JPH0415472Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 考案の技術分野 本考案は、建築物における土間や屋上床を構築
する際に用いられる発泡プラスチツク断熱材に関
し、さらに詳しくは、防水性および防湿性に優れ
ている発泡プラスチツク断熱材に関する。

考案の技術的背景ならびにその問題点 建築物における土間や屋上床を構築する際に
は、建物内部の空調に要するエネルギーの省力化
等を図る目的で、断熱材が張設された断熱構造の
ものが多用されるようになつてきた。

このような土間ないし屋上床の断熱構造に用い
られる断熱材としては、発泡ポリスチレンなどの
発泡プラスチツクが主として用いられてきた。と
ころで発泡プラスチツク断熱材は、断熱性能には
優れているが、耐透水性能、あるいは耐吸水性能
には若干の難点を有しており、このため発泡プラ
スチツクが吸水することがあり、断熱材としての
断熱性能が低下してしまうという問題点があつ
た。また寒冷地では発泡プラスチツクに吸水され
た水分が凍結することがあり、このため発泡プラ
スチツクのセル自体が破壊してしまう虞があつ
た。

このような問題点を解決するため、建築物にお
ける土間や屋上床を形成する際には、断熱材を張
設する前の床面に防湿層ないし防水層を形成する
と共に、断熱材を張設した後に、この断熱材の表
面に防湿層ないし防水層を形成し、発泡プラスチ
ツク製の断熱材まで水分が浸透するのを防水する
場合がある。

しかしながら、このような断熱構造の構築工法
にあつては、作業現場にて防湿層ないし防水層を
形成する作業が煩雑であり、作業工程が遅延する
という不都合があつた。

このような不都合を解消するために、第３図に
示すように、板状の発泡プラスチツク製断熱材１
の表裏面にそれぞれアスフアルト・フエルトから
成る防湿シート２，２が予め貼着された断熱板５
が開発されている。この断熱板５の表裏面に貼着
された防湿シート２，２には、断熱材１の側面３
から一部突出するオーバーラツプ部２ａが形成し
てあり、各断熱材１，１における各側面３相互の
接合部への湿気の侵入を防止するようにしてあ
る。

このような断熱板５を用いて断熱構造の土間や
屋上を形成するには、割石４上に断熱板５，５を
張設した後に押え用コンクリート６を打設するだ
けで良い。

しかしながら、このような断熱板５を用いた断
熱構造の土間ないし屋上床にあつても、防湿シー
ト２におけるオーバーラツプ部２ａの隙間から湿
気や水分が断熱材１の側面３へ侵入し、発泡プラ
スチツク製断熱材１が劣化する虞があつた。特
に、高温、多湿下等では、コンクリート６上では
雨水等の水はけが良い場合であつても、地面等に
しみこまれた雨水等が多量に存在すると、その雨
水等が地面の下方から間隙を通つて側面３に侵入
することが間々あり、それにより、プラスチツク
製断熱材１が劣化する問題があつた。

考案の目的 本考案は、このような不都合を解消するために
なされたもので、表裏面のみならず側面において
も防水性および防湿性に優れ、したがつて断熱性
能が低下することがなく、建築物における土間や
屋上床等の湿気や水気の多い場所における断熱構
造を簡便に構築することができる発泡プラスチツ
ク断熱板を提供することを目的としている。

考案の概要 上記目的を達成するための、本考案に係る発泡
プラスチツク断熱板では、 板状に形成された発泡プラスチツク製断熱材
と、 この断熱材の表裏面を貼着された防水シートな
いし防湿シートと、 前記発泡プラスチツク製断熱材の表裏面の少な
くとも裏側に配置されるべき面に貼着される前記
防水シートないし防湿シートの端部が側方側に延
出し、隣位の断熱材の防水シートないし防湿シー
トの裏面側に配置されるべきオーバーラツプ部
と、 前記発泡プラスチツク製断熱材の側面に、合成
樹脂で膜状に形成され、この側面からの水分の侵
入を防止する膜状合成樹脂層と、を具備したこと
を特徴としている。

