間化合物を鋳造段階で
生成させることにより、黄色系等の混色がなく均一な淡
灰色の色調を呈する陽極酸化皮膜を安定して生成するこ
とができるアルミニウム合金展伸材を提供することを目
的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム合
金展伸材は、Si:0.08〜0.50重量%及びFe
:0.15〜0.90重量%を含有し、且つFe/Si
の含有比率が1.4〜2.2の組成を持つアルミニウム
合金であって、α−AlFeSi及び/又はα−Al(
FeM)Siを主とするAl−Fe−Si系金属間化合
物が分散した組織をもち、陽極酸化処理によって淡灰色
の着色酸化皮膜が形成される。 【0011】ここで使用するアルミニウム合金は、Ti
:0.001〜0.10重量%及び必要に応じB:0.
0001〜0.02重量%を含有することができる。ま
た、0.005〜0.1重量%のMgを含有しても良い
。 【0012】このアルミニウム合金展伸材は、Si:0
.08〜0.50重量%及びFe:0.15〜0.90
重量%を含有し、且つFe/Siの含有比率が1.4〜
2.2の組成を持ち、α−AlFeSi及び/又はα−
Al(FeM)Siを主とするAl−Fe−Si系金属
間化合物が分散した組織をもつアルミニウム合金鋳塊を
450〜590℃で1時間以上加熱保持した後、熱間及
び冷間の展伸加工を施すことにより製造される。 【0013】 【作  用】従来の高温長時間の均熱処理及び低温での
均熱処理は、何れも熱処理条件の調整によって安定した
金属間化合物を析出させることを狙って開発されたもの
である。そのため、金属間化合物を完全に安定な形態に
変化させることは実質上不可能であり、色調に悪影響を
与える金属間化合物の残留が避けられない。 【0014】そこで、本発明者等は、鋳造段階において
可及的に単純で且つ爾後の加工条件や熱処理条件等によ
って影響を受けることがない安定な金属間化合物を合金
組成の制御によって生成することができれば、均一な色
調をもつ陽極酸化品膜が形成されるものと考察した。こ
の考察を基にして種々調査・研究を重ねた結果、アルミ
ニウム合金のFe含有量,Si含有量及びFe/Siの
含有比率が金属間化合物の種類及び析出形態に大きな影
響を与えていることを見い出した。 【0015】すなわち、アルミニウム合金鋳塊のSi含
有量,Fe含有量及びFe/Siの含有比率をそれぞれ
0.08〜0.50重量%,0.15〜0.90重量%
及び1.4〜2.2に維持するとき、極く一般的に採用
されている半連続鋳造法でアルミニウム合金を鋳造する
際に、鋳塊中に析出するAl−Fe−Si系の金属間化
合物がα−AlFeSi,α−Al(FeM)Si又は
これらの混合物を主体とするものみ限られる。以下の説
明においては、これら金属間化合物を総称して「α型化
合物」という。 【0016】α型化合物は、比較的安定した化合物であ
る。すなわち、鋳造後に引き続く鋳塊の均熱処理,熱間
加工,加工時の熱処理等をこの種の合金に対し一般的に
採用されている条件範囲内で行うとき、それほど厳密な
条件制御を必要とせず、α型化合物は、変態を起こすこ
となく安定的に存在する。そして、Al−Fe−Si系
の金属間化合物がα型化合物である場合、アルミニウム
合金展伸材に陽極酸化処理を施したときに得られる酸化
皮膜の色調は、黄色系等の他色の混色がなく均質で淡い
純粋の灰色となる。 【0017】以下、本発明で使用するアルミニウム合金
の成分等について説明する。Si:  不可避的不純物
としてアルミニウム合金中に含まれる元素であると共に
、陽極酸化皮膜の色調に大きな影響を与える。Si含有
量が0.5重量%を超えるとき、単体Siの粗大な析出
物が生じ易くなる。この単体Siが合金中に存在すると
、陽極酸化処理によって形成された酸化皮膜は、黒灰色
に発色し、安定した淡灰色の色調を得ることができない
