JP3708257B2 - 壁パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、寒冷地住宅や、一般地域の建物に使用される断熱性および遮音性に優れた壁パネルに関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】
一般に、パネル工法住宅における鉄骨系の壁パネルでは、内部に断熱材として板状の発泡スチレンを入れ、あるいは袋詰めのグラスウールを充填している。
しかし、発泡スチレンでは断熱性が十分でなく、またグラスウールを充填する場合は、袋詰め状態のグラスウールを止め付ける必要があり、作業性が悪い。
一部で、発泡ウレタンを断熱材として用いる壁パネルも提案されており、これによれば優れた断熱性が得られるが、従来の発泡ウレタンを断熱材として用いる壁パネルは、現場でウレタン注入をして発泡させるものであるため、現場施工に手間がかかる。
【0003】
そこで、これらの課題を解消するものとして、本出願人は、断熱材として発泡ウレタンを用い、その発泡過程でパネルフレームと内外の面材とを一体化させる外壁パネルを提案した(特願昭6−308246号)。
しかし、内外の面材間が発泡樹脂で埋まるため、遮音性につき今一つ不十分であった。
【0004】
この遮音性を改善するものとして、本出願人は、さらに図4に示すものを提案した(特願平7−310061号)。この壁パネル51は、パネルフレーム52の片側に離れて配置された第1の面材3とパネルフレーム52とを発泡ウレタン55で一体化させ、パネルフレーム52の他の片側に中桟56を介して第2の面材54を配置し、発泡ウレタン55と第2の面材54の間に空気層57を形成したものである。発泡ウレタン55の空気層57に接する面は、防湿シート58で覆う。
【0005】
しかし、このように多数の中桟56を設ける場合、中桟56の配置位置の精度が十分に出せず、精度向上を図ろうとすると、その位置決め作業のために壁パネルの生産性が悪くなるという問題点がある。また、中桟56の位置精度が悪いと、この壁パネル51の屋内面に棚板や建具,器物等を取付ける下地として中桟56を利用しようとした場合に、取付作業に手間がかかるうえ、希望の位置に取付けられない場合がある。すなわち、中桟56は壁パネル51の表面からは見えないため、壁パネル51の仕様書等によって中桟56の位置を把握し、ビス止め等を行うことになるが、中桟56の位置が仕様書の位置とずれていると、ビス止めが行えないことがある。
【0006】
この発明は、上記課題を解消するものであり、遮音性に優れ、かつ製造が簡単で断熱性にも優れた壁パネルを提供することを目的とする。
この発明の他の目的は、室内面の任意箇所に建具や機器を取付けることのできる壁パネルを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の壁パネルは、矩形に組まれた金属製のパネルフレームと、このパネルフレームの片面側に設けた外装面材と、前記パネルフレームの他の片面側に設けた面材積層体と、これらパネルフレーム、外装面材、および面材積層体の間の空間に充填されてこれらの部材を発泡成形時の接着性で相互に接着した発泡ウレタンとを備える。この構成において、前記面材積層体は、ハニカム状面材と、その表面側に順次積層した鉄板および石膏ボードを備えるものとする。ハニカム状面材は、紙製のもの等が使用できる。
この構成の壁パネルによると、内部に充填された発泡ウレタンにより優れた断熱効果が得られる。また、ハニカム状面材を用いるため、その内部の空気層により優れた遮音性が得られる。壁パネルの生産に際しては、発泡ウレタンの発泡成形時の接着力でパネルフレームと外装面材および面材積層体とを接着するため、ビスを用いることなく各面材の取付けが行える。しかも、ハニカム状面材を用いるため、多数の中桟を設ける場合に比べて位置決め等が容易であり、生産性が良い。
【0008】
前記面材積層体は、ハニカム状面材と、その表面側に順次積層した鉄板および石膏ボードを備えるものとするが、石膏ボードは、一般に外壁パネルの内装下地面材に用いられているものであり、このように石膏ボードの裏側にハニカム状面材を積層して用いることにより、中桟の代わりにハニカム状面材で空気層を形成した壁パネルが実現できる。
また、このように石膏ボードの裏面に鉄板を用いることで、鉄板をビス止め用の下地として利用でき、壁パネル表面の任意の箇所に建具や機器類を取付けることができる。しかも、鉄板を下地とするため、壁パネルの全体厚さを抑えて建具取付用下地を有するものとできる。
