JPH0426164Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、工具本体を超硬合金で構成し、２
つのチツプ座側壁面のうち少なくとも一方の面
を、チツプ座底面に固定された側壁ブロツクに形
成した切削工具に関するものである。

「従来の技術」 従来、スローアウエイ式の切削工具としては、
工具本体全体が鋼製になされたスローアウエイ式
バイトと、先端部が鋼製で後端保持部が超硬から
なり両者をろう付け等で接合したスローアウエイ
式ボーリングバーが知られている。

「考案が解決しようとする問題点」 ところで、上記のようなスローアウエイ式の切
削工具にあつては、工具先端側が鋼製のため、切
削熱や切屑等によりチツプ着座部近傍が傷みやす
く、このため工具本体の寿命が短いとともに、チ
ツプ着座面の傷みによる座面のダレおよび摩耗に
よつて、チツプが欠けやすいという問題点があつ
た。また、この切削工具を刃物台等の把持部から
大きく突出して使用する場合には、鋼製であるた
め鋼性が低く、ビビリや振動によつて切削性能が
低下するとともにチツプの寿命が低下するという
問題点があつた。

「考案に至る経過」 そこで、上記のような切削工具において、その
工具本体を超硬合金で構成することを考えた。し
かしながら、通常チツプ座は、チツプ座底面と、
チツプ座底面から起立する互いに交差する２つの
チツプ座側壁面とから構成されている。このた
め、チツプ座底面を研削しようとしても、研削工
具が前記チツプ座側壁面に当たつてしまい研削す
ることが難しいという難点があつたのである。そ
こで、このような難点を解消するために、本願考
案においては、チツプ座の２つの側壁面のうち少
なくとも一方を、工具本体に別体に固定した側壁
ブロツクに形成するようにしたのである。

「考案の目的」 この考案は、チツプ着座部近傍の欠損および摩
耗を防止することによつて、工具本体の損耗を防
止するとともにチツプの欠損を防止し、また工具
本体の剛性を向上させることによつて、工具本体
の切削性能を向上させるとともに、チツプの欠損
を防止し寿命を向上させる切削工具を提供するこ
とを目的とする。

「考案の構成」 この考案は、工具本体をチツプ座底面を含めて
超硬合金で構成し、チツプ座の２つの側壁面のう
ち少なくとも一方を、前記工具本体に別体に固定
した側壁ブロツクに形成した構成としたものであ
る。

「実施例」 以下、この考案の一実施例について第１図ない
し第８図を参照して説明する。

第１図ないし第３図は、この考案に係るスクリ
ユーオンタイプのバイト（切削工具）１を示す図
である。このバイト１は、工具本体１１を有して
いる。この工具本体１１は、超硬合金からなるも
のであつて、その先端部には、チツプ座１２が設
けられている。このチツプ座１２は、チツプ座底
面１３とこのチツプ座底面１３から起立して設け
られた第１のチツプ座側壁面（側壁面）１４とか
ら構成されている。この第１のチツプ座側壁面１
４は、前記工具本体１１の先端から後方に向かう
にしたがい、工具本体１１の一方の側壁から他方
の側壁まで設けられている。一方、前記チツプ座
底面１３のうち前記工具本体１１の先端側にはテ
ーパー状貫通孔１５が設けられている。このテー
パー状貫通孔１５は、前記チツプ座底面１３から
下方に向かうにしたがい漸次拡径するように形成
されており、その内部にテーパーピン１６が嵌合
して設けられている。このテーパーピン１６は、
前記チツプ座底面１３から下方に向かうにしたが
い漸次拡径するようになされており、その軸芯に
はめねじ部１７が形成されている。一方、前記チ
ツプ座底面１３のうち前記工具本体１１の後方側
にも同様にテーパー状貫通孔１８が設けられてお
り、このテーパー状貫通孔１８には、めねじ部１
９を有するテーパーピン２０が嵌合して設けられ
ている。このようなチツプ座１２には、超硬合金
からなる側壁ブロツク２１が固定されている。こ
の側壁ブロツク２１には、前記第１のチツプ座側
壁面１４と交差する方向に第２のチツプ座側壁面
（側壁面）２２が形成されており、前記第１のチ
ツプ座側壁面１４とともにチツプ側面に当接する
ようになつている。そして、この側壁ブロツク２
１は、クランプネジ２３によつて前記テーパーピ
ン２０のめねじ部１９に連結されており、前記ク
ランプネジ２３を締め付けることによつて、前記
テーパーピン２０を前記テーパー状貫通孔１８に
圧入し、前記チツプ座底面１３に押圧固定されて
いる。また、前記チツプ座底面１３のうち工具本
体１１の先端側には、スローアウエイチツプ２４
が装着されている。このスローアウエイチツプ２
４は、そのチツプ側面を、前記第１のチツプ座側
壁面１４および前記第２のチツプ座側壁面２２に
当接させて装着されている。そして、このスロー
アウエイチツプ２４は、前記側壁ブロツク２１と
同様に、クランプネジ２５によつて前記テーパー
ピン１６を介して前記チツプ座底面１３に押圧固
定されている。

