JPH04112710U - 切削工具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ポジチップの着座性を向上させ、かつ刃先の
位置精度の向上を図る。 【構成】 チップ受け座１１の第１，第３の壁面１１
ｂ，１１ｄを、ポジチップ１２の第４，第５の側面１２
ｅ，１２ｆ近傍まで延在すると共に、ポジチップ１２の
第４，第５の側面１２ｅ，１２ｆに対応するバイト本体
１０の端面１０ａ，１０ｂを、チップ受け座１１の第
１，第３の壁面１１ｂ，１１ｄの先端側の稜線部１４，
１５からバイト本体１０の内方側にえぐるように形成す
ることによって、チップ受け座１１の第１，第３の壁面
１１ｂ，１１ｄの長さを延ばし、チップ受け座１１部分
の剛性を強化する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、６角形板状のポジチップ（ポジティブレーキを有するスローアウェ イチップ）を取付けてなる切削工具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来、この種の切削工具としては、図１６ないし図１８に示すように、バイト 本体１の先端にチップ受け座２が形成され、かつこのチップ受け座２に、偏６角 形板状（トリゴン形状）のポジチップ３が装着されると共に、このポジチップ３ が、ポジチップ３に形成された貫通孔と、この貫通孔の中心線に対してバイト本 体１の基端側に偏心した中心線を有するバイト本体１のねじ孔とに装着されたク ランプねじ４によって、上記バイト本体１に固定されたものが知られている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記従来の切削工具のチップ受け座２においては、その底面２ａ（ ポジチップ３の下面）の形状に沿って、壁面２ｂ，２ｃが形成されているため、 図１６に示すように、壁面２ｂ，２ｃの長さＬ１，Ｌ２（特にＬ１）が長くとれ ないために、バイト本体１のチップ受け座２部分の剛性が弱く、かつポジチップ ３を装着した着座性が安定しない上に、刃先の位置精度が悪化するという問題が あった。

【０００４】 本考案は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、チッ プ受け座部分の剛性を強く保持することができ、かつポジチップの着座性を向上 させることができて、刃先の位置精度の向上を図ることができる切削工具を提供 することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案は、工具本体にチップ受け座が設けられ、 かつこのチップ受け座に６角形板状のポジチップが取付けられると共に、このポ ジチップの相隣り合う第１，第２，第３の側面がそれぞれ上記チップ受け座の第 １，第２，第３の壁面に当接せしめられてなり、上記チップ受け座の第１の壁面 あるいは第３の壁面が、上記ポジチップの第１の側面に連なる第４の側面あるい は第３の側面に連なる第５の側面近傍まで延在して形成され、また、上記ポジチ ップの第４の側面あるいは第５の側面に対応する上記工具本体の端面が、上記チ ップ受け座の第１の壁面あるいは第３の壁面の先端側の稜線部から上記工具本体 の内方側にえぐられて形成されたものである。

【０００６】

【作用】

本考案の切削工具にあっては、チップ受け座の第１の壁面あるいは第３の壁面 を、ポジチップの第４の側面あるいは第５の側面近傍まで延在すると共に、ポジ チップの第４の側面あるいは第５の側面に対応する工具本体の端面を、チップ受 け座の第１の壁面あるいは第３の壁面の先端側の稜線部から上記工具本体の内方 側にえぐるように形成することによって、チップ受け座の第１の壁面あるいは第 ３の壁面の長さを延ばし、チップ受け座部分の剛性を強化すると共に、ポジチッ プの着座性を改善する。

【０００７】

【実施例】

以下、図１ないし図１５に基づいて本考案の実施例を説明する。

【０００８】 図１ないし図６は本考案の第１実施例を示すもので、これらの図において符号 １０は略四角柱状のバイト本体である。このバイト本体１０の先端にはチップ受 け座１１が形成されている。そして、このチップ受け座１１には偏６角形板状（ トリゴン形状）のポジチップ１２が装着されてクランプねじ１３によってバイト 本体１０に固定されている。上記チップ受け座１１は、上記ポジチップ１２の下 面（着座面）１２ａを支持する底面１１ａと、ポジチップ１２の相隣り合う第１ ，第２，第３の側面１２ｂ，１２ｃ，１２ｄにそれぞれ接触する第１，第２，第 ３の壁面１１ｂ，１１ｃ，１１ｄと、これらの第１，第２，第３の壁面１１ｂ， １１ｃ，１１ｄ間にそれぞれ形成された肉ぬすみ部１１ｅ，１１ｆとから構成さ れている。

