JPH0420600Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、大型且つ薄型の陶磁器板を多孔板と
自己接着性発泡材層とで多層構造とした大型陶磁
器板の補強構造に関するものである。

〔従来の技術〕

最近では窯業技術の発達により、大型で且つ薄
型の陶磁器板を施釉・焼成工程等を経て製造する
ことが可能となり、これを壁面等の建築用材とし
て利用している。この種大型陶磁器板の大きさ
は、短辺が300〜900mm、長辺が300〜2400mm、厚
さ２〜10mmである。好ましくは短辺が300〜900
mm、長辺が600〜1800mm、厚さが３〜５mmとされ
ている。なお、大型の陶磁器板が、前記大きさに
限定されるものでないことは当然である。また大
型陶磁器板の材料は、滑石、長石、粘土、ベント
ナイト等の混合原料が使用されている。

このように大型陶磁器板は、薄型で大型の施釉
製品であることに特徴を有している。然しなが
ら、この大型陶磁器板はこれ自体のみでは耐衝撃
強度が弱く、従来では大型陶磁器板の裏面側に
FRPや亜鉛鉄板等を貼着して補強するようにし
ている。またこの種大型陶磁器板を壁面材として
利用する場合には、壁面に本来的に要求される防
音性と断熱性とを兼ね備えたものでなければなら
ない。そのため、従来では発泡ウレタン等の発泡
材料を大型陶磁器板の裏面側に形成するようにし
ている。

第４図乃至第６図は、それぞれ従来の大型陶磁
器板１乃至３の積層構造を示す縦断面図である。
第４図に示す大型陶磁器板１は、裏面１ａに周縁
側を折曲形成した亜鉛鉄板４を貼着し、陶磁器板
裏面１ａと亜鉛鉄板４との間の空間５に軟質の発
泡ウレタン樹脂層６を形成している。この大型陶
磁器板１は、前記発泡ウレタン樹脂層６が防音効
果と断熱効果とを有している。また第５図に示す
大型陶磁器板２は、陶磁器板２の裏面周縁側に軽
量形鋼等で枠組み形成したフレーム７を貼着し、
該フレーム７に平板状の亜鉛鉄板８を貼着して亜
鉛鉄板８と陶磁器板裏面２ａとの間に軟質の発泡
ウレタン樹脂層６を形成している。発泡ウレタン
樹脂層６が、防音効果と断熱効果とを有している
ことは前記大型陶磁器板１の場合と同じである。
一方、第６図に示す大型陶磁器板３は、その裏面
３ａに周縁側を折曲形成した亜鉛鉄板９を直接貼
着している。この大型陶磁器板３の場合は、亜鉛
鉄板９が補強材として機能し、その耐衝撃強度を
向上させることが可能である。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、第４図及び第５図に示す従来の大型
陶磁器板１及び２の場合は、その裏面側に軟質の
発泡ウレタン樹脂層６が形成されているため、強
度的には陶磁器板１及び２自体の持つ耐衝撃性し
かなかつた。そのため、耐衝撃強度が弱く、僅か
の衝撃でも陶磁器板１及び２が破損するという欠
点があつた。例えば、短辺寸法600mm、長辺寸法
が2000mm、厚さ３mmの大型陶磁器板１又は２に厚
さ0.5mmの亜鉛鉄板４又は８を使用し、発泡ウレ
タン樹脂層６の厚さを15mmとしたものの鋼球落下
衝撃試験における大型陶磁器板破壊までの落下高
さは200〜300mm程度であつた。なお、鋼球は質量
67ｇ、直径25mmのものを使用した。

これに対して、第６図に示す大型陶磁器板３に
あつては、亜鉛鉄板９が陶磁器板３自体の補強材
として機能している。そのため、陶磁器板３の耐
衝撃強度を向上させることが可能である。然しな
がら、この大型陶磁器板３の場合は、壁面材本来
に要求される断熱性及び防音性に欠けていた。

要するに、従来の大型陶磁器板にあつては、耐
衝撃強度の問題と、壁面材本来に要求される断熱
性及び防音性の問題の個々についてのみ解決され
ているものの、両者を一挙に解決するものは未だ
開発されていないのが現状である。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、従来の前記問題点に鑑みてこれを改
良除去したものであつて、耐衝撃性に優れ且つ防
音性及び断熱性に優れた大型陶磁器板の補強構造
を提供せんとするものである。

而して、前記問題点を解決するために本考案が
採用した手段は、大型陶磁器板と、該大型陶磁器
板の裏面側に配設した補強用の多孔板と、該多孔
板の裏面側に形成した発泡ウレタン等の自己接着
性発泡材層とより成り、該自己接着性発泡材層は
堅決めされた状態で注入されるもので、前記多孔
板の孔を介して大型陶磁器板の裏面側にその一部
が接着し、多孔板を大型陶磁器板と残りの自己接
着性発泡材層との間で挟持している。

〔作用〕

第１図乃至第３図の実施例で明らかな如く、発
泡ウレタン等の自己接着性発泡材層１７の自己接
着性により大型陶磁器板１１，２１の裏面１１
ａ，１２ａに接着された多孔板１２は、大型陶磁
器板１１，１２の実質的な補強材として機能して
おり、その耐衝撃性を向上させることが可能であ
る。また前記自己接着性発泡材層１７は、防音及
び断熱効果があり、壁面材に本来的に要求される
性質を併せ持つものである。

