JPH0412104B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、顆粒状若しくは結晶状甘味料又は食
品の製造法に関し、更に詳しくは、ジペプチド甘
味料を含有し、低カロリーでかつ分散性、溶解性
の高い顆粒状若しくは結晶状甘味料又は食品の製
造法に関する。 アスパルテームは、その原末が一般に細かい針
状の結晶で、比容が大きく、飛散し易い。更にま
た、水に対する分散性、溶解度がともに低い。こ
のため、原末のままで使用する場合には、溶解
時、いわゆるママコを生成し、溶解が困難な物性
を呈する。従つて、例えば、蔗糖のような原末の
ままでの甘味料としての使用には種々の制約があ
る。 また、アスパルテームは、蔗糖の約200倍程度
（その濃度又は共存する物質のちがい等により変
化する）という高い甘味度をもつ。これは、重量
基準にすると、蔗糖の約1/200の使用量で蔗糖と
同等の甘味が得られる訳であり、例えば卓上用甘
味料として、原末のまま使用する場合には極微量
を計量しなければならないこととなる。従つて、
実質的にアスパルテーム原末で、例えばコーヒー
や紅茶等における甘味度の微妙な調整を行うこと
は不可能に近い状況にある。 上記の如き、アスパルテームを卓上用等で利用
する場合における種々の制約を解消するための方
法として、例えば、賦形剤、滑沢剤等と共に錠剤
化し、常時一定の使用量を得る方法が提案されて
いる。 また、溶解性、分散性を向上させるための試み
としては、上記錠剤中に重炭酸ナトリウム及び適
当な中和剤を共存させて発泡性の錠剤としたり、
アスパルテームを一旦デキストリン等の食用バル
ク剤と共に水に溶解させ、又はスラリー化して、
主としてスプレー・ドライにより加熱乾燥するこ
となどが行われている。 これらの方法は、アスパルテームの実用化に寄
与する方法ではあるが、例えば、錠剤の場合に
は、甘味度を各自の好みに合せて調節する上で不
便であり、又、食用バルク剤と共に溶解乃至はス
ラリー化した後乾燥する等の方法にあつては、溶
解性、分散性の悪いアスパルテームを溶解し、又
はスラリー化するために、その操作が困難なこと
や、アスパルテームが溶解時発泡現象を生ずる
等、工程上多くのトラブルを生ずること、更には
スプレー・ドライ等の乾燥工程で熱によりアスパ
ルテームが分解し、無毒で全く安全ではあるが甘
味のないジケトピペラジン誘導体になり、甘味の
ロスを生ずることなどが予想される。加えて、比
較的多量の水を蒸発する必要があり、このような
方法にあつては、エネルギー的にも不利で、コス
ト面でもそれなりの負担を負わざるを得ない。 一方、蔗糖、ブドウ糖、果糖その他の糖又はソ
ルビトール、マルチトール等の糖アルコール、澱
粉糖などは、甘味質においては十分満足できるが
甘味度が必ずしも高くないため、高カロリーとな
り、ダイエツト甘味料として不満足であつたり、
或いは、低カロリーであつても、マルチトール等
においては甘味度が低く、パンチのある甘味が得
られ難い等の問題を有する。また、これらの甘味
料又は甘味料含有食品は、高湿度下においては、
吸湿固結乃至は潮解して、物性及び味、風味が低
下し易い。 本発明者らは、上記アスパルテームや他の甘味
料等が固々に有する問題点に鑑み、アスパルテー
ムの甘味ロスや操作上のトラブルを可及的に減少
しつつ、低カロリーで甘味度、甘味質においても
十分満足できる甘味料又は食品を取得すべく鋭意
検討を重ねた結果、賦形剤、食品の結晶又は顆粒
をアスパルテーム溶液若しくはスラリーでコーテ
イングすることにより、低カロリーで物性の優れ
た甘味料顆粒若しくは結晶又は食品が得られると
の知見に至り本発明を完成したものである。 被覆の基材となる顆粒又は結晶は、甘味料、賦
形剤、食品材料を含有する。甘味料としては、蔗
糖、ブドウ糖、果糖等の糖類、ソルビトール、キ
シリトール、マルチトール等の糖アルコール類、
アスパルテーム、ステビオサイド、サツカリンそ
の他の天然又は人工の甘味料等で、その種類は問
わない。賦形剤としては、α化デンプン、デキス
トリン、多糖類、セルロース誘導体、低カロリー
ポリサツカライド、酸、蛋白加水分解物、塩類等
の中から適宜選択して使用する。食品材料として
は、コーヒー、果汁、エキス類等が挙げられる
が、その種類は問わない。顆粒又は結晶は、これ
らの甘味料、賦形剤、及び食品材料の中から１種
又は２種以上を組合せて、顆粒化若しくは結晶化
する。顆粒化又は結晶化の方法、条件等は限定さ
れない。使用する甘味料、賦形剤、食品材料の種
類、配合比等に応じ、最適の条件下で造粒又は結
晶化すればよい。 顆粒又は結晶の粒径についても特に限定はない
が、一般には50μ〜400μである。また、顆粒又は