【０００９】 また、上記チップ受け座１１の第１の壁面１１ｂ及び第３の壁面１１ｄは、上 記ポジチップ１２の第１の側面１２ｂに連なる第４の側面１２ｅ及び第３の側面 １２ｄに連なる第５の側面１２ｆ近傍まで延在して形成されている。そして、上 記ポジチップ１２の第４の側面１２ｅ及び第５の側面１２ｆに対応するバイト本 体１０の端面１０ａ，１０ｂは、上記チップ受け座１１の第１の壁面１１ｂ及び 第３の壁面１１ｄの先端側の稜線部１４，１５から上記バイト本体１０の内方側 （軸線側及び基端側）にえぐられて形成されている。

【００１０】 なお、ここで、上記チップ受け座１１の第１，第２，第３の壁面１１ｂ，１１ ｃ，１１ｄのうち、切削時に、専らポジチップ３を支持するのは第２，第３の壁 面１１ｃ，１１ｄであり、第１の壁面１１ｂは、ポジチップ３の姿勢がずれるの を防止するガイドの役目をになっている。すなわち、上記ポジチップ１２に形成 された貫通孔と、この貫通孔の中心線に対してバイト本体１０の基端側に偏心し た中心線を有するバイト本体１０のねじ孔とに装着されたクランプねじ１３によ って、ポジチップ１２は、第１の壁面１１ｂに平行な方向か、もしくは、第２， 第３の壁面１１ｃ，１１ｄ方向に向かって押し付けられている。

【００１１】 上記のように構成されたバイトを用いて被削材を切削する場合には、偏６角形 板状のポジチップ１２が装着されているチップ受け座１１において、第１の壁面 １１ｂ及び第３の壁面１１ｄを、ポジチップ１２の第４の側面１２ｅ及び第５の 側面１２ｆ近傍まで延在して形成していると共に、ポジチップ１２の第４，第５ の側面１２ｅ，１２ｆに対応するバイト本体１０の端面１０ａ，１０ｂを、チッ プ受け座１１の第１，第３の壁面１１ｂ，１１ｄの先端側の稜線部１４，１５か ら上記バイト本体１０の内方側にえぐって形成しているから、図１６に示す従来 例のチップ受け座２の壁面２ｂ，２ｃの長さＬ１，Ｌ２に比較して、図１に示す チップ受け座１１の第１，第３の壁面１１ｂ，１１ｄの長さＨ１，Ｈ２が長くと れる（Ｈ１＞Ｌ１，Ｈ２＞Ｌ２）ことにより、チップ受け座１１部分の剛性を強 化でき、かつ切削中にポジチップ１２がずれ動くことがなく、着座性が安定して いると共に、刃先の位置精度が向上する上に、切削時の切り込み及び送りを大き くしても、バイト本体１０の先端部と被削材が接触干渉することがない。

【００１２】 また、図７ないし図１２は本考案の第２実施例を示すもので、この第２実施例 においては、上記第１実施例の端面１０ａ，１０ｂの代わりに、バイト本体１０ の下面に至らない傾斜切欠面１０ｃ，１０ｄが形成されている。そして、この場 合であっても、第１実施例と同様の効果を奏することができる上に、バイト本体 １０の先端部の剛性が一層強化される。

【００１３】 なお、上記第１実施例と第２実施例のどちらを採用するかは、バイト本体１０ とポジチップ１２との相対的な寸法の差によって決まり、バイト本体１０に比べ てポジチップ１２が小さい場合には第２実施例の構成を採用することができる。