。 そこで、Si含有量の上限を0.50重量%に規定した
。他方、Si含有量が0.08重量%未満になると、陽
極酸化処理による発色が不十分になる。 【0018】Fe:  α−AlFeSi,α−Al(
FeM)Si等のα型化合物を形成し、陽極酸化処理で
形成された酸化皮膜に淡灰色の色調を与える上で、重要
な元素である。しかし、Fe含有量が0.90重量%を
超えるとき、α型化合物以外のAl6 FeやAl3 
Fe等のAl−Fe系金属間化合物が合金組織中に析出
し易くなる。その結果、陽極酸化処理によって得られた
酸化皮膜は、色調が不安定になる。他方、0.15重量
%未満のFe含有量では、陽極酸化処理によって酸化皮
膜を淡灰色に発色させるのに十分な量のα型化合物を合
金中に析出させることができない。したがって、Fe含
有量を0.15〜0.90重量%の範囲に定めた。 【0019】Fe/Siの含有比率:  晶出するAl
−Fe−Si系金属間化合物の大部分をα型化合物とす
るために重要な因子である。Fe/Siの含有比率が2
.2を超えると、Al6 Fe,Al3 Fe等のAl
−Fe系金属間化合物が晶出し易くなる。その結果、陽
極酸化処理によって形成された酸化皮膜は、金属間化合
物の種類や混在比率に応じて色調が変化し、均質な淡灰
色の酸化皮膜をもった着色合金材料が得られなくなる。 逆にFe/Siの含有比率が1.4未満になると、β−
AlFeSiやβ−Al(FeM)Si等のβ型化合物
及び遊離の単体Siが析出し易くなる。これらの析出物
により陽極酸化皮膜が比較的濃い灰色に発色するため、
淡灰色の着色酸化皮膜を安定的に得ることが困難になる
。 【0020】Ti及びB:  任意成分として添加され
るTiは、アルミニウム合金の鋳造組織を微細化して、
酸化皮膜の着色を均質にする作用を呈する。このTiの
作用は、Bを添加したとき一層顕著なものとなる。Ti
0.001重量%未満及びB0.0001重量%未満で
は、その効果が少ない。逆に、Ti及びBがそれぞれ0
.10重量%及び0.02重量%を超えると、それ以上
の結晶組織微細化の効果が得られず、Al−Ti系,T
i−B系,Al−Ti−B系等の粗大な金属間化合物が
生成し易くなる。これらの金属間化合物は、鋳造割れ等
の欠陥発生の原因になる。そこで、Ti及びBの含有量
を、それぞれ0.001〜0.10重量%及び0.00
01〜0.02重量%の範囲に規定した。 【0021】Mg:  少量のMgの添加は、陽極酸化
皮膜の色調に影響を与えることがなく、鋳造時に鋳塊表
面に形成される樅の木組織の成長を抑制する作用を呈す
る。この樅の木組織は、鋳型内壁に接する溶湯が断続的
な強弱をもつ冷却効果によって形成され、主としてAl
−Fe系金属間化合物が鋳塊表面近くに晶出するために
発生する。これは、陽極酸化処理後の酸化皮膜の色調を
変化させる原因となる。そのため、表面性状を確保する
上から、鋳塊表面から面削により樅の木組織を削除した
後で熱間圧延工程に入っている。通常条件下でアルミニ
ウム合金を鋳造した場合、樅の木組織が鋳塊表面から厚
み10mmを超えて成長することもある。その結果、樅
の木組織の成長に伴って面削量が多くなり、歩留りが低
下し、製品コストを上昇させる。この樅の木組織の成長
は、0.005〜0.1重量%のMgの添加によって、
鋳塊表面から5mm以内に抑えられる。そのため、面削
量を従来の半分以下に節減することが可能となる。ただ
し、Mg含有量が0.1重量%を超えると、Mg2 S
iの析出がみられ、陽極酸化皮膜に色調変化が生じる。 【0022】その他、アルミニウム合金原料中に存在し
或いは溶製中に混入する不純物としては、Cu,Zn,
Ni,Cr,Mn,Co等がある。これら不純物の含有
量は、通常含まれる範囲に維持される限り、陽極酸化皮
膜の色調に悪影響を与えることはない。具体的には、0
.2重量%以下のCu,0.2重量%以下のZn,0.
