JPH04117229U - 回転ダンパー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 シリコンオイルなどの粘性流体を使用せず、
球、円筒コロなどの転動体を環状弾性体の内周に喰込ま
せ、環状弾性体との摩擦力に抗して転動体を転動させる
ことにより緩衝、制動を行なう回転ダンパーを提供す
る。 【構成】 円形の窪みを有する皿形ハウジングと、上記
円形の窪みの内部で水平に回転する回転片、及び該回転
片の中心から起立して前記皿形ハウジングの円形の窪み
から上に突出し、回転が入力される軸を備えたロータ
と、前記皿形ハウジングの円形の窪みの内周に配置され
た環状弾性体とからなり、前記ロータの回転片の外周に
切欠きを設け、該切欠きに上記環状弾性体の内周に喰込
む転動体を保持したことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、皿形ハウジングの円形の窪みの内部で回転片が水平回転するロー タを備え、摺動や回転によって該ロータを一方向に回転させようとする自動車の グローブボックスや、引出式、揺動式の灰皿その他の物体の開く動きを緩衝、制 動し、静粛化する回転ダンパーに関する。

【０００２】

【従来の技術】

このような回転ダンパーは従来から公知であって、その多くはシリコンオイル などの粘性流体を円形の窪みに封入し、ロータと一体の回転片の回転をシリコン オイルなどの粘性で制動するようになっている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

シリコンオイルは温度が高くなると体積を膨張するので、シリコンオイルの保 持部は、オイルの体積の膨張、収縮に係らずオイルを完全に密封し、外に洩らす ことなく保持する必要があり、そのため構造が非常に複雑になり、コスト高にな る。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案は、シリコンオイルなどの粘性流体を用いない高性能な回転ダン パーに関するもので、円形の窪みを有する皿形ハウジングと、上記円形の窪みの 内部で水平に回転する回転片、及び該回転片の中心から起立して前記皿形ハウジ ングの円形の窪みから上に突出し、回転が入力される軸を備えたロータと、前記 皿形ハウジングの円形の窪みの内周に配置された環状弾性体とからなり、前記ロ ータの回転片の外周に切欠きを設け、該切欠きに上記環状弾性体の内周に喰込む 転動体を保持したことを特徴とする。

【０００５】

【実施例】 図示の各実施例において、１は皿形ハウジングで、円形の窪み２と、該窪みの 底の中心から起立する短い静軸３と、窪みの外周壁４から直径方向に外向きに突 出し、ビスなどを挿通して車体などに固定する固定片５，５を有する。

【０００６】 ６はロータで、上記円形の窪み２の内部で水平に回転する回転片７、及び該回 転片の中心から起立し、窪みの上面から上に突出する軸８を備え、軸８の上端部 の角軸部に歯車９を固定するようになっている。

【０００７】 軸８は下端部に、静軸３に被さる嵌合部８′を有し、この嵌合部８′を静軸３ に被せてロータ６の回転片７は窪み２の内部で水平に回転する。

【０００８】 窪み２の内周にはＯリングなどの環状弾性体１０を配置する。又、ロータの回 転片７の外径はＯリングの内径よりも小で、その外周には円周方向に等間隔の切 欠き１１を設け、該切欠き１１中に球、円筒コロなどの転動体１２を回転自在に 保持する。

【０００９】 そして、皿形ハウジングの外周壁４の外に、ロータの軸８が上に通き抜ける中 心孔を備えたキャップ１３を嵌めて固定し、該キャップにより円形の窪み２を上 から塞ぎ、その後、軸８の上端部に歯車９を固定する。

【００１０】 こうして組立てた回転ダンパーは、固定片５，５で車体に固定し、グローブボ ックスの蓋や、揺動式灰皿の開閉で摺動、又は回動するラックやピニオンを歯車 ９に噛み合わせ、その開く動きで連動回動するようにして置く。

【００１１】 図１，２の実施例の切欠き１１は、転動体１２の曲率に合った円弧になって居 り、切欠きから外に突出した転動体の突出部１２′の一部は前記環状弾性体１０ の内周に喰込む。

【００１２】 これによって、グローブボックスの扉や、灰皿の開く動きで歯車９と一体にロ ータ６は回転するが、回転片の切欠きに保持した転動体１２が環状弾性体１０の 内周に喰込み、その摩擦に抗して転動体１２は転動しなければならないので、ロ ータの回転、ひいては蓋や灰皿の開く動きは緩衝、制動され、静粛化する。

