JPH04131574U - 重心保持と重心移動機能付運搬装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】フォークリフト、クレーン付トラック等の特殊
車輌を用いたり、複数の作業者で持ち運ばなければなら
ないような重量を有する物体の運搬を行なうために、そ
れらの方法に代り特別な訓練を必要とすることなく誰に
でも手軽にひとりで操作して作業を行なうことを可能と
する運搬装置の提供を目的とする。 【構成】運搬する物体の吊り上げ及び吊り下げを行なう
駆動アーム、同駆動アームを駆動させる駆動機構、駆動
機構に動作指示を行なう操作部及び操作アーム、作業員
が装置を引くための引き棒、前輪、後輪により構成され
る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、人がひとりでは持運べないような重量を有する物体を運搬する際に 、運搬しようとする物体を目的の場所にまで移動して下ろすまでの作業をひとり の作業者で実施するための運搬装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、人がひとりでは持上げられない重量を有する物体を運搬する際には、複 数の作業者により作業を行なうか、フォークリフト、クレーン付トラック等の特 殊車輌を使用しなければならなかった。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

従来公知の運搬装置、特に人がひとりでは持運べない重量を有する物体を運搬 する際に使用される上記の特殊車輌においては、装置そのものが非常に高価であ るばかりか、作業を円滑に実施するために作業者は相当の熟練が必要でる。 さらに、作業を実施する場所の地面または床面が平坦ではない場合、運搬中に 運搬物が荷台から滑り落ちることのないよう、搭載した物を荷台上で固定してお かなければならない。 本考案は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり、 装置の機構を簡単にすることにより製作費を安くするとともに、併せてその操作 性及び使用範囲を向上させ専門的な操作技術を必要とすることなく誰にでも安全 且つ手軽にひとりで操作できる運搬装置を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

運搬物を運搬中の地面ないし接面の傾斜角度の変化を操作アームの移動により 感知し、装置の移動中においても駆動アームで吊り上げられた運搬物をいわゆる 宙づりの状態に保持しながら、運搬物の重心を常に装置の中心部に位置する車軸 上に保持すべく駆動アームを動作させることにより、運搬中の地面の傾斜角度の 変化に対応して装置全体のバランスを常に一定の状態に保持する。 本考案は、以上のような構成よりなる運搬装置である。