02重量%以下のNi,0.02重量%以下のCr,0
.02重量%以下のMn,0.02重量%以下のCoで
ある。 【0023】これら不純物元素は、合金の強度改善に効
果を奏する場合もある。また、Ni,Cr,Mn,Co
等の遷移元素群は、その一部が合金中に形成されるα−
AlFeSi系化合物と結合してα−Al(FeM)S
i系化合物を形成する。この化合物は、着色酸化皮膜の
色調に変化を来すことがない。 【0024】図1は、本発明で使用するアルミニウム合
金の主要成分であるFe及びSiの含有量及びFe/S
iの含有比率が合金中に形成される金属間化合物の生成
状況に与える影響を調べた実験結果を表したものである
。 【0025】実験には、それぞれ所定量のFe及びSi
を添加し、Fe/Siの含有比率を変化させた合金溶湯
を半連続鋳造して得られた鋳塊に530℃で1時間の均
熱処理を施した後、熱間圧延及び冷間圧延を行い、且つ
冷間圧延中に390℃で1時間の中間焼鈍を加えて得ら
れた圧延板を使用した。この圧延板から切り出された試
験片をX線回折することにより、α型化合物,Al3 
Fe,Al6 Fe,β型化合物等のピークを測定した
。なお、この場合のα型化合物は、大部分がα−Al(
FeM)Siであった。 【0026】図1において、○印はα型化合物のみのピ
ークが検出されたものを示し、×印はα型化合物,Al
3 Fe及びAl6 Feの3種類のピークが検出され
たもの、△印はα型化合物,β−AlFeSi及び遊離
Siのピークが検出されたものを示す。図1から明らか
なように、Si含有量0.08〜0.50重量%及びF
e含有量0.15〜0.90重量%で且つFe/Siの
含有比率が1.4〜2.2の斜線領域では、α型化合物
のみのピークが検出されている。しかし、この領域を外
れたものでは、α型化合物以外にβ型化合物,Al3 
Fe,Al6 Fe,遊離Si等が検出された。 【0027】本発明のアルミニウム合金展伸材は、前述
した組成をもつアルミニウム合金溶湯を半連続鋳造法等
の公知の鋳造法によって鋳塊とし、この鋳塊に適当な熱
処理条件下で均熱処理を施した後、熱間及び冷間の展伸
加工によって所望の形状に成形される。 【0028】均熱処理で、アルミニウム合金鋳塊は、4
50〜590℃の温度範囲で1時間以上保持される。処
理温度が590℃を超えると、Siの分離によってα型
化合物中の一部がAl3 Feに変態し易く、陽極酸化
処理で形成した酸化皮膜の色調が不安定になる。逆に処
理温度が450℃未満では、鋳造組織の均質化が十分に
行われず、熱間の展伸加工時に粗大な結晶粒やグレイン
ストリークが発生し易くなる。十分な組織の均質化を行
うために、1時間以上の保持が必要である。保持時間が
1時間に満たないと、不均質な鋳造組織の残存がみられ
る。加熱保持は、長くても5時間程度で十分である。そ
れ以上に長く鋳塊を保持しても、均質化の効果は飽和し
、エネルギー消費量が増加して経済的に不利となる。 【0029】展伸加工としては、押出し,圧延,鍛造等
の一般的な加工手段を採用することができる。 【0030】加工後の展伸材に施される陽極酸化処理は
、この種のアルミニウム材料の陽極酸化処理で一般的な
硫酸を主体とした電解浴を使用して、通常の条件下で行
われる。 【0031】 【実施例】表1に示す組成A〜Gを有するA1100相
当の合金溶湯を、半連続鋳造法によって厚さ508mm
及び幅1050mmの帯状鋳塊に鋳造した。 【0032】 【表1】 【0033】それぞれの合金鋳塊に表2に示す4種類の
熱処理条件a〜dで均熱処理を施した後、熱間圧延を行
った。更に、390℃で1時間の中間焼鈍を施した後、
