JPH0414159Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は処理すべき廃水を嫌気状態で浄化する
ための嫌気性固定床処理装置に用いる固定床ユニ
ツトに関するものである。

（従来の技術） 従来から、嫌気性の微生物を担体に担持させ、
この担体に処理すべき廃水を嫌気状態で流通させ
て廃水の浄化を行なう嫌気性処理装置は、多数の
ものが知られている。

例えば、微生物フロツクが保持される様に加工
された担体を垂直に配設した水処理装置が特開昭
53−108661号公報において知られているととも
に、二枚以上の耐食性薄網板を間隔２cm以下にな
る様にセツトした嫌気性濾床板が実開昭60−
140698号公報において知られている。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら従来のこれらの装置で用いられる
固定床は、装置内への設置に対する配慮が全くな
されておらず、そのため固定床の設置が難しく時
間がかかる欠点があつた。その結果、固定床の流
路が一部閉塞して固定床を交換する必要があると
きも、その交換が大変で時間のかかる欠点もあつ
た。

本考案の目的は上述した不具合を解消して、固
定床の設置が容易で従来と同様かそれ以上の処理
能力を得ることができる嫌気性固定床ユニツトを
提供しようとするものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案の嫌気性固定床ユニツトは、微生物を担
持した複数の担体からなる固定床に処理すべき廃
水を嫌気状態で流通させて廃水の浄化を行う嫌気
性固定床処理装置の固定床に用いる固定床ユニツ
トであつて、くし歯形状を有する担体を、垂直な
流路を持たせて複数個枠組することにより、持ち
運び可能な大きさに形成するとともに、この固定
床ユニツトに固定床ユニツトを積層して使用する
際に、上方の固定床ユニツトの担体の垂直な流路
を下方の固定床ユニツトの担体の流路に連通させ
るための位置決め部を設けたことを特徴とするも
のである。

（作用） 上述した構成において、固定床ユニツトを持ち
運び可能な大きさに分割しているため、装置内へ
の固定床の設置が容易となるとともに、各固定床
ユニツトにおいて装置内で垂直な流路を確保して
いるため、メタンガス等の発生したガスが抜け易
くまた流路閉塞を防止することができる。

また、固定床ユニツトとして高分子材料、金属
材料からなる枠に担体となるセラミツクスを組み
込むと好適なのは、持ち運び時に担体としてのセ
ラミツクスが損傷しにくくなるとともに、セラミ
ツクスは微生物の担持性能が良好なためである。

さらに、隣接した垂直な流路を連絡する水平方
向の流路がユニツトあたり少なくとも一つ確保さ
れていると好ましいのは、一つの流路が閉塞して
もこの水平方向の流路により下流側のユニツトを
通過したガス等を上流側に設けたユニツトの他の
閉塞していない流路に導くことが可能となり、流
路の閉塞の影響を緩和できるためである。

（実施例） 第１図は本考案の嫌気性固定床ユニツトを用い
た嫌気性固定床処理装置の一実施例を示す線図で
ある。第１図において、装置本体１は内部と外部
とを密閉可能な構成とすることにより嫌気状態を
達成できるよう構成されている。装置本体１内に
は、多孔性セラミツクスよりなる担体を高分子材
料または金属材料よりなる枠に組み込んだ複数の
嫌気性固定床ユニツト１３からなる固定床２を設
置する。固定床２内のセラミツク担体は例えばメ
タン菌等の嫌気性微生物を担持するために使用さ
れ、微生物を担体に固定する技術としては、例え
ば特開昭54−95785号公報記載の技術を好適に使
用できる。

上述した構成の装置において、処理すべき廃水
は上流側配管３を介して装置本体１内に供給さ
れ、固定床２上の微生物により処理され浄化され
た後下流側配管４を介して外部へ排出される。浄
化後の排出液の一部は配管５を介して廃水へフイ
ードバツクできるよう構成されている。また、処
理中に発生するガスは排ガス管６を介して外部へ
排出するよう構成されている。