このような本考案に係る発泡プラスチツク断熱
材によれば、オーバーラツプ部が防水機能を有し
ているので、例えば地面等にしみこんだ雨水等が
多くてその雨水等が地面から上方に浸入してきた
としても、オーバーラツプ部で予備的に浸入を防
止することができる。しかも、合成樹脂製断熱材
の側面に膜状樹脂層を形成しているので、断熱材
自身としても側面からの雨水等の浸入を阻止する
ことができる。すなわち、オーパーラツプ部およ
び側面の２段階において水分の浸入が防止され
る。よつて、たとえオーバーラツプ部を越えて、
多少の雨水等が側面に向かつて浸入したとして
も、側面における断熱材自身の防水性により、こ
の側面から断熱材内部への水分の浸透を確実に防
ぐことができる。

従つて、吸水に伴う断熱性能の低下をほとんど
完全に防止するとができ優れた断熱性能が発揮さ
れる。

考案の具体的説明 以下本考案に係る発泡プラスチツク断熱板につ
いて、図面に基づき具体的に説明する。

第１図は本考案の一実施例に係る断熱板を用い
て土間を構築した場合の要部断面図、第２図は第
１図に示す断熱板の全体斜視図である。

第１，２図に示すように、本考案の一実施例に
係る発泡プラスチツク断熱板１０にあつては、板
状の発泡プラスチツク製断熱材１の表裏面にそれ
ぞれ防水ないし防湿シート１１が予め貼着してあ
る。しかも、この断熱材１の四側面３には膜状合
成樹脂層１２が予め形成してある。特に本考案に
あつては、第２図に詳示するように、断熱材１の
裏面側に貼着された防水ないし防湿シート１１に
おける隣接する２辺の端部を断熱材１の側面３か
ら突出させてオーバーラツプ部１１ａを形成して
ある。オーバーラツプ部１１ａは、多数の断熱板
１０，１０を張設する際に、隣接する断熱板１０
の下面に差し込まれることによつて、接合部への
湿気ないし水気の侵入を防止するものである。な
お、本考案にあつては、裏面側にのみオーバーラ
ツプ部１１ａを設けているが、ポーバーラツプ部
１１ａを、更に表面側にも設けてもよい。

断熱材１０における発泡プラスチツク製の断熱
材１としては、ポリスチレン、ポリエチレン、ポ
リプロピレンなどを押出し発泡成形ないしビーズ
発泡成形したもの等が用いられる。

また、断熱材１の表裏面に貼着される防水ない
し防湿シート１１としては、例えば、アクリル系
フイルム、塩ビフイルム、ポリエチレンフイル
ム、アルミ蒸着フイルム、アルミ箔、アスフアル
トフエルト（ルーフイング）等が用いられる。こ
のような防水ないし防湿シート１１を断熱材１の
表裏面に予め貼着するための手段としては、熱融
着、接着剤による接着、ないしこれらを併用した
手段等が採用される。さらに、発泡プラスチツク
製の断熱材１の側面３に膜状合成樹脂層１２を形
成するには、たとえが、発泡プラスチツク断熱材
１の側面に膜形成性合成樹脂塗料を塗布すればよ
い。膜形成性合成樹脂塗料としては、エポキシ樹
脂塗料、酢酸ビニル樹脂塗料、ウレタン樹脂塗
料、アクリル樹脂塗料などを用いることができ
る。またこのようなフイルム形成性合成樹脂塗料
中にアルミ粉などの金属粉を混入することもでき
る。

また発泡プラスチツク断熱材１の側面３に膜状
合成樹脂層１２を形成するのに、該側面に合成樹
脂フイルムを貼着させてもよい。この際用いられ
る合成樹脂フイルムとしては、アクリル系フイル
ム、塩ビフイルムなどが用いられる。

