JPH04133756U - 椅子における背もたれの傾動支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 背もたれの後傾動を、当該背もたれに内蔵し
たばね体にて弾性的に支持するにおいて、支持機構を簡
単で且つ堅牢な構造にし、更に、背もたれ全体が厚くな
ることを防止する。 【構成】 座体２の左右両側部から立設した左右一対の
支柱４の上端に、相対向して延びる水平部４ａを一体的
に形成する。背もたれ３における背面板７に、前記支柱
４の水平部４ａが嵌まる膨出部７ｂを後ろ向きに突設
し、この膨出部７ｂの箇所において、背もたれ３を支柱
４の水平部４ａに後傾動自在に枢着する。更に、前記支
柱４の水平部４ａに、背もたれ３の後傾動を弾性的に支
持するためのばね体１２を設ける。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、背もたれを後傾動自在に構成した椅子において、背もたれの後傾動 をばね体にて弾性的に支持するようにした傾動支持装置の改良に関するものであ る。

【０００２】

【従来の技術】

背もたれの傾動支持装置には種々の形態のものがあり、その一例として、先行 技術としての実公昭５３−４５７７０号公報には、座体の左右両側部に、側面視 で下向きコ字状に形成した金属パイプ製の肘掛けを設ける一方、背もたれの左右 両側部に、左右水平状に延びる主軸を回転自在に軸支し、この主軸を、前記肘掛 けの後部に回転不能に嵌挿し、更に、前記主軸にねじりコイルばねを被嵌して、 このねじりばねの一端を主軸に対して回転不能に係止し、他端を背もたれに係止 することにより、主軸に対する背もたれの前後傾動を、ねじりコイルばねにて弾 性的に支持するようにした考案が開示されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

この先行技術によると、支持装置の大部分が背もたれに内蔵されるため、外観 を向上することができると言う利点がある。 しかし、その反面、支持装置を背もたれに内蔵すると、それだけ背もたれの厚 さが厚くなると言う問題があった。

【０００４】 また、支持装置における主軸を背もたれの左右両側部から横向きに突出して、 この主軸を肘掛けに回転不能に挿入するものであるため、部材点数が増大して製 造コストが嵩むと共に、肘掛けに対する主軸の取り付けが不確実であると、主軸 が肘掛けに対して回転してしまって、背もたれの後傾動を弾性的に支持できなく なる虞がある点も問題であった。

【０００５】 本考案は、これらの問題を解消した支持装置を提供することを目的とするもの である。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

この目的を達成するため本考案は、座体の左右両側部に、背もたれに対する左 右一対の支柱を立設し、該左右両支柱の上端に、相対向するように延びる水平部 を一体的に形成する一方、前記背もたれにおける背面板に、前記左右両支柱の水 平部が嵌まる後ろ向きに突出の膨出部を形成し、該膨出部の箇所において背もた れを前記支柱の水平部に対して後傾動自在に枢着し、前記左右両支柱における水 平部のうち少なくとも何れか一方に、前記背もたれの後傾動に対するばね体を装 着する構成にした。

【０００７】

【考案の作用・効果】

このように、左右両支柱の上端に一体的に形成した水平部にて、背もたれを傾 動自在に支持すると、部材点数を低減できて、それだけ製造コストを低減するこ とができると共に、堅牢な支持構造となって、ばね体にて背もたれの後傾動を弾 性的に支持することを確実に行える。

【０００８】 また、背もたれの背面板に、後ろ向きに突出した膨出部を形成して、この膨出 部の箇所において背もたれを支柱の水平部に枢着したことにより、ばね体を背も たれに内蔵して外観を向上できる支持装置でありながら、背もたれが全体として 厚くなることを防止できる。 従って本考案によると、堅牢な構造の傾動支持装置を、背もたれを過度に厚く することなく、製造コストを低減できる状態にて提供できる効果を有する。

【０００９】

【実施例】

次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。 図１〜図４に示すのは第１の実施例であり、これらの図において符号１は椅子 の脚体を、符号２は前記脚体１にて支持した座体を、符号３は前記座体２の後部 に配設した背もたれを各々示す。