第２図ａ，ｂ，ｃはそれぞれ第４図にその概念
を示す本考案の嫌気性固定床ユニツトの一例を示
す側面図、平面図、側面図である。本実施例で
は、くし形の垂直流路を複数有するセラミツク担
体１１を全部で６個、枠１２内に設置して固定床
ユニツト１３の一単位を構成している。枠１２の
材質としては高分子材料や金属材料等を使用する
と好ましい。この固定床ユニツト１３の大きさ
は、例えば長さ500mm、幅250mm、高さ200mm程度
の大きさに構成して、固定床ユニツト１３を人手
で取り扱える大きさおよび重量となるようにして
いる。また、固定床ユニツト１３の底部には、固
定床ユニツト１３を直接積み重ねた際にセラミツ
ク担体１１のくし形の流路が連通するように、位
置決め用溝１４−１，１４−２を設けるととも
に、固定床ユニツト１３の上部には、積み重ねた
際上側の固定床ユニツト１３の位置決め溝１４−
１，１４−２と係合するキー溝１５−１，１５−
２を設けている。これら、位置決め溝１４−１，
１４−２、キー溝１５−１，１５−２が位置決め
部を構成している。

第３図は本考案で使用するセラミツク担体１１
の他の例を示す斜視図である。本実施例では、く
し形の流路２１の一端の壁側においてその上端２
２と下端２３を斜めにカツトして、セラミツク担
体１１を積み重ねたときに各流路２１がそのカツ
ト部分で水平方向の流路を形成している。このよ
うなセラミツク担体１１を使用すると、積み重ね
て使用する場合上流側の垂直流路が閉塞してもこ
の水平方向の流路により流路の閉塞の影響を緩和
することができる。また、本実施例のように、く
し形の流路２１を形成すると処理すべき廃液が微
生物と接触する面積を多くすることができるの
で、処理効果を向上することができる。

（考案の効果） 以上詳細に説明したところから明らかなよう
に、本考案の嫌気性固定床ユニツトによれば、固
定床の設置が容易になるとともに垂直な流路を確
保できるため、ガス抜けが容易で流路の閉塞をも
防止することができる。また、水平方向の流路を
形成した例では、流路が閉塞した場合でもその閉
塞の影響をなくすことが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の嫌気性固定床ユニツトを用い
た嫌気性固定床処理装置の一実施例を示す線図、
第２図ａ，ｂ，ｃはそれぞれ本考案の嫌気性固定
床ユニツトの一例を示す側面図、平面図、側面
図、第３図は本考案で使用するセラミツク担体の
他の例を示す斜視図である。第４図は本考案の嫌
気性固定床ユニツトの概念を示す斜視図である。 １……装置本体、２……固定床、３……上流側
配管、４……下流側配管、５……配管、６……排
ガス管、１１……セラミツク担体、１２……枠、
１３……固定床ユニツト、１４−１，１４−２…
…位置決め溝、１５−１，１５−２……キー溝、
２１……流路、２２……上端、２３……下端。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 微生物を担持した複数の担体からなる固定床
   に処理すべき廃水を嫌気状態で流通させて廃水
   の浄化を行う嫌気性固定床処理装置の固定床に
   用いる固定床ユニツトであつて、くし歯形状を
   有する担体を、垂直な流路を持たせて複数個枠
   組することにより、持ち運び可能な大きさに形
   成するとともに、この固定床ユニツトに固定床
   ユニツトを積層して使用する際に、上方の固定
   床ユニツトの担体の垂直な流路を下方の固定床
   ユニツトの担体の流路に連通させるための位置
   決め部を設けたことを特徴とする嫌気性固定床
   ユニツト。 ２ 前記くし歯形状を有する担体の垂直な流路を
   連結する水平方向の流路が、嫌気性固定床ユニ
   ツトあたり少なくとも１つ確保されている実用
   新案登録請求の範囲第１項記載の嫌気性固定床
   ユニツト。