【００１４】 さらに、図１３ないし図１５は、本考案の第３実施例を示すもので、この実施 例は、本考案をボーリングバーに採用した場合について示している。そして、略 円柱状のバー本体２０の先端にチップポケット２１とチップ受け座１１とが形成 されており、このチップ受け座１１及びこのチップ受け座１１に装着されるポジ チップ１２については上記各実施例と同様なので同符号を付けて説明を省略する が、ここで、ポジチップ１２の第４の側面１２ｅに対応するバー本体２０の部位 は、切欠面２０ａとされ、かつポジチップ１２の第５の側面１２ｆに対応するバ ー本体２０の部位は、第１実施例のような端面２０ｂとされている。

【００１５】 なお、上記実施例において、ポジチップをアキシャルをつけて工具本体に取付 けるほど（ポジチップの刃先側を工具本体の先端側に行くにつれて上方に傾斜さ せるほど）、上記効果はより一層向上とする。

【００１６】

【考案の効果】 以上説明したように、本考案は、工具本体にチップ受け座が設けられ、かつこ のチップ受け座に６角形板状のポジチップが取付けられると共に、このポジチッ プの相隣り合う第１，第２，第３の側面がそれぞれ上記チップ受け座の第１，第 ２，第３の壁面に当接せしめられてなり、上記チップ受け座の第１の壁面あるい は第３の壁面が、上記ポジチップの第１の側面に連なる第４の側面あるいは第３ の側面に連なる第５の側面近傍まで延在して形成され、また、上記ポジチップの 第４の側面あるいは第５の側面に対応する上記工具本体の端面が、上記チップ受 け座の第１の壁面あるいは第３の壁面の先端側の稜線部から上記工具本体の内方 側にえぐられて形成されたものであるから、チップ受け座の第１の壁面あるいは 第３の壁面を、ポジチップの第４の側面あるいは第５の側面近傍まで延在すると 共に、ポジチップの第４の側面あるいは第５の側面に対応する工具本体の端面を 、チップ受け座の第１の壁面あるいは第３の壁面の先端側の稜線部から上記工具 本体の内方側にえぐるように形成することによって、チップ受け座の第１の壁面 あるいは第３の壁面の長さを延ばし、チップ受け座部分の剛性を強化することに より、ポジチップの着座性を向上させることができ、刃先の位置精度の向上を図 ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例を示す平面図である。

【図２】図１の正面図である。

【図３】図１の側面図である。

【図４】バイト本体の平面図である。

【図５】図４の正面図である。

【図６】図４の側面図である。

【図７】本考案の第２実施例を示す平面図である。

【図８】図７の正面図である。

【図９】図７の側面図である。

【図１０】バイト本体の平面図である。

【図１１】図１０の正面図である。

【図１２】図１０の側面図である。

【図１３】本考案の第３実施例を示す平面図である。

【図１４】図１３の正面図である。

【図１５】図１３の側面図である。

【図１６】従来のバイトを示す平面図である。

【図１７】図１６の正面図である。

【図１８】図１６の側面図である。

【符号の説明】

１０ バイト本体（工具本体） １０ａ 端面 １０ｂ 端面 １０ｃ 傾斜切欠面（端面） １０ｄ 傾斜切欠面（端面） １１ チップ受け座 １１ｂ 第１の壁面 １１ｃ 第２の壁面 １１ｄ 第３の壁面 １２ ポジチップ １２ｂ 第１の側面 １２ｃ 第２の側面 １２ｄ 第３の側面 １２ｅ 第４の側面 １２ｆ 第５の側面 １４ 稜線部 １５ 稜線部 ２０ バー本体（工具本体） ２０ａ 切欠面（端面） ２０ｂ 端面

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 工具本体にチップ受け座が設けられ、か
   つこのチップ受け座に６角形板状のポジチップが取付け
   られると共に、このポジチップの相隣り合う第１，第
   ２，第３の側面がそれぞれ上記チップ受け座の第１，第
   ２，第３の壁面に当接せしめられてなる切削工具におい
   て、上記チップ受け座の第１の壁面あるいは第３の壁面
   が、上記ポジチップの第１の側面に連なる第４の側面あ
   るいは第３の側面に連なる第５の側面近傍まで延在して
   形成され、また、上記ポジチップの第４の側面あるいは
   第５の側面に対応する上記工具本体の端面が、上記チッ
   プ受け座の第１の壁面あるいは第３の壁面の先端側の稜
   線部から上記工具本体の内方側にえぐられて形成された
   ことを特徴とする切削工具。