【００１０】 前記座体２の左右両側部に、側面視で後傾状に延びる左右一対の支柱４，５を 立設し、これら左右両支柱４，４の上端に、相対向して左右方向に延びる水平部 ４ａを各々折り曲げにて一体的に形成する。 前記背もたれ３は、合成樹脂製又は金属板製等の基板５と、該基板５の前面に 張設したクッション体６と、前記基板５の背面にねじ止め等にて固着するように した合成樹脂製等の背面板７とで構成されている。前記背面板７は、その外周に 前向きのリブ７ａを形成することにより、基板５と背面板７との間に隙間が生じ るようにしている。

【００１１】 前記背面板７の左右両端寄り部位には、支柱４における水平部４ａと同じ高さ 位置に、後ろ向きに突出した側断面円弧状の膨出部７ｂを水平状に延びるように 形成し、これら左右両膨出部７ｂ，７ｂの箇所において、背もたれ３を、前記左 右両支柱４，４の水平部４ａに対して後傾動自在に枢着する。 すなわち、前記左右両支柱４，４の水平部４ａにブッシュ８を被嵌して、該ブ ッシュ８を横向きＵ字状の補強板９に嵌挿し、該補強板９を膨出部７ｂ内に嵌挿 し、更に、補強板９の上下両端に形成したフランジ９ａに押さえ板１０を重ね合 わせて、該押さえ板１０と補強板９のフランジ９ａとを、背面板７の内面に造形 した突起７ｃにねじ１１止めすることにより、背もたれ４を左右両支柱４，４の 水平部４ａにて後傾動自在に枢着する。

【００１２】 前記背面板７の内面には、前記突起７ｃに連接した補強リブ７ｄを、上下方向 に延びるように造形している。 そして、前記ブッシュ８の長さ寸法を補強板９の左右横幅よりも大きい寸法に 設定することにより、ブッシュ８を補強板９の端面から内向きに露出させ、該ブ ッシュ８の露出部に、ばね体の一例としてのねじりコイルばね１２を被嵌する一 方、前記左右両支柱４，４における水平部４ａの先端をブッシュ８の端面から内 向きに露出させ、この水平部４ａの先端に切り欠き形成した係合溝１３に、前記 コイルねじりばね１２の一端１２ａを係止し、コイルねじりばね１２の他端１２ ｂを、前記押さえ板１０の前面に係止する。

【００１３】 前記ねじりコイルばね１２は、背もたれ３の左右中心部から左右外向き方向に 向かって左巻きの螺旋となるように形成して、その他端１２ｂを押さえ板１０に 係止している。 以上の構成において、椅子に座った人が背もたれ３にもたれ掛かると、背もた れ３は図４に一点鎖線で示すように、ねじりコイルばね１２の弾性に抗して後傾 動し、背もたれ３の後傾動が弾性的に支持される。

【００１４】 このように、支柱４に折り曲げ形成した水平部４ａにて、背もたれ３を傾動自 在に支持するものであるから、部品点数を低減して製造コストを低減できると共 に、堅牢な構造となって耐久性を向上できるのである。 また、背面板７に膨出部７ｂを形成し、該膨出部７ｂの箇所に支柱４の水平部 ４ａやねじりコイルばね１２を設けたものであるから、弾性的な支持機構を背も たれ４に内蔵したものでありながら、背もたれ３の全体が厚くなることを防止で きるのである。

【００１５】 実施例のように、ばね体としてねじりコイルばね１２を使用して、その一端部 １２ａを、支柱４における水平部４ａの先端に切り欠き形成した係合溝１３に係 止する構成にすると、ねじりコイルばね１２の一端１２ａを係止する部材を別途 設ける必要がないので、構造をより簡単にできる利点がある。この場合、支柱４ における水平部４ａの外周面に係合孔を穿設し、この係合孔に、ねじりコイルば ね１２の一端１２ａを係止するようにしても良い。

