JPH04193425A - 鋼部材の疲労強度向上方法 - Google Patents

鋼部材の疲労強度向上方法

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JPH04193425A
JPH04193425A JP32819090A JP32819090A JPH04193425A JP H04193425 A JPH04193425 A JP H04193425A JP 32819090 A JP32819090 A JP 32819090A JP 32819090 A JP32819090 A JP 32819090A JP H04193425 A JPH04193425 A JP H04193425A
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JP32819090A
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Kenichi Suzuki
憲一 鈴木
Masaki Kajino
正樹 梶野
Kazuyoshi Ogawa
小川 一義
Takashi Asano
高司 浅野
Mineo Ogino
荻野 峯雄
Hideo Aihara
秀雄 相原
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、鋼部材の疲労強度向上方法に関するもので、
さらに詳しくは、トランスミッションやデファレンシャ
ルにおいて用いられる高い疲労強度か要求される鋼部材
の疲労強度を向上させる方法に関するものである。
〔従来技術およびその問題点〕
従来より、自動車のトランスミッション歯車のように高
強度が要求される鋼部材においては、焼入れ処理、特に
浸炭焼入れ処理か施され使用されている。これにより、
鋼部材には硬さか高く、また圧縮の残留応力を有する浸
炭焼入れ層が形成され、その両者の作用により疲労強度
が向上するといわれている。しかし、近年、自動車のエ
ンジンの高出力化に伴い、さらに高い疲労強度か要求さ
れるようになり、ショットピーニング処理を付加するこ
とか多くなりつつある。
このショットピーニング処理は、鋼部材の表面下200
〜400μmにわたって大きな圧縮残留応力か付与され
るため、疲労強度か向上すると言われている。
しかしながら、このショットピーニングにより鋼部材に
発生する残留応力は、表面下数10〜100μm内部の
位置でピークを有し、より表面層では、圧縮応力値か小
さいという基本的な特性を有する。また、ショットピー
ニングは、硬質粒子を高速で衝突させる技法であるため
、部材の表面にキズが生じやすい。さらに、鋼部材か浸
炭焼入れの場合には、表面から5〜50μmにわたって
、浸炭異常層と呼ばれる不完全焼入れ層が存在する。
この低強度の異常層は、ショットピーニング処理によっ
ても除去されずに残留するため、表面キズ等とともに疲
労破壊の起点になりやすく、安定かつ大幅な疲労強度の
向上は望めないのが実情である。
これら従来技術の問題点を解決する方法として、疲労強
度の向上を阻害している前記表面層を除去するために、
表面硬化処理を行った後ショットピーニングを行い、さ
らに立方晶窒化ホウ素ホイールで研削加工して仕上歯切
を行う[高強度歯車の製造方法」 (特開平1−264
727号)等の機械的研磨法が提案されている。しかし
ながら、この場合、疲労強度向上の観点からは欠陥を有
する前記表面層を除去し、かつてきるたけ平滑な仕上げ
面とすることか要求されるが、この機械的研磨法ては焼
入れ鋼材の硬さが硬いため研削仕上げの加工効率が大変
低い。特に、歯車等の形状が複雑な部品の場合には、疲
労強度向上か問題となる歯底付近を精度よく研磨しよう
とすると加工効率が著しく低下するという問題がある。
また、前記以外の従来技術の問題点を解決する方法とし
て、特定組成の鋼線を所定のはね形状にコイルング成形
し、焼入れ焼戻し処理で引張強度を調整し、ショットピ
ーニング処理、研磨処理をしてなる「高強度コイルはね
およびその製造方法」 (特開平2−129421号、
特開平2−129422号等)か試みられている。しか
しなから、この方法では、確かに表面層を除去しかつ平
