JPH0419259Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は車両における歯車変速機の遠隔操作機
構に関するものである。

［従来の技術］ 運転室が歯車変速機から離れたところに配置さ
れている場合に、変速レバーと歯車変速機とをリ
ンク機構により連結するものは公知であるが、こ
れはエンジンと結合される歯車変速機の振動がリ
ンク機構から変速レバーに伝達されてガタ付き、
騒音を発生する。また、リンク機構では床下の構
造やフロアパネルに配置される機器との関係でそ
の構成が複雑となり、かつ設計上の自由度が制約
される。

また、ケーブルとこれを挿通するアウタチユー
ブからなるプツシユプルケーブルにより操作する
歯車変速機の遠隔操作機構は、例えば実開昭58−
128130号公報などに開示されている。この従来技
術ではケーブルとアウタチユーブとをそれぞれ変
速レバーのシフト操作またはセレクト操作に関連
して独立に軸方向に移動させ、両者の軸方向の変
位を歯車変速機のコントロールロツドの回転変位
と軸方向変位に変換して、歯車変速機の所定のシ
フトロツドを作動させる。

しかし、アウタチユーブを軸方向に移動させる
ことは、アウタチユーブが車両の床下またはフロ
アパネルの空間部に配索される関係上、作動の都
度フロアパネルなどの障害物との摺動が生じ、ま
たアウタチユーブの姿勢ないし撓みが変化し、耐
久性が問題となるばかりでなく、アウタチユーブ
の動作にも配索状態により微妙なずれが生じ、変
速操作の確実性が損われる恐れがある。

特開昭58−192118号公報の第６図に開示される
歯車変速機の遠隔操作機構では、変速レバーは中
間部を、車体に球面軸受により支持され、変速レ
バーの下端部はアウタチユーブと一体の案内筒の
前後方向のスリツトへ係合され、かつケーブルと
一体のケーブルに金具により連結される。案内筒
は車体に回動可能に軸支持した腕に結合される。

上述の遠隔操作機構では、変速レバーの左右傾
動に伴つて案内筒が揺動されると、アウタチユー
ブが回動される。しかし、案内筒が左右に揺動さ
れると、アウタチユーブも左右にゆさぶられるこ
とになり、周囲の障害物との摺動により摩耗する
恐れがある。

［考案が解決しようとする問題点］ そこで、本考案の目的はアウタチユーブの回動
運動とアウタチユーブに挿通されたケーブルの軸
方向運動との複合動作により、変速レバーの変速
操作を円滑かつ確実に歯車変速機のコントロール
ロツドへ伝達されるものであつて、変速レバーの
僅かな傾動がアウタチユーブの回動に変換され、
ケーブルにあまりゆさぶりを及ぼさない、歯車変
速機の遠隔操作機構を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成は逆
Ｕ字形のブラケツトの天壁に変速レバーの間部を
左右・前後傾動可能に支持し、ブラケツトの前後
１対の垂直壁にＵ字形に湾曲した板からなる傾動
体の両端部を左右傾動可能に軸支持し、ブラケツ
トの一方の垂直壁の傾動体よりも下側部分に支持
した回動軸に、アウタチユーブの端部と腕とを固
定し、傾動体の板面に垂設した円筒部に球継手に
より前記腕の先端を連結し、傾動体の前後方向の
スリツトを貫通する変速レバーの下端部に、アウ
タチユーブと回動軸に挿通したケーブルの端部を
連結したものである。

［作用］ 変速レバーを左右に傾動すると、傾動体を介し
て腕と一緒に回動軸とアウタチユーブが回動され
る。アウタチユーブの回動は歯車変速機のコント
ロールロツドに伝達され、コントロールアームが
所定のシフトブロツクに係合する。次いで、変速
レバーを前後に傾動すると、ケーブルが押引きさ
れ、コントロールロツドが軸方向へ移動し、コン
トロールアームにより所定の変速歯車の噛合いが
達せられる。

［考案の実施例］ 第１図に示すように、断面逆Ｕ字形のブラケツ
ト９がフロアパネルに固定され、フロアパネルの
天壁９ｂにハウジング４６が支持される。ハウジ
ング４６に変速レバー１の中間部が球面軸受４１
により支持される。ブラケツト９の前後１対の垂
直壁９ａに１対の支軸３８によりＵ字形に湾曲し
た板からなる傾動体２が支持され、傾動体２に形
成した円筒部２６に、摺動可能の球継手２１によ
り、後述する腕３９の端部が係合される。変速レ
バー１の下端部は傾動体２の前後方向のスリツト
４３を貫通し、球継手１１により口金７に連結さ
れ、口金７はケーブル４の端部に結合される。

ブラケツト９の一方の垂直壁９ａの傾動体２よ
りも下方部分に中空の回動軸１０が貫通され、軸
受６により回動可能に支持される。軸受６はカバ
ー８により垂直壁９ａに固定される。アウタチユ
ーブ５の端部は回動軸１０の外端部に嵌合され、
かつ強くかしめて結合される。回動軸１０の内端
部にセレーシヨンにより腕３９のボス部３９ａが
嵌合され、さらにナツト３を螺合して締結され
る。アウタチユーブ５はケーブル４に挿通する。

第２図に示すように、変速操作機構に連結され
たアウタチユーブ５とケーブル４とは、歯車変速
機のコントロールロツド１４に連結される。すな
わち、歯車変速機の作動機構は歯車箱２４に回動
かつ摺動可能に支持したコントロールロツド１４
に、ピン２３によりコントロールアーム１５を支
持され、コントロールアーム１５がコントロール
ロツド１４と一緒に回動されると、公知の複数の
シフトブロツクの１つに係合される。コントロー
ルロツド１４を軸方向に移動すると、シフトブロ
ツクと一緒にシフトロツドが軸方向に移動し、所
定の変速歯車の噛合いが達せられる。