発泡プラスチツク断熱材１の側面３に形成され
る膜状合成樹脂層１２の膜厚は20〜1000μｍ程度
が現実的であり、150μｍ以上が好ましい。

このような断熱板１０を用いて断熱構造の土間
を形成するには、第１図に示すように、割石４上
に断熱板１０，１０を張設した後に押え用コンク
リート６を打設するだけで良い。

このような本考案の一実施例に係る発泡プラス
チツク断熱板１０によれば、断熱材の裏側面に、
オーバーラツプ部１１ａが延設されているので、
周囲からしみこまれた雨水等が多い場合でも、先
ず、オーバーラツプ部１１ａにより水の侵入を予
備的に防止することができる。しかも、側面に合
成樹脂製の膜状樹脂層が形成されているので、断
熱材自身としても側面から雨水等の浸入を阻止す
ることができる。したがつて、一実施例によれ
ば、このオーバーラツプ部により先ず水の浸入を
防止することができるとともに、このオーバーラ
ツプ部を越えて、多少の雨水等が側面に向かつて
浸入したとしても、断熱材内部への水分の浸透を
側面の樹脂層により確実に防ぐことができる。こ
のため、吸水に伴う断熱性能の低下をほとんど完
全に防止することができる。したがつて、このよ
うな断熱板を用いれば、土間ないし屋上床等の湿
気や水気が多い場所に、防水性ないし防湿性に優
れた断熱構造を簡便に構築することが可能にな
る。

特に、建築物における土間の断熱構造を構築す
る際には、断熱板１０が割石４上に張設される
が、本実施例では、断熱材１の表裏面に貼着され
た防水ないし防湿シート１１が断熱板１０の機械
的強度を向上させているため、割石４によつて断
熱板１０が損傷することもない。

なお、本考案は上述した実施例に限定されるも
のではなく、本発明の範囲内で種々に改変するこ
とができる。例えば、以上の実施例では、裏側面
にのみオーバーラツプ部１１ａを設けているが、
オーバーラツプ部１１ａを表面側にも形成すれ
ば、更に防水性および防湿性を向上させることが
できる。

考案の効果 以上説明してきたように、断熱材の裏側面に、
オーバーラツプ部が延設されているので、周囲か
らしみこまれた雨水等が多い場合でも、先ず、オ
ーバーラツプ部により水の浸入を予備的に防止す
ることができる。しかも、側面には合成樹脂製の
膜状樹脂層が形成されているので、断熱材自身と
しても側面からの雨水等の浸入を阻止することが
できる。したがつて、オーバーラツプ部により先
ず水の浸入を防止することができるとともに、こ
のオーバーラツプ部を越えて多少の雨水等が側面
に向かつて浸入したとしても、断熱材内部への水
分の浸透を側面の樹脂層により防ぐことができ
る。このため、吸水に伴う断熱性能の低下をほと
んど完全に防止することができる。また、本考案
にあつては、このような断熱板を用いて断熱構造
を構築する際に、作業現場にて別途防水ないし防
湿層を形成する必要がないため、このような断熱
構造の構築作業も容易になるという優れた効果を
奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る断熱板を用い
て土間を構築した場合の要部断面図、第２図は第
１図に示す断熱板の全体斜視図、第３図は従来例
に係る断熱板を用いて土間を構築した場合の要部
断面図である。 １……断熱材、３……側面、１０……発泡プラ
スチツク断熱板、１１……防水ないし防湿シー
ト、１２……膜状合成樹脂層。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 板状に形成された発泡プラスチツク製断熱材
   と、 この断熱材の表裏面に貼着された防水シートな
   いし防湿シートと、 前記発泡プラスチツク製断熱材の表裏面の少な
   くとも裏側に配置されるべき面に貼着される前記
   防水シートないし防湿シートの端部が側方側に延
   出し、隣位の断熱材の防水シートないし防湿シー
   トの裏面側に配置されるべきオーバーラツプ部
   と、 前記発泡プラスチツク製断熱材の側面に、合成
   樹脂で膜状に形成され、この側面からの水分の侵
   入を防止する膜状合成樹脂層と、を具備したこと
   を特徴とする発泡プラスチツクス断熱板。