滑仕上げとすることは容易であるか、厳密な加工精度を
要求される歯車等の場合には電解用の対極の配置等を部
品毎に細か(設定する必要かあり、非常に複雑な装置を
必要とするという問題点かある。
また、浸炭・焼入れした鋼部材の表面層を化学的溶解処
理により除去した後にショットピーニングを施す「浸炭
焼入れ層表面の処理方法」 (特開昭62−20376
6号)か提案されている。この方法ては、化学的溶解処
理、すなわちエツチングと言われる方法により浸炭異常
層の除去を行うため、該処理後の鋼部材の表面粗さが数
10μmR8,Xと粗くなるために、さらにこの表面粗
さの改善のために後工程としてショットピーニングを施
している。しかしなから、この方法では、初めから存在
する表面欠陥、すなわち浸炭異常層を除去することかで
きても、ショットピーニングにより鋼部材表面に再びキ
ズ等の表面欠陥を発生する二とになり、大幅な疲労強度
の向上は達成することかできないという問題があった。
そこで、本発明者らは、上述の如き従来技術の問題点を
解決すべく鋭意研究し、各種の系統的実験を重ねた結果
、本発明を成すに至ったものである。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、鋼部材の疲労強度を、大幅に向上させ
る方法を提供するにある。
また、本発明の他の目的は、特殊な装置を必要とせず、
簡便でかつ安定的に鋼部材の疲労強度を向上させる方法
を提供するにある。
本発明者らは、上述の従来技術の問題に関し、以下のこ
とに着眼した。すなわち、先ず、上記従来技術である機
械的研磨法や電解研磨法の前記問題点を克服する手段と
して、ショットピーニング後の表面研磨を化学研磨法に
より行うことに着目した。
そこで、各種表面欠陥を有するショットピーニング後の
鋼部材を化学研磨液の強力な化学的溶解作用および平滑
化作用を利用して、化学研磨液への浸漬処理のみて大幅
な疲労強度の向上を可能にするとともに、装置の簡易化
、加工効率の向上および安定した疲労強度の向上を実現
した。
〔第1発明の説明〕 第1発明の構成 本第1発明の鋼部材の疲労強度向上方法は、自動車のト
ランスミッションの歯車等の鋼部材の疲労強度を向上さ
せる方法において、鋼部材の表面をショットピーニング
する工程と、該ンヨットビーニングを施した鋼部材の表
面を化学研磨処理する工程と、からなることを特徴とす
る。
発明の作用および効果 本発明の方法により、鋼部材の疲労強度を簡便で安定的
にかつ大幅に向上させることかできる。
また、特殊な装置を必要とせず、簡便でかつ安定的に鋼
部材の疲労強度を向上させる二とかできる。
本第1発明の鋼部材の疲労強度向上方法か上述の如き効
果を発揮するメカニズムについては、未だ必ずしも明ら
かてはないか、次のように考えられる。
すなわち、本第1発明の鋼部材の疲労強度向上方法では
、先ず、鋼部材の表面をショットピーニングする。これ
より、鋼部材には、通常表面下約200〜400μmに
わたって圧縮の残留応力か付与される。この残留応力は
、通常表面上約数10〜100μm内部の位置でピーク
値を有する。
次いで、ショットピーニングを施した鋼部材の表面を化
学研磨処理する。これより、圧縮の残留応力のよりピー
クに近い値を有する面の露出か可能となり、疲労破壊を
引き起こす亀裂の伝播か大幅に抑制される。また、この
化学研磨処理は、従来技術のような機械的研磨あるいは
電解研磨のように特別な外部からの作用力ではなく、化
学研磨処理液か有する化学的な溶解力に基づいているた
め、化学研磨処理液と接する被処理材表面では材料の、
 硬さおよび形状によらず均一な研磨か進行する。
この結果、ショットピーニング工程後に存在する疲労破
壊の起点になりやすい各種欠陥の研磨除去がほぼ完全に
行われ、部分的な取り残しをなくすことができる。また
、この化学研磨処理後の鋼表面は、化学研磨作用により
著しい平滑化がなされるため、疲労破壊の起点部での応
力集中か緩和され、大幅かつ安定した疲労強度の向上が
可能となる。さらに、この化学研磨処理工程は、化学研
磨処理液への浸漬処理のみてなされるため、処理槽以外
に特別の機械あるいは電気装置等が必要ではなく、極め
て簡便に処理を行うことができる。
〔第2発明の説明〕 以下に、前記第1発明をさらに具体的にした第2発明に