【００１３】 図３の実施例の切欠き１１は回転片７の円周方向に細長く、しかも、その一端 １１ａから他端１１ｂに向かって外周から切込む深さは漸増している。

【００１４】 つまり、転動体１２が切欠きの一端１１ａに位置しているときは転動体は回転 片７の外周から最大に突出し、その突出部の一部は環状弾性体１０に喰込むが、 他端１１ｂに位置すると環状弾性体１０の内周に接触しなくなる。

【００１５】 図１，２の実施例では、ロータ６が正逆どの方向に回転する際も、転動体１２ は環状弾性体に喰込んだ状態で転動しなければならないため、緩衝、制動効果を 発揮する。

【００１６】 しかし、図３の実施例ではロータ６がａ方向に回転する際、転動体１２は切欠 きの一端１１ａに押込められ、環状弾性体に喰込んだ状態で転動するので緩衝、 制動効果を発揮するが、ロータが反対のｂ方向に回転する際は、転動体１２は切 欠きの一端１１ａから切欠き中を移動して他端１１ｂに位置することになる。従 って、ロータのｂ方向の回転の際には緩衝、制動効果を発揮しない。

【００１７】 つまり、この図３の実施例の場合は、ばねなどの力で扉や灰皿がバタンと開く のを防止し、逆に手で押して扉や灰皿を閉じる際は軽く押して閉じることができ る。

【００１８】 正逆両方向の回転に対して緩衝、制動を行なう回転ダンパーを使用するか、一 方向の回転に対して緩衝、制動を行ない、反対方向の回転に対しては緩衝、制動 を行なわない回転ダンパーを使用するから、使用用途に応じて選択すればよい。

【００１９】 緩衝、制動効果は、転動体１２が環状弾性体１０に喰込む深さと、ロータ６の 回転片７が保持する転動体１２の数によって決まるので、使用目的に応じて適切 に定める。

【００２０】 各実施例において、ロータ６の回転片７は円盤になっているが、放射状の複数 枚の翼で、各翼の外縁に切欠き１１を設けて転動体を保持してもよい。

【００２１】

【考案の効果】

以上で明らかなように、本考案はロータ６の回転片７が外周の切欠き１１に保 持する転動体１２を、皿形ハウジングの円形の窪み２の内周に喰込ませ、ロータ の回転に伴い転動体１２が環状弾性体との摩擦力に抗して転動することを利用し てロータを連動回転させる物体の動きを緩衝、制動する。

【００２２】 このため、シリコンオイルなどの粘性流体を利用する場合の、オイルの洩れ防 止対策を講じる必要がないため、構造が著しく簡略する。更に、転動体が環状弾 性体に喰込む深さや、ロータの回転片が保持する転動体の数を調整し、任意、所 望の緩衝、制動効果を有する製品が得られる。

【００２３】 又、請求項２によってロータの一方向の回転は緩衝、制動するが、反対方向に はロータを自由に回転させることができる回転ダンパーが得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の回転ダンパーの一実施例を示す一部を
断面にした平面図である。

【図２】図１のＩＩ−ＩＩ線での断面図である。

【図３】本考案の回転ダンパーの他の一実施例を示す一
部を断面にした平面図である。

【符号の説明】

１ 皿形ハウジング ２ その円形の窪み ３ 静軸 ４ 外周壁 ５ 固定片 ６ ロータ ７ その回転片 ８ 回転軸

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 円形の窪みを有する皿形ハウジングと、
   上記円形の窪みの内部で水平に回転する回転片、及び該
   回転片の中心から起立して前記皿形ハウジングの円形の
   窪みから上に突出し、回転が入力される軸を備えたロー
   タと、前記皿形ハウジングの円形の窪みの内周に配置さ
   れた環状弾性体とからなり、前記ロータの回転片の外周
   に切欠きを設け、該切欠きに上記環状弾性体の内周に喰
   込む転動体を保持したことを特徴とする回転ダンパー。
2. 【請求項２】 請求項１に記載の回転ダンパーにおい
   て、前記ロータの回転片の外周縁部に設けた切欠きは、
   円周方向に細長く、その一端から他端に向かって次第に
   深くなっていることを特徴とする回転ダンパー。