結晶には、上記甘味料及び賦形剤以外の成分、例
えば香料、界面活性剤、結合剤また、コーヒー、
ジユース等の乾燥粉末等が含まれていてもかまわ
ない。 被覆に用いるアスパルテーム溶液又はスラリー
は、アスパルテームを水、アルコール等の溶媒に
添加混合して調製する。溶媒の種類、温度、共存
する溶質の有無或いはアスパルテーム濃度につい
ては限定されないが、アスパルテーム濃度0.1ｇ
〜50ｇ／dl程度であれば、従来法、即ち、賦形剤
及びそれを溶解乃至はスラリー化するに要した多
量の水の存在下でアスパルテーム含有甘味料を乾
燥する方法に比べて、乾燥を要する溶媒量が少な
く、かつ、被覆操作も容易で効率よくアスパルテ
ームでコーテイングされた甘味料若しくは食品の
顆粒又は結晶を製造できる。 被覆方法は流動造粒器等で顆粒又は結晶を空気
で流動させながら、アスパルテームを含む溶液を
スプレーしてコーテイングする方法、又は、転動
造粒器等で振動又は回転運動により顆粒または結
晶を流動させながら、アスパルテームを含む溶液
をスプレーしてコーテイングする方法、また、回
転羽根又は回転盤により顆粒または結晶を流動さ
せながら、アスパルテームを含む溶液をスプレー
してコーテイングする方法がある。 被覆後、結晶又は顆粒を乾燥するが、乾燥法と
しては、通風乾燥、真空乾燥、流動乾燥等、温度
50℃〜110℃で行うことが望ましい。 本発明方法により得られる顆粒状又は結晶状甘
味料は、アスパルテーム原末に比べて溶解性、分
散性が極めて高く、粉末状のアスパルテームを用
いて賦形剤と通常の混合機で混合した又は混合後
造粒した甘味料製剤よりアスパルテームが均一に
分散されている事から溶解性、分散性がより促進
され、顆粒表面の被覆を形成する主成分のアスパ
ルテームが疎水性を有する事により顆粒品の吸湿
性を改善し、保存性の向上を有する事の他、低カ
ロリーで甘味質が良好なことから、いわゆる卓上
甘味料として高い適性を示すと共に、製造工程に
おける甘味のロスが少なく、エネルギー・コスト
的にも有利であるという多くのメリツトを有する
ものである。 以下、実施例により本発明を更に説明する。 実施例 １ 「グリスターＰ」 1500ｇ アスパルテーム 50ｇ α化デンプン 2.5ｇ デキストリンの一種である「グリスターＰ」
1500ｇをローラコンパクタ（Model MINI）に
より圧扁造粒し、オシレータにより解砕して顆粒
を製造する。処理量は2.7Kg／Hrであつた。この
際、ロールへの付着防止の為、0.5％の滑沢剤を
混合した。得られた顆粒は粒度ほぼ16〜60mesh
であつた。この顆粒をスピラコータ（SP−40型）
によつて、アスパルテームを被覆した。 被覆剤溶液としては、アスパルテーム濃度20重
量％とα化デンプン１重量％を十分混合したアス
パルテームスラリー液250mlを用いた。スピラコ
ータは回転円盤と空気によつて粒子を分散し、被
覆する機構を有するもので、被覆工程は入口空気
温度50℃、20分行ない、被覆後の乾燥は入口空気
温度80℃で17分行ない良好なアスパルテーム被覆
顆粒が製造された。 本製法により得られた顆粒と粉末アスパルテー
ムを同一賦形剤で粉体混合し、流動造粒した顆粒
を対照として保有性を比較した。結果を第１表に
示す。 顆粒品はそれぞれ1.3ｇをポリエステルフイル
ムで３方シールし24℃、相対湿度78％で保存し
た。

【表】 更に、本発明品及び対照を温水に投入したとこ
ろ、本発明品は対照に比べて速やかに溶解した。 実施例 ２ コーヒー凍結乾燥顆粒 2000ｇ アスパルテーム 50ｇ コーヒー凍結乾燥顆粒2000ｇをフローコーター
（フロイント産業；FL−40）で流動化させて、ア
スパルテームを被覆した。製造条件は被覆工程の
運転条件は入口空気温度40℃、15分、乾燥工程で
は、入口空気温度60℃、20分であつた。被覆溶解
はアスパルテーム50ｇに水400ｇ加えて十分混合
したアスパルテームスラリー液450ｇを用い、被
覆工程で流動粉体に噴霧し、被覆した。 本発明のコーヒー顆粒を温湯に投入したとこ
ろ、速やかに溶解し、適度な甘味のホツトコーヒ
ーが得られた。 また、本製法によるコーヒー顆粒は従来の甘味
料製剤の様に、賦形剤を含有しないので、賦形剤
による呈味、物性等への影響がなく、低カロリー
飲料として、優れた性質を有するものであつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 甘味料、賦形剤及び／又は食品材料を含有し
   て成る顆粒又は結晶をα−Ｌ−アスパルチル−Ｌ
   −フエニルアラニンメチルエステルを含む溶液若
   しくはスラリーで被覆することを特徴とする顆粒
   状若しくは結晶状甘味料又は食品の製造法。