ついて説明する。
本発明の鋼部材の疲労強度向上方法において、被処理材
としての鋼部材は、炭素鋼、クロム鋼、ニッケルークロ
ム−モリブデン鋼など、化学研磨処理か適用できるので
あればよく、特に限定されるものではない。また、事前
の熱処理の有無にも限定されるものでもないが、高い疲
労強度を要求される鋼部材は、通常焼入れ、焼戻し等の
熱処理か施されるため、硬さが大きく、金属組織的には
生地の大部分が所謂マルテンサイト組織なっているもの
がショットピーニング工程でのより大きな残留応力が付
与でき、また化学研磨工程において平滑化が行い易・く
好ましい材料である。具体的には、例えば、自動車関連
部品ては、焼入れ・焼戻しされた各種スプリング類、あ
るいは浸炭焼入れ・焼戻しされた歯車等の各種駆動系部
品が特に好ましい被処理材料である。また、生地中には
疲労破壊の起点になりやすい介在物等ができるたけ少な
いことが好ましく、さらに各種の炭化物等の析出粒子か
存在する鋼部材では、析出粒子径が小さいものか好まし
い。鋼部材の形状は、少なくとも疲労強度を向上させた
い部位にショットピーニングが可能でかつ化学研磨処理
の際に化学研磨処理液と十分に接触できる形状であれば
よく、強化所望部位か極端に狭い隙間のような場合を除
き、如何なる形状のものでもよい。
次に、ショットピーニング工程は、鋼部材の表面層に、
残留応力を付与する工程であり、疲労破壊を引き起こす
亀裂の伝播を抑制する効果を有する。このショットピー
ニングは、インペラあるいは圧縮空気等で加速したショ
ットを鋼部材の表面に打ちあて、該面に機械的な衝撃を
与えることにより行う。処理装置は、通常用いられる市
販の装置を適用することができ、処理条件も通常鋼部材
を処理するときの条件を適用することかできる。
具体的に説明すると、ショツト材質としては、大きなピ
ーニング効果を得るためには、鋼のような比較的大きな
密度を有するものが好ましい。また、ショットの硬さは
、高いものの方がピーニング効果か大きくなるので好ま
しい。なお、ショット材質か鋼の場合には、通常ビッカ
ース硬さ(Hv)で450〜600程度のものでよいか
、疲労強度向上効果を高めるためには600〜1000
程度のものの方が好ましい。ショットの粒径については
、粒径が大きいものほどピーニング効果の浸透深さは大
きくなるが、反面打撃数が少ないのでピーニング完了ま
でに長時間を要する。従って、粒径としては、0.2〜
1mm程度が好ましい。また、被処理材が歯車の歯元や
歯底等のようにフィレット部を有する形状の部品に対し
ては、粒径が最小フィレット半径の1/2以下てないと
該フィレット部が充分にピーニングされないので、なる
べく該範囲内で可能な限り大きなショットを使用するの
が好ましい。ショットピーニングを施すときの強さは、
アークハイトで表すと0.1mm以上とするのがよい。
該強さが0.1mm未満では、ピーニング効果を得るこ
とが困難となる。また、カバーレージは、ショット投射
面全体にピーニング効果を付与できるように100%以
上とすることが好ましい。また、投射粒子の速度は、3
0〜70m/seeて0.5〜10分程度のショツト時
間が好ましい。なお、通常のショットピーニング処理に
おいては、できるだけ表面損傷を与えないように細心の
注意か必要であり、またこれよりその他の条件が制約さ
れるが、本発明においては、ショットピーニング工程で
生じる表面損傷は次工程の化学研磨処理工程で容易に除
去されるため、その分肢ショットピーニング工程の条件
の自由度を大きくとることができるというメリットかあ
る。
次に、前記ショットピーニング処理により得られた表面
層のうち、疲労強度を阻害している表面欠陥層を化学的
に溶解・除去するとともに、処理面の平滑化を行う(化
学研磨処理工程)。なお、表面欠陥層は、被処理材か浸
炭焼入れ材の場合には最初から存在する浸炭異常層やシ
ョットピーニング処理により発生したキズ等を含む層で
あり、この化学研磨処理により通常5〜50μmの研磨
によってほぼ完全に除去することができる。この化学研
磨処理工程において用いる化学研磨液は、酸十酸化剤と
から構成される一般のものを使用できるが、本発明では
、特に、酸としてフッ酸を、酸化剤として過酸化水素を