板厚2mmまで冷間圧延した。 【0034】 【表2】 【0035】得られた冷延板から切り出された試験片を
、硫酸を電解液として陽極酸化処理し、18μmの酸化
皮膜を形成した。測色計を使用して、酸化皮膜の色調を
測定した。測定結果を表3に示す。なお、陽極酸化処理
は、次の条件下で行った。 電解浴    :15%硫酸溶液 電解浴温  :25℃ 電流密度  :1.2A/dm2  【0036】 【表3】 【0037】表3におけるL値は皮膜の明度を表すもの
で、その値が高いほど淡い色調を示す。また、b値は酸
化皮膜の色相を表す値であり、その値が高いほど黄色を
帯び、低いほど青味を帯びることを示している。そして
、b値が0に近付くほど、混色がない淡灰色になる。 ΔL値は明度の差を表し、各鋳塊の熱処理条件の違いに
起因するL値のバラツキを示す。 【0038】表3から明らかなように、本発明で規定し
た範囲内にある成分を含有する合金A〜Dでは、鋳塊の
加熱温度を変化させても、色調のバラツキを示すΔL値
が小さく、色相を示したb値は全て0.9以内である。 このことは、酸化皮膜が黄色の混色がないものであるこ
とを示している。 【0039】これに対し、比較例の合金E〜Gでは、鋳
塊の加熱条件を変化させると、同じ合金であっても色調
のバラツキが大きくなっている。そして、鋳塊の加熱温
度が高くなると、L値も高くなり、ΔLのバラツキが大
きくなっている。これは、同一の色調をもつ着色陽極酸
化皮膜を得るためには、鋳塊の加熱温度を狭い温度範囲
で厳密に制御する必要があることを示すものである。更
に、色相を表すb値は、本発明実施例の値に比較して総
じて高くなっている。これは、形成された酸化皮膜に黄
色の混色が生じていることを示し、本発明実施例の着色
酸化皮膜のような混色のない淡灰色の酸化皮膜が得られ
ていないことを示すものである。 【0040】また、金属間化合物の形成状態を調査した
X線回折試験結果から、本発明実施例の合金A〜Dにお
いては、全てα−Al(FeM)Siに高い強度のピー
クが認められている。しかも、この状況は、鋳塊の加熱
温度の変化によって何ら変わることがない。他方、比較
例の合金E〜Gにおいては、形成された金属間化合物の
種類が一定せず、α型化合物の外にAl3 Fe,Al
6 Fe,遊離Si等についてもピークが同時に検出さ
れた。しかも、鋳塊の加熱温度に応じて、各析出物にピ
ーク強度が種々に変化している。 【0041】このことから、本発明実施例のアルミニウ
ム合金展伸材を使用して陽極酸化した場合、得られた酸
化皮膜は、多色の混色がなく純粋で且つ均質な淡灰色の
色調を呈し、しかもその色調が鋳塊の均熱処理温度によ
って変わるものでないことが明らかである。これに対し
、本発明で規定する範囲から外れた成分・組成をもつ比
較例の合金展伸材を陽極酸化処理したものにあっては、
黄色系が混色した灰色を呈する酸化皮膜が形成され、し
かも混色の程度及び灰色の度合い等が僅かな処理温度の
違いで異なっている。そのため、安定した色調をもつ酸
化皮膜が形成され難いことが判る。 【0042】更に、表3には、着色酸化皮膜製品の総合
評価を表している。総合評価は、着色酸化皮膜の外観が
完全に均質な淡灰色を呈するものを◎,ほぼ完全に均質
な淡灰色を呈するものを○,色調がやや不均質で若干黄
色味を呈するものを△,色調が不均質で黄色味を呈する
ものを×で表した。◎及び○印は検査基準において合格
になるもの、△及び×印は不合格になるものである。 【0043】実施例2: 表4に示す組成の合金を実施例1と同様にして鋳造及び
圧延し、板厚2mmの冷延板に成形した。 【0044】 【表4】 【0045】得られた冷延板から試験片を切り出し、実