このように、このバイト１にあつては、工具本
体１１を超硬合金で構成しているから、切削熱や
切屑等によつてチツプ座１２近傍に、欠損および
摩耗が生ずるのを防止することができる。したが
つて、工具本体１１の損耗を防止することができ
るとともに、チツプ座１２の欠損および摩耗によ
つてチツプ２４に欠損が生ずるのを防止すること
ができる。また工具本体１１の剛性が向上し、し
たがつて工具本体１１の切削性能を向上させるこ
とができるとともに、ビビリ等によるチツプ２４
の欠損を防止して寿命を向上させることができ
る。

また、前記２つのチツプ座側壁面のうち第２の
チツプ座側壁面２２を、チツプ座底面１３に別体
として固定された側壁ブロツク２１に設けている
から、チツプ座底面１３を研削する上で障害がな
く、製作が容易である。

さらに、側壁ブロツク２１およびスローアウエ
イチツプ２４をテーパーピン１６，２０を介して
固定しているため、超硬合金製の工具本体１１に
直接めねじを形成する必要がなく、製作が容易で
ある。

次に、この考案に係る他の実施例について説明
する。なお、以下の実施例においても上記実施例
と同様の効果を奏するのは勿論である。

第４図ないし第６図は、クランプオンタイプの
バイト（切削工具）３を示すものである。このバ
イト３においても、工具本体３１は超硬合金で構
成されている。また、第２のチツプ座側壁面（側
壁面）３２が形成された側壁ブロツク３３は、チ
ツプ座底面３４にろう付けによつて固定されてい
る。また、スローアウエイチツプ３５は、クラン
プ部材３６によつてチツプ座底面３４に押圧固定
されており、このクランプ部材３６は、上記実施
例と同様にクランプネジ３７とテーパーピン３８
を介して工具本体３１に固定されている。

第７図および第８図は、スクリユウオンタイプ
のボーリングバー（切削工具）４を示すものであ
る。このボーリングバー４においても、工具本体
１１は超硬合金から構成されている。また、第２
のチツプ座側壁面（側壁面）４２が形成された側
壁ブロツク４３は、ろう付けによつてチツプ座底
面４４に固定されている。また、スローアウエイ
チツプ４５は、チツプ座底面４４にクランプネジ
４６によつて固定されており、このクランプネジ
４６が螺合するチツプ座底面４４に設けられため
ねじ部４７は、放電加工によつて形成されてい
る。

なお、上記実施例においては、スローアウエイ
チツプ、側壁ブロツク、およびクランプ部材を固
定するためのめねじ部はテーパーピンに形成され
ているが、これに限る必要はなく、めねじ部が形
成された部材を焼きばめ、ろう付け等によつて工
具本体に固定してもよい。

「考案の効果」 以上に説明したように、この考案によれば、チ
ツプ座の２つの側壁面のうち少なくとも一方を、
前記工具本体に別体に固定した側壁ブロツクに形
成し、工具本体をチツプ座底面を含めて超硬合金
で構成しているから、チツプ着座部近傍の欠損お
よび摩耗を防止することができ、したがつて工具
本体の損耗を防止することができるとともにチツ
プの欠損を防止することができ、また工具本体の
剛性を向上させることができ、したがつて工具本
体の切削性能を向上させることができるととも
に、チツプの欠損を防止し寿命を向上させること
ができるという効果が得られる。

しかも、チツプ座底面を工具本体と一体に超硬
合金で構成する一方で、チツプ座の側壁面を側壁
ブロツクによつて別体化しているので、超硬合金
による工具剛性の増大効果を損なうことなくチツ
プ座底面の研削を容易化して工具製造コストを低
減できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は本考案の一実施例を示す
図であつて、第１図はその平面図、第２図は第１
図中−線に沿う矢視断面図、第３図は第１図
中−線に沿う矢視断面図、第４図ないし第６
図は本考案の他の実施例を示す図であつて、第４
図はその平面図、第５図は第４図中矢印Ｖ方向の
矢視図、第６図は第４図中−線に沿う矢視断
面図、第７図および第８図は本考案の他の実施例
を示す図であつて、第７図はその平面図、第８図
は第７図中−線に沿う矢視断面図である。 １……バイト（切削工具）、３……バイト（切
削工具）、４……ボーリングバー（切削工具）、１
１……工具本体、１２……チツプ座、１３……チ
ツプ座底面、１４……第１のチツプ座側壁面（側
壁面）、２１……側壁ブロツク、２２……第２の
チツプ座側壁面（側壁面）、２４……スローアウ
エイチツプ、３１……工具本体、３２……第２の
チツプ座側壁面（側壁面）、３３……側壁ブロツ
ク、３４……チツプ座底面、３５……スローアウ
エイチツプ、４１……工具本体、４２……第２の
チツプ座側壁面（側壁面）、４３……側壁ブロツ
ク、４４……チツプ座底面、４５……スローアウ
エイチツプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 チツプ座底面およびこのチツプ座底面から起立
   しかつ互いに交差する２つの側壁面を有するチツ
   プ座が設けられた工具本体と、この工具本体の前
   記チツプ座に側面を前記２つの側壁面に当接させ
   て着脱自在に装着されたスローアウエイチツプと
   を備えた切削工具において、 前記工具本体を、前記チツプ座底面を含めて超
   硬合金で構成し、前記チツプ座の２つの側壁面の
   うち少なくとも一方を、前記工具本体に別体に固
   定した側壁ブロツクに形成したことを特徴とする
   切削工具。