用いたものであることが好ましい。まず、フッ酸は、通
常の酸としての働きにより、鋼材表面を化学的に溶解除
去させる役割を果たすものである。このフッ酸を用いる
ことにより、研磨により溶出するFeイオンがFeF6
′−等の錯イオンとして浴中て安定化する。その結果、
過酸化水素がFeイオンの触媒作用により自然分解する
ことが抑制され、工業規模での処理が可能となる。本発
明において用いるフッ酸は、具体的には、無水フッ酸(
99%以上)、希フッ酸の何れでもよいが、処理液調整
時の取扱い性や工業薬品としての入手の容易性等の観点
より、濃度50%前後の希フッ酸が好ましい。該フッ酸
の濃度は、0.2〜2M/I!である。このフッ酸の濃
度は、浴温とともに研磨速度に影響を及ぼす。処理液温
度が一定の場合は、フッ酸が高濃度はと研磨速度が大き
くなるか、同時に反応熱による浴温の上昇が激しくなる
ためさらに研磨速度は上昇し、2M/1を超える場合は
、研磨速度の維持・制御か困難になる。一方、0.2M
/i未満では、1μm/分以下の研磨速度となり、能率
が悪い。工業的には、研磨速度か1〜100μm/分で
あることか望ましく、この研磨速度を達成するフッ酸の
濃度として、0.2〜2M/l!が選択される。また、
過酸化水素は、Feの溶解を促進するとともに、化学研
磨面の光沢化、すなわち微視的平滑化を奏する酸化剤で
ある。本発明において、酸化剤として過酸化水素を用い
ることにより、その強い酸化力に加え、処理後の生成物
が水(H2O)と酸素ガス(02)となるためである。
この結果、生成物の妨害効果かなく長時間の処理を行い
易く、また、廃液処理等においても極めて好都合である
この過酸化水素は、その種類は特に限定されるものでは
ないが、通常工業薬品として入手可能な30〜60%濃
度のものが好適である。また、該過酸化水素の濃度は、
0.4〜4M/I!である。これは、該濃度か0.4M
#未満の場合には光沢か低下し、また該濃度か4M/l
を越える場合には反応熱による分解作用か激しくなり処
理液の制御が難しくなる。該濃度を0.4〜4M/I!
することにより、安定的に光沢面を得ることができる。
なお、該濃度は、前記範囲内で前記フッ酸の濃度との関
係で主に決定される。
このように、本化学研磨処理工程において、光沢化学研
磨処理液として酸としての前記フッ酸および酸化剤とし
ての前記過酸化水素の適切な組合せによりなる処理液を
用いることにより、実用速度での光沢研磨を可能にする
ものである。また、浸炭焼入れ歯車等においては、ショ
ットピーニング後も残留している浸炭異常層や表面キズ
等の欠陥層が除去され、また表面粗さか減少し、疲労強
度を大幅に向上することができる。また、表面は、光沢
仕上げとなるため、外観上の商品価値が向上するととも
に、表面の電気化学的な不均一性が緩和されるので、錆
発生に対する抵抗力が向上するという特有の効果を奏す
ることかできる。
なお、本工程において、化学研磨処理液か、濃度か0.
2〜2M/I!のフッ酸と濃度か0.4〜4M/lの過
酸化水素とからなり、かつ該フッ酸と過酸化水素の濃度
の比率かモル比で1:1.5〜2.8からなる処理液で
あることが、特に好ましい。フッ酸と過酸化水素の濃度
のモル比が1.5未満の場合は、被処理材の処理面の光
沢が欠如、すなわち微視的平滑化か不十分となる。また
、該モル比が2.8を超える場合は、光沢が低下するこ
とはないか、本領域における優位性はなく、高価な過酸
化水素を浪費し、かつ浴組成の変動が起こり易くなる。
該モル比を1 : 1.5〜2.8とすることにより、
実用速度で光沢研磨処理をより効果的に行うことができ
、前記効果をより向上させることかてきる。
次に、本化学研磨処理工程について、その具体的−例を
簡単に説明すると以下のようである。すなわち、先ず、
本工程で用いる光沢研磨処理液を用意する。該研磨処理
液は、フッ酸および過酸化水素を所定のモル濃度で含有
する水溶液として調整される。該調整法としては、特に
限定されるものではないが、通常最も容易な方法として
は、工業薬品としての希フッ酸および過酸化水素水を重
量法若しくは容量法で所定の量計量した後、両者を混合
し、さらにこれに不足分の水を添加して所定の濃度の水
溶液とするものである。使用する薬品および希釈用の水
は、特に不純物が多くなければ処理に支障をきたすこと
