JPS6335840Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、水の浄化装置、特に生物学的水処
理に適した水の浄水装置に関する。

汚水の浄化処理の一方法として、生物学的処理
法があり、これは、１）好気性処理と２）嫌気性
処理の２種類に大別される。

１）の好気性処理は、曝気その他の方法によつ
て空気と汚水をよく接触させ、空気中の酸素を十
分に利用して好気性生物による分解浄化をねらう
もので、生物酸化法ともいわれる。

この生物酸化法は、過法、接触法、活
性汚泥法、その他の方法、に分類され、いろい
ろの装置、方法が実施されているが、生物活動速
度と汚水滞流時間とが丁度平衡と保ち得るだけの
空間が多くの設備において不足している現状が指
摘されている。

本考案は、処理水の滞流時間と生物活動速度と
の平衡が保たれるだけの十分な空間が得られると
ともに、空間の容積を任意に調整できるように
し、小型でも効率のよい浄化装置を提供するもの
である。

この考案は、筒状の容器の中心から側壁方向に
放射状に延びた仕切板で多数の処理室を形成し、
この処理室を順次循環するように水を流し、長い
距離を経て円滑、効率的に生物学的処理が行なわ
れるように装置の構造を工夫したものである。

以下、この考案の一実施例を図を用いて説明す
る。

円筒状の容器（四角形、六角形、八角形等の多
角形水平断面の容器でもよい）１からなる水槽本
体の中心部に垂直エアドラフトチユーブ２を取付
け、エアドラフトチユーブ２の内部にエアを送り
込む送気管３を垂直に設置し、送気管３の下部に
は散気管４を取付ける。散気管４は水槽本体の底
部に固定するとよい。送気管は槽底部等から散気
管に連通させてもよい。水槽本体は、その中心部
に設けた送気管３と円筒状容器１の内壁にその両
垂直端部が密に接触している放射状に設けた多数
の仕切板５により多数の処理室Ａ〜Ｈに分割され
ている。エアドラフトチユーブ２内部も処理室Ａ
〜Ｈに対応して垂直方向のエアドラフト室ａ〜ｈ
に仕切られる。

汚水等の処理水は、処理室Ａの上部かな供給さ
れ、槽本体の底部へ流れ、そこで散気管４により
エアリフトの作用で処理室Ａに対応したエアドラ
フト室ａ内を上昇する。処理室Ａ〜Ｈ内部には適
宜の処理材を取替え自由に装填しておく。

本考案は、エアドラフトチユーブ２内を上昇し
た処理水を処理室Ａの隣室である処理室Ｂへ、つ
いで処理室Ｃへと順次循環するように工夫したこ
とを特徴とする。

すなわち、エアドラフトチユーブ２の頂部にフ
ランジ状の水流ガイドリング６を設け、仕切板５
の上端部の、ガイドリング６の上部に当る個所を
切欠いてこの部分にガイドリング６を嵌合する。
ガイドリング６は、水流をよくするために外方へ
やゝ傾斜した形状にするとよい。

ガイドリング６上には、隣合つた仕切板５を斜
め方向に接続する水路変更板７を固着する。

エアドラフトチユーブ２の上端の上部には、屋
根状にガイド板８を設け、エアドラフトチユーブ
内を上昇した処理水がエアドラフトの作用で各処
理室Ａ〜Ｈへ流れ出る作用を促進させる。

上記のような構造により、処理室の下部の沈降
物はエアドラフトの作用によりドラフトチユーブ
内を押しあげられ、ドラフトチユーブ内を上昇し
てきた処理水は、処理室Ａの上部に対応したエア
ドラフト室ａの上部において第３図に矢印で示す
ように、水流変更板７によりガイドリング６上を
隣の処理室Ｂの上部へ流れ込み、扇状にゆるやか
に広がりながら処理室Ｂ下部へ降下する。そし
て、同様にして順次処理室Ｃ〜Ｈ間をおだやかに
流れる。

処理水は、処理室内を上下方向に繰り返し、か
つらせん状に流れ、各処理室で処理されながら、
処理水の供給口から排出口へとあたかも川の流れ
のように上、下流の生物相により生態系処理され
ながら流れる。

仮に水槽の深さを１ｍとすると、水が水槽を１
回転すると水の流れた距離は、１ｍ×２（各処理
室での下降、上昇の長さ）×８（処理室の数）＝16
ｍとなり、小型の水槽でも十分長い流路を得るこ
とができる。

処理室Ａ〜Ｈを生物学的処理室とするには、カ
セツト式に取り替え自在としたハニカム構造体９
を各処理室に装填する。ハニカム構造体が適する
のは、生物学的処理のための藻類には多孔質で通
気性のある構造が最適であるためである。藻類は
日中酸素を放出し、水中の重要な化学的変化と代
射活動を可能にし、日照時は光合成の結果として
水中から炭酸ガスを絶えず除去し、水の硬度低下
にも役立つ。

各処理室の内部に装填する材料及び配列順序等
は、処理水の種類や処理目的等に応じて、適宜選
択実施するとよい。もちろん、処理室のうちいく
つかは処理材を装填しないで空室のまゝで使用す
ることもできる。

なお、この考案の装置は、生物学的水処理に最
適のものであるが、処理室に活性炭などの過材
を装填して小型の家庭用浄水装置として応用する
ことも可能である。

以上説明したように、本考案の装置によれば、
構造の簡単な小型の装置であつても、水流路を十
分に長くすることができ、処理水の滞流時間と生
物活動速度が平衡を保ち得る十分な空間が得られ
るとともに、水流を作りだすためのエアドラフト
装置により処理水中への酸素の供給も図れる一石
二鳥の効果をもたらすものであり、更に処理材の
装填、取り替え、配置の変更が簡便に行なえ、生
物学的浄化装置として産業上の利用価値の高いも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の水の循環処理装置の上端部
の水平断面図、第２図は、第１図の２−２線垂直
断面図、第３図は、水流変更部の拡大斜視図であ
る。 １……筒状容器、２……エアドラフトチユー
ブ、３……送気管、４……散気管、５……仕切
板、６……水流ガイドリング、７……水流変更
板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 筒状容器１、筒状容器１の中心部に垂直方向に
   設けたエアドラフトチユーブ２、エアドラフトチ
   ユーブ２の下端部に設けた散気管４、エアドラフ
   トチユーブ２内及びエアドラフトチユーブ２外壁
   と筒状容器１内壁との間に設けられ、各々を垂直
   方向にいくつかの室に仕切る仕切板５、エアドラ
   フトチユーブ２の上端部にフランジ状に設けら
   れ、仕切板５の上端部の切欠き部に嵌合する水流
   ガイドリング６、水流ガイドリング６上に垂直方
   向に設けられ、隣合つた仕切板５間を接続し、エ
   アドラフトチユーブ室内を上昇した水を次の隣接
   した処理室へ流すための水流変更板７とからなる
   ことを特徴とする水の循環処理装置。