【００１６】 なお、背もたれ３を大きく後傾動させると、ねじりコイルばね１２がその直径 を縮小するようにねじられて、ねじりコイルばね１２が支柱４の水平部４ａに強 く巻き付くため、背もたれ３の後傾動が徐々に停止することになる。 また、前記したようにねじりコイルばね１２が支柱４の水平部４ａに巻き付い てそれ以上の弾性変形が不能になるため、別途ストッパーを設けなくても、背も たれ４の最大後傾角度を規制することができる。

【００１７】 なお、上記の実施例では、ねじりコイルばね１２の他端１２ｂが基板５の背面 に密接しているため、背もたれ３は殆ど前傾することはない。もとより、背もた れ３を前後傾動自在に構成して、後傾用のばね体と前傾用のばね体とを設けて、 前傾動も弾性的に支持するようにしても良いのである。 図５に示すのは、支柱４の水平部４ａが嵌挿したブッシュ８の一側寄りの略半 部程度を膨出部７ｂに嵌め込む一方、ブッシュ８の他側寄りの略半分程度に、リ ブ１４ａを備えた半円状の押さえ部材１４を被嵌し、該押さえ部材１４を、押さ え板１０にて背面板７の内面に固定することにより、支柱４の水平部４ａにて背 もたれ３を回動自在に支持するようにしたものである。

【００１８】 また、図６に示すのは、背面板７における膨出部７ａの箇所に筒部７ｅを造形 し、この筒部７ｅに、ブッシュ８を介して支柱４の水平部４ａを嵌挿することに より、支柱４の水平部４ａにて背もたれ３を後傾動自在に支持するようにしたも のである。 これら図５及び図６の実施例では、ねじりコイルばね１２の外径をブッシュ８ の外径よりも小さい寸法に形成して、このねじりコイルばね１２を、支柱４の水 平部４ａに直接に被嵌するようにしている。

【００１９】 図７に示すのは、背面板７を基板５に取り付ける手段として、背面板７の内面 に、先端に複数個の係止片１５ａを備えたスナップ式の係止体１５と、スペーサ 用突起１６とを一体的に造形し、係止体１５の係止片１５ａを、基板５に穿設し た係合孔１７に挿入係止するようにしたものである。 上記の実施例は、背面板７を基板５に固着した場合であったが、必ずしも基板 ５を設ける必要はなく、図８に示すように、背面板７の膨出部７ｂを、支柱４の 水平部４ａの全体が嵌まるように大きく突出させて、支持装置の部材が背面板７ の前面から大きく突出しないように形成することにより、クッション体６を背面 板７に直接に張設するようにしても良い。

【００２０】 この実施例では、支柱４における水平部４ａの先端に、上下方向に開口した係 合溝１３ａを形成し、この係合溝１３ａに板ばね１８の上端を嵌挿してこれをね じ１９にて固定し、板ばね１８の下端部を背面板７の内面に接当することにより 、背もたれ３の後傾動を弾性的に支持するようにしている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す分離斜視図である。

【図２】椅子を後方から見た状態での斜視図である。

【図３】支持装置の要部を示す一部破断斜視図である。

【図４】図３のIV−IV視断面図である。

【図５】他の実施例を示す分離斜視図である。

【図６】他の実施例を示す要部斜視図である。

【図７】背面板の係止手段の一例を示す図である。

【図８】他の実施例を示す要部斜視図である。

【符号の説明】

１ 脚体 ２ 座体 ３ 背もたれ ４ 支柱 ４ａ 水平部 ５ 基板 ６ クッション体 ７ 背面板 ７ａ 膨出部 ８ ブッシュ １２ ばね体の一例としてのねじりコイルばね １８ ばね体の一例とての板ばね

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】座体の左右両側部に、背もたれに対する左
   右一対の支柱を立設し、該左右両支柱の上端に、相対向
   するように延びる水平部を一体的に形成する一方、前記
   背もたれにおける背面板に、前記左右両支柱の水平部が
   嵌まる後ろ向き突出の膨出部を形成し、該膨出部の箇所
   において背もたれを前記支柱の水平部に対して後傾動自
   在に枢着し、前記左右両支柱における水平部のうち少な
   くとも何れか一方に、前記背もたれの後傾動に対するば
   ね体を装着したことを特徴とする椅子における背もたれ
   の傾動支持装置。