はないが、薬品は試薬1級以上、水はイオン交換水を用
いることが好ましい。
次に、前記ショットピーニング処理工程において得られ
た鋼部材が清浄な状態である場合には直ちに本化学研磨
処理工程を施してもよいが、通常の焼入れ鋼材では油分
等の汚れが付着しており、本化学研磨処理工程に入る前
にそれらの汚れを除去する清浄化処理を施すことか好ま
しい。該清浄化処理としては、有機溶剤あるいはアルカ
リ性の洗浄液などにより清浄化を施すなど、通常の清浄
化処理で用いられる方法を適用することができる。
次いで、前記のように必要により前処理か施されたショ
ットピーニング後の鋼部材は、所定の濃度に調整された
前記化学研磨処理液に浸漬する。該処理は、酸素ガスの
発生を伴って進行するので、発生ガスによる自然攪拌効
果が大きく、特に攪拌手段を付加する必要はない。また
、処理の進行に伴う反応熱により、浴温か上昇傾向とな
るが、浴温の上昇は研磨速度の上昇を伴うため、処理精
度を確保するためにはできるだけ浴温を一定に保つこと
が好ましい。このようにして所定の時間、すなわち所望
の深さの研磨かできるまで浸漬処理された後、引上げ、
洗浄、乾燥処理を行う。
これより、表面層に高い圧縮の残留応力を有し、かつ欠
陥のない平滑な表面を有する鋼部材を得ることができる
。その結果、疲労破壊の表面依存性が著しく減少し、疲
労強度を大幅に向上させることができる。
本発明の疲労強度向上方法は、一般の鋼部材の疲労強度
向上に広く適用可能であるか、特に従来の機械的研磨法
、あるいは電解研磨法の適用が難しい複雑形状の部品の
疲労強度向上に威力を発揮し、例えば、自動車関連部品
では各種歯車類、ベアリング類、スプリング類、等の疲
労強度の向上あるいは摩擦摩耗特性の向上等の用途に効
果的に使用することができる。
〔実施例〕
以下に、本発明の詳細な説明する。
第1実施例 JIS SCr 420Hクロム鋼からなる丸棒(φ3
0)より、切欠半径1mmのフィレット切欠試験片(試
験部厚さemmX幅10mm)を作製して被処理材とし
、この被処理材を第1表に示す条件で浸炭焼入れを施し
た。
第1表 次に、この被処理材を、第2表に示す工程および処理条
件に従って、先ずショットピーニングを施し、次いて、
フッ酸LM/I!、過酸化水素2M/lからなる化学研
磨処理液(液温:40℃)に浸漬して、被処理材の表面
層を20〜30μm化学研磨した。これより得られた鋼
部材の表面および表面から50μm深さの残留応力と、
表面粗さを第3表に示す。
第2表 第3表 得られた鋼部材の性能評価試験を、片振り平面曲げ疲労
試験により行い、負荷応力振幅と破断繰返し数の関係を
求めた。得られた結果を、第1図に示す。
なお、比較のために、第2表に示すように、浸炭焼入れ
だけしたもの(試料番号C1)、浸炭焼入れの後ショッ
トピーニングを施したもの(試料番号C2、C3)、浸
炭焼入れ後表面層を20〜30μm化学溶解除去したの
ちショットピーニングしたもの(試料番号C4)を用意
し、同様の性能評価を行った(試料番号Cl−C4>。
その結果を、第1図に併せて示す。第1図は、横軸に破
断まての繰返し回数(単位二回)、縦軸に浸炭焼入れ材
の耐久限度を1.0としたときの負荷応力振幅を示した
。また、得られた比較用鋼部材の表面   □および表
面から50μm深さの残留応力と、表面粗さを第3表に
併せて示す。
第1図より明らかの如く、浸炭焼入れのままの比較用鋼
部材(試料番号CI)と比較すると、耐久限界で見たと
き、ショットピーニングのみ施した比較用鋼部材(試料
番号C2、C3)では7〜30%、化学溶解処理により
浸炭異常層を除去後ショットピーニングを施した比較用
鋼部材(試料番号C4)では〜37%の向上率であるの
に対して、本実施例にかかるものは、44〜63%の向
上率となり、従来の処理方法に比較して疲労強度か格段
に向上していることが分かる。このように、本実施例に
より得られた鋼部材が高い疲労強度か得られるのは、第
3表より明らかの如く、他の従来方法に比べて、疲労強
度に影響の深い表面および表面近傍の内部における高い
圧縮残留応力と、平滑な表面とが同時に実現されている
ためと考えらえる。
第2実施例 JIS 5Cr420Hクロム鋼丸棒(φ30)より、