〔実施例〕

以下に、本考案の構成を図面に示す実施例に基
づいて説明すると次の通りである。

第１図は本考案の一実施例に係る大型陶磁器板
１１の補強構造の全体を示す縦断面図、第２図は
その分解斜視図である。同図に示す如く、大型陶
磁器板１１の裏面１１ａには、厚さ1.0mm以下の
鋼板、金網、ベニヤ、石膏ボード等よりなる多孔
板１２が後述する方法で取り付けられており、こ
の多孔板１２の裏面側周縁には軽量形鋼等で枠組
み形成されたフレーム１４がビス締め或いは接着
等の方法で取り付けられている。更にこのフレー
ム１４に平板状の鋼板、硬質の紙又は布等よりな
る背面材１６がビス締め或いは接着等の方法で取
り付けられている。そして、前記大型陶磁器板１
１及び多孔板１２と、平板状の背面材１６との間
に発泡ウレタン等の自己接着性発泡材層１７が形
成されている。自己接着性発泡材としては、他に
も塩化ビニール、ポリエチレン、シリコン等の材
料が適用可能である。

この自己接着性発泡材層１７は、第２図に示す
如く、予め大型陶磁器板１１と、多孔板１２と、
フレーム１４及び背面材１６とを積層した状態で
全体をクランプ保持し、フレーム１４の側面に形
成した注入口１５からその内部へ流動状態の自己
接着性発泡材料を注入して硬化させればよい。フ
レーム１４は、自己接着性発泡材料を注入する際
の、堅枠決めとして用いられるものである。この
とき、前記自己接着性発泡材層１７の材料の一部
は多孔板１２の孔１３から大型陶磁器板１１の裏
面１１ａに接触し、これに接着する。このため、
自己接着性発泡材層１７の残りの材料と、大型陶
磁器板１１との間で前記多孔板１４を接着挟持す
ることが可能である。

このような大型陶磁器板１１の補強構造であれ
ば、多孔板１２が大型陶磁器板１１の裏面１１ａ
側に密着配置されているので、実質的に大型陶磁
器板１１の補強材として機能し、その耐衝撃強度
を向上させることが可能である。例えば、大型陶
磁器板１１の大きさを、短辺が600mm、長辺2000
mm、厚さが３mmとし、多孔板１２として厚さ0.5
mmの鋼板を、また背面材１６として厚さ0.5mmの
鋼板を使用し、発泡ウレタンで厚さ15mmの自己接
着性発泡材層１７を形成した補強構造では、鋼球
落下衝撃試験における大型陶磁器板破壊までの落
下高さは400〜700mmであり、従来の場合に比較し
て約２倍の耐衝撃強度が得られた。なお、鋼球は
質量67ｇ、直径25mmのものを使用した。また前記
自己接着性発泡材層１７は、断熱性及び防音性に
優れており、壁面材としてこのような補強構造の
大型陶磁器板１１を使用した場合、壁面材に本来
的に要求される機能を満足することが可能であ
る。

第３図は、本考案の第２の実施例に係る大型陶
磁器板２１の補強構造の製造例を示す成形型の縦
断面図である。この実施例では、下型１８の成形
面に大型陶磁器板２１を載置し、更に該大型陶磁
器板２１の裏面２１ａ側に多孔板１２を載置して
いる。そして、この状態で上型１９を降下させ
て、成形空間２２内に自己接着性発泡材料を注入
し、これを硬化させることで自己接着性発泡材層
１７を形成している。すなわち、この実施例の大
型陶磁器板２１の補強構造は、三層構造である。
この実施例の場合も、多孔板１２が大型陶磁器板
２１の補強材として機能し、耐衝撃強度を向上さ
せると共に、自己接着性発泡材層１７が断熱及び
防音材として機能する。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案にあつては、大型陶
磁器板の裏面側に配置された多孔板が、大型陶磁
器板の補強材として機能するので、その耐衝撃強
度を向上させることが可能であり、壁面材等とし
ての汎用性が拡大する。また自己接着性発泡材層
は、断熱性及び防音性を有しており、壁面材に本
来的に要求される性質を具備している。しかも、
多孔板の大型陶磁器板への取り付けは、自己接着
性発泡材の自己接着性を利用し、フレームないし
成形型等を用いて堅枠決めして行うことができる
ので、接着強度が大きい上に、そのための特別な
作業を省略することが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の第１の実施例に係る大型陶磁
器板の補強構造を示す縦断面図、第２図は自己接
着性発泡材を注入していない状態の前記大型陶磁
器板の補強構造を示す分解斜視図、第３図は本考
案の第２の実施例に係る大型陶磁器板の補強構造
を示す成形型の縦断面図、第４乃至第６図はそれ
ぞれ従来の大型陶磁器板の補強構造を示す縦断面
図である。 １１，２１……大型陶磁器板、１１ａ，２１ａ
……大型陶磁器板裏面、１２……多孔板、１３…
…多孔板の孔、１７……自己接着性発泡材層。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 大型陶磁器板と、該大型陶磁器板の裏面側に配
   設した補強用の多孔板と、該多孔板の裏面側に形
   成した発泡ウレタン等の自己接着性発泡材層とよ
   り成り、該自己接着性発泡材層は堅枠決めされた
   状態で注入されるもので、前記多孔板の孔を介し
   て大型陶磁器板の裏面側にその一部が接着し、多
   孔板を大型陶磁器板と残りの自己接着性発泡材層
   との間で挟持していることを特徴とする大型陶磁
   器板の補強構造。