歯車変速機に隣接して配設したブラケツト３２
の垂直壁３２ａに、軸受３１がカバー３０により
支持され、軸受３１に中空軸２０が回動可能に支
持される。中空軸２０にアウタチユーブ５の端部
が嵌合され、かつ強くかしめて結合される。中空
軸２０にセレーシヨンとねじ溝が一体に形成さ
れ、中空軸２０に継手１７が嵌合されかつねじ溝
にナツト３６を螺合して締結される。アウタチユ
ーブ５に挿通されたケーブル４は、中空軸２０を
貫通して口金１６に嵌合され、かつ強くかしめて
結合される。

口金２６はコントロールロツド１４に嵌合さ
れ、かつリンク１３の一端と一緒にピン２５によ
り連結される。リンク１３の他端はピン２８によ
りリンク１２の一端と連結され、リンク１２の他
端はピン２９により継手１７と連結される。中空
軸２０と口金１６との間にケーブル４を覆うベロ
ーズ２７が係止される。

次に、本考案による歯車変速機の遠隔操作機構
の作動について説明する。第１図に示す中立位置
から変速レバー１を左右に傾動すると、スリツト
４３に係合する変速レバー１の下端部により、傾
動体２が支軸３８を中心として回動し、円筒部２
６に係合する腕３９が回動軸１０と一緒に回動さ
れる。したがつて、アウタチユーブ５が一緒に回
動され、アウタチユーブ５の回動は第２図におい
てコントロールロツド１４へ伝達され、コントロ
ールアーム１５が所定のシフトブロツクに係合さ
れる。こうして、セレクト操作が達せられる。

次いで、変速レバー１を前後（第１図において
右方または左方）に傾動すると、ケーブル４が押
引きされる。ケーブル４の軸方向移動は第２図の
中空軸２０を経てコントロールレバー１４へ伝達
され、コントロールアーム１５が係合するシフト
ブロツクを有するシフトロツドが軸方向に押さ
れ、変速歯車の噛合いが達せられる。こうして、
シフト操作が達せられる。

ケーブル４の軸方向運動に伴つて、リンク１
２，１３はピン２８を支点として屈曲するだけ
で、変速レバー１の左右傾動による腕３９の回動
を第２図に示すコントロールロツド１４へ伝達す
る役目を果たす。

なお、本考案は運転席に配置される歯車変速機
の遠隔操作機構の構成を要旨とするものであつ
て、歯車変速機側に配置される作動機構は図示の
例に限定されるものではない。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、逆Ｕ字形のブラケツト
の天壁に変速レバーの中間部を左右・前後傾動可
能に支持し、ブラケツトの前後１対の垂直壁にＵ
字形に湾曲した板からなる傾動体の両端部を左右
傾動可能に軸支持し、ブラケツトの一方の垂直壁
の傾動体よりも下側部分に支持した回動軸に、ア
ウタチユーブの端部と腕とを固定し、傾動体の板
面に垂設した円筒部に球継手により前記腕の先端
を連結し、傾動体の前後方向のスリツトを貫通す
る変速レバーの下端部に、アウタチユーブと回動
軸に挿通したケーブルの端部を連結したから、変
速レバーのセレクト操作が傾動体と腕により回動
軸とアウタチユーブに回動運動をもたらす一方、
変速レバーのシフト操作がケーブルに軸方向運動
をもたらすから、そのまま歯車変速機のコントロ
ールロツドに回動運動と軸方向運動が生じ、操作
が非常に軽快で確実な変速操作が達せられ、構成
が非常に簡単であり、安価に製造でき、作動が確
実である。

そして、本考案は傾動体の両端部が同軸にブラ
ケツトに支持されるという点で、取付誤差が少
く、傾動体の支持剛性が高く、傾動体の動作が非
常に円滑である。

傾動体はＵ字形に湾曲した板からなるので剛性
が高く、変速レバーの中間部が傾動体のスリツト
に貫通係合されるので、変速レバーと傾動体の一
体感が得られる。

回動軸の腕を短く、傾動体の円筒部を長くする
ほど、ケーブルの端部の左右のゆさぶりを少く、
かつ回動軸に大きな回動量を与えることができ、
また回動軸から下方突出するものがないので、ブ
ラケツトを含む全体の上下寸法を縮小でき、車体
床部への配設が容易になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る歯車変速機の遠隔操作機
構の側面断面図、第２図は同遠隔操作機構により
操作される歯車変速機側に配置される作動機構の
側面断面図である。 １……変速レバー、２……傾動体、４……ケー
ブル、５……アウタチユーブ、６……軸受、９…
…ブラケツト、１０……回動軸、１１，２１……
球継手、３８……支軸、３９……腕、４１……球
面軸受。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 逆Ｕ字形のブラケツトの天壁に変速レバーの中
   間部を左右・前後傾動可能に支持し、ブラケツト
   の前後１対の垂直壁にＵ字形に湾曲した板からな
   る傾動体の両端部を左右傾動可能に軸支持し、ブ
   ラケツトの一方の垂直壁の傾動体よりも下側部分
   に支持した回動軸に、アウタチユーブの端部と腕
   とを固定し、傾動体の板面に垂設した円筒部に球
   継手により前記腕の先端を連結し、傾動体の前後
   方向のスリツトを貫通する変速レバーの下端部
   に、アウタチユーブと回動軸に挿通したケーブル
   の端部を連結したことを特徴とする、歯車変速機
   の遠隔操作機構。