切欠半径0.5mm、1mmおよび2nnnのフィレッ
ト切欠試験片(試験部厚さ6mmX幅10mm)を作製
して被処理材とし、この被処理材を前記第1表に示す条
件で浸炭焼入れを施した。
次に、この三種類の被処理材に、平均硬さHv800、
平均粒径直径0.66mmのショツト粒を用いて、粒子
速度50〜70m/sで1分間のショットピーニングを
施した。
次に、ショットピーニングを施した被処理材を、次いで
、フッ酸1M/l、過酸化水素2M/lからなる化学研
磨処理液(液温、40°C)に浸漬して、被処理材の表
面層を20〜30μm化学研磨した。
得られた鋼部材の性能評価試験を、片振り平面曲げ疲労
試験により行い、負荷応力振幅と破断繰返し数の関係を
求めた。得られた結果を、第4表に示す。なお、耐久限
度は、同じ切欠半径のものの浸炭焼入れだけをした比較
用鋼部材の耐久限度を100としたときの、本実施例に
よる鋼部材の耐久限度を示す。
第4表 第4表より明らかの如く、切欠半径の異なる3種類の被
処理材総てについて、55%以上の耐久限界の向上が得
られていることが分かる。このように本実施例によれば
、切欠半径の異なる場合でも、従来方法の電解研磨の場
合のようにそれぞれの特別な電極や装置を用いることな
(、同様に簡便な処理により高い疲労強度か得られると
いう特有の効果を奏することかできる。
第3実施例 JIS 5Cr420HSJIS SCM 420H,
JIS SNCM 420Hの三種類の鋼材から、はす
は歯車(モジュール:2.25、ピッチ円直径:117
mm、歯数46)を作製して被処理材とし、この被処理
材を第1実施例と同様に第1表に示す条件で浸炭焼入れ
を施した。
次に、二の三種類の被処理材歯車に、平均硬さHv80
0、平均粒子直径0゜66mmのショツト粒を用いて、
粒子速度50〜70m/sで3分間のショットピーニン
グを施した。次いで、ショットピーニングを施した被処
理材を、前記第2実施例と同様の条件で化学研磨した。
得られた鋼部材の性能評価試験を、パルセータ式の試験
機を用いた歯元曲げ疲労試験により行い、疲労強度を評
価した。得られた結果を、第5表に示す。なお、歯元曲
げ疲労強度は、浸炭焼入れだけをした同様鋼種の比較用
鋼材製歯車の歯元曲げ疲労強度を100としたときの、
本実施例による鋼部材歯車の歯元曲げ疲労強度を示す。
第5表 第5表より明らかの如く、何れの材質の歯車についても
、70%以上の疲労強度向上率か得られていることが分
かる。このように本実施例において、前記第1実施例お
よび第2実施例に比較して疲労強度向上率が大幅に向上
したのは、本実施例の被処理材である歯車の場合、危険
部である歯元の初期表面粗さか10数μmRzと、前記
実施例の被処理材の表面粗さよりも太き(、これが本実
施例のショットピーニング後の化学研磨により数μmR
zに改善されることにより、比較用歯車に比べて大きく
疲労強度が向上したためと思われる。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1実施例により得られた鋼部材を片振り平面
曲げ疲労試験した結果を示す図で、相対負荷応力振幅と
破断繰返し数の関係を示す線図である。 1  ・・・・・試料番号1 2 ・・・・・試料番号2 C1・・・・・試料番号Ct C2・・・・・試料番号C2 C5・・・・・試料番号C3 C4・・・・・試料番号C4 第1図

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. (1)自動車のトランスミッションの歯車等の鋼部材の
    疲労強度を向上させる方法において、鋼部材の表面をシ
    ョットピーニングする工程と、該ショットピーニングを
    施した鋼部材の表面を化学研磨処理する工程と、からな
    ることを特徴とする鋼部材の疲労強度向上方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2012139790A (ja) * 2011-01-04 2012-07-26 Sanyo Special Steel Co Ltd 投射材の寿命に優れたショットピーニング方法

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