【０００５】

【作用及び実施例】

次に、本考案につき、その一実施例を示す添付図面を参照して説明する。 まず本装置を用いて運搬しようとする物体を吊り上げる場合、図５において、 運搬物１３が２本の補助アーム４の間に位置すべく装置全体を移動し、チェーン １１の先端のフック１２を運搬物１３の周囲に掛けられたベルト１４に掛ける。 引き棒３に取り付けた操作部５より吊り上げ動作スイッチをオンにすると、駆動 アーム１内部のモーターが回転してウオームギヤ機構により駆動軸９がシャフト １０内部から操作部５の方向に伸び出る運動を行ない駆動アーム１は操作部５の 方向に回転する。図６において駆動アーム１は、吊り上げた運搬物１３の重心が 車軸６上に到達した時点で自動的に停止する。 次に、装置を引くのに先立ち操作部５の操作モードを自動モードに設定する。 この自動モードとは、目的の場所に運搬後運搬物１３を吊り下げる際ならびに後 述の駆動アーム１の位置を微調整する際に作業者の判断で装置の駆動機構を動作 させる場合のいわゆるマニュアルモードに相対する操作モードであり、本考案に おいては運搬中の地面１５の傾斜角度の変化に自動的に対応して常に運搬物１３ の重心を車軸６上に保持すべく駆動機構を駆動させるための操作モードを指す。 操作部５を操作して操作モードを自動モードに切り替えた後、作業者が引き棒 ３を引き運搬物１３を運搬中に、例えば図７に示す如く上り傾斜面がある場合、 本装置は以下の如き動作を行なう。 図７において、作業者が地面１５の平坦面から上りの傾斜面へと進行していく と、操作アーム２は支軸１６を支点として上方に持上がり操作アーム２の上面が 上りスイッチ１７をオンにし、駆動軸９は駆動アーム１を引き棒３側に回転すべ く動作を開始する。図８において、作業者がさらに上りの傾斜面上で進行を続け 装置の前輪７が上りの傾斜面上に達すると、操作アーム２の上面は上りスイッチ １７から離れ同スイッチはオフとなる。従って、作業者が上りの傾斜面上で進行 を開始し上りスイッチ１７がオンになってから前輸７が上りの傾斜面上に達して 上りスイッチ１７がオフとなるまでの間に、装置が上りの傾斜面上を進行する際 に運搬物１３の重心が車軸６上に達するような速度で作業者が引き棒３を引けば よいこととなる。 一方、作業者が平坦面から下りの傾斜面へと進行していく場合、図９において 操作アーム２は支軸１６を支点として下方に下がりその下面が下りスイッチ１８ をオンにし、駆動軸９は駆動アーム１を後輪８側に回転すべく動作を開始する。 図１０において、作業者がさらに下りの傾斜面上で進行を続け装置の前輪７が下 りの傾斜面上に達すると、操作アーム２の下面は下りスイッチ１８から離れ同ス イッチはオフとなる。この間に、下りの傾斜面上を進行する際に運搬物１３の重 心が車軸６上に達するような速度で作業者が引き棒を引けばよい。 上記上りないし下りスイッチ１７、１８がオフになった時点で駆動軸９の停止 位置即ち運搬物１３の重心位置が最適ではない場合には、操作モードをマニュア ルモードに切り替えて、必要に応じて駆動アーム１の位置を微調整することが可 能である。 運搬物１３を目的の場所まで運搬後地面に下ろす際には、マニュアルモードに て駆動アーム１を後輪８側に回転させて運搬物を地面に下ろすこととなる。 以上、ひとつの実施例について図面を参照して説明したが、本考案は上記実施 例に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内においてそれらに各種の改 変を施して実施することができるものである。例えば以下の如き各改変を施すこ とが可能であり、各改変を組合わせることも可能である。 第一に、駆動アームを動作する駆動機構につき、電動モーターと機械的機構を 組合わせたものや、油圧ないし空圧シリンダーを利用した機構を用いることが可 能である。 第二に、駆動機構に電力を使用する場合の電力源として、充電式バッテリーや 小型発電機を搭載したり、装置に電源コードを取り付けて一般家庭用の電源を使 用することが可能である。 第三に、フックに代りレバー式真空吸着盤等の各種吊着具を使用することが可 能である。 第四に、運搬中における地面の傾斜角度の変化幅を正確に認識し、同変化幅に 対する駆動アームの移動幅を的確に指示及び制御すべくセンサー制御機構を付加 することが可能である。 第五に、図５において操作アームと地面との角度がより大きくなる形状に装置 を設計、製作することにより、運搬中は常に後輪を地面から浮かせた状態で運搬 物の重心を常に車軸上に保持することが可能である。 第六に、運搬物を運搬する目的の地点までの地面ないし接面が平坦であり、さ らに運搬物の重心が比較的安定している場合には、補助アーム上に受け台を装着 して運搬中は同受け台上に運搬物の下面を接面させた状態で運搬物を運搬するこ とが可能である。 第七に、装置のねじれを防止すべく、駆動アームと補助アーム間に補強機構を 付加したり、装置が移動中の作業の安全性を高めるべくブレーキ機構を付加する ことが可能である。 第八に、装置の操作性をさらに高めるために駆動アーム、補助アームないし引 き棒またはそれら全部に伸縮機構を付加することが可能である。 第九に、駆動アームに伸縮機構を持たせた場合、図１１に示す如く、上記実施 例における２本の補助アームをコの字型に一体化するとともに前輪７を同補助ア ーム４内に装着し、上記実施例における車軸６及び補強板２０、２１をとり除け ば運搬物の吊り上げ及び吊り下げを駆動アーム１の伸縮運動のみで行うことが可 能となり、重量物や長尺物の運搬がより容易となる。 第十に、第九の改変に加えて、図１２に示す如く駆動アーム１を引き棒３側か ら駆動すべく駆動軸９及びシリンダー１０の装着位置を変えることが可能である 。 第十一に、第十の改変に加えて、図１３に示す如く補助アーム４を短縮するこ とにより壁際に位置するような運搬物を吊り上げる際や壁際に運搬物を吊り下げ る際に、補助アーム４の端部が壁に突き当ることなく作業を行なうことが可能と なる。 この場合、駆動アーム１の回転にともなう運搬物の重心移動による作業者への負 荷を最小限にとどめるべく、通常は補助アーム４内に収納または格納されている 支柱２２の一端を一時的に地面に着面させる。さらに引き棒３に伸縮機構を持た せておき、上記吊り上げ及び吊り下げ時に引き棒３を伸ばした状態で作業者が引 き棒を保持することにより上記負荷をより軽減することが可能となる。

【０００６】

【考案の効果】

本考案は、上述のとおり構成されているので以下に記載されるような効果を奏 する。 第一に、従来の運搬用特殊車輌に比し装置の機構が簡単であるため、製作費が 安価であるばかりか操作性においても高度な訓練を必要とせず、手軽に操作する ことが可能である。 第二に、装置が小型、軽量であることから、装置そのものを容易に運搬するこ とが可能となり、従来の運搬用特殊車輌に比しその使用範囲を飛躍的に向上させ ることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】装置全体を示す外観図

【図２】装置主要部を示す平面図

【図３】引き棒側から見た装置主要部の側面図

【図４】後輪側から見た装置主要部の側面図

【図５】吊り上げ作業時の装置及び運搬物の側面図

【図６】吊り上げ作業後の装置及び運搬物の側面図

【図７】上り傾斜面に前輪が進入する直前の装置及び運
搬物の側面図

【図８】上り傾斜面を進行中の装置及び運搬物の側面図

【図９】下り傾斜面に前輪が進入する直前の装置及び運
搬物の側面図

【図１０】下り傾斜面を進行中の装置及び運搬物の側面
図

【図１１】駆動アームに伸縮機構を持たせた装置の一例
を示す外観図

【図１２】駆動軸及びシリンダーの位置を変えた装置の
一例を示す外観図

【図１３】補助アームを短縮した装置の一例を示す外観
図

【符号の説明】

１ 駆動アーム ２ 操作アーム ３ 引き棒 ４ 補助アーム ５ 操作部 ６ 車軸 ７ 前輪 ８ 後輪 ９ 駆動軸 １０ シャフト １１ チェーン １２ フック １３ 運搬物 １４ ベルト １５ 地面 １６ 支軸 １７ 上りスイッチ １８ 下りスイッチ １９ バネ ２０、２１ 補強板 ２２ 支柱

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】運搬物を運搬中の地面ないし接面の傾斜角
   度の変化を感知する機構及び運搬中の地面ないし接面の
   傾斜角度の変化に対して運搬物の重心を常に車軸上に保
   持すべく動作する駆動機構を有し、ひとりの作業者で簡
   単且つ手軽に運搬物を運搬できることを特徴とする重心
   保持と重心移動機能付運搬装置。