【0010】
また、この構成の壁パネルにおいて、前記パネルフレームと前記外装面材との間の隙間、および前記パネルフレームと前記面材積層体との間の隙間に、パネルフレーム面の外周部で、発泡樹脂製の断熱スペーサを介在させる。前記面材積層体の裏面と断熱スペーサとの間に木桟を設ける。
この断熱スペーサは、パネル製造時にはパネルフレームと外装面材および面材積層体をパネル厚方向に所定の間隔で配置する位置決め用スペーサとして利用でき、パネル完成後は断熱材として機能する。また、発泡樹脂製のスペーサであるため、発泡ウレタンとの一体化も行われ易い。これらのため、生産性が向上し、かつ断熱性が確保できる。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明の基礎となる提案例を図1に基づいて説明する。この壁パネル1は、住宅の外壁パネルとなるものであり、矩形に溶接等で枠組みされた金属製のパネルフレーム2と、その片面側に設けた外装面材3と、他の片面側に設けた面材積層体4と、これらの間に充填された断熱材となる発泡ウレタン5とを備える。面材積層体4は、ハニカム状面材6と、石膏ボード等の内装下地面材7とを積層したものである。
ハニカム状面材6は、図1(D)に示すように、平板状断面のシート6a,6aと波形断面のシート6bとを重ねてハニカム状とした紙製のものである。ハニカム状面材6は、シート6a,6bを多層に設けたものであっても良い。ハニカム状面材6と内装下地面材7とは、接着剤で接着するなどして積層される。
【0012】
パネルフレーム2は、両側辺の側枠材2aを角パイプ等の形鋼製とし、上下辺の枠材2bを溝形鋼等の形鋼製としてある。外装面材3は、セラミック系の外壁材からなる。パネルフレーム2と外装面材3との間の隙間、およびパネルフレーム2と面材積層体4との間の隙間には、そのフレーム面の外周部で、断熱性スペーサ8を介在させ、面材積層体4側にはさらに木桟9を介在させてある。断熱性スペーサ7は、発泡ウレタンや発泡スチレン等の発泡樹脂からなる。
断熱材となる発泡ウレタン5は、パネルフレーム2、外装面材3、および面材積層体4の間の空間にウレタン樹脂を注入して発泡させたものであり、これらの部材2〜4は発泡ウレタン5の発泡成形時の接着性で相互に接着されている。発泡ウレタン5の発泡成形は、パネルフレーム2、外装面材3、面材積層体4、および前記断熱性スペーサ7等を型枠(図示せず)内に配置して蓋をし、型枠の注入孔からパネルフレーム2の内側ヘウレタン注入することにより行われる。
【0013】
この構成の壁パネル1によると、内部に充填された発泡ウレタン5により断熱効果が得られ、かつハニカム状面材6内の空気層10(図1(D))で遮音性が得られる。この場合に、発泡ウレタン5は、パネルフレーム2と外装面材3および面材積層体4の間に注入して発泡させるので、ビスや釘等の接合部材を用いることなく、各部材が接合できる。しかも、硬質の発泡ウレタン5によれば、ある程度の強度が得られるため、中桟を省略しても強度確保ができる。これらのため、部品点数の少ない簡単な構成および作業工数で、断熱性および遮音性に優れた壁パネル1が容易に製造できる。
【0014】
ハニカム状面材6は、前記のように遮音性を得るための空気層10を形成するものであるが、一枚の面材としてパネルフレーム2等に重ねるだけで良いため、多数の中桟を設けて空気層を得る場合に比べて、パネル生産過程における作業工程が少なくて済み、また位置決めも容易で壁パネル1の生産性が一層向上する。ハニカム状面材6は、その平行線状となった空気層10が上下方向に沿うように設け、上下端をパネル端部に開放しておくことで、壁内通気が行え、快適な居住性が得られる。
断熱スペーサ8は、パネル製造時にはパネルフレーム2と外装面材3および面材積層体4をパネル厚方向に所定の間隔で配置する位置決め用スペーサとして利用でき、パネル完成後は断熱材として機能する。また、断熱スペーサ8は発泡樹脂製のスペーサであるため、発泡ウレタン5との一体化も行われ易い。これらのため、生産性が向上し、かつ断熱性が確保できる。断熱スペーサ8は、パネルフレーム面の外周部のみに設けているため、パネルフレーム2と外装面材3および面材積層体4との間の隙間にも発泡ウレタン5が充填されることになり、発泡ウレタン5による外装面材3や面材積層体4との接着がパネル周縁まで行える。
【0015】