施例1と同様な条件下で陽極酸化処理を施し、形成され
た酸化皮膜の色調を測定した。測定結果を、表5に示す
。また、半連続鋳造によって製造された鋳塊に発生して
いる樅の木組織を調べ、その組織の厚み、すなわち鋳塊
の表層から樅の木組織が発生している距離を測定した。 そして、表層からの距離が5mm以下のものを○,5〜
20mmのものを△,20mmを超えるものを×で評価
し、表5に示した。 【0046】 【表5】 【0047】表5から明らかなように、0.005重量
%を超えるMgを含有する本発明実施例の合金H及びI
では、樅の木組織の成長が鋳塊表層から5mm以内と十
分に抑制されている。これに対し、Mg含有量が少ない
合金J〜Lでは、大きなものでは表層から20mmを超
えた樅の木組織の成長が検出された。その結果、熱延に
先立って、大きな面削量で合金鋳塊の表面を面削するこ
とが必要であり、その分だけ歩留りが低下した。 【0048】 【発明の効果】以上に説明したように、本発明の着色酸
化皮膜形成用アルミニウム合金展伸材においては、含有
されるFe含有量,Si含有量及びFe/Siの含有比
率を調整することによって、合金中にα−AlFeSi
,α−Al(FeM)Si等の安定なα型化合物を鋳造
段階で形成させている。このα型化合物は、爾後の加工
条件や熱処理条件に影響されることなく、冷延後の展伸
材においても安定に存在する。その結果、陽極酸化処理
によって形成された酸化皮膜は、混色がなく均質な淡灰
色を呈する。しかも、この色調は再現性良く得られるた
め、色合せ等に工夫を必要とすることなく、同じ品質の
着色アルミニウム材料を提供することが可能となる。 また、Mgの添加によって面削量を節減することができ
るため、歩留りが向上し、製造コストが低減される。
【図面の簡単な説明】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  Si:0.08〜0.50重量%及び
    Fe:0.15〜0.90重量%を含有し、且つFe/
    Siの含有比率が1.4〜2.2の組成を持つアルミニ
    ウム合金であって、α−AlFeSi,α−Al(Fe
    M)Si等のα型Al−Fe−Si系金属間化合物が分
    散した組織をもち、陽極酸化処理によって淡灰色の着色
    酸化皮膜が形成されるアルミニウム合金展伸材。
  2. 【請求項2】  請求項1記載のアルミニウム合金がT
    i:0.001〜0.10重量%及びB:0.0001
    〜0.02重量%を含有することを特徴とするアルミニ
    ウム合金展伸材。
  3. 【請求項3】  請求項1又は2記載のアルミニウム合
    金がMg:0.005〜0.1重量%を含有することを
    特徴とするアルミニウム合金展伸材。
  4. 【請求項4】  Si:0.08〜0.50重量%及び
    Fe:0.15〜0.90重量%を含有し、且つFe/
    Siの含有比率が1.4〜2.2の組成を持ち、α−A
    lFeSi,α−Al(FeM)Si等のα型Al−F
    e−Si系金属間化合物が分散した組織をもつアルミニ
    ウム合金鋳塊を450〜590℃で1時間以上加熱保持
    した後、熱間及び冷間の展伸加工を施すことを特徴とす
    る着色皮膜形成用アルミニウム合金展伸材の製造方法。
JP3077159A 1990-04-06 1991-03-18 着色酸化皮膜形成用アルミニウム合金展伸材及びその製造方法 Expired - Fee Related JP2643632B2 (ja)

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