図2は他の提案例を示す。同図は、壁パネル1を図1の例よりも幅広とした例であり、外装面材3を複数枚並べて設けてある。外装面材3,3の隣接部には、裏面に当て板11を設け、かつパネルフレーム2に木製の中桟12を設けてある。このように、当て板11を設けることにより、ウレタン注入時に2枚の外装面材3,3の間の隙間からポリウレタンが漏れることが防止される。その他の構成は図1の例と同じである。
【0016】
図3(A)はこの発明の一実施形態を示し、同図(B)〜(D)は、各々さらに他の提案例を示す。図3(A)の例は、面材積層体4を、前記ハニカム状面材6と、その表面側に順次積層した鉄板13および石膏ボード製の内装下地面材7からなるものとしてある。その他の構成は図1の例と同じである。
この構成の場合、石膏ボード製の内装下地板7の裏面に鉄板を用いることで、鉄板13をビス止め用の下地として利用でき、壁パネル1の室内側面の任意の箇所に建具や機器類を取付けることができる。しかも、鉄板13を下地とするため、壁パネル1の全体厚さを抑えて建具取付用下地を有するものとできる。
【0017】
図3(B)の例は、図1の提案例において、面材積層体4が、内側から外側へ順に、鉄板13、ハニカム状面材6、合板14、および石膏ボード製の内装下地板7を積層して構成されたものとしてある。各部材の重なり面の接合は接着材等で行われる。
この構成の場合、鉄板13が発泡ウレタンとの接着性が良いため、面材積層体4とパネルフレーム2との結合が堅固に行える。合板14は、建具等の取付用下地として利用できる。
【0018】
図3(D)の例は、図1の提案例において、面材積層体4が、内側から外側へ順に、合板15、ハニカム状面材6、合板14、および石膏ボード製の内装下地板7を積層して構成されたものとしてある。各部材の重なり面の接合は接着材等で行われる。これら図3(B),(C)の例において、各合板14,15には構造用合板等が用いられる。
このように合板14,15を2枚重ねて用いることにより、強度の優れたものとなる。
【0019】
【発明の効果】
この発明の壁パネルは、パネルフレームと、その両面の外装面材および面材積層体とを発泡ウレタンで一体化させる壁パネルにおいて、面材積層体を構成する複数の面材のいずれかをハニカム状面材としたため、ハニカム状面材内の空気層で優れた遮音性が得られる。しかも、一枚のハニカム状面材を介在させるだけで空気層が形成できるため、断熱材となる発泡ウレタンでパネルフレームおよび面材を一体化させる構成と相まって、生産性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (A)は提案例に係る壁パネルの切欠斜視図、(B)は同図(A)のB−B線拡大断面図、(C)は同図(A)のC−C線拡大断面図、(D)はハニカム状面材の部分断面図である。
【図2】 他の提案例にかかる壁パネルの水平断面図である。
【図3】 (A)はこの発明の一実施形態の水平断面図、(B)〜(D)は、各々さらに他の提案例の水平断面図である。
【図4】 (A)は壁パネルのさらに他の提案例の切欠斜視図、(B)はその部分断面図である。
【符号の説明】
1…壁パネル
2…パネルフレーム
3…外装面材
4…面材積層体
5…発泡ウレタン
6…ハニカム状面材
7…内装下地面材(石膏ボード)
8…断熱スペーサ
13…鉄板
14,15…合板
Claims (1)
- 矩形に組まれた金属製のパネルフレームと、このパネルフレームの片面側に設けた外装面材と、前記パネルフレームの他の片面側に設けた面材積層体と、これらパネルフレーム、外装面材、および面材積層体の間の空間に充填されてこれらの部材を発泡成形時の接着性で相互に接着した発泡ウレタンとを備え、前記面材積層体は、ハニカム状面材と、その表面側に順次積層した鉄板および石膏ボードを備え、前記パネルフレームと前記外装面材との間の隙間、および前記パネルフレームと前記面材積層体との間の隙間に、パネルフレーム面の外周部で、発泡樹脂製の断熱スペーサを介在させ、前記面材積層体の裏面と断熱スペーサとの間に木桟を設けた壁パネル。
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JPH10131350A JPH10131350A (ja) | 1